有価証券報告書-第25期(2025/03/01-2026/02/28)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、フェアネスを追求する企業として、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを企業活動の根幹に据えています。これにより、商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝え、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。
この理念のもと、当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する独自の検索技術を基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、顧客の課題解決及び事業成長に貢献することを経営方針としております。
当社の強みは、独自の検索技術を中核としたデータ処理基盤と、旅行・観光業界における深い業務知見にあります。これらを組み合わせることで、在庫・料金・ビジネスルールといった複雑な条件を整合的に処理し、一貫した形で扱える状態を構築することで、商品登録から販売・予約に至る一連の業務の効率化と高度化を実現してまいりました。優秀な技術者の確保と育成を重視し、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、変化の激しい市場環境にも適応できる体制を構築しています。
また当社は、柔軟なカスタマイズと迅速なプロダクト提供を両立するハイブリッド型のビジネスモデルを採用し、顧客ごとの高度な要求に対応しながら、そのプロセスで得た知見を抽象化し、業界標準として必要とされる機能を共通機能としてプロダクトに取り入れることで、継続的な成長基盤を強化しています。近年においては、これらの技術資産を基盤とし、「webコネクト」及び「valueコネクト」といったプロダクトを展開することで、個別機能の提供にとどまらず、事業者間を横断した共通基盤としての機能を拡張しています。
当社は、これらの取り組みを通じて、旅行・観光業界におけるデータ流通を担うビジネスハブとしてのポジション確立を目指しております。すなわち、素材提供者(サプライヤー)と素材販売事業者(セラー)を共通の基盤上で接続し、データの標準化及び流通の高度化を通じて、業界全体の取引効率と付加価値の向上に寄与することを志向しております。
当社のビジョンは、あらゆる情報をなめらかにつなぎ、顧客や世界中のユーザーとの間に「フェア」で持続可能な関係を築くことです。このビジョンのもと、当社は旅行・観光業界におけるデータ流通基盤の構築を通じて、サプライヤーとセラーがシームレスに接続されるマーケットプレイスの実現を目指しており、その先においては、当該基盤を業界の枠を超えて発展させ、業界横断の取引インフラへと進化させていく構想を描いています。
現在はシステム提供を中心としたビジネスを展開しておりますが、中長期的には、当該基盤上で創出される取引に連動した収益モデルへと発展させることで、参加者の拡大が価値の向上と収益性の向上に結びつく構造の実現を目指してまいります。その実現に向けて、当社の強みであるデータ処理技術と業界知見を活かし、データ流通における摩擦を解消することで企業の成長を支援するとともに、ユーザーにとっても付加価値の高いサービスを提供してまいります。これにより、当社は市場における競争力を維持し、持続的な成長を目指します。
(2) 経営環境
当社は、独自のデータ処理技術を基盤として、特に旅行・観光業界を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援しております。旅行・観光業界においては、商品造成、在庫・料金管理、検索、予約、販売チャネル連携など、事業運営に必要な情報が多岐にわたり、かつそれぞれが複雑に連関しています。このため、個別機能のデジタル化にとどまらず、複数の事業者・販売チャネル・業務プロセスをまたいで情報を正確かつ円滑に流通させるためのシステム基盤の重要性が高まっています。
当社の検索技術基盤「Spook」は、膨大かつ複雑なデータを高速・効率的に処理する能力に強みを有しており、旅行・観光業界における多様な検索条件、在庫や料金のリアルタイム変動等を前提とした高度なデータ処理に対応してまいりました。こうした技術優位性を背景に、当社は検索機能の提供にとどまらず、業界固有の業務要件に対応したシステム基盤の構築・提供を進めております。
旅行市場の動向を見ると、国内旅行市場は引き続き高い水準で推移しています。観光庁の「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値 確報(2026年4月30日発表)」によると、2025年の日本人国内旅行消費額は26兆7,845億円となり、前年を上回る水準となりました。加えて、訪日外国人旅行者数についても、日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計(2026年1月21日発表)」によれば、2025年は4,268万人と過去最高を更新しており、旅行・観光関連市場全体として需要の拡大が継続しています。
一方で、こうした需要拡大の局面においては、旅行・観光業界における業務の複雑性や情報流通上の非効率性も、より顕在化しやすくなっています。商品や在庫・料金の管理対象が増加し、販売チャネルが多様化する中で、事業者には、正確かつタイムリーな情報連携、柔軟な商品造成、複数チャネルを前提とした販売管理、顧客接点の高度化などが求められています。加えて、観光庁は観光DXの推進に関し、宿泊・体験等の予約・決済のシームレス化、観光地経営へのデータ活用、事業者間・地域間のAPI連携やデータ仕様統一化の促進を掲げており、業界全体としてもデータ連携基盤の整備が重要なテーマとなっています。
