有価証券報告書(内国投資証券)-第2期(平成25年9月1日-平成26年2月28日)
(1)【投資方針】
① 基本理念
本投資法人は、不動産投資法人(J-REIT)の主な商品特性である「安定した収益(インカム・リターン)」を中長期的に追求していくことを最重要視しています。
かかる基本理念のもと、本投資法人は、人々が生活していくうえで必要な「消費」の安定した需要に着目し、生産者と消費者を結びつける「物流施設」と、生産者から供給される商品を販売する役割を担う小売業者と消費者を結びつける「商業施設」を主たる投資対象とします。物流施設においては、産業構造の変化に伴い高機能大型物流施設への需要が高まっており、商業施設においては、飲食料品や日用品等を中心とした小売業や、女性の社会進出や少子高齢化によるサービス業への底堅い需要を背景として、これらを取り扱う商業施設への安定した需要が見込めると考えています。
なお、物流施設、商業施設ともに、テナントとの長期固定契約により安定的なキャッシュ・フローが期待でき、本投資法人が掲げる中長期的に安定した収益(インカム・リターン)の追求という基本理念との親和性が高い投資対象であると判断しています。
また、本投資法人は、国内における一大消費地であり、需要に厚みのある東京圏(東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県)を中心に据えた投資方針により、安定収益を生み出すポートフォリオを構築するとともに、野村不動産グループの物流施設及び商業施設における企画・開発・運営力を最大限活用し、中長期的に安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指した運用を行います。
② 基本方針
本投資法人は、規約第27条(資産運用の基本方針)に基づき、中長期的に安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を実現することを基本方針とし、かかる基本方針を実現するため、主として物流施設及び商業施設を投資対象とします。物流施設は産業インフラとして、商業施設は消費活動を支えるインフラとして、いずれも経済活動に不可欠な施設であると考えています。
本投資法人は、物流施設及び商業施設のバランスを考慮したポートフォリオを構築するとともに、需要に厚みのある東京圏を中心に据えた投資戦略により、中長期的に安定した収益を確保することを目指します。
A.物流施設の投資優位性
物流施設は、他の用途の不動産等と比較して、安定的な運用が可能であると考えています。物流業界においては、EC(電子商取引)及びインターネットを通じた通信販売の普及による消費財を中心とした荷物の少量多品種化が進んでおり、また、物流全体の最適化を追求するサプライ・チェーン・マネジメントが浸透してきています。また、経済競争のグローバル化や経営資源の本業回帰傾向により、物流業務を専門業者に外部委託する傾向が活発化しています。これら物流産業における構造変化や荷主企業の需要を背景として、近年、物流業務のアウトソーシング志向が高まり、3PL事業が拡大傾向となっています。本投資法人は、この傾向は今後も拡大していくと考えており、荷主企業や物流事業者のニーズに対応した高機能大型物流施設への需要は底堅く推移すると考えています。
また、物流施設は、一般的にテナントとの長期固定契約の締結が可能で、稼働率も安定的に推移することに加え、他の用途の不動産等と比較し、管理費用や修繕投資が低く抑えられるなど、安定的なキャッシュ・フローが期待できる特性を有していると考えています。本投資法人は、これらの特性を踏まえ、高機能大型物流施設を中心とした物流施設への投資により、中長期的に安定した収益の確保を目指します。
B.商業施設の投資優位性
女性の社会進出や少子高齢化等の社会構造の変化とともに、消費者が望む商品・サービスについてもニーズが多様化しています。「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、インターネットを利用した消費者の情報収集力の向上、低価格志向の拡大等、小売業やサービス業においては、消費者のライフスタイルに合わせた商品、価格、サービスを提供することが求められています。
このような動向を受け、小売業全体の売上は概ね横ばいに推移しているものの、飲食料品や日用品等の生活に必要となる商品を取り扱う小売業の売上については、緩やかな増加傾向で推移しており、これらの小売業は、引き続き底堅い需要が見込まれます。一方、女性の社会進出や少子高齢化に伴い、学習塾、英会話教室、クリニック、エステサロン、旅行代理店等のサービス業に対する需要も今後期待することができ、これらを取り扱う商業施設については安定的な需要を見込むことができると考えています。
商業施設は、その投資特性に応じ、(i)(ターミナル)駅の集客力に依拠し、オフィスビルと同水準の好立地に位置し、マルチテナント型の賃貸方式が多いことが一般的であるため、キャッシュ・フローの内部成長(テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上)可能性を有する「駅前立地型」と、(ii)周辺居住者の後背人口を抱え、運営者(テナント)との長期固定契約によるマスターリースを通じた安定的なキャッシュ・フローが期待できる「居住地立地型」に分類することができます。本投資法人は、かかる分類に応じ、その異なる投資特性を見極めた上で、これらの商業施設にバランスよく投資することで、中長期的な安定収益の確保を目指した運用を行ってまいります。
C.安定収益を生み出すポートフォリオ構築
国内において、地域別に人口動向を見ると、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)では人口流入傾向が大きく、名古屋圏(愛知県、岐阜県及び三重県)、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県及び奈良県)においても横ばい又は緩やかな人口流入傾向であることが確認できます。特に、東京圏は、三大都市圏のなかでも突出した人口集中度を示しています。
本投資法人は、一大消費地でありテナント需要に厚みがあることを重視し、東京圏を中心としたポートフォリオを構築することにより、中長期的に安定した収益の確保を目指します。なお、東京圏への投資比率は、原則として80%以上(取得価格ベース)とします。
また、前記のとおり、本投資法人が投資対象とする物流施設や居住地立地型商業施設は、テナントとの長期固定契約により安定したキャッシュ・フローを期待できる一方で、駅前立地型商業施設は、キャッシュ・フローの内部成長可能性を有していると考えています。コスト面においても、一般的に管理費用や修繕投資が抑えられる物流施設と、集客力の維持・向上の観点からある程度の修繕投資を要する傾向にある商業施設を併せて投資対象とし、一つのポートフォリオを構築することで、施設特性を考慮し資本配分を通じたマネジメントによる相乗効果が発揮できるものと考えています。
本投資法人は、東京圏を中心に据えた投資方針と物流施設と商業施設それぞれの特性を融合させたポートフォリオ・マネジメントにより、中長期的な収益の安定性を追求したポートフォリオを構築することを目指します。
D.野村不動産グループのバリューチェーン
野村不動産グループは、野村不動産株式会社(以下「野村不動産」といいます。)をはじめとする野村不動産ホールディングス株式会社(以下「野村不動産ホールディングス」といいます。)の連結子会社等からなる企業集団です。野村不動産グループの事業セグメントは「住宅事業」「賃貸事業」「資産運用事業」「仲介・CRE事業」「運営管理事業」「その他の事業」に区分されており、総合不動産会社として多岐にわたる事業を展開しています。
野村不動産グループは、1990年代後半から資産運用事業を本格展開しており、商品構成・運用対象資産・投資対象地域等を着実に拡大するとともに、かかる実績に裏付けられた運用経験とノウハウを有しています。
また、野村不動産グループが平成24年10月に策定した「野村不動産グループ 中長期経営計画(-2022.3)~Creating Value through Change~」においては、「3ヵ年計画(-2016.3)」における事業戦略の柱の一つとして、賃貸不動産の開発メニューを多様化し、物流施設(「Landport」シリーズ)や商業施設(「GEMS」シリーズ他)の開発も強化していく方針が採用されています。
本投資法人は、野村不動産グループが有する物流施設及び商業施設に係る企画・開発・運営力を最大限活用することで、最適なポートフォリオ運用と豊富なパイプラインに裏打ちされた資産規模の着実な成長を図り、中長期的な安定収益の確保を目指していく方針です。
③ 物流施設の投資優位性
A.物流業界動向
近年、物流業界では、EC(電子商取引)及びインターネットを通じた通信販売が拡大傾向にあります。かかる傾向を受け、宅配便を中心とした個人顧客向けの小口配送の需要は今後ますます高まる傾向にあり、少量多品種の物品を迅速かつ正確に配送することが求められています。荷主企業の一部においては、商品の受注後当日配送を導入している企業も出てきており、多様化する消費者ニーズに応えるため、サプライ・チェーン・マネジメントの再構築をはじめ、物流システムの高度化は、今後もますます進むと考えています。物流事業者は、これらの荷主企業のニーズに対応するため、物流機能である輸送・配送、保管・荷役・包装・流通加工等一連の作業を物流施設内で効率的に行い、リードタイムの短縮化や在庫の適正化を実現することが求められています。従来、物流施設は保管機能のみの役割を担うことが多かったところ、かかる産業構造の変化を受け、業務効率化を追求するため、より大型かつ高機能な物流施設へのニーズが高まっています。
≪消費者向けEC(電子商取引)市場における「小売業」市場規模と宅配便取扱個数の推移≫
出所:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」、国土交通省「宅配便等取扱実績」
(注1)「総合小売」とは、百貨店、総合スーパー、コンビニエンスストア、ホームセンター及び通信販売業を指します。
(注2)消費者向け電子商取引市場における「小売業」市場規模については各暦年における市場規模を、宅配便取扱個数については各年度における取扱個数をそれぞれ記載しています。なお、宅配便取扱個数については郵政民営化後の平成19年度からゆうパック(日本郵便株式会社)の実績が調査対象に含まれています。
一方で、荷主企業においても、経営課題の一つとして物流業務が重要視されるようになり、業務の効率化やコスト削減を目的として物流全体の最適化を追求するサプライ・チェーン・マネジメントを再構築するニーズが高まっています。また、経済競争のグローバル化等により、経営資源を本業に振り向ける動きが強まり、従来、子会社等を介して物流業務を内製化していた事業会社が物流業務を外部委託する動きが活発化しています。
こうした荷主企業ニーズや前記の消費者ニーズの多様化を背景として、物流業務を専門的に請け負う3PL事業への需要が高まっているといえます。
B.3PL事業の市場拡大
3PL事業者には、荷主企業の物流・ロジスティクス改革のニーズに対して、その高度化・効率化のための物流計画の立案や、輸送、保管などの基本的な物流サービスに加え、受発注、適正在庫管理、決済、流通加工、包装など単なる物流機能を超える多様な関連業務・サービスの提供が求められています。これらを背景として、3PL事業者には、(1)保管・配送に付加価値を加えた物流機能の提供、(2)業務効率化やコスト削減を目的とした情報技術の活用、(3)施設拡大に伴う自社保有の物流センターなどのオフバランス志向などの特徴が見られます。
市場規模が拡大傾向にある3PL事業者にとっては、上記のような業務拡大に伴い高度な物流機能の提供が可能な建物スペックを備えた大規模な物流施設が必要となっており、ますます「大型化」や「高機能化」への需要が高まるものと考えています。
出所:シービーアールイー株式会社(世界的な事業用不動産サービス会社であり、不動産情報及びデータの分析並びにマーケットリサーチ・レポートの作成等を業務の一部として行っています。)
(注)公表資料に基づき3PL事業の売上がセグメント別(各社の定義に基づきます。)に5年間分の情報取得が可能な9社を対象とし、平成20年度を100として、売上高合計(指数)の推移を示したものです。なお、M&A等による企業の事業拡大等も含まれます。
C.物流施設への投資基準
本投資法人は、消費財を中心とした荷主ニーズの拡大や3PL事業者の業務効率化ニーズ等に鑑み、高機能大型物流施設を中心に投資します。
立地については、生産地や消費地との近接性、高速道路や幹線道路等自動車交通の要所であり交通アクセス性に優れていること、24時間稼働可能であること、労働力の確保が容易であること等が重要な要素であると考えています。
建物においては、原則として延床面積10,000㎡以上であり、高度な物流機能を提供する物流事業者ニーズに対応できることを考慮し、床荷重、梁下有効高、分割対応(接車バース、エレベーター、垂直搬送機を含みます。)等の汎用性を兼ね備えていることを踏まえ、物件選定を行います。
本投資法人は、野村不動産グループが開発した「Landport(ランドポート)」シリーズを組入れていますが、いずれも高速道路のインターチェンジからのアクセス性に優れ、労働者の確保が容易な立地に位置しており、建物スペックにおいても、荷役に配慮した高床式、床荷重(1.5t/㎡以上)、梁下有効高(原則5.5m以上)、分割可能なマルチテナント型、豊富な接車バースや駐車場等テナントニーズに応えることのできる高機能大型物流施設です。
また、物流事業者が取り扱う荷物は多様化しており、それぞれの物流事業者によって施設に対するニーズが異なります。具体的には、重量物を取り扱う場合は床荷重を補強したりすることがあり、ピッキング、値札付け、梱包及び検品等の流通加工作業を伴う場合はベルトコンベアを設置したりすることがあるなど、テナント負担による設備投資が行われる傾向があります。これらの要因もあり、物流施設における賃貸借契約は長期固定契約が期待できる傾向にあり、キャッシュ・フローの安定化に寄与するものと考えています。
本投資法人は、今後も高機能大型物流施設への需要は底堅いものと考えており、かかる高機能大型物流施設を中心に物流施設への投資を行い、中長期的な安定収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。
なお、トランクルーム、レンタル収納スペースなどの一般消費者向け倉庫などの高機能大型物流施設以外の物流施設についても、キャッシュ・フローの安定化に資すると判断されることを条件として補完的に投資対象とすることがあります。
● 配送トラックの発着、荷降ろしの効率性を重視した仕様
● 施設内への荷物搬入、保管能力に優れた機能
● 快適かつセキュリティ性の高い業務環境
● 労働環境にも配慮したアメニティを確保
(注1)上記は、本投資法人の保有資産に含まれる「Landport」シリーズの一例として、高機能大型物流施設の主な特徴を示したものであり、本投資法人の投資対象とする物流施設について、これらの特徴が全て備わっていることを取得の条件とするものではなく、本投資法人が保有又は取得する物流施設にこれらの特徴が全て備わっていることを保証するものでもありません。
(注2)上記の仕様や機能等は、本投資法人の保有資産に含まれる「Landport」シリーズの一部の物件についてのものであり、「Landport」シリーズの各物件について、これらの特徴が全て備わっているわけではありません。
D.物流施設への投資リスクへの対応
高機能大型物流施設への需要は底堅いと考えていますが、物流施設は他の用途と比較して市場規模が小さく、需給バランスが大きく変動する可能性を有していることから、物流立地としてのテナント代替性、マルチテナント対応の可否及び賃貸借契約期間等を見極め、投資を行っていく必要があります。運用面においても、物流施設は一般的に賃貸面積が大きいため、テナント退去後のリースアップ(リーシング力)が空室期間の短縮ひいては投資リスクの低減に繋がるものと考えています。
また、物流施設は、長期固定契約が多いという賃貸借契約の特性上、キャッシュ・フローの内部成長(テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上)余地は一般的に大きくはないため、いかに外部成長をしていくかが重要となります。
本投資法人では、上記の投資リスク・投資特性に対応するため、以下の3点を重視した運用を行います。
(ⅰ)需要に厚みのある立地選定(東京圏重視)
(ⅱ)野村不動産グループにおける開発物件のパイプライン
(ⅲ)野村不動産グループにおけるリーシング力の活用
長期固定の賃貸借契約を前提とした物流施設の賃料変動リスクは小さいものの、一方でポートフォリオの分散効果は図りにくいため、特に既存テナント退去後のリーシング力が、安定収益の確保に向けて重要であると考えています。物流施設のリーシングにおいては、これまで資産運用会社が物流施設を保有する私募ファンドの運用を通じて蓄積してきたテナントとの親密なリレーションを活用し、難易度が高い物流施設開発時のリーシングを自ら完遂してきましたが、平成25年4月から野村不動産がオフィス、物流施設及び商業施設のリーシング機能を集約し、一元的にテナントリーシング活動を行っています。本投資法人は、その取得・保有する各物流施設について、野村不動産との間で、「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」(注)を締結しており、野村不動産物流施設事業部からテナント情報の提供を受けることにより、野村不動産の有するリーシング力を最大限活用した、入居テナントとの賃貸借契約交渉、新規テナントリーシングや大規模リニューアルの計画立案等を通じて、資産価値の維持・向上を図ります。上記のとおり、物流施設への投資における最大のポイントは、「リーシング力」にあると考えており、当該リーシング力を有する野村不動産グループの力を最大限活用できる点において、優位性を発揮できると考えています。
(注)ロジスティクス・テナント・マネジメント契約においては、対象となる各物流施設につき、リーシング、賃料改定・賃貸借期間の更新、大規模リニューアル工事計画・実施等、テナントマネジメントに特化したプロパティ・マネジメント業務を委託しています。
④ 商業施設の投資優位性
A.小売・サービス業界動向
小売業については、国内において、少子高齢化傾向が続く今後の人口動向を踏まえると、国内の小売市場は今後も大きな拡大は見込めないことが想定されます。また、女性の社会進出や少子高齢化等の社会構造の変化により、消費者が望む商品・サービス面でのニーズも多様化しています。「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、インターネットを利用した消費者の情報収集力の向上、低価格志向の拡大等、小売業においては、消費者のライフスタイルに合わせた商品、価格、サービスを提供することが求められています。
