有価証券報告書-第111期(2024/04/01-2025/03/31)
③戦略
気候変動に伴い将来生じる可能性があるリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、マテリアリティにも照らした上で、重要度の評価を行った。
また、このうち炭素税導入と洪水・高潮被害に対して、公的機関の将来予測結果をもとに1.5℃・2℃・4℃上昇を想定したシナリオ分析を行い、当社が100周年を迎える2044年を見据え、2040年時点での財務影響を算定した。
なお、TCFD提言に沿ったリスク・機会の特定及びシナリオ分析を用いた財務影響の算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。
a.気候変動に伴う重要なリスクと機会
当社グループは、建築設備、情報通信設備、電力設備分野における企画から設計、施工、メンテナンス及びその後のリニューアルまで、一貫したエンジニアリングを提供している。
気候変動に伴うリスクについては、1.5℃シナリオ、2℃シナリオの途上に影響が顕著となる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオへ至った場合に影響が顕著となる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」を分析した。
これに基づき当社への影響とその対応策をマテリアリティ(重要課題)にも照らして検討した結果、リスクについては一部未算出であるものの、短期から長期にわたり財務的影響が想定された。シナリオによってその影響は異なるものの、2040年時点で最大で当社単体の2023年度売上の約0.5%と算出した。
機会については化石燃料から非化石燃料へのエネルギー転換、省エネルギー、再生可能エネルギー需要の増加、災害対策など重要な社会課題に直結し、短中期で対応していくことが重要という結論に至った。
これらのことも踏まえ、当社グループは「社会インフラの維持・構築」という使命を果たすとともに、「脱炭素社会への貢献」という課題に対しても、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」のソリューションで応えていく。
「脱炭素社会への移行」と「自然災害の激甚化」に関するリスクと機会を検討するにあたっては、以下のシナリオを採用している。
使用するシナリオ群
b.気候関連リスクの財務影響
重要なリスクのうち、財務的影響が予測可能な炭素税導入と、影響が大きいと考えられる洪水・高潮の発生について、売上及び経常利益へのインパクトを算定した。財務影響は個別に想定したリスクの全てが同時に発生したものとして算定しており、当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。今後も算定の結果を踏まえたアクションプランを実践する一方、算定方法の精緻化と対象範囲の拡大に取り組む。
イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト
ロ.自然災害による被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)
c.気候関連リスクの財務影響・算定方法
イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト
[算定方法]
現在の二酸化炭素排出量×将来の炭素税価格
[使用した炭素税価格の将来シナリオ]
IEA(国際エネルギー機関)が提供するWorld Energy Outlook2024に記載される下記シナリオを採用
・1.5℃上昇:NZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)
・2℃上昇:APS(Announced Pledges Scenario)
(注)財務影響は当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。
ロ.自然災害による追加コスト・被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)
[算定方法]
自然災害による追加コスト・被害額(将来-現在)を計算
追加コスト・被害額は、公的機関が公表するデータを用いて洪水・高潮発生時の各拠点の浸水深(現在と将来)を判定し、浸水被害実績に基づく国の算定方法に準拠して、拠点別にオフィス代替費用、売上減少額、資産毀損額を算定
[使用した浸水深の将来シナリオ]
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する下記シナリオを採用
・洪水:AR5(第5次評価報告書)のRCPシナリオ(2℃、4℃上昇相当)
・高潮:AR6(第6次評価報告書)のSSPシナリオ(1.5℃、2℃、4℃上昇相当)
(注)財務影響は当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。
気候変動に伴い将来生じる可能性があるリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、マテリアリティにも照らした上で、重要度の評価を行った。
また、このうち炭素税導入と洪水・高潮被害に対して、公的機関の将来予測結果をもとに1.5℃・2℃・4℃上昇を想定したシナリオ分析を行い、当社が100周年を迎える2044年を見据え、2040年時点での財務影響を算定した。
なお、TCFD提言に沿ったリスク・機会の特定及びシナリオ分析を用いた財務影響の算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。
a.気候変動に伴う重要なリスクと機会
当社グループは、建築設備、情報通信設備、電力設備分野における企画から設計、施工、メンテナンス及びその後のリニューアルまで、一貫したエンジニアリングを提供している。
気候変動に伴うリスクについては、1.5℃シナリオ、2℃シナリオの途上に影響が顕著となる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオへ至った場合に影響が顕著となる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」を分析した。
