有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)当社の経営方針及び経営環境
脱炭素化に向けた取り組み強化は国際的な潮流であり、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)が2025年2月に公表した報告書(Electricity 2025)によると、世界全体の再エネ供給量が2025年には石炭火力発電を上回り、特に年間発電電力量が2024年に2,000TWhに達した太陽光発電は今後3年間で毎年約600TWhずつの増加が見込まれています。また、日本においても2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民を挙げて脱炭素化に向けた取り組みが進められており、国土交通省発行の国土交通白書2022によると脱炭素化の関連領域市場は成長しております。企業や自治体等が発電事業者から再エネを長期にわたり購入する契約は一般にコーポレートPPAと呼ばれますが、脱炭素化に向けた取り組みとしてコーポレートPPAの活用は国内外で主流になりつつあります。コーポレートPPAの中でも、都市部の地理的制約から屋根上にオンサイトソーラーを設置することの優位性が大きい日本において、施設屋根に設置するPPA型オンサイトソーラーの設置規模は今後も大きく伸び続けると考えております。この大きなトレンドの中、余剰電力も含めた活用や、蓄電池を含む各種ソリューションの統合的提供等の比較優位性をもとに、当社は大きく事業を伸ばしており、太陽光オンサイトPPAの領域において、大きなプレゼンスを有していると自負しております。
規制、企業・自治体のニーズ、技術的な挑戦・発展等、脱炭素をめぐる環境は日々目まぐるしく変化しますが、「変化より、はやく」をキーワードに、当社はイノベーションをいち早く具現化し、当社ビジョンである「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」に向けた社会のあゆみを後押しすべく、社会的インパクトのある事業発展を追求しております。
当社は事業遂行において、下記の3点を重視しております。
①.環境負荷を伴わない脱炭素化
FIT制度を活用したメガソーラー開発において、大規模な森林伐採や景観の破壊等、脱炭素の名のもとに環境負荷を伴う開発が行われている事例が散見されました。
一方で、当社のオンサイトソーラーは開発時の環境負荷を伴わないため、樹木の伐採を行うことなく、350MW以上もの太陽光発電設備の開発を成し遂げてきました。また大規模な土地造成が前提となるメガソーラー等の開発で適地が大幅に制約されるのとは対照的に、オンサイトソーラーは日本中の多くの屋根が設置対象となり得ます。
②.多数分散した再エネ電源を集約した価値創造
多数分散した中小型再エネ発電所を束ね、ひとつの発電所のように需要家に電力を融通する次世代電力ネットワークはVPP(Virtual Power Plant)と呼ばれます。VPPはGXの強力な推進手段であるのみならず、巨大発電所を中心とするシステムのデメリットである(ⅰ)発電所が被災した際に電力供給が機能不全に陥るリスク、(ⅱ)送電ロスの発生、(ⅲ)大規模送電網の整備が必要、等の解消にも資するものであります。
様々なメリットをもつ、この次世代電力供給スキームの活用加速が期待されますが、VPP実現には電力需給バランスの高度な最適化を含むテクノロジーが必要であり、これが技術的なハードルとなっておりました。当社はまさにこれを可能とする技術を有していることに加え、2026年3月末時点で設置した全国約1,400施設、約350MW超の大規模なオンサイトソーラー群と、これらを統合的に制御し、生まれる再エネを総計約1万拠点に及ぶ需要家層に繋いでいる実績を有しており、VPP構築を通じて、社会のGX推進に大きなブレークスルーを起こすケイパビリティを有していると自認しております。
③.再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上
地域・都市で生み出される再エネを、オンサイトソーラー設置施設で消費するだけでなく、その余剰電力を域内で融通し合って消費すること、いわば「再エネの地産地消」は、発電量をコントロールできない不安定な電源である再エネの余すことない効率的な活用を可能にします。更に、再エネの地産地消は再エネで地域・都市の電力自給率を高めることにも繋がり、電力調達それ自体、及び電力調達コストの安定性確保を通じ、地域・都市のサステナビリティ向上にも資すると考えております。余剰電力も含めた活用が大きな特徴のひとつである当社ソリューションの展開を通じて、地域・都市における再エネの地産地消、及び再エネ自給率の向上を追求してまいります。
なお、当社のサービス名等に使われている「R.E.A.L.」とはRenewable(再生可能エネルギー)、Economical(経済性)、Aggregate(集約)、Local(地域循環)の頭文字をとった造語であり、当社のビジョンを体現する下記の思いが込められています。
ⅰ.環境を破壊しない再エネ:メガソーラー等のように開発時の環境負荷を伴うものではなく、自然を破壊しない再エネの開発へコミット(Renewable)
ⅱ.経済的な価格:FIT制度を活用せずとも経済的に成立する事業モデルでありながら、リーズナブルな価格で再エネを供給(Economical)
ⅲ.分散したオンサイトソーラーの余剰電力を集約:多数分散したオンサイトソーラーをテクノロジーの力で繋ぎ、生み出される電力を集約。巨大発電所を中心とする電力システムよりも災害に強く無駄のない、オンサイトソーラー網が電力を融通し合う電力供給システムを構築(Aggregate)
ⅳ.地域での再生可能エネルギーの循環:オンサイトソーラーで作られた電力を、消費しきれなかった余剰分も地域で循環させ「地産地消」することで、余すことなくグリーンエネルギーの導入・活用を促進(Local)
(2)経営戦略
再エネを生み出し、蓄え、そして循環的に活用する、「R.E.A.L. New Energy Platform」によって統合される一連の当社サービスを通じて、「GXプラットフォーマー」として大きな社会的意義を伴う事業発展を追求するために、下記の戦略を遂行します。なお、下記戦略は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載している当社事業の特徴や各サービスの内容を前提としております。
① オンサイトソーラーの展開拡大を通じたGXソリューション事業の一層の強化
当社ではGXソリューション事業を成長ドライバーと位置づけ、リソースを重点的に配分しております。GXソリューション事業の一層の強化のため、引き続きオンサイトソーラーの導入拡大を追求してまいります。メガソーラーのように適地の制約がないオンサイトソーラーは商業施設等の屋根上の多く、更には、今後はカーポートも潜在的な設置場所になりうるため、大きな設置可能場所ポテンシャルがあります。
市場の高い成長性に加え、初期投資なく脱炭素化を推進可能であり、余剰電力も活用可能という当社が展開するオンサイトソーラーの顧客に対する強い訴求力も相まって、当社サービスは一層強力な展開が可能と考えております。
「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」で設置されたPPAを伴うオンサイトソーラーの累積容量について、100MWを超えた2022年12月に比し、2025年6月末にはその約3倍という高いペースで成長を続けております。また、当社サービスを統合制御するプラットフォームである「R.E.A.L. New Energy Platform」のデバイスは2026年3月末時点で約1,740拠点の施設に導入をいただいております。
