臨時報告書

【提出】
2021/07/09 15:30
【資料】
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提出理由

当社は、2021年7月9日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2021年8月17日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.本株式併合の目的
2021年6月12日付プレスリリース「三井化学株式会社及び三井物産株式会社による当社株券に対する公開買付けの結果並びに主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」において公表いたしましたとおり、三井化学株式会社(以下「三井化学」といいます。)及び三井物産株式会社(以下「三井物産」といい、三井化学及び三井物産を総称して「公開買付者ら」といいます。)は、2021年5月17日から2021年6月11日までを買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)とする当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施いたしました。その結果、2021年6月18日の決済開始日をもって、三井化学は当社株式5,738,394株(所有割合(注1):50.00%)、三井物産は当社株式3,976,743株(所有割合:34.65%)をそれぞれ所有するに至りました。
(注1) 「所有割合」は、当社が2021年6月24日に提出した「2021年3月期有価証券報告書」に記載された2021年3月31日現在の発行済株式総数(11,500,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(23,212株)を控除した株式数(11,476,788株)に対する所有株式数の割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。
当社のグループは、本日現在、当社及び当社の子会社2社(当社と併せて、以下「当社グループ」といいます。)で構成され、主に4つの事業(クレゾール誘導品(注2)、ビフェノール(注3)、電子材料(注4)、特殊ビスフェノール(注5))を展開しております。
(注2) 「クレゾール誘導品」は家畜用飼料の添加剤に使用されるビタミンEの原料、電子材料、酸化防止剤等の原料となる化学物質です。
(注3) 「ビフェノール」はパソコン、スマートフォンやデジタル家電等の情報通信機器の電子部品に用いられる液晶ポリマーの原料や、医療、航空機分野等で使用されるポリフェニルスルホンの原料となる化学物質です。
(注4) 当社グループが製造する「電子材料」は半導体、フラットパネルディスプレイ(液晶・有機ELディスプレイ)等の製造過程で使用されています。
(注5) 「特殊ビスフェノール」とは、耐熱性、光学特性を強化するため、特殊ポリカーボネート樹脂(自動車用部品、光学・電子部品用途向け)や特殊エポキシ樹脂(半導体封止材、積層板用途向け)の原料として使用される化学物質です。
公開買付者らは、これまでの当社との資本関係及び取引関係を通じて、今後5G(注6)サービスの本格的開始やCASE(注7)の浸透、AI(注8)やIoT(注9)によるデジタルトランスフォーメーション(注10)の一層の進展等による素材に対する顧客ニーズ、市場ニーズの多様化・高度化が予想される中、ICT(注11)、モビリティ、ヘルスケアに関連する高機能モノマー(注12)領域で様々な高い技術を有している当社は高い成長余力があるものと考えているとのことですが、他方、それと同時に、CASE及び5Gの進展、中国、韓国及び台湾における競合他社との競争激化、或いは競合他社同士の提携関係構築等、目まぐるしく外部環境が変化する中においてもなお、当社が持つ潜在的な成長可能性を引き出し、持続的な成長を描いていくためには、現在及び将来において、当社がその各事業領域において直面している又はするであろう課題に対し、十分かつ迅速な対応策を講じながら対処していくことが必須であるとも認識しているとのことです。具体的には、①当社のクレゾール誘導品、ビフェノール、電子材料、特殊ビスフェノール等の主力事業については、需要は安定的に拡大していくことが見込まれるところ、市場成長に合わせたタイムリーかつ競争力ある生産能力増強のための設備投資、並びにそのための追加的な人材及びノウハウの獲得を、②当社の連結子会社であるHi-Bis GmbH(以下「ハイビス社」といいます。)の自動車用特殊ビスフェノール事業については、世界的な自動車市場の落ち込みによる需要停滞や成長減速への対応を、③当社グループ全体としては、競合他社との競争を勝ち抜くべく製品開発力及び生産技術力の強化を一層加速させ、新たな収益基盤を確立することを、主な課題として捉えているとのことです。
(注6) 「5G」とは、4Gに続く次世代の通信規格のことをいいます。
