有価証券報告書(内国投資証券)-第15期(平成25年12月1日-平成26年5月31日)
(1)【投資方針】
① 基本理念
本投資法人は、ファンド・マネジメントにおいて重要と考える「投資戦略」「物件取得」「運営管理」「資金調達」「法令遵守」のすべてにおいてこだわりを持ち、その結果としてクオリティの高いファンド・マネジメントを実現することを基本理念としています。
基本理念を実現するにあたり、本投資法人は、野村不動産グループの有する実績・強みをその実効性の基盤と捉え、これらを最大限に活用していく方針です。
② 基本方針
本投資法人は、投信法に基づき、その規約において、資産を主として不動産等資産に対する投資として運用することを目的として、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指して運用を行うことをその基本方針とする旨規定しています(規約第27条)。
本投資法人は、基本方針に基づき、主たる用途が居住用施設である資産を対象として投資を行います(「居住用施設特化型」)。また、中長期にわたる安定的な収益を実現するため、運用不動産の特性及びマーケット状況に応じた機動的な運用を行います(「中長期の安定運用」)。
主軸となる投資運用戦略
上記の目的を達成するため、本投資法人は、「良質な居住用施設への投資」、「賃貸需要の厚みを重視した物件選定・投資判断」及び「賃貸住宅の特性(「広域・多数・小口」)に合致したマネジメント」という3点を投資運用における具体的な戦略の主軸として位置付け、これらを実行していきます。
詳細については、後記「④ 投資方針」及び「⑤ 運用方針」をご参照ください。
野村不動産グループの実績・強み
本投資法人は、上記基本理念及び基本方針並びにこれらを実現するための投資運用戦略を実行していくにあたり、野村不動産グループの有する実績・強みを最大限活用していく方針です。
本投資法人の資産運用のために活用することが期待できる野村不動産グループの実績・強み及びその事業基盤等として、具体的には以下の3点が挙げられます。
以上3点は、本投資法人及び資産運用会社の差別化戦略の柱としても位置付けており、これらを本投資法人の資産運用に最大限活用することで、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。詳細については、後記「③ 野村不動産グループの実績・強み」をご参照ください。
A.居住用施設特化型
資産運用会社は、規約及び資産運用ガイドライン等に従い、主たる用途が居住用施設である資産を対象として投資を行います。
(イ)投資対象
本投資法人が不動産関連資産へ投資する際には、不動産関連資産の本体をなす不動産(地上権及び不動産の賃借権を含みます。以下、本「A.居住用施設特化型」において同じ。)又はその裏付けとなる不動産の用途を、主として居住用施設(当該不動産が土地、地上権又は土地の賃借権である場合においては、主として居住用施設の用に供される建物の敷地とします。)とします(規約第28条第1項)(注)。
(注)複数の不動産関連資産を一括して取得する場合には、当該不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産全体の過半につき、その用途が居住用施設であるときは、当該不動産関連資産全てを取得することがあります。
本書において居住用施設とは以下の各施設等をいいます。
(ロ)投資地域
本投資法人は、三大都市圏のほか、政令指定都市をはじめとする全国主要都市を投資対象地域とします。また、これらの投資対象地域の中でも東京圏を主たる投資対象地域として位置付けますが、投資対象地域の分散化にも留意することにより、収益の安定化を図ります(注)。
(注)三大都市圏、政令指定都市をはじめとする全国主要都市及び東京圏とは、上記の各地域をいいます。各投資対象地域毎に目標とする投資比率については、後記「④ 投資方針 / B.ポートフォリオ構築方針」をご参照ください。また、本投資法人が東京圏を主たる投資対象地域として位置付ける背景については、後記「B.中長期の安定運用」をご参照ください。
B.中長期の安定運用
本投資法人は、中長期にわたり安定的な収益が見込める不動産関連資産に投資を行うことを基本方針とします。安定的な収益を実現するため、資産運用会社は、運用不動産の特性及びマーケット状況に応じた運用を行います。
すなわち、資産運用会社は、個別の運用不動産及びこれに関連するマーケットの特性を十分に分析した上でポートフォリオ全体の地理的分散を図りつつ不動産関連資産を取得し、かつ、個別の運用不動産毎にその安定収益を確保することを目指します。
(イ)賃貸住宅投資の特性
賃貸住宅投資は、一般的に他の用途の不動産に比べ、賃料変動が小さく、テナントが分散し、1物件当たりの規模が小さいため、リスク分散を図りやすく相対的にリスクが低い投資であると考えられます。
下記のとおり、賃料水準と地価水準の過去推移を見ると、住宅の賃料水準の変動幅(ボラティリティ)は、オフィスの賃料水準の変動幅より小さく、また、住宅地の地価水準の変動幅は商業地の地価水準の変動幅より小さいといえます。したがって、賃貸住宅投資における賃料収入及び資産価値は、オフィスビルへの投資に比して安定的に推移すると考えられます。
出所:総務省「消費者物価指数年報(平成元年~平成25年)」、日本銀行「企業向けサービス価格指数(平成元年~平成25年)」を基に資産運用会社が作成。
(注1)「民営家賃(東京都区部・非木造小住宅)」は、東京都区部に存在し、木造以外で面積30㎡未満の住宅3.3㎡当たりの家賃を指数化したものです。
(注2)「事務所賃貸(東京圏)」は、東京都の千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、豊島区、町田市、日野市、神奈川県の横浜市、鎌倉市、埼玉県のさいたま市、越谷市、千葉県の千葉市、茨城県の水戸市の特定の調査対象ビルの平均賃料、及び東京都の千代田区、港区、渋谷区の特定の調査対象ビル(1棟又はフロアの一部)とテナント(事務所)の継続賃料を指数化したものです。
(注3)上記グラフの数値は、平成元年の値を100として指数化したものです。
出所:一般財団法人日本不動産研究所「市街地価格指数・全国木造建築費指数(昭和62年~平成25年)」
(注1)「東京圏」とは、首都圏整備法の既成市街地及び近郊整備地帯の全域の都市のうち、一般財団法人日本不動産研究所が調査対象とする都市・東京区部をいいます。
(注2)上記グラフは、昭和62年の値を100として指数化したものです。
(ロ)賃貸住宅市場の現状及び今後の見通し
総人口の減少というマクロ予測はあるものの、後記<家族類型別世帯数の推移>にみられるとおり、地域別では東京圏及び東京圏を除く三大都市圏や政令指定都市などの都市部における総世帯数は増加傾向にあります。加えて、晩婚化、離婚率の増加、少子高齢化等の社会構造の変化等を背景として、単身・DINKS世帯数は増加傾向にあると考えられます。この傾向は、特に東京圏で顕著に表れていることが確認できます。
<家族類型別世帯数の推移>出所:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(平成26年4月時点推計)を基に資産運用会社が作成。
(注1)東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の各家族類型別世帯数を合計したものを「東京圏」として表示しています。本投資法人の保有資産が所在する北海道、宮城県、愛知県、大阪府及び福岡県の各家族類型別世帯数を合計したものを「その他」として表示しています。
(注2)上記グラフにおいては、「家族類型」を、「単身・DINKS世帯」、「親と子供の世帯」、「その他の一般世帯」の3つに分類して表示しています。「単身・DINKS世帯数」は、「世帯人員が一人の世帯数」及び「夫婦のみの世帯数」の合計を表しています。「親と子供の世帯数」は、「夫婦と子供から成る世帯数」及び「ひとり親と子供から成る世帯数」の合計を表しています。「その他の一般世帯数」は、「単身・DINKS世帯」及び「親と子供の世帯」以外の一般世帯数をいいます。
本投資法人は、以上のような賃貸住宅投資の特性や賃貸住宅市場の現状及び今後の見通しに基づき、テナント需要を十分に把握した上で立地選定や運営管理を行うことで、中長期の安定した運用を目指します。
③ 野村不動産グループの実績・強み
本投資法人は、主たる用途が居住用施設である不動産への投資により、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指した運用を行いますが、これらの目的を達成するにあたり、野村不動産グループの有する実績・強みを最大限活用していく方針です。
本投資法人の資産運用のために活用することが期待できる野村不動産グループの実績・強み及びその事業基盤等として、具体的には以下の3点が挙げられます。
(ⅰ)野村不動産グループと戦略的に協調し、野村不動産グループの有する「プラウド」ブランドや、用地取得・商品企画・管理等の住宅関連ノウハウを活かした賃貸マンション「プラウドフラット」の開発・取得を行うことを、本投資法人の成長戦略の要として位置付け、これを最大限活用します。
(ⅱ)野村不動産グループでは、居住用施設について、プライベート・ファンドでの5年超にわたる運用経験と本投資法人の7年超にわたる運用経験を通算して、10年超にわたる運用経験を有しています。資産運用会社には、上記の運用経験を通じて培われた居住用施設に係る運用ノウハウやマネジメント力が集約されており、それらを本投資法人の資産運用に活用します。
(ⅲ)資産運用会社は、複数の上場REIT(本投資法人、野村不動産オフィスファンド投資法人及び野村不動産マスターファンド投資法人)の資産を運用しており、それを通じて培った上場REITの運用ノウハウを、主に内部管理体制及びコンプライアンス並びに資金調達活動等の側面において本投資法人の資産運用に役立てます。
以上3点は、本投資法人及び資産運用会社の差別化戦略の柱としても位置付けており、これらを本投資法人の資産運用に最大限活用することで、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。
A.野村不動産グループとの戦略的協調「プラウドフラット」
野村不動産グループは、長年にわたるマンションの開発・分譲、各種不動産仲介・管理・運営等の実績及び能力を有しています。同グループは、「プラウド」ブランドで、大規模マンション、超高層マンション、コンパクトマンション、大規模戸建、都市型戸建等の各種の住宅を開発・管理しており、これらを通じて本投資法人の投資対象資産である居住用施設の開発・管理に関するノウハウを蓄積しています。その住宅関連ノウハウは、同グループが主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして開発する賃貸住宅ブランド「プラウドフラット」の開発に活用されており、本投資法人は同グループからのかかる賃貸住宅を継続的に取得し、これを運用することを通じ、運用資産の着実な成長を図ります。
