有価証券報告書-第69期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 9:24
【資料】
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【項目】
151項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、“業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する”を経営理念とし、顧客ニーズに沿った商品開発に注力するとともに、自然環境の保護と社会の発展に貢献すべく企業活動を展開しています。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、これからの厳しい競争時代を勝ち抜くため、着実に業績の伸展を目指し、次のような施策を実践していきます。
① 森林資源を保全する法正林施業(植林、育林、間伐、伐採)を採用したニュージーランドの育林事業により安定した品質と量の原材料確保を図ります。
② 貴重な資源を更に活かす為、高度な木材加工技術の更なる向上を図ります。
③ 木が持つ潜在能力を梃子(てこ)に、新成長市場であるアジア市場や国内のリフォーム、非住宅、商環境市場などで、“勝てる市場×勝てる仕掛け”を創造します。
④ 変化する市場の本質を見極め、魅力ある商品・サービスを提案し、新たなファンを創造します。
⑤ 新たな戦略を全社で迅速に推進する為、国内外の製造ネットワークを更に整備し、効率的な運営とコスト低減を図るとともに、社内の仕組みを再構築します。
⑥ 認証材を活用した国内外のニーズに応えていきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、労働生産性の向上などによる収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組んでいます。また、事業の拡大と安定的な収益を獲得するために、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。
(4) 経営環境
当社グループの経営環境は、構造的な人口減少問題等により市場が縮小していく「量の面での変化」とともに、住宅の高性能化や住宅環境まで視野に入れた「質の面での変化」が同時に起こっており、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、住まい手にとって魅力のある商品や提案を強化するとともに、リフォームや非住宅施設などの新しい市場を開拓していかなければなりません。また、住宅業界における職人不足による住宅品質の低下や工期遅れ、コスト高なども大きな課題となっています。このような環境下で、市場の変化をいち早く察知し、現状を肯定することなく自己変革に努め、常に当社グループ自らが環境の変化に合わせて変わっていくことが必要となっています。AIやIoTといったデジタル技術などを活用し、生産性を向上させることで、新たな付加価値の創造と売上・収益の向上を目指しています。
具体的には、国内においては新築戸建市場に加えてリフォーム、非住宅、商環境市場などの新市場の開拓、また海外においては発展が期待されるアジア圏の市場の開拓を主題とする成長戦略を策定し、当社グループ一丸となってこれらに取り組んでいます。
1990年にニュージーランド北島で森林経営権を取得し、当社グループが培ってきたノウハウによる植林事業を開始してから30年の時が経過しました。毎年、植林面積の拡大を図り、現在では約40,000haの森林について、森を30区画に分けて木の植林―育林―伐採を繰り返す持続可能な森林経営を行っています。手間ひまかけて育ててきたラジアータパインの優良原木がこれから大量に伐期を迎えますが、このことは当社グループが、同業者の追随を許さない品質の高い「無垢材」という強力な武器を大量に獲得することを意味します。大量に出材されるラジアータパインやその他国内外で調達する無垢材をふんだんに使い、価格競争に巻き込まれない高品質で付加価値の高い商品をもって新市場へ進出します。当社グループが永年に亘り築きあげた山林から木材加工までの一貫生産体制を最大限に発揮して商品を開発・生産・販売する仕組みを構築し、独創的に新市場を開拓していきます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新設住宅着工戸数が今後も減少を続ける見通しの中、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、既存市場でこれまで以上の存在感を示し続けるとともに、新しい市場に経営資源を段階的にシフトさせて行くことが課題と考えています。
当社グループは、新しい市場であるリフォーム、非住宅、商環境施設や海外市場に向けて新たな商品を開発し、新たな生産・販売体制、仕掛けで既存の新築市場の動向に左右されない企業を目指します。
国内事業では、製品ユニット単位の商品戦略を軸に商品開発を行うとともに販売・プロモーション、生産などの各機能の強化を図ります。
商品開発に関しては、お客様から選ばれる木質商品として、木材の特性を活かした本物志向の無垢商品や収納商品、職人不足に対応した省施工商品などを開発します。また、ラジアータパインのプルーン材(枝打材)を活用し、メイン商材(ドア・フロア)に続く商品の開発や端材を有効活用した商品の開発を行います。
販売・プロモーション機能に関しては、新たな手法・体制・仕組みで、既存市場に加えて、新市場・成長市場の開拓を目指します。そのためには、人材活用の多様化やITツールの活用等による営業組織力の拡充により、新たな市場への販売体制強化、オンライン型営業による商品訴求力向上・顧客接点強化と、訪問型営業の高効率化を行います。
生産機能に関しては、品質や生産性の向上を目指し、コスト競争力を強化します。また、マスカスタマイゼーションへの対応(一品一様のカスタム品を高度な生産技術で実現)やモノづくりの継承を推進するとともに、情報の一気通貫や自動化(AI・IoT・ロボット)等により部分最適から全体最適を目指します。
また、間接機能に関しては、システム部門では販売・生産などに関わるユーザーが活用しやすいデジタルツールの開発により、属人化した定型業務から、創造的業務へのシフトを推進します。物流部門では運転手不足や待機ロス等の課題により生じる配送リスクへの対応を進めます。管理部門では人事マネジメントシステムの一段の高度化に取り組みます。
海外事業では、ニュージーランド子会社は当社グループ工場向けの生産数量を確保した上で外販の促進を行い、インドネシア子会社はさらなるインドネシア国内市場の開拓と欧米の海外販路開拓を進めていきます。
全世界に影響を与えている新型コロナウイルス感染症の感染拡大という新たな課題への対応として、生産、供給面においては海外子会社を含めたサプライチェーンの一層の強化を、販売面においてはニューノーマル(コロナ禍後の新常態)を見据えた新たな営業プロセスとして従来の「訪問型営業」に「オンライン型営業」を加え、顧客接点の増強や営業生産性の向上を図っています。また、ITツールの整備、活用、定着化を進め、生産性を向上し経費削減に努めながら、テレワークなどにも柔軟に対応していきます。