このような環境のもと、旅行会社、宿泊事業者、交通事業者、観光事業者、自治体・DMO(Destination Management Organizationの略、観光・自然・食といった地域資源を活用して観光戦略を推進する団体)などの各プレイヤーにおいては、単独で完結するシステムではなく、複数の主体をまたいで情報を接続し、流通させるための基盤の需要が高まっております。当社が提供する「webコネクト」や「valueコネクト」は、こうした業界構造の変化を背景として、旅行・観光業界におけるデータ流通の受け皿としての役割を担うことを目指しています。
また、観光庁の「主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計(2025年6月6日発表)」によると、2024年度の国内旅行取扱額は前年度比でおおむね92%、外国人旅行は同105%、海外旅行は同121%と、需要の回復・変化が分野ごとに異なる形で進行しており、事業者には市場変化に即応できる柔軟なシステム対応力が求められています。こうした環境下では、標準化された機能だけでは対応しきれない一方、個別開発だけでは継続的な拡張性や効率性の確保に限界があるため、柔軟なカスタマイズ性とプロダクトとしての再利用性を両立する仕組みの重要性が高まっているものと認識しております。
当社は、このような経営環境を、単なる需要回復局面としてではなく、旅行・観光業界における情報流通のあり方そのものが見直される転換局面であると捉えております。今後も、独自技術と業界知見を活かし、個別顧客の課題解決にとどまらず、業界全体の効率化・高度化に資する基盤の提供を通じて、持続的な成長機会を取り込んでまいります。
(3) 経営戦略
当社の経営戦略は、独自のデータ処理技術を中核とし、旅行・観光業界における複雑な情報流通を支えるシステム基盤を提供することで、業界全体の効率化と価値創出に貢献するとともに、当社自身の持続的な成長を実現することにあります。また、サプライヤーとセラーの間に位置し、ビジネスに必要なデータを包括的に取り扱うマーケットプレイスのシステム基盤を提供する「データ流通のビジネスハブ」として業界横断の取引インフラへと進化させていく構想を描いています。
旅行・観光業界においては、商品造成、在庫・料金管理、販売チャネル連携などが高度化・複雑化する中で、個別最適化されたシステムの積み上げでは対応が困難となりつつあり、複数の事業者・機能を横断したデータ連携基盤の重要性が高まっています。当社は、このような環境変化を踏まえ、「個別顧客への価値提供」と「業界全体への基盤提供」を両立する戦略を推進しております。
当社の中長期成長シナリオは、従前から掲げてきた「既存顧客へのサービス拡充、新たな顧客層の獲得、マーケットプレイス構想の推進」という基本方針を維持しております。具体的には以下の3つの戦略に基づき、中長期の成長を段階的に実現してまいります。
①エンタープライズ領域における基幹システム対応の深化(既存顧客へのサービス拡充)
当社は、大手旅行会社を中心としたエンタープライズ顧客に対し、検索機能の提供にとどまらず、基幹システム全体の機能強化に対応したサービス提供を進めております。これまでに培ってきた検索技術及び業務知見を基に、「webコネクト」を中核としたプロダクト群を共通機能として効果的に活用しながら、顧客ごとの要望に対応した個別開発を組み合わせることで、様々な外部システムと連携し、複雑な商品構成や多様な販売チャネルに対応可能なシステム基盤の構築を支援しています。
これにより、顧客企業における業務効率化及びサービス高度化を支援するとともに、長期的な契約関係に基づく安定的な収益基盤の構築と、さらなる技術資産の蓄積につながっています。今後も、基幹システム刷新ニーズへの対応を通じて、既存顧客との関係深化及び収益の安定化を図ってまいります。
②スタンダード・ベーシック領域におけるプロダクト展開の加速(新たな顧客層の獲得)
エンタープライズ顧客で培った知見・経験を基に、当社は中堅規模の旅行会社や新規参入事業者に対して、業界標準として必要な機能を具備したプロダクトの提供を進めています。
旅行・観光業界においては、インバウンド需要の回復や体験消費の拡大を背景に、宿泊施設、体験・アクティビティ事業者などのサプライヤーでは、自ら顧客接点を持ち、商品を直接販売するニーズが高まっています。従来、旅行商品の流通は、大手旅行会社やOTA(Online Travel Agentの略、ネット上で旅行商品販売を完結させる事業者)など販売力を有するプレイヤーが中心となって担ってきましたが、サプライヤー側においても、自社商品の提供価値をより高める旅行の企画、他の旅行商品との組み合わせ販売、顧客データの取得、高付加価値商品の訴求力向上といった観点から、自らの販売力を高めることの重要性が増しています。また、主に大規模な顧客基盤を持つ事業者において、自社サービスにおける顧客のLTV(ライフタイムバリュー)向上に向けた新たな付加価値として、旅行事業に進出する動きも出てきています。
一方で、旅行・観光商品のオンライン販売には、素材登録、在庫管理、料金設定、検索、予約、決済、外部接続など、多岐にわたる機能が必要となり、中堅・小規模・新規の事業者が個別にシステムを構築・運用することは容易ではありません。当社は、エンタープライズ領域における大手旅行会社向けの開発を通じて培った知見・経験を活かし、「webコネクト」や「valueコネクト」をはじめとする当社プロダクトを通じて、サプライヤーや新規事業者が必要な機能を必要な範囲で利用できる環境の整備を進めております。これにより、サプライヤーや新規事業者は大規模なシステム投資を行うことなく、様々な外部システムや自社の会員・ポイント・決済システムと接続した販売機能を構築し、自社商品の販売力を高めることが可能となります。