上記は、本投資法人において「野村不動産グループとの戦略的協調」として外部成長戦略の要として位置付けられています。これは、主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして「プラウドフラット」を開発する野村不動産グループと、これら賃貸住宅の継続的な取得及び「プラウドフラット」ブランドでの運用を通じて運用資産の着実な成長を図る本投資法人の“相互成長”を企図した戦略であるといえます。
(イ)「プラウドフラット」を通じた相互成長
「プラウドフラット」は、野村不動産が主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして開発し、本投資法人がこれを取得する場合及び野村不動産自身が当該物件を開発後も引き続き保有し賃貸運営を行う場合並びに野村不動産のグループ会社が当該物件の運営又は管理に当たる場合に用いられるブランド名称です。なお、野村不動産及び本投資法人以外の第三者が所有する物件であっても、野村不動産が当該第三者の委託を受けて商品企画等に関与し、当該物件が一定の品質基準を満たす場合は、野村不動産のグループ会社が当該物件の運営又は管理に当たることを条件として、当該第三者に「プラウドフラット」ブランドの使用を許諾する場合もあります。
「プラウドフラット」の商品性は、大要以下のとおりとなっています。
■ 野村不動産グループの開発分譲事業におけるネットワーク・ノウハウの活用による都市型賃貸住宅に適した立地選定
■ 賃貸住宅に求められる空間設計と建物基本性能の実現
■ 野村不動産独自の「集合住宅設計基準(賃貸住宅編)」等によるクオリティ・コントロールと適切な運営・管理
本投資法人は、野村不動産グループからの「プラウドフラット」の継続的な取得及び「プラウドフラット」ブランドでの運用を外部成長戦略の要と位置付け、同シリーズの野村不動産グループによる開発及び本投資法人による取得を通じた相互成長を推進していきます。
(ロ)野村不動産グループの開発・保有物件等に関する情報提供
野村不動産グループからの上記「プラウドフラット」の継続的な取得を含め、本投資法人の外部成長に資することを目的として野村不動産グループから開発・保有物件等に関する情報提供を受けることを規定した同グループと資産運用会社との戦略的協調の具体的内容と、これらを実現させるための枠組みは以下のとおりです。
(ⅰ)野村不動産グループの保有・開発物件
資産運用会社は、野村不動産及び野村不動産アーバンネット株式会社(以下、「野村不動産アーバンネット」といいます。)との間で、それぞれ、情報提供協定書を締結しています。かかる情報提供協定書に基づき、野村不動産及び野村不動産アーバンネットは、自ら保有し又は今後開発して保有することとなる不動産等のうち、本投資法人の物件選定基準(注1)に大要適合すると思われる不動産等を売却しようとする場合、その情報を原則として第三者より先に資産運用会社に通知します。
資産運用会社がかかる情報を検討し、その結果取得を希望し、情報提供を受けた会社との間で売却条件等につき合意に達した場合には、本投資法人は、当該会社からこれを買い受ける場合があります。なお、野村不動産及び野村不動産アーバンネットから不動産等を取得する場合には、資産運用会社は、その社内規程に従い、コンプライアンス委員会の承認(注2)を必要とします。
(注1)詳細は、後記「④ 投資方針 / C.物件選定基準」をご参照ください。
(注2)かかる手続きについては、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制 / D.コンプライアンス体制(法令等遵守確保のための体制)」をご参照ください。
(ⅱ)野村不動産グループの仲介物件
野村不動産及び野村不動産アーバンネットはいずれも、収益を期待できる不動産に関する仲介事業を展開しています。これらの会社は、本投資法人の物件選定基準に合致する不動産等の所有者その他の関係者から当該不動産等の仲介の委託を受けた場合には、所有者等の意向等によって提供できない場合を除き、情報提供協定書に基づき、その情報を資産運用会社に速やかに通知するよう努めることとなっています。これにより、本投資法人は、野村不動産グループの広範な仲介ネットワークを通じて収集される情報をタイムリーに入手することができます。
B.居住用施設に係る豊富な運用経験、マネジメント力
野村不動産グループは、本投資法人の投資対象である居住用施設について、プライベート・ファンドでの5年超にわたる運用経験と本投資法人での7年超にわたる運用経験との通算で、10年超にわたる運用経験と実績を有しています。
野村不動産グループは、上記の運用期間において、物件取得のための幅広いソーシング・ルートを構築するとともに、居住用施設の立地特性・テナント需要の把握や、物件の築年数・間取り等に応じた運用ノウハウを蓄積してきました。
資産運用会社には、上記の運用ノウハウやマネジメント力が集約されており、それらを本投資法人の資産運用に活用することにより、将来にわたり、立地特性・テナント需要の変化やポートフォリオの経年劣化、運用物件数の拡大に対しても適切に対応することができると考えています。
C.複数の上場REITの資産運用を通じて培った運用ノウハウ
資産運用会社は、平成15年12月に野村不動産オフィスファンド投資法人、平成18年9月に本投資法人、平成25年6月に野村不動産マスターファンド投資法人の資産運用を開始し、3つの上場REITの運用を行っています。
本投資法人は、資産運用会社による複数の上場REITの資産運用経験を通じて培った運用ノウハウが、主に以下の側面において、本投資法人の資産運用に活かされるものと考えています。
・ 適切に整備され、有効に機能する内部管理体制
・ 公正性及び透明性の確保をはじめとするコンプライアンス体制
・ 資本市場からの資金調達活動をはじめとする財務戦略の策定及び実行
なお、資産運用会社は、平成22年3月に非上場投資法人である野村不動産プライベート投資法人との間でも資産運用委託契約を締結しました。資産運用会社は、野村不動産プライベート投資法人を含む4つの投資法人から資産運用を受託することを通じて、資産運用会社における物件情報収集力の拡充及びマネジメント力の向上、並びに本投資法人と他の投資法人との協働投資等を通じた投資機会の拡大等が期待できるものと考えています。
また、資産運用会社は、本投資法人、野村不動産オフィスファンド投資法人、野村不動産マスターファンド投資法人及び野村不動産プライベート投資法人からそれぞれ委託を受けた資産運用を行うにあたり、各投資法人の利益を損ねることがないよう適切な社内体制を確立しています(注)。
(注)詳細については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制」をご参照ください。
④ 投資方針
A.投資戦略
本投資法人は、居住用施設への投資に際し、「投資商品」としての長期の資産価値・収益性維持を重視し、原則として、「Urban(立地)」「Basic(基本性能)」「Quality(品質)」の各要素に配慮し、良質な居住用施設への投資を行います。
本投資法人の考える「良質な居住用施設の各要素」は、大要以下のとおりです。
上記は、投資対象としての居住用施設において保持すべき特性として本投資法人が重視する要素ですが、これらに加え、本投資法人は、賃貸住宅市場やテナント需要に係る現状認識と将来に関する見通し等を踏まえ「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定・投資判断を行います。その基本的かつ具体的な考え方は、大要以下のとおりです。
(イ)「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定
本投資法人は、賃貸住宅市場の現状及び今後の見通しを踏まえた上で、賃貸住宅投資の特性を更に追求し、一層安定的な収益の確保を図るため、立地特性及びマーケット状況に照らし、「最も安定した賃貸需要が見込めると考えられるテナント層」をターゲットとした投資対象物件の選定を行います。
本投資法人は、東京圏及び東京圏を除く三大都市圏や政令指定都市などの都市部における賃貸マーケットやテナント需要に関する現状認識と将来に関する見通し等について、前記「② 基本方針」に記載のとおり「総世帯数の増加傾向」「単身・DINKS世帯の増加傾向」という特徴を有していると考えています。より具体的には、20~30代の社会人や学生などが最も安定した賃貸志向を有していると考えています。
こうした基本的な認識に基づく、本投資法人がターゲットとするテナント層の具体的なイメージ(本投資法人の認識)は、概ね下表・図のとおりです。
出典:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」
(注)上図の点線で囲まれた部分は、本投資法人のターゲットの中心となるテナント層のイメージを示すものです。
これ以外のテナント層をターゲットとする物件に関しても、マーケット特性や立地特性等の観点から、安定した需要が見込めると判断した場合には投資を検討します。
(ロ)テナント需要を説明づける各種要素を基準とした投資判断
本投資法人は、比較的安定した賃貸需要を有すると考えられる前記「(イ)「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定」の表に記載のテナント層に応じて、主に「賃料水準」×「沿線」×「通勤・通学時間」を物件選定・投資判断の中心的な要素と位置付けた上で、ターゲットとする各テナント層や立地特性等を勘案しながら、他の諸要素を含め個別に検討した上で、投資判断を行います。
本投資法人の考える物件選定・投資判断のための「判断基準とする中心的な要素」は、大要以下のとおりです。
(ハ)ブランド毎に有するソーシング・ルートの活用
本投資法人は、下表に記載の物件特性に応じた統一名称毎に有する強固なソーシング・ルートを最大限に活用することにより、取得活動を継続してきました。
B.ポートフォリオ構築方針
本投資法人は、賃貸マーケットの状況やテナント需要、立地特性等を十分に考慮した上で、以下の地域区分ごとの投資比率を目標としてポートフォリオを構築していく方針です。
なお、ポートフォリオ構築上、必要又は有用と認められる運用資産を取得する場合には、一時的に以下の目標から乖離する場合があります。
東京圏は人口・世帯・企業・教育機関等が高度に集積しており、本投資法人がターゲットとする「賃貸需要の厚いテナント層」が集中している地域であると考えられるため、その投資比率の目標を70%以上とします。
