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有価証券報告書-第36期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/24 9:39
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有報資料

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、屋外広告を専門に取扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。
(2) 経営環境及び経営戦略
当連結会計年度における我が国の経済は、米国の通商政策の動向など一部に下押し圧力が見られた時期があったものの、年間を通じては、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費や設備投資の持ち直しが継続し、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、足元及び今後の先行きにつきましては、物価上昇が消費者心理に与える影響や金融資本市場の変動に加え、中東情勢等の地政学リスクが懸念材料となっており、引き続き留意が必要な状況にあります。また、我が国の広告市場は、総務省が2026年7月に発表した「サービス産業動態統計調査」によると、2025年7月から2026年5月までの広告業全体の売上高は前年比で104.0%と、前年を上回る結果となっております。株式会社電通の「2025年日本の広告費」によると、当社が属する屋外広告市場は2025年に3,042億円となっており、前年に続き拡大しております。飲料、情報・通信を中心に、多くの業種で屋外広告が活用され、好調に推移しました。
海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、当社が進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2025年の屋外広告市場規模は、それぞれ167百万USドル(前年比103.0%)、175百万USドル(同109.1%)、412百万USドル(同107.5%)、そして415百万USドル(同104.7%)となっております。
日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。
① 新規媒体の開発
当社では新規媒体の獲得を事業戦略の軸に据え、自社による設備投資のみならず、他社所有枠の借り上げ等、多様なアプローチを駆使しながら、機動的に屋外広告媒体網の拡大を図っております。新設を行う場合には、基本的に短期間で投資回収が見込めるかどうか、他社所有枠の借り上げ等を行う場合には、採算性はもちろん、既存媒体との相乗効果が期待できるか、当社が未進出の空白地帯を埋められるかといった点を考慮しております。
屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。
② 広告媒体収益性の向上
当社は運営する広告媒体の稼働向上のため、営業人員を増強し、新規開拓と既存顧客の深耕を強化する基本戦略を取っております。広告主のニーズに即したきめ細かい提案を実施し、販売機会を最適化することで、広告媒体稼働率の向上を図っています。具体的には、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計と提案、各種マーケティング施策(展示会出展、メールマガジンの配信等)、専門性が高いロードサイド媒体やクリエイティブ制作に関する高い知見を有する人材の育成といった施策に取組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、デジタル1媒体当たり売上高及び媒体稼働率の向上に努めてまいります。
③ 屋外広告周辺サービスの強化
当社は、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱いやインターネット・SNSを取り入れたサービス提供の強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。
④ 海外展開
当社グループは、中長期的な企業価値向上のため、アジア諸国をはじめとする海外市場での展開を推進しております。既存の国内市場における強固な事業基盤の維持・強化に加え、経済成長が続く海外の有望な市場を開拓することで、屋外広告媒体の事業機会をグローバルに拡大してまいります。
海外においては日本で培った媒体開発の知見を最大限に発揮し、国内においては海外拠点とのネットワークを活かした外国企業の出稿案件の獲得や先進事例の導入を進めることで、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。
現在は、海外展開へ向けて、当社の代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査、現地パートナー開拓及び媒体開発のため、1年のうち半分以上の現地滞在をし、陣頭指揮を執っております。
なお、シンガポールにおける有力な屋外広告事業社であるTPM OUTDOOR PRODUCTIONS PTE. LTD.とのパートナーシップのもと、シンガポールにて同社が保有するデジタル媒体である、Queensway Shopping Centre LED Screenの広告枠に関する独占ライセンス契約を締結し、2026年9月より自社媒体「Queensway Shopping Centre Hit Screen」としての運用を開始しております。
⑤ DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化・生産性の向上
当社では、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。当社は今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大につなげていきたいと考えております。
⑥ 新規ビジネスへの取組み
更なる企業成長のために、自己資金を活用した機動的なM&Aや資本・業務提携を積極的に検討・実行してまいります。具体的には、当社の主力である屋外広告事業とのシナジーが期待できる周辺サービス(クリエイティブ制作やクロスメディア展開等)の強化、あるいは同業他社とのアライアンスや事業譲受等を目的としたM&Aを視野に入れております。これらの取組みに加え、サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 自社広告媒体の強化
a 適切な立地の選定と投資の実行
当社グループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定と機動的な投資の実行を進めてまいります。
b 安全性の徹底
当社の屋外広告媒体の多くはビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故の未然防止に努めております。広告主に安心して屋外広告を活用して頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。
② 付加価値提案による営業力の強化
当社の広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、単なる広告枠の販売にとどまらず、広告主の課題を解決する付加価値提案が重要であると認識しております。そのため、“肉眼3D広告”等のインパクトのあるクリエイティブ制作や、重層的又は複合的な広告体験を提供するクロスメディアサービス等、当社の強みを活かした提案型営業を強化いたします。これにより、各媒体特性に合致した多様な広告主を開拓するとともに、既存顧客との取引深耕を図り、一層の売上・利益の拡大に努めてまいります。
③ 会社の基盤強化
a コンプライアンス及び内部管理体制の整備・強化
昨今、建築基準法等の当社事業に関連する法令の適用が厳格化の傾向にあり、新規媒体設置時の建築確認申請等の手続のハードルが従前より高くなっております。当社グループは、これを業界全体の健全化と捉えるとともに、上場会社としてより一層高度なコンプライアンス体制と適法な媒体開発ノウハウの蓄積が不可欠であると認識しております。関連法令の順守を徹底する内部管理体制を強化するとともに、経営・営業・管理部門が密に連携し、許認可取得から設置・運用までを安全かつ円滑に遂行できる体制の構築に注力してまいります。
b 優秀な人材の育成及び獲得
当社グループの事業拡大、とりわけ高度な法規制に対応した媒体開発や付加価値の高い営業を推進するためには、専門知識を有する優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。
なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額、デジタル1媒体当たり売上高及びデジタル媒体稼働率(それぞれ「既存媒体」のみを対象とした指標を含む)であります。
指標第32期
(単体)
第33期
(連結)
第34期
(連結)
第35期
(連結)
第36期
(連結)
自社デジタル媒体数
(媒体)
7781012
既存デジタル媒体数
(媒体)
44778
デジタル媒体満稿額
(千円)
7,546,4007,078,4007,993,6007,848,0008,926,400
既存デジタル媒体満稿額
(千円)
4,742,4004,274,4007,265,6006,350,4007,179,200
デジタル1媒体当たり
売上高(千円)
256,299382,638391,868335,322313,007
既存デジタル1媒体当たり売上高(千円)354,052412,348422,165428,194432,959
デジタル媒体稼働率23.8%37.8%39.2%42.7%42.1%
既存デジタル媒体稼働率29.9%38.6%40.7%47.2%48.2%