当社は、スタンダード・ベーシック領域におけるこうした新規顧客層への横展開を通じて、より多くのサプライヤーや新規事業者が利用可能な標準プロダクトを展開してまいります。これにより、個別開発に依存しない効率的なシステム導入を可能にするとともに、サプライヤーや新規事業者における販売・予約・在庫管理等の業務効率化を支援し、旅行・観光業界全体の生産性向上に貢献してまいります。
③データ流通基盤の構築と新収益モデルの確立(マーケットプレイス構想の推進)
当社は、中長期的な成長戦略の中核として、旅行・観光業界におけるデータ流通基盤の構築を位置づけ、流通総額に連動するテイクレート型収益モデルの確立を目指しています。これまで当社は、「webコネクト」を導入した各旅行会社を起点に、個別にサプライヤーとの接続を行う「1対n」のモデルを展開してきましたが、今後は、複数のセラー及びサプライヤーを横断的に接続する「n対n」の構造へと発展させていく方針です。
成長戦略①では、大手旅行会社向けの基幹システム対応を通じて、高度な販売・予約・在庫管理機能及び業界知見を蓄積してまいります。また、成長戦略②では、これらの知見を標準化されたプロダクトとして、宿泊施設、体験事業者、地域事業者等のサプライヤー及び新規事業者に展開し、商品情報、在庫、価格、予約等のデータを共通基盤上で管理・流通可能な状態へ整備してまいります。
成長戦略③では、こうして共通基盤上に蓄積されたサプライヤーの商品情報・在庫を、旅行会社、OTA等のセラーへ横断的に流通させることで、従来の個別接続型モデルから、複数のセラーとサプライヤーがつながる「n対n」のデータ流通モデルへと発展させてまいります。
この構造により、サプライヤーは自社商品の販売機会を拡大でき、セラーは多様な観光素材へ効率的にアクセスすることが可能となります。また、当社はその間に位置するデータ流通基盤として、商品情報、在庫、価格、予約、利用実績等の連携を担うことで、業界全体における取引の効率化及び流通量の拡大を支援します。当社がターゲットとする顧客層は、強い顧客基盤と高い集客力を持つ国内外の旅行関連事業者です。具体的には、公共交通(鉄道・バス)や地方自治体、DMOといった事業者が含まれます。これらの企業は、地域の交通網や観光資源を効率的に活用し、観光市場における競争力を高めることを目指しています。また、福利厚生サービスを提供する企業や共済組合、クレジットカード会社などの会員制サービス事業者も対象としており、これらの企業は既存の顧客基盤を活用して、旅行や観光サービスを提供するビジネスモデルを展開する可能性を持っています。さらに、訪日客を対象とする欧米やアジア等の海外旅行会社への展開も視野に入れております。
当社基盤上を流通する取扱高が拡大することで、従来の開発収益及び月額収益に加え、流通量に応じたテイクレート型収益の獲得が可能となります。これにより、当社の収益モデルは、システム提供を中心とするモデルから、業界全体の流通拡大と連動して成長するモデルへと進化していきます。
当社は、これら3つの戦略を相互に連動させることで、エンタープライズ領域での深い価値提供と、スタンダード・ベーシック領域での広い展開、さらに業界横断での基盤構築を段階的に実現していきます。この戦略により、顧客の成長を支援するとともに、当社自身の収益基盤の強化と持続的な成長を図り、旅行・観光業界における「データ流通のビジネスハブ」としてのポジション確立を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高及び売上高営業利益率を最も重要なものと位置付けております。これらに加え、当該目標の達成状況を多面的に把握するため、重要な指標(KPI)として、SaaS型サービスである「webコネクト顧客数」及び「エンジニア稼働一日当たり売上高」を管理しております。
「webコネクト顧客数」については、期中において、「各期に(初期開発又は月額)収益が計上された顧客数」から「各期に月額収益が計上された顧客数」へと定義を変更するとともに、月額収益の規模別に区分し、旅行・非旅行を含めた合算値として把握する方法へ見直しております。これにより、当該KPIは月額収益の拡大状況を示す指標としての性格を強めるとともに、将来的には当社の複数プロダクトにおける月額収益を横断的に捉える指標への発展も想定しております。
また、「エンジニア稼働一日当たり売上高」については、売上創出に直結する業務にエンジニアを適切に投入できているかを測る指標として位置づけ、継続的にモニタリングしております。今後に向けては、当社の技術基盤の高度化や技術資産の再利用を通じた生産性の向上を捉える指標への見直しも視野に入れております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述のとおり、当社では、素材提供者(サプライヤー)と素材販売事業者(セラー)の間に位置し、ビジネスに必要なデータを包括的に取り扱うマーケットプレイスのシステム基盤を提供する「データ流通のビジネスハブ」となることを経営戦略としております。かかる戦略の完遂に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
①顧客基盤の拡大と収益モデルの高度化
当社がデータ流通のビジネスハブとして持続的な成長を実現するためには、サプライヤー及びセラー双方の取り込みを進め、顧客基盤の拡大と取引の活性化を図るとともに、特定のエンタープライズ顧客への依存度の低減を進めていくことが重要な課題であると認識しております。