なお、賃貸住宅は、オフィスの立地と比較して、特定の業務集積地区に集中して立地するものではなく、鉄道沿線周辺等を中心として広域に分散して立地しています。そのため、本投資法人では、より細分化した地域区分設定は行いません。
東京圏以外の地域においては、投資判断に際し、主に転勤者ニーズ及び大学・専門学校生ニーズを的確に捉えた立地選別が特に重要であると本投資法人は考えています。こうした特性と、東京圏に比して相対的にマーケット規模が小さいこと等を勘案した上で、その投資比率の目標を30%以下とします。
C.物件選定基準
個別の運用不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
また、本投資法人は、安定した賃貸需要が見込める優良物件を早期に確保することを目的として、未稼働(開発中)不動産についても投資を検討します。未稼働(開発中)不動産への投資判断に際しては、対象物件が物件選定基準に合致していること及び後記「D.フォワード・コミットメントを行う際の留意点」記載の事項を考慮し、加えて、売買契約等の条件において、完工・引渡し等のリスク回避が図られていること、売買契約の締結が建築確認取得後になされること及び建物竣工後に取得すること等を条件とします。
なお、居住用施設と共にこれに付帯して店舗その他の商業用施設やオフィスビルに投資しようとする場合にも、上記の居住用施設に関する基準に準じて判断するものとします。
D.フォワード・コミットメントを行う際の留意点
フォワード・コミットメント(先日付での売買契約であって、契約締結日から1ヶ月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているもの及びその他これに類する契約をいいます。)を行う場合には、以下の点に留意することとします。
(イ)解約違約金の設定に関する留意点
契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な投資判断を行うものとします。
(ロ)期間の上限・決済資金の調達方法等
売買契約締結から物件引渡しまでの期間については、個別物件毎に、開発型案件等との取組みに比して妥当な期間を上限とし、当該期間中における金融環境及び不動産市場等の変動リスクがあることを十分認識のうえ、慎重な検討を行うこととします。決済資金の調達方法については、取得を決定する時点においては、コミットメントライン等の融資枠の利用等、取得額に応じた決済時の取得資金の調達方法及びその実現性を検証し、決済時においては、金融市場、取引先金融機関との関係、投資法人債(短期投資法人債を含みます。)市場等の資金の調達環境の変化に応じて最適な資金調達方法を選択することとします。
E.物件調査(デューディリジェンス)基準
不動産関連資産の取得に際しては、以下の基準に従って調査を行います。
(イ)調査(デューディリジェンス)の実施
デューディリジェンスの調査項目は、以下のとおりです。
(注)PMLとは、想定した予定使用期間(50年=一般的建物の耐用年数)中に想定される最大規模の地震(475年に一度起こる可能性のある大地震=50年間に起こる可能性が10%の大地震)によりどの程度の被害を被るかを、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率(%)で示したものを意味します。
(ロ)調査レベルの均一化
個別の運用不動産の調査・投資適格性の判断に関しては、デューディリジェンスにおける調査レベルの均一化を図るとともに、取引に当たって留意すべき事項を十分に調査、認識した上で投資適格性を判断します。
(ハ)専門性、客観性及び透明性の確保
専門性、客観性及び透明性の確保の観点から、鑑定評価(価格調査)、建物調査(構造強度調査、地震PML調査を含む。)、環境調査については、第三者である外部の専門家に調査を委託します。
F.投資分析基準
不動産関連資産の取得に際しては、運用不動産に関して投資委員会で多角的な分析を行った上で、最終的な投資判断を行います。分析項目には、以下を含みます。
(注1)サブマーケットとは、特定の不動産に固有の一定の特性に着目した需要層毎に細分化された賃貸市場のことをいいます。資産運用会社は、不動産関連資産の取得に当たり、物件の立地のみにとらわれることなく、物件特性の分析に基づいて当該物件が属する実質的なサブマーケットの見極め等の分析を行います。
(注2)NOI(ネット・オペレーティング・インカム)とは、当該物件に係る賃貸事業収入の合計から賃貸事業費用(減価償却費を除きます。)の合計を控除した金額をいいます。
G.保険付保基準
不動産関連資産への投資にあたっては、火災等の災害や事故等による建物の損害及び第三者からの損害賠償請求等に対応するため、必要に応じ火災保険、賠償責任保険等の付保等の措置を講じるものとします。また、地震保険の付保については、地震の発生時に予想されるポートフォリオ全体への影響を考慮し、ポートフォリオPML(注)が15%以上の場合には、個別物件のPMLが15%以上の物件について火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することとします。
(注)ポートフォリオPMLは、複数の建築物群を対象とし、被害の相関性を考慮して、建築物群の中の1ないし複数の建築物に影響を与える「超過確率0.211%(再現期間475年)に対する建物の予想損失額」/「再調達価格」(%)で示したものです。但し、予想損失は、地震動による建物(構造部材・非構造部材。建築設備)のみの直接損失に関するものであり、機器、家具、什器等の被害や地震後の水又は火災による損失、被災者に対する保証、営業中断による営業損失等の二次的被害は含まれていません。
⑤ 運用方針
本投資法人は、中長期的な安定収益と運用資産の着実な成長を実現するため、以下の戦略・方針に基づき、運用不動産毎の特性に応じた計画的かつ機動的な運用に努めます。具体的には、物件特性を把握し、サブマーケット分析を行った上で、リーシング活動による賃料収入の安定的成長と、適切な大規模修繕・リニューアルによる運用不動産の競争力・収益性の維持・向上を図ります。
資産運用会社によって立案・決定された戦略・方針は、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理を実行するPM会社によって実行されます。
本投資法人は、(ⅰ)広域に分散した立地、(ⅱ)多数の物件・戸数、(ⅲ)小口のエンドユーザー、といった賃貸住宅の特性に鑑み、運用不動産毎の立地エリア、タイプ、戸数等の検証、ターゲット・テナントの設定及びこれらを前提とした賃貸条件やリーシング方法等の検討を行った上で、これら戦略・方針に従った適切な運営管理を行うにあたり最適と判断されるPM会社を選定します。
本投資法人は、各PM会社に対する本投資法人の基本方針及び運営管理にかかわる具体的な各種戦略・方針の正確かつタイムリーな浸透、運用不動産毎の継続的な業務水準の安定化、及び各PM会社間における業務水準の均質化を図るべく、「PM業務マニュアル」の整備や日々のコミュニケーションを通じたPM会社との「一体的な運営管理」を行います。このように、運用不動産毎の特性に合わせた最適なPM会社との一体的な運営管理により、そのパフォーマンスの最大化と効率的な運営管理を実現することが可能であると本投資法人は考えています。
運用戦略の概要
A.リーシング戦略
(イ)基本戦略
(ⅰ)テナント異動シーズンにおける重点的活動
テナント需要の多い時期において、モデルルームの先行オープン及び重点的広告宣伝活動等により、新規需要の早期取り込み、テナント入替えの期間短縮化を目指します。
(ⅱ)テナント需給動向の把握
賃貸住宅における安定したリーシングを継続するため、エリアの需給環境調査、取得戸数の適正規模、立地選定及び建物グレード設定等の分析を重点的に行います。
(ロ)リーシング計画
運用不動産毎に以下の項目を反映した年間リーシング計画を策定し、当該計画に基づきリーシング活動を行います。物件運営及びリーシング活動において得られたマーケット情報等については、運用ノウハウとして蓄積するとともに、リーシング計画策定に十分に活用することとします。
運用不動産毎の特性に応じた計画的かつ機動的なリーシング活動を展開することにより、空室期間の短縮、賃料水準の維持・向上を図ります。
・ サブマーケット動向予測
・ リーシング実績の分析
・ ターゲット・テナントの設定
・ 募集条件・目標設定
・ 募集活動方針の策定
B.大規模修繕・リニューアル戦略
運用不動産毎に適切な大規模修繕・リニューアル等の修繕投資を行い、運用不動産の競争力、収益性の維持・向上を図ります。
(イ)大規模修繕計画
建物の劣化防止・機能維持を目的として、年度修繕計画及び長期修繕計画(原則として5年)を策定します。当該修繕計画においては、物件毎に、築年数、修繕履歴、建物の劣化状況等を勘案した上で、以下の項目を中心とした大規模修繕を計画することで、工事の効率的な実施及びコスト削減を図ります。
・ 各種防水工事(屋上防水更新、シーリング交換等)
・ 躯体補修工事(クラック補修、外壁タイル交換等)
・ 各種塗装工事(内外装、鉄部等)
・ その他、設備更新等
(ロ)リニューアル計画
テナントのライフスタイルの変化への対応、ターゲットとするテナント層の変更による新規需要の獲得等、長期的な運用不動産の収益性向上等を目的とし、以下の項目を中心とした専有部及び共用部のリニューアル計画を策定します。
・ エントランス、アプローチ等の共用部外観デザインの変更
・ 共用部の照明計画、植栽計画の変更
・ 専有部の間取り、仕様・設備の変更
・ その他、入居者の利便性・快適性、防犯性の向上等
(ハ)大規模修繕・リニューアルの実施
上記計画工事の実施の際には、工事金額等の妥当性判断を行った上で、最適と思われる施工業者、デザイナー等の選定を行います。また、必要に応じて設計監理業務、工事監理業務等の外部委託を行います。
C.PM会社の選定・管理方針
上記の各戦略に基づき内部成長を実現し、安定収益を確保するためには、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理等を実行するPM会社が重要な役割を担います。立地するエリアが広範囲に及び、かつ、多様なテナント層を対象とする賃貸住宅の特性に鑑み、運用不動産毎の立地エリア、ターゲット・テナント属性等に応じて、最適と判断されるPM会社を選定します。
資産運用会社は、運用不動産毎に最適なPM会社を選定し、適切な管理を行うために、以下の諸点に留意します。
(イ)PM会社の選定方針
賃貸住宅のリーシングにおいては、立地が広域に分散しており、かつ不特定多数の個人を対象にしているため、基本的には物件別に、地元精通度・仲介ネットワーク・クレーム対応力・機動力等に優れたPM会社を選定することが、安定した物件運営を行う上で重要であると考えています。また、特に学生マンションや法人一括賃貸マンションのようにテナント層のターゲットを絞り込んだ物件においては、これら個別の運営ノウハウや顧客ストック量などの要素も、PM会社の選定上重要なポイントとなります(注)。