今後も、オンサイトソーラーの展開拡大を通じ、GXソリューション事業の強力な成長を追求してまいります。
② パートナーと連携したGXソリューション事業成長の追求
株主や事業パートナー、自治体等と連携し、GXソリューション事業の展開を加速いたします。
筆頭株主であり事業上の重要なパートナーでもある伊藤忠商事株式会社とは、同社の全国取引先ネットワークを活用した営業及び太陽光パネル・蓄電池等の資材調達を含め、既に幅広いシナジーを発揮しており、今後も連携を継続する方針であります。
また、「アライアンスソリューション」においては、事業会社や金融機関、自治体等と連携し、当社のノウハウを活かした各地域でのオンサイトソーラーの導入拡大を追求しております。具体的な提携事例として、2023年2月以降、当社が公表している事案だけでもJA三井リース株式会社、農林中央金庫、株式会社栃木銀行、株式会社ちゅうぎんエナジー、鈴与商事株式会社、東急不動産株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社等と「アライアンスソリューション」を通じた連携を行っております。脱炭素化に向けた社会的責任を果たすためPPA型太陽光発電事業に参入を望む企業は少なからずあり、今後もこのような連携を強化する方針であります。
加えて、GX推進ニーズを抱えている自治体は全国に少なからずあります。「R.E.A.L. New Energy Platform」にて統合される当社の一連のサービスは、自治体のGX推進ニーズを正面から捉えるものであり、また当社としても、「R.E.A.L. New Energy Platform」をもってこのようなニーズに応えていくことは、当社が経営上重視する、再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上という考え方とも合致するものであります。当社としては積極的にこのような自治体と連携し、「R.E.A.L. New Energy Platform」のネットワークを拡大する機会を追求いたします。
③ ストック型とフロー型、バランスのとれた収益基盤を追求
オンサイトソーラー等の設置に係る初期投資が当社の資金で賄われ、設備の所有権が当社に帰属する「PPAサービス」は、当社の投資基準(投資効率や収益性)を満たした当該設備の生み出す約20年間(オンサイトソーラーの場合)にわたる長期安定的なキャッシュ・フローを当社が全て取り込み、予見性の高い収益を繰り返し獲得するストック型収益重視の事業スキームであります。また、エナジートレーディング事業を通じた電力供給も、特に低圧家庭セグメントにおいては、契約の切り替えが頻繁に生じないストック性の高い収益となっております。これに対しGXソリューション事業の「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」では、案件開発時に一括で開発報酬等を得るフロー型収益重視の事業モデルとなっております。
長期安定的な将来キャッシュ・フロー基盤を厚くするストック型のモデルと、資本効率高く利益とキャッシュ・フローを早期に獲得するフロー型のモデル、双方の適正なバランスがとれた収益基盤の更なる強化を追求いたします。これら両輪で発電設備の開発・販売や運営・保守を積み上げており、収益額及び収益性を拡大させています。
④ 当社が活用できる再エネ電力量の最大化を通じた、利益成長の追求
当社が供給できる再エネ電力量が増大することは、当社の一層の利益成長に繋がります。現時点では、「PPAサービス」で当社がPPAを締結しているオンサイトソーラー導入施設の電力需要のうち、一部しか再エネで満たせておりませんが、今後、当社が扱う再エネの総量が増大しこれら施設により多くの再エネを供給することができれば、現顧客基盤だけでも追加的な利益創出機会があると認識しております。この他、エナジートレーディング事業においても顧客により多くの環境にやさしいエネルギーを供給することが可能となり、当社の一層の事業成長への貢献が期待されます。
当社が活用できる再エネ電力量を増大させるために、オンサイトソーラーの導入数を増加させることで、当社が集約する余剰電力量を増大させることが可能となります。また、当社のオンサイトソーラー以外の多数分散した外部再エネ発電所をも当社の抱える需要家層と繋ぐ技術を有す当社は、これらの技術を活用し、当社の設置したオンサイトソーラーだけでなく外部発電所由来の再エネも当社の需要家基盤に繋ぎ、再エネを供給することができます。オンサイトPPAの当社既存顧客にはより多くの再エネを供給する余地があり、外部発電所からの再エネを繋ぎ、当社が取り扱う再エネ総量が増えることで、これら顧客へより多くの再エネを供給できます。
一般的に事業用太陽光の発電コスト(10.9円/kWh)に対して、その他再エネ電源である洋上風力(30.9円/kWh)やバイオマス(32.9円/kWh)※1は太陽光と比較すると高価ですが、外部の高単価再エネも当社のオンサイトソーラーと組み合わせることで加重平均し、顧客へ導入しやすい単価での再エネ導入を進めています。
既存顧客からの収益機会の増加に、この先の更なる顧客数の増加も掛け合わせ、更なる利益成長を追求いたします。
※1:経済産業省 第5回発電コスト検証ワーキンググループ 令和6年12月16日資料
⑤ 当社が提唱する事業構想、「GX City」の実現に向けた社会の後押し
自然を破壊せずに開発された地域の再エネ発電所で作られた電力を当該地域で消費する、再エネの地産地消を通じて、地域の再エネ自給率を高めながら脱炭素化を実現し、更にレジリエンス強化や経済活性化等も実現する理想的な地域・都市の在り方として「GX City」というコンセプトを当社は提唱しております。「GX City」は、環境への負荷をかけずに脱炭素化を推進するのみならず、地域・都市の再エネ自給率向上を通じて、震災の多い日本において様々なリスクを伴う巨大発電所への一極依存からの脱却にも資する等、社会的意義が大きいと当社では分析しております。
下記のような事業展開のステップにより、当社としては「GX City」の実現に向けた社会の発展に貢献できると考えております。
ステップ1:「PPAサービス」のみならず、当社の財務余力を制約としない展開が可能となる「アライアンスソリューション」や「インテグレーションサービス」も活用し、自然を破壊せず、余剰電力も活用可能な多数分散したオンサイトソーラーを大規模に展開
ステップ2:「R.E.A.L. New Energy Platform」でオンサイトソーラーとともに統合的にコントロールされる蓄電池、EV充電器等を導入することで、地域・都市において、より一層効率的かつ効果的な再エネ活用を促進
ステップ3:多数の需要家と分散した発電設備との需給バランスを最適化して「繋ぐ」という当社のテクノロジーを活用し、当社のオンサイトソーラーのみならず他社開発の再エネ発電所も需要家に繋ぎ、再エネが循環する地域・都市を実現
「GX City」はGXソリューション事業、エナジートレーディング事業双方のソリューションを動員し、いわば当社が有す全ての機能や技術の高度な融合として実現されるものです。GXソリューション事業、エナジートレーディング事業、各個の事業セグメント単位での成長を超えた、事業の発展を追求してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、以下の点を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として掲げております。
