有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要と考えられる事項につきましては、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(リスクの目安)
(1) 不動産市況の変動リスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:景気後退)
① リスク内容
当社グループの事業、特に不動産開発や不動産売買は国内外の経済情勢、金融政策(金融緩和・引き締め、金利動向等)、税制の変更、不動産需給バランス、人口動態の変化、地価の変動等、様々な要因による不動産市況の変動の影響を受ける可能性があります。特に、投資用不動産市場の環境が悪化した場合、販売価格の下落、販売期間の長期化、仕入価格の上昇、賃料水準の下落等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の地域やアセットタイプに集中投資することなく、市場動向を注視しながら分散投資を心がけることで、市況変動リスクの低減を図ってまいります。また、経済・金融情勢や不動産市場に関する情報収集及び分析を継続的に行い、変化に迅速に対応できる体制を構築してまいります。さらに、安定的な収益基盤の確立を目指し、SaaS事業である「デベNAVI」等のストック型収益モデルの強化にも注力してまいります。
(2) 金利変動リスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:金融政策の変更)
① リスク内容
当社グループは、不動産の仕入れや開発資金の大部分を金融機関からの借入れにより調達しております。当社グループの不動産仕入れにおけるLTV(Loan to Value:不動産価値に対する借入金の割合)は、案件ごとに異なるものの、90%~100%程度(2025年4月以降の48件中43件のLTVが90%以上)となっております。そのため、将来的に金融緩和政策の縮小や短期・長期金利が上昇した場合、支払利息が増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金利上昇は不動産投資家の期待利回りを上昇させ、不動産価格の下落要因となる可能性や、不動産投資市場全体の資金調達環境を悪化させる可能性もあります。
② 対応策
当社グループは、金利変動が経営に与えるリスクを軽減するため、不動産を仕入れてから売却するまでの期間を短縮することに努めております。これに伴って借入期間も短縮されるため、金利変動リスクを最小限に抑える効果があります。加えて、一つ一つの不動産物件において十分な粗利率を確保できるよう投資委員会で厳しく管理しており、こうした取り組みによって、多少の金利変動が生じても当社グループの財務基盤に大きな影響が及ばない体制を構築しております。また、安定的な財務基盤を維持・強化するため、自己資本の充実に継続して努めてまいります。同時に、金融機関との良好な関係を維持し、必要に応じて柔軟かつ多様な資金調達手段を確保することにも注力してまいります。
(3) 特定の取引への依存及び業績変動に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの不動産開発・販売事業においては、一件あたりの取引金額が比較的高額となる傾向があります。不動産の売買契約締結から決済・引渡しまでには一定の期間を要し、許認可取得の遅延、買主側の資金調達状況、その他の予期せぬ事象により、当初予定していた決済時期が翌四半期や翌事業年度にずれ込む可能性があります。その結果、特定の大型案件の決済時期が変動することにより、四半期ごと又は事業年度ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の大型取引の動向が業績に与える影響について、投資家に対し適時適切な情報開示を行うよう努めてまいります。中長期的には、「デベNAVI」等のSaaS、AIエージェントといったストック型収益モデルの育成・強化を図り、収益構造の安定化を目指してまいります。また、不動産開発・販売事業においては、プロジェクトの工程管理を徹底し、計画的な販売及び決済の実行に努めるとともに、複数のプロジェクトを異なる時期に展開することで、単一案件への依存度を低減し、業績の平準化を図ってまいります。
(4) 競争激化のリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループが事業を展開する不動産開発領域は規模が大きい市場として注目されており、既存の不動産会社、建設会社、IT企業に加え、国内外からの新規参入が相次いでおります。競合他社が当社グループよりも優れた技術やサービス、価格競争力のある商品を提供した場合、あるいは大規模な資本力を背景とした事業展開を行った場合、当社グループの市場シェアや収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、Land CreationとAgentic Platformの双方を展開している強みを活かし、現場で得られる知見、ノウハウ及びデータとAI技術開発を継続的に循環させることで、顧客ニーズに即したサービスの提供及び継続的な技術高度化を実現しております。また、継続的なサービス改善、M&A及び事業提携等を通じて事業領域の拡大を図ることで、他社との差別化を推進し、競争優位性の確保に努めてまいります。
(5) 技術革新への対応リスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、AIをはじめとする先端技術を活用した事業展開を強みとしております。しかし、AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーン等の技術は急速に進展しており、新たな技術やサービスの登場により、既存の技術が陳腐化する可能性があります。当社グループがこれらの技術革新の動向を的確に把握し、迅速かつ適切に対応できなかった場合、技術的な優位性を失い、競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、国内外の最新技術動向に関する情報収集・調査研究を継続的に行い、技術革新への対応力を維持・強化してまいります。技術開発体制を強化し、研究開発への投資を積極的に行うとともに、外部の専門家や研究機関、先進的な技術を持つ企業との連携も視野に入れ、常に技術力の向上に努めます。また、従業員のスキルアップ支援や専門人材の確保・育成にも注力し、組織全体の技術対応力を高めてまいります。
(6) M&A・事業提携に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、事業拡大や競争力強化のため、M&A(企業の合併・買収)や事業提携を重要な戦略の一つとして位置付けております。しかし、M&Aや事業提携の実施にあたっては、対象企業の事業、財務、法務等に関する事前のデューデリジェンス(詳細調査)を慎重に行いますが、偶発債務の発生や未認識の簿外債務、訴訟等のリスクが顕在化する可能性を完全に排除することはできません。また、買収後の統合プロセス(PMI)が計画通りに進まなかった場合や、期待したシナジー効果(事業上の相乗効果)が十分に得られなかった場合、のれんの減損損失が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
M&Aや事業提携を行う際には、外部の専門家も活用し、対象企業や事業のリスクについて詳細なデューデリジェンスを実施いたします。また、買収・提携後の統合計画を事前に策定し、組織体制、業務プロセス、企業文化等の統合を円滑に進めるための施策を実行します。さらに、シナジー効果の創出に向けた具体的な取り組みを計画・実行し、その進捗状況を継続的にモニタリングすることで、投資効果の最大化を図ってまいります。
(7) 情報セキュリティ・個人情報保護のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、事業運営上、顧客情報、取引情報、不動産情報、従業員情報など、多くの機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報について、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの感染、内部関係者による不正行為、不注意による情報漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求、行政処分等につながり、事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、情報セキュリティを経営上の重要課題と認識し、情報管理規程を整備するとともに、技術的・物理的・人的なセキュリティ対策を講じております。具体的には、情報システムへのアクセス制御、不正アクセス監視、ファイアウォールの設置、従業員に対する情報セキュリティ教育の実施、委託先の管理体制の強化等に取り組んでおります。また、個人情報保護法をはじめとする関連法令を遵守し、個人情報の適切な取得、利用、管理を徹底してまいります。インシデント発生に備えた対応計画を策定し、定期的な見直しと訓練を実施してまいります。
