有価証券報告書-第60期(2024/01/01-2024/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
「独創と融合」を当社の経営理念としております。これは、個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させることにより、新しい価値を継続的に生み出していく、という意味があります。当社に関わる全てのステークホルダーに価値を提供できるよう事業展開を行っております。
当社グループ理念としては、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をパーパスとし、また「クライメイト・ニュートラルな未来実現のため、空気処理技術のイノベーション・リーダーであり続ける。」をビジョンに掲げ、世界各国で社会課題の解決の一助となり得る製品・サービスを提供しております。また、2024年12月にコアバリューを次のとおりにブラッシュアップし、パーパス及びビジョンの実現を目指す上でこれらの価値観を意識し、日々の業務に取り組んでおります。
達成 目標必達のため決めたことをやり遂げる
結束 永続的な成長を実現するためチームビルディングに努める
探究 社会のトレンドと独自技術を融合させ新たな価値を創造する
協働 多様性を尊重しアウトプットの最大化を図る
機敏 予測不能な変化や想定外の問題に対しスピーディーに行動する
当社グループのデシカント除湿機により、製薬、食品製造工程だけでなく、近年ではリチウムイオン電池等の製造に必要不可欠なドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能であります。また、自動車製造、造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOC(注1)のみを吸着・濃縮する当社のVOC濃縮装置(注2)により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能であるため、処理過程で排出されるCO2を抑えながらの大気汚染防止に貢献しております。さらに、電池製造工程で使われる溶剤を回収し再利用する用途にも使われており、顧客のサーキュラーエコノミー実現にも寄与しております。このように、当社グループは、顧客の抱える環境に関する課題、ひいては地球環境全体の課題を解決する一助となる製品・サービスを提供し、また当該製品・サービスの更なる改良や環境保全に貢献する新製品の開発を通して、クライメイト・ニュートラルの実現に寄与することを目指しております。
(注1)VOCとは、Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略語で、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント、悪臭等を発生する大気汚染物質の一つであります。
(注2)VOC濃縮装置は、塗装、印刷、コーティング等の過程や、VOCを含む化学物質や原材料を使用する製造工場から主に排出されるベンゼンやトルエンといった有害なVOCのみを吸着・濃縮し、効率的な処理を行い、排ガスを浄化させるための、環境保全に貢献する装置であります。
(2) 経営環境
当社グループが属する業界の市場データが存在しないため、「デシカント除湿機」及び「VOC濃縮装置」に絞って記載をしております。
(デシカント除湿機)
デシカント除湿機の用途は多岐にわたり、食品や医薬、倉庫や輸送を含むロジスティック関連、発電所、及び近年特にEV用リチウムイオン電池といった急進産業で必要とされております。
2024年の世界人口は約80億人であり、2030年には85億人、2050年には97億人にまで増加すると予測されております。また、それに占める65歳以上の高齢者の割合は2022年の10%から、2050年には16%にまで増加するとされております(注1)。これらの人口動態のトレンドにより、食品及び医薬品産業の安定的な伸びが見込まれます。また、リチウムイオン電池を含む蓄電池は、2019年の世界市場規模は約5兆円であり、2030年には約40兆円、さらに2050年までに約100兆円に成長(注2)することが見込まれております。これらの各産業において今後も積極的な設備投資が期待されており、各産業の成長とともに、当社グループのデシカント除湿機の需要増加が期待されております。これらの産業の中でも特に近年はEV用リチウムイオン電池産業におけるデシカント除湿機の採用が増えており、当社グループのデシカント除湿機販売においても最重要市場として位置付けております。EV自動車への移行とともに更なる投資が見込まれ、今後も当社グループにとって需要拡大の機会であると認識しております。
(VOC濃縮装置)
VOC濃縮装置の用途も多岐にわたっております。自動車や船の塗装、半導体の製造、及びグラビア印刷の工程等で発生する揮発性有機化合物(VOC)やVOCを含む原材料を扱う生産拠点等で必要とされております。近年市場が拡大している半導体については、2018年に54兆円であった半導体関連の世界市場規模は、2030年には約100兆円に成長する見込みとされております(注3)。日本国内ではVOC排出に関して厳格に規制されていないものの、近年では特に、厳格なVOC排出規制が施行された中国や韓国において、施行前の対策措置として需要が急増する傾向がありました。現在、中国が最大の市場であり、韓国、ヨーロッパ、台湾、アメリカがそれに続きます。今後もこれらの市場において、本装置に使われている主要部品であるローターの交換需要が継続して発生すると認識しております。また今後は、インドや東南アジア諸国等、大気汚染が問題視されているにもかかわらず、これらの法規制が制定されていない国での需要増加を見込んでおります。
(注1)United Nations『World Population Prospects 2022』
(注2)経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モータの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性 2021年7月』
(注3)経済産業省『半導体戦略(概略)2021年6月』
(3) 経営戦略