① オンサイトソーラー累計開発容量(MW)及び累計開発件数(件)
当社が資産として保有する「PPAサービス」にて稼働済みのオンサイトソーラー発電容量・開発件数、及び「アライアンスソリューション」等にて当社が開発し稼働させたオンサイトソーラーの発電容量・開発件数、更にはそれらの合計は、オンサイトソーラーのサービス展開状況を直接に表す重要KPIと位置付けております。
② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済容量(MW)及び契約済案件数(件)
開発容量が完工済みの発電容量を示すのに対し、着工を前提に契約がなされたその時々の完工前の契約容量(契約済容量)及び契約済案件数合計は開発容量の増大を測る先行指数として、重視しております。契約締結後に設置環境の要件不適合等の理由で開発が停止されるものも一定数あり、それを勘案しつつモニタリングしております。
③ GXソリューション事業のフロー収益
GXソリューション事業の成長状況をモニタリングするための重要KPIとして、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益をフロー収益として集計し、注視しております。なお、この指標にはO&M等の継続的な収益は含んでおりません。
④ 電力販売量(億kWh)
当社として志向するGXソリューション事業とエナジートレーディング事業のシナジー最大化に資する電力販売量の量的コントロールの前提として、注視しております。
⑤ 売上総利益
当社全体の売上総利益額の成長を、利益創出を伴う成長を測る重要指標として重視しております。当社はGXソリューション事業を成長ドライバーと位置付けており、2025年6月期においてはGXソリューション事業の構成比がエナジートレーディング事業を上回っており、2026年6月期以降も同傾向を見込んでおります。
⑥ EBITDA
当社は、「PPAサービス」におけるオンサイトソーラー等の設備並びに「R.E.A.L. New Energy Platform」に係るシステム強化や追加機能開発等、多額の設備投資を実施しております。この結果、減価償却費が多額に計上されていることから、よりキャッシュ・フローの創出実態に近い指標をモニタリングする観点で、EBITDAを経営指標として重視しております。
各指標の推移は以下のとおりであります。なお、以下表及び注記に記載の2022年6月期、2023年6月期及び2024年6月期の数値につきましては連結の数値を記載しており、2025年6月期の数値につきましては単体の数値を記載しております。
※1 当社が開発・稼働に関わったオンサイトソーラーの合計としての累計開発容量・件数であります。
※2 「アライアンスソリューション」は、2023年6月期より開始しております。
※3 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済案件数及び契約済容量は2024年6月期末より集計を開始しているため、2022年6月期及び2023年6月期の数字は記載しておりません。
※4 「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※5 エナジートレーディング事業における、各事業年度1年間の電力販売量。
※6 2022年6月期から2025年6月期のセグメント別売上高、セグメント別売上総利益、及び営業利益、経常利益、当期純利益は次のとおりであります。なお、セグメント別売上総利益及び2022年6月期、2023年6月期の数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
<セグメント別売上高>(単位:百万円)
※セグメント売上高の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る売上であります。
※GXソリューション事業の売上高の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
※アライアンスフロー売上高とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※インテグレーションフロー売上高とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※PPA及びその他売上高とは、GXソリューション事業売上高から、アライアンスフロー売上高及びインテグレーションフロー売上高を差し引いた額であります。
<セグメント別売上総利益>(単位:百万円)
※セグメント売上総利益の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る利益であります。
※GXソリューション事業の売上総利益の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
※アライアンスフロー売上総利益とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※インテグレーションフロー売上総利益とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※PPA及びその他売上総利益とは、GXソリューション事業売上総利益から、アライアンスフロー売上総利益及びインテグレーションフロー売上総利益を差し引いた額であります。
<営業利益、経常利益、当期純利益>(単位:百万円)
※2022年6月期、2023年6月期、2024年6月期の当期純利益欄に記載の数値につきましては、連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。
※7 EBITDAの計算方法は次のとおりであります。
EBITDA=営業利益+減価償却費(売上原価・販管費)+のれん償却費
なお、EBITDAにつきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2022年6月期から2025年6月期のセグメント別EBITDAは次のとおりであります。
(単位:百万円)
※セグメントEBITDAの調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る費用であります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として掲げております。
① 当社の財務キャパシティに捉われないオンサイトソーラーの展開強化
各種設備が当社に帰属する「PPAサービス」のスキームでは当社の初期投資負担が必要であるため、当社の財務キャパシティが事業拡大の制約となる可能性があることを課題として認識しております。
これに対して、当社では2023年6月期より、他社に設備が帰属する「インテグレーションサービス」を展開しております。本スキームでは設備導入施設のオーナー又はテナントを主とする第三者企業の初期投資負担によってオンサイトソーラーや蓄電池等の設備を設置するため、当社の財務キャパシティを制約とすることなく事業拡大が可能となります。
加えて、当社では同時期にオンサイトソーラーの「アライアンスソリューション」も開始し、事業会社や各地域の金融機関等のアライアンスパートナーとの連携を拡大しております。本スキームはアライアンスパートナーによって設備投資を行うソリューションであるため、同様に当社の財務キャパシティを制約とすることなくオンサイトソーラー設置拠点数の増大が可能です。外部環境としても、環境省が推進する脱炭素先行地域の事例に代表されるように自治体や地域金融機関がオンサイトソーラーのPPAによるGXを計画し始めていることに加え、GXへの取り組みに積極的な企業も増えている中で、GXソリューション事業の成長を追求している当社とそれら自治体や企業等が連携することは、相互にメリットが大きいと認識しております。