(8) 法令・規制に関するリスク(宅地建物取引業法)
当社グループの主要な事業は、宅地建物取引業法に基づく免許を得て、事業活動を行っております。
当該免許は当社グループ事業の根幹となるものであることから、その有効性等を適切に管理するとともに、その他関連法令についても改正や改廃の有無を適時にモニタリングできる体制を整備しております。
なお、宅地建物取引業法については、免許の有効期間及び更新期限、事務所ごとの専任宅地建物取引士の設置状況(法定人数割合を含む)及び宅地建物取引士証の有効性、宅地建物取引業者票・報酬額表の掲示状況、並びに従業者証明書、従業者名簿及び業務帳簿の作成・更新・保存状況等を管理対象とし、人員異動や拠点の新設・廃止等が生じた場合には経営管理ユニット総務チームに情報を集約のうえ、事務所ごとの法定要件充足を継続的に確認する体制を整備しております。また、内部監査及び監査役監査においても、宅地建物取引業者票等の掲示状況、専任宅地建物取引士の配置状況及び宅地建物取引士証の有効性、従業者証明書・従業者名簿・業務帳簿の整備状況等を確認対象とし、宅地建物取引業法に係る法令遵守状況をモニタリングしております。なお、法令・規制の不遵守が発生した場合には、重大な事業上の影響を及ぼす可能性はありますが、現状、継続的に支障をきたす要因は一切発生しておりません。
(9) 法令・規制に関するリスク(宅地建物取引業法以外)
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業は、宅地建物取引業法、建設業法、金融商品取引法、建築基準法、都市計画法、個人情報保護法、不正競争防止法、消費者契約法など、多岐に渡る法規制の適用を受けております。これらの法規制が改正された場合、新たな規制が導入された場合、あるいは既存の法規制の解釈・運用が変更された場合、当社グループの事業活動が制約を受けたり、対応コストが増加したりする可能性があります。また、万が一、当社グループがこれらの法規制に違反した場合、行政処分、許認可の取消し、訴訟の提起等により、事業継続に支障をきたし、社会的信用の失墜を招く可能性があります。
② 対応策
当社グループは、コンプライアンス体制の強化を経営の最重要課題の一つと位置付け、関連法規の遵守を徹底しております。法務・コンプライアンス部門を設置し、社内規程の整備、役職員への教育・研修の実施、内部監査体制の強化等を通じて、法令遵守意識の向上とリスクの未然防止に努めております。また、弁護士等の外部専門家との連携を密にし、法改正や新たな規制の動向を常に把握し、適切に対応できる体制を構築しております。
(10) 主要人材への依存リスク・人材確保のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業は、不動産、建築、金融、IT(特にAI)等の専門知識や経験を有する人材によって支えられております。特に、経営幹部や特定の分野における専門性の高い人材への依存度が高い場合、当該人材が社外に流出した場合、当社グループの事業展開、技術開発、組織運営等に支障が生じる可能性があります。また、事業拡大に伴い、これらの専門人材を含む優秀な人材を継続的に確保・育成することが不可欠ですが、採用市場の競争激化や労働需給の変化等により、計画通りに人材確保が進まない場合、事業成長の制約要因となる可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の個人に過度に依存しない組織体制の構築を目指し、権限委譲や業務の標準化、情報共有の促進に努めております。また、人材育成プログラムや研修制度を充実させ、従業員の能力開発とキャリア形成を支援するとともに、次世代の経営を担う人材の育成にも注力してまいります。採用活動においては、採用チャネルの多様化や当社グループの魅力発信を強化し、優秀な人材の獲得に努めます。さらに、従業員が意欲を持って長期的に活躍できるような、働きがいのある職場環境の整備や福利厚生制度の充実に努めてまいります。
(11) 事業モデル特有のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、Land Creationにおいて不動産開発、コンストラクションマネジメント等を展開し、Agentic PlatformにおいてSaaSの提供、AIエージェント等のサービスを展開しております。これらのサービスには、それぞれ特有のリスクが存在します。例えば、Land Creationにおいては、不動産市況の変動や開発プロジェクトの進捗遅延等のリスクが存在し、Agentic Platformにおいては、技術の陳腐化リスク、システム障害リスク、顧客獲得や解約率に関するリスク等が存在します。これらの事業特有のリスクが顕在化した場合、当該事業の収益性が低下し、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、各事業の特性に応じたリスク管理体制を構築し、リスクの未然防止及び発生時の影響最小化に努めてまいります。Land Creationにおいては、案件審査及びプロジェクト管理の高度化を通じてリスク低減を図り、Agentic Platformにおいては、高度な技術人材の採用及び育成並びに研究開発投資を継続的に実施するとともに、サービス改善及び安定的なシステム運用に努め、顧客満足度の向上を図ります。また、両事業を通じて蓄積される知見及びデータを活用しながら事業運営の高度化を進めるとともに、各事業に関連する法規制の動向を注視し、適切に対応してまいります。
(12) 自然災害・システム障害のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業拠点や、当社グループが開発・保有・管理する不動産、あるいは当社が利用するデータセンター等が、地震、台風、洪水等の大規模な自然災害に見舞われた場合、物的損害や事業活動の停止を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループが事業運営に利用している情報システムやネットワークに、予期せぬ障害、サイバー攻撃、電力供給の停止等が発生した場合、サービスの提供が中断し、顧客からの信頼低下や事業機会の損失につながる可能性があります。これらの事象が発生した場合、復旧費用や機会損失等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、自然災害やシステム障害等の発生に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な見直しと訓練を実施しております。データのバックアップ体制を整備し、重要な情報システムの冗長化や耐障害性の向上に努めております。また、必要に応じて拠点の分散化やリモートワーク環境の整備を進め、災害発生時においても事業を継続できる体制の構築を図ってまいります。
(13) コンプライアンスリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループ役職員による法令違反、社内規程違反、不適切な会計処理、インサイダー取引、反社会的勢力との関係、各種ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生した場合、行政処分、訴訟の提起、許認可の取消し等につながる可能性があります。また、これらの事象は当社グループの社会的信用を著しく損ない、企業イメージの悪化、顧客や取引先との関係悪化、従業員の士気低下等を招き、事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、コンプライアンスを経営の最重要基盤と位置付け、代表取締役を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、グループ全体のコンプライアンス体制の整備・強化を図っております。コンプライアンス・リスク管理規程や行動規範を定め、全役職員に対するコンプライアンス研修を定期的に実施し、法令遵守意識の浸透を図っております。また、内部通報制度を設け、不正行為等の早期発見と是正に努めるとともに、内部監査部門による監査を通じて、業務の適正性を確保してまいります。
(14) 気候変動関連リスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
気候変動の進行に伴う異常気象の頻発化・激甚化は、当社グループが開発・保有・管理する不動産に対する物理的リスク(洪水、高潮、土砂災害等による損害)を高める可能性があります。また、脱炭素社会への移行に向けた政策・規制(炭素税の導入、省エネルギー基準の強化等)の強化は、当社グループの事業運営コストの増加や、保有不動産の資産価値の低下につながる可能性があります(移行リスク)。これらの気候変動に関連するリスクへ適切に対応できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態、さらには企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、気候変動が事業に与えるリスクと機会を認識し、その影響の把握に努めております。物理的リスクに対しては、ハザードマップ等を活用した立地評価や、災害に強い設計・建材の採用等を検討してまいります。移行リスクに対しては、事業活動における温室効果ガス排出量の把握・削減、省エネルギー性能の高い不動産の開発・改修、再生可能エネルギーの利用等を推進してまいります。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等の国際的な枠組みを参考に、情報開示の充実に努めることを検討してまいります。