(注7) 「CASE」とは、Connected(つながる)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared & Service(共有及びサービス)、Electric(電動化)を意味します。
(注8) 「AI」とは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称であり、「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指した」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書)技術をいいます。
(注9) 「IoT」とは、モノのインターネット(Internet of Things)の略称であり、身の回りのものがインターネットにつながる仕組みのことです。
(注10) 「デジタルトランスフォーメーション」とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することをいいます。
(注11) 「ICT」とは、情報通信技術(Information and Communication Technology)の略称です。
(注12) 「モノマー」とは、高分子(ポリマー)を構成する分子量の小さい分子のことです。エチレン等がモノマーに該当します。
これまで公開買付者らの立場としても、当社との個別事業及び製品での連携の可能性を模索してきたとのことですが、当社が公開買付者らそれぞれの持分法適用関連会社に留まる限定的な資本関係の中では、当社に対する経営資源の効率的かつ積極的な投入や、公開買付者らと当社の間での経営資源の相互活用・人材交流等に一定の制約が存在しているとのことです。加えて、上記①乃至③の課題に対する公開買付者らの立場からのサポートが、当社の利益には寄与する場合であっても公開買付者らへの利益貢献が不透明な場合には、公開買付者らとしては、そのようなサポートの実施に対して慎重な検討を実施せざるを得ない状況にあるとのことです。また、当社にとっては、公開買付者らと当社の少数株主の間に利益相反の問題が生じ、公開買付者らと当社の利害を完全に一致させることが困難であることから、上記①乃至③の課題に対応する施策の実行や、当社と公開買付者らの間での取引に際しては、その都度、公開買付者らとしても利益相反回避措置を慎重に検討する必要があり、迅速な意思決定や施策の実行が困難な場面があるとのことです。
このような状況のもと、経営戦略上ICT領域を成長領域と捉える三井化学並びに三井化学の連結子会社127社及び持分法適用会社27社(2021年3月31日現在)(以下「三井化学グループ」といいます。)並びに化学品セグメントの基本戦略において既存事業の成長の一環として高機能モノマー事業の収益力向上を目指す三井物産並びに三井物産の連結子会社280社及び持分法適用関連会社234社(2021年3月31日現在)(以下「三井物産グループ」といいます。)はいずれも、ICT領域及び高機能モノマー事業において高い成長余力があると考えている当社を戦略投資先と位置付けているため、公開買付者らは、当社との間で、上記の公開買付者らと当社が十分に連携をすることができないという課題の解消に向けて2019年8月下旬より断続的に協議を進めてきたとのことです。もっとも、2019年6月28日付で経済産業省より「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が公表されるなど、上場子会社のガバナンス体制の公正性・透明性がより一層要請される中で、親子上場と類似した関係性を持つ公開買付者らと当社に対する経営監視の目も一層厳しくなることが予想されることから、当社の意思決定に際し、公開買付者らと当社の少数株主との間の構造的利益相反関係を解消するための一定の手続を実施することにこれまで以上の時間を要することにより、当社とのさらなる連携が進まないことも想定されたため、公開買付者らは各々、公開買付者らと当社の資本関係の見直しについても課題として認識していたとのことです。そのような中、三井物産は、三井物産グループ内関係会社の企業価値最大化を目的とした取組みにおいて当社に関する協議を重ねる中、2019年10月上旬に三井物産グループより、1987年以降同じ出資割合で当社株式を所有してきた三井化学に対し当社の非公開化の提案を行ったことを契機として、公開買付者らは共同での当社の非公開化に関する具体的な検討を開始したとのことです。なお、三井物産は総合商社であり、単独では、当社のさらなる成長のために必要な研究開発及び生産技術の強化のサポートに限界があると考えており、三井物産単独で当社を非公開化することは検討していないとのことです。また、三井化学は、三井物産の総合商社としての国内外販売ネットワークを当社の運営に不可欠なものと考えており、三井化学単独で当社を非公開化することは検討していないとのことです。