② 財務基盤の強化と資金調達手段の多角化
各種設備が当社に帰属する「PPAサービス」のスキームにおける初期投資負担に対して、当社ではその原資として多額の協調融資を受けてまいりました。今後も「PPAサービス」の展開を追求するにあたり銀行借入は適切な範囲で活用する方針であるため、借入余力の確保は重要な課題として認識しております。
コーポレート・ガバナンス体制やコンプライアンス体制をはじめとした経営基盤の強化と、そうした信用力も前提とした財務体質の強化により安定的な資金調達を目指してまいります。同時に、リースの活用や、プロジェクトのキャッシュ・フローを裏付けとしたプロジェクトファイナンスやプロジェクトボンド等、資金調達手段の一層の多角化も重要な課題として取り組んでまいります。
③ 開発キャパシティの向上
GXソリューション事業の成長を実現する上では、開発キャパシティの拡充は重要な課題であると認識しております。
これに対して、営業・発電所開発・システム開発等、スキルの異なる様々な人的リソースの拡充を図っており、当社の認知度向上や採用体制の充実を伴う採用強化に取り組んでおります。また、工事会社の工数確保に取り組むとともに、ノウハウの蓄積等による開発工数の削減やテクノロジーの活用等を通じた、生産性の向上を伴う開発キャパシティの拡充に取り組んでまいります。
④ GXソリューション事業の利益創出力強化
当社の利益創出力に関して、GXソリューション事業の寄与が大きいため、GXソリューション事業の安定的な拡大は重要な課題であると認識しております。
営業面では、新規顧客のみならず既存の顧客基盤を活かしたアップセルの追求によって利益創出力の強化に注力いたします。GXソリューション事業では蓄電池、EV充電器といった各種ソリューションを、オンサイトソーラーと統合的に制御される付加的なサービスとして提供しておりますが、これらはオンサイトソーラーのみを導入された既存顧客に対する追加サービスとして事後的に導入することも可能であることが営業上の利点であると認識しております。2026年3月末現在、オンサイトソーラーのみを導入頂いている施設数は約1,400施設あり、これら既存の顧客基盤へのアップセルの機会を積極的に追求してまいります。
また、各スキームにおいて、販売面では適正な価格戦略を追求するとともに、コスト面では「PPAサービス」、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」を並行して活用しながら事業拡大を行うことで、太陽光パネルや蓄電池等の資材の大量ロット発注によるコスト低減を図るべく、各取引先との連携を強めながら取り組んでまいります。
⑤ エナジートレーディング事業の収益安定化
資源価格の高騰や電力需給のひっ迫等を要因に、電力の市場価格(JEPX価格)はボラティリティが高まることがあり、エナジートレーディング事業における電力の最適な調達については重要な課題であると認識しております。
過去、当社では大部分の電源調達を電力会社との相対契約とすることでJEPX価格の上昇リスクをヘッジしていた経緯もありましたが、逆にJEPX価格が低下する局面においては相対的に割高な電力調達を行うこととなるため、想定以上の顧客の離脱等によってエナジートレーディング事業から獲得する売上総利益が減少する場合も想定されます。このため、現時点においては、一定量の電源についてはJEPXからの電力調達を行い、JEPX調達相当分を顧客への供給単価へ連動させる「調整項」を適用する対応を行っております。2023年1月に供給約款を変更しており、2023年4月から調整項を実導入いたしました。これにより、JEPX価格のボラティリティがエナジートレーディング事業の売上総利益に与える影響を抑制しております。
また、当社ではGXソリューション事業の拡大とともに電源調達に占める再エネ比率を高めていくことを目指しており、この方針を採ることで、JEPX価格が大幅に変動しうる環境下にあっても、電源調達費用の安定化に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は、急速な事業環境の変化に適応して今後も継続的に成長していくためには、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。
このため、事業規模の拡大・成長に合わせてコーポレート機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう必要な適材適所の人材配置等を進めることで、各機能の充実を図ってまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)当社の経営方針及び経営環境
脱炭素化に向けた取り組み強化は国際的な潮流であり、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)が2025年2月に公表した報告書(Electricity 2025)によると、世界全体の再エネ供給量が2025年には石炭火力発電を上回り、特に年間発電電力量が2024年に2,000TWhに達した太陽光発電は今後3年間で毎年約600TWhずつの増加が見込まれています。また、日本においても2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民を挙げて脱炭素化に向けた取り組みが進められており、国土交通省発行の国土交通白書2022によると脱炭素化の関連領域市場は成長しております。企業や自治体等が発電事業者から再エネを長期にわたり購入する契約は一般にコーポレートPPAと呼ばれますが、脱炭素化に向けた取り組みとしてコーポレートPPAの活用は国内外で主流になりつつあります。コーポレートPPAの中でも、都市部の地理的制約から屋根上にオンサイトソーラーを設置することの優位性が大きい日本において、施設屋根に設置するPPA型オンサイトソーラーの設置規模は今後も大きく伸び続けると考えております。この大きなトレンドの中、余剰電力も含めた活用や、蓄電池を含む各種ソリューションの統合的提供等の比較優位性をもとに、当社は大きく事業を伸ばしており、太陽光オンサイトPPAの領域において、大きなプレゼンスを有していると自負しております。
規制、企業・自治体のニーズ、技術的な挑戦・発展等、脱炭素をめぐる環境は日々目まぐるしく変化しますが、「変化より、はやく」をキーワードに、当社はイノベーションをいち早く具現化し、当社ビジョンである「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」に向けた社会のあゆみを後押しすべく、社会的インパクトのある事業発展を追求しております。
当社は事業遂行において、下記の3点を重視しております。
①.環境負荷を伴わない脱炭素化
FIT制度を活用したメガソーラー開発において、大規模な森林伐採や景観の破壊等、脱炭素の名のもとに環境負荷を伴う開発が行われている事例が散見されました。
一方で、当社のオンサイトソーラーは開発時の環境負荷を伴わないため、樹木の伐採を行うことなく、350MW以上もの太陽光発電設備の開発を成し遂げてきました。また大規模な土地造成が前提となるメガソーラー等の開発で適地が大幅に制約されるのとは対照的に、オンサイトソーラーは日本中の多くの屋根が設置対象となり得ます。