上記のような経営環境のもと、当社グループは2024年12月期を初年度とする3か年を対象とした中期経営計画を策定し、その実現に向けて取り組んでおります。中期経営計画の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針
当社グループのパーパスの実現を通し、新たな価値を提供することで、企業価値と社会価値の両立を図ることを目指し、また、2030年の当社グループビジョンの実現に向けての第1フェーズとして、持続的成長の土台づくりを目的として、以下の3つを2024年~2026年中期経営計画の基本方針としております。
1. コア事業で市場シェア拡大
2. 成長事業の本格始動
3. グループガバナンスの強化
② 数値目標
中期経営計画の最終年度である2026年12月期には、売上高360億円、営業利益率12%、EBITDAマージン15%、及びROE 13%を達成することを目標としております。
③ 戦略的方向性
エナジーデバイス領域
1. 車載用電池等、エナジーデバイス製造の最適環境創出のトータルエンジニアリングを提供する
2. デシカント除湿機の安定供給継続とともに、海外サービス事業を拡充する
半導体、半導体材料領域
1. 半導体材料製造に最適なクリーン環境のソリューション提案
2. VOC濃縮ローターの交換により、海外サービス事業を拡充する
その他の市場領域
1. 既存事業:既存の販売網を通じて継続的に伸ばす
2. 新規事業:2027年に年間10億円の事業規模を目指す
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長を果たし、全てのステークホルダーの利益増大と企業価値の向上を目指し、営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢等による原油価格をはじめとするエネルギー価格の高騰、米国による対中投資規制の影響等、複数の不確実要素が混在する中で、先行きは極めて不透明な状況であります。また、景気低迷に直面する中国市場をはじめ、企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、当社グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格や物流コスト上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力、製品の安定供給を継続し、また、継続的に収益を確保できるサービス事業の海外展開により収益確保に繋げてまいります。
① 人材の育成
当社グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけており、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。さらに、世界各国で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材の育成にも取り組んでおります。
また、全社的な労務管理を行うとともに、働き方の多様性を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。
② 高品質、安全・安心な製品の安定供給
当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(以下「BCP」という。)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底及び実効性の向上を図っております。
一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。
③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓
当社グループは、デシカント除湿機及びVOC濃縮装置を主力としております。
デシカント除湿機については、近年のEV普及に伴うリチウムイオン電池製造投資の増加により、売上は好調であります。特にEV用リチウムイオン電池製造投資が続く日本や米国で売上が伸長しております。一方、2023年上期まで当社グループの業績を売上・利益面で牽引してきた中国では、2023年度下期からの景気悪化や過剰な生産能力によるリチウムイオン電池製造投資の急減により売上が減少しております。
VOC濃縮装置については、当社がパイオニアということもあり世界市場でも認知度が高く、世界30か国以上の顧客に選ばれております。なお、排ガス規制が厳しく需要の大きい中国においては現地メーカーによる安価な製品が多く上市されており、競争が増しております。このような状況の中、当社グループは品質と性能で高く評価されており、現地の廉価な製品よりも高付加価値製品として市場でポジショニングが形成されております。また、EV用リチウムイオン電池の製造工程で使用されるVOCを回収して再利用する用途での使用が増えております。
当社グループにおいては、引き続き顧客ニーズを満たす製品を提供するとともに、海外主要拠点での24時間のサービス体制を構築し柔軟に対応することで、顧客と良好な関係を築き、当社グループのプレゼンスを高める取組を進めております。また、今後の成長機軸としましては、従来からの顧客の最適な製造環境と環境負荷低減に寄与する機器・装置販売を中心とするコア事業に加えて、顧客の製造工程における最適空間創出のためのシステムの提案、設計、製作、施工等のトータルエンジニアリングを成長事業として、コア事業及び成長事業をともに伸長させることで継続的な成長を目指してまいります。
なお、中長期的な視点から、将来的にリチウムイオン電池産業の伸びが緩やかになる可能性、又は、VOCを含まない代替塗料等が普及する可能性に備え、次世代製品の開発についても取組を進めております。
④ 生産性の向上
世界的なEVシフト加速に伴い、高まるデシカント除湿機への需要に応えるために、経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化に努めてまいります。欧米での今後の需要増加を見込み、Seibu Giken DST Poland SP. ZO.O.(グディニャ)の既存工場を増設し、Seibu Giken America,Inc.の工場を新設しました。また、福岡県宗像市に除湿ローターを生産する新工場の建設を予定しております。生産能力を上げることで収益力の向上に繋げてまいります。
