有価証券報告書-第108期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 12:57
【資料】
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【項目】
158項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に企業理念を改定し、顧客や社会の未来を見据え、化学事業を通じて新しい価値の創造と提供に挑戦し続ける価値創造型企業グループを目指すことを基本方針といたしました。
(2) 経営環境
当社グループを取りまく経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に起因する社会経済活動の停滞により、幅広い産業分野で需要は大幅に減少しましたが、抗菌・抗ウイルス製品への関心の高まりやテレワークの拡大などに伴う半導体向けの需要は、増加しております。
今後の見通しとしては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の有力な対策として一部の国でワクチン接種がはじまりましたが、本ワクチンが世界各国に行き渡り、その効果が発現するまでには今しばらく時間を要すると見込まれます。また、米中覇権争いの激化などが世界経済へ及ぼす影響も懸念されます。わが国においては、政府が打ち出した新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が奏功することで、社会経済活動が活性化すると期待されますが、現時点においては、その時期は不透明と言わざるを得ません。また、化学業界においては、脱炭素社会の実現に向けたスピード感と実効性のある対応もより強く求められており、「新常態」への移行に伴う需要構造の変化に機敏に対応してまいります。
(3) 中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、2020年から2022年までの3年間を対象とする中期経営計画「Stage up for the Future」を策定し、新事業創出と研究開発の機能をより一層強化することにより高付加価値製品事業のさらなる拡大を目指しております。
①中期経営計画の基本方針
(イ)高付加価値製品事業の拡大
高付加価値製品事業の拡大に向けて、成長牽引事業の販売強化と新製品開発に着実に取り組み、2022年に売上高1,630億円を達成する。
(ロ)将来を支える「第4の柱」事業を含む新ビジネスユニットの創出
当社グループのコア技術を起点として、従来の事業領域を超えた新規キーマテリアルやサービスを新たなビジネスユニットとして複数創出する。
(ハ)基盤事業の強靭化
収益基盤を強化するため、基盤事業の計画的投資と継続的合理化を進め、成長が見込めない事業を整理、縮小する。
②重要施策
(イ)新事業創出機能と研究開発機能の強化
新設した新事業企画部による新事業創出機能を加速し、オープンイノベーションや知財戦略強化、マテリアルズインフォマティクス(MI)導入により研究開発の効率化と高度化を推進する。
(ロ)瞬間接着剤等の海外展開推進
北米における事業を再構築するとともに、アジア等の新興国市場へ本格参入する。
(ハ)デジタルトランスフォーメーション(DX)による競争優位性拡大と機能強化
全社情報処理網の一元化と情報の高度利用により、顧客ニーズに応える製品開発と生産革新を推進する。
(ニ)成長戦略の担い手となる人材の確保と育成
人材採用・育成方法を見直し強化し、海外人材の登用、多様化する社会に対応した社内環境の整備などを推進する。
(ホ)サスティナブル経営の推進、ステークホルダーとの共存共栄
新設したサスティナビリティ推進部を中心に、地球環境保全に資する新ビジネス・新製品開発の推進およびステークホルダーとの対話を強化する。
③中期経営計画「Stage up for the Future」数値目標
2022年目標
売上高1,630億円
営業利益170億円
(参考)売上高営業利益率10.4%
利払い前、税引き前、減価償却前利益270億円
(EBITDA)
高付加価値製品比率(売上高比)47%
設備投資額440億円
(2020年から2022年の3年間累計)
海外売上高325億円
(参考)海外売上高比率20%
1株当たり純利益(EPS)106円
総資産経常利益率(ROA)7.0%

(イ)設備投資計画
前中期経営計画に引き続き、高付加価値製品の投資に注力するとともに、基幹化学品事業の設備更新と工場自動化、情報関連の投資を強化し、2020年から2022年までの3年累計で440億円を目標とする。
(ロ)海外展開計画
ポリマー・オリゴマー事業、接着材料事業、高機能無機材料事業を中心に、高付加価値製品事業の積極的な海外展開を推進し、2022年の海外売上高比率20%超を目指す。
(ハ)資本政策
資本効率性の向上、株主還元の強化に向け、次の資本政策を推進する。
・1株当たり純利益(EPS)と総資産経常利益率(ROA)を数値指標とし、収益力と資本効率性の強化・向上を図る。
・配当性向30%以上を目途とした安定配当を継続するとともに、自己株式の取得(2020年から2022年までの3年累計で100億円程度)により、連結総還元性向および1株当たり純利益(EPS)の向上を図る。