(15) 特定の経営者へのリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの代表取締役である伊藤嘉盛は、創業以来、経営方針や事業戦略の決定、新規事業の推進、技術開発、組織構築等において極めて重要な役割を果たしており、当社グループの事業活動は代表者に大きく依存している側面があります。不動産、金融、スタートアップ経営に関する代表者の豊富な経験とリーダーシップは当社グループの強みでありますが、何らかの理由により代表が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の経営者に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。取締役会における意思決定機能の強化や、執行役員制度の導入による業務執行体制の整備、各部門への権限委譲を推進しております。また、経営理念や経営戦略を組織全体で共有し、次世代の経営幹部候補の育成にも注力することで、代表の伊藤に不測の事態が生じた場合でも、持続的な経営が可能となる組織基盤の強化を図ってまいります。
(16) 配当政策に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であり、本方針について株主からの理解が得られない場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、機関投資家との個別ミーティングの実施、機関投資家・アナリスト向けカンファレンスの参加、決算説明会の実施、コーポレートサイトにおけるIR特設ページの充実等を通じ、株主との対話に注力してまいります。それらIR活動を通じて、当社グループが重視する中長期目線に立った企業価値の最大化を詳細に繰り返し説明することで、当社配当方針について支持を獲得すべく尽力してまいります。
(17) 四半期業績の偏重に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:大、顕在化する可能性のある時期:2026/9期)
① リスク内容
当社グループの業績は四半期ごとに偏りが生じ、特に第4四半期に売上及び利益が偏重する傾向があります。これは事業上の季節性によるものではなく、自社グループのバランスシートで販売用不動産を保有する事業特性上、期末にかけて当該不動産を持ち続け、より多くの販売先と商談を行う事による収益の最大化を企図することに起因するものであります。
売上及び利益が偏重する第4四半期に見込んでいた案件が仮に翌期第1四半期にずれ込んだ場合、通期の業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
案件ポートフォリオマネジメントを強化し、可能な限り四半期毎の売上及び利益の偏重が発生しないようグループを挙げて取り組んでおります。具体的には四半期ごとの地権者様との調整状況、案件の進捗状況、及び顧客の需要動向を継続的にモニタリングし、月次及び四半期単位で業績見通しを更新しております。また、手掛ける案件数を増加させることによるボラティリティの低減を継続的に図っており、特定の四半期に業績が偏重する状態を早期に解消すべく尽力してまいります。
(18) 新株予約権の行使に伴う希薄化に関するリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:2026/9期以降)
① リスク内容
当社は、役員及び従業員等に対して新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の発行済株式総数が増加し、既存株主の議決権比率及び1株当たり利益等が希薄化する可能性があります。また、新株予約権の行使により発行される株式が市場で売却された場合には、当社株式の需給関係に影響を及ぼし、株価が変動する可能性があります。
一方、当社は、中長期における連結業績及び時価総額の継続的な向上を重視して経営を行っており、株主の皆様と利害を一致させたマネジメント層に対する長期的なインセンティブプランは、当社の企業価値向上に有効であると考えております。そのため、当社では、在籍要件、業績要件及び時価総額要件を新株予約権の権利行使条件に付した設計を、必要に応じて採用しております。
とりわけ、代表取締役に対して2026年9月28日付で割り当てた第14回新株予約権については、当社の創設者かつ大株主である伊藤嘉盛の長期にわたる経営への従事並びに業績及び時価総額の向上へのコミットメントを促すインセンティブとして、今後においても当社グループの経営に一層注力していく上で有用であると考えております。当社は、指名報酬委員会及び取締役会における審議を経て、業績及び時価総額の達成状況に応じて権利行使可能株数が確定するガバナンス上も適切な設計であることを確認した上で、同新株予約権を割り当てております。
参考情報として、当社における第1回から第14回の新株予約権の残存株数及び権利行使条件の概要を記載した表を掲載いたします。
(2026年9月28日現在)
② 対応策
当社では、新株予約権の付与に際して、付与対象者、発行数量、行使価額、行使期間及び行使条件を適切に設定し、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合を考慮して運用しております。
また、新株予約権の発行内容、潜在株式数及び残存状況について、法令及び証券取引所の規則に基づき適時適切に開示しております。今後の新株予約権の発行についても、株主価値への影響、付与の必要性及び希薄化の程度を総合的に検討した上で戦略的に決定していきます。
なお、第14回新株予約権は他の新株予約権と比較して割当株数が多くなっておりますが、業績(調整後EBITDA※)及び時価総額に係る要件を4段階に設定し、段階的に権利行使が可能となる設計としていることから、短期間における大量の株式の希薄化は回避される見通しです。
※調整後EBITDA = EBITDA + 株式報酬費用 + 一時的なM&A関連費用
(19) 社歴が浅く過年度業績の連続性が限定的であることに関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:2027/9期以降)
① リスク内容
当社は設立からの経過年数が浅く、過年度の財務情報及び経営指標の蓄積が限定的です。また、事業の開始時期、主力事業、事業規模等に変化が生じているため、過年度の業績を単純に比較することや、過年度の業績を基礎として将来の業績を予測することには限界があります。
特に、当社グループの業績は、不動産販売件数及び規模の大小に左右される傾向があります。そのため、今後の事業拡大が計画どおりに進まない場合、又は事業環境が変化した場合には、当社の業績、財政状態及び成長性に影響を及ぼす可能性があります。また、過年度の業績には、事業拡大期における一時的な要因も含まれており、当該業績が将来にわたって継続する保証はありません。
② 対応策
当社では、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、案件数、案件単価等の重要な経営指標を設定し、月次及び四半期単位で実績及び計画との差異を分析しております。また、事業計画については、事業環境、顧客動向、仕入状況及び投資計画等を踏まえて定期的に見直しを行い、取締役会等において進捗状況及び今後の対応方針を確認しております。さらに、事業規模の拡大に対応するため、人材の採用・育成、業務プロセスの標準化、内部管理体制及び財務報告に係る内部統制の整備を進め、持続的かつ安定的な成長基盤の構築に努めております。
(20) 親会社であるFuni株式会社との関係に関するリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社の親会社であるFuni株式会社(当社代表取締役である伊藤嘉盛が発行済株式の全部を保有する資産管理会社。以下「Funi」)は、複数の賃貸用不動産を保有し、金融機関からの借入れを行う相応の事業規模を有していることから、監査法人との協議の結果、当社の親会社に該当するものと整理しております。人的関係としては、当社代表取締役である伊藤嘉盛がFuniの代表取締役を兼務しておりますが、その他の人的関係はありません。また、取引関係としては、当社がFuniに対して会議音声をAIで分析し、自動で議事録に変換するサービスを提供しております。当該サービスの取引価格は第三者に提供する場合と同額としており、関連当事者取引に該当することから、取引開始前に当社取締役会において取引の必要性及び取引条件の妥当性を確認の上、承認しております。
Funiは中長期保有目的の収益不動産等への投資を基本方針としており、原則として売却を前提に、通常の投資目線として売却想定価格5億円から20億円程度の案件を基本方針とする当社子会社つくる地所株式会社の投資基準とは、投資期間及び投資対象を異にしております。もっとも、伊藤嘉盛が当社の代表取締役であると同時にFuniの実質的な保有者及び役員を兼務していることから、Funi又は伊藤嘉盛が実質的に支配する法人等(Funi以外の資産管理会社を含む)による不動産取得等に関し、当社グループの事業機会との競合、取引条件の妥当性、又は利益相反が生じるおそれがあります。