⑤ グループ経営における社会的責任
当社グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組んでおります。当社グループの製品を使っていただくことで大気汚染防止に繋がり、顧客の製造過程で排出されるロスを削減し、また顧客におけるCO2排出量の削減にも繋がることから、当社グループの事業そのものが、2015年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の「12 つくる責任 つかう責任」及び「13 気候変動に具体的な対策を」等を達成することに繋がると考えております。
また、当社では2018年より企業主導型保育施設として「はにかむほいくえん」を運営しております。従業員の福利厚生としての側面だけでなく、地域の皆様の仕事と育児の両立をサポートできるよう、また、子どもたちの未来を地域で育むことを目標にしております。
さらに、科学技術に関する分野を専攻する大学院生や日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援を行っている「公益財団法人隈科学技術・文化振興会」おります。意欲ある若手研究者の独創的、先駆的な研究開発、実用化に対する助成及び起業家の育成、また日本文化の発展と伝承に寄与することは、持続可能な社会の発展に繋がると考えております。
今後も事業活動を通じ、SDGsを始めとする社会課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。また、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び内部統制の充実に全力を投入いたします。
⑥ 収益力の向上
グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製造時間の短縮や製造経費の更なる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。また、利益率の高いサービス事業の海外展開を推進することで収益力の向上を目指してまいります。
さらに、Seibu Giken DST East Africaの早期黒字化及び債務超過の解消に向けて取り組んでまいります。
⑦ グローバルなグループ経営
国内外拠点の自立と連携を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、顧客に満足いただける品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。
また、グループガバナンスの向上に向けた強固なグループ体制の構築に努めてまいります。海外のグループ子会社については、現地トップと当社経営陣が日常的に電話やWeb会議等で頻繁に情報交換することで、課題やトラブル等に対して協議しながら解決に当たっております。それに加えて2023年より、グループ会社の経営陣によるGlobal Management Councilを開催することとし、グループとしての方針や戦略の策定と進捗管理、予算管理、共有課題の抽出と解決を図っております。
(1) 経営方針
「独創と融合」を当社の経営理念としております。これは、個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させることにより、新しい価値を継続的に生み出していく、という意味があります。当社に関わる全てのステークホルダーに価値を提供できるよう事業展開を行っております。
当社グループ理念としては、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をパーパスとし、また「クライメイト・ニュートラルな未来実現のため、空気処理技術のイノベーション・リーダーであり続ける。」をビジョンに掲げ、世界各国で社会課題の解決の一助となり得る製品・サービスを提供しております。また、2024年12月にコアバリューを次のとおりにブラッシュアップし、パーパス及びビジョンの実現を目指す上でこれらの価値観を意識し、日々の業務に取り組んでおります。
達成 目標必達のため決めたことをやり遂げる
結束 永続的な成長を実現するためチームビルディングに努める
探究 社会のトレンドと独自技術を融合させ新たな価値を創造する
協働 多様性を尊重しアウトプットの最大化を図る
機敏 予測不能な変化や想定外の問題に対しスピーディーに行動する
当社グループのデシカント除湿機により、製薬、食品製造工程だけでなく、近年ではリチウムイオン電池等の製造に必要不可欠なドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能であります。また、自動車製造、造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOC(注1)のみを吸着・濃縮する当社のVOC濃縮装置(注2)により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能であるため、処理過程で排出されるCO2を抑えながらの大気汚染防止に貢献しております。さらに、電池製造工程で使われる溶剤を回収し再利用する用途にも使われており、顧客のサーキュラーエコノミー実現にも寄与しております。このように、当社グループは、顧客の抱える環境に関する課題、ひいては地球環境全体の課題を解決する一助となる製品・サービスを提供し、また当該製品・サービスの更なる改良や環境保全に貢献する新製品の開発を通して、クライメイト・ニュートラルの実現に寄与することを目指しております。
(注1)VOCとは、Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略語で、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント、悪臭等を発生する大気汚染物質の一つであります。
(注2)VOC濃縮装置は、塗装、印刷、コーティング等の過程や、VOCを含む化学物質や原材料を使用する製造工場から主に排出されるベンゼンやトルエンといった有害なVOCのみを吸着・濃縮し、効率的な処理を行い、排ガスを浄化させるための、環境保全に貢献する装置であります。