②.多数分散した再エネ電源を集約した価値創造
多数分散した中小型再エネ発電所を束ね、ひとつの発電所のように需要家に電力を融通する次世代電力ネットワークはVPP(Virtual Power Plant)と呼ばれます。VPPはGXの強力な推進手段であるのみならず、巨大発電所を中心とするシステムのデメリットである(ⅰ)発電所が被災した際に電力供給が機能不全に陥るリスク、(ⅱ)送電ロスの発生、(ⅲ)大規模送電網の整備が必要、等の解消にも資するものであります。
様々なメリットをもつ、この次世代電力供給スキームの活用加速が期待されますが、VPP実現には電力需給バランスの高度な最適化を含むテクノロジーが必要であり、これが技術的なハードルとなっておりました。当社はまさにこれを可能とする技術を有していることに加え、2026年3月末時点で設置した全国約1,400施設、約350MW超の大規模なオンサイトソーラー群と、これらを統合的に制御し、生まれる再エネを総計約1万拠点に及ぶ需要家層に繋いでいる実績を有しており、VPP構築を通じて、社会のGX推進に大きなブレークスルーを起こすケイパビリティを有していると自認しております。
③.再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上
地域・都市で生み出される再エネを、オンサイトソーラー設置施設で消費するだけでなく、その余剰電力を域内で融通し合って消費すること、いわば「再エネの地産地消」は、発電量をコントロールできない不安定な電源である再エネの余すことない効率的な活用を可能にします。更に、再エネの地産地消は再エネで地域・都市の電力自給率を高めることにも繋がり、電力調達それ自体、及び電力調達コストの安定性確保を通じ、地域・都市のサステナビリティ向上にも資すると考えております。余剰電力も含めた活用が大きな特徴のひとつである当社ソリューションの展開を通じて、地域・都市における再エネの地産地消、及び再エネ自給率の向上を追求してまいります。
なお、当社のサービス名等に使われている「R.E.A.L.」とはRenewable(再生可能エネルギー)、Economical(経済性)、Aggregate(集約)、Local(地域循環)の頭文字をとった造語であり、当社のビジョンを体現する下記の思いが込められています。
ⅰ.環境を破壊しない再エネ:メガソーラー等のように開発時の環境負荷を伴うものではなく、自然を破壊しない再エネの開発へコミット(Renewable)
ⅱ.経済的な価格:FIT制度を活用せずとも経済的に成立する事業モデルでありながら、リーズナブルな価格で再エネを供給(Economical)
ⅲ.分散したオンサイトソーラーの余剰電力を集約:多数分散したオンサイトソーラーをテクノロジーの力で繋ぎ、生み出される電力を集約。巨大発電所を中心とする電力システムよりも災害に強く無駄のない、オンサイトソーラー網が電力を融通し合う電力供給システムを構築(Aggregate)
ⅳ.地域での再生可能エネルギーの循環:オンサイトソーラーで作られた電力を、消費しきれなかった余剰分も地域で循環させ「地産地消」することで、余すことなくグリーンエネルギーの導入・活用を促進(Local)
(2)経営戦略
再エネを生み出し、蓄え、そして循環的に活用する、「R.E.A.L. New Energy Platform」によって統合される一連の当社サービスを通じて、「GXプラットフォーマー」として大きな社会的意義を伴う事業発展を追求するために、下記の戦略を遂行します。なお、下記戦略は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載している当社事業の特徴や各サービスの内容を前提としております。
① オンサイトソーラーの展開拡大を通じたGXソリューション事業の一層の強化
当社ではGXソリューション事業を成長ドライバーと位置づけ、リソースを重点的に配分しております。GXソリューション事業の一層の強化のため、引き続きオンサイトソーラーの導入拡大を追求してまいります。メガソーラーのように適地の制約がないオンサイトソーラーは商業施設等の屋根上の多く、更には、今後はカーポートも潜在的な設置場所になりうるため、大きな設置可能場所ポテンシャルがあります。
市場の高い成長性に加え、初期投資なく脱炭素化を推進可能であり、余剰電力も活用可能という当社が展開するオンサイトソーラーの顧客に対する強い訴求力も相まって、当社サービスは一層強力な展開が可能と考えております。
「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」で設置されたPPAを伴うオンサイトソーラーの累積容量について、100MWを超えた2022年12月に比し、2025年6月末にはその約3倍という高いペースで成長を続けております。また、当社サービスを統合制御するプラットフォームである「R.E.A.L. New Energy Platform」のデバイスは2026年3月末時点で約1,740拠点の施設に導入をいただいております。
今後も、オンサイトソーラーの展開拡大を通じ、GXソリューション事業の強力な成長を追求してまいります。
2026年3月末時点 点が発電所の所在地を示す | ![]() |
② パートナーと連携したGXソリューション事業成長の追求
株主や事業パートナー、自治体等と連携し、GXソリューション事業の展開を加速いたします。
筆頭株主であり事業上の重要なパートナーでもある伊藤忠商事株式会社とは、同社の全国取引先ネットワークを活用した営業及び太陽光パネル・蓄電池等の資材調達を含め、既に幅広いシナジーを発揮しており、今後も連携を継続する方針であります。
また、「アライアンスソリューション」においては、事業会社や金融機関、自治体等と連携し、当社のノウハウを活かした各地域でのオンサイトソーラーの導入拡大を追求しております。具体的な提携事例として、2023年2月以降、当社が公表している事案だけでもJA三井リース株式会社、農林中央金庫、株式会社栃木銀行、株式会社ちゅうぎんエナジー、鈴与商事株式会社、東急不動産株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社等と「アライアンスソリューション」を通じた連携を行っております。脱炭素化に向けた社会的責任を果たすためPPA型太陽光発電事業に参入を望む企業は少なからずあり、今後もこのような連携を強化する方針であります。
加えて、GX推進ニーズを抱えている自治体は全国に少なからずあります。「R.E.A.L. New Energy Platform」にて統合される当社の一連のサービスは、自治体のGX推進ニーズを正面から捉えるものであり、また当社としても、「R.E.A.L. New Energy Platform」をもってこのようなニーズに応えていくことは、当社が経営上重視する、再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上という考え方とも合致するものであります。当社としては積極的にこのような自治体と連携し、「R.E.A.L. New Energy Platform」のネットワークを拡大する機会を追求いたします。
③ ストック型とフロー型、バランスのとれた収益基盤を追求