Funiから当社の経営に関する事前承認を受ける事項はありません。一方、Funi又は伊藤嘉盛が実質的に支配する法人等による不動産買付けについては、当社グループとの事業機会の競合及び利益相反を管理する観点から、後記のとおり当社の特別委員会による事前審議の対象としております。なお、Funiによる当社の経営に関するその他の関与又は定期的な経営情報の報告は行っておりません。
当社は、代表取締役による不動産買付けについて、独立社外役員で構成する特別委員会への事前通知・審議を義務付ける規程等を整備しております。当該規程の対象範囲は、代表取締役が代表者を務める法人、代表取締役が議決権の過半数を直接又は間接的に保有する法人、及び代表取締役が議決権の保有状況、役員の選任その他の事情により当該法人の財務及び事業の方針を実質的に決定できる法人としており、これは、代表取締役自身のコントロールが及ぶ範囲において利益相反を管理するという考え方に基づくものです。このような利益相反管理の枠組みが適切に運用されない場合、当社グループの事業機会の逸失、少数株主利益の毀損、又はコーポレート・ガバナンスに対する市場の信頼低下を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社は、「代表取締役の不動産買付けに関する事前通知規程」及び「特別委員会運営ガイドライン」に基づき、代表取締役個人及び代表取締役が実質的に支配する法人(Funiを含む)による不動産取引全件について、特別委員会への事前通知及び審議(承認、条件付承認又は否認の勧告)を経なければ契約を締結できない体制としております。対象範囲は、代表取締役個人の議決権保有状況、役員選任その他の事情に基づく実質的な支配の有無という観点から画定しており、代表取締役の利益相反管理として合理的な範囲を設定しております。
特別委員会は、原則として対面又はオンラインにより開催しておりますが、不動産取引に求められる機動性を踏まえ、対面等による開催が困難な場合には、電子メールを用いて開催することとしております。電子メールによる開催の場合であっても、対象不動産の住所、写真、面積、価格及び売主等、利益相反又は事業機会の競合の有無を判断するために必要な情報を通知するとともに、一定の期間内に委員が当該情報を確認し、必要に応じて質疑応答又は異議申立てを行うことができる運用とすることで、実質的な審議・確認の機会を確保しております。当該期間内に異議の申立てがない場合、当該取引は特別委員会により承認されたものとみなされますが、異議が申し立てられた場合には、当該異議が解消されるまで代表取締役は売買契約を締結することができないものとしております。特別委員会に通知された案件の内容及び審議結果については、定時取締役会において定期的に振り返り報告を行うこととしており、事前の審議機会と事後の取締役会によるモニタリングを組み合わせた牽制体制としております。
また、Funiとの取引関係については、当該取引は関連当事者取引に該当することから、「関連当事者取引管理規程」に基づき、取締役会による事前審議・承認及び特別利害関係を有する取締役の決議への不参加の手続を経るものとしております。あわせて、監査役会が関連当事者取引管理台帳を月次で確認し、Funiとの取引の有無及び取引条件の妥当性を継続的にモニタリングしております。
(コーポレート・ガバナンスの状況の詳細については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 f 特別委員会」を参照。)
(21)代表取締役の親族が当社の執行役員に就任していることについて
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社の代表取締役である伊藤嘉盛の実姉である伊藤嘉恵が、当社の執行役員CLO(最高法務責任者)兼経営管理ユニット長を務めております。代表取締役と執行役員の間に近親者(二親等内の血族)関係が存在することから、実質的又は外形的に、意思決定や業務執行の過程において利益相反が生じるリスク、ガバナンス上の客観性が損なわれる懸念、あるいは特定の個人への権限集中による牽制機能の形骸化が生じる潜在的なリスクが存在します。万が一、親族関係を背景とした不適切な関連当事者取引や利益相反行為が発生した場合、少数株主の利益が損なわれるほか、当社グループの社会的信用やレピュテーション、コーポレート・ガバナンスに対する評価に重大な影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 対応策
当社グループでは、代表取締役と執行役員との親族関係に起因する利益相反やガバナンス上の懸念を客観的に排除するため、以下のガバナンス体制及び牽制体制を構築し、厳格に運用しております。
有資格者としての適任性と報酬の妥当性 :執行役員CLOである伊藤嘉恵は、弁護士資格を有し、法律事務所でのM&A実務経験や裁判官として東京地裁等において執務した経歴を持つ法務・コンプライアンス分野の高度な専門家であります。同氏の報酬については、当社の等級制度及び役割グレードに基づく給与テーブルを厳格に適用しており、他のユニット長(同等級)と同一の基準で決定され、親族関係による特別な優遇等は一切行っておりません。
内部監査の独立性確保:内部監査部門の独立性を実質・外形の双方から客観的に確保し、ガバナンス上の懸念を根本的に解消するため、2026年8月をもって、同氏は当社の内部監査室長を退任いたしました。後任の内部監査室長には、代表取締役や同氏と一切の利害関係を有しない公認会計士の並木理人を起用し、完全に独立した内部監査体制を確立しております。
関連当事者取引及び利益相反取引の牽制・監視体制: 当社は「関連当事者取引管理規程」を制定し、役員及びその近親者との取引については、取引の合理性及び条件の妥当性を事前に慎重に審議した上で、原則として取締役会による事前承認及び特別利害関係を有する取締役の決議除外を必須とするフローを徹底しております。また、代表取締役個人又はその近親者が50%超の議決権を有する資産管理会社(Funi株式会社等)による不動産取引に対しては、「代表取締役の不動産買付に関する事前通知規程」を設け、独立社外取締役及び監査役のみで構成される「特別委員会」が事前審査及び差止め等の強力な牽制・モニタリングを行っております。
多層的な監督・監査機能:執行役員制度の導入による監督と業務執行の明確な分離に加え、独立社外取締役2名を含む取締役会、全員が独立役員である社外監査役3名による監査役会が多角的な視点から牽制を行っております。さらに、監査役会、内部監査室、監査法人が密に連携する「三様監査」を通じて、業務の適正性と透明性を実効的に担保しております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(リスクの目安)
| レベル | 影響 | 顕在化可能性 |
| 高 | 事業撤退の可能性がある | 数ヶ月から1年で発生する可能性がある |
| 中 | 事業計画の見直しが必要になる | 直近では低いが数年後に発生の可能性がある |
| 低 | 影響は限定的 | 可能性は低いが注視が必要 |
(1) 不動産市況の変動リスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:景気後退)
① リスク内容
当社グループの事業、特に不動産開発や不動産売買は国内外の経済情勢、金融政策(金融緩和・引き締め、金利動向等)、税制の変更、不動産需給バランス、人口動態の変化、地価の変動等、様々な要因による不動産市況の変動の影響を受ける可能性があります。特に、投資用不動産市場の環境が悪化した場合、販売価格の下落、販売期間の長期化、仕入価格の上昇、賃料水準の下落等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の地域やアセットタイプに集中投資することなく、市場動向を注視しながら分散投資を心がけることで、市況変動リスクの低減を図ってまいります。また、経済・金融情勢や不動産市場に関する情報収集及び分析を継続的に行い、変化に迅速に対応できる体制を構築してまいります。さらに、安定的な収益基盤の確立を目指し、SaaS事業である「デベNAVI」等のストック型収益モデルの強化にも注力してまいります。
(2) 金利変動リスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:金融政策の変更)
① リスク内容
当社グループは、不動産の仕入れや開発資金の大部分を金融機関からの借入れにより調達しております。当社グループの不動産仕入れにおけるLTV(Loan to Value:不動産価値に対する借入金の割合)は、案件ごとに異なるものの、90%~100%程度(2025年4月以降の48件中43件のLTVが90%以上)となっております。そのため、将来的に金融緩和政策の縮小や短期・長期金利が上昇した場合、支払利息が増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金利上昇は不動産投資家の期待利回りを上昇させ、不動産価格の下落要因となる可能性や、不動産投資市場全体の資金調達環境を悪化させる可能性もあります。