過年度においては、webコネクトを通じて利用可能な決済手段の拡充や電子クーポン機能の提供等により、提供側・販売側双方にとっての接続価値を高め、新規事業者の参入促進と既存事業者の取引活性化を進めてまいりました。
今後は、参加事業者数の拡大に加え、流通量の増加を伴うネットワーク効果の発現を重視するとともに、流通量の拡大が収益拡大に直結するテイクレート型のビジネスモデルの導入・高度化を進めることで、持続的な成長基盤の構築を図ってまいります。
②事業構造の変化に対応した収益管理の強化
当社が持続的な成長を実現するためには、事業構造の変化に対応した収益管理の高度化が重要な課題であると認識しております。
従来から進めてきたソリューション提供型のビジネスに加え、共同利用型のビジネスの拡大を進める中で、プロジェクト及びプロダクトごとの採算の可視化と管理精度の向上が求められております。また、プロダクト開発に係る先行投資については、適切な進捗管理及び回収計画の策定を行うことが重要となります。
今後導入を予定しているテイクレート型のビジネスモデルの拡大も見据え、収益構造の多様化に対応した管理体制を整備するとともに、収益性の向上と安定的な収益基盤の確立を図ってまいります。
③プロダクトの拡充及びプラットフォーム基盤の高度化
当社は、これまでの検索領域における技術的な強みを基盤としつつ、データ流通基盤としての機能をさらに高めるため、すでに展開を進めている新たな事業領域において、プロダクトの拡充及びプラットフォーム基盤の高度化を図ることが重要な課題であると認識しております。
過年度においては、これまでの検索技術を中核としつつ、予約・販売管理、電子クーポン、外部決済サービスとの連携等の周辺機能を拡充し、顧客の業務全体を支えるプロダクトの提供を進めてまいりました。これにより、当社サービスは単なる検索機能の提供にとどまらず、業務基盤としての役割を担う段階へと進展しております。
今後は、これらの機能を一体的なプロダクト提供ラインとして整理し、体系化を図るとともに、共通機能の整備やデータ構造の標準化を進めることで、再利用性の高いプロダクト基盤の構築を推進してまいります。
併せて、アーキテクチャの高度化を通じてサービス提供基盤の拡張性及び柔軟性を高め、業界全体の業務効率の向上と利用者の利便性向上を両立する統合型プラットフォームとしての価値を一層高めてまいります。
④安定的なサービス提供と開発生産性向上の両立
当社サービス提供先の拡大及び当社サービスを経由する商材の流通総量の増大にともない、システムの安定性・信頼性の確保と、効率的かつ持続的な開発・運用体制の構築が重要な課題であると認識しております。
特に、大型案件の増加やトラフィックの増大に対応する中で、システム負荷の増加を踏まえた処理能力の拡張及びパフォーマンスの維持・向上が求められており、安定的かつ拡張性の高いサービス提供を継続するための運用体制の高度化が必要となっております。
これまで、品質管理プロセスの整備・強化や監視体制の高度化を通じて、サービス品質の維持・向上を図るとともに、障害発生時の迅速な対応及び再発防止に取り組んでまいりました。今後は、情報セキュリティ対策の一層の強化に取り組み、外部からの不正アクセスや情報漏えい等のリスク低減に努めてまいります。
また、共通機能の活用や開発プロセスの標準化を通じて、再利用性の向上及び開発効率の改善を図るとともに、AI技術の活用等により開発スピードを飛躍的に高め、開発生産性の一層の向上を図ってまいります。
⑤開発リソースの最適化と人材の確保・育成
持続的な事業成長とプロダクトの高度化を実現するためには、専門性の高い人材の確保・育成に加え、開発リソースの最適な配置が重要な課題であると認識しております。
過年度においては、エンジニア及びプロジェクトマネジメント人材の採用を強化するとともに、社内制度の整備を通じて自律的な成長と健全な競争環境の醸成に取り組んでまいりました。
今後は、社員の採用・育成に加え、外部の開発パートナーとの連携を含めたリソースの最適化を進め、内製と外部リソースを組み合わせた柔軟かつ高効率な開発体制を構築することで、大規模案件及びプロダクト開発の双方に対応可能な体制の強化を図ってまいります。
⑥事業領域の拡大に向けたパートナーシップの強化
当社の事業領域の拡大及び新たな価値創出を実現するためには、外部企業との戦略的なパートナーシップの構築が重要な課題であると認識しております。
今後は、業務提携やアライアンスの推進に加え、必要に応じてM&A等も視野に入れながら、当社のプロダクト及びサービスの提供領域の拡張と競争力の強化を図ってまいります。これにより、顧客基盤の拡大及び新たな収益機会の創出を目指してまいります。
⑦内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
事業の成長にともない、経営の健全性及び透明性を確保するため、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化は重要な課題であると認識しております。
過年度においては、内部監査・経理部門への専門人材の配置を進めるとともに、監査役及び会計監査人との連携強化、社内規程の整備を推進してまいりました。加えて、顧客情報その他の重要情報を適切に管理するため、情報管理体制及び情報セキュリティに関する社内ルールの整備・運用にも取り組んでおります。
また、事業規模の拡大及び意思決定の高度化に対応するため、執行役員制度の導入及び組織体制の見直しを行い、執行機能と監督機能の役割分担の明確化を進めております。具体的には、従来の機能別組織から、事業推進(攻め)、経営戦略(中盤)、経営管理(守り)の各機能を明確に区分した体制へ移行することで、意思決定の迅速化と責任の所在の明確化を図っております。
今後も、内部統制の運用状況の継続的な検証及び改善を通じて、経営資源の適切な配分及びリスク管理の強化を推進し、上場企業として求められるガバナンス体制のさらなる高度化に取り組んでまいります。