本投資法人は、こうした賃貸住宅としての特性を踏まえ、各立地・各物件の特性にあったPM会社を個別に選定する方針です。
なお、PM会社の選定に当たっては、候補となる会社の企業内容・実績(会社規模、組織体制、賃貸住宅管理実績、プロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)の受託実績等)の確認に加え、PM業務遂行能力(リーシング能力、建物管理能力、レポーティング能力、会計事務能力等)、報酬水準等の項目を総合的に検討した上で、最適と思われる業者を選定します。
(注)賃貸住宅の特性を踏まえたPM会社選定のポイントに関する本投資法人の認識について、下記「賃貸住宅とオフィスビルのPM会社選定のポイントの違い」をご参照ください。
<賃貸住宅とオフィスビルのPM会社選定のポイントの違い>
(ロ)PM会社の管理方針
(ⅰ)PM会社との一体的な運営管理
資産運用会社は、基本的なPM業務や運営ルールに関して、以下の事項を中心とした「PM業務マニュアル」の整備を行い、PM会社とのコミュニケーションの効率化、継続的な業務水準の安定化及びPM会社間における業務水準の均質化を図ります。
・各種レポーティング、資金移動等に関する業務フロー、スケジュール
・重要事項に関する承認ルール
・各種報告書(運営報告・会計報告等)に関する作成方法、作成上の留意点
・重要情報等に関する情報管理方法
・滞納テナントへの対応方針等
(ⅱ)PM会社とのコミュニケーション
資産運用会社は、各PM会社の、上記「PM業務マニュアル」を基礎とした日常の物件運営に関する管理・監督に加え、リーシング活動の状況、修繕工事の実施状況等の重要事項について、各PM会社との間で適宜協議を行います。
(ⅲ)PM会社のモニタリング
資産運用会社は、PM会社のPM業務遂行能力及び委託物件の運営実績(稼働率、空室期間、成約賃料水準等)に関して、継続的なモニタリングを行い、必要な指導を行います。
D.年度運用計画等の策定及び管理
資産運用会社は、本投資法人の中長期的な収益の安定とポートフォリオの着実な成長を実現するため、計画的な資産の運用を行うことを目的として、運用資産全体について「年度運用計画」及び「修正年度運用計画」を策定します。
(イ)年度運用計画及び修正年度運用計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について年度運用計画及び修正年度運用計画を策定し、同計画に基づいて適切な運営管理を実施します。
「年度運用計画」は、各営業期間毎に1年分(2営業期間)を対象に策定することとし、当該年度運用計画の最初の営業期間の実績等を踏まえた上で、残りの営業期間分の「修正年度運用計画(期中運用計画)」を策定することとします。
各計画は、当該計画の対象となる営業期間開始時点における、ポートフォリオ全体の収支予算及び物件別事業計画により構成されます。
物件別事業計画は、個別の運用不動産の適切な運営管理を実施するため、募集戦略、建物管理、修繕・リニューアル等の項目を中心として個別の運用不動産毎に策定され、資産運用会社は、同計画に基づいて、各PM会社と協働して運用不動産の運営管理を行います。
(ロ)年度運用計画及び修正年度運用計画の検証
年度運用計画(修正年度運用計画を含みます。)の策定後は、PM会社からの月次報告(PMレポート)に基づき、物件毎及びポートフォリオ全体での検証を行うこととします。
検証の結果、計画と実績に乖離が見られる等、年度運用計画の見直しが必要と判断される場合には、速やかに臨時の修正年度運用計画を策定します。
E.売却方針
中長期の安定収益の確保という本投資法人の基本方針に基づき、原則として長期保有を前提とした投資を行いますが、必要に応じて個別運用資産の売却を検討します。
売却については、以下の項目等を考慮の上、総合的に判断することとします。
・当該運用不動産の資産価値の増減及びその予測
・サブマーケットの将来性及び安定性
・当該運用不動産の劣化又は陳腐化及びそれらに対応するためのコスト予測
・ポートフォリオ構成
また、フォワード・コミットメントを行う場合は、契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な判断を行うものとします。
⑥ 財務方針
本投資法人は、安定収益の実現と運用資産の着実な成長のために、以下に掲げる方針に従い、計画的かつ機動的な財務戦略を策定、実行します。
A.エクイティ・ファイナンス
投資口の追加発行は、新たに取得する不動産関連資産の取得時期、総資産に対する有利子負債の比率(LTV:ローン・トゥ・バリュー)、有利子負債の返済時期及び返済までの残存期間、経済市況等を総合的に勘案して決定します。
B.デット・ファイナンス
本投資法人の資金の借入れ及び投資法人債(短期投資法人債を含みます。)の発行に際しては、規約第37条の規定を遵守しつつ、機動性と財務の安定性に配慮した資金調達を行います。
なお、規約第37条第3項に従い、借入金及び投資法人債発行の限度額は、それぞれ1兆円とし、かつ、その合計額が1兆円を超えないものとします。
LTV水準(総資産に対する有利子負債の比率をいいます。)は60%を上限とします(但し、新規投資や資産評価の変動等により、一時的に上限を超えることがあります。)。
長期借入比率(有利子負債残高に占める長期借入金残高の割合をいいます。)、固定比率(有利子負債残高に占める固定金利(デリバティブ取引による金利固定化を含みます。)での借入金残高の割合をいいます。)、返済期限までの残存期間等を含め、総合的に財務の安定性を確保するものとします。
⑦ 情報開示方針
本投資法人は、法令・諸規則の要請する内容及び様式に従って、迅速かつ正確な開示を行います。また、情報の透明性及び分かり易さに配慮し、法定開示以外の情報の開示も積極的に実施する方針です。
① 基本理念
本投資法人は、ファンド・マネジメントにおいて重要と考える「投資戦略」「物件取得」「運営管理」「資金調達」「法令遵守」のすべてにおいてこだわりを持ち、その結果としてクオリティの高いファンド・マネジメントを実現することを基本理念としています。
基本理念を実現するにあたり、本投資法人は、野村不動産グループの有する実績・強みをその実効性の基盤と捉え、これらを最大限に活用していく方針です。
② 基本方針
本投資法人は、投信法に基づき、その規約において、資産を主として不動産等資産に対する投資として運用することを目的として、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指して運用を行うことをその基本方針とする旨規定しています(規約第27条)。
本投資法人は、基本方針に基づき、主たる用途が居住用施設である資産を対象として投資を行います(「居住用施設特化型」)。また、中長期にわたる安定的な収益を実現するため、運用不動産の特性及びマーケット状況に応じた機動的な運用を行います(「中長期の安定運用」)。
主軸となる投資運用戦略
上記の目的を達成するため、本投資法人は、「良質な居住用施設への投資」、「賃貸需要の厚みを重視した物件選定・投資判断」及び「賃貸住宅の特性(「広域・多数・小口」)に合致したマネジメント」という3点を投資運用における具体的な戦略の主軸として位置付け、これらを実行していきます。
| 良質な居住用施設への投資 =「Urban(立地)」×「Basic(基本性能)」×「Quality(品質)」 |
| 賃貸需要の厚みを重視した物件選定・投資判断 =「賃料水準」×「沿線」×「通勤・通学時間」 |
| 賃貸住宅の特性(「広・多・小」)に合致したマネジメント =「多様なPM会社との一体的運営管理」 |
詳細については、後記「④ 投資方針」及び「⑤ 運用方針」をご参照ください。
野村不動産グループの実績・強み
本投資法人は、上記基本理念及び基本方針並びにこれらを実現するための投資運用戦略を実行していくにあたり、野村不動産グループの有する実績・強みを最大限活用していく方針です。
本投資法人の資産運用のために活用することが期待できる野村不動産グループの実績・強み及びその事業基盤等として、具体的には以下の3点が挙げられます。
| A. 野村不動産グループとの戦略的協調「プラウドフラット」 |
| B. 居住用施設に係る豊富な運用経験、マネジメント力 |
| C. 複数の上場REITの資産運用を通じて培った運用ノウハウ |
以上3点は、本投資法人及び資産運用会社の差別化戦略の柱としても位置付けており、これらを本投資法人の資産運用に最大限活用することで、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。詳細については、後記「③ 野村不動産グループの実績・強み」をご参照ください。
A.居住用施設特化型
資産運用会社は、規約及び資産運用ガイドライン等に従い、主たる用途が居住用施設である資産を対象として投資を行います。
(イ)投資対象
本投資法人が不動産関連資産へ投資する際には、不動産関連資産の本体をなす不動産(地上権及び不動産の賃借権を含みます。以下、本「A.居住用施設特化型」において同じ。)又はその裏付けとなる不動産の用途を、主として居住用施設(当該不動産が土地、地上権又は土地の賃借権である場合においては、主として居住用施設の用に供される建物の敷地とします。)とします(規約第28条第1項)(注)。
(注)複数の不動産関連資産を一括して取得する場合には、当該不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産全体の過半につき、その用途が居住用施設であるときは、当該不動産関連資産全てを取得することがあります。
本書において居住用施設とは以下の各施設等をいいます。
| 賃貸住宅 (社宅(法人へ一括賃貸されるもの)、学生マンション(入居者を学生に限定したもの)を含みます。) | 一般的な住居としての利用を目的として、原則として1年以上の期間を賃貸する居住用施設をいいます。 |
| 短期滞在型マンション | 家具付きで、月単位(1年未満)の短期滞在を目的とした居住用施設をいいます。 |
| サービスアパートメント | 家具付きで、リネン(寝具)交換、フロントサービス、コンシェルジュサービス等の提供を伴う居住用施設をいいます。 |
| 寮 | パブリックスペースの設置、食事の提供施設の設置等、いわゆる「寮」としての形態で利用される居住用施設をいいます。 |
| 高齢者向け住宅 | 介護サービスの提供を伴う居住用施設をいいます。 |
(ロ)投資地域
本投資法人は、三大都市圏のほか、政令指定都市をはじめとする全国主要都市を投資対象地域とします。また、これらの投資対象地域の中でも東京圏を主たる投資対象地域として位置付けますが、投資対象地域の分散化にも留意することにより、収益の安定化を図ります(注)。
| 三大都市圏 | 地域 | ||