② 対応策
当社グループは、金利変動が経営に与えるリスクを軽減するため、不動産を仕入れてから売却するまでの期間を短縮することに努めております。これに伴って借入期間も短縮されるため、金利変動リスクを最小限に抑える効果があります。加えて、一つ一つの不動産物件において十分な粗利率を確保できるよう投資委員会で厳しく管理しており、こうした取り組みによって、多少の金利変動が生じても当社グループの財務基盤に大きな影響が及ばない体制を構築しております。また、安定的な財務基盤を維持・強化するため、自己資本の充実に継続して努めてまいります。同時に、金融機関との良好な関係を維持し、必要に応じて柔軟かつ多様な資金調達手段を確保することにも注力してまいります。
(3) 特定の取引への依存及び業績変動に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの不動産開発・販売事業においては、一件あたりの取引金額が比較的高額となる傾向があります。不動産の売買契約締結から決済・引渡しまでには一定の期間を要し、許認可取得の遅延、買主側の資金調達状況、その他の予期せぬ事象により、当初予定していた決済時期が翌四半期や翌事業年度にずれ込む可能性があります。その結果、特定の大型案件の決済時期が変動することにより、四半期ごと又は事業年度ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の大型取引の動向が業績に与える影響について、投資家に対し適時適切な情報開示を行うよう努めてまいります。中長期的には、「デベNAVI」等のSaaS、AIエージェントといったストック型収益モデルの育成・強化を図り、収益構造の安定化を目指してまいります。また、不動産開発・販売事業においては、プロジェクトの工程管理を徹底し、計画的な販売及び決済の実行に努めるとともに、複数のプロジェクトを異なる時期に展開することで、単一案件への依存度を低減し、業績の平準化を図ってまいります。
(4) 競争激化のリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループが事業を展開する不動産開発領域は規模が大きい市場として注目されており、既存の不動産会社、建設会社、IT企業に加え、国内外からの新規参入が相次いでおります。競合他社が当社グループよりも優れた技術やサービス、価格競争力のある商品を提供した場合、あるいは大規模な資本力を背景とした事業展開を行った場合、当社グループの市場シェアや収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、Land CreationとAgentic Platformの双方を展開している強みを活かし、現場で得られる知見、ノウハウ及びデータとAI技術開発を継続的に循環させることで、顧客ニーズに即したサービスの提供及び継続的な技術高度化を実現しております。また、継続的なサービス改善、M&A及び事業提携等を通じて事業領域の拡大を図ることで、他社との差別化を推進し、競争優位性の確保に努めてまいります。
(5) 技術革新への対応リスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、AIをはじめとする先端技術を活用した事業展開を強みとしております。しかし、AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーン等の技術は急速に進展しており、新たな技術やサービスの登場により、既存の技術が陳腐化する可能性があります。当社グループがこれらの技術革新の動向を的確に把握し、迅速かつ適切に対応できなかった場合、技術的な優位性を失い、競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、国内外の最新技術動向に関する情報収集・調査研究を継続的に行い、技術革新への対応力を維持・強化してまいります。技術開発体制を強化し、研究開発への投資を積極的に行うとともに、外部の専門家や研究機関、先進的な技術を持つ企業との連携も視野に入れ、常に技術力の向上に努めます。また、従業員のスキルアップ支援や専門人材の確保・育成にも注力し、組織全体の技術対応力を高めてまいります。
(6) M&A・事業提携に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、事業拡大や競争力強化のため、M&A(企業の合併・買収)や事業提携を重要な戦略の一つとして位置付けております。しかし、M&Aや事業提携の実施にあたっては、対象企業の事業、財務、法務等に関する事前のデューデリジェンス(詳細調査)を慎重に行いますが、偶発債務の発生や未認識の簿外債務、訴訟等のリスクが顕在化する可能性を完全に排除することはできません。また、買収後の統合プロセス(PMI)が計画通りに進まなかった場合や、期待したシナジー効果(事業上の相乗効果)が十分に得られなかった場合、のれんの減損損失が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
M&Aや事業提携を行う際には、外部の専門家も活用し、対象企業や事業のリスクについて詳細なデューデリジェンスを実施いたします。また、買収・提携後の統合計画を事前に策定し、組織体制、業務プロセス、企業文化等の統合を円滑に進めるための施策を実行します。さらに、シナジー効果の創出に向けた具体的な取り組みを計画・実行し、その進捗状況を継続的にモニタリングすることで、投資効果の最大化を図ってまいります。
(7) 情報セキュリティ・個人情報保護のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、事業運営上、顧客情報、取引情報、不動産情報、従業員情報など、多くの機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報について、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの感染、内部関係者による不正行為、不注意による情報漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求、行政処分等につながり、事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、情報セキュリティを経営上の重要課題と認識し、情報管理規程を整備するとともに、技術的・物理的・人的なセキュリティ対策を講じております。具体的には、情報システムへのアクセス制御、不正アクセス監視、ファイアウォールの設置、従業員に対する情報セキュリティ教育の実施、委託先の管理体制の強化等に取り組んでおります。また、個人情報保護法をはじめとする関連法令を遵守し、個人情報の適切な取得、利用、管理を徹底してまいります。インシデント発生に備えた対応計画を策定し、定期的な見直しと訓練を実施してまいります。
(8) 法令・規制に関するリスク(宅地建物取引業法)
当社グループの主要な事業は、宅地建物取引業法に基づく免許を得て、事業活動を行っております。
当該免許は当社グループ事業の根幹となるものであることから、その有効性等を適切に管理するとともに、その他関連法令についても改正や改廃の有無を適時にモニタリングできる体制を整備しております。
なお、宅地建物取引業法については、免許の有効期間及び更新期限、事務所ごとの専任宅地建物取引士の設置状況(法定人数割合を含む)及び宅地建物取引士証の有効性、宅地建物取引業者票・報酬額表の掲示状況、並びに従業者証明書、従業者名簿及び業務帳簿の作成・更新・保存状況等を管理対象とし、人員異動や拠点の新設・廃止等が生じた場合には経営管理ユニット総務チームに情報を集約のうえ、事務所ごとの法定要件充足を継続的に確認する体制を整備しております。また、内部監査及び監査役監査においても、宅地建物取引業者票等の掲示状況、専任宅地建物取引士の配置状況及び宅地建物取引士証の有効性、従業者証明書・従業者名簿・業務帳簿の整備状況等を確認対象とし、宅地建物取引業法に係る法令遵守状況をモニタリングしております。なお、法令・規制の不遵守が発生した場合には、重大な事業上の影響を及ぼす可能性はありますが、現状、継続的に支障をきたす要因は一切発生しておりません。
| 免許、許可、登録等の別 | 有効期間 | 関連する法律 | 登録等の交付者 | 取り消し条項 | |
| つくる地所 | 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(2) 第9463号 | 令和5年11月22日 から 令和10年11月21日 | 宅地建物取引業法 | 国土交通大臣 | 同法第5条(破産、禁固以上の刑に処せられた場合等の欠格事由への該当) 及び第66条(免許の不正取得等の取消事由への該当) |
| つくる資産 | 宅地建物取引業者免許 東京都知事(1) 第113903号 | 令和8年5月16日 から 令和13年5月15日 | 宅地建物取引業法 | 東京都知事 | 同法第5条(破産、禁固以上の刑に処せられた場合等の欠格事由への該当) 及び第66条(免許の不正取得等の取消事由への該当) |
(9) 法令・規制に関するリスク(宅地建物取引業法以外)
