有価証券報告書-第68期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針

当社グループは1959年の創立以来、上下水道を中心とした水のコンサルティング事業を展開してまいりました。
現在、新たに策定した2030年度を目標とする「日水コングループビジョン2030」を推進しており、「水のインパクトカンパニー」をパーパス(存在意義)とし、「水の統合インフラマネジメントの担い手」をミッションとしております。当社グループの「価値軸・企業制度・企業文化」を踏まえ、「実行能力」を生かして行動することにより、ミッションを達成し、「潤いのある持続可能な社会の実現」を目指します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営においては企業価値向上を最優先に考えており、その実現に向けて重視している経営指標は、売上高営業利益率及び自己資本利益率であります。効率的な経営を目指す観点から、売上高営業利益率は10%、自己資本利益率は10%の水準を目安としております。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の通商政策による影響がみられるものの、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価上昇の継続により個人消費に及ぼす影響が景気を下押しするリスクとなっています。
このような経営環境の中、当社グループが属する建設コンサルティング事業では、2024年1月の能登半島地震や2025年1月の埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、インフラの災害対策や老朽化対策が一層求められており、国土強靱化の必要性から公共事業関係費が安定的に推移しております。2025年6月には、2026年度以降に継続的・安定的な国土強靱化の取り組みを進めるための「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定され、事業環境は堅調に推移しております。
出典:厚生労働省「令和4年度全国水道関係担当者会議(令和5年3月14日)」より作成
加えて、地方公共団体の職員数も減少しており、担い手不足であるとともに、ノウハウの伝承も困難となっているものと考えております。
出典:国土交通省「令和6年度全国水道主管課長会議(2024年4月22日)」より作成
(4)経営戦略等
わが国を取り巻く水インフラ事業は、人口減少やインフラの老朽化が進む中で、災害に強く、上下水道の機能を確保するため、上下水道一体の取組が必要とされる等、多くの課題を抱えております(注1)。
水道事業では高度経済成長期に布設された管路の老朽化等、施設の経年劣化が全国的に問題視されております。全国の水道の資産規模は40兆円を超え、これらの水道施設を更新していくには多大な費用と時間を要するとされています。更に人口減少に伴う給水量減少のような外部環境の変化により、現状の料金体系にあっては、必要な収入を確保することが困難な状況となってくるとされています(注2)。加えて地方公共団体職員の高齢化や担い手不足も深刻化しており、技術の承継にも支障が生じてきております(注3)。
このような課題は水道事業以外の水インフラ事業においても同様であると考えられ、下記に水インフラ事業についてのこれまでの状況と、今後にかけての想定に関する当社グループが認識している状況を図示いたします。
これまで当社グループは計画、設計等を主な業務領域としてまいりましたが、水インフラを取り巻く課題が山積している中で、今後は「官」、「民」そして「地域」のそれぞれに対して積極的にソリューションを提供するとともに事業そのものとの関わりを深め、総合的あるいは俯瞰的な視点で事業を支えていくことで、当社グループが目指している「水に関する社会問題の解決を通じて経済的成長を実現する」というサステナビリティ経営を実行してまいります。
(注1)出典:内閣官房水循環政策本部事務局 新たな水循環施策の方向性について(2024年4月2日)
(注2)出典:厚生労働省健康局 新水道ビジョン(2013年3月)
(注3)出典:国土交通省 令和6年度 全国水道主管課長会議(2024年4月22日)

(注)1.コンストラクションマネジメント(CM)とは、発注者がコンストラクションマネージャー(CMR)を設置して、工事発注を補う手法のことです。
このうちピュア型CMとは、CMRが設計・発注・施工の各段階において、マネジメント業務を行う方式であり、最終的な判断は発注者が負います。一方でアットリスク型CMではCMRはマネジメント業務のみならず施工に関する事業者との契約を担い、施工に関するリスクを負います。事業に関する最終的な判断や決定についての責任は発注者が負います。
2.ウォーターPPPとは、上水道、工業用水道、下水道について、内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」期間の10年間において、コンセッションに段階的に移行するための官民連携方式(管理・更新一体マネジメント方式)のことです。なお、ウォーターPPPは、2025年12月に「水の官民連携」へ呼称変更されております。
3.コンセッションとは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式です。公的主体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することができるとされています。
