訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2026/03/13 15:30
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有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、労働力人口が減少する時代において、ワークフローのDX化により社会・組織の変革を牽引するワークフローカンパニーです。人に依存した従来型の成長モデルから脱却し、仕組みとAIによる持続的な成長モデルへの転換を推進しております。
日本社会では、労働人口の減少により人材不足が常態化する一方で、企業内部には属人化したオペレーション、手作業、部門間の分断が依然として残存しております。これらは企業成長における品質低下やコスト増加の要因であり、単なる人員増強や個別アプリケーションの導入だけでは根本的な解決に至らないと考えております。当社は、こうした構造的な非効率を是正するために、業務プロセスそのものの「見える化」「標準化」「自動化」が不可欠であると考えております。
近年では、AIやノーコード技術の進化により、これまで人手に頼らざるを得なかった業務の自動化・最適化が現実的な選択肢となりつつあります。当社は、こうした技術革新を取り込み、ワークフローの「見える化」「標準化」「自動化」をさらに高度化することで、AIが業務を自律的に駆動する次のフェーズ(AX(注1)化)へと事業を発展させていく方針です。
私たちは、「事業の成長を人の数で解決しない」という理念のもと、AIと人が協働する新しい働き方を創造し、生産性向上と人間らしい働き方の両立を実現してまいります。
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注1:AI Transformationの略。AI(人工知能)技術を活用して、業務プロセス・意思決定・ビジネスモデルを抜本的に変革し、生産性や価値創出のあり方を再定義すること。
(2)経営環境
当社が属する国内のSaaS市場は、DXへの取り組みの拡大を主要因として、年平均成長率(CAGR)10%以上で拡大し続けており(富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場 2024年版(2024年7月19日発刊)』)、主力プロダクトである「ferret One」と「formrun」も市場シェアを維持できれば、今後も堅調な成長が見込めると考えております。
また、我が国においては、少子高齢化に伴う労働力人口の減少が不可避の構造的な問題となっております。生産年齢人口は2032年、2043年にはそれぞれ7,000万人、6,000万人を割り、2060年前後には5,000万人を下回る等、今後数十年にわたり縮小が見込まれており、企業における労働生産性の向上は一層重要性を増しております(国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年』)。
こうした環境下において、単一機能の効率化を目的としたサービスではなく、業務プロセスを見える化・標準化した上で自動化を進め、限られた人材リソースを効率的に活用する仕組みが強く求められてくると当社では考えます。実際に、AIを活用したワークフロー自動化・統合管理の分野の世界的な需要が急速に拡大しており、TechNavio社の2025年7月の調査レポート「AI Workflow Orchestration Market Analysis, Size, and Forecast 2025-2029」によれば、同市場は2024年から2029年にかけて年平均約32%で成長し、約140億米ドルの拡大余地があるとされております。
当社のワークフロー事業は、こうした構造的な社会問題と世界的潮流の双方を背景に、持続的な成長が期待される領域であると考えております。
(3)経営戦略等
当社はこれまで、「ferret One」と「formrun」という2つのプロダクトを中心に事業を拡大してまいりました。今後も、既存事業の成長性・収益性をさらに高めるため、当社の競争上の差別化要因である①事業創出力、②生産性・組織運営力、③顧客基盤、④ナレッジマネジメント力、⑤誰でも扱えるプロダクト開発文化の5つを強化し、継続的な成長を実現してまいります。さらに、成長戦略として、オーガニック成長、コンパウンド戦略、既存大手顧客深耕という3つの柱を掲げ、持続的かつ複合的な成長を推進してまいります。
≪差別化要因≫
1 事業創出力
当社は創業以来、社会課題の変遷に応じて50を超える事業を展開してまいりました。この過程で培った課題起点の事業開発力、ならびに小さく生まれた事業を大きく成長させる組織運営力を強みとしております。これらの知見を活かし、既存事業の高度化だけでなく、AI時代における業務自動化需要の高まりに対応した新規事業開発を継続し、将来の収益基盤を創出してまいります。
2 生産性・組織運営力
当社は自社ワークフローツールおよびAIを活用することにより、社内の業務効率化を継続的に実現してまいりました。社内アンケートでは従業員の100%がAIを活用しており、約70%が自ら業務効率化のための自動ワークフローを構築しております。その結果、直近1年間(2023年12月31日時点から2024年12月31日時点)で一人当たり売上高(注2)は約20%改善しており、高い生産性を維持しております。今後もこの高効率な組織運営を強みに、収益性の向上と安定的な成長を目指します。
3 顧客基盤
当社は「ferret One」「formrun」を中心に、無料を含む累計50万ユーザー超、有料顧客では5,500社超の顧客基盤を保持しております。これらの顧客基盤は、フロントオフィスのデジタル化(DX)から業務自動化(AX)まで幅広く展開するうえで重要な資産であり、既存プロダクトのアップセル(注3)や新規プロダクトとのクロスセル(注4)による成長機会をもたらしております。
4 ナレッジマネジメント力
当社では、現場で得られる知識やノウハウを形式知化し、全社で共有する文化が確立されています。この文化が、生成AIやワークフロー自動化ツールを活用するうえで重要な基盤となり、顧客への価値提供力を高めるだけでなく、当社自身の業務効率化にも寄与しております。今後もナレッジベースの強化を進め、AI活用の高度化を図ってまいります。
5 誰でも扱えるプロダクト開発文化
当社は、日本企業の商習慣や業務特性に適合した「誰でも扱える」プロダクト開発文化を強みとしております。複雑さを排した直感的なUI、国内コンプライアンス要件に対応したセキュリティ設計、稟議・申請・権限管理といった日本特有のワークフローへの適合性を重視し、専門人材を必要とせず現場主導で運用できる点が特徴です。現場の声を迅速に反映する改善プロセスを通じて、使いやすさを実現しており、幅広い企業への普及を支える競争優位となっております。