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業は、宅地建物取引業法、建設業法、金融商品取引法、建築基準法、都市計画法、個人情報保護法、不正競争防止法、消費者契約法など、多岐に渡る法規制の適用を受けております。これらの法規制が改正された場合、新たな規制が導入された場合、あるいは既存の法規制の解釈・運用が変更された場合、当社グループの事業活動が制約を受けたり、対応コストが増加したりする可能性があります。また、万が一、当社グループがこれらの法規制に違反した場合、行政処分、許認可の取消し、訴訟の提起等により、事業継続に支障をきたし、社会的信用の失墜を招く可能性があります。
② 対応策
当社グループは、コンプライアンス体制の強化を経営の最重要課題の一つと位置付け、関連法規の遵守を徹底しております。法務・コンプライアンス部門を設置し、社内規程の整備、役職員への教育・研修の実施、内部監査体制の強化等を通じて、法令遵守意識の向上とリスクの未然防止に努めております。また、弁護士等の外部専門家との連携を密にし、法改正や新たな規制の動向を常に把握し、適切に対応できる体制を構築しております。
(10) 主要人材への依存リスク・人材確保のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業は、不動産、建築、金融、IT(特にAI)等の専門知識や経験を有する人材によって支えられております。特に、経営幹部や特定の分野における専門性の高い人材への依存度が高い場合、当該人材が社外に流出した場合、当社グループの事業展開、技術開発、組織運営等に支障が生じる可能性があります。また、事業拡大に伴い、これらの専門人材を含む優秀な人材を継続的に確保・育成することが不可欠ですが、採用市場の競争激化や労働需給の変化等により、計画通りに人材確保が進まない場合、事業成長の制約要因となる可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の個人に過度に依存しない組織体制の構築を目指し、権限委譲や業務の標準化、情報共有の促進に努めております。また、人材育成プログラムや研修制度を充実させ、従業員の能力開発とキャリア形成を支援するとともに、次世代の経営を担う人材の育成にも注力してまいります。採用活動においては、採用チャネルの多様化や当社グループの魅力発信を強化し、優秀な人材の獲得に努めます。さらに、従業員が意欲を持って長期的に活躍できるような、働きがいのある職場環境の整備や福利厚生制度の充実に努めてまいります。
(11) 事業モデル特有のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループは、Land Creationにおいて不動産開発、コンストラクションマネジメント等を展開し、Agentic PlatformにおいてSaaSの提供、AIエージェント等のサービスを展開しております。これらのサービスには、それぞれ特有のリスクが存在します。例えば、Land Creationにおいては、不動産市況の変動や開発プロジェクトの進捗遅延等のリスクが存在し、Agentic Platformにおいては、技術の陳腐化リスク、システム障害リスク、顧客獲得や解約率に関するリスク等が存在します。これらの事業特有のリスクが顕在化した場合、当該事業の収益性が低下し、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、各事業の特性に応じたリスク管理体制を構築し、リスクの未然防止及び発生時の影響最小化に努めてまいります。Land Creationにおいては、案件審査及びプロジェクト管理の高度化を通じてリスク低減を図り、Agentic Platformにおいては、高度な技術人材の採用及び育成並びに研究開発投資を継続的に実施するとともに、サービス改善及び安定的なシステム運用に努め、顧客満足度の向上を図ります。また、両事業を通じて蓄積される知見及びデータを活用しながら事業運営の高度化を進めるとともに、各事業に関連する法規制の動向を注視し、適切に対応してまいります。
(12) 自然災害・システム障害のリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの事業拠点や、当社グループが開発・保有・管理する不動産、あるいは当社が利用するデータセンター等が、地震、台風、洪水等の大規模な自然災害に見舞われた場合、物的損害や事業活動の停止を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループが事業運営に利用している情報システムやネットワークに、予期せぬ障害、サイバー攻撃、電力供給の停止等が発生した場合、サービスの提供が中断し、顧客からの信頼低下や事業機会の損失につながる可能性があります。これらの事象が発生した場合、復旧費用や機会損失等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、自然災害やシステム障害等の発生に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な見直しと訓練を実施しております。データのバックアップ体制を整備し、重要な情報システムの冗長化や耐障害性の向上に努めております。また、必要に応じて拠点の分散化やリモートワーク環境の整備を進め、災害発生時においても事業を継続できる体制の構築を図ってまいります。
(13) コンプライアンスリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループ役職員による法令違反、社内規程違反、不適切な会計処理、インサイダー取引、反社会的勢力との関係、各種ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生した場合、行政処分、訴訟の提起、許認可の取消し等につながる可能性があります。また、これらの事象は当社グループの社会的信用を著しく損ない、企業イメージの悪化、顧客や取引先との関係悪化、従業員の士気低下等を招き、事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、コンプライアンスを経営の最重要基盤と位置付け、代表取締役を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、グループ全体のコンプライアンス体制の整備・強化を図っております。コンプライアンス・リスク管理規程や行動規範を定め、全役職員に対するコンプライアンス研修を定期的に実施し、法令遵守意識の浸透を図っております。また、内部通報制度を設け、不正行為等の早期発見と是正に努めるとともに、内部監査部門による監査を通じて、業務の適正性を確保してまいります。
(14) 気候変動関連リスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
気候変動の進行に伴う異常気象の頻発化・激甚化は、当社グループが開発・保有・管理する不動産に対する物理的リスク(洪水、高潮、土砂災害等による損害)を高める可能性があります。また、脱炭素社会への移行に向けた政策・規制(炭素税の導入、省エネルギー基準の強化等)の強化は、当社グループの事業運営コストの増加や、保有不動産の資産価値の低下につながる可能性があります(移行リスク)。これらの気候変動に関連するリスクへ適切に対応できなかった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態、さらには企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、気候変動が事業に与えるリスクと機会を認識し、その影響の把握に努めております。物理的リスクに対しては、ハザードマップ等を活用した立地評価や、災害に強い設計・建材の採用等を検討してまいります。移行リスクに対しては、事業活動における温室効果ガス排出量の把握・削減、省エネルギー性能の高い不動産の開発・改修、再生可能エネルギーの利用等を推進してまいります。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等の国際的な枠組みを参考に、情報開示の充実に努めることを検討してまいります。
(15) 特定の経営者へのリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社グループの代表取締役である伊藤嘉盛は、創業以来、経営方針や事業戦略の決定、新規事業の推進、技術開発、組織構築等において極めて重要な役割を果たしており、当社グループの事業活動は代表者に大きく依存している側面があります。不動産、金融、スタートアップ経営に関する代表者の豊富な経験とリーダーシップは当社グループの強みでありますが、何らかの理由により代表が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、特定の経営者に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。取締役会における意思決定機能の強化や、執行役員制度の導入による業務執行体制の整備、各部門への権限委譲を推進しております。また、経営理念や経営戦略を組織全体で共有し、次世代の経営幹部候補の育成にも注力することで、代表の伊藤に不測の事態が生じた場合でも、持続的な経営が可能となる組織基盤の強化を図ってまいります。