経済産業省「商業動態統計調査」の小売業販売額(品目別)によれば、平成3年以降、小売業の総販売額は概ね横ばいで推移しているものの、内訳を見ると、飲食料品その他生活に欠かせない日用品等に関連する業態の小売業(飲食料品小売業、その他小売業)の販売額は緩やかに上昇していることが窺えます。
一方、サービス業については、女性の社会進出や少子高齢化の影響により、教育、趣味、美容、娯楽、医療等に対する消費が伸びると考えられ、駅前立地型商業施設において、主要なテナント層となる学習塾、英会話教室、クリニック、エステサロン、旅行代理店等のサービス業に対する持続的な需要が期待できるものと考えています。
出所:経済産業省「商業動態統計調査」
(注1)棒グラフは「小売業総販売額」を示し、右軸に対応します。「小売業総販売額」は、燃料小売業を除きます。
(注2)「飲食料品小売業」は、主に飲食料品を小売りする事業所を指します。例:食品スーパー
(注3)「その他小売業」は、医薬・化粧品、家具、スポーツ用品、娯楽、ペット用品、中古品等を小売する事業所を指します。
(注4)「各種商品小売業」は、主に衣、食、住にわたる各種の商品を一括して一事業所で小売する事業所を指します。例:百貨店、総合スーパー
以下の消費総合指数は、内閣府が月例経済報告における個人消費の基調判断の一材料として作成しているものであり、月次での個人消費動向を示す指標です。これによると、個人消費は平成12年以降堅調に推移していることが窺え、平成20年9月のリーマンショック及び平成23年3月の東日本大震災の影響が一時的に見られるものの、全体のトレンドとして個人消費は堅調であるといえます。
出所:内閣府「消費総合指数」
(注1)上記の各年における1乃至4の数字は、それぞれ1月~3月、4月~6月、7月~9月及び10月~12月の期間を指します。
(注2)平成17年の消費総合指数の平均値を100としています。
本投資法人は、こうした堅調な個人消費により支えられる飲食料品やその他生活に欠かせない日用品等に関連する小売業(飲食料品小売業、その他小売業)やサービス業に対しては、今後も堅調な需要を見込むことができ、これらを取り扱う商業施設には比較的安定的な需要が見込まれると考えています。
B.商業施設への投資基準
商業施設は、地域特性や施設特性等の個別性の強い不動産であると認識しています。本投資法人は、商業施設へ投資するにあたり、以下に記載の特性を踏まえ、「駅前立地型商業施設」と「居住地立地型商業施設」に分類し、投資分析を行い、中長期的な安定収益に資すると判断する商業施設に厳選投資します。
駅前立地型商業施設は、駅の集客力に依拠し商業集積の高いエリアに位置する商業店舗やサービス系テナントビル等であり、その物件選定においては、駅の乗降客数、駅距離(アクセス性)、商業集積状況(繁華性)、視認性、他の商業施設との相乗効果等の立地評価をはじめ、建物設備のスペック等を総合的に勘案し投資判断します。また、商業集積の高いエリアにおいて、商業施設として安定した収益が期待できると判断した場合には、他の用途の不動産を商業施設にコンバージョン(建物の用途変更)することを前提として取得することも検討します。
居住地立地型商業施設は、豊富な周辺居住者を後背人口に抱えたエリアに位置するショッピングセンター(以下「SC」といいます。)や専門店等(飲食料品及び日用品を主体とする商業施設)であり、その物件選定においては、商圏人口の厚みを最重要視し、交通アクセス性、競合店動向、テナント及び用途の代替性の評価をはじめ、賃貸借契約期間、テナントクレジット等を総合的に勘案し投資判断します。
なお、売上が景気に左右されやすく、解約リスクや賃料下落リスクによる収支への影響が大きい商業形態(たとえば、単一店舗で、食料・衣料・家具・家電等多様な商品を揃える商業形態)への投資は、原則として行わないこととします。
また、一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査」によれば、東京都における都心と郊外の商業施設における期待利回りは大きく異なっています。立地評価による違いが主因であると考えられますが、本投資法人はリスクとリターンにおいて異なる特性を有する駅前立地型商業施設と居住地立地型商業施設のいずれにも偏重することなく、ポートフォリオ全体のバランスを見据え、適切に分散投資することにより、中長期的な安定収益の確保を目指します。
≪不動産投資家調査による投資家期待利回り≫
出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」
(注1)一般財団法人日本不動産研究所の不動産投資家調査は、日本の不動産投資市場における主要なプレイヤーに対するアンケート調査であり、期待利回りを中心として、投資スタンスや今後の賃料見通しなどに関する回答を集計したものです。
(注2)「商業(東京郊外)」とは、東京都心まで1時間程度の主要幹線道路沿いの売り場面積20,000㎡程度の郊外型ショッピングセンターを、「物流(東京湾岸マルチ)」とは、江東地区の延床面積50,000㎡程度のマルチテナント型物流施設を、「商業(東京都心)」とは、中央区の銀座中央通り沿いの都心型高級専門店を想定しています。
C.商業施設への投資リスクへの対応
小売業界の全体的な傾向として、飲食料品ほか生活に欠かせない日用品等に関連する業態や駅前立地の集客力の高い商業ビルについては、サービス系、物販及び飲食店舗等による安定した需要が見込まれるものの、衣料、高級嗜好品や耐久消費財については、景気変動の影響を比較的受けやすいと考えています。
また、商業施設は、売上高に対する割合によって、賃料を含む賃貸条件が決まることが一般的であり、売上高の維持・向上を通じた収益の維持・向上のためには、立地競争力、テナント競争力及びテナント構成等のリーシングマネジメントが、特に重要となります。加えて、大型の商業施設でありテナントの代替性が確保しにくい物件については、賃料下落や空室期間の長期化による潜在的な収益性低下リスクが大きいと考えています。
上記の状況を踏まえ、本投資法人においては、以下の具体的施策を実施していきます。
(ⅰ)駅の集客力が見込める「駅前立地型」、飲食料品及び日用品を主体とする「居住地立地型」の商業施設を中心に据えた投資
(ⅱ)野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツの商業企画開発、リーシング力を最大限活用
(ⅲ)売上が景気に左右されやすく、解約リスクや賃料下落リスクによる収支への影響が大きい商業形態(たとえば、単一店舗で、食料・衣料・家具・家電等多様な商品を揃える商業形態)への投資は、原則として行わない
平成25年4月より、野村不動産では商業施設事業部を新設し、今後の商業施設開発に向け組織・陣容を強化しています。平成25年3月15日にグランドオープンを迎えた「ボーノ相模大野」では、当該オープン時に約90店舗のテナントリーシングを完遂しており、平成24年10月23日にグランドオープンを迎えた「GEMS渋谷」も含め、商業施設のテナント候補とのリレーションを強化しています。本投資法人は、野村不動産グループのリーシング力を活用し、商業施設の安定収益の確保を図ってまいります。
⑤ 安定収益を生み出すポートフォリオ構築
A.テナント需要に厚みのある東京圏を中心に据えた投資
本投資法人は、基本理念に掲げる中長期の安定収益を追求するため、物流施設及び商業施設のバランスを考慮したポートフォリオ構築を目指します。マーケット環境や社会的ニーズに対応したうえで、テナント需要、代替性、収益性及びリスク等を総合的に勘案し、ポートフォリオ全体の資産価値の向上及び中長期の収益の安定化を図ります。
投資対象地域については、三大都市圏を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域とし、地震リスク並びに地域経済及び賃貸市況の変動等のリスクを軽減することによりキャッシュ・フローの安定化を図ることを目的として、地域分散を図ることとします。
地域別に人口動向を見ると、東京圏では人口流入傾向が大きく、名古屋圏、大阪圏(本投資法人の投資対象地域の分類においては、それぞれ「中京圏」、「近畿圏」といいます。)においても横ばい又は緩やかな人口流入傾向であることが確認できます。
本投資法人は生産者と消費者を結びつける物流施設、小売業者と消費者を結びつける商業施設ともに消費者の集積が施設需要に直結することを踏まえ、三大都市圏を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域の投資対象不動産へ投資を行います。
出所:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2014年版)」
(注1)上図において、「東京圏」は東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の1都3県、「名古屋圏」は愛知県、岐阜県及び三重県の3県、「大阪圏」は大阪府、京都府、兵庫県及び奈良県の2府2県を指します。
(注2)三大都市圏間の移動は含まれません。
さらに、日本においては政治、経済、文化、人口等社会における資本・資源・活動が東京圏に集中する傾向が年々高まっており、三大都市圏のなかでも東京圏への人口集中は突出しています。
本投資法人は、消費者やテナント需要に厚みがあることを重視し、三大都市圏の中でも東京圏を中心としたポートフォリオを構築し、中長期の安定した収益を確保するよう運用してまいります。
B.物流施設・商業施設の安定した投資特性
本投資法人が投資対象とする物流施設は、前記のとおり、テナントの負担において施設に対するニーズを満たすための設備投資を行うことが多いことなどから、一般的にテナントとの賃貸借契約において、長期固定契約が期待できる傾向があります。また、商業施設においては、業態によって2年間の賃貸借契約と長期固定契約が混在しておりますが、SCや専門店等の居住地立地型商業施設は、施設運営者との賃貸借契約において、長期のマスターリース契約が締結される傾向があります。なお、駅前立地型商業施設については、オフィスビルと同水準の好立地に位置し、マルチテナント型の賃貸方式が多いことが一般的であるため、テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上(キャッシュ・フローの内部成長)の可能性を有した施設であるといえます。
本投資法人が投資対象とする物流施設と商業施設は、賃貸借期間が相対的に長期に及ぶ傾向があり、賃料特性として、他の用途の不動産と比較し安定推移する傾向が見られます。一般的に、居住用施設は景気への感応度が低く、賃料の安定性が特徴の一つとして挙げられますが、物流施設と商業施設においても下表のとおり長期間変動が少なく安定推移していることが窺えます。
本投資法人は、物流施設と居住地立地型商業施設の安定性という共通した特性と内部成長が期待できる駅前立地型商業施設の特性を踏まえ、中長期の安定した収益を確保するため、偏ることなく分散投資していきます。
≪用途別の賃料指数推移≫
出所:日本銀行「企業向けサービス価格指数」、総務省「消費者物価指数」
(注)民営家賃は総務省「消費者物価指数」の値、事務所賃貸、店舗賃貸及び普通倉庫は日本銀行「企業向けサービス価格指数」の値にそれぞれ基づき、平成3年の平均値を100として毎年の平均値を指数化しています。
C.それぞれの特性を融合したマネジメント
本投資法人は、物流施設の荷主と商業施設のテナントは相互に密接に関連していると考えています。商業施設のテナントである物販業者及び飲食業者は、消費者に対しモノ(商品)を提供することによって、財(金銭)を受領することとなり、商品を提供するにあたり物流機能(輸送・配送、保管・荷役・包装・流通加工等)が必要不可欠です。具体的には、物販店舗及び飲食店舗のテナントは、荷主として物流施設ニーズを有しており、その情報を空室区画のリースアップや野村不動産グループによる物流施設の開発へ繋げることが可能となります。物流施設の主要なテナントである3PL事業者に対しても、物流ニーズを有する商業施設テナントを紹介し事業拡大の機会を提供することで、良好なテナント・リレーションを築くことができるものと考えています。
(注)上記はあくまで商業系テナントの一般的特性と、これを活用したリーシング戦略や新規投資戦略のイメージであり、全てのテナントがかかるニーズの双方を有していることや、かかる情報を本投資法人が保有する物流施設や商業施設のリーシングや本投資法人の新規投資戦略に何らの制約なく活用できることを保証するものではありません。
また、前記のとおり、長期固定契約が多く見られる物流施設と居住地立地型商業施設については、なるべく契約期間満了日を分散し、解約リスクを低減させるマネジメントにより、安定的なキャッシュ・フローを目指します。
一方、費用面においても、物流施設は、一般的に共用部分の割合が低いことや内装及び設備も軽装備であることから、他の用途の不動産等と比較し、管理費用や修繕投資が抑えられる傾向があります。また、物流事業者が重量物を取り扱う場合は床荷重を補強したりすることがあり、ピッキング、値札付け、梱包及び検品等の流通加工作業を伴う場合はベルトコンベアを設置したりすることがあるなど、テナント負担による設備投資が行われる傾向があります。商業施設については、マスターリース型かマルチテナント型によって異なるものの、一般的に、共用部分の維持・管理や修繕投資及び販促費など、集客力の維持・向上を目的としたコスト負担を要する傾向にあります。これらの異なる特性を有する用途の不動産を一つのポートフォリオとして構成することにより、施設特性を考慮し資本配分を通じたマネジメントによる相乗効果が発揮できるものと考えています。
本投資法人は、野村不動産による一元的なテナントリーシング機能を活用し、これらの物流・商業双方の施設の運用による良好なテナント・リレーションの構築や各施設の特性を踏まえたマネジメントを行うことが、投資家利益に資するものと考えています。
⑥ 野村不動産グループのバリューチェーン
A.物流施設・商業施設における企画・開発・運営力
野村不動産グループには、住宅事業における主力ブランド「PROUD(プラウド)」シリーズ、オフィス事業での「PMO(プレミアムミッドサイズオフィス)」シリーズ、物流施設の「Landport(ランドポート)」シリーズ等の開発実績があります。また、商業施設においても、平成24年10月23日にグランドオープンを果たした「GEMS渋谷」を皮切りに、「GEMS(ジェムズ)」シリーズをブランド展開する予定です。
また、野村不動産グループは、平成24年(2012年)10月に策定した「野村不動産グループ 中長期経営計画(-2022.3)」において、「3ヵ年計画(-2016.6)」における事業戦略の柱の一つとして、賃貸不動産の開発メニューを多様化し、物流施設(「Landport」シリーズ)や商業施設(「GEMS」シリーズ他)の開発も強化していく方針を打ち出しており、本投資法人は、物流施設・商業施設の開発力を強化していく野村不動産グループとの連携・相互成長が図れるものと考えています。
(イ)物流施設
野村不動産グループが展開する「Landport」シリーズは、「良質なる<最新仕様><操作性能><作業環境><物流立地>」を追求するというコンセプトのもとに開発された物流施設であり、平成19年3月に竣工した「Landport厚木」を皮切りに、企画、開発段階からリーシングまで一貫して野村不動産グループが携わったプロジェクトです。
野村不動産グループは、今後も「Landport」シリーズを開発することで、テナント企業のさらなる収益向上を目指す物流革新を実現していきます。
(ロ)商業施設
商業施設についても、野村不動産グループは、大型SCから都市型商業施設まで、多種多様な開発実績を有しています。また、平成24年10月23日にグランドオープンした「GEMS渋谷」を皮切りに、「GEMS(ジェムズ)」シリーズを継続的に開発し、都市型商業施設としてのブランド化を目指しています。本投資法人は、「GEMS」シリーズの第1号案件である「GEMS渋谷」(本投資法人の投資対象の分類では駅前立地型商業施設に分類されます。)を保有していますが、第2号案件以降についても継続して取得を検討してまいります。
≪野村不動産グループの都市型商業施設「GEMS」シリーズの展開≫
■ブランドコンセプト
・立 地:都内の主要駅を中心とした業務、商業エリア
・商品性:「集客力」「話題性」「成長力」がある店舗を主体としたコンセプト商業ビル
■野村不動産グループの強み
・野村不動産グループ(野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツ)が「企画・開発・施設運営」の全てに関与し、「GEMS」の統一的ブランド化を図る。
・「GEMS」のコンセプトに合うテナント候補をストックし、直接野村不動産グループがテナントリーシングを行うとともに、販売促進を含めた施設運営も行う。さらに、それらのノウハウを開発にフィードバックすることで、次の商品企画に反映させる。
・今後も継続して新規開発を行い、「GEMS」ブランドの浸透を図る。
B.野村不動産グループによるマネジメントサポート
野村不動産グループは、「住宅事業」「賃貸事業」「資産運用事業」「仲介・CRE事業」「運営管理事業」「その他の事業」にセグメントを分類し、総合不動産会社のグループとして多岐にわたる不動産事業を展開しています。グループ各社は、野村不動産ホールディングスのもと各セグメントにおいて、高品質なサービスを提供しています。本投資法人の運用においても、物流施設については、野村不動産及び野村ビルマネジメント株式会社(注2)を中心に、商業施設については、株式会社ジオ・アカマツ及び野村ビルマネジメント株式会社を中心に、それぞれ運営管理を委託し、野村不動産グループのリーシング、運営、建物管理等のマネジメント力を活用し、テナント満足度の向上、ひいては資産価値の維持・向上を目指した運用を行います。
(注1)平成25年4月から野村不動産が物流施設及び商業施設の企画、開発、リーシングを一元的に行っています。
(注2)野村ビルマネジメント株式会社は、野村リビングサポート株式会社と平成26年4月1日付で合併し、商号を野村不動産パートナーズ株式会社に変更しています。以下同じです。
≪本投資法人の資産運用に関連する主要なグループ会社≫
● 野村不動産は、主力である「住宅事業」を中心に「賃貸事業」「仲介・CRE事業」等を展開する総合不動産会社です。
● 野村不動産投資顧問株式会社は、日本最大級の不動産資産運用会社です。
● 野村不動産アーバンネット株式会社は、企業戦略、財務戦略に対応した不動産の有効利用をはじめ、ファンドマーケットに対応した投資物件の売買のサポート等の「仲介・CRE事業」を担っています。