この実現に向けて当社グループは、「第1 企業の概況 3事業の内容 (2)当社グループの強み(競争優位性)」に記載した強み(競争優位性)を発揮し、「第1 企業の概況 3事業の内容 (1)事業概要」に記載のような様々な社会課題へのソリューションを提供します。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く事業環境として、景気は企業収益の回復により雇用・所得環境が改善し、景気は緩やかな回復が期待され、一方で、為替変動や物価上昇等の影響、自然災害や水インフラの老朽化に起因する事故等、状況は急激に変化しております。経営環境の変化に応じた機動的な業務遂行が求められています。
また、持続的な企業価値向上のためには、コーポレート・ガバナンスの強化や働き方改革への対応、サステナビリティ経営の実践等、様々な対処すべき課題への対応が求められています。
なお、当社グループは、金融機関からの借入に依存せず、自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした財務基盤を維持しておりますが、今後は成長投資と財務基盤の維持のバランスに配慮することが優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。具体的には経営戦略に基づいた投資機会を見計らうとともに、安定的な配当を行ってまいります。
このような状況の中、2026年から2030年を対象とする「日水コングループビジョン2030(以下「ビジョン」という。)」を策定し、2030年に目指す姿として連結売上高300億円、連結営業利益30億円(営業利益率10%)、ROE10%、従業員(連結)900名を掲げ、目標達成を目指してまいります。ビジョンの重点施策は、次のとおりであります。
① 事業戦略
既存事業の磨き込みとして、上下水道・流域水インフラ領域における着実な継続成長を追求していきます。加えてPPP/PFI(官民連携)及びアグリ領域(農業水利分野)に注力することで成長領域への拡大を図ります。海外事業は、事業の収益基盤構築に向けて選択と集中による案件ポートフォリオの整理を進めていきます。
これらの事業戦略を加速させる機能として、社内外のデジタル化推進、研究開発・新規事業開発の体制強化に取り組みます。
② コーポレート戦略
当社事業を支えるグループ体制強化に向けて、2030年にかけて新たな地域会社・SPC(特別目的会社)の設立や、戦略的なM&Aを推進します。また、人材の量的確保と質的確保の解決のために、採用強化と流出抑止(リテンション強化)による量的確保を基盤とし、従業員の能力開発とその保有能力の発揮による組織的な質的向上を図ります。
なお、上記ビジョン達成に向けて、設計品質の底上げを重要な柱として位置付け、人材の計画的な確保に加え、ベテランから中堅・若手への体系的な技術伝承及び部門横断的な設計照査活動の強化に取り組みます。
(1)経営方針

当社グループは1959年の創立以来、上下水道を中心とした水のコンサルティング事業を展開してまいりました。
現在、新たに策定した2030年度を目標とする「日水コングループビジョン2030」を推進しており、「水のインパクトカンパニー」をパーパス(存在意義)とし、「水の統合インフラマネジメントの担い手」をミッションとしております。当社グループの「価値軸・企業制度・企業文化」を踏まえ、「実行能力」を生かして行動することにより、ミッションを達成し、「潤いのある持続可能な社会の実現」を目指します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営においては企業価値向上を最優先に考えており、その実現に向けて重視している経営指標は、売上高営業利益率及び自己資本利益率であります。効率的な経営を目指す観点から、売上高営業利益率は10%、自己資本利益率は10%の水準を目安としております。
(3)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の通商政策による影響がみられるものの、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、物価上昇の継続により個人消費に及ぼす影響が景気を下押しするリスクとなっています。
このような経営環境の中、当社グループが属する建設コンサルティング事業では、2024年1月の能登半島地震や2025年1月の埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、インフラの災害対策や老朽化対策が一層求められており、国土強靱化の必要性から公共事業関係費が安定的に推移しております。2025年6月には、2026年度以降に継続的・安定的な国土強靱化の取り組みを進めるための「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定され、事業環境は堅調に推移しております。
出典:厚生労働省「令和4年度全国水道関係担当者会議(令和5年3月14日)」より作成加えて、地方公共団体の職員数も減少しており、担い手不足であるとともに、ノウハウの伝承も困難となっているものと考えております。
出典:国土交通省「令和6年度全国水道主管課長会議(2024年4月22日)」より作成(4)経営戦略等
わが国を取り巻く水インフラ事業は、人口減少やインフラの老朽化が進む中で、災害に強く、上下水道の機能を確保するため、上下水道一体の取組が必要とされる等、多くの課題を抱えております(注1)。