≪成長戦略≫
当社は、上記要因を基盤として、以下の3つの成長戦略を推進してまいります。
1 オーガニック成長(顧客基盤の強化)
既存チャネルの最適化、新チャネルの開拓、DX文脈の業務効率化ニーズへの対応などにより、安定的な新規顧客獲得を継続してまいります。また、既存プロダクトにおけるAI機能強化や機能拡張を通じてアップセル機会を創出し、MRRの継続的な成長を図ってまいります。
2 コンパウンド戦略(既存顧客への新プロダクト連携提供)
当社は、創業以来50を超える事業を立ち上げてきた新規事業開発力を背景に、AIを活用した自律的なワークフロー自動化(AX化)を推進しております。その第一歩として、新規事業開発力を活かし、導入者自身が業務プロセスを設計できるワークフロー構築ツール「workrun」及び、高度なワークフロー構築が可能なAIプラットフォーム「AIBOW」の正式版の提供を2026年1月に開始しております。さらに、RAG(注5)技術を活用したAIチャットボットツール「askrun」の提供に向けて開発を進めております。これらの新サービス群により、複数ツールや部門をまたぐ業務の統合・自動化を実現し、あらゆる企業がAIと共に自律的に業務を進化させる環境を提供してまいります。
また、当社の強みは、こうした新規プロダクトを「ferret One」「formrun」が形成するフロントオフィスDX基盤と連携させ、複数プロダクトを共通基盤上で統合的に活用できる点にあります。AIが各ツール間のデータを接続し、自律的な判断を加えることで、部門横断のワークフローを一貫して最適化することが可能となります。これにより、顧客企業は業務効率化と成果創出の双方を同時に実現でき、当社としてもクロスセル・アップセルを通じた複合的な成長機会の拡大につながります。
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3 既存大手顧客深耕による成長(高単価顧客の創出)
従業員数100名以上の企業の取引数が1,000社規模に到達しており、大企業向けの業務自動化ニーズの高まりを背景に、専任組織を設置し深耕を進めてまいります。2027年以降は、大手企業の業務横断的な課題に対し、AIワークフローを活用した高度な自動化提案を行うことで、高単価顧客の創出を進め、収益基盤をさらに強固なものにしてまいります。
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注2:当社では、直近3カ月平均の売上高を、正社員および契約社員の直近3カ月平均の人数で割って算出。従業員一人あたりが創出する売上効率を示す。
注3:顧客に対して、現在利用している商品・サービスよりも上位グレードや高価格帯のプランを提案し、より高い価値提供と売上向上を図る取り組み。
注4:顧客が利用中の商品・サービスと相性の良い関連商材や追加サービスを提案し、顧客価値の拡大と取引額の増加を目指す取り組み。
注5:Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略。生成AIが回答を生成する際に、外部データベースやドキュメントから関連情報を検索(Retrieval)し、その情報を参照しながら生成(Generation)する手法で、精度向上・ハルシネーション(もっともらしい嘘)抑制・最新情報の反映を実現する。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は主に「ferret One」、「formrun」をサブスクリプションモデルで提供しているため、毎月経常的に得られる月額利用料の積み上がり状況の指標であるMRR(注1)の拡大を重要な経営指標としております。その達成状況を判断する上で、有料顧客(ユーザー)数、顧客(ユーザー)単価、解約率もモニタリングをしております。
注1:Monthly Recurring Revenueの略で、「月次経常収益」や「月間定期収益」のように、毎月繰り返し得ることのできる月額利用料を指します。formrun及びbookrunの月額利用料については、財務会計上は日次ベースで計上しておりますが、本資料では当該日次計上に関する決算調整前の管理会計上の数値である月額利用料を用いております。
重要な経営指標であるMRRの推移は以下のとおりであります。
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(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 提供するサービス、プロダクトの強化
当社が持続的に事業成長を実現するためには、既存サービス・プロダクトの付加価値向上が不可欠であると認識しております。そのため、研究開発や機能改善を継続的に行い、ユーザー体験を高めるとともに、業務効率化や成果最大化に直結するサービス品質の向上に取り組んでまいります。
② 優秀な人材の確保と育成
優秀な人材の確保・育成は、当社の競争力を維持・強化する上で最も重要な経営資源であります。採用にあたっては能力に加え、当社のコンピテンシーやミッション・ビジョンとの親和性を重視し、長期的に活躍できる人材を獲得してまいります。また、教育研修やキャリア開発の機会を拡充し、人材と組織が共に成長できる環境づくりを進めてまいります。
③ 企業認知度・サービスの知名度の向上
当社が提供するサービスの競争力を高めるためには、利便性や品質の向上に加え、サービス及び当社自体の認知度を拡大し、利用者基盤を広げていくことが重要であります。そのため、広告宣伝や広報活動を含むブランディング施策を強化し、顧客の獲得及び人材採用における魅力度向上を図ってまいります。
④ 経営体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、経営の公正性・透明性を確保しつつ、意思決定プロセスの高度化、内部管理体制の整備、事業運営の効率化を推進してまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は、2025年12月期において、営業利益・経常利益ともに黒字を計上しており、本書提出日現在において対 処すべき財務上の重要課題はございません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保等に より、引き続き財務基盤の強化に努めてまいります。

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