(1) 経営方針
当社は、フェアネスを追求する企業として、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを企業活動の根幹に据えています。これにより、商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝え、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。
この理念のもと、当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開し、膨大・複雑なデータから必要な情報を的確に抽出する独自の検索技術を基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、顧客の課題解決及び事業成長に貢献することを経営方針としております。
当社の強みは、独自の検索技術を中核としたデータ処理基盤と、旅行・観光業界における深い業務知見にあります。これらを組み合わせることで、在庫・料金・ビジネスルールといった複雑な条件を整合的に処理し、一貫した形で扱える状態を構築することで、商品登録から販売・予約に至る一連の業務の効率化と高度化を実現してまいりました。優秀な技術者の確保と育成を重視し、スピードと品質を両立する開発スタイルを追求することで、変化の激しい市場環境にも適応できる体制を構築しています。
また当社は、柔軟なカスタマイズと迅速なプロダクト提供を両立するハイブリッド型のビジネスモデルを採用し、顧客ごとの高度な要求に対応しながら、そのプロセスで得た知見を抽象化し、業界標準として必要とされる機能を共通機能としてプロダクトに取り入れることで、継続的な成長基盤を強化しています。近年においては、これらの技術資産を基盤とし、「webコネクト」及び「valueコネクト」といったプロダクトを展開することで、個別機能の提供にとどまらず、事業者間を横断した共通基盤としての機能を拡張しています。
当社は、これらの取り組みを通じて、旅行・観光業界におけるデータ流通を担うビジネスハブとしてのポジション確立を目指しております。すなわち、素材提供者(サプライヤー)と素材販売事業者(セラー)を共通の基盤上で接続し、データの標準化及び流通の高度化を通じて、業界全体の取引効率と付加価値の向上に寄与することを志向しております。
当社のビジョンは、あらゆる情報をなめらかにつなぎ、顧客や世界中のユーザーとの間に「フェア」で持続可能な関係を築くことです。このビジョンのもと、当社は旅行・観光業界におけるデータ流通基盤の構築を通じて、サプライヤーとセラーがシームレスに接続されるマーケットプレイスの実現を目指しており、その先においては、当該基盤を業界の枠を超えて発展させ、業界横断の取引インフラへと進化させていく構想を描いています。
現在はシステム提供を中心としたビジネスを展開しておりますが、中長期的には、当該基盤上で創出される取引に連動した収益モデルへと発展させることで、参加者の拡大が価値の向上と収益性の向上に結びつく構造の実現を目指してまいります。その実現に向けて、当社の強みであるデータ処理技術と業界知見を活かし、データ流通における摩擦を解消することで企業の成長を支援するとともに、ユーザーにとっても付加価値の高いサービスを提供してまいります。これにより、当社は市場における競争力を維持し、持続的な成長を目指します。
(2) 経営環境
当社は、独自のデータ処理技術を基盤として、特に旅行・観光業界を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援しております。旅行・観光業界においては、商品造成、在庫・料金管理、検索、予約、販売チャネル連携など、事業運営に必要な情報が多岐にわたり、かつそれぞれが複雑に連関しています。このため、個別機能のデジタル化にとどまらず、複数の事業者・販売チャネル・業務プロセスをまたいで情報を正確かつ円滑に流通させるためのシステム基盤の重要性が高まっています。
当社の検索技術基盤「Spook」は、膨大かつ複雑なデータを高速・効率的に処理する能力に強みを有しており、旅行・観光業界における多様な検索条件、在庫や料金のリアルタイム変動等を前提とした高度なデータ処理に対応してまいりました。こうした技術優位性を背景に、当社は検索機能の提供にとどまらず、業界固有の業務要件に対応したシステム基盤の構築・提供を進めております。
旅行市場の動向を見ると、国内旅行市場は引き続き高い水準で推移しています。観光庁の「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値 確報(2026年4月30日発表)」によると、2025年の日本人国内旅行消費額は26兆7,845億円となり、前年を上回る水準となりました。加えて、訪日外国人旅行者数についても、日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計(2026年1月21日発表)」によれば、2025年は4,268万人と過去最高を更新しており、旅行・観光関連市場全体として需要の拡大が継続しています。
一方で、こうした需要拡大の局面においては、旅行・観光業界における業務の複雑性や情報流通上の非効率性も、より顕在化しやすくなっています。商品や在庫・料金の管理対象が増加し、販売チャネルが多様化する中で、事業者には、正確かつタイムリーな情報連携、柔軟な商品造成、複数チャネルを前提とした販売管理、顧客接点の高度化などが求められています。加えて、観光庁は観光DXの推進に関し、宿泊・体験等の予約・決済のシームレス化、観光地経営へのデータ活用、事業者間・地域間のAPI連携やデータ仕様統一化の促進を掲げており、業界全体としてもデータ連携基盤の整備が重要なテーマとなっています。