水道事業では高度経済成長期に布設された管路の老朽化等、施設の経年劣化が全国的に問題視されております。全国の水道の資産規模は40兆円を超え、これらの水道施設を更新していくには多大な費用と時間を要するとされています。更に人口減少に伴う給水量減少のような外部環境の変化により、現状の料金体系にあっては、必要な収入を確保することが困難な状況となってくるとされています(注2)。加えて地方公共団体職員の高齢化や担い手不足も深刻化しており、技術の承継にも支障が生じてきております(注3)。
このような課題は水道事業以外の水インフラ事業においても同様であると考えられ、下記に水インフラ事業についてのこれまでの状況と、今後にかけての想定に関する当社グループが認識している状況を図示いたします。
これまで当社グループは計画、設計等を主な業務領域としてまいりましたが、水インフラを取り巻く課題が山積している中で、今後は「官」、「民」そして「地域」のそれぞれに対して積極的にソリューションを提供するとともに事業そのものとの関わりを深め、総合的あるいは俯瞰的な視点で事業を支えていくことで、当社グループが目指している「水に関する社会問題の解決を通じて経済的成長を実現する」というサステナビリティ経営を実行してまいります。(注1)出典:内閣官房水循環政策本部事務局 新たな水循環施策の方向性について(2024年4月2日)
(注2)出典:厚生労働省健康局 新水道ビジョン(2013年3月)
(注3)出典:国土交通省 令和6年度 全国水道主管課長会議(2024年4月22日)

(注)1.コンストラクションマネジメント(CM)とは、発注者がコンストラクションマネージャー(CMR)を設置して、工事発注を補う手法のことです。
このうちピュア型CMとは、CMRが設計・発注・施工の各段階において、マネジメント業務を行う方式であり、最終的な判断は発注者が負います。一方でアットリスク型CMではCMRはマネジメント業務のみならず施工に関する事業者との契約を担い、施工に関するリスクを負います。事業に関する最終的な判断や決定についての責任は発注者が負います。
2.ウォーターPPPとは、上水道、工業用水道、下水道について、内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」期間の10年間において、コンセッションに段階的に移行するための官民連携方式(管理・更新一体マネジメント方式)のことです。なお、ウォーターPPPは、2025年12月に「水の官民連携」へ呼称変更されております。
3.コンセッションとは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式です。公的主体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することができるとされています。
この実現に向けて当社グループは、「第1 企業の概況 3事業の内容 (2)当社グループの強み(競争優位性)」に記載した強み(競争優位性)を発揮し、「第1 企業の概況 3事業の内容 (1)事業概要」に記載のような様々な社会課題へのソリューションを提供します。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く事業環境として、景気は企業収益の回復により雇用・所得環境が改善し、景気は緩やかな回復が期待され、一方で、為替変動や物価上昇等の影響、自然災害や水インフラの老朽化に起因する事故等、状況は急激に変化しております。経営環境の変化に応じた機動的な業務遂行が求められています。
また、持続的な企業価値向上のためには、コーポレート・ガバナンスの強化や働き方改革への対応、サステナビリティ経営の実践等、様々な対処すべき課題への対応が求められています。
なお、当社グループは、金融機関からの借入に依存せず、自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした財務基盤を維持しておりますが、今後は成長投資と財務基盤の維持のバランスに配慮することが優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。具体的には経営戦略に基づいた投資機会を見計らうとともに、安定的な配当を行ってまいります。
このような状況の中、2026年から2030年を対象とする「日水コングループビジョン2030(以下「ビジョン」という。)」を策定し、2030年に目指す姿として連結売上高300億円、連結営業利益30億円(営業利益率10%)、ROE10%、従業員(連結)900名を掲げ、目標達成を目指してまいります。ビジョンの重点施策は、次のとおりであります。
① 事業戦略
既存事業の磨き込みとして、上下水道・流域水インフラ領域における着実な継続成長を追求していきます。加えてPPP/PFI(官民連携)及びアグリ領域(農業水利分野)に注力することで成長領域への拡大を図ります。海外事業は、事業の収益基盤構築に向けて選択と集中による案件ポートフォリオの整理を進めていきます。
これらの事業戦略を加速させる機能として、社内外のデジタル化推進、研究開発・新規事業開発の体制強化に取り組みます。
② コーポレート戦略
当社事業を支えるグループ体制強化に向けて、2030年にかけて新たな地域会社・SPC(特別目的会社)の設立や、戦略的なM&Aを推進します。また、人材の量的確保と質的確保の解決のために、採用強化と流出抑止(リテンション強化)による量的確保を基盤とし、従業員の能力開発とその保有能力の発揮による組織的な質的向上を図ります。
なお、上記ビジョン達成に向けて、設計品質の底上げを重要な柱として位置付け、人材の計画的な確保に加え、ベテランから中堅・若手への体系的な技術伝承及び部門横断的な設計照査活動の強化に取り組みます。