当該検討を経て、2020年1月下旬、公開買付者らは、当社の意思決定の迅速化を行い、さらなる経営資源の効率的かつ積極的な投入や相互活用を行うためには、当社の少数株主との間の利益相反を解消することが必要であるとの考えに至るとともに、当社の株主を公開買付者らのみとし、非公開化後の当社に対する三井化学及び三井物産の議決権保有比率をそれぞれ51%及び49%とするための一連の取引(以下「本取引」といいます。)を通じて当社の株主を公開買付者らのみとし、より強固な資本関係を通じた三位一体の経営体制に移行することで、①公開買付者らとしては、三井化学グループの有する有機合成技術や高分子材料の開発能力及び三井物産グループの有する総合力と国内外に広がる世界各地の顧客やパートナーとのネットワークを最大限活用し、人材・情報交流を通じた技術レベルの向上、共同研究開発、原料・資材の共同調達及び物流最適化、並びに販売・マーケティングの強化といった当社に対する一層積極的なサポートが可能となり、②当社にとっても、人材・技術・機能不足等を、上記の公開買付者らからのサポートにより解消できるのみならず、財務状況の悪化や一時的なコスト増による短期的な業績の下振れリスク及びそれらに起因して株価が不安定に推移するリスク等の懸念や当社の少数株主との間の利益相反の可能性を考慮して、当社単独での実施が難しかった設備投資を含む各種施策やM&A等を、積極的に行うことが可能になることから、上記の公開買付者らと当社が十分に連携をすることができないという課題が克服され、当社の企業価値向上、ひいては、三井化学グループ及び三井物産グループの企業価値向上にも資することになるとの認識を持つに至ったとのことです。またその後の協議を経て、公開買付者らは、2020年4月上旬、三井化学が研究開発や生産技術に関する経営資源を積極的に当社に投入することを可能とするため、三井化学の当社への出資比率を51%として三井化学の連結子会社とし、三井物産の当社への出資比率は49%とすることで、当社を非公開化するとの考えに至ったとのことです。なお、公開買付者らは、具体的には、下記(ⅰ)乃至(ⅲ)を含む中長期的な視点に立った施策を立案及び実行することでさらなる当社の企業価値向上が可能になると考えているとのことです。このような施策の実行は当社の中長期的な成長の観点からは必要不可欠であるものの、当社の短期的な利益最大化には必ずしも直結しない先行投資や一時的なコスト増となる取組みを躊躇せず遂行していく必要が生じる可能性があり、また、一時的な収益の悪化による株価下落リスクも否定できないことから、公開買付者らは、かかるリスクを当社の少数株主の皆様に負担させることなく合理的な株式売却の機会を提供することが、当社の少数株主の利益に資すると考えているとのことです。
(ⅰ)既存事業・製品の強化
公開買付者らの顧客ネットワーク、サプライチェーン及び技術基盤を活用し、既存製品の販売先の拡大及び顧客との長期契約の締結、またビフェノールや光学用特殊ビスフェノール等の生産能力増強、ハイビス社の特殊ビスフェノール用途開発等、多面的な角度から既存事業及び製品の強化を行うとのことです。また、当社と三井化学グループがそれぞれ開発に傾注してきたICT領域での事業においては、事業領域は近接していたものの、持分法適用関連会社という限定的な資本関係の中では、少数株主との間で利益相反の問題が生じ得ること、及び経営資源の効率的かつ積極的な投入や相互活用に一定の限界があることから、これまで両社間で協業の可能性は模索してきたものの具体的な連携はほとんど行われていなかったとのことです。そこで、本取引を通じて当社が三井化学の連結子会社となることで、経営資源の積極的な相互活用が可能となり、材料設計の高度化や材料の組み合わせ等により顧客に対する提案機能の拡充が見込まれ、グループとしてより付加価値の高い顧客提案が実現できると考えているとのことです。
(ⅱ)新事業・新製品の創出
当社が創業以来培ってきたICT、モビリティ、ヘルスケアに関連する高機能モノマー領域等における新製品を、素早く高品質に安定生産する独自の技術力をベースに、本取引を通じて当社の株主を公開買付者らのみとすることで、総合化学メーカーである三井化学グループが培ってきた幅広い研究開発や、高分子材料や触媒技術等の生産技術基盤の積極的な活用、また総合商社である三井物産グループのグローバルネットワークを活用したマーケティング、ソリューション提案機能の統合等、それぞれの現在の限定的な資本関係の中では少数株主との間で利益相反の問題が生じ得ることを考慮した結果、困難であったさらなる経営資源の効率的かつ積極的な投入や相互活用が可能となり、製品ラインアップの拡充、新規事業領域への進出が可能であると考えているとのことです。また、公開買付者らが導入を進めるAI、マテリアルズ・インフォマティクス(注13)等の先端技術の導入も行っていくとのことです。具体的には、ICT関連市場でニーズが高まる新規モノマー開発への注力、有機合成、高分子、シミュレーション、マテリアルズ・インフォマティクス技術を活用した共同開発や研究開発支援等も視野に入れているとのことです。