| 首都圏 | 東京圏 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県 | |
| 群馬県、栃木県、茨城県、山梨県 | |||
| 中部圏 | 愛知県、静岡県、長野県 | ||
| 近畿圏 | 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県 | ||
| 政令指定都市をはじめとする全国主要都市 | 政令指定都市、県庁所在地等 | ||
(注)三大都市圏、政令指定都市をはじめとする全国主要都市及び東京圏とは、上記の各地域をいいます。各投資対象地域毎に目標とする投資比率については、後記「④ 投資方針 / B.ポートフォリオ構築方針」をご参照ください。また、本投資法人が東京圏を主たる投資対象地域として位置付ける背景については、後記「B.中長期の安定運用」をご参照ください。
B.中長期の安定運用
本投資法人は、中長期にわたり安定的な収益が見込める不動産関連資産に投資を行うことを基本方針とします。安定的な収益を実現するため、資産運用会社は、運用不動産の特性及びマーケット状況に応じた運用を行います。
すなわち、資産運用会社は、個別の運用不動産及びこれに関連するマーケットの特性を十分に分析した上でポートフォリオ全体の地理的分散を図りつつ不動産関連資産を取得し、かつ、個別の運用不動産毎にその安定収益を確保することを目指します。
(イ)賃貸住宅投資の特性
賃貸住宅投資は、一般的に他の用途の不動産に比べ、賃料変動が小さく、テナントが分散し、1物件当たりの規模が小さいため、リスク分散を図りやすく相対的にリスクが低い投資であると考えられます。
下記のとおり、賃料水準と地価水準の過去推移を見ると、住宅の賃料水準の変動幅(ボラティリティ)は、オフィスの賃料水準の変動幅より小さく、また、住宅地の地価水準の変動幅は商業地の地価水準の変動幅より小さいといえます。したがって、賃貸住宅投資における賃料収入及び資産価値は、オフィスビルへの投資に比して安定的に推移すると考えられます。
出所:総務省「消費者物価指数年報(平成元年~平成25年)」、日本銀行「企業向けサービス価格指数(平成元年~平成25年)」を基に資産運用会社が作成。
(注1)「民営家賃(東京都区部・非木造小住宅)」は、東京都区部に存在し、木造以外で面積30㎡未満の住宅3.3㎡当たりの家賃を指数化したものです。
(注2)「事務所賃貸(東京圏)」は、東京都の千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、豊島区、町田市、日野市、神奈川県の横浜市、鎌倉市、埼玉県のさいたま市、越谷市、千葉県の千葉市、茨城県の水戸市の特定の調査対象ビルの平均賃料、及び東京都の千代田区、港区、渋谷区の特定の調査対象ビル(1棟又はフロアの一部)とテナント(事務所)の継続賃料を指数化したものです。
(注3)上記グラフの数値は、平成元年の値を100として指数化したものです。
出所:一般財団法人日本不動産研究所「市街地価格指数・全国木造建築費指数(昭和62年~平成25年)」
(注1)「東京圏」とは、首都圏整備法の既成市街地及び近郊整備地帯の全域の都市のうち、一般財団法人日本不動産研究所が調査対象とする都市・東京区部をいいます。
(注2)上記グラフは、昭和62年の値を100として指数化したものです。
(ロ)賃貸住宅市場の現状及び今後の見通し
総人口の減少というマクロ予測はあるものの、後記<家族類型別世帯数の推移>にみられるとおり、地域別では東京圏及び東京圏を除く三大都市圏や政令指定都市などの都市部における総世帯数は増加傾向にあります。加えて、晩婚化、離婚率の増加、少子高齢化等の社会構造の変化等を背景として、単身・DINKS世帯数は増加傾向にあると考えられます。この傾向は、特に東京圏で顕著に表れていることが確認できます。
<家族類型別世帯数の推移>出所:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(平成26年4月時点推計)を基に資産運用会社が作成。
(注1)東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の各家族類型別世帯数を合計したものを「東京圏」として表示しています。本投資法人の保有資産が所在する北海道、宮城県、愛知県、大阪府及び福岡県の各家族類型別世帯数を合計したものを「その他」として表示しています。
(注2)上記グラフにおいては、「家族類型」を、「単身・DINKS世帯」、「親と子供の世帯」、「その他の一般世帯」の3つに分類して表示しています。「単身・DINKS世帯数」は、「世帯人員が一人の世帯数」及び「夫婦のみの世帯数」の合計を表しています。「親と子供の世帯数」は、「夫婦と子供から成る世帯数」及び「ひとり親と子供から成る世帯数」の合計を表しています。「その他の一般世帯数」は、「単身・DINKS世帯」及び「親と子供の世帯」以外の一般世帯数をいいます。
本投資法人は、以上のような賃貸住宅投資の特性や賃貸住宅市場の現状及び今後の見通しに基づき、テナント需要を十分に把握した上で立地選定や運営管理を行うことで、中長期の安定した運用を目指します。
③ 野村不動産グループの実績・強み
本投資法人は、主たる用途が居住用施設である不動産への投資により、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指した運用を行いますが、これらの目的を達成するにあたり、野村不動産グループの有する実績・強みを最大限活用していく方針です。
本投資法人の資産運用のために活用することが期待できる野村不動産グループの実績・強み及びその事業基盤等として、具体的には以下の3点が挙げられます。
(ⅰ)野村不動産グループと戦略的に協調し、野村不動産グループの有する「プラウド」ブランドや、用地取得・商品企画・管理等の住宅関連ノウハウを活かした賃貸マンション「プラウドフラット」の開発・取得を行うことを、本投資法人の成長戦略の要として位置付け、これを最大限活用します。
(ⅱ)野村不動産グループでは、居住用施設について、プライベート・ファンドでの5年超にわたる運用経験と本投資法人の7年超にわたる運用経験を通算して、10年超にわたる運用経験を有しています。資産運用会社には、上記の運用経験を通じて培われた居住用施設に係る運用ノウハウやマネジメント力が集約されており、それらを本投資法人の資産運用に活用します。
(ⅲ)資産運用会社は、複数の上場REIT(本投資法人、野村不動産オフィスファンド投資法人及び野村不動産マスターファンド投資法人)の資産を運用しており、それを通じて培った上場REITの運用ノウハウを、主に内部管理体制及びコンプライアンス並びに資金調達活動等の側面において本投資法人の資産運用に役立てます。
以上3点は、本投資法人及び資産運用会社の差別化戦略の柱としても位置付けており、これらを本投資法人の資産運用に最大限活用することで、中長期の安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。
A.野村不動産グループとの戦略的協調「プラウドフラット」
野村不動産グループは、長年にわたるマンションの開発・分譲、各種不動産仲介・管理・運営等の実績及び能力を有しています。同グループは、「プラウド」ブランドで、大規模マンション、超高層マンション、コンパクトマンション、大規模戸建、都市型戸建等の各種の住宅を開発・管理しており、これらを通じて本投資法人の投資対象資産である居住用施設の開発・管理に関するノウハウを蓄積しています。その住宅関連ノウハウは、同グループが主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして開発する賃貸住宅ブランド「プラウドフラット」の開発に活用されており、本投資法人は同グループからのかかる賃貸住宅を継続的に取得し、これを運用することを通じ、運用資産の着実な成長を図ります。
上記は、本投資法人において「野村不動産グループとの戦略的協調」として外部成長戦略の要として位置付けられています。これは、主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして「プラウドフラット」を開発する野村不動産グループと、これら賃貸住宅の継続的な取得及び「プラウドフラット」ブランドでの運用を通じて運用資産の着実な成長を図る本投資法人の“相互成長”を企図した戦略であるといえます。
(イ)「プラウドフラット」を通じた相互成長
「プラウドフラット」は、野村不動産が主として本投資法人の投資方針・物件選定基準等に適合するものとして開発し、本投資法人がこれを取得する場合及び野村不動産自身が当該物件を開発後も引き続き保有し賃貸運営を行う場合並びに野村不動産のグループ会社が当該物件の運営又は管理に当たる場合に用いられるブランド名称です。なお、野村不動産及び本投資法人以外の第三者が所有する物件であっても、野村不動産が当該第三者の委託を受けて商品企画等に関与し、当該物件が一定の品質基準を満たす場合は、野村不動産のグループ会社が当該物件の運営又は管理に当たることを条件として、当該第三者に「プラウドフラット」ブランドの使用を許諾する場合もあります。
「プラウドフラット」の商品性は、大要以下のとおりとなっています。
■ 野村不動産グループの開発分譲事業におけるネットワーク・ノウハウの活用による都市型賃貸住宅に適した立地選定
■ 賃貸住宅に求められる空間設計と建物基本性能の実現
■ 野村不動産独自の「集合住宅設計基準(賃貸住宅編)」等によるクオリティ・コントロールと適切な運営・管理
本投資法人は、野村不動産グループからの「プラウドフラット」の継続的な取得及び「プラウドフラット」ブランドでの運用を外部成長戦略の要と位置付け、同シリーズの野村不動産グループによる開発及び本投資法人による取得を通じた相互成長を推進していきます。
(ロ)野村不動産グループの開発・保有物件等に関する情報提供
野村不動産グループからの上記「プラウドフラット」の継続的な取得を含め、本投資法人の外部成長に資することを目的として野村不動産グループから開発・保有物件等に関する情報提供を受けることを規定した同グループと資産運用会社との戦略的協調の具体的内容と、これらを実現させるための枠組みは以下のとおりです。
(ⅰ)野村不動産グループの保有・開発物件
資産運用会社は、野村不動産及び野村不動産アーバンネット株式会社(以下、「野村不動産アーバンネット」といいます。)との間で、それぞれ、情報提供協定書を締結しています。かかる情報提供協定書に基づき、野村不動産及び野村不動産アーバンネットは、自ら保有し又は今後開発して保有することとなる不動産等のうち、本投資法人の物件選定基準(注1)に大要適合すると思われる不動産等を売却しようとする場合、その情報を原則として第三者より先に資産運用会社に通知します。