(2) 経営環境
当社グループが属する業界の市場データが存在しないため、「デシカント除湿機」及び「VOC濃縮装置」に絞って記載をしております。
(デシカント除湿機)
デシカント除湿機の用途は多岐にわたり、食品や医薬、倉庫や輸送を含むロジスティック関連、発電所、及び近年特にEV用リチウムイオン電池といった急進産業で必要とされております。
2024年の世界人口は約80億人であり、2030年には85億人、2050年には97億人にまで増加すると予測されております。また、それに占める65歳以上の高齢者の割合は2022年の10%から、2050年には16%にまで増加するとされております(注1)。これらの人口動態のトレンドにより、食品及び医薬品産業の安定的な伸びが見込まれます。また、リチウムイオン電池を含む蓄電池は、2019年の世界市場規模は約5兆円であり、2030年には約40兆円、さらに2050年までに約100兆円に成長(注2)することが見込まれております。これらの各産業において今後も積極的な設備投資が期待されており、各産業の成長とともに、当社グループのデシカント除湿機の需要増加が期待されております。これらの産業の中でも特に近年はEV用リチウムイオン電池産業におけるデシカント除湿機の採用が増えており、当社グループのデシカント除湿機販売においても最重要市場として位置付けております。EV自動車への移行とともに更なる投資が見込まれ、今後も当社グループにとって需要拡大の機会であると認識しております。
(VOC濃縮装置)
VOC濃縮装置の用途も多岐にわたっております。自動車や船の塗装、半導体の製造、及びグラビア印刷の工程等で発生する揮発性有機化合物(VOC)やVOCを含む原材料を扱う生産拠点等で必要とされております。近年市場が拡大している半導体については、2018年に54兆円であった半導体関連の世界市場規模は、2030年には約100兆円に成長する見込みとされております(注3)。日本国内ではVOC排出に関して厳格に規制されていないものの、近年では特に、厳格なVOC排出規制が施行された中国や韓国において、施行前の対策措置として需要が急増する傾向がありました。現在、中国が最大の市場であり、韓国、ヨーロッパ、台湾、アメリカがそれに続きます。今後もこれらの市場において、本装置に使われている主要部品であるローターの交換需要が継続して発生すると認識しております。また今後は、インドや東南アジア諸国等、大気汚染が問題視されているにもかかわらず、これらの法規制が制定されていない国での需要増加を見込んでおります。
(注1)United Nations『World Population Prospects 2022』
(注2)経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モータの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性 2021年7月』
(注3)経済産業省『半導体戦略(概略)2021年6月』
(3) 経営戦略
上記のような経営環境のもと、当社グループは2024年12月期を初年度とする3か年を対象とした中期経営計画を策定し、その実現に向けて取り組んでおります。中期経営計画の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針
当社グループのパーパスの実現を通し、新たな価値を提供することで、企業価値と社会価値の両立を図ることを目指し、また、2030年の当社グループビジョンの実現に向けての第1フェーズとして、持続的成長の土台づくりを目的として、以下の3つを2024年~2026年中期経営計画の基本方針としております。
1. コア事業で市場シェア拡大
2. 成長事業の本格始動
3. グループガバナンスの強化
② 数値目標
中期経営計画の最終年度である2026年12月期には、売上高360億円、営業利益率12%、EBITDAマージン15%、及びROE 13%を達成することを目標としております。
③ 戦略的方向性
エナジーデバイス領域
1. 車載用電池等、エナジーデバイス製造の最適環境創出のトータルエンジニアリングを提供する
2. デシカント除湿機の安定供給継続とともに、海外サービス事業を拡充する
半導体、半導体材料領域
1. 半導体材料製造に最適なクリーン環境のソリューション提案
2. VOC濃縮ローターの交換により、海外サービス事業を拡充する
その他の市場領域
1. 既存事業:既存の販売網を通じて継続的に伸ばす
2. 新規事業:2027年に年間10億円の事業規模を目指す
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長を果たし、全てのステークホルダーの利益増大と企業価値の向上を目指し、営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢等による原油価格をはじめとするエネルギー価格の高騰、米国による対中投資規制の影響等、複数の不確実要素が混在する中で、先行きは極めて不透明な状況であります。また、景気低迷に直面する中国市場をはじめ、企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、当社グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格や物流コスト上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力、製品の安定供給を継続し、また、継続的に収益を確保できるサービス事業の海外展開により収益確保に繋げてまいります。
① 人材の育成
当社グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけており、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。さらに、世界各国で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材の育成にも取り組んでおります。
また、全社的な労務管理を行うとともに、働き方の多様性を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。
② 高品質、安全・安心な製品の安定供給