(注13) 「マテリアルズ・インフォマティクス」とは、統計分析などを活用したインフォマティクス(情報学)の手法により、大量のデータから新素材を探索する取組みです。
(ⅲ)人材の育成及び持続的発展の基盤整備
公開買付者らが保有する人材育成プラットフォームやプログラムの共有化、人や技術の交流を通じてグローバルな競争を勝ち抜くための人材育成を継続的に行うとともに、3社連携でESG(注14)等の社会的要請に対応し、持続可能な事業基盤の強化に努めるとのことです。
(注14) 「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)及びガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。
このような認識のもと、公開買付者らは、前述のとおり、2019年10月上旬、本取引についての具体的な検討を開始し、三井化学は、2020年3月上旬、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、2020年4月上旬、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、三井物産は、2020年3月上旬、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所(なお、同事務所は、2021年1月に、名称をアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業に変更しているとのことです。)を、2020年4月上旬、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)を、それぞれ選任の上、公開買付者らは共同して、2020年5月下旬に、当社に対して、本取引に関する提案書を提出したとのことです。
当社は、当該提案を受けて、本取引が当社の主要株主かつ筆頭株主である当社のその他の関係会社による持分法適用関連会社の買収に該当すること、また、公開買付者らが当社の支配株主に準じた地位にあることから、当社における本取引の検討の過程において構造的な利益相反の問題と一般株主との間の情報の非対称性の問題が生じ得ること、当社の取締役9名のうち、公開買付者らの従業員の地位を過去10年以内(当該提案を受けた時点から起算しております。以下同じです。)に有していた者が6名(福山裕二氏、大堀良治氏、春日秀文氏、岡野克也氏、池田宣良氏、稲垣卓也氏)いること、及び当社の監査役4名(当時)のうち、三井化学の従業員の地位を過去10年以内に有していた者が1名(芦田芳徳氏)、三井化学の従業員を現在兼務している者が1名(竹中雅史氏)いることに鑑み(なお、当社の監査役4名(当時)のうち、芦田芳徳氏は、2021年6月24日開催の当社第92期定時株主総会の終結の時をもって当社監査役を任期満了に伴い退任し、本日現在、当社の監査役は3名となっております。)、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程全般に亘ってその公正性を担保するため、以下のとおり、本取引に係る協議・交渉を行う体制を構築いたしました。
当社は、2020年5月31日、公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任いたしました。
その上で、当社は、長島・大野・常松法律事務所から助言を受けつつ、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避することを目的として、2020年6月2日、当社及び公開買付者らから独立した当社社外役員のみで構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置することを、当社取締役会の決議により決定いたしました。本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。なお、当社の監査役4名(当時)のうち、竹中雅史氏は、三井化学の業務執行者を兼任していることから、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記2020年6月2日開催の当社取締役会を含む本取引に係る当社取締役会の審議には参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の検討、本取引に係る公開買付者らとの協議・交渉に参加しておりません。
さらに、当社は、2020年6月9日、公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」といいます。)を選任し、第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼いたしました。
その後、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向等を踏まえ、長島・大野・常松法律事務所及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの助言を受けながら、公開買付者らとの間で複数回に亘る協議・検討を重ねた上で本取引の妥当性について検討してまいりました。なお、以下の協議・検討過程においては、当社は、随時、本特別委員会に対して報告を行い、本特別委員会により事前に確認された対応方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づき、対応を行っております。
まず、2020年5月下旬に公開買付者らより受領した初期的な提案について、長島・大野・常松法律事務所及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの助言を受けながら、提案内容のより具体的な確認・検証をするべく、2020年6月18日、当社及び公開買付者らにて協議を実施し、さらに、2020年6月26日、当社より公開買付者らに対し、質問状を提出いたしました。それらにおける公開買付者らからの回答を踏まえ、当社の企業価値の向上に関する一定の基礎が確認できたことから、当社は、2020年7月10日から、公開買付者らによるデュー・ディリジェンスを受け入れた上で、さらに協議・交渉を継続いたしました。
次に、本取引の目的の合理性に関しては、当社は、本取引によりどのようなシナジーが発現できるかについて具体的な確認・検証をするべく、公開買付者らと複数回協議を実施いたしました。2020年7月28日、当社及び三井化学にて協議を実施し、さらに、2020年8月24日、当社及び公開買付者らにて、再度シナジーに関する協議を実施いたしました。その後も、2020年9月16日及び2020年9月18日、当社及び公開買付者らにて、シナジーに関する協議を実施し、また、2020年9月23日、当社及び公開買付者らにて、当社が2020年9月4日付で公開買付者らに対して提出した、本取引後のガバナンス体制や事業運営体制等に関する事項を含む、本取引に際しての要望書(以下「2020年9月4日付要望書」といいます。)に関する協議を実施いたしました。最終的に、三井物産よりシナジーに関する2020年9月30日付の回答書、及び三井化学よりシナジーに関する2020年10月6日付の回答書をそれぞれ受領いたしました。
また、当社は、1914年の創業以来、日本で最初となる製品を独自技術で数多く創出するなど、パイオニア精神を基本理念としていることから、本取引後も当社による経営の主体性が確保されることが当社の企業価値の向上にとって非常に重要であるとの認識を有しております。そこで、当社は、本取引後も当社による経営の主体性が確保されるか否かについて、改めて確認・検証する必要があると判断し、2020年8月27日に実施された第5回の本特別委員会において、公開買付者らより、本取引の目的の合理性等について説明を受け、かつ、同日以降、上記のシナジーに関する確認・検証と並行し、本取引後も当社による経営の主体性が確保されるか否かについても確認及び公開買付者らとの協議を行っております。具体的には、2020年9月3日、当社及び公開買付者らにて協議を実施し、公開買付者らが考える本取引後の経営方針等について改めて確認した上で、2020年9月4日、当社より公開買付者らに対し、本取引後のガバナンス体制や事業運営体制等に関する事項を含む、2020年9月4日付要望書を提出いたしました。
その後公開買付者らより受領した2020年9月4日付要望書に対する2020年9月30日付の回答書について、2020年10月9日、当社より公開買付者らに対し、追加の要望書(以下「2020年10月9日付要望書」といいます。)を提出いたしました。その後、公開買付者らより、2020年10月9日付要望書に対する2020年10月12日付の回答書を受領し、2020年10月16日、当社より公開買付者らに対し、さらに追加の要望書(以下「2020年10月16日付要望書」といいます。)を提出いたしました。その後、2020年10月26日、公開買付者らより、2020年10月16日付要望書に対する回答書を受領いたしました。
公開買付者らとの上記各協議、及び公開買付者らより受領した上記各回答書の内容を受け、当社は、後述するシナジーの発現が期待できるとともに、本取引後も、当社による経営の主体性が確保されうるものと判断し、これらをもって、本取引の目的の合理性が確認できたことから、下記のとおり、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引の諸条件についても、具体的な協議・検討を開始いたしました。
公開買付者ら及び当社は、2020年10月上旬より本公開買付価格を含む本取引の諸条件についても具体的な協議・検討を開始し、継続的に協議・交渉を行いました。