資産運用会社がかかる情報を検討し、その結果取得を希望し、情報提供を受けた会社との間で売却条件等につき合意に達した場合には、本投資法人は、当該会社からこれを買い受ける場合があります。なお、野村不動産及び野村不動産アーバンネットから不動産等を取得する場合には、資産運用会社は、その社内規程に従い、コンプライアンス委員会の承認(注2)を必要とします。
(注1)詳細は、後記「④ 投資方針 / C.物件選定基準」をご参照ください。
(注2)かかる手続きについては、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制 / D.コンプライアンス体制(法令等遵守確保のための体制)」をご参照ください。
(ⅱ)野村不動産グループの仲介物件
野村不動産及び野村不動産アーバンネットはいずれも、収益を期待できる不動産に関する仲介事業を展開しています。これらの会社は、本投資法人の物件選定基準に合致する不動産等の所有者その他の関係者から当該不動産等の仲介の委託を受けた場合には、所有者等の意向等によって提供できない場合を除き、情報提供協定書に基づき、その情報を資産運用会社に速やかに通知するよう努めることとなっています。これにより、本投資法人は、野村不動産グループの広範な仲介ネットワークを通じて収集される情報をタイムリーに入手することができます。
B.居住用施設に係る豊富な運用経験、マネジメント力
野村不動産グループは、本投資法人の投資対象である居住用施設について、プライベート・ファンドでの5年超にわたる運用経験と本投資法人での7年超にわたる運用経験との通算で、10年超にわたる運用経験と実績を有しています。
野村不動産グループは、上記の運用期間において、物件取得のための幅広いソーシング・ルートを構築するとともに、居住用施設の立地特性・テナント需要の把握や、物件の築年数・間取り等に応じた運用ノウハウを蓄積してきました。
資産運用会社には、上記の運用ノウハウやマネジメント力が集約されており、それらを本投資法人の資産運用に活用することにより、将来にわたり、立地特性・テナント需要の変化やポートフォリオの経年劣化、運用物件数の拡大に対しても適切に対応することができると考えています。
C.複数の上場REITの資産運用を通じて培った運用ノウハウ
資産運用会社は、平成15年12月に野村不動産オフィスファンド投資法人、平成18年9月に本投資法人、平成25年6月に野村不動産マスターファンド投資法人の資産運用を開始し、3つの上場REITの運用を行っています。
本投資法人は、資産運用会社による複数の上場REITの資産運用経験を通じて培った運用ノウハウが、主に以下の側面において、本投資法人の資産運用に活かされるものと考えています。
・ 適切に整備され、有効に機能する内部管理体制
・ 公正性及び透明性の確保をはじめとするコンプライアンス体制
・ 資本市場からの資金調達活動をはじめとする財務戦略の策定及び実行
なお、資産運用会社は、平成22年3月に非上場投資法人である野村不動産プライベート投資法人との間でも資産運用委託契約を締結しました。資産運用会社は、野村不動産プライベート投資法人を含む4つの投資法人から資産運用を受託することを通じて、資産運用会社における物件情報収集力の拡充及びマネジメント力の向上、並びに本投資法人と他の投資法人との協働投資等を通じた投資機会の拡大等が期待できるものと考えています。
また、資産運用会社は、本投資法人、野村不動産オフィスファンド投資法人、野村不動産マスターファンド投資法人及び野村不動産プライベート投資法人からそれぞれ委託を受けた資産運用を行うにあたり、各投資法人の利益を損ねることがないよう適切な社内体制を確立しています(注)。
(注)詳細については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制」をご参照ください。
④ 投資方針
A.投資戦略
本投資法人は、居住用施設への投資に際し、「投資商品」としての長期の資産価値・収益性維持を重視し、原則として、「Urban(立地)」「Basic(基本性能)」「Quality(品質)」の各要素に配慮し、良質な居住用施設への投資を行います。
| 良質な居住用施設への投資 = 「Urban(立地)」 × 「Basic(基本性能)」 × 「Quality(品質)」 |
本投資法人の考える「良質な居住用施設の各要素」は、大要以下のとおりです。
| Urban (立地) | 安定した賃貸需要の見込める立地 |
| Basic (基本性能) | トータルバランス(快適性・機能性・経済性・更新性)に優れた仕様設備 良好な居住性を確保する「遮音性・断熱性・安全性」等の建物基本性能 |
| Quality (品質) | 長期的な耐久性に優れた構造体(コンクリート躯体・鉄筋配筋等) 適正な品質管理に基づく設計施工 |
上記は、投資対象としての居住用施設において保持すべき特性として本投資法人が重視する要素ですが、これらに加え、本投資法人は、賃貸住宅市場やテナント需要に係る現状認識と将来に関する見通し等を踏まえ「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定・投資判断を行います。その基本的かつ具体的な考え方は、大要以下のとおりです。
(イ)「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定
本投資法人は、賃貸住宅市場の現状及び今後の見通しを踏まえた上で、賃貸住宅投資の特性を更に追求し、一層安定的な収益の確保を図るため、立地特性及びマーケット状況に照らし、「最も安定した賃貸需要が見込めると考えられるテナント層」をターゲットとした投資対象物件の選定を行います。
本投資法人は、東京圏及び東京圏を除く三大都市圏や政令指定都市などの都市部における賃貸マーケットやテナント需要に関する現状認識と将来に関する見通し等について、前記「② 基本方針」に記載のとおり「総世帯数の増加傾向」「単身・DINKS世帯の増加傾向」という特徴を有していると考えています。より具体的には、20~30代の社会人や学生などが最も安定した賃貸志向を有していると考えています。
こうした基本的な認識に基づく、本投資法人がターゲットとするテナント層の具体的なイメージ(本投資法人の認識)は、概ね下表・図のとおりです。
| 本投資法人がターゲットの中心とするテナント層 | その他のテナント層 | ||
| 対象 | 一般企業の20~30代や学生等を中心とするミドルクラス | 外資系企業等のアッパーミドルクラス | 家賃補助制度のある企業の役職員、経営者、外資系マネジメントクラス等のアッパークラス等 |
| 特徴 | 一定の通勤・通学利便性と賃料を重視 | 立地、間取り、仕様設備を重視 | 都心高級立地、物件グレード、付加価値サービス等を重視 |
| 年収(可処分所得)は安定。景気動向の影響を受けにくい | 年収(可処分所得)は比較的安定。景気動向の影響も比較的受けにくい | 年収(可処分所得)は景気動向に左右されやすい | |
| 異動 | 入社・転勤、入学・卒業の多い3月に解約・契約が集中する等、季節要因の影響が大きい | 季節要因の影響は、ミドルクラスと比較して少ない | 需要層が限られており、空室期間が長期化する傾向にある |
| 賃料 | (概ね)10万円未満/月 | (概ね)10万円~15万円/月 | (概ね)15万円超/月 |
出典:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」
(注)上図の点線で囲まれた部分は、本投資法人のターゲットの中心となるテナント層のイメージを示すものです。
これ以外のテナント層をターゲットとする物件に関しても、マーケット特性や立地特性等の観点から、安定した需要が見込めると判断した場合には投資を検討します。
(ロ)テナント需要を説明づける各種要素を基準とした投資判断
本投資法人は、比較的安定した賃貸需要を有すると考えられる前記「(イ)「賃貸需要の厚いテナント層(基幹セグメント)」をターゲットとした物件選定」の表に記載のテナント層に応じて、主に「賃料水準」×「沿線」×「通勤・通学時間」を物件選定・投資判断の中心的な要素と位置付けた上で、ターゲットとする各テナント層や立地特性等を勘案しながら、他の諸要素を含め個別に検討した上で、投資判断を行います。
| 賃貸需要の厚みを重視した物件選定・投資判断 = 「賃料水準」 × 「沿線」 × 「通勤・通学時間」 |
本投資法人の考える物件選定・投資判断のための「判断基準とする中心的な要素」は、大要以下のとおりです。
| 賃料水準 | ターゲット・テナントに適した賃料水準 |
| 沿線 | 知名度の高い沿線、大規模ターミナル駅へ直結する沿線 |
| 通勤・通学時間 | ターゲット・テナントの活動拠点への通勤・通学時間 |
(ハ)ブランド毎に有するソーシング・ルートの活用
本投資法人は、下表に記載の物件特性に応じた統一名称毎に有する強固なソーシング・ルートを最大限に活用することにより、取得活動を継続してきました。
| 名称 | 対象物件 |
| プラウドフラット 野村不動産の企画・開発物件 | 「野村不動産との戦略的協調」 野村不動産と戦略的に協調し、用地取得・商品企画・管理等の住宅関連ノウハウを活かした賃貸マンション「プラウドフラット」の開発・取得を行うことを本投資法人の成長戦略の要と位置付け、これを最大限活用します。 |
| プライムアーバン 主として野村不動産以外の 他社の企画・開発物件 | 「プロバイダーとのネットワークの活用」 「野村不動産グループの情報ネットワークの活用」 5年超にわたるプライベート・ファンドの運用及び本投資法人の7年超の運用を通じて構築したプロバイダーとのネットワークを積極的に活用します。 加えて、野村不動産グループが有する広範な仲介ネットワークを活用することにより、売却物件情報等のタイムリーな収集を図ります。 |
B.ポートフォリオ構築方針
本投資法人は、賃貸マーケットの状況やテナント需要、立地特性等を十分に考慮した上で、以下の地域区分ごとの投資比率を目標としてポートフォリオを構築していく方針です。
なお、ポートフォリオ構築上、必要又は有用と認められる運用資産を取得する場合には、一時的に以下の目標から乖離する場合があります。
| 地域区分 | 目標とする投資比率 |
| 東京圏 (東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県) | 70%以上 |
| その他 (三大都市圏(東京圏を除く)及び政令指定都市をはじめとする全国主要都市) | 30%以下 |
東京圏は人口・世帯・企業・教育機関等が高度に集積しており、本投資法人がターゲットとする「賃貸需要の厚いテナント層」が集中している地域であると考えられるため、その投資比率の目標を70%以上とします。
なお、賃貸住宅は、オフィスの立地と比較して、特定の業務集積地区に集中して立地するものではなく、鉄道沿線周辺等を中心として広域に分散して立地しています。そのため、本投資法人では、より細分化した地域区分設定は行いません。