このような環境のもと、旅行会社、宿泊事業者、交通事業者、観光事業者、自治体・DMO(Destination Management Organizationの略、観光・自然・食といった地域資源を活用して観光戦略を推進する団体)などの各プレイヤーにおいては、単独で完結するシステムではなく、複数の主体をまたいで情報を接続し、流通させるための基盤の需要が高まっております。当社が提供する「webコネクト」や「valueコネクト」は、こうした業界構造の変化を背景として、旅行・観光業界におけるデータ流通の受け皿としての役割を担うことを目指しています。
また、観光庁の「主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計(2025年6月6日発表)」によると、2024年度の国内旅行取扱額は前年度比でおおむね92%、外国人旅行は同105%、海外旅行は同121%と、需要の回復・変化が分野ごとに異なる形で進行しており、事業者には市場変化に即応できる柔軟なシステム対応力が求められています。こうした環境下では、標準化された機能だけでは対応しきれない一方、個別開発だけでは継続的な拡張性や効率性の確保に限界があるため、柔軟なカスタマイズ性とプロダクトとしての再利用性を両立する仕組みの重要性が高まっているものと認識しております。
当社は、このような経営環境を、単なる需要回復局面としてではなく、旅行・観光業界における情報流通のあり方そのものが見直される転換局面であると捉えております。今後も、独自技術と業界知見を活かし、個別顧客の課題解決にとどまらず、業界全体の効率化・高度化に資する基盤の提供を通じて、持続的な成長機会を取り込んでまいります。
(3) 経営戦略
当社の経営戦略は、独自のデータ処理技術を中核とし、旅行・観光業界における複雑な情報流通を支えるシステム基盤を提供することで、業界全体の効率化と価値創出に貢献するとともに、当社自身の持続的な成長を実現することにあります。また、サプライヤーとセラーの間に位置し、ビジネスに必要なデータを包括的に取り扱うマーケットプレイスのシステム基盤を提供する「データ流通のビジネスハブ」として業界横断の取引インフラへと進化させていく構想を描いています。
旅行・観光業界においては、商品造成、在庫・料金管理、販売チャネル連携などが高度化・複雑化する中で、個別最適化されたシステムの積み上げでは対応が困難となりつつあり、複数の事業者・機能を横断したデータ連携基盤の重要性が高まっています。当社は、このような環境変化を踏まえ、「個別顧客への価値提供」と「業界全体への基盤提供」を両立する戦略を推進しております。
当社の中長期成長シナリオは、従前から掲げてきた「既存顧客へのサービス拡充、新たな顧客層の獲得、マーケットプレイス構想の推進」という基本方針を維持しております。具体的には以下の3つの戦略に基づき、中長期の成長を段階的に実現してまいります。
①エンタープライズ領域における基幹システム対応の深化(既存顧客へのサービス拡充)
当社は、大手旅行会社を中心としたエンタープライズ顧客に対し、検索機能の提供にとどまらず、基幹システム全体の機能強化に対応したサービス提供を進めております。これまでに培ってきた検索技術及び業務知見を基に、「webコネクト」を中核としたプロダクト群を共通機能として効果的に活用しながら、顧客ごとの要望に対応した個別開発を組み合わせることで、様々な外部システムと連携し、複雑な商品構成や多様な販売チャネルに対応可能なシステム基盤の構築を支援しています。
これにより、顧客企業における業務効率化及びサービス高度化を支援するとともに、長期的な契約関係に基づく安定的な収益基盤の構築と、さらなる技術資産の蓄積につながっています。今後も、基幹システム刷新ニーズへの対応を通じて、既存顧客との関係深化及び収益の安定化を図ってまいります。
②スタンダード・ベーシック領域におけるプロダクト展開の加速(新たな顧客層の獲得)
エンタープライズ顧客で培った知見・経験を基に、当社は中堅規模の旅行会社や新規参入事業者に対して、業界標準として必要な機能を具備したプロダクトの提供を進めています。
旅行・観光業界においては、インバウンド需要の回復や体験消費の拡大を背景に、宿泊施設、体験・アクティビティ事業者などのサプライヤーでは、自ら顧客接点を持ち、商品を直接販売するニーズが高まっています。従来、旅行商品の流通は、大手旅行会社やOTA(Online Travel Agentの略、ネット上で旅行商品販売を完結させる事業者)など販売力を有するプレイヤーが中心となって担ってきましたが、サプライヤー側においても、自社商品の提供価値をより高める旅行の企画、他の旅行商品との組み合わせ販売、顧客データの取得、高付加価値商品の訴求力向上といった観点から、自らの販売力を高めることの重要性が増しています。また、主に大規模な顧客基盤を持つ事業者において、自社サービスにおける顧客のLTV(ライフタイムバリュー)向上に向けた新たな付加価値として、旅行事業に進出する動きも出てきています。
一方で、旅行・観光商品のオンライン販売には、素材登録、在庫管理、料金設定、検索、予約、決済、外部接続など、多岐にわたる機能が必要となり、中堅・小規模・新規の事業者が個別にシステムを構築・運用することは容易ではありません。当社は、エンタープライズ領域における大手旅行会社向けの開発を通じて培った知見・経験を活かし、「webコネクト」や「valueコネクト」をはじめとする当社プロダクトを通じて、サプライヤーや新規事業者が必要な機能を必要な範囲で利用できる環境の整備を進めております。これにより、サプライヤーや新規事業者は大規模なシステム投資を行うことなく、様々な外部システムや自社の会員・ポイント・決済システムと接続した販売機能を構築し、自社商品の販売力を高めることが可能となります。