本公開買付価格については、当社は、2020年10月9日に公開買付者らから本公開買付価格を1株当たり1,550円とする旨の提案を受けた後、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから受けた当社株式の株式価値に係る試算結果の報告内容及び本特別委員会の意見を踏まえた上で、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの助言を受けながら、2020年10月12日に、公開買付者らに対して本公開買付価格が当社の求める水準を満たすものではないとの理由で再検討を要請し、公開買付者らとの間において、本取引の諸条件について協議・交渉を重ね、2020年10月19日に本公開買付価格を1株当たり1,760円とする旨の再提案を受けました。その後、2020年10月23日、当社から本公開買付価格は当社の企業価値を十分に反映した提案ではないとして、再検討を要請し、2020年10月26日、公開買付者らから本公開買付価格を1株当たり1,800円とする旨の再提案を受けましたが、同日、さらに当社から上記と同様の理由で提案内容の再検討を要請いたしました。その結果、公開買付者らから、2020年11月5日に、本公開買付価格を1株当たり1,830円とする旨の提案を受けました。当社は、当該提案について、その妥当性を本特別委員会に確認するほか、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーからさらに意見等を聴取するとともに、2020年11月10日付でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから取得した株式価値算定報告書(以下「本株式価値算定報告書」といいます。)の内容も踏まえて慎重に検討を行い、その結果、当該価格は、市場価格から見れば相当のプレミアムが付されていると評価でき、また、下記で述べるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによるディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の算定結果のレンジの中央値を上回るものである等合理性を有することから、妥当な価格であると判断いたしました。このように、当社は、公開買付者らとの間で、継続的に本公開買付価格の交渉を行ってまいりました。
さらに、当社は、長島・大野・常松法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2020年11月10日付の答申書(以下「2020年11月10日付答申書」といいます。)の提出を受けました。その上で、当社は、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから取得した本株式価値算定報告書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2020年11月10日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
当社グループは主要株主である三井化学グループ及び三井物産グループだけに拘らず、様々な顧客への販売や研究開発での協力関係を築いてきており、顧客第一主義のもと、顧客要望を満たすための研究開発、生産、営業努力を継続し、迅速に目標を達成することで、顧客から信頼を得てまいりました。一方、当社グループを取り巻く経営環境は、当社グループの属するファインケミカル業界に限らず、その周辺市場の動向にも大きく影響を受けることになります。自動車市場においては、EVや自動運転化といった中長期的なトレンドに加え、目先は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うヒトの移動の減退等、成長減速が見られております。また情報関連財市場においては、5GやICT高性能デバイス向け各種材料等のデファクトスタンダード構築競争(注15)が、より一層スピード感を増しており、素材に対する顧客ニーズ、市場ニーズはますます多様化、高度化しております。当社としても、上記のとおり、当社グループを取り巻く市場環境の変化は一段と加速しており、顧客からのニーズが多様化・高度化する中、競合他社に先駆けてスピード感のある成長戦略を実現させ収益化するためには、新製品及び新事業領域の構築、並びに製造体制の拡充が急務であると考えております。これらへの対応として、専門人材の採用、外部機関の活用、オープンイノベーションの拡大を積極化しているところですが、現状の経営規模では、大胆な資源投入に制約があるのも事実であります。
(注15) 「デファクトスタンダード構築競争」とは、5G関連を中心に急速に需要が高まる高速大容量の通信市場において、従来基準材料では要求機能に対応することが難しく、関連各社が同市場における競争優位性を確保するために新たな基準材料としての採用獲得を目指す取組みを指しています。
かかる状況下、これまでどおり顧客第一主義のもとに、様々な顧客への販売や研究開発での協力関係を第一として、その信頼を損なうことなく、かつこれまで以上のスピードで顧客要望を達成していくためには、本取引を通じ以下の経営資源を得ることが重要であるとの考えに至りました。顧客からより評価されることで今後とも持続的な成長を実現していきたいと考えました。本取引を実行することにより、以下の(ⅰ)乃至(ⅲ)のシナジーの発現が期待できると考えました。