● 野村ビルマネジメント株式会社は、設備管理などを行うビルマネジメント事業、効率的なビル経営を実現するプロパティ・マネジメント事業、リニューアル・インテリア工事を請負う建築インテリア事業などオフィスビルのみならず、多様な用途における「運営管理事業」のノウハウを提供しています。なお、同社は、野村リビングサポート株式会社と平成26年4月1日付で合併し、商号を野村不動産パートナーズ株式会社に変更しています。
● 株式会社ジオ・アカマツは、創業以来40年に至る実績と経験を活かし商業施設の調査企画、テナントリーシング、商環境設計からプロパティ・マネジメントまで商業施設の「運営管理事業」のフルラインサービスを提供しています。
特に、物流施設のリーシングにおいては、これまで資産運用会社が物流施設を保有する私募ファンドの運用を通じて蓄積してきたテナントとの親密なリレーションを活用し、難易度が高い物流施設開発時のリーシングを自ら完遂してきましたが、平成25年4月から野村不動産がオフィス、物流施設及び商業施設のリーシング機能を集約し、一元的にテナントリーシング活動を行っています。野村不動産グループでは、平成25年4月に、物流施設のリーシング業務を野村不動産物流施設事業部に移管しており、本投資法人は、その取得・保有する各物流施設につき、同社との間でプロパティ・マネジメント業務のうちテナントマネジメントに特化した業務を委託する「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」を締結しています。商業施設においても、野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツを中心とした野村不動産グループが構築してきた商業テナントとのリレーションを活用し、施設の集客力を維持・向上させる観点から適時テナント構成の見直し等を行っていきます。
本投資法人は、物流施設及び商業施設投資における最大のポイントは、「リーシング力」にあると考えており、当該リーシング力を有する野村不動産グループの力を最大限活用できる点において優位性を発揮できると考えています。
なお、野村不動産ホールディングスは、平成24年10月に策定した「野村不動産グループ 中期経営計画(~2022.3)~Creating Value through Change~」において、資産運用事業分野の積極拡大を掲げています。資産運用事業は大きく「公募商品」と「私募商品」に分かれ、資産運用会社は、現在、両者の運用を受託していますが、本投資法人の上場により、資産運用会社の資産運用事業における「公募商品」の比重が大幅に増え、「私募商品」の割合が相対的に低下することになります。野村不動産グループが掲げる上記の資産運用事業分野の積極拡大のためには、「公募商品」だけでなく「私募商品」の拡充も重要となりますが、①「公募商品」と「私募商品」では、対象とする投資家、リスク・リターン特性、ノウハウ、投資対象及びクライテリアなどが異なること、②投資マネーのボーダーレス化が進み、多様な投資家ニーズや投資環境の変動に機動的かつ柔軟に対処していく必要があることから、本投資法人の上場を機に、野村不動産ホールディングスにおいては、私募ファンド事業について、将来的に野村不動産グループ内において資産運用会社とは異なる別会社に移管することも検討していく旨の方針を公表しています。
なお、野村不動産ホールディングスは、将来的に私募ファンド事業を資産運用会社とは異なる別会社に移管することとなる場合、当該別会社においては、現在資産運用会社が資産の運用を受託している本投資法人を含む投資法人との関係において、投資対象に競合が生じない形での私募ファンドビジネス、具体的には、開発型・オポチュニスティック型等の私募ファンドビジネスを行うことを想定しており、資産運用会社が運用を受託する投資法人との間で物件取得機会の競合等は基本的には生じないものと考えている旨公表しています。
本投資法人及び資産運用会社としても、別会社方式を通じた私募ファンド事業の拡大により、野村不動産グループとしての不動産ファンドビジネスの拡大に伴う物件情報の獲得機会や私募ファンド保有物件の取得可能性を含む物件取得機会の拡大が期待できるものと考えています。
C. 各用途の不動産における豊富な運用経験、マネジメント力
(イ)私募ファンドの運用経験に裏付けられたマネジメント力
資産運用会社は、平成17年9月に都市型商業施設及び物流施設、平成19年2月に郊外型商業施設に投資する私募ファンド(特別目的会社及び特別目的会社が保有・運用する不動産ポートフォリオの総称です。)の運用を開始し、物流施設及び商業施設に係る運用経験と実績を有しています。具体的には、資産運用会社(平成23年10月1日付で私募ファンドの運用を受託していた旧野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社を吸収合併)がファンド・マネジャーとして、野村不動産を含む複数の投資家が出資して設立された複数の私募ファンドを通じて物流施設及び商業施設の取得・運用助言業務や投資一任業務を行ってきました。
資産運用会社には、物流施設及び商業施設の取得(アクイジション)及び運営・管理(アセットマネジメント)を担当してきた主要なメンバーが引き続き在籍しており、本投資法人のための資産運用業務に従事しています。また、私募ファンドにおける物件の取得においては、外部(野村不動産グループ以外)からの取得が多くを占めており、かかるメンバーはこのような取得経験・実績を通じ、高いソーシング力を培ってきています。加えて、取得後の運営・管理においても、適切なリニューアル工事による競争力の維持・向上とテナントとの良好なリレーションにより高稼働を維持しています。
資産運用会社は、こうした取得実績や運用経験を通じ、物流施設や商業施設の立地特性・テナント需要の把握や、物件の築年数・スペック等に応じた運用ノウハウを蓄積しており、将来にわたり、立地特性・テナント需要の変化やポートフォリオの経年劣化、運用物件数の拡大に対しても適切に対応する能力を備えていると考えています。
(ロ)上場REITの運用経験に裏付けられた運用実績
資産運用会社は、平成15年12月にNOF、平成18年9月にNRF、平成25年6月に本投資法人の資産運用を開始し、3つの上場REITの運用を行っています。
本投資法人は、資産運用会社による複数の上場REITの資産運用経験を通じて培った運用ノウハウが、主に以下の側面において、本投資法人の資産運用に活かされるものと考えています。
・ 適切に整備され、有効に機能する内部管理体制
・ 公正性及び透明性の確保をはじめとするコンプライアンス体制
・ 資本市場からの資金調達活動をはじめとする財務戦略の策定及び実行
なお、資産運用会社は、平成22年3月に非上場投資法人であるNPRとの間でも資産運用委託契約を締結しました。資産運用会社は、NPRを含む4つの投資法人から資産運用を受託することを通じて、資産運用会社における物件情報収集力の拡充及びマネジメント力の向上、並びに本投資法人と他の投資法人との協働投資等を通じた投資機会の拡大等が期待できるものと考えています。
また、資産運用会社は、本投資法人、NOF、NRF及びNPRからそれぞれ委託を受けた資産運用を行うにあたり、各投資法人の利益を損ねることがないよう適切な社内体制を確立しています(注)。
(注)詳細については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制」をご参照ください。
D.スポンサーによるパイプライン・サポートの有効活用
本投資法人は、野村不動産グループが総合不動産会社として有する物流施設及び商業施設の不動産に係る企画・開発・運営力を最大限活用することで、最適なポートフォリオ運用と豊富なパイプラインに裏打ちされた資産規模の着実な成長を図り、中長期的に安定した収益の確保を目指していく方針です。
こうした外部成長戦略を具現化するため、資産運用会社は、野村不動産との間で平成25年3月25日付で情報提供協定書を締結しています。かかる情報提供協定書に基づき、野村不動産は自ら保有し又は今後開発保有することとなる不動産等のうち、本投資法人の物件選定基準に大要適合すると判断される不動産等を売却する場合、その情報を原則として第三者より先に資産運用会社に通知することとされています。
なお、資産運用会社が、物流施設・商業施設その他の用途の不動産等に係る案件情報を入手した場合、資産運用会社の定めるローテーション・ルールに従い当該不動産等案件情報の取得検討を優先的に行うファンド等を決定します。なお、当該ルールの概要については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制 / C.投資運用の意思決定機構」をご参照ください。
⑦ 投資方針
A.ポートフォリオ構築方針
本投資法人は、主として物流施設及び商業施設(不動産を除く不動産等及び不動産対応証券の裏付けとなる不動産を含みます。)に投資します。不動産市場動向を見極めたうえで資産運用会社の判断に基づき、物流施設及び商業施設にバランスよく分散投資していくことで安定収益を確保する方針です。
本投資法人では、規約において投資対象地域を、三大都市圏(首都圏、中京圏及び近畿圏)を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域とし、地震リスク並びに地域経済及び賃貸市況の変動等のリスクを軽減することによりキャッシュ・フローの安定化を図ることを目的として、取得する運用資産の地域分散を図ることとしています。
かかる地域分散を考慮しつつ、ポートフォリオの構築に当たっては、テナント需要の厚みを最重視し、原則として東京圏を中心とし、以下の地理的構成を目安としてポートフォリオを構築していきます。
(注1)比率は、取得価格を基準とし、消費税その他の取得に係る費用は除きます。また、一時的に上記比率から乖離する可能性があります。
(注2)「その他の都市」とは、東京圏、中京圏及び近畿圏以外の政令指定都市、県庁所在地及び人口10万人以上の都市並びにその周辺地域をいいます。
B.投資基準
不動産関連資産への投資にあたっては、用途毎に定める以下の各項目を基準として個別の運用不動産の選定を行います。選定に関しては、規約第27条に定める「中長期の安定した収益の確保」という基本方針に基づき、立地・建物スペック・収支実績等から安定した収益が見込める点を重視して、行うものとします。
なお、以下に記載する「三大都市圏」とは、次に掲げる首都圏、中京圏及び近畿圏をいいます。
首都圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県
中京圏:愛知県、岐阜県、三重県
近畿圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県
また、「東京圏」とは、東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県をいい、「政令指定都市を含むその他主要都市」とは、東京圏、中京圏及び近畿圏以外の政令指定都市、県庁所在地及び人口10万人以上の都市をいいます。
(イ)用途毎の物件選定基準
(ⅰ)物流施設
物流施設の投資対象不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
(注1) その他、一般消費者向け倉庫(トランクルーム、レンタル収納スペースなど)にも投資を行うことができるものとし、この場合は上記の物件規模基準は適用しません。
(注2) 但し、延床面積及び敷地面積が上記の選定基準に満たない物件であっても、当該物件の取得により既に保有する物件との相乗効果、物件取得機会の確保又は拡大への寄与その他のメリットが見込まれる場合(以下の場合を含みます。)には、投資を行うことができるものとします。
・ 既に保有する物件に隣接する物件などで、既に保有する物件の増築や一体での建替え等によって、より高い価値の追求が見込まれると判断されるもの
・ バルク取引に含まれる物件
・ 継続取引が見込まれるプロバイダーが開発する物件
(注3) 延床面積(登記簿又は登記記録の記載)を基本とし、建築基準法(昭和25年法律第201号、その後の改正を含みます。)に定める延床面積も考慮して判断します。
物流施設については、規模・建物スペック・立地・テナント信用力・賃貸借契約形態等を重視した投資を行ってまいります。
(ⅱ)商業施設
商業施設の投資対象不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
(注1) 但し、延床面積及び敷地面積が上記の選定基準に満たない物件であっても、当該物件の取得により既に保有する物件との相乗効果、物件取得機会の確保又は拡大への寄与その他のメリットが見込まれる場合(以下の場合を含みます。)には、投資を行うことができるものとします。
・ 既に保有する物件に隣接する物件などで、既に保有する物件の増築や一体での建替え等によって、より高い価値の追求が見込まれると判断されるもの
・ バルク取引に含まれる物件
・ 継続取引が見込まれるプロバイダーが開発する物件
(注2) 延床面積(登記簿又は登記記録の記載)を基本とし、建築基準法に定める延床面積も考慮して判断します。
本投資法人では、商業施設への投資にあたっては、収益性と安定性のバランス型投資を行っていく方針です。
特に商業施設については、商業集積状況(繁華性)や商圏人口に加え、消費者の選好の変化による収益性のボラティリティが高いことに留意し、アクセス、代替性、賃貸借契約条件やテナント信用力を重視した物件選定を行います。
(ロ)用途にかかわらず適用される物件選定基準
用途にかかわらず、全ての物件の取得にあたり、以下の各項目につき検討します。
(ⅰ)権利関係について
所有権であることを原則とします。共有されている不動産又は区分所有建物である不動産への投資を検討するに際しては、a)共有の場合、共有物の分割請求や持分の売却を制限する措置の有無
b)他の共有者又は区分所有者の属性、持分割合
c)他の区分所有者の負担部分も含めた修繕積立金等の管理方法及び積立状況
等を総合的に勘案のうえ、物件毎に判断するものとします。土地の権利が借地権である物件への投資を検討する際には、土地の賃貸借契約の条件を考慮します。
(ⅱ)土地(底地を含みます。)への投資について
敷地等のみに投資する際には、敷地等上の建物の所有者の信用力や属性、及び当該所有者との地上権設定契約又は土地の賃貸借契約の条件に加え、用途の転用可能性、開発可能性並びに売却時の流動性等を勘案のうえ、投資判断します。なお、底地とは、土地の上に建物があり、その建物に借地権が付されている土地の所有権をいい、借地権者と底地権者(土地所有者)間では借地契約が締結され、底地権者には地代が支払われます。底地は、一般的に保守管理費や修繕投資負担が少なく安定的な収入が期待できることに加え、減価償却費が不要であることにより賃料収入に対する配当割合を高めることが期待できるという特性を有することから、本投資法人は、かかる底地の特性を踏まえ、底地上の建物が物流施設又は商業施設の場合には、底地に対しても投資を行います。
(ⅲ)築年数について
建物の築年数については、築年数に応じた経年劣化等に伴う資本的支出額(コスト)を予測し、ポートフォリオ全体での資本的支出の平準化に留意します。
(ⅳ)環境・地質等について
以下の基準を満たすことを原則とします。
・建物状況調査報告書(エンジニアリング・レポート)において、有害物質の使用状況、管理状態に関する問題が指摘されていないこと
・土壌汚染のおそれがないこと(但し、利用者、近隣に対する健康被害リスクが低いことが調査において確認できている場合を含みます。)
上記の基準を満たさない場合であっても、対応工事を行ってかかる基準を満たすことが可能であり、かつかかる工事の費用を加えた上でも十分な収益性が見込め、本投資法人のキャッシュ・フローへの影響が軽微である場合には、投資を行うことができるものとします。
(ⅴ)耐震性について
原則として新耐震基準適合又はそれと同水準以上の耐震性能を有し、PMLが20%未満であることを基準とします。かかる基準を満たさない場合であっても、耐震補強工事を行ってかかる基準を満たすことが可能であり、かつかかる工事の費用を加えた上でも十分な収益性が見込め、本投資法人のキャッシュ・フローへの影響が軽微である場合には投資を行うことができることとします。
(ⅵ)転用を前提とする投資について
既存の用途以外の用途への転用を前提として投資を検討する場合には、収益性及びテナント構成については現況及び転用後の状態を想定して判断します。また、転用のための工事及びテナントの変更に要する費用及び期間に照らして、転用が容易であるか否かを検討します。
(ⅶ)未稼動(開発中)不動産への投資について
本投資法人の安定収益の確保という基本方針に基づき、原則として、取得時点において既に賃貸され、収益を上げている不動産に投資を行うこととします。未稼働(開発中)の不動産への投資については、建物の完工・引渡し等のリスク及び稼働開始時期やテナント確保等の見通しに基づく稼働開始後の収益見込み等がポートフォリオ全体に与える影響及び後記「C.フォワード・コミットメントを行う際の留意点」記載の事項を考慮の上、慎重に投資判断を行います。
C.フォワード・コミットメントを行う際の留意点
フォワード・コミットメント(先日付での売買契約であって、契約締結日から1ヶ月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているもの及びその他これに類する契約をいいます。)を行う場合には、以下の点に留意することとします。
(イ)解約違約金の設定に関する留意点
契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な投資判断を行うものとします。
(ロ)期間の上限・決済資金の調達方法等
売買契約締結から物件引渡しまでの期間については、個別物件毎に、開発型案件等における取組みに比して妥当な期間を上限とし、当該期間中における金融環境及び不動産市場等の変動リスクがあることを十分認識のうえ、慎重な検討を行うこととします。決済資金の調達方法については、取得を決定する時点においては、コミットメントライン等の融資枠の利用等、取得額に応じた決済時の取得資金の調達方法及びその実現性を検証し、決済時においては、金融市場、取引先金融機関との関係、投資法人債(短期投資法人債を含みます。)市場等の資金調達環境の変化に応じて最適な資金調達方法を選択することとします。
(ハ)資産価値変動に関する留意点
売買契約締結から物件引渡しまでの期間に、経済情勢の変化等により鑑定評価額が大幅な変動がある可能性がある場合においては、鑑定評価を再取得の上、鑑定評価額を見直すこととします。また、鑑定評価額が取得価額を下回った場合においては、違約金の支払いによる契約解除又は売買価格の再協議の必要性等について判断の上、適切な対応を行うものとします。
(ニ)現状変更