(16) 配当政策に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であり、本方針について株主からの理解が得られない場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社グループは、機関投資家との個別ミーティングの実施、機関投資家・アナリスト向けカンファレンスの参加、決算説明会の実施、コーポレートサイトにおけるIR特設ページの充実等を通じ、株主との対話に注力してまいります。それらIR活動を通じて、当社グループが重視する中長期目線に立った企業価値の最大化を詳細に繰り返し説明することで、当社配当方針について支持を獲得すべく尽力してまいります。
(17) 四半期業績の偏重に関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:大、顕在化する可能性のある時期:2026/9期)
① リスク内容
当社グループの業績は四半期ごとに偏りが生じ、特に第4四半期に売上及び利益が偏重する傾向があります。これは事業上の季節性によるものではなく、自社グループのバランスシートで販売用不動産を保有する事業特性上、期末にかけて当該不動産を持ち続け、より多くの販売先と商談を行う事による収益の最大化を企図することに起因するものであります。
売上及び利益が偏重する第4四半期に見込んでいた案件が仮に翌期第1四半期にずれ込んだ場合、通期の業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
案件ポートフォリオマネジメントを強化し、可能な限り四半期毎の売上及び利益の偏重が発生しないようグループを挙げて取り組んでおります。具体的には四半期ごとの地権者様との調整状況、案件の進捗状況、及び顧客の需要動向を継続的にモニタリングし、月次及び四半期単位で業績見通しを更新しております。また、手掛ける案件数を増加させることによるボラティリティの低減を継続的に図っており、特定の四半期に業績が偏重する状態を早期に解消すべく尽力してまいります。
(18) 新株予約権の行使に伴う希薄化に関するリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:2026/9期以降)
① リスク内容
当社は、役員及び従業員等に対して新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の発行済株式総数が増加し、既存株主の議決権比率及び1株当たり利益等が希薄化する可能性があります。また、新株予約権の行使により発行される株式が市場で売却された場合には、当社株式の需給関係に影響を及ぼし、株価が変動する可能性があります。
一方、当社は、中長期における連結業績及び時価総額の継続的な向上を重視して経営を行っており、株主の皆様と利害を一致させたマネジメント層に対する長期的なインセンティブプランは、当社の企業価値向上に有効であると考えております。そのため、当社では、在籍要件、業績要件及び時価総額要件を新株予約権の権利行使条件に付した設計を、必要に応じて採用しております。
とりわけ、代表取締役に対して2026年9月28日付で割り当てた第14回新株予約権については、当社の創設者かつ大株主である伊藤嘉盛の長期にわたる経営への従事並びに業績及び時価総額の向上へのコミットメントを促すインセンティブとして、今後においても当社グループの経営に一層注力していく上で有用であると考えております。当社は、指名報酬委員会及び取締役会における審議を経て、業績及び時価総額の達成状況に応じて権利行使可能株数が確定するガバナンス上も適切な設計であることを確認した上で、同新株予約権を割り当てております。
参考情報として、当社における第1回から第14回の新株予約権の残存株数及び権利行使条件の概要を記載した表を掲載いたします。
(2026年9月28日現在)
| 回数 | 割当日 | 対象者 | 株数 | 権利行使 価格 | 権利行使条件及び割合 | 中長期 インセンティブ |
| 1-1 | 2024年3月29日 | 役職員 | 71,955株 | 26円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 1-2 | 2024年6月28日 | 役職員 | 85,700株 | 26円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 1-3 | 2024年12月27日 | 役職員 | 83,665株 | 26円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 2 | 2023年3月7日 | 役職員 | 128,630株 | 26円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 3 | 2023年3月7日 | 社外協力者 | 2,210株 | 26円 | 2024年9期~2026年9期までの間に売上高80億円を超過 | - |
| 4 | 2024年12月17日 | 役職員 | 33,415株 | 26円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 5 | 2024年12月17日 | 役職員 | 14,735株 | 26円 | 上場かつ、2029年11月1日以降 | 〇 |
| 6 | 2025年6月30日 | 役職員 | 105,335株 | 815円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 7 | 2025年6月30日 | 役職員 | 14,735株 | 815円 | 上場かつ、2030年4月1日以降 | 〇 |
| 8 | 2025年9月30日 | 社外取締役・社外監査役 | 44,625株 | 1,120円 | 時価総額が800億円を超過 | - |
| 9 | 2025年10月1日 | 役職員 | 50,000株 | 1,120円 | 上場かつ、2027年10月1日以降1/2、2030年10月1日 以降2/2 | 〇 |
| 10 | 2025年10月31日 | 役職員 | 110,855株 | 1,120円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 11 | 2025年10月31日 | 役職員 | 190,370株 | 1,120円 | 上場かつ、2030年6月30日以降 | 〇 |
| 12 | 2026年5月20日 | 役職員 | 225,130株 | 3,306円 | 上場時1/4、上場1年後2/4、上場2年後4/4 | - |
| 13 | 2026年5月20日 | 役職員 | 30,000株 | 3,306円 | うち15,000株は上場かつ、2031年2月1日以降 残り15,000株は上場かつ2031年4月1日以降 | 〇 |
| 14 | 2026年9月28日 | 代表取締役 | 763,400株 | 4,000円もしくは新規上場時公開価格のいずれか高い方 | 調整後EBITDAが150億円を超過し、かつ基準時価総額が3,000億円を超えた場合:行使可能割合15% 調整後EBITDAが250億円を超過し、かつ基準時価総額が5,000億円を超えた場合: 行使可能割合35% 調整後EBITDAが350億円を超過し、かつ基準時価総額が7,000億円を超えた場合: 行使可能割合60% 調整後EBITDAが500億円を超過し、かつ基準時価総額が1兆円を超えた場合: 行使可能割合100% | ◎ |
② 対応策
当社では、新株予約権の付与に際して、付与対象者、発行数量、行使価額、行使期間及び行使条件を適切に設定し、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合を考慮して運用しております。
また、新株予約権の発行内容、潜在株式数及び残存状況について、法令及び証券取引所の規則に基づき適時適切に開示しております。今後の新株予約権の発行についても、株主価値への影響、付与の必要性及び希薄化の程度を総合的に検討した上で戦略的に決定していきます。
なお、第14回新株予約権は他の新株予約権と比較して割当株数が多くなっておりますが、業績(調整後EBITDA※)及び時価総額に係る要件を4段階に設定し、段階的に権利行使が可能となる設計としていることから、短期間における大量の株式の希薄化は回避される見通しです。
※調整後EBITDA = EBITDA + 株式報酬費用 + 一時的なM&A関連費用
(19) 社歴が浅く過年度業績の連続性が限定的であることに関するリスク
(影響レベル:中、顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:2027/9期以降)
① リスク内容
当社は設立からの経過年数が浅く、過年度の財務情報及び経営指標の蓄積が限定的です。また、事業の開始時期、主力事業、事業規模等に変化が生じているため、過年度の業績を単純に比較することや、過年度の業績を基礎として将来の業績を予測することには限界があります。