東京圏以外の地域においては、投資判断に際し、主に転勤者ニーズ及び大学・専門学校生ニーズを的確に捉えた立地選別が特に重要であると本投資法人は考えています。こうした特性と、東京圏に比して相対的にマーケット規模が小さいこと等を勘案した上で、その投資比率の目標を30%以下とします。
C.物件選定基準
個別の運用不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
| 選定項目 | 基準 | ||||||||||
| 用途 | 主として居住用施設であること (取得時点において、取得対象とする不動産の賃貸が可能な面積(駐車場等の面積は除きます。)のうち、居住用施設の用に供される部分の面積が50%超であることを基準とします。) 建物の敷地又は当該敷地に係る地上権若しくは賃借権(建物の敷地又は当該敷地に係る地上権又は賃借権の本体をなす不動産を以下「敷地等」といいます。)のみに投資する場合には、敷地等上の建物の用途が主として居住用施設であること 上記において、居住用施設とは、以下の各施設等をいいます。 | ||||||||||
なお、賃貸住宅以外の居住用施設については、物件の特性によっては、施設運営を行う専門のオペレーターへの運営委託を検討します。 | |||||||||||
| 立地 | 三大都市圏のほか、政令指定都市をはじめとする全国主要都市に立地していること | ||||||||||
| 投資規模 | 1物件あたりの投資金額が、当該物件への投資後におけるポートフォリオ全体の投資金額の30%以下であること | ||||||||||
| 耐震性 | 原則として新耐震基準に適合していること、又はそれと同水準以上の耐震性能を有していること | ||||||||||
| 権利関係 | 建物:所有権であることを原則とします。区分所有権については、その他の要素を勘案の上、物件毎に判断することとします。 土地:所有権であることを原則とします。所有権の共有及び借地権(建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権)については、その他の要素を勘案の上、物件毎に判断することとします。 |
| 選定項目 | 基準 |
| 環境・ 地質等 | 以下の基準を満たすことを原則とします。 ・建物状況調査報告書(エンジニアリング・レポート)において、有害物質の使用状況、管理状態に関する問題が指摘されていないこと ・土壌汚染のおそれがないこと(居住者、近隣への影響がないことが調査において確認できている場合を含みます。) 上記の基準を満たさない場合であっても、対応工事を行ってかかる基準を満たすことが可能であり、かつかかる工事の費用を加えた上でも十分な収益性が見込め、本投資法人のキャッシュフローへの影響が軽微である場合には、投資を行うことができるものとします。 |
また、本投資法人は、安定した賃貸需要が見込める優良物件を早期に確保することを目的として、未稼働(開発中)不動産についても投資を検討します。未稼働(開発中)不動産への投資判断に際しては、対象物件が物件選定基準に合致していること及び後記「D.フォワード・コミットメントを行う際の留意点」記載の事項を考慮し、加えて、売買契約等の条件において、完工・引渡し等のリスク回避が図られていること、売買契約の締結が建築確認取得後になされること及び建物竣工後に取得すること等を条件とします。
なお、居住用施設と共にこれに付帯して店舗その他の商業用施設やオフィスビルに投資しようとする場合にも、上記の居住用施設に関する基準に準じて判断するものとします。
D.フォワード・コミットメントを行う際の留意点
フォワード・コミットメント(先日付での売買契約であって、契約締結日から1ヶ月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているもの及びその他これに類する契約をいいます。)を行う場合には、以下の点に留意することとします。
(イ)解約違約金の設定に関する留意点
契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な投資判断を行うものとします。
(ロ)期間の上限・決済資金の調達方法等
売買契約締結から物件引渡しまでの期間については、個別物件毎に、開発型案件等との取組みに比して妥当な期間を上限とし、当該期間中における金融環境及び不動産市場等の変動リスクがあることを十分認識のうえ、慎重な検討を行うこととします。決済資金の調達方法については、取得を決定する時点においては、コミットメントライン等の融資枠の利用等、取得額に応じた決済時の取得資金の調達方法及びその実現性を検証し、決済時においては、金融市場、取引先金融機関との関係、投資法人債(短期投資法人債を含みます。)市場等の資金の調達環境の変化に応じて最適な資金調達方法を選択することとします。
E.物件調査(デューディリジェンス)基準
不動産関連資産の取得に際しては、以下の基準に従って調査を行います。
(イ)調査(デューディリジェンス)の実施
デューディリジェンスの調査項目は、以下のとおりです。
| 調査項目 | 内容 |
| マーケット調査 | ・周辺マーケット分析による当該物件のテナント需要動向、賃料水準 ・(必要に応じて)周辺エリアの人口動態、地域経済動向 |
| 収支の状況に関する調査 | 物件の過去収支実績、固定資産税及び都市計画税等の税金関係の未払確認等 |
| 建物調査 (エンジニアリング調査) | 建物仕様、建物瑕疵、緊急修繕個所、今後の資本的支出計画、PML(注)、構造強度確認等 |
| 環境調査 | 土壌汚染等 |
| 賃貸借の状況に関する調査 | 契約内容確認、未収金の有無等 |
| 管理の状況に関する調査 | 管理契約、仕様、修繕履歴等 |
| 鑑定評価 | 不動産鑑定士による鑑定評価又は価格調査 |
(注)PMLとは、想定した予定使用期間(50年=一般的建物の耐用年数)中に想定される最大規模の地震(475年に一度起こる可能性のある大地震=50年間に起こる可能性が10%の大地震)によりどの程度の被害を被るかを、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率(%)で示したものを意味します。
(ロ)調査レベルの均一化
個別の運用不動産の調査・投資適格性の判断に関しては、デューディリジェンスにおける調査レベルの均一化を図るとともに、取引に当たって留意すべき事項を十分に調査、認識した上で投資適格性を判断します。
(ハ)専門性、客観性及び透明性の確保
専門性、客観性及び透明性の確保の観点から、鑑定評価(価格調査)、建物調査(構造強度調査、地震PML調査を含む。)、環境調査については、第三者である外部の専門家に調査を委託します。
F.投資分析基準
不動産関連資産の取得に際しては、運用不動産に関して投資委員会で多角的な分析を行った上で、最終的な投資判断を行います。分析項目には、以下を含みます。
| 項目 | 内容 |
| 物件概要 | ・土地建物の概要 ・権利関係 ・賃貸借の状況(稼働率、テナント属性、特殊契約等) |
| 取引概要 | ・売主の概要 ・売買条件及びスケジュール ・付帯契約(プロパティ・マネジメント契約、保険等) |
| リスク分析 | ・取得基準への適合性 ・権利関係に関する事項 ・建物に関する事項 ・賃貸借に関する事項 ・その他取引に際して留意すべき事項 |
| マーケット分析 及び投資運用戦略 | ・サブマーケット(注1)の現状の確認及び将来予測(エリア特性、周辺事例、ターゲット・テナント、新規物件の供給等) ・想定賃料及び想定稼働率、賃貸事業費用、資本的支出に基づく当該案件の予想収支の検証 ・物件特性を踏まえた上での投資戦略及びマネジメント戦略の策定 |
| ポートフォリオへの影響 | ・築年数、地理的分散、稼働率、NOI(注2)、資本的支出(CAPEX) |
| 資金調達 | ・必要資金額の確認(初期修繕を伴う物件の場合はその内容)及び資金調達方法の検討 |
(注1)サブマーケットとは、特定の不動産に固有の一定の特性に着目した需要層毎に細分化された賃貸市場のことをいいます。資産運用会社は、不動産関連資産の取得に当たり、物件の立地のみにとらわれることなく、物件特性の分析に基づいて当該物件が属する実質的なサブマーケットの見極め等の分析を行います。
(注2)NOI(ネット・オペレーティング・インカム)とは、当該物件に係る賃貸事業収入の合計から賃貸事業費用(減価償却費を除きます。)の合計を控除した金額をいいます。
G.保険付保基準
不動産関連資産への投資にあたっては、火災等の災害や事故等による建物の損害及び第三者からの損害賠償請求等に対応するため、必要に応じ火災保険、賠償責任保険等の付保等の措置を講じるものとします。また、地震保険の付保については、地震の発生時に予想されるポートフォリオ全体への影響を考慮し、ポートフォリオPML(注)が15%以上の場合には、個別物件のPMLが15%以上の物件について火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することとします。
(注)ポートフォリオPMLは、複数の建築物群を対象とし、被害の相関性を考慮して、建築物群の中の1ないし複数の建築物に影響を与える「超過確率0.211%(再現期間475年)に対する建物の予想損失額」/「再調達価格」(%)で示したものです。但し、予想損失は、地震動による建物(構造部材・非構造部材。建築設備)のみの直接損失に関するものであり、機器、家具、什器等の被害や地震後の水又は火災による損失、被災者に対する保証、営業中断による営業損失等の二次的被害は含まれていません。
⑤ 運用方針
本投資法人は、中長期的な安定収益と運用資産の着実な成長を実現するため、以下の戦略・方針に基づき、運用不動産毎の特性に応じた計画的かつ機動的な運用に努めます。具体的には、物件特性を把握し、サブマーケット分析を行った上で、リーシング活動による賃料収入の安定的成長と、適切な大規模修繕・リニューアルによる運用不動産の競争力・収益性の維持・向上を図ります。
資産運用会社によって立案・決定された戦略・方針は、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理を実行するPM会社によって実行されます。
本投資法人は、(ⅰ)広域に分散した立地、(ⅱ)多数の物件・戸数、(ⅲ)小口のエンドユーザー、といった賃貸住宅の特性に鑑み、運用不動産毎の立地エリア、タイプ、戸数等の検証、ターゲット・テナントの設定及びこれらを前提とした賃貸条件やリーシング方法等の検討を行った上で、これら戦略・方針に従った適切な運営管理を行うにあたり最適と判断されるPM会社を選定します。