売買契約締結から物件引渡しまでの期間に、売主が現状変更を行う場合及び未収テナントが発生し賃貸借契約の解除事由に該当する場合等には、その対応につき買主の事前承諾を得ることを条件とし、売買価格やポートフォリオ全体に与える影響を十分検証のうえ、慎重に判断します。
D.物件調査(デューディリジェンス)基準
不動産関連資産への投資にあたっては、運用不動産の物件特性(立地の優位性、建物の性能及び規模、賃料水準、競合物件の有無等)の把握を目的として、物件調査(デューディリジェンス)を行います。
(イ)調査(デューディリジェンス)の実施
デューディリジェンスの調査項目は、以下のとおりです。
(ロ)調査レベルの均一化・投資適格性の判断
個別の運用不動産の調査・投資適格性の判断に関しては、デューディリジェンスにおける調査レベルの均一化を図るとともに、取引に当たって留意すべき事項を十分に調査、認識した上で投資適格性を判断します。
(ハ)専門性、客観性及び透明性の確保
デューディリジェンスにおける調査項目のうち、以下の項目については、専門性、客観性及び透明性の確保の観点から、第三者である外部の専門家に調査を委託します。
・鑑定評価(価格調査)
・建物調査
・地震PML調査
・環境調査
E.投資分析基準
不動産関連資産への投資に際しては、運用不動産に関する投資判断資料として以下の項目から構成される投資事業計画書を作成するものとします。投資委員会では、投資事業計画書の各項目を踏まえた多角的検討を行った上で、最終的な投資判断を行うものとします。
(注) NOI(ネット・オペレーティング・インカム)とは、当該物件に係る賃貸事業収入の合計から賃貸事業費用(減価償却費を除きます。)の合計を控除した金額をいいます。
F.保険付保基準
不動産関連資産への投資にあたっては、火災等の災害や事故等による建物の損害及び第三者からの損害賠償請求等に対応するため、必要に応じ火災保険、賠償責任保険等の付保等の措置を講じるものとします。また、地震保険の付保については、地震の発生時に予想されるポートフォリオ全体への影響を考慮し、ポートフォリオPML(注)が15%以上の場合には、個別物件のPMLが15%以上の物件について火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することとします。
(注) ポートフォリオPMLとは、複数の建築物群を対象とし、被害の相関性を考慮して、建築物群の中の1ないし複数の建築物に影響を与える「超過確率0.211%(再現期間475年)に対する建物の予想損失額」/「再調達価格」(%)で示したものです。但し、予想損失は、地震動による建物(構造部材・非構造部材。建築設備)のみの直接損失に関するものであり、機器、家具、什器等の被害や地震後の水又は火災による損失、被災者に対する保証、営業中断による営業損失等の二次的被害は含まれていません。
⑧ 運用方針
資産運用会社は、投資の基本方針に基づき、中長期の安定収益とポートフォリオの着実な成長を実現するため、以下の方針に基づいて賃料収入の安定的成長、適切な管理・修繕による物件の資産価値維持及び向上並びに各種運営・管理コスト削減を目的とした運用を行います。
また、本投資法人は短中期的な運用不動産の売買によってキャピタルゲインを得ることを運用目標とはしませんが、地域性の変化に伴う用途変更、運用不動産の入れ替え(リバランス)、リニューアル・建て替え等により、ポートフォリオの資産価値の維持・向上を図ります。この中長期の運用方針を実行するにあたっては、総合不動産会社である野村不動産グループの強み(売買・リニューアル・デベロップメント等)を、本投資法人の運用に活用してまいります。
A.基本戦略
(イ)リーシング活動の展開
安定した収益を確保するため、運用不動産毎に次の諸点に留意してリーシング活動を展開します。
(ⅰ)周辺マーケット動向の把握
独自の調査、マーケットレポート及び不動産仲介業者等から収集した情報に基づき、各運用不動産の属する周辺マーケットのテナント需給の見通し、賃料相場、稼働率、競合物件動向等を分析します。なお、周辺マーケットに構造的変化(新規賃貸不動産の開発動向、新たな交通機関の開業・新駅の設置等)が見られる場合には、当該変化の影響を分析します。
(ⅱ)重点営業対象先の選定
周辺マーケットにおけるテナントの動き及びその理由(企業統合、事業転換、リストラクチャリング等)を調査及び分析し、リーシング活動の重点対象先とすべきテナント(又は業種)を選定します。
(ⅲ)最適な賃貸条件の検討
個別のテナントの賃貸条件の決定に当たっては、当該テナントの信用力、ポートフォリオ全体の賃料収入に対する当該テナントからの賃料収入の割合、契約形態(定期建物賃貸借であるか否か等)を総合的に判断します。
(ⅳ)入居テナントの選定基準
入居テナント(転貸を含みます。)の選定にあたっては、プロパティ・マネジメント会社(以下「PM会社」といいます。)と協議の上運用不動産毎に策定する年間リーシング計画に基づきこれを行うものとし、当該テナントの信用力及び使用目的が、当該物件及びポートフォリオ全体に及ぼす影響を考慮の上、原則として業種及び属性、信用調査機関の評価等に関して総合的に判断します。
(ⅴ)既存テナント動向の把握
リーシング活動の展開に加え、既存テナントとのコミュニケーションを十分に図り、テナントの動向、不満や解約ニーズ、又は増床ニーズ等を早期に把握し、適切かつ迅速な対応策を講じます。
(ロ)運用不動産の価値の維持・向上(大規模修繕及びリニューアル)
本投資法人の中長期的な安定収益を実現するため、運用不動産毎に適切な大規模修繕(機能維持を目的とした修繕投資)、リニューアル(機能向上を目的とした修繕投資)等の必要な修繕投資を行い、運用不動産の競争力、収益性の維持・向上を図ります。
(ⅰ)取得に際しての大規模修繕及びリニューアル方針の策定
運用不動産毎の築年数、過去の修繕履歴、設備水準等を勘案した上で、大規模修繕及びリニューアル方針を策定します。
また、機能維持を目的とした修繕工事に加え、周辺マーケット内の他の不動産との差別化を図り、競争力を高めるための機能向上を目的としたリニューアルについても十分な検討を行います。
(ⅱ)営業期間毎の大規模修繕・リニューアル計画の策定
上記の大規模修繕及びリニューアル方針に基づき、物件別事業計画の一部として、本投資法人の営業期間毎の大規模修繕・リニューアル計画を策定します。適切な大規模修繕・リニューアルを行うため、かかる計画の内容及び予算を、第三者によるエンジニアリング・レポートの内容のほか、消費者動向及び利用者ニーズを踏まえて検証します。
(ⅲ)ポートフォリオ全体での検証
大規模修繕・リニューアル計画の策定においては、内容が共通した工事を複数物件に実施することによって、ポートフォリオ全体の修繕費用の削減につながると判断した場合には、同時期に一括して実施することも検討します。
また、ポートフォリオ全体の収支の安定性を確保するため、本投資法人の営業期間毎の修繕費用と内部留保資金(減価償却等による)とのバランス及びポートフォリオ全体の大規模修繕・リニューアル工事費用の平準化に留意します。
(ⅳ)既存テナントへの配慮
工事の実施にあたっては、入居中のテナントに対する影響度に配慮し、また工事実施後のテナント満足度向上を勘案した上で、実施の適否を判断します。なお、工事の実施に際しては、既存テナントへ事前の告知、実施中の報告等を行うとともに、工事による既存テナントへの影響を最小限に留めるよう努めます。
(ⅴ)リザーブ基準
大規模修繕・リニューアルの実施に際しては、キャッシュバランスと実施時期に留意してポートフォリオ全体での収支及び資金バランスを考慮するものとし、必要に応じて修繕資金のリザーブを行います。
(ハ)売却方針
安定収益の確保という本投資法人の基本方針に基づき、原則として本投資法人の保有する不動産関連資産を短期間で売却することは企図しないこととしますが、必要に応じて運用資産の売却を検討する場合には、以下の基準に従うこととします。
(ⅰ)不動産関連資産又はその裏付けとなる不動産の売却については、以下の項目等を考慮の上、総合的に判断することとします。
・当該運用不動産の現在及び将来にわたる収益性
・周辺マーケットの将来性及び安定性
・当該運用不動産の劣化又は陳腐化に対する対応状況
・テナントの属性及び契約内容
・ポートフォリオ構成
(ⅱ)フォワード・コミットメントを行う場合は、契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響を十分検証のうえ、慎重な判断を行うものとします。
B.PM会社の選定・管理方針
上記基本戦略に基づき内部成長を実現し、安定収益を確保するためには、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理を統括するPM会社が重要な役割を担います。資産運用会社は、運用不動産毎に最適なPM会社を選定し、適切な管理を行うために、以下の諸点に留意します。
(イ)PM会社の選定方針
PM会社の選定にあたっては、企業内容・実績(会社規模、組織体制、用途に応じた管理実績、プロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)の受託実績等)の確認に加え、PM業務遂行能力、利益相反、報酬体系その他を総合的に検討した上で、最適と思われる業者を選定します。
なお、同一の地域に運用不動産が複数存在する場合には、運営管理の効率化を目的として、同一のPM会社を選定することを検討します。
上記のほか、PM会社の選定に際しては、ポートフォリオとしての運営リスクの分散と運営効率化のバランスにも留意します。
なお、物流施設については、野村不動産との間で「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」を締結し、テナントマネジメントに特化したPM業務を委託しています。前記「③ 物流施設の投資優位性 / D.物流施設への投資リスクへの対応」をご参照ください。
(ロ)PM会社の管理方針
(ⅰ)PM会社との一体的な運営管理
各運用不動産のPM会社と定期的に以下の事項に関する状況及び対応についての協議を行います。
・前月の収支状況
・運用不動産の稼働状況
・既存テナントの動向
・新規テナント営業活動の状況
・今後必要な修繕工事と実行中の修繕工事の状況
・入居中のテナントからのクレーム
(ⅱ)物件の特徴に合わせた運営管理体制の構築
PM会社に対し、各運用不動産の特徴に合わせた運営管理体制を構築するよう求めることにより、適切な運営管理を実行させます。
(ⅲ)PM会社の評価(モニタリング)
PM会社のPM業務遂行能力(リーシング能力、テナント管理能力、建物管理能力、レポーティング・会計事務能力、分析・提案能力、個人情報管理体制等)及び委託物件の運営実績(稼働率、空室期間、成約賃料水準、管理コスト削減への貢献等)に関しては、継続的なモニタリングを行い、必要な指導を行います。
上記の指導にもかかわらず運営状況に改善が見られない場合は、PM会社の変更も検討します。
C.年度運用計画等の策定及び管理
本投資法人の中長期的な収益の安定とポートフォリオの着実な成長を実現するため、計画的な資産の運用を行うことを目的として、以下に従い、運用資産全体について「中長期基本計画」及び「年度運用計画」を、また各運用不動産について「物件別事業計画」をそれぞれ策定します。
(イ)中長期基本計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について、一定期間(原則として1年)毎に、中長期(原則として3年とします。)を対象とした基本計画を投資委員会の決議により策定します。策定された基本計画の内容は、本投資法人の役員会に報告します。
(ロ)年度運用計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について年度運用計画を策定し、同計画に基づいて適切な運営管理を実施します。
(ⅰ)年度運用計画の構成
年度運用計画は、当該計画の対象となる営業期間開始時点における、ポートフォリオ全体の収支予算及び物件別事業計画により構成します。
(ⅱ)対象期間及び策定時期
年度運用計画は、原則として各営業期間毎に1年分(2営業期間)を対象に策定します。各計画の策定時期は、計画の対象となる各営業期間の開始時までとし、投資委員会の決議(物件別事業計画の部分を除きます。)により決定したうえで、本投資法人の役員会に報告します。
(ハ)物件別事業計画
個別の運用不動産においての適切な運営管理を実施するため、NMF投資責任者の承認により物件別事業計画を策定し、同計画に基づいて、各PM会社と協働して運用不動産の運営管理を行います。
(ニ)年度運用計画の検証
年度運用計画の策定後は、PM会社からの月次報告(PMレポート)に基づき、物件毎及びポートフォリオ全体での検証を行うこととします。
検証の結果、計画と実績に乖離が見られる等、年度運用計画の見直しが必要と判断される場合(本投資法人の当期利益予想からの30%以上の増減及び分配金予想からの5%以上の増減等)には、速やかに修正年度運用計画(期中運用計画)を策定します。また、期中に不動産関連資産の取得・売却を行った場合にも同様とします。
また、検証を踏まえた運用資産の運用状況については、定期的に(3ヵ月に1回以上)本投資法人の役員会へ報告します。
⑨ 財務方針
本投資法人は、中長期の安定収益の確保と運用資産の着実な成長の実現のために、以下に掲げる方針に従い、計画的かつ機動的な財務戦略を策定、実行します。
A.エクイティ・ファイナンス
投資口の新規発行は、既存の投資主の権利の希薄化及びそれに伴う投資口の取引価格の低下等に配慮しつつ、新たに取得する不動産関連資産の取得時期、LTV、有利子負債の返済時期及び返済までの残存期間、経済市況等を総合的に勘案して決定します。
B.デット・ファイナンス
本投資法人の資金の借入れ及び投資法人債(短期投資法人債を含みます。)の発行に際しては、規約第37条の規定を遵守しつつ、資金調達の機動性と財務の安定性のバランスに配慮した資金調達を行います。具体的には短期借入れと長期借入れの比率、調達方法(借入金・投資法人債)、コミットメントラインの設定等を検討します。
また、LTVについては、資金余力の確保に留意した設定とします。なお、規約第37条第3項に従い、借入金及び投資法人債発行の限度額は、それぞれ2兆円とし、かつ、その合計額が2兆円を超えないものとします。
LTVは60%を上限とします(但し、新規投資や資産評価の変動等により、一時的に上限を超えることがあります。)。
長期借入比率(有利子負債残高に占める長期有利子負債残高の割合をいいます。)、固定比率(有利子負債残高に占める固定金利(デリバティブ取引による金利固定化を含みます。)での有利子負債残高の割合をいいます。)、返済期限までの残存期間等を含め、総合的に財務の安定性を確保するものとします。
なお、本書の日付現在、本投資法人は、(ⅰ)金利の固定化、(ⅱ)借入期間の長期化、(ⅲ)返済期日の分散、(ⅳ)無担保・無保証による調達の4点を財務戦略の主軸として位置付け、これらを実践していくことで財務の安定性に配慮した資金調達を実践していく予定です。
⑩ 情報開示方針
本投資法人は、法令・諸規則の要請する内容及び様式に従って、迅速かつ正確な開示を行います。また、情報の透明性及び分かり易さに配慮し、法定開示以外の情報の開示も積極的に実施する方針です。
⑪ 格付の状況
本書の日付現在、本投資法人は以下の長期発行体格付を取得しています。かかる格付は、本投資法人の投資口に付された格付ではありません。なお、本投資口について、本投資法人の依頼により、信用格付業者から提供され、若しくは閲覧に供された信用格付又は信用格付業者から提供され、若しくは閲覧に供される予定の信用格付はありません。
① 基本理念
本投資法人は、不動産投資法人(J-REIT)の主な商品特性である「安定した収益(インカム・リターン)」を中長期的に追求していくことを最重要視しています。
かかる基本理念のもと、本投資法人は、人々が生活していくうえで必要な「消費」の安定した需要に着目し、生産者と消費者を結びつける「物流施設」と、生産者から供給される商品を販売する役割を担う小売業者と消費者を結びつける「商業施設」を主たる投資対象とします。物流施設においては、産業構造の変化に伴い高機能大型物流施設への需要が高まっており、商業施設においては、飲食料品や日用品等を中心とした小売業や、女性の社会進出や少子高齢化によるサービス業への底堅い需要を背景として、これらを取り扱う商業施設への安定した需要が見込めると考えています。
なお、物流施設、商業施設ともに、テナントとの長期固定契約により安定的なキャッシュ・フローが期待でき、本投資法人が掲げる中長期的に安定した収益(インカム・リターン)の追求という基本理念との親和性が高い投資対象であると判断しています。
また、本投資法人は、国内における一大消費地であり、需要に厚みのある東京圏(東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県)を中心に据えた投資方針により、安定収益を生み出すポートフォリオを構築するとともに、野村不動産グループの物流施設及び商業施設における企画・開発・運営力を最大限活用し、中長期的に安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指した運用を行います。
② 基本方針
本投資法人は、規約第27条(資産運用の基本方針)に基づき、中長期的に安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を実現することを基本方針とし、かかる基本方針を実現するため、主として物流施設及び商業施設を投資対象とします。物流施設は産業インフラとして、商業施設は消費活動を支えるインフラとして、いずれも経済活動に不可欠な施設であると考えています。
本投資法人は、物流施設及び商業施設のバランスを考慮したポートフォリオを構築するとともに、需要に厚みのある東京圏を中心に据えた投資戦略により、中長期的に安定した収益を確保することを目指します。
A.物流施設の投資優位性
物流施設は、他の用途の不動産等と比較して、安定的な運用が可能であると考えています。物流業界においては、EC(電子商取引)及びインターネットを通じた通信販売の普及による消費財を中心とした荷物の少量多品種化が進んでおり、また、物流全体の最適化を追求するサプライ・チェーン・マネジメントが浸透してきています。また、経済競争のグローバル化や経営資源の本業回帰傾向により、物流業務を専門業者に外部委託する傾向が活発化しています。これら物流産業における構造変化や荷主企業の需要を背景として、近年、物流業務のアウトソーシング志向が高まり、3PL事業が拡大傾向となっています。本投資法人は、この傾向は今後も拡大していくと考えており、荷主企業や物流事業者のニーズに対応した高機能大型物流施設への需要は底堅く推移すると考えています。