特に、当社グループの業績は、不動産販売件数及び規模の大小に左右される傾向があります。そのため、今後の事業拡大が計画どおりに進まない場合、又は事業環境が変化した場合には、当社の業績、財政状態及び成長性に影響を及ぼす可能性があります。また、過年度の業績には、事業拡大期における一時的な要因も含まれており、当該業績が将来にわたって継続する保証はありません。
② 対応策
当社では、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、案件数、案件単価等の重要な経営指標を設定し、月次及び四半期単位で実績及び計画との差異を分析しております。また、事業計画については、事業環境、顧客動向、仕入状況及び投資計画等を踏まえて定期的に見直しを行い、取締役会等において進捗状況及び今後の対応方針を確認しております。さらに、事業規模の拡大に対応するため、人材の採用・育成、業務プロセスの標準化、内部管理体制及び財務報告に係る内部統制の整備を進め、持続的かつ安定的な成長基盤の構築に努めております。
(20) 親会社であるFuni株式会社との関係に関するリスク
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社の親会社であるFuni株式会社(当社代表取締役である伊藤嘉盛が発行済株式の全部を保有する資産管理会社。以下「Funi」)は、複数の賃貸用不動産を保有し、金融機関からの借入れを行う相応の事業規模を有していることから、監査法人との協議の結果、当社の親会社に該当するものと整理しております。人的関係としては、当社代表取締役である伊藤嘉盛がFuniの代表取締役を兼務しておりますが、その他の人的関係はありません。また、取引関係としては、当社がFuniに対して会議音声をAIで分析し、自動で議事録に変換するサービスを提供しております。当該サービスの取引価格は第三者に提供する場合と同額としており、関連当事者取引に該当することから、取引開始前に当社取締役会において取引の必要性及び取引条件の妥当性を確認の上、承認しております。
Funiは中長期保有目的の収益不動産等への投資を基本方針としており、原則として売却を前提に、通常の投資目線として売却想定価格5億円から20億円程度の案件を基本方針とする当社子会社つくる地所株式会社の投資基準とは、投資期間及び投資対象を異にしております。もっとも、伊藤嘉盛が当社の代表取締役であると同時にFuniの実質的な保有者及び役員を兼務していることから、Funi又は伊藤嘉盛が実質的に支配する法人等(Funi以外の資産管理会社を含む)による不動産取得等に関し、当社グループの事業機会との競合、取引条件の妥当性、又は利益相反が生じるおそれがあります。
Funiから当社の経営に関する事前承認を受ける事項はありません。一方、Funi又は伊藤嘉盛が実質的に支配する法人等による不動産買付けについては、当社グループとの事業機会の競合及び利益相反を管理する観点から、後記のとおり当社の特別委員会による事前審議の対象としております。なお、Funiによる当社の経営に関するその他の関与又は定期的な経営情報の報告は行っておりません。
当社は、代表取締役による不動産買付けについて、独立社外役員で構成する特別委員会への事前通知・審議を義務付ける規程等を整備しております。当該規程の対象範囲は、代表取締役が代表者を務める法人、代表取締役が議決権の過半数を直接又は間接的に保有する法人、及び代表取締役が議決権の保有状況、役員の選任その他の事情により当該法人の財務及び事業の方針を実質的に決定できる法人としており、これは、代表取締役自身のコントロールが及ぶ範囲において利益相反を管理するという考え方に基づくものです。このような利益相反管理の枠組みが適切に運用されない場合、当社グループの事業機会の逸失、少数株主利益の毀損、又はコーポレート・ガバナンスに対する市場の信頼低下を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 対応策
当社は、「代表取締役の不動産買付けに関する事前通知規程」及び「特別委員会運営ガイドライン」に基づき、代表取締役個人及び代表取締役が実質的に支配する法人(Funiを含む)による不動産取引全件について、特別委員会への事前通知及び審議(承認、条件付承認又は否認の勧告)を経なければ契約を締結できない体制としております。対象範囲は、代表取締役個人の議決権保有状況、役員選任その他の事情に基づく実質的な支配の有無という観点から画定しており、代表取締役の利益相反管理として合理的な範囲を設定しております。
特別委員会は、原則として対面又はオンラインにより開催しておりますが、不動産取引に求められる機動性を踏まえ、対面等による開催が困難な場合には、電子メールを用いて開催することとしております。電子メールによる開催の場合であっても、対象不動産の住所、写真、面積、価格及び売主等、利益相反又は事業機会の競合の有無を判断するために必要な情報を通知するとともに、一定の期間内に委員が当該情報を確認し、必要に応じて質疑応答又は異議申立てを行うことができる運用とすることで、実質的な審議・確認の機会を確保しております。当該期間内に異議の申立てがない場合、当該取引は特別委員会により承認されたものとみなされますが、異議が申し立てられた場合には、当該異議が解消されるまで代表取締役は売買契約を締結することができないものとしております。特別委員会に通知された案件の内容及び審議結果については、定時取締役会において定期的に振り返り報告を行うこととしており、事前の審議機会と事後の取締役会によるモニタリングを組み合わせた牽制体制としております。
また、Funiとの取引関係については、当該取引は関連当事者取引に該当することから、「関連当事者取引管理規程」に基づき、取締役会による事前審議・承認及び特別利害関係を有する取締役の決議への不参加の手続を経るものとしております。あわせて、監査役会が関連当事者取引管理台帳を月次で確認し、Funiとの取引の有無及び取引条件の妥当性を継続的にモニタリングしております。
(コーポレート・ガバナンスの状況の詳細については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 f 特別委員会」を参照。)
(21)代表取締役の親族が当社の執行役員に就任していることについて
(影響レベル:低、顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし)
① リスク内容
当社の代表取締役である伊藤嘉盛の実姉である伊藤嘉恵が、当社の執行役員CLO(最高法務責任者)兼経営管理ユニット長を務めております。代表取締役と執行役員の間に近親者(二親等内の血族)関係が存在することから、実質的又は外形的に、意思決定や業務執行の過程において利益相反が生じるリスク、ガバナンス上の客観性が損なわれる懸念、あるいは特定の個人への権限集中による牽制機能の形骸化が生じる潜在的なリスクが存在します。万が一、親族関係を背景とした不適切な関連当事者取引や利益相反行為が発生した場合、少数株主の利益が損なわれるほか、当社グループの社会的信用やレピュテーション、コーポレート・ガバナンスに対する評価に重大な影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 対応策
当社グループでは、代表取締役と執行役員との親族関係に起因する利益相反やガバナンス上の懸念を客観的に排除するため、以下のガバナンス体制及び牽制体制を構築し、厳格に運用しております。
有資格者としての適任性と報酬の妥当性 :執行役員CLOである伊藤嘉恵は、弁護士資格を有し、法律事務所でのM&A実務経験や裁判官として東京地裁等において執務した経歴を持つ法務・コンプライアンス分野の高度な専門家であります。同氏の報酬については、当社の等級制度及び役割グレードに基づく給与テーブルを厳格に適用しており、他のユニット長(同等級)と同一の基準で決定され、親族関係による特別な優遇等は一切行っておりません。
内部監査の独立性確保:内部監査部門の独立性を実質・外形の双方から客観的に確保し、ガバナンス上の懸念を根本的に解消するため、2026年8月をもって、同氏は当社の内部監査室長を退任いたしました。後任の内部監査室長には、代表取締役や同氏と一切の利害関係を有しない公認会計士の並木理人を起用し、完全に独立した内部監査体制を確立しております。
関連当事者取引及び利益相反取引の牽制・監視体制: 当社は「関連当事者取引管理規程」を制定し、役員及びその近親者との取引については、取引の合理性及び条件の妥当性を事前に慎重に審議した上で、原則として取締役会による事前承認及び特別利害関係を有する取締役の決議除外を必須とするフローを徹底しております。また、代表取締役個人又はその近親者が50%超の議決権を有する資産管理会社(Funi株式会社等)による不動産取引に対しては、「代表取締役の不動産買付に関する事前通知規程」を設け、独立社外取締役及び監査役のみで構成される「特別委員会」が事前審査及び差止め等の強力な牽制・モニタリングを行っております。
多層的な監督・監査機能:執行役員制度の導入による監督と業務執行の明確な分離に加え、独立社外取締役2名を含む取締役会、全員が独立役員である社外監査役3名による監査役会が多角的な視点から牽制を行っております。さらに、監査役会、内部監査室、監査法人が密に連携する「三様監査」を通じて、業務の適正性と透明性を実効的に担保しております。