これに基づき当社への影響とその対応策をマテリアリティ(重要課題)にも照らして検討した結果、リスクについては一部未算出であるものの、短期から長期にわたり財務的影響が想定された。シナリオによってその影響は異なるものの、2040年時点で最大で当社単体の2023年度売上の約0.5%と算出した。
機会については化石燃料から非化石燃料へのエネルギー転換、省エネルギー、再生可能エネルギー需要の増加、災害対策など重要な社会課題に直結し、短中期で対応していくことが重要という結論に至った。
これらのことも踏まえ、当社グループは「社会インフラの維持・構築」という使命を果たすとともに、「脱炭素社会への貢献」という課題に対しても、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」のソリューションで応えていく。
「脱炭素社会への移行」と「自然災害の激甚化」に関するリスクと機会を検討するにあたっては、以下のシナリオを採用している。
| ・脱炭素社会への移行のシナリオ |
| 国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(NZE)、2℃(APS)相当となるシナリオ |
| ・自然災害の激甚化のシナリオ |
| 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(SSP1-1.9)、2℃(SSP1-2.6、RCP2.6)、4℃(SSP5-8.5、RCP8.5)相当となるシナリオ |
使用するシナリオ群
| 温度上昇帯 (2100年) | IEA WEO | IPCC RCP | IPCC SSP |
| 4℃上昇 | - | RCP8.5 | SSP5-8.5 (化石燃料依存) |
| 2℃上昇 | APS (ネットゼロ宣言国は 全て達成) | RCP2.6 | SSP1-2.6 (持続可能性重視) |
| 1.5℃上昇 | NZE(ネットゼロ達成) | - | SSP1-1.9 (持続可能性重視) |
| 使用する 財務影響算定 | 炭素税導入 | 洪水 | 高潮 |
b.気候関連リスクの財務影響
重要なリスクのうち、財務的影響が予測可能な炭素税導入と、影響が大きいと考えられる洪水・高潮の発生について、売上及び経常利益へのインパクトを算定した。財務影響は個別に想定したリスクの全てが同時に発生したものとして算定しており、当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。今後も算定の結果を踏まえたアクションプランを実践する一方、算定方法の精緻化と対象範囲の拡大に取り組む。
イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト
| 重要なリスク | 財務影響(2040年) |
| 炭素税等の導入 | 1.5℃:売上の約0.1%(経常利益の約1.5%) 2℃ :売上の約0.1%(経常利益の約1.3%) 4℃ :影響なし |
ロ.自然災害による被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)
| 重要なリスク | 財務影響(2040年) |
| 洪水・高潮による 拠点の浸水 | 1.5℃:売上の約0.2%(経常利益の約3.5%) 2℃ :売上の約0.4%(経常利益の約5.8%) 4℃ :売上の約0.4%(経常利益の約5.8%) |
c.気候関連リスクの財務影響・算定方法
イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト
[算定方法]
現在の二酸化炭素排出量×将来の炭素税価格
[使用した炭素税価格の将来シナリオ]
IEA(国際エネルギー機関)が提供するWorld Energy Outlook2024に記載される下記シナリオを採用
・1.5℃上昇:NZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)
・2℃上昇:APS(Announced Pledges Scenario)
| 財務影響 | 2030年(短期) | 2040年 | 2050年(中期) | |||
| 売上 | 経常利益 | 売上 | 経常利益 | 売上 | 経常利益 | |
| 1.5℃上昇 | 約0.1% | 約1.1% | 約0.1% | 約1.5% | 約0.1% | 約1.9% |
| 2℃上昇 | 約0.1% | 約1.0% | 約0.1% | 約1.3% | 約0.1% | 約1.5% |
| 4℃上昇 | - | - | - | |||
(注)財務影響は当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。
ロ.自然災害による追加コスト・被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)
[算定方法]
自然災害による追加コスト・被害額(将来-現在)を計算
追加コスト・被害額は、公的機関が公表するデータを用いて洪水・高潮発生時の各拠点の浸水深(現在と将来)を判定し、浸水被害実績に基づく国の算定方法に準拠して、拠点別にオフィス代替費用、売上減少額、資産毀損額を算定
[使用した浸水深の将来シナリオ]
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する下記シナリオを採用
・洪水:AR5(第5次評価報告書)のRCPシナリオ(2℃、4℃上昇相当)
・高潮:AR6(第6次評価報告書)のSSPシナリオ(1.5℃、2℃、4℃上昇相当)
| 財務影響 | 2030年(短期) | 2040年 | 2100年(長期) | |||
| 売上 | 経常利益 | 売上 | 経常利益 | 売上 | 経常利益 | |
| 1.5℃上昇 (高潮) | 約0.1% | 約1.9% | 約0.2% | 約3.5% | 約0.3% | 約4.5% |
| 2℃上昇 (洪水・高潮) | 約0.3% | 約4.1% | 約0.4% | 約5.8% | 約0.9% | 約12.4% |
| 4℃上昇 (洪水・高潮) | 約0.3% | 約4.5% | 約0.4% | 約5.8% | 約1.1% | 約15.2% |
(注)財務影響は当社単体の2023年度売上・利益に対する割合である。