また、物流施設は、一般的にテナントとの長期固定契約の締結が可能で、稼働率も安定的に推移することに加え、他の用途の不動産等と比較し、管理費用や修繕投資が低く抑えられるなど、安定的なキャッシュ・フローが期待できる特性を有していると考えています。本投資法人は、これらの特性を踏まえ、高機能大型物流施設を中心とした物流施設への投資により、中長期的に安定した収益の確保を目指します。
B.商業施設の投資優位性
女性の社会進出や少子高齢化等の社会構造の変化とともに、消費者が望む商品・サービスについてもニーズが多様化しています。「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、インターネットを利用した消費者の情報収集力の向上、低価格志向の拡大等、小売業やサービス業においては、消費者のライフスタイルに合わせた商品、価格、サービスを提供することが求められています。
このような動向を受け、小売業全体の売上は概ね横ばいに推移しているものの、飲食料品や日用品等の生活に必要となる商品を取り扱う小売業の売上については、緩やかな増加傾向で推移しており、これらの小売業は、引き続き底堅い需要が見込まれます。一方、女性の社会進出や少子高齢化に伴い、学習塾、英会話教室、クリニック、エステサロン、旅行代理店等のサービス業に対する需要も今後期待することができ、これらを取り扱う商業施設については安定的な需要を見込むことができると考えています。
商業施設は、その投資特性に応じ、(i)(ターミナル)駅の集客力に依拠し、オフィスビルと同水準の好立地に位置し、マルチテナント型の賃貸方式が多いことが一般的であるため、キャッシュ・フローの内部成長(テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上)可能性を有する「駅前立地型」と、(ii)周辺居住者の後背人口を抱え、運営者(テナント)との長期固定契約によるマスターリースを通じた安定的なキャッシュ・フローが期待できる「居住地立地型」に分類することができます。本投資法人は、かかる分類に応じ、その異なる投資特性を見極めた上で、これらの商業施設にバランスよく投資することで、中長期的な安定収益の確保を目指した運用を行ってまいります。
C.安定収益を生み出すポートフォリオ構築
国内において、地域別に人口動向を見ると、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)では人口流入傾向が大きく、名古屋圏(愛知県、岐阜県及び三重県)、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県及び奈良県)においても横ばい又は緩やかな人口流入傾向であることが確認できます。特に、東京圏は、三大都市圏のなかでも突出した人口集中度を示しています。
本投資法人は、一大消費地でありテナント需要に厚みがあることを重視し、東京圏を中心としたポートフォリオを構築することにより、中長期的に安定した収益の確保を目指します。なお、東京圏への投資比率は、原則として80%以上(取得価格ベース)とします。
また、前記のとおり、本投資法人が投資対象とする物流施設や居住地立地型商業施設は、テナントとの長期固定契約により安定したキャッシュ・フローを期待できる一方で、駅前立地型商業施設は、キャッシュ・フローの内部成長可能性を有していると考えています。コスト面においても、一般的に管理費用や修繕投資が抑えられる物流施設と、集客力の維持・向上の観点からある程度の修繕投資を要する傾向にある商業施設を併せて投資対象とし、一つのポートフォリオを構築することで、施設特性を考慮し資本配分を通じたマネジメントによる相乗効果が発揮できるものと考えています。
本投資法人は、東京圏を中心に据えた投資方針と物流施設と商業施設それぞれの特性を融合させたポートフォリオ・マネジメントにより、中長期的な収益の安定性を追求したポートフォリオを構築することを目指します。
D.野村不動産グループのバリューチェーン
野村不動産グループは、野村不動産株式会社(以下「野村不動産」といいます。)をはじめとする野村不動産ホールディングス株式会社(以下「野村不動産ホールディングス」といいます。)の連結子会社等からなる企業集団です。野村不動産グループの事業セグメントは「住宅事業」「賃貸事業」「資産運用事業」「仲介・CRE事業」「運営管理事業」「その他の事業」に区分されており、総合不動産会社として多岐にわたる事業を展開しています。
野村不動産グループは、1990年代後半から資産運用事業を本格展開しており、商品構成・運用対象資産・投資対象地域等を着実に拡大するとともに、かかる実績に裏付けられた運用経験とノウハウを有しています。
また、野村不動産グループが平成24年10月に策定した「野村不動産グループ 中長期経営計画(-2022.3)~Creating Value through Change~」においては、「3ヵ年計画(-2016.3)」における事業戦略の柱の一つとして、賃貸不動産の開発メニューを多様化し、物流施設(「Landport」シリーズ)や商業施設(「GEMS」シリーズ他)の開発も強化していく方針が採用されています。
本投資法人は、野村不動産グループが有する物流施設及び商業施設に係る企画・開発・運営力を最大限活用することで、最適なポートフォリオ運用と豊富なパイプラインに裏打ちされた資産規模の着実な成長を図り、中長期的な安定収益の確保を目指していく方針です。
③ 物流施設の投資優位性
A.物流業界動向
近年、物流業界では、EC(電子商取引)及びインターネットを通じた通信販売が拡大傾向にあります。かかる傾向を受け、宅配便を中心とした個人顧客向けの小口配送の需要は今後ますます高まる傾向にあり、少量多品種の物品を迅速かつ正確に配送することが求められています。荷主企業の一部においては、商品の受注後当日配送を導入している企業も出てきており、多様化する消費者ニーズに応えるため、サプライ・チェーン・マネジメントの再構築をはじめ、物流システムの高度化は、今後もますます進むと考えています。物流事業者は、これらの荷主企業のニーズに対応するため、物流機能である輸送・配送、保管・荷役・包装・流通加工等一連の作業を物流施設内で効率的に行い、リードタイムの短縮化や在庫の適正化を実現することが求められています。従来、物流施設は保管機能のみの役割を担うことが多かったところ、かかる産業構造の変化を受け、業務効率化を追求するため、より大型かつ高機能な物流施設へのニーズが高まっています。
≪消費者向けEC(電子商取引)市場における「小売業」市場規模と宅配便取扱個数の推移≫
出所:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」、国土交通省「宅配便等取扱実績」
(注1)「総合小売」とは、百貨店、総合スーパー、コンビニエンスストア、ホームセンター及び通信販売業を指します。
(注2)消費者向け電子商取引市場における「小売業」市場規模については各暦年における市場規模を、宅配便取扱個数については各年度における取扱個数をそれぞれ記載しています。なお、宅配便取扱個数については郵政民営化後の平成19年度からゆうパック(日本郵便株式会社)の実績が調査対象に含まれています。
一方で、荷主企業においても、経営課題の一つとして物流業務が重要視されるようになり、業務の効率化やコスト削減を目的として物流全体の最適化を追求するサプライ・チェーン・マネジメントを再構築するニーズが高まっています。また、経済競争のグローバル化等により、経営資源を本業に振り向ける動きが強まり、従来、子会社等を介して物流業務を内製化していた事業会社が物流業務を外部委託する動きが活発化しています。
こうした荷主企業ニーズや前記の消費者ニーズの多様化を背景として、物流業務を専門的に請け負う3PL事業への需要が高まっているといえます。
B.3PL事業の市場拡大
3PL事業者には、荷主企業の物流・ロジスティクス改革のニーズに対して、その高度化・効率化のための物流計画の立案や、輸送、保管などの基本的な物流サービスに加え、受発注、適正在庫管理、決済、流通加工、包装など単なる物流機能を超える多様な関連業務・サービスの提供が求められています。これらを背景として、3PL事業者には、(1)保管・配送に付加価値を加えた物流機能の提供、(2)業務効率化やコスト削減を目的とした情報技術の活用、(3)施設拡大に伴う自社保有の物流センターなどのオフバランス志向などの特徴が見られます。
市場規模が拡大傾向にある3PL事業者にとっては、上記のような業務拡大に伴い高度な物流機能の提供が可能な建物スペックを備えた大規模な物流施設が必要となっており、ますます「大型化」や「高機能化」への需要が高まるものと考えています。
| ≪日本の3PL市場規模の推移≫ |
出所:シービーアールイー株式会社(世界的な事業用不動産サービス会社であり、不動産情報及びデータの分析並びにマーケットリサーチ・レポートの作成等を業務の一部として行っています。)
(注)公表資料に基づき3PL事業の売上がセグメント別(各社の定義に基づきます。)に5年間分の情報取得が可能な9社を対象とし、平成20年度を100として、売上高合計(指数)の推移を示したものです。なお、M&A等による企業の事業拡大等も含まれます。
C.物流施設への投資基準
本投資法人は、消費財を中心とした荷主ニーズの拡大や3PL事業者の業務効率化ニーズ等に鑑み、高機能大型物流施設を中心に投資します。
立地については、生産地や消費地との近接性、高速道路や幹線道路等自動車交通の要所であり交通アクセス性に優れていること、24時間稼働可能であること、労働力の確保が容易であること等が重要な要素であると考えています。
建物においては、原則として延床面積10,000㎡以上であり、高度な物流機能を提供する物流事業者ニーズに対応できることを考慮し、床荷重、梁下有効高、分割対応(接車バース、エレベーター、垂直搬送機を含みます。)等の汎用性を兼ね備えていることを踏まえ、物件選定を行います。
本投資法人は、野村不動産グループが開発した「Landport(ランドポート)」シリーズを組入れていますが、いずれも高速道路のインターチェンジからのアクセス性に優れ、労働者の確保が容易な立地に位置しており、建物スペックにおいても、荷役に配慮した高床式、床荷重(1.5t/㎡以上)、梁下有効高(原則5.5m以上)、分割可能なマルチテナント型、豊富な接車バースや駐車場等テナントニーズに応えることのできる高機能大型物流施設です。
また、物流事業者が取り扱う荷物は多様化しており、それぞれの物流事業者によって施設に対するニーズが異なります。具体的には、重量物を取り扱う場合は床荷重を補強したりすることがあり、ピッキング、値札付け、梱包及び検品等の流通加工作業を伴う場合はベルトコンベアを設置したりすることがあるなど、テナント負担による設備投資が行われる傾向があります。これらの要因もあり、物流施設における賃貸借契約は長期固定契約が期待できる傾向にあり、キャッシュ・フローの安定化に寄与するものと考えています。
本投資法人は、今後も高機能大型物流施設への需要は底堅いものと考えており、かかる高機能大型物流施設を中心に物流施設への投資を行い、中長期的な安定収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。
なお、トランクルーム、レンタル収納スペースなどの一般消費者向け倉庫などの高機能大型物流施設以外の物流施設についても、キャッシュ・フローの安定化に資すると判断されることを条件として補完的に投資対象とすることがあります。
| ≪高機能大型物流施設の特徴≫ |
● 配送トラックの発着、荷降ろしの効率性を重視した仕様
● 施設内への荷物搬入、保管能力に優れた機能
● 快適かつセキュリティ性の高い業務環境
● 労働環境にも配慮したアメニティを確保
(注1)上記は、本投資法人の保有資産に含まれる「Landport」シリーズの一例として、高機能大型物流施設の主な特徴を示したものであり、本投資法人の投資対象とする物流施設について、これらの特徴が全て備わっていることを取得の条件とするものではなく、本投資法人が保有又は取得する物流施設にこれらの特徴が全て備わっていることを保証するものでもありません。
(注2)上記の仕様や機能等は、本投資法人の保有資産に含まれる「Landport」シリーズの一部の物件についてのものであり、「Landport」シリーズの各物件について、これらの特徴が全て備わっているわけではありません。
D.物流施設への投資リスクへの対応
高機能大型物流施設への需要は底堅いと考えていますが、物流施設は他の用途と比較して市場規模が小さく、需給バランスが大きく変動する可能性を有していることから、物流立地としてのテナント代替性、マルチテナント対応の可否及び賃貸借契約期間等を見極め、投資を行っていく必要があります。運用面においても、物流施設は一般的に賃貸面積が大きいため、テナント退去後のリースアップ(リーシング力)が空室期間の短縮ひいては投資リスクの低減に繋がるものと考えています。
また、物流施設は、長期固定契約が多いという賃貸借契約の特性上、キャッシュ・フローの内部成長(テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上)余地は一般的に大きくはないため、いかに外部成長をしていくかが重要となります。
本投資法人では、上記の投資リスク・投資特性に対応するため、以下の3点を重視した運用を行います。
(ⅰ)需要に厚みのある立地選定(東京圏重視)
(ⅱ)野村不動産グループにおける開発物件のパイプライン
(ⅲ)野村不動産グループにおけるリーシング力の活用
長期固定の賃貸借契約を前提とした物流施設の賃料変動リスクは小さいものの、一方でポートフォリオの分散効果は図りにくいため、特に既存テナント退去後のリーシング力が、安定収益の確保に向けて重要であると考えています。物流施設のリーシングにおいては、これまで資産運用会社が物流施設を保有する私募ファンドの運用を通じて蓄積してきたテナントとの親密なリレーションを活用し、難易度が高い物流施設開発時のリーシングを自ら完遂してきましたが、平成25年4月から野村不動産がオフィス、物流施設及び商業施設のリーシング機能を集約し、一元的にテナントリーシング活動を行っています。本投資法人は、その取得・保有する各物流施設について、野村不動産との間で、「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」(注)を締結しており、野村不動産物流施設事業部からテナント情報の提供を受けることにより、野村不動産の有するリーシング力を最大限活用した、入居テナントとの賃貸借契約交渉、新規テナントリーシングや大規模リニューアルの計画立案等を通じて、資産価値の維持・向上を図ります。上記のとおり、物流施設への投資における最大のポイントは、「リーシング力」にあると考えており、当該リーシング力を有する野村不動産グループの力を最大限活用できる点において、優位性を発揮できると考えています。
(注)ロジスティクス・テナント・マネジメント契約においては、対象となる各物流施設につき、リーシング、賃料改定・賃貸借期間の更新、大規模リニューアル工事計画・実施等、テナントマネジメントに特化したプロパティ・マネジメント業務を委託しています。
④ 商業施設の投資優位性
A.小売・サービス業界動向
小売業については、国内において、少子高齢化傾向が続く今後の人口動向を踏まえると、国内の小売市場は今後も大きな拡大は見込めないことが想定されます。また、女性の社会進出や少子高齢化等の社会構造の変化により、消費者が望む商品・サービス面でのニーズも多様化しています。「モノ消費」から「コト消費」へのシフト、インターネットを利用した消費者の情報収集力の向上、低価格志向の拡大等、小売業においては、消費者のライフスタイルに合わせた商品、価格、サービスを提供することが求められています。
経済産業省「商業動態統計調査」の小売業販売額(品目別)によれば、平成3年以降、小売業の総販売額は概ね横ばいで推移しているものの、内訳を見ると、飲食料品その他生活に欠かせない日用品等に関連する業態の小売業(飲食料品小売業、その他小売業)の販売額は緩やかに上昇していることが窺えます。
一方、サービス業については、女性の社会進出や少子高齢化の影響により、教育、趣味、美容、娯楽、医療等に対する消費が伸びると考えられ、駅前立地型商業施設において、主要なテナント層となる学習塾、英会話教室、クリニック、エステサロン、旅行代理店等のサービス業に対する持続的な需要が期待できるものと考えています。
| ≪小売業販売額(品目別)≫ |
出所:経済産業省「商業動態統計調査」
(注1)棒グラフは「小売業総販売額」を示し、右軸に対応します。「小売業総販売額」は、燃料小売業を除きます。
(注2)「飲食料品小売業」は、主に飲食料品を小売りする事業所を指します。例:食品スーパー
(注3)「その他小売業」は、医薬・化粧品、家具、スポーツ用品、娯楽、ペット用品、中古品等を小売する事業所を指します。
(注4)「各種商品小売業」は、主に衣、食、住にわたる各種の商品を一括して一事業所で小売する事業所を指します。例:百貨店、総合スーパー
以下の消費総合指数は、内閣府が月例経済報告における個人消費の基調判断の一材料として作成しているものであり、月次での個人消費動向を示す指標です。これによると、個人消費は平成12年以降堅調に推移していることが窺え、平成20年9月のリーマンショック及び平成23年3月の東日本大震災の影響が一時的に見られるものの、全体のトレンドとして個人消費は堅調であるといえます。
| ≪消費総合指数≫ |
出所:内閣府「消費総合指数」
(注1)上記の各年における1乃至4の数字は、それぞれ1月~3月、4月~6月、7月~9月及び10月~12月の期間を指します。
(注2)平成17年の消費総合指数の平均値を100としています。
本投資法人は、こうした堅調な個人消費により支えられる飲食料品やその他生活に欠かせない日用品等に関連する小売業(飲食料品小売業、その他小売業)やサービス業に対しては、今後も堅調な需要を見込むことができ、これらを取り扱う商業施設には比較的安定的な需要が見込まれると考えています。
B.商業施設への投資基準
商業施設は、地域特性や施設特性等の個別性の強い不動産であると認識しています。本投資法人は、商業施設へ投資するにあたり、以下に記載の特性を踏まえ、「駅前立地型商業施設」と「居住地立地型商業施設」に分類し、投資分析を行い、中長期的な安定収益に資すると判断する商業施設に厳選投資します。
駅前立地型商業施設は、駅の集客力に依拠し商業集積の高いエリアに位置する商業店舗やサービス系テナントビル等であり、その物件選定においては、駅の乗降客数、駅距離(アクセス性)、商業集積状況(繁華性)、視認性、他の商業施設との相乗効果等の立地評価をはじめ、建物設備のスペック等を総合的に勘案し投資判断します。また、商業集積の高いエリアにおいて、商業施設として安定した収益が期待できると判断した場合には、他の用途の不動産を商業施設にコンバージョン(建物の用途変更)することを前提として取得することも検討します。