当社グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(以下「BCP」という。)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底及び実効性の向上を図っております。
一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。
③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓
当社グループは、デシカント除湿機及びVOC濃縮装置を主力としております。
デシカント除湿機については、近年のEV普及に伴うリチウムイオン電池製造投資の増加により、売上は好調であります。特にEV用リチウムイオン電池製造投資が続く日本や米国で売上が伸長しております。一方、2023年上期まで当社グループの業績を売上・利益面で牽引してきた中国では、2023年度下期からの景気悪化や過剰な生産能力によるリチウムイオン電池製造投資の急減により売上が減少しております。
VOC濃縮装置については、当社がパイオニアということもあり世界市場でも認知度が高く、世界30か国以上の顧客に選ばれております。なお、排ガス規制が厳しく需要の大きい中国においては現地メーカーによる安価な製品が多く上市されており、競争が増しております。このような状況の中、当社グループは品質と性能で高く評価されており、現地の廉価な製品よりも高付加価値製品として市場でポジショニングが形成されております。また、EV用リチウムイオン電池の製造工程で使用されるVOCを回収して再利用する用途での使用が増えております。
当社グループにおいては、引き続き顧客ニーズを満たす製品を提供するとともに、海外主要拠点での24時間のサービス体制を構築し柔軟に対応することで、顧客と良好な関係を築き、当社グループのプレゼンスを高める取組を進めております。また、今後の成長機軸としましては、従来からの顧客の最適な製造環境と環境負荷低減に寄与する機器・装置販売を中心とするコア事業に加えて、顧客の製造工程における最適空間創出のためのシステムの提案、設計、製作、施工等のトータルエンジニアリングを成長事業として、コア事業及び成長事業をともに伸長させることで継続的な成長を目指してまいります。
なお、中長期的な視点から、将来的にリチウムイオン電池産業の伸びが緩やかになる可能性、又は、VOCを含まない代替塗料等が普及する可能性に備え、次世代製品の開発についても取組を進めております。
④ 生産性の向上
世界的なEVシフト加速に伴い、高まるデシカント除湿機への需要に応えるために、経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化に努めてまいります。欧米での今後の需要増加を見込み、Seibu Giken DST Poland SP. ZO.O.(グディニャ)の既存工場を増設し、Seibu Giken America,Inc.の工場を新設しました。また、福岡県宗像市に除湿ローターを生産する新工場の建設を予定しております。生産能力を上げることで収益力の向上に繋げてまいります。
⑤ グループ経営における社会的責任
当社グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組んでおります。当社グループの製品を使っていただくことで大気汚染防止に繋がり、顧客の製造過程で排出されるロスを削減し、また顧客におけるCO2排出量の削減にも繋がることから、当社グループの事業そのものが、2015年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の「12 つくる責任 つかう責任」及び「13 気候変動に具体的な対策を」等を達成することに繋がると考えております。
また、当社では2018年より企業主導型保育施設として「はにかむほいくえん」を運営しております。従業員の福利厚生としての側面だけでなく、地域の皆様の仕事と育児の両立をサポートできるよう、また、子どもたちの未来を地域で育むことを目標にしております。
さらに、科学技術に関する分野を専攻する大学院生や日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援を行っている「公益財団法人隈科学技術・文化振興会」おります。意欲ある若手研究者の独創的、先駆的な研究開発、実用化に対する助成及び起業家の育成、また日本文化の発展と伝承に寄与することは、持続可能な社会の発展に繋がると考えております。
今後も事業活動を通じ、SDGsを始めとする社会課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。また、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び内部統制の充実に全力を投入いたします。
⑥ 収益力の向上
グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製造時間の短縮や製造経費の更なる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。また、利益率の高いサービス事業の海外展開を推進することで収益力の向上を目指してまいります。
さらに、Seibu Giken DST East Africaの早期黒字化及び債務超過の解消に向けて取り組んでまいります。
⑦ グローバルなグループ経営
国内外拠点の自立と連携を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、顧客に満足いただける品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。
また、グループガバナンスの向上に向けた強固なグループ体制の構築に努めてまいります。海外のグループ子会社については、現地トップと当社経営陣が日常的に電話やWeb会議等で頻繁に情報交換することで、課題やトラブル等に対して協議しながら解決に当たっております。それに加えて2023年より、グループ会社の経営陣によるGlobal Management Councilを開催することとし、グループとしての方針や戦略の策定と進捗管理、予算管理、共有課題の抽出と解決を図っております。