本投資法人は、各PM会社に対する本投資法人の基本方針及び運営管理にかかわる具体的な各種戦略・方針の正確かつタイムリーな浸透、運用不動産毎の継続的な業務水準の安定化、及び各PM会社間における業務水準の均質化を図るべく、「PM業務マニュアル」の整備や日々のコミュニケーションを通じたPM会社との「一体的な運営管理」を行います。このように、運用不動産毎の特性に合わせた最適なPM会社との一体的な運営管理により、そのパフォーマンスの最大化と効率的な運営管理を実現することが可能であると本投資法人は考えています。
運用戦略の概要
A.リーシング戦略
(イ)基本戦略
(ⅰ)テナント異動シーズンにおける重点的活動
テナント需要の多い時期において、モデルルームの先行オープン及び重点的広告宣伝活動等により、新規需要の早期取り込み、テナント入替えの期間短縮化を目指します。
(ⅱ)テナント需給動向の把握
賃貸住宅における安定したリーシングを継続するため、エリアの需給環境調査、取得戸数の適正規模、立地選定及び建物グレード設定等の分析を重点的に行います。
(ロ)リーシング計画
運用不動産毎に以下の項目を反映した年間リーシング計画を策定し、当該計画に基づきリーシング活動を行います。物件運営及びリーシング活動において得られたマーケット情報等については、運用ノウハウとして蓄積するとともに、リーシング計画策定に十分に活用することとします。
運用不動産毎の特性に応じた計画的かつ機動的なリーシング活動を展開することにより、空室期間の短縮、賃料水準の維持・向上を図ります。
・ サブマーケット動向予測
・ リーシング実績の分析
・ ターゲット・テナントの設定
・ 募集条件・目標設定
・ 募集活動方針の策定
B.大規模修繕・リニューアル戦略
運用不動産毎に適切な大規模修繕・リニューアル等の修繕投資を行い、運用不動産の競争力、収益性の維持・向上を図ります。
(イ)大規模修繕計画
建物の劣化防止・機能維持を目的として、年度修繕計画及び長期修繕計画(原則として5年)を策定します。当該修繕計画においては、物件毎に、築年数、修繕履歴、建物の劣化状況等を勘案した上で、以下の項目を中心とした大規模修繕を計画することで、工事の効率的な実施及びコスト削減を図ります。
・ 各種防水工事(屋上防水更新、シーリング交換等)
・ 躯体補修工事(クラック補修、外壁タイル交換等)
・ 各種塗装工事(内外装、鉄部等)
・ その他、設備更新等
(ロ)リニューアル計画
テナントのライフスタイルの変化への対応、ターゲットとするテナント層の変更による新規需要の獲得等、長期的な運用不動産の収益性向上等を目的とし、以下の項目を中心とした専有部及び共用部のリニューアル計画を策定します。
・ エントランス、アプローチ等の共用部外観デザインの変更
・ 共用部の照明計画、植栽計画の変更
・ 専有部の間取り、仕様・設備の変更
・ その他、入居者の利便性・快適性、防犯性の向上等
(ハ)大規模修繕・リニューアルの実施
上記計画工事の実施の際には、工事金額等の妥当性判断を行った上で、最適と思われる施工業者、デザイナー等の選定を行います。また、必要に応じて設計監理業務、工事監理業務等の外部委託を行います。
C.PM会社の選定・管理方針
上記の各戦略に基づき内部成長を実現し、安定収益を確保するためには、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理等を実行するPM会社が重要な役割を担います。立地するエリアが広範囲に及び、かつ、多様なテナント層を対象とする賃貸住宅の特性に鑑み、運用不動産毎の立地エリア、ターゲット・テナント属性等に応じて、最適と判断されるPM会社を選定します。
資産運用会社は、運用不動産毎に最適なPM会社を選定し、適切な管理を行うために、以下の諸点に留意します。
(イ)PM会社の選定方針
賃貸住宅のリーシングにおいては、立地が広域に分散しており、かつ不特定多数の個人を対象にしているため、基本的には物件別に、地元精通度・仲介ネットワーク・クレーム対応力・機動力等に優れたPM会社を選定することが、安定した物件運営を行う上で重要であると考えています。また、特に学生マンションや法人一括賃貸マンションのようにテナント層のターゲットを絞り込んだ物件においては、これら個別の運営ノウハウや顧客ストック量などの要素も、PM会社の選定上重要なポイントとなります(注)。
本投資法人は、こうした賃貸住宅としての特性を踏まえ、各立地・各物件の特性にあったPM会社を個別に選定する方針です。
なお、PM会社の選定に当たっては、候補となる会社の企業内容・実績(会社規模、組織体制、賃貸住宅管理実績、プロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)の受託実績等)の確認に加え、PM業務遂行能力(リーシング能力、建物管理能力、レポーティング能力、会計事務能力等)、報酬水準等の項目を総合的に検討した上で、最適と思われる業者を選定します。
(注)賃貸住宅の特性を踏まえたPM会社選定のポイントに関する本投資法人の認識について、下記「賃貸住宅とオフィスビルのPM会社選定のポイントの違い」をご参照ください。
<賃貸住宅とオフィスビルのPM会社選定のポイントの違い>
| 賃貸住宅 | オフィスビル | |
| 対象テナント | 不特定多数の個人が中心 | 特定の法人が中心 |
| 物件立地 | 広域に分散 | 一定のオフィスエリアに集中 |
| 賃貸条件 | 賃貸区画毎に契約条件が画一的 | 賃料・期間・面積・工事区分等、契約条件がテナント毎に異なる |
| リーシング手法 | <新規リーシング>仲介業者・情報誌・インターネット等を通じたマス媒体がリーシングの中心 | <新規リーシング>法人相手の直接的な営業活動がリーシングの中心 |
| <リレーション>入居後は設備トラブルなど、突発的クレームへの対応が重要 | <リレーション>入居後は増床ニーズの対応など、継続的なテナントリレーションが重要 | |
| PM会社選定のポイント | 地元精通度、仲介ネットワーク、クレーム対応力(機動性)を重視 特定ターゲットに対する専門性 | テナント営業力を重視 |
(ロ)PM会社の管理方針
(ⅰ)PM会社との一体的な運営管理
資産運用会社は、基本的なPM業務や運営ルールに関して、以下の事項を中心とした「PM業務マニュアル」の整備を行い、PM会社とのコミュニケーションの効率化、継続的な業務水準の安定化及びPM会社間における業務水準の均質化を図ります。
・各種レポーティング、資金移動等に関する業務フロー、スケジュール
・重要事項に関する承認ルール
・各種報告書(運営報告・会計報告等)に関する作成方法、作成上の留意点
・重要情報等に関する情報管理方法
・滞納テナントへの対応方針等
(ⅱ)PM会社とのコミュニケーション
資産運用会社は、各PM会社の、上記「PM業務マニュアル」を基礎とした日常の物件運営に関する管理・監督に加え、リーシング活動の状況、修繕工事の実施状況等の重要事項について、各PM会社との間で適宜協議を行います。
(ⅲ)PM会社のモニタリング
資産運用会社は、PM会社のPM業務遂行能力及び委託物件の運営実績(稼働率、空室期間、成約賃料水準等)に関して、継続的なモニタリングを行い、必要な指導を行います。
D.年度運用計画等の策定及び管理
資産運用会社は、本投資法人の中長期的な収益の安定とポートフォリオの着実な成長を実現するため、計画的な資産の運用を行うことを目的として、運用資産全体について「年度運用計画」及び「修正年度運用計画」を策定します。
(イ)年度運用計画及び修正年度運用計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について年度運用計画及び修正年度運用計画を策定し、同計画に基づいて適切な運営管理を実施します。
「年度運用計画」は、各営業期間毎に1年分(2営業期間)を対象に策定することとし、当該年度運用計画の最初の営業期間の実績等を踏まえた上で、残りの営業期間分の「修正年度運用計画(期中運用計画)」を策定することとします。
各計画は、当該計画の対象となる営業期間開始時点における、ポートフォリオ全体の収支予算及び物件別事業計画により構成されます。
物件別事業計画は、個別の運用不動産の適切な運営管理を実施するため、募集戦略、建物管理、修繕・リニューアル等の項目を中心として個別の運用不動産毎に策定され、資産運用会社は、同計画に基づいて、各PM会社と協働して運用不動産の運営管理を行います。
(ロ)年度運用計画及び修正年度運用計画の検証
年度運用計画(修正年度運用計画を含みます。)の策定後は、PM会社からの月次報告(PMレポート)に基づき、物件毎及びポートフォリオ全体での検証を行うこととします。
検証の結果、計画と実績に乖離が見られる等、年度運用計画の見直しが必要と判断される場合には、速やかに臨時の修正年度運用計画を策定します。
E.売却方針
中長期の安定収益の確保という本投資法人の基本方針に基づき、原則として長期保有を前提とした投資を行いますが、必要に応じて個別運用資産の売却を検討します。
売却については、以下の項目等を考慮の上、総合的に判断することとします。
・当該運用不動産の資産価値の増減及びその予測
・サブマーケットの将来性及び安定性
・当該運用不動産の劣化又は陳腐化及びそれらに対応するためのコスト予測
・ポートフォリオ構成
また、フォワード・コミットメントを行う場合は、契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な判断を行うものとします。
⑥ 財務方針
本投資法人は、安定収益の実現と運用資産の着実な成長のために、以下に掲げる方針に従い、計画的かつ機動的な財務戦略を策定、実行します。
A.エクイティ・ファイナンス
投資口の追加発行は、新たに取得する不動産関連資産の取得時期、総資産に対する有利子負債の比率(LTV:ローン・トゥ・バリュー)、有利子負債の返済時期及び返済までの残存期間、経済市況等を総合的に勘案して決定します。
B.デット・ファイナンス
本投資法人の資金の借入れ及び投資法人債(短期投資法人債を含みます。)の発行に際しては、規約第37条の規定を遵守しつつ、機動性と財務の安定性に配慮した資金調達を行います。
なお、規約第37条第3項に従い、借入金及び投資法人債発行の限度額は、それぞれ1兆円とし、かつ、その合計額が1兆円を超えないものとします。
LTV水準(総資産に対する有利子負債の比率をいいます。)は60%を上限とします(但し、新規投資や資産評価の変動等により、一時的に上限を超えることがあります。)。
長期借入比率(有利子負債残高に占める長期借入金残高の割合をいいます。)、固定比率(有利子負債残高に占める固定金利(デリバティブ取引による金利固定化を含みます。)での借入金残高の割合をいいます。)、返済期限までの残存期間等を含め、総合的に財務の安定性を確保するものとします。
⑦ 情報開示方針
本投資法人は、法令・諸規則の要請する内容及び様式に従って、迅速かつ正確な開示を行います。また、情報の透明性及び分かり易さに配慮し、法定開示以外の情報の開示も積極的に実施する方針です。