居住地立地型商業施設は、豊富な周辺居住者を後背人口に抱えたエリアに位置するショッピングセンター(以下「SC」といいます。)や専門店等(飲食料品及び日用品を主体とする商業施設)であり、その物件選定においては、商圏人口の厚みを最重要視し、交通アクセス性、競合店動向、テナント及び用途の代替性の評価をはじめ、賃貸借契約期間、テナントクレジット等を総合的に勘案し投資判断します。
なお、売上が景気に左右されやすく、解約リスクや賃料下落リスクによる収支への影響が大きい商業形態(たとえば、単一店舗で、食料・衣料・家具・家電等多様な商品を揃える商業形態)への投資は、原則として行わないこととします。
また、一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査」によれば、東京都における都心と郊外の商業施設における期待利回りは大きく異なっています。立地評価による違いが主因であると考えられますが、本投資法人はリスクとリターンにおいて異なる特性を有する駅前立地型商業施設と居住地立地型商業施設のいずれにも偏重することなく、ポートフォリオ全体のバランスを見据え、適切に分散投資することにより、中長期的な安定収益の確保を目指します。
≪不動産投資家調査による投資家期待利回り≫
出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」
(注1)一般財団法人日本不動産研究所の不動産投資家調査は、日本の不動産投資市場における主要なプレイヤーに対するアンケート調査であり、期待利回りを中心として、投資スタンスや今後の賃料見通しなどに関する回答を集計したものです。
(注2)「商業(東京郊外)」とは、東京都心まで1時間程度の主要幹線道路沿いの売り場面積20,000㎡程度の郊外型ショッピングセンターを、「物流(東京湾岸マルチ)」とは、江東地区の延床面積50,000㎡程度のマルチテナント型物流施設を、「商業(東京都心)」とは、中央区の銀座中央通り沿いの都心型高級専門店を想定しています。
C.商業施設への投資リスクへの対応
小売業界の全体的な傾向として、飲食料品ほか生活に欠かせない日用品等に関連する業態や駅前立地の集客力の高い商業ビルについては、サービス系、物販及び飲食店舗等による安定した需要が見込まれるものの、衣料、高級嗜好品や耐久消費財については、景気変動の影響を比較的受けやすいと考えています。
また、商業施設は、売上高に対する割合によって、賃料を含む賃貸条件が決まることが一般的であり、売上高の維持・向上を通じた収益の維持・向上のためには、立地競争力、テナント競争力及びテナント構成等のリーシングマネジメントが、特に重要となります。加えて、大型の商業施設でありテナントの代替性が確保しにくい物件については、賃料下落や空室期間の長期化による潜在的な収益性低下リスクが大きいと考えています。
上記の状況を踏まえ、本投資法人においては、以下の具体的施策を実施していきます。
(ⅰ)駅の集客力が見込める「駅前立地型」、飲食料品及び日用品を主体とする「居住地立地型」の商業施設を中心に据えた投資
(ⅱ)野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツの商業企画開発、リーシング力を最大限活用
(ⅲ)売上が景気に左右されやすく、解約リスクや賃料下落リスクによる収支への影響が大きい商業形態(たとえば、単一店舗で、食料・衣料・家具・家電等多様な商品を揃える商業形態)への投資は、原則として行わない
平成25年4月より、野村不動産では商業施設事業部を新設し、今後の商業施設開発に向け組織・陣容を強化しています。平成25年3月15日にグランドオープンを迎えた「ボーノ相模大野」では、当該オープン時に約90店舗のテナントリーシングを完遂しており、平成24年10月23日にグランドオープンを迎えた「GEMS渋谷」も含め、商業施設のテナント候補とのリレーションを強化しています。本投資法人は、野村不動産グループのリーシング力を活用し、商業施設の安定収益の確保を図ってまいります。
⑤ 安定収益を生み出すポートフォリオ構築
A.テナント需要に厚みのある東京圏を中心に据えた投資
本投資法人は、基本理念に掲げる中長期の安定収益を追求するため、物流施設及び商業施設のバランスを考慮したポートフォリオ構築を目指します。マーケット環境や社会的ニーズに対応したうえで、テナント需要、代替性、収益性及びリスク等を総合的に勘案し、ポートフォリオ全体の資産価値の向上及び中長期の収益の安定化を図ります。
投資対象地域については、三大都市圏を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域とし、地震リスク並びに地域経済及び賃貸市況の変動等のリスクを軽減することによりキャッシュ・フローの安定化を図ることを目的として、地域分散を図ることとします。
地域別に人口動向を見ると、東京圏では人口流入傾向が大きく、名古屋圏、大阪圏(本投資法人の投資対象地域の分類においては、それぞれ「中京圏」、「近畿圏」といいます。)においても横ばい又は緩やかな人口流入傾向であることが確認できます。
本投資法人は生産者と消費者を結びつける物流施設、小売業者と消費者を結びつける商業施設ともに消費者の集積が施設需要に直結することを踏まえ、三大都市圏を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域の投資対象不動産へ投資を行います。
| ≪三大都市圏への転入超過数≫ |
出所:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2014年版)」
(注1)上図において、「東京圏」は東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の1都3県、「名古屋圏」は愛知県、岐阜県及び三重県の3県、「大阪圏」は大阪府、京都府、兵庫県及び奈良県の2府2県を指します。
(注2)三大都市圏間の移動は含まれません。
さらに、日本においては政治、経済、文化、人口等社会における資本・資源・活動が東京圏に集中する傾向が年々高まっており、三大都市圏のなかでも東京圏への人口集中は突出しています。
本投資法人は、消費者やテナント需要に厚みがあることを重視し、三大都市圏の中でも東京圏を中心としたポートフォリオを構築し、中長期の安定した収益を確保するよう運用してまいります。
B.物流施設・商業施設の安定した投資特性
本投資法人が投資対象とする物流施設は、前記のとおり、テナントの負担において施設に対するニーズを満たすための設備投資を行うことが多いことなどから、一般的にテナントとの賃貸借契約において、長期固定契約が期待できる傾向があります。また、商業施設においては、業態によって2年間の賃貸借契約と長期固定契約が混在しておりますが、SCや専門店等の居住地立地型商業施設は、施設運営者との賃貸借契約において、長期のマスターリース契約が締結される傾向があります。なお、駅前立地型商業施設については、オフィスビルと同水準の好立地に位置し、マルチテナント型の賃貸方式が多いことが一般的であるため、テナントの入替え等を通じた賃料増額等による収益向上(キャッシュ・フローの内部成長)の可能性を有した施設であるといえます。
本投資法人が投資対象とする物流施設と商業施設は、賃貸借期間が相対的に長期に及ぶ傾向があり、賃料特性として、他の用途の不動産と比較し安定推移する傾向が見られます。一般的に、居住用施設は景気への感応度が低く、賃料の安定性が特徴の一つとして挙げられますが、物流施設と商業施設においても下表のとおり長期間変動が少なく安定推移していることが窺えます。
本投資法人は、物流施設と居住地立地型商業施設の安定性という共通した特性と内部成長が期待できる駅前立地型商業施設の特性を踏まえ、中長期の安定した収益を確保するため、偏ることなく分散投資していきます。
≪用途別の賃料指数推移≫
出所:日本銀行「企業向けサービス価格指数」、総務省「消費者物価指数」
(注)民営家賃は総務省「消費者物価指数」の値、事務所賃貸、店舗賃貸及び普通倉庫は日本銀行「企業向けサービス価格指数」の値にそれぞれ基づき、平成3年の平均値を100として毎年の平均値を指数化しています。
C.それぞれの特性を融合したマネジメント
本投資法人は、物流施設の荷主と商業施設のテナントは相互に密接に関連していると考えています。商業施設のテナントである物販業者及び飲食業者は、消費者に対しモノ(商品)を提供することによって、財(金銭)を受領することとなり、商品を提供するにあたり物流機能(輸送・配送、保管・荷役・包装・流通加工等)が必要不可欠です。具体的には、物販店舗及び飲食店舗のテナントは、荷主として物流施設ニーズを有しており、その情報を空室区画のリースアップや野村不動産グループによる物流施設の開発へ繋げることが可能となります。物流施設の主要なテナントである3PL事業者に対しても、物流ニーズを有する商業施設テナントを紹介し事業拡大の機会を提供することで、良好なテナント・リレーションを築くことができるものと考えています。
| ≪商業施設と物流施設の融合イメージ≫ |
(注)上記はあくまで商業系テナントの一般的特性と、これを活用したリーシング戦略や新規投資戦略のイメージであり、全てのテナントがかかるニーズの双方を有していることや、かかる情報を本投資法人が保有する物流施設や商業施設のリーシングや本投資法人の新規投資戦略に何らの制約なく活用できることを保証するものではありません。
また、前記のとおり、長期固定契約が多く見られる物流施設と居住地立地型商業施設については、なるべく契約期間満了日を分散し、解約リスクを低減させるマネジメントにより、安定的なキャッシュ・フローを目指します。
一方、費用面においても、物流施設は、一般的に共用部分の割合が低いことや内装及び設備も軽装備であることから、他の用途の不動産等と比較し、管理費用や修繕投資が抑えられる傾向があります。また、物流事業者が重量物を取り扱う場合は床荷重を補強したりすることがあり、ピッキング、値札付け、梱包及び検品等の流通加工作業を伴う場合はベルトコンベアを設置したりすることがあるなど、テナント負担による設備投資が行われる傾向があります。商業施設については、マスターリース型かマルチテナント型によって異なるものの、一般的に、共用部分の維持・管理や修繕投資及び販促費など、集客力の維持・向上を目的としたコスト負担を要する傾向にあります。これらの異なる特性を有する用途の不動産を一つのポートフォリオとして構成することにより、施設特性を考慮し資本配分を通じたマネジメントによる相乗効果が発揮できるものと考えています。
本投資法人は、野村不動産による一元的なテナントリーシング機能を活用し、これらの物流・商業双方の施設の運用による良好なテナント・リレーションの構築や各施設の特性を踏まえたマネジメントを行うことが、投資家利益に資するものと考えています。
⑥ 野村不動産グループのバリューチェーン
A.物流施設・商業施設における企画・開発・運営力
野村不動産グループには、住宅事業における主力ブランド「PROUD(プラウド)」シリーズ、オフィス事業での「PMO(プレミアムミッドサイズオフィス)」シリーズ、物流施設の「Landport(ランドポート)」シリーズ等の開発実績があります。また、商業施設においても、平成24年10月23日にグランドオープンを果たした「GEMS渋谷」を皮切りに、「GEMS(ジェムズ)」シリーズをブランド展開する予定です。
また、野村不動産グループは、平成24年(2012年)10月に策定した「野村不動産グループ 中長期経営計画(-2022.3)」において、「3ヵ年計画(-2016.6)」における事業戦略の柱の一つとして、賃貸不動産の開発メニューを多様化し、物流施設(「Landport」シリーズ)や商業施設(「GEMS」シリーズ他)の開発も強化していく方針を打ち出しており、本投資法人は、物流施設・商業施設の開発力を強化していく野村不動産グループとの連携・相互成長が図れるものと考えています。
(イ)物流施設
野村不動産グループが展開する「Landport」シリーズは、「良質なる<最新仕様><操作性能><作業環境><物流立地>」を追求するというコンセプトのもとに開発された物流施設であり、平成19年3月に竣工した「Landport厚木」を皮切りに、企画、開発段階からリーシングまで一貫して野村不動産グループが携わったプロジェクトです。
野村不動産グループは、今後も「Landport」シリーズを開発することで、テナント企業のさらなる収益向上を目指す物流革新を実現していきます。
(ロ)商業施設
商業施設についても、野村不動産グループは、大型SCから都市型商業施設まで、多種多様な開発実績を有しています。また、平成24年10月23日にグランドオープンした「GEMS渋谷」を皮切りに、「GEMS(ジェムズ)」シリーズを継続的に開発し、都市型商業施設としてのブランド化を目指しています。本投資法人は、「GEMS」シリーズの第1号案件である「GEMS渋谷」(本投資法人の投資対象の分類では駅前立地型商業施設に分類されます。)を保有していますが、第2号案件以降についても継続して取得を検討してまいります。
≪野村不動産グループの都市型商業施設「GEMS」シリーズの展開≫
■ブランドコンセプト
・立 地:都内の主要駅を中心とした業務、商業エリア
・商品性:「集客力」「話題性」「成長力」がある店舗を主体としたコンセプト商業ビル
■野村不動産グループの強み
・野村不動産グループ(野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツ)が「企画・開発・施設運営」の全てに関与し、「GEMS」の統一的ブランド化を図る。
・「GEMS」のコンセプトに合うテナント候補をストックし、直接野村不動産グループがテナントリーシングを行うとともに、販売促進を含めた施設運営も行う。さらに、それらのノウハウを開発にフィードバックすることで、次の商品企画に反映させる。
・今後も継続して新規開発を行い、「GEMS」ブランドの浸透を図る。
B.野村不動産グループによるマネジメントサポート
野村不動産グループは、「住宅事業」「賃貸事業」「資産運用事業」「仲介・CRE事業」「運営管理事業」「その他の事業」にセグメントを分類し、総合不動産会社のグループとして多岐にわたる不動産事業を展開しています。グループ各社は、野村不動産ホールディングスのもと各セグメントにおいて、高品質なサービスを提供しています。本投資法人の運用においても、物流施設については、野村不動産及び野村ビルマネジメント株式会社(注2)を中心に、商業施設については、株式会社ジオ・アカマツ及び野村ビルマネジメント株式会社を中心に、それぞれ運営管理を委託し、野村不動産グループのリーシング、運営、建物管理等のマネジメント力を活用し、テナント満足度の向上、ひいては資産価値の維持・向上を目指した運用を行います。
(注1)平成25年4月から野村不動産が物流施設及び商業施設の企画、開発、リーシングを一元的に行っています。
(注2)野村ビルマネジメント株式会社は、野村リビングサポート株式会社と平成26年4月1日付で合併し、商号を野村不動産パートナーズ株式会社に変更しています。以下同じです。
≪本投資法人の資産運用に関連する主要なグループ会社≫
● 野村不動産は、主力である「住宅事業」を中心に「賃貸事業」「仲介・CRE事業」等を展開する総合不動産会社です。
● 野村不動産投資顧問株式会社は、日本最大級の不動産資産運用会社です。
● 野村不動産アーバンネット株式会社は、企業戦略、財務戦略に対応した不動産の有効利用をはじめ、ファンドマーケットに対応した投資物件の売買のサポート等の「仲介・CRE事業」を担っています。
● 野村ビルマネジメント株式会社は、設備管理などを行うビルマネジメント事業、効率的なビル経営を実現するプロパティ・マネジメント事業、リニューアル・インテリア工事を請負う建築インテリア事業などオフィスビルのみならず、多様な用途における「運営管理事業」のノウハウを提供しています。なお、同社は、野村リビングサポート株式会社と平成26年4月1日付で合併し、商号を野村不動産パートナーズ株式会社に変更しています。
● 株式会社ジオ・アカマツは、創業以来40年に至る実績と経験を活かし商業施設の調査企画、テナントリーシング、商環境設計からプロパティ・マネジメントまで商業施設の「運営管理事業」のフルラインサービスを提供しています。
特に、物流施設のリーシングにおいては、これまで資産運用会社が物流施設を保有する私募ファンドの運用を通じて蓄積してきたテナントとの親密なリレーションを活用し、難易度が高い物流施設開発時のリーシングを自ら完遂してきましたが、平成25年4月から野村不動産がオフィス、物流施設及び商業施設のリーシング機能を集約し、一元的にテナントリーシング活動を行っています。野村不動産グループでは、平成25年4月に、物流施設のリーシング業務を野村不動産物流施設事業部に移管しており、本投資法人は、その取得・保有する各物流施設につき、同社との間でプロパティ・マネジメント業務のうちテナントマネジメントに特化した業務を委託する「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」を締結しています。商業施設においても、野村不動産商業施設事業部及び株式会社ジオ・アカマツを中心とした野村不動産グループが構築してきた商業テナントとのリレーションを活用し、施設の集客力を維持・向上させる観点から適時テナント構成の見直し等を行っていきます。
本投資法人は、物流施設及び商業施設投資における最大のポイントは、「リーシング力」にあると考えており、当該リーシング力を有する野村不動産グループの力を最大限活用できる点において優位性を発揮できると考えています。
なお、野村不動産ホールディングスは、平成24年10月に策定した「野村不動産グループ 中期経営計画(~2022.3)~Creating Value through Change~」において、資産運用事業分野の積極拡大を掲げています。資産運用事業は大きく「公募商品」と「私募商品」に分かれ、資産運用会社は、現在、両者の運用を受託していますが、本投資法人の上場により、資産運用会社の資産運用事業における「公募商品」の比重が大幅に増え、「私募商品」の割合が相対的に低下することになります。野村不動産グループが掲げる上記の資産運用事業分野の積極拡大のためには、「公募商品」だけでなく「私募商品」の拡充も重要となりますが、①「公募商品」と「私募商品」では、対象とする投資家、リスク・リターン特性、ノウハウ、投資対象及びクライテリアなどが異なること、②投資マネーのボーダーレス化が進み、多様な投資家ニーズや投資環境の変動に機動的かつ柔軟に対処していく必要があることから、本投資法人の上場を機に、野村不動産ホールディングスにおいては、私募ファンド事業について、将来的に野村不動産グループ内において資産運用会社とは異なる別会社に移管することも検討していく旨の方針を公表しています。