当社は、スタンダード・ベーシック領域におけるこうした新規顧客層への横展開を通じて、より多くのサプライヤーや新規事業者が利用可能な標準プロダクトを展開してまいります。これにより、個別開発に依存しない効率的なシステム導入を可能にするとともに、サプライヤーや新規事業者における販売・予約・在庫管理等の業務効率化を支援し、旅行・観光業界全体の生産性向上に貢献してまいります。
③データ流通基盤の構築と新収益モデルの確立(マーケットプレイス構想の推進)
当社は、中長期的な成長戦略の中核として、旅行・観光業界におけるデータ流通基盤の構築を位置づけ、流通総額に連動するテイクレート型収益モデルの確立を目指しています。これまで当社は、「webコネクト」を導入した各旅行会社を起点に、個別にサプライヤーとの接続を行う「1対n」のモデルを展開してきましたが、今後は、複数のセラー及びサプライヤーを横断的に接続する「n対n」の構造へと発展させていく方針です。
成長戦略①では、大手旅行会社向けの基幹システム対応を通じて、高度な販売・予約・在庫管理機能及び業界知見を蓄積してまいります。また、成長戦略②では、これらの知見を標準化されたプロダクトとして、宿泊施設、体験事業者、地域事業者等のサプライヤー及び新規事業者に展開し、商品情報、在庫、価格、予約等のデータを共通基盤上で管理・流通可能な状態へ整備してまいります。
成長戦略③では、こうして共通基盤上に蓄積されたサプライヤーの商品情報・在庫を、旅行会社、OTA等のセラーへ横断的に流通させることで、従来の個別接続型モデルから、複数のセラーとサプライヤーがつながる「n対n」のデータ流通モデルへと発展させてまいります。
この構造により、サプライヤーは自社商品の販売機会を拡大でき、セラーは多様な観光素材へ効率的にアクセスすることが可能となります。また、当社はその間に位置するデータ流通基盤として、商品情報、在庫、価格、予約、利用実績等の連携を担うことで、業界全体における取引の効率化及び流通量の拡大を支援します。当社がターゲットとする顧客層は、強い顧客基盤と高い集客力を持つ国内外の旅行関連事業者です。具体的には、公共交通(鉄道・バス)や地方自治体、DMOといった事業者が含まれます。これらの企業は、地域の交通網や観光資源を効率的に活用し、観光市場における競争力を高めることを目指しています。また、福利厚生サービスを提供する企業や共済組合、クレジットカード会社などの会員制サービス事業者も対象としており、これらの企業は既存の顧客基盤を活用して、旅行や観光サービスを提供するビジネスモデルを展開する可能性を持っています。さらに、訪日客を対象とする欧米やアジア等の海外旅行会社への展開も視野に入れております。
当社基盤上を流通する取扱高が拡大することで、従来の開発収益及び月額収益に加え、流通量に応じたテイクレート型収益の獲得が可能となります。これにより、当社の収益モデルは、システム提供を中心とするモデルから、業界全体の流通拡大と連動して成長するモデルへと進化していきます。
当社は、これら3つの戦略を相互に連動させることで、エンタープライズ領域での深い価値提供と、スタンダード・ベーシック領域での広い展開、さらに業界横断での基盤構築を段階的に実現していきます。この戦略により、顧客の成長を支援するとともに、当社自身の収益基盤の強化と持続的な成長を図り、旅行・観光業界における「データ流通のビジネスハブ」としてのポジション確立を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高及び売上高営業利益率を最も重要なものと位置付けております。これらに加え、当該目標の達成状況を多面的に把握するため、重要な指標(KPI)として、SaaS型サービスである「webコネクト顧客数」及び「エンジニア稼働一日当たり売上高」を管理しております。
「webコネクト顧客数」については、期中において、「各期に(初期開発又は月額)収益が計上された顧客数」から「各期に月額収益が計上された顧客数」へと定義を変更するとともに、月額収益の規模別に区分し、旅行・非旅行を含めた合算値として把握する方法へ見直しております。これにより、当該KPIは月額収益の拡大状況を示す指標としての性格を強めるとともに、将来的には当社の複数プロダクトにおける月額収益を横断的に捉える指標への発展も想定しております。
また、「エンジニア稼働一日当たり売上高」については、売上創出に直結する業務にエンジニアを適切に投入できているかを測る指標として位置づけ、継続的にモニタリングしております。今後に向けては、当社の技術基盤の高度化や技術資産の再利用を通じた生産性の向上を捉える指標への見直しも視野に入れております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述のとおり、当社では、素材提供者(サプライヤー)と素材販売事業者(セラー)の間に位置し、ビジネスに必要なデータを包括的に取り扱うマーケットプレイスのシステム基盤を提供する「データ流通のビジネスハブ」となることを経営戦略としております。かかる戦略の完遂に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
①顧客基盤の拡大と収益モデルの高度化
当社がデータ流通のビジネスハブとして持続的な成長を実現するためには、サプライヤー及びセラー双方の取り込みを進め、顧客基盤の拡大と取引の活性化を図るとともに、特定のエンタープライズ顧客への依存度の低減を進めていくことが重要な課題であると認識しております。
過年度においては、webコネクトを通じて利用可能な決済手段の拡充や電子クーポン機能の提供等により、提供側・販売側双方にとっての接続価値を高め、新規事業者の参入促進と既存事業者の取引活性化を進めてまいりました。