オンサイトソーラー等の設置に係る初期投資が当社の資金で賄われ、設備の所有権が当社に帰属する「PPAサービス」は、当社の投資基準(投資効率や収益性)を満たした当該設備の生み出す約20年間(オンサイトソーラーの場合)にわたる長期安定的なキャッシュ・フローを当社が全て取り込み、予見性の高い収益を繰り返し獲得するストック型収益重視の事業スキームであります。また、エナジートレーディング事業を通じた電力供給も、特に低圧家庭セグメントにおいては、契約の切り替えが頻繁に生じないストック性の高い収益となっております。これに対しGXソリューション事業の「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」では、案件開発時に一括で開発報酬等を得るフロー型収益重視の事業モデルとなっております。
長期安定的な将来キャッシュ・フロー基盤を厚くするストック型のモデルと、資本効率高く利益とキャッシュ・フローを早期に獲得するフロー型のモデル、双方の適正なバランスがとれた収益基盤の更なる強化を追求いたします。これら両輪で発電設備の開発・販売や運営・保守を積み上げており、収益額及び収益性を拡大させています。
④ 当社が活用できる再エネ電力量の最大化を通じた、利益成長の追求
当社が供給できる再エネ電力量が増大することは、当社の一層の利益成長に繋がります。現時点では、「PPAサービス」で当社がPPAを締結しているオンサイトソーラー導入施設の電力需要のうち、一部しか再エネで満たせておりませんが、今後、当社が扱う再エネの総量が増大しこれら施設により多くの再エネを供給することができれば、現顧客基盤だけでも追加的な利益創出機会があると認識しております。この他、エナジートレーディング事業においても顧客により多くの環境にやさしいエネルギーを供給することが可能となり、当社の一層の事業成長への貢献が期待されます。
当社が活用できる再エネ電力量を増大させるために、オンサイトソーラーの導入数を増加させることで、当社が集約する余剰電力量を増大させることが可能となります。また、当社のオンサイトソーラー以外の多数分散した外部再エネ発電所をも当社の抱える需要家層と繋ぐ技術を有す当社は、これらの技術を活用し、当社の設置したオンサイトソーラーだけでなく外部発電所由来の再エネも当社の需要家基盤に繋ぎ、再エネを供給することができます。オンサイトPPAの当社既存顧客にはより多くの再エネを供給する余地があり、外部発電所からの再エネを繋ぎ、当社が取り扱う再エネ総量が増えることで、これら顧客へより多くの再エネを供給できます。
一般的に事業用太陽光の発電コスト(10.9円/kWh)に対して、その他再エネ電源である洋上風力(30.9円/kWh)やバイオマス(32.9円/kWh)※1は太陽光と比較すると高価ですが、外部の高単価再エネも当社のオンサイトソーラーと組み合わせることで加重平均し、顧客へ導入しやすい単価での再エネ導入を進めています。
既存顧客からの収益機会の増加に、この先の更なる顧客数の増加も掛け合わせ、更なる利益成長を追求いたします。
※1:経済産業省 第5回発電コスト検証ワーキンググループ 令和6年12月16日資料
⑤ 当社が提唱する事業構想、「GX City」の実現に向けた社会の後押し
自然を破壊せずに開発された地域の再エネ発電所で作られた電力を当該地域で消費する、再エネの地産地消を通じて、地域の再エネ自給率を高めながら脱炭素化を実現し、更にレジリエンス強化や経済活性化等も実現する理想的な地域・都市の在り方として「GX City」というコンセプトを当社は提唱しております。「GX City」は、環境への負荷をかけずに脱炭素化を推進するのみならず、地域・都市の再エネ自給率向上を通じて、震災の多い日本において様々なリスクを伴う巨大発電所への一極依存からの脱却にも資する等、社会的意義が大きいと当社では分析しております。
下記のような事業展開のステップにより、当社としては「GX City」の実現に向けた社会の発展に貢献できると考えております。
ステップ1:「PPAサービス」のみならず、当社の財務余力を制約としない展開が可能となる「アライアンスソリューション」や「インテグレーションサービス」も活用し、自然を破壊せず、余剰電力も活用可能な多数分散したオンサイトソーラーを大規模に展開
ステップ2:「R.E.A.L. New Energy Platform」でオンサイトソーラーとともに統合的にコントロールされる蓄電池、EV充電器等を導入することで、地域・都市において、より一層効率的かつ効果的な再エネ活用を促進
ステップ3:多数の需要家と分散した発電設備との需給バランスを最適化して「繋ぐ」という当社のテクノロジーを活用し、当社のオンサイトソーラーのみならず他社開発の再エネ発電所も需要家に繋ぎ、再エネが循環する地域・都市を実現
「GX City」はGXソリューション事業、エナジートレーディング事業双方のソリューションを動員し、いわば当社が有す全ての機能や技術の高度な融合として実現されるものです。GXソリューション事業、エナジートレーディング事業、各個の事業セグメント単位での成長を超えた、事業の発展を追求してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、以下の点を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として掲げております。
① オンサイトソーラー累計開発容量(MW)及び累計開発件数(件)
当社が資産として保有する「PPAサービス」にて稼働済みのオンサイトソーラー発電容量・開発件数、及び「アライアンスソリューション」等にて当社が開発し稼働させたオンサイトソーラーの発電容量・開発件数、更にはそれらの合計は、オンサイトソーラーのサービス展開状況を直接に表す重要KPIと位置付けております。
② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済容量(MW)及び契約済案件数(件)
開発容量が完工済みの発電容量を示すのに対し、着工を前提に契約がなされたその時々の完工前の契約容量(契約済容量)及び契約済案件数合計は開発容量の増大を測る先行指数として、重視しております。契約締結後に設置環境の要件不適合等の理由で開発が停止されるものも一定数あり、それを勘案しつつモニタリングしております。
③ GXソリューション事業のフロー収益
GXソリューション事業の成長状況をモニタリングするための重要KPIとして、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益をフロー収益として集計し、注視しております。なお、この指標にはO&M等の継続的な収益は含んでおりません。
④ 電力販売量(億kWh)
当社として志向するGXソリューション事業とエナジートレーディング事業のシナジー最大化に資する電力販売量の量的コントロールの前提として、注視しております。
⑤ 売上総利益
当社全体の売上総利益額の成長を、利益創出を伴う成長を測る重要指標として重視しております。当社はGXソリューション事業を成長ドライバーと位置付けており、2025年6月期においてはGXソリューション事業の構成比がエナジートレーディング事業を上回っており、2026年6月期以降も同傾向を見込んでおります。
⑥ EBITDA
当社は、「PPAサービス」におけるオンサイトソーラー等の設備並びに「R.E.A.L. New Energy Platform」に係るシステム強化や追加機能開発等、多額の設備投資を実施しております。この結果、減価償却費が多額に計上されていることから、よりキャッシュ・フローの創出実態に近い指標をモニタリングする観点で、EBITDAを経営指標として重視しております。
各指標の推移は以下のとおりであります。なお、以下表及び注記に記載の2022年6月期、2023年6月期及び2024年6月期の数値につきましては連結の数値を記載しており、2025年6月期の数値につきましては単体の数値を記載しております。