なお、野村不動産ホールディングスは、将来的に私募ファンド事業を資産運用会社とは異なる別会社に移管することとなる場合、当該別会社においては、現在資産運用会社が資産の運用を受託している本投資法人を含む投資法人との関係において、投資対象に競合が生じない形での私募ファンドビジネス、具体的には、開発型・オポチュニスティック型等の私募ファンドビジネスを行うことを想定しており、資産運用会社が運用を受託する投資法人との間で物件取得機会の競合等は基本的には生じないものと考えている旨公表しています。
本投資法人及び資産運用会社としても、別会社方式を通じた私募ファンド事業の拡大により、野村不動産グループとしての不動産ファンドビジネスの拡大に伴う物件情報の獲得機会や私募ファンド保有物件の取得可能性を含む物件取得機会の拡大が期待できるものと考えています。
C. 各用途の不動産における豊富な運用経験、マネジメント力
(イ)私募ファンドの運用経験に裏付けられたマネジメント力
資産運用会社は、平成17年9月に都市型商業施設及び物流施設、平成19年2月に郊外型商業施設に投資する私募ファンド(特別目的会社及び特別目的会社が保有・運用する不動産ポートフォリオの総称です。)の運用を開始し、物流施設及び商業施設に係る運用経験と実績を有しています。具体的には、資産運用会社(平成23年10月1日付で私募ファンドの運用を受託していた旧野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社を吸収合併)がファンド・マネジャーとして、野村不動産を含む複数の投資家が出資して設立された複数の私募ファンドを通じて物流施設及び商業施設の取得・運用助言業務や投資一任業務を行ってきました。
資産運用会社には、物流施設及び商業施設の取得(アクイジション)及び運営・管理(アセットマネジメント)を担当してきた主要なメンバーが引き続き在籍しており、本投資法人のための資産運用業務に従事しています。また、私募ファンドにおける物件の取得においては、外部(野村不動産グループ以外)からの取得が多くを占めており、かかるメンバーはこのような取得経験・実績を通じ、高いソーシング力を培ってきています。加えて、取得後の運営・管理においても、適切なリニューアル工事による競争力の維持・向上とテナントとの良好なリレーションにより高稼働を維持しています。
資産運用会社は、こうした取得実績や運用経験を通じ、物流施設や商業施設の立地特性・テナント需要の把握や、物件の築年数・スペック等に応じた運用ノウハウを蓄積しており、将来にわたり、立地特性・テナント需要の変化やポートフォリオの経年劣化、運用物件数の拡大に対しても適切に対応する能力を備えていると考えています。
(ロ)上場REITの運用経験に裏付けられた運用実績
資産運用会社は、平成15年12月にNOF、平成18年9月にNRF、平成25年6月に本投資法人の資産運用を開始し、3つの上場REITの運用を行っています。
本投資法人は、資産運用会社による複数の上場REITの資産運用経験を通じて培った運用ノウハウが、主に以下の側面において、本投資法人の資産運用に活かされるものと考えています。
・ 適切に整備され、有効に機能する内部管理体制
・ 公正性及び透明性の確保をはじめとするコンプライアンス体制
・ 資本市場からの資金調達活動をはじめとする財務戦略の策定及び実行
なお、資産運用会社は、平成22年3月に非上場投資法人であるNPRとの間でも資産運用委託契約を締結しました。資産運用会社は、NPRを含む4つの投資法人から資産運用を受託することを通じて、資産運用会社における物件情報収集力の拡充及びマネジメント力の向上、並びに本投資法人と他の投資法人との協働投資等を通じた投資機会の拡大等が期待できるものと考えています。
また、資産運用会社は、本投資法人、NOF、NRF及びNPRからそれぞれ委託を受けた資産運用を行うにあたり、各投資法人の利益を損ねることがないよう適切な社内体制を確立しています(注)。
(注)詳細については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制」をご参照ください。
D.スポンサーによるパイプライン・サポートの有効活用
本投資法人は、野村不動産グループが総合不動産会社として有する物流施設及び商業施設の不動産に係る企画・開発・運営力を最大限活用することで、最適なポートフォリオ運用と豊富なパイプラインに裏打ちされた資産規模の着実な成長を図り、中長期的に安定した収益の確保を目指していく方針です。
こうした外部成長戦略を具現化するため、資産運用会社は、野村不動産との間で平成25年3月25日付で情報提供協定書を締結しています。かかる情報提供協定書に基づき、野村不動産は自ら保有し又は今後開発保有することとなる不動産等のうち、本投資法人の物件選定基準に大要適合すると判断される不動産等を売却する場合、その情報を原則として第三者より先に資産運用会社に通知することとされています。
なお、資産運用会社が、物流施設・商業施設その他の用途の不動産等に係る案件情報を入手した場合、資産運用会社の定めるローテーション・ルールに従い当該不動産等案件情報の取得検討を優先的に行うファンド等を決定します。なお、当該ルールの概要については、前記「1 投資法人の概況 / (4)投資法人の機構 / ② 投資法人の運用体制 / C.投資運用の意思決定機構」をご参照ください。
⑦ 投資方針
A.ポートフォリオ構築方針
本投資法人は、主として物流施設及び商業施設(不動産を除く不動産等及び不動産対応証券の裏付けとなる不動産を含みます。)に投資します。不動産市場動向を見極めたうえで資産運用会社の判断に基づき、物流施設及び商業施設にバランスよく分散投資していくことで安定収益を確保する方針です。
本投資法人では、規約において投資対象地域を、三大都市圏(首都圏、中京圏及び近畿圏)を中心として政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域とし、地震リスク並びに地域経済及び賃貸市況の変動等のリスクを軽減することによりキャッシュ・フローの安定化を図ることを目的として、取得する運用資産の地域分散を図ることとしています。
かかる地域分散を考慮しつつ、ポートフォリオの構築に当たっては、テナント需要の厚みを最重視し、原則として東京圏を中心とし、以下の地理的構成を目安としてポートフォリオを構築していきます。
| 東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県) | 80%以上 |
| 中京圏(愛知県、岐阜県、三重県) | 20%以下 |
| 近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県) | |
| その他の都市 |
(注1)比率は、取得価格を基準とし、消費税その他の取得に係る費用は除きます。また、一時的に上記比率から乖離する可能性があります。
(注2)「その他の都市」とは、東京圏、中京圏及び近畿圏以外の政令指定都市、県庁所在地及び人口10万人以上の都市並びにその周辺地域をいいます。
B.投資基準
不動産関連資産への投資にあたっては、用途毎に定める以下の各項目を基準として個別の運用不動産の選定を行います。選定に関しては、規約第27条に定める「中長期の安定した収益の確保」という基本方針に基づき、立地・建物スペック・収支実績等から安定した収益が見込める点を重視して、行うものとします。
なお、以下に記載する「三大都市圏」とは、次に掲げる首都圏、中京圏及び近畿圏をいいます。
首都圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県
中京圏:愛知県、岐阜県、三重県
近畿圏:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県
また、「東京圏」とは、東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県をいい、「政令指定都市を含むその他主要都市」とは、東京圏、中京圏及び近畿圏以外の政令指定都市、県庁所在地及び人口10万人以上の都市をいいます。
(イ)用途毎の物件選定基準
(ⅰ)物流施設
物流施設の投資対象不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
| 項 目 | 選 定 基 準 |
| 用途 | 主として物流施設(注1)であること ① 建物用途の判断基準 用途が「主として物流施設」とは、取得対象とする不動産の賃貸可能面積のうち、物流施設として供される部分(以下「物流施設部分」という。)の面積が50%超である状態をいう。なお、他の用途であっても、用途変更により将来において上記要件が満たされ、十分な収益性が見込める場合には投資対象とする。 ② 複数の不動産から構成される投資資産の取扱い 運用不動産が複数の不動産から構成される投資資産※の全部又は一部である場合には、対象となる不動産全ての賃貸可能面積の合計に対する物流施設部分の面積の割合が①の基準に適合することを条件とする。 ※「複数の不動産から構成される投資資産」とは、一体として開発された相互に関係を有する複数の不動産を意図している。 ・オフィス棟・商業棟・住宅棟・物流棟など、複数の建物から構成される複合型物件の一括取得によって、相互に関係を有しない複数の不動産が一括して取引されるケース(バルク取引)には、上記の基準は適用せず、投資対象としないものとする。但し、用途が主として物流施設又は商業施設である不動産のみからなる複数の不動産のバルク取引は投資対象とする。 |
| 立地 | 三大都市圏、政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域に立地していること |
| 物件規模(注2) | 原則として延床面積が10,000㎡以上(注3)であること 土地に投資する場合は、原則として敷地面積が10,000㎡以上であること |
| テナント構成 | テナントの信用力、使用目的が適正であること (一括又は少数のテナントに賃貸される物件については、賃貸借契約の内容 、当該法人等の商業登記簿や企業調査会社による調査による当該法人等の信 用力、退去後のテナント誘致の見込み等を総合的に勘案した上で、投資判断することとする。) |
(注1) その他、一般消費者向け倉庫(トランクルーム、レンタル収納スペースなど)にも投資を行うことができるものとし、この場合は上記の物件規模基準は適用しません。
(注2) 但し、延床面積及び敷地面積が上記の選定基準に満たない物件であっても、当該物件の取得により既に保有する物件との相乗効果、物件取得機会の確保又は拡大への寄与その他のメリットが見込まれる場合(以下の場合を含みます。)には、投資を行うことができるものとします。
・ 既に保有する物件に隣接する物件などで、既に保有する物件の増築や一体での建替え等によって、より高い価値の追求が見込まれると判断されるもの
・ バルク取引に含まれる物件
・ 継続取引が見込まれるプロバイダーが開発する物件
(注3) 延床面積(登記簿又は登記記録の記載)を基本とし、建築基準法(昭和25年法律第201号、その後の改正を含みます。)に定める延床面積も考慮して判断します。
物流施設については、規模・建物スペック・立地・テナント信用力・賃貸借契約形態等を重視した投資を行ってまいります。
(ⅱ)商業施設
商業施設の投資対象不動産の選定に当たっては、下表の各項目を基準とします。
| 項 目 | 選 定 基 準 | ||||||||||||
| 用途 | 主として商業施設(店舗)であること 本投資法人は商業施設を以下の2つのタイプに分類します。
| ||||||||||||
| ① 建物用途の判断基準 用途が「主として商業施設」とは、取得対象とする不動産の賃貸可能面積のうち、商業施設として供される部分(以下「商業施設部分」という。)の面積が50%超である状態をいう。なお、他の用途であっても、用途変更により将来において上記要件が満たされ、十分な収益性が見込める場合には投資対象とする。 ② 複数の不動産から構成される投資資産の取扱い 運用不動産が複数の不動産から構成される投資資産※の全部又は一部である場合には、対象となる不動産全ての賃貸可能面積の合計に対する商業施設部分の面積の割合が①の基準に適合することを条件とする。 ※「複数の不動産から構成される投資資産」とは、一体として開発された相互に関係を有する複数の不動産を意図している。 ・オフィス棟・商業棟・住宅棟・物流棟など、複数の建物から構成される複合型物件の一括取得によって、相互に関係を有しない複数の不動産が一括して取引されるケース(バルク取引)には、上記の基準は適用せず、投資対象としないものとする。但し、用途が主として商業施設又は物流施設である不動産のみからなる複数の不動産のバルク取引は投資対象とする。 | |||||||||||||
| 立地 | 三大都市圏、政令指定都市を含むその他主要都市又はその周辺地域に立地していること | ||||||||||||
| 物件規模 (注1) |
| ||||||||||||
| テナント構成 | テナントの信用力、使用目的が適正であること (一括又は少数のテナントに賃貸される物件については、賃貸借契約の内容 、当該法人等の商業登記簿や企業調査会社による調査による当該法人等の信 用力、退去後のテナント誘致の見込み等を総合的に勘案した上で、投資判断することとする。) |
(注1) 但し、延床面積及び敷地面積が上記の選定基準に満たない物件であっても、当該物件の取得により既に保有する物件との相乗効果、物件取得機会の確保又は拡大への寄与その他のメリットが見込まれる場合(以下の場合を含みます。)には、投資を行うことができるものとします。
・ 既に保有する物件に隣接する物件などで、既に保有する物件の増築や一体での建替え等によって、より高い価値の追求が見込まれると判断されるもの
・ バルク取引に含まれる物件
・ 継続取引が見込まれるプロバイダーが開発する物件
(注2) 延床面積(登記簿又は登記記録の記載)を基本とし、建築基準法に定める延床面積も考慮して判断します。
本投資法人では、商業施設への投資にあたっては、収益性と安定性のバランス型投資を行っていく方針です。
特に商業施設については、商業集積状況(繁華性)や商圏人口に加え、消費者の選好の変化による収益性のボラティリティが高いことに留意し、アクセス、代替性、賃貸借契約条件やテナント信用力を重視した物件選定を行います。
(ロ)用途にかかわらず適用される物件選定基準
用途にかかわらず、全ての物件の取得にあたり、以下の各項目につき検討します。
(ⅰ)権利関係について
所有権であることを原則とします。共有されている不動産又は区分所有建物である不動産への投資を検討するに際しては、a)共有の場合、共有物の分割請求や持分の売却を制限する措置の有無
b)他の共有者又は区分所有者の属性、持分割合
c)他の区分所有者の負担部分も含めた修繕積立金等の管理方法及び積立状況
等を総合的に勘案のうえ、物件毎に判断するものとします。土地の権利が借地権である物件への投資を検討する際には、土地の賃貸借契約の条件を考慮します。
(ⅱ)土地(底地を含みます。)への投資について
敷地等のみに投資する際には、敷地等上の建物の所有者の信用力や属性、及び当該所有者との地上権設定契約又は土地の賃貸借契約の条件に加え、用途の転用可能性、開発可能性並びに売却時の流動性等を勘案のうえ、投資判断します。なお、底地とは、土地の上に建物があり、その建物に借地権が付されている土地の所有権をいい、借地権者と底地権者(土地所有者)間では借地契約が締結され、底地権者には地代が支払われます。底地は、一般的に保守管理費や修繕投資負担が少なく安定的な収入が期待できることに加え、減価償却費が不要であることにより賃料収入に対する配当割合を高めることが期待できるという特性を有することから、本投資法人は、かかる底地の特性を踏まえ、底地上の建物が物流施設又は商業施設の場合には、底地に対しても投資を行います。
(ⅲ)築年数について
建物の築年数については、築年数に応じた経年劣化等に伴う資本的支出額(コスト)を予測し、ポートフォリオ全体での資本的支出の平準化に留意します。
(ⅳ)環境・地質等について
以下の基準を満たすことを原則とします。
・建物状況調査報告書(エンジニアリング・レポート)において、有害物質の使用状況、管理状態に関する問題が指摘されていないこと
・土壌汚染のおそれがないこと(但し、利用者、近隣に対する健康被害リスクが低いことが調査において確認できている場合を含みます。)
上記の基準を満たさない場合であっても、対応工事を行ってかかる基準を満たすことが可能であり、かつかかる工事の費用を加えた上でも十分な収益性が見込め、本投資法人のキャッシュ・フローへの影響が軽微である場合には、投資を行うことができるものとします。
(ⅴ)耐震性について
原則として新耐震基準適合又はそれと同水準以上の耐震性能を有し、PMLが20%未満であることを基準とします。かかる基準を満たさない場合であっても、耐震補強工事を行ってかかる基準を満たすことが可能であり、かつかかる工事の費用を加えた上でも十分な収益性が見込め、本投資法人のキャッシュ・フローへの影響が軽微である場合には投資を行うことができることとします。
(ⅵ)転用を前提とする投資について
既存の用途以外の用途への転用を前提として投資を検討する場合には、収益性及びテナント構成については現況及び転用後の状態を想定して判断します。また、転用のための工事及びテナントの変更に要する費用及び期間に照らして、転用が容易であるか否かを検討します。
(ⅶ)未稼動(開発中)不動産への投資について
本投資法人の安定収益の確保という基本方針に基づき、原則として、取得時点において既に賃貸され、収益を上げている不動産に投資を行うこととします。未稼働(開発中)の不動産への投資については、建物の完工・引渡し等のリスク及び稼働開始時期やテナント確保等の見通しに基づく稼働開始後の収益見込み等がポートフォリオ全体に与える影響及び後記「C.フォワード・コミットメントを行う際の留意点」記載の事項を考慮の上、慎重に投資判断を行います。
C.フォワード・コミットメントを行う際の留意点
フォワード・コミットメント(先日付での売買契約であって、契約締結日から1ヶ月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているもの及びその他これに類する契約をいいます。)を行う場合には、以下の点に留意することとします。
(イ)解約違約金の設定に関する留意点
契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響(東京証券取引所の定める上場廃止基準を含みます。)を十分検証のうえ、慎重な投資判断を行うものとします。
(ロ)期間の上限・決済資金の調達方法等