今後は、参加事業者数の拡大に加え、流通量の増加を伴うネットワーク効果の発現を重視するとともに、流通量の拡大が収益拡大に直結するテイクレート型のビジネスモデルの導入・高度化を進めることで、持続的な成長基盤の構築を図ってまいります。
②事業構造の変化に対応した収益管理の強化
当社が持続的な成長を実現するためには、事業構造の変化に対応した収益管理の高度化が重要な課題であると認識しております。
従来から進めてきたソリューション提供型のビジネスに加え、共同利用型のビジネスの拡大を進める中で、プロジェクト及びプロダクトごとの採算の可視化と管理精度の向上が求められております。また、プロダクト開発に係る先行投資については、適切な進捗管理及び回収計画の策定を行うことが重要となります。
今後導入を予定しているテイクレート型のビジネスモデルの拡大も見据え、収益構造の多様化に対応した管理体制を整備するとともに、収益性の向上と安定的な収益基盤の確立を図ってまいります。
③プロダクトの拡充及びプラットフォーム基盤の高度化
当社は、これまでの検索領域における技術的な強みを基盤としつつ、データ流通基盤としての機能をさらに高めるため、すでに展開を進めている新たな事業領域において、プロダクトの拡充及びプラットフォーム基盤の高度化を図ることが重要な課題であると認識しております。
過年度においては、これまでの検索技術を中核としつつ、予約・販売管理、電子クーポン、外部決済サービスとの連携等の周辺機能を拡充し、顧客の業務全体を支えるプロダクトの提供を進めてまいりました。これにより、当社サービスは単なる検索機能の提供にとどまらず、業務基盤としての役割を担う段階へと進展しております。
今後は、これらの機能を一体的なプロダクト提供ラインとして整理し、体系化を図るとともに、共通機能の整備やデータ構造の標準化を進めることで、再利用性の高いプロダクト基盤の構築を推進してまいります。
併せて、アーキテクチャの高度化を通じてサービス提供基盤の拡張性及び柔軟性を高め、業界全体の業務効率の向上と利用者の利便性向上を両立する統合型プラットフォームとしての価値を一層高めてまいります。
④安定的なサービス提供と開発生産性向上の両立
当社サービス提供先の拡大及び当社サービスを経由する商材の流通総量の増大にともない、システムの安定性・信頼性の確保と、効率的かつ持続的な開発・運用体制の構築が重要な課題であると認識しております。
特に、大型案件の増加やトラフィックの増大に対応する中で、システム負荷の増加を踏まえた処理能力の拡張及びパフォーマンスの維持・向上が求められており、安定的かつ拡張性の高いサービス提供を継続するための運用体制の高度化が必要となっております。
これまで、品質管理プロセスの整備・強化や監視体制の高度化を通じて、サービス品質の維持・向上を図るとともに、障害発生時の迅速な対応及び再発防止に取り組んでまいりました。今後は、情報セキュリティ対策の一層の強化に取り組み、外部からの不正アクセスや情報漏えい等のリスク低減に努めてまいります。
また、共通機能の活用や開発プロセスの標準化を通じて、再利用性の向上及び開発効率の改善を図るとともに、AI技術の活用等により開発スピードを飛躍的に高め、開発生産性の一層の向上を図ってまいります。
⑤開発リソースの最適化と人材の確保・育成
持続的な事業成長とプロダクトの高度化を実現するためには、専門性の高い人材の確保・育成に加え、開発リソースの最適な配置が重要な課題であると認識しております。
過年度においては、エンジニア及びプロジェクトマネジメント人材の採用を強化するとともに、社内制度の整備を通じて自律的な成長と健全な競争環境の醸成に取り組んでまいりました。
今後は、社員の採用・育成に加え、外部の開発パートナーとの連携を含めたリソースの最適化を進め、内製と外部リソースを組み合わせた柔軟かつ高効率な開発体制を構築することで、大規模案件及びプロダクト開発の双方に対応可能な体制の強化を図ってまいります。
⑥事業領域の拡大に向けたパートナーシップの強化
当社の事業領域の拡大及び新たな価値創出を実現するためには、外部企業との戦略的なパートナーシップの構築が重要な課題であると認識しております。
今後は、業務提携やアライアンスの推進に加え、必要に応じてM&A等も視野に入れながら、当社のプロダクト及びサービスの提供領域の拡張と競争力の強化を図ってまいります。これにより、顧客基盤の拡大及び新たな収益機会の創出を目指してまいります。
⑦内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
事業の成長にともない、経営の健全性及び透明性を確保するため、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化は重要な課題であると認識しております。
過年度においては、内部監査・経理部門への専門人材の配置を進めるとともに、監査役及び会計監査人との連携強化、社内規程の整備を推進してまいりました。加えて、顧客情報その他の重要情報を適切に管理するため、情報管理体制及び情報セキュリティに関する社内ルールの整備・運用にも取り組んでおります。
また、事業規模の拡大及び意思決定の高度化に対応するため、執行役員制度の導入及び組織体制の見直しを行い、執行機能と監督機能の役割分担の明確化を進めております。具体的には、従来の機能別組織から、事業推進(攻め)、経営戦略(中盤)、経営管理(守り)の各機能を明確に区分した体制へ移行することで、意思決定の迅速化と責任の所在の明確化を図っております。
今後も、内部統制の運用状況の継続的な検証及び改善を通じて、経営資源の適切な配分及びリスク管理の強化を推進し、上場企業として求められるガバナンス体制のさらなる高度化に取り組んでまいります。