| 2022年 6月期 | 2023年 6月期 | 2024年 6月期 | 2025年 6月期 | |||
| ① オンサイトソーラー累計開発容量 | GXソリューション事業計 ※1 | (MW) | 81 | 136 | 234 | 321 |
| 内、PPAサービス | (MW) | 81 | 134 | 207 | 243 | |
| 内、アライアンスソリューション ※2 | (MW) | - | - | 18 | 57 | |
| ① オンサイトソーラー累計開発件数 | GXソリューション事業計 ※1 | (件) | 390 | 614 | 973 | 1,259 |
| 内、PPAサービス | (件) | 390 | 610 | 892 | 1,030 | |
| 内、アライアンスソリューション ※2 | (件) | - | - | 64 | 193 | |
| ② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び 「アライアンスソリューション」契約済容量 ※3 | (MW) | - | - | 88 | 178 | |
| ② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び 「アライアンスソリューション」契約済案件数 ※3 | (件) | - | - | 303 | 396 | |
| ③ フロー収益 ※4 | GXソリューション事業計 | (百万円) | - | 152 | 1,291 | 1,891 |
| 内、アライアンスソリューション ※2 | (百万円) | - | 20 | 459 | 1,033 | |
| 内、インテグレーションサービス ※2 | (百万円) | - | 132 | 825 | 858 | |
| (参考)新規導入件数 | (件) | - | 6 | 20 | 26 | |
| ④ 電力販売量 ※5 | (億kWh) | 8.9 | 6.3 | 5.0 | 4.4 | |
| ⑤ 売上総利益 ※6 | (百万円) | 2,478 | 3,814 | 4,459 | 6,059 | |
| ⑥ EBITDA ※7 | (百万円) | 436 | 2,561 | 3,515 | 5,059 | |
※1 当社が開発・稼働に関わったオンサイトソーラーの合計としての累計開発容量・件数であります。
※2 「アライアンスソリューション」は、2023年6月期より開始しております。
※3 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済案件数及び契約済容量は2024年6月期末より集計を開始しているため、2022年6月期及び2023年6月期の数字は記載しておりません。
※4 「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※5 エナジートレーディング事業における、各事業年度1年間の電力販売量。
※6 2022年6月期から2025年6月期のセグメント別売上高、セグメント別売上総利益、及び営業利益、経常利益、当期純利益は次のとおりであります。なお、セグメント別売上総利益及び2022年6月期、2023年6月期の数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
<セグメント別売上高>(単位:百万円)
| GXソリューション事業 | エナジートレーディング事業 | 調整額 | 売上高 | |
| 2022年6月期 | 1,571 | 18,371 | △8 | 19,934 |
| 2023年6月期 | 2,860 | 20,086 | △61 | 22,885 |
| 2024年6月期 | 5,861 | 16,827 | △123 | 22,566 |
| 2025年6月期 | 8,920 | 14,219 | △200 | 22,939 |
※セグメント売上高の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る売上であります。
※GXソリューション事業の売上高の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| アライアンスフロー | インテグレーション フロー | PPA及びその他 | GXソリューション事業 | |
| 2022年6月期 | - | - | 1,571 | 1,571 |
| 2023年6月期 | 20 | 394 | 2,445 | 2,860 |
| 2024年6月期 | 1,400 | 1,600 | 2,861 | 5,861 |
| 2025年6月期 | 3,602 | 1,508 | 3,809 | 8,920 |
※アライアンスフロー売上高とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※インテグレーションフロー売上高とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※PPA及びその他売上高とは、GXソリューション事業売上高から、アライアンスフロー売上高及びインテグレーションフロー売上高を差し引いた額であります。
<セグメント別売上総利益>(単位:百万円)
| GXソリューション事業 | エナジートレーディング事業 | 調整額 | 売上総利益 | |
| 2022年6月期 | 526 | 1,952 | - | 2,478 |
| 2023年6月期 | 906 | 2,907 | - | 3,814 |
| 2024年6月期 | 2,042 | 2,416 | - | 4,459 |
| 2025年6月期 | 3,240 | 2,818 | - | 6,059 |
※セグメント売上総利益の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る利益であります。
※GXソリューション事業の売上総利益の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| アライアンス フロー | インテグレーション フロー | PPA及びその他 | GXソリューション事業 | |
| 2022年6月期 | - | - | 526 | 526 |
| 2023年6月期 | 20 | 132 | 754 | 906 |
| 2024年6月期 | 459 | 825 | 757 | 2,042 |
| 2025年6月期 | 1,033 | 858 | 1,349 | 3,240 |
※アライアンスフロー売上総利益とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※インテグレーションフロー売上総利益とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。
※PPA及びその他売上総利益とは、GXソリューション事業売上総利益から、アライアンスフロー売上総利益及びインテグレーションフロー売上総利益を差し引いた額であります。
<営業利益、経常利益、当期純利益>(単位:百万円)
| 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | |
| 2022年6月期 | △233 | △491 | △581 |
| 2023年6月期 | 1,549 | 811 | 1,348 |
| 2024年6月期 | 1,948 | 1,327 | 867 |