売買契約締結から物件引渡しまでの期間については、個別物件毎に、開発型案件等における取組みに比して妥当な期間を上限とし、当該期間中における金融環境及び不動産市場等の変動リスクがあることを十分認識のうえ、慎重な検討を行うこととします。決済資金の調達方法については、取得を決定する時点においては、コミットメントライン等の融資枠の利用等、取得額に応じた決済時の取得資金の調達方法及びその実現性を検証し、決済時においては、金融市場、取引先金融機関との関係、投資法人債(短期投資法人債を含みます。)市場等の資金調達環境の変化に応じて最適な資金調達方法を選択することとします。
(ハ)資産価値変動に関する留意点
売買契約締結から物件引渡しまでの期間に、経済情勢の変化等により鑑定評価額が大幅な変動がある可能性がある場合においては、鑑定評価を再取得の上、鑑定評価額を見直すこととします。また、鑑定評価額が取得価額を下回った場合においては、違約金の支払いによる契約解除又は売買価格の再協議の必要性等について判断の上、適切な対応を行うものとします。
(ニ)現状変更
売買契約締結から物件引渡しまでの期間に、売主が現状変更を行う場合及び未収テナントが発生し賃貸借契約の解除事由に該当する場合等には、その対応につき買主の事前承諾を得ることを条件とし、売買価格やポートフォリオ全体に与える影響を十分検証のうえ、慎重に判断します。
D.物件調査(デューディリジェンス)基準
不動産関連資産への投資にあたっては、運用不動産の物件特性(立地の優位性、建物の性能及び規模、賃料水準、競合物件の有無等)の把握を目的として、物件調査(デューディリジェンス)を行います。
(イ)調査(デューディリジェンス)の実施
デューディリジェンスの調査項目は、以下のとおりです。
| 調査項目 | 内容 | |
| 物理的調査 | 土地調査 | ・地積、境界の確認 ・周辺環境、地域特性、交通アクセス性 |
| 建物調査 | ・建物状況調査報告書(エンジニアリング・レポート)による確認 ・建物及び設備仕様、建物瑕疵、耐震性・地震リスク等 ・修繕履歴、修繕計画(CAPEX)、管理契約、管理状況 | |
| 環境調査 | ・地質地盤・埋蔵物、土壌汚染 ・有害物質(アスベスト、PCB等)の状況 | |
| 法的調査 | 権利関係 | ・所有権、抵当権等の権利関係 ・共有、区分所有等の所有形態 ・訴訟の有無とその状況、紛争可能性 |
| 法令上の制限 | ・法令(条例や協定を含む)等による制限 ・遵法性、既存不適格の有無 | |
| 契約関係 | ・売主状況調査(売買否認リスク等) ・売買契約、賃貸借契約等各種契約書の内容 | |
| 経済的調査 | テナント調査 | ・契約内容(契約形態、賃料、契約期間等) ・未収金の有無、テナント信用力 |
| マーケット調査 | ・商圏、産業構造、テナント需要の分析 ・競合物件動向(売上、賃料、稼働率等) ・周辺の開発計画 | |
| 収益性調査 | ・不動産鑑定士による鑑定評価(価格調査) ・物件の過去収支分析 | |
(ロ)調査レベルの均一化・投資適格性の判断
個別の運用不動産の調査・投資適格性の判断に関しては、デューディリジェンスにおける調査レベルの均一化を図るとともに、取引に当たって留意すべき事項を十分に調査、認識した上で投資適格性を判断します。
(ハ)専門性、客観性及び透明性の確保
デューディリジェンスにおける調査項目のうち、以下の項目については、専門性、客観性及び透明性の確保の観点から、第三者である外部の専門家に調査を委託します。
・鑑定評価(価格調査)
・建物調査
・地震PML調査
・環境調査
E.投資分析基準
不動産関連資産への投資に際しては、運用不動産に関する投資判断資料として以下の項目から構成される投資事業計画書を作成するものとします。投資委員会では、投資事業計画書の各項目を踏まえた多角的検討を行った上で、最終的な投資判断を行うものとします。
| 項 目 | 内 容 |
| 物件概要 | ・土地建物の概要 ・権利関係 ・賃貸借の状況(稼働率、テナント属性、特殊契約等) |
| 取引概要 | ・売主の概要 ・売買条件及びスケジュール ・付帯契約(プロパティ・マネジメント契約、保険等) |
| リスク分析 | ・取得基準への適合性 ・権利関係に関する事項 ・建物に関する事項 ・賃貸借に関する事項 ・その他取引に際して留意すべき事項 |
| マーケット分析 及び投資運用戦略 | ・周辺マーケットの現状の確認及び将来予測(エリア特性、ターゲット・テナント、新規物件の供給等) ・想定賃料及び想定稼働率、賃貸事業費用、資本的支出に基づく当該案件の予想収支の検証 ・物件特性を踏まえた上での投資戦略及びマネジメント戦略の策定 |
| ポートフォリオへの影響 | ・築年数、地理的分散、稼働率、NOI(注)、資本的支出(CAPEX) |
| 資金調達 | ・必要資金額の確認(初期修繕を伴う物件の場合はその内容)及び資金調達方法の検討 |
(注) NOI(ネット・オペレーティング・インカム)とは、当該物件に係る賃貸事業収入の合計から賃貸事業費用(減価償却費を除きます。)の合計を控除した金額をいいます。
F.保険付保基準
不動産関連資産への投資にあたっては、火災等の災害や事故等による建物の損害及び第三者からの損害賠償請求等に対応するため、必要に応じ火災保険、賠償責任保険等の付保等の措置を講じるものとします。また、地震保険の付保については、地震の発生時に予想されるポートフォリオ全体への影響を考慮し、ポートフォリオPML(注)が15%以上の場合には、個別物件のPMLが15%以上の物件について火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することとします。
(注) ポートフォリオPMLとは、複数の建築物群を対象とし、被害の相関性を考慮して、建築物群の中の1ないし複数の建築物に影響を与える「超過確率0.211%(再現期間475年)に対する建物の予想損失額」/「再調達価格」(%)で示したものです。但し、予想損失は、地震動による建物(構造部材・非構造部材。建築設備)のみの直接損失に関するものであり、機器、家具、什器等の被害や地震後の水又は火災による損失、被災者に対する保証、営業中断による営業損失等の二次的被害は含まれていません。
⑧ 運用方針
資産運用会社は、投資の基本方針に基づき、中長期の安定収益とポートフォリオの着実な成長を実現するため、以下の方針に基づいて賃料収入の安定的成長、適切な管理・修繕による物件の資産価値維持及び向上並びに各種運営・管理コスト削減を目的とした運用を行います。
また、本投資法人は短中期的な運用不動産の売買によってキャピタルゲインを得ることを運用目標とはしませんが、地域性の変化に伴う用途変更、運用不動産の入れ替え(リバランス)、リニューアル・建て替え等により、ポートフォリオの資産価値の維持・向上を図ります。この中長期の運用方針を実行するにあたっては、総合不動産会社である野村不動産グループの強み(売買・リニューアル・デベロップメント等)を、本投資法人の運用に活用してまいります。
A.基本戦略
(イ)リーシング活動の展開
安定した収益を確保するため、運用不動産毎に次の諸点に留意してリーシング活動を展開します。
(ⅰ)周辺マーケット動向の把握
独自の調査、マーケットレポート及び不動産仲介業者等から収集した情報に基づき、各運用不動産の属する周辺マーケットのテナント需給の見通し、賃料相場、稼働率、競合物件動向等を分析します。なお、周辺マーケットに構造的変化(新規賃貸不動産の開発動向、新たな交通機関の開業・新駅の設置等)が見られる場合には、当該変化の影響を分析します。
(ⅱ)重点営業対象先の選定
周辺マーケットにおけるテナントの動き及びその理由(企業統合、事業転換、リストラクチャリング等)を調査及び分析し、リーシング活動の重点対象先とすべきテナント(又は業種)を選定します。
(ⅲ)最適な賃貸条件の検討
個別のテナントの賃貸条件の決定に当たっては、当該テナントの信用力、ポートフォリオ全体の賃料収入に対する当該テナントからの賃料収入の割合、契約形態(定期建物賃貸借であるか否か等)を総合的に判断します。
(ⅳ)入居テナントの選定基準
入居テナント(転貸を含みます。)の選定にあたっては、プロパティ・マネジメント会社(以下「PM会社」といいます。)と協議の上運用不動産毎に策定する年間リーシング計画に基づきこれを行うものとし、当該テナントの信用力及び使用目的が、当該物件及びポートフォリオ全体に及ぼす影響を考慮の上、原則として業種及び属性、信用調査機関の評価等に関して総合的に判断します。
(ⅴ)既存テナント動向の把握
リーシング活動の展開に加え、既存テナントとのコミュニケーションを十分に図り、テナントの動向、不満や解約ニーズ、又は増床ニーズ等を早期に把握し、適切かつ迅速な対応策を講じます。
(ロ)運用不動産の価値の維持・向上(大規模修繕及びリニューアル)
本投資法人の中長期的な安定収益を実現するため、運用不動産毎に適切な大規模修繕(機能維持を目的とした修繕投資)、リニューアル(機能向上を目的とした修繕投資)等の必要な修繕投資を行い、運用不動産の競争力、収益性の維持・向上を図ります。
(ⅰ)取得に際しての大規模修繕及びリニューアル方針の策定
運用不動産毎の築年数、過去の修繕履歴、設備水準等を勘案した上で、大規模修繕及びリニューアル方針を策定します。
また、機能維持を目的とした修繕工事に加え、周辺マーケット内の他の不動産との差別化を図り、競争力を高めるための機能向上を目的としたリニューアルについても十分な検討を行います。
(ⅱ)営業期間毎の大規模修繕・リニューアル計画の策定
上記の大規模修繕及びリニューアル方針に基づき、物件別事業計画の一部として、本投資法人の営業期間毎の大規模修繕・リニューアル計画を策定します。適切な大規模修繕・リニューアルを行うため、かかる計画の内容及び予算を、第三者によるエンジニアリング・レポートの内容のほか、消費者動向及び利用者ニーズを踏まえて検証します。
(ⅲ)ポートフォリオ全体での検証
大規模修繕・リニューアル計画の策定においては、内容が共通した工事を複数物件に実施することによって、ポートフォリオ全体の修繕費用の削減につながると判断した場合には、同時期に一括して実施することも検討します。
また、ポートフォリオ全体の収支の安定性を確保するため、本投資法人の営業期間毎の修繕費用と内部留保資金(減価償却等による)とのバランス及びポートフォリオ全体の大規模修繕・リニューアル工事費用の平準化に留意します。
(ⅳ)既存テナントへの配慮
工事の実施にあたっては、入居中のテナントに対する影響度に配慮し、また工事実施後のテナント満足度向上を勘案した上で、実施の適否を判断します。なお、工事の実施に際しては、既存テナントへ事前の告知、実施中の報告等を行うとともに、工事による既存テナントへの影響を最小限に留めるよう努めます。
(ⅴ)リザーブ基準
大規模修繕・リニューアルの実施に際しては、キャッシュバランスと実施時期に留意してポートフォリオ全体での収支及び資金バランスを考慮するものとし、必要に応じて修繕資金のリザーブを行います。
(ハ)売却方針
安定収益の確保という本投資法人の基本方針に基づき、原則として本投資法人の保有する不動産関連資産を短期間で売却することは企図しないこととしますが、必要に応じて運用資産の売却を検討する場合には、以下の基準に従うこととします。
(ⅰ)不動産関連資産又はその裏付けとなる不動産の売却については、以下の項目等を考慮の上、総合的に判断することとします。
・当該運用不動産の現在及び将来にわたる収益性
・周辺マーケットの将来性及び安定性
・当該運用不動産の劣化又は陳腐化に対する対応状況
・テナントの属性及び契約内容
・ポートフォリオ構成
(ⅱ)フォワード・コミットメントを行う場合は、契約不履行に関する解約違約金に関して、当該解約違約金の水準が、ポートフォリオ全体の収支及び配当水準等に与える影響を十分検証のうえ、慎重な判断を行うものとします。
B.PM会社の選定・管理方針
上記基本戦略に基づき内部成長を実現し、安定収益を確保するためには、運用不動産毎に賃貸管理・会計管理・施設管理を統括するPM会社が重要な役割を担います。資産運用会社は、運用不動産毎に最適なPM会社を選定し、適切な管理を行うために、以下の諸点に留意します。
(イ)PM会社の選定方針
PM会社の選定にあたっては、企業内容・実績(会社規模、組織体制、用途に応じた管理実績、プロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)の受託実績等)の確認に加え、PM業務遂行能力、利益相反、報酬体系その他を総合的に検討した上で、最適と思われる業者を選定します。
なお、同一の地域に運用不動産が複数存在する場合には、運営管理の効率化を目的として、同一のPM会社を選定することを検討します。
上記のほか、PM会社の選定に際しては、ポートフォリオとしての運営リスクの分散と運営効率化のバランスにも留意します。
なお、物流施設については、野村不動産との間で「ロジスティクス・テナント・マネジメント契約」を締結し、テナントマネジメントに特化したPM業務を委託しています。前記「③ 物流施設の投資優位性 / D.物流施設への投資リスクへの対応」をご参照ください。
(ロ)PM会社の管理方針
(ⅰ)PM会社との一体的な運営管理
各運用不動産のPM会社と定期的に以下の事項に関する状況及び対応についての協議を行います。
・前月の収支状況
・運用不動産の稼働状況
・既存テナントの動向
・新規テナント営業活動の状況
・今後必要な修繕工事と実行中の修繕工事の状況
・入居中のテナントからのクレーム
(ⅱ)物件の特徴に合わせた運営管理体制の構築
PM会社に対し、各運用不動産の特徴に合わせた運営管理体制を構築するよう求めることにより、適切な運営管理を実行させます。
(ⅲ)PM会社の評価(モニタリング)
PM会社のPM業務遂行能力(リーシング能力、テナント管理能力、建物管理能力、レポーティング・会計事務能力、分析・提案能力、個人情報管理体制等)及び委託物件の運営実績(稼働率、空室期間、成約賃料水準、管理コスト削減への貢献等)に関しては、継続的なモニタリングを行い、必要な指導を行います。
上記の指導にもかかわらず運営状況に改善が見られない場合は、PM会社の変更も検討します。
C.年度運用計画等の策定及び管理
本投資法人の中長期的な収益の安定とポートフォリオの着実な成長を実現するため、計画的な資産の運用を行うことを目的として、以下に従い、運用資産全体について「中長期基本計画」及び「年度運用計画」を、また各運用不動産について「物件別事業計画」をそれぞれ策定します。
(イ)中長期基本計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について、一定期間(原則として1年)毎に、中長期(原則として3年とします。)を対象とした基本計画を投資委員会の決議により策定します。策定された基本計画の内容は、本投資法人の役員会に報告します。
(ロ)年度運用計画
本投資法人の保有するポートフォリオの運営管理について年度運用計画を策定し、同計画に基づいて適切な運営管理を実施します。
(ⅰ)年度運用計画の構成
年度運用計画は、当該計画の対象となる営業期間開始時点における、ポートフォリオ全体の収支予算及び物件別事業計画により構成します。
(ⅱ)対象期間及び策定時期
年度運用計画は、原則として各営業期間毎に1年分(2営業期間)を対象に策定します。各計画の策定時期は、計画の対象となる各営業期間の開始時までとし、投資委員会の決議(物件別事業計画の部分を除きます。)により決定したうえで、本投資法人の役員会に報告します。
(ハ)物件別事業計画
個別の運用不動産においての適切な運営管理を実施するため、NMF投資責任者の承認により物件別事業計画を策定し、同計画に基づいて、各PM会社と協働して運用不動産の運営管理を行います。
(ニ)年度運用計画の検証
年度運用計画の策定後は、PM会社からの月次報告(PMレポート)に基づき、物件毎及びポートフォリオ全体での検証を行うこととします。
検証の結果、計画と実績に乖離が見られる等、年度運用計画の見直しが必要と判断される場合(本投資法人の当期利益予想からの30%以上の増減及び分配金予想からの5%以上の増減等)には、速やかに修正年度運用計画(期中運用計画)を策定します。また、期中に不動産関連資産の取得・売却を行った場合にも同様とします。
また、検証を踏まえた運用資産の運用状況については、定期的に(3ヵ月に1回以上)本投資法人の役員会へ報告します。
⑨ 財務方針
本投資法人は、中長期の安定収益の確保と運用資産の着実な成長の実現のために、以下に掲げる方針に従い、計画的かつ機動的な財務戦略を策定、実行します。
A.エクイティ・ファイナンス
投資口の新規発行は、既存の投資主の権利の希薄化及びそれに伴う投資口の取引価格の低下等に配慮しつつ、新たに取得する不動産関連資産の取得時期、LTV、有利子負債の返済時期及び返済までの残存期間、経済市況等を総合的に勘案して決定します。
B.デット・ファイナンス
本投資法人の資金の借入れ及び投資法人債(短期投資法人債を含みます。)の発行に際しては、規約第37条の規定を遵守しつつ、資金調達の機動性と財務の安定性のバランスに配慮した資金調達を行います。具体的には短期借入れと長期借入れの比率、調達方法(借入金・投資法人債)、コミットメントラインの設定等を検討します。
また、LTVについては、資金余力の確保に留意した設定とします。なお、規約第37条第3項に従い、借入金及び投資法人債発行の限度額は、それぞれ2兆円とし、かつ、その合計額が2兆円を超えないものとします。
LTVは60%を上限とします(但し、新規投資や資産評価の変動等により、一時的に上限を超えることがあります。)。
長期借入比率(有利子負債残高に占める長期有利子負債残高の割合をいいます。)、固定比率(有利子負債残高に占める固定金利(デリバティブ取引による金利固定化を含みます。)での有利子負債残高の割合をいいます。)、返済期限までの残存期間等を含め、総合的に財務の安定性を確保するものとします。
なお、本書の日付現在、本投資法人は、(ⅰ)金利の固定化、(ⅱ)借入期間の長期化、(ⅲ)返済期日の分散、(ⅳ)無担保・無保証による調達の4点を財務戦略の主軸として位置付け、これらを実践していくことで財務の安定性に配慮した資金調達を実践していく予定です。
⑩ 情報開示方針
本投資法人は、法令・諸規則の要請する内容及び様式に従って、迅速かつ正確な開示を行います。また、情報の透明性及び分かり易さに配慮し、法定開示以外の情報の開示も積極的に実施する方針です。
⑪ 格付の状況
本書の日付現在、本投資法人は以下の長期発行体格付を取得しています。かかる格付は、本投資法人の投資口に付された格付ではありません。なお、本投資口について、本投資法人の依頼により、信用格付業者から提供され、若しくは閲覧に供された信用格付又は信用格付業者から提供され、若しくは閲覧に供される予定の信用格付はありません。
| 信用格付業者 | 格付内容 | 備考 |
| 株式会社日本格付研究所(JCR) | 長期発行体格付:AA- | 格付の見通し:安定的 |