(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、当社グループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額は当社グループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル1媒体当たり売上高、既存デジタル1媒体当たり売上高、デジタル媒体稼働率及び既存デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。
第32期
(単体)
第33期
(連結)
第34期
(連結)
第35期
(連結)
第36期(連結)
(千円)実績売上比前期比
売上高2,601,1053,435,5194,122,3304,419,3895,159,325100.0%116.7%
自社デジタル媒体1,794,0962,678,4673,134,9443,353,2283,756,09172.8%112.0%
繁華街1,359,0702,303,2242,767,7972,996,0343,356,97865.1%112.0%
ロードサイド435,025375,243367,146357,193399,1137.7%111.7%
自社アナログ媒体650,002523,790565,624625,796692,08013.4%110.6%
繁華街200,778147,470158,359190,875227,5114.4%119.2%
ロードサイド323,751265,975281,754293,295337,1676.5%115.0%
施工125,472110,344125,509141,626127,4012.5%90.0%
その他157,007233,262421,761440,364711,15313.8%161.5%

(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
当社グループの自社デジタル媒体及び既存デジタル媒体の定義、並びにデジタル媒体満稿額、デジタル1媒体当たり売上高及びデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。
自社デジタル媒体自社で放映枠の運用・販売窓口を行っている屋外大型デジタルサイネージ媒体
所有形態としては以下のパターンがある。
・当社グループ単独で所有している広告掲出面
・当社グループが他社と共同で所有している広告掲出面
・当社グループが広告枠の全部又は一部を借り上げている他社所有の広告掲出面
・当社グループが所有者から委託を受けて運用している他社所有の広告掲出面
既存デジタル媒体稼働開始期を含めて自社デジタル媒体として2期を経過した媒体
デジタル1媒体当たり
売上高
自社デジタル媒体売上高を自社デジタル媒体数で除して算出
※既存デジタル1媒体当たり売上高については、既存デジタル媒体の売上高を既存デジタル媒体数で除して算出
デジタル媒体満稿額自社デジタル媒体に係るすべての広告枠がプレミアムプランで販売されたと仮定した場合の週次売上額を52週分足し上げた金額
※基本的な料金体系が単一となっている媒体の場合は、すべての広告枠が当該プランで販売できた場合の週次売上額
※既存デジタル媒体満稿額については、既存デジタル媒体のみを対象として同様に算出
デジタル媒体稼働率(%)実際の売上額÷デジタル媒体満稿額×100
※既存デジタル媒体稼働率については、既存デジタル媒体の実際の売上額を既存デジタル媒体満稿額で除して算出

当社グループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、当社にとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。
なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が当該期間を通して稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期間のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用しております。

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