| 2025年6月期 | 3,139 | 2,389 | 1,595 |
※2022年6月期、2023年6月期、2024年6月期の当期純利益欄に記載の数値につきましては、連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。
※7 EBITDAの計算方法は次のとおりであります。
EBITDA=営業利益+減価償却費(売上原価・販管費)+のれん償却費
なお、EBITDAにつきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2022年6月期から2025年6月期のセグメント別EBITDAは次のとおりであります。
(単位:百万円)
| GXソリューション事業 | エナジートレーディング事業 | 調整額 | EBITDA | |
| 2022年6月期 | 534 | 436 | △534 | 436 |
| 2023年6月期 | 1,228 | 1,941 | △608 | 2,561 |
| 2024年6月期 | 2,547 | 1,753 | △786 | 3,515 |
| 2025年6月期 | 3,647 | 2,407 | △994 | 5,059 |
※セグメントEBITDAの調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る費用であります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として掲げております。
① 当社の財務キャパシティに捉われないオンサイトソーラーの展開強化
各種設備が当社に帰属する「PPAサービス」のスキームでは当社の初期投資負担が必要であるため、当社の財務キャパシティが事業拡大の制約となる可能性があることを課題として認識しております。
これに対して、当社では2023年6月期より、他社に設備が帰属する「インテグレーションサービス」を展開しております。本スキームでは設備導入施設のオーナー又はテナントを主とする第三者企業の初期投資負担によってオンサイトソーラーや蓄電池等の設備を設置するため、当社の財務キャパシティを制約とすることなく事業拡大が可能となります。
加えて、当社では同時期にオンサイトソーラーの「アライアンスソリューション」も開始し、事業会社や各地域の金融機関等のアライアンスパートナーとの連携を拡大しております。本スキームはアライアンスパートナーによって設備投資を行うソリューションであるため、同様に当社の財務キャパシティを制約とすることなくオンサイトソーラー設置拠点数の増大が可能です。外部環境としても、環境省が推進する脱炭素先行地域の事例に代表されるように自治体や地域金融機関がオンサイトソーラーのPPAによるGXを計画し始めていることに加え、GXへの取り組みに積極的な企業も増えている中で、GXソリューション事業の成長を追求している当社とそれら自治体や企業等が連携することは、相互にメリットが大きいと認識しております。
② 財務基盤の強化と資金調達手段の多角化
各種設備が当社に帰属する「PPAサービス」のスキームにおける初期投資負担に対して、当社ではその原資として多額の協調融資を受けてまいりました。今後も「PPAサービス」の展開を追求するにあたり銀行借入は適切な範囲で活用する方針であるため、借入余力の確保は重要な課題として認識しております。
コーポレート・ガバナンス体制やコンプライアンス体制をはじめとした経営基盤の強化と、そうした信用力も前提とした財務体質の強化により安定的な資金調達を目指してまいります。同時に、リースの活用や、プロジェクトのキャッシュ・フローを裏付けとしたプロジェクトファイナンスやプロジェクトボンド等、資金調達手段の一層の多角化も重要な課題として取り組んでまいります。
③ 開発キャパシティの向上
GXソリューション事業の成長を実現する上では、開発キャパシティの拡充は重要な課題であると認識しております。
これに対して、営業・発電所開発・システム開発等、スキルの異なる様々な人的リソースの拡充を図っており、当社の認知度向上や採用体制の充実を伴う採用強化に取り組んでおります。また、工事会社の工数確保に取り組むとともに、ノウハウの蓄積等による開発工数の削減やテクノロジーの活用等を通じた、生産性の向上を伴う開発キャパシティの拡充に取り組んでまいります。
④ GXソリューション事業の利益創出力強化
当社の利益創出力に関して、GXソリューション事業の寄与が大きいため、GXソリューション事業の安定的な拡大は重要な課題であると認識しております。
営業面では、新規顧客のみならず既存の顧客基盤を活かしたアップセルの追求によって利益創出力の強化に注力いたします。GXソリューション事業では蓄電池、EV充電器といった各種ソリューションを、オンサイトソーラーと統合的に制御される付加的なサービスとして提供しておりますが、これらはオンサイトソーラーのみを導入された既存顧客に対する追加サービスとして事後的に導入することも可能であることが営業上の利点であると認識しております。2026年3月末現在、オンサイトソーラーのみを導入頂いている施設数は約1,400施設あり、これら既存の顧客基盤へのアップセルの機会を積極的に追求してまいります。
また、各スキームにおいて、販売面では適正な価格戦略を追求するとともに、コスト面では「PPAサービス」、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」を並行して活用しながら事業拡大を行うことで、太陽光パネルや蓄電池等の資材の大量ロット発注によるコスト低減を図るべく、各取引先との連携を強めながら取り組んでまいります。
⑤ エナジートレーディング事業の収益安定化
資源価格の高騰や電力需給のひっ迫等を要因に、電力の市場価格(JEPX価格)はボラティリティが高まることがあり、エナジートレーディング事業における電力の最適な調達については重要な課題であると認識しております。
過去、当社では大部分の電源調達を電力会社との相対契約とすることでJEPX価格の上昇リスクをヘッジしていた経緯もありましたが、逆にJEPX価格が低下する局面においては相対的に割高な電力調達を行うこととなるため、想定以上の顧客の離脱等によってエナジートレーディング事業から獲得する売上総利益が減少する場合も想定されます。このため、現時点においては、一定量の電源についてはJEPXからの電力調達を行い、JEPX調達相当分を顧客への供給単価へ連動させる「調整項」を適用する対応を行っております。2023年1月に供給約款を変更しており、2023年4月から調整項を実導入いたしました。これにより、JEPX価格のボラティリティがエナジートレーディング事業の売上総利益に与える影響を抑制しております。
また、当社ではGXソリューション事業の拡大とともに電源調達に占める再エネ比率を高めていくことを目指しており、この方針を採ることで、JEPX価格が大幅に変動しうる環境下にあっても、電源調達費用の安定化に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は、急速な事業環境の変化に適応して今後も継続的に成長していくためには、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。
このため、事業規模の拡大・成長に合わせてコーポレート機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう必要な適材適所の人材配置等を進めることで、各機能の充実を図ってまいります。
2026年3月末時点 点が発電所の所在地を示す