(ⅰ)既存事業・製品の強化
公開買付者らの顧客ネットワーク、サプライチェーン及び技術基盤の活用により、既存製品の販売先の拡大及び顧客との長期契約の締結、またビフェノールや光学用特殊ビスフェノール等の生産能力増強、ハイビス社の特殊ビスフェノール用途開発等の可能性が広がり、多面的な角度からの既存事業及び製品の強化ができると考えております。
(ⅱ)新事業・新製品の創出
当社が創業以来培ってきたICT、モビリティ、ヘルスケアに関連する高機能モノマー領域等における新製品を、素早く高品質に安定生産する独自の技術力をベースに、総合化学メーカーである三井化学グループが培ってきた幅広い研究開発や、高分子材料や触媒技術等の生産技術基盤の積極的な活用、また総合商社である三井物産グループのグローバルネットワークを活用したマーケティング、ソリューション提案機能の統合等や、公開買付者らが導入を進めるAI、マテリアルズ・インフォマティクス等の先端技術の導入により、既存事業を含めた新製品の開発、ICT関連市場でニーズが高まる新規モノマーの開発の拡大や加速が可能になると考えております。
(ⅲ)人材の育成及び持続的発展の基盤整備
公開買付者らが保有する人材育成プラットフォームやプログラムの共有化により、人や技術の交流を通じてグローバルな競争を勝ち抜くための人材育成を継続的に行うことが可能となり、また、3社連携によりESG等の社会的要請に対応する持続可能な事業基盤の強化ができると考えております。
上記に加え、公開買付者らの潤沢な経営資源の活用により、当社の増産や事業拡大、事業継続計画視点での製造拠点の拡大や複数化、及びそれらに必要な経営資源の迅速かつ確実な確保など経営規模拡大への効果が期待でき、当社単独では対応が困難な課題を柔軟かつ迅速に解決するとともに、これまでどおり様々な顧客に対するソリューションや新たな価値の提供を通じて、当社の掲げる長期ビジョン「HCI500」を実現できる可能性もより高めることができると考えております。
以上の理由から、2020年11月上旬、当社としては、本公開買付けを含む本取引により、公開買付者らとのさらなる連携強化を図ることが、当社の企業価値向上にとって最適な選択であるとの結論に至りました。
また、本公開買付価格(1,830円)が、(ⅰ)下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定報告書の取得」に記載されているデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回るとともに、類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回るものであること、(ⅱ)公開買付者らが公表した2020年11月11日付「本州化学工業株式会社株券(証券コード4115)に対する公開買付開始予定に関するお知らせ」(以下「公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリース」といいます。)の公表日の前営業日である2020年11月10日の東京証券取引所市場第二部における当社株式の終値1,290円に対して41.86%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)、2020年11月10日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,274円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して43.64%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,281円に対して42.86%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,213円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、近時の本取引と類似の事例におけるプレミアムと比較して遜色のないプレミアムが付されているということができること、(ⅲ)下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、当社と公開買付者らの間で協議・交渉が複数回行われ、より具体的にはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や本特別委員会との協議、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(ⅴ)本特別委員会の要請により、本公開買付けに関する価格提案の有意な引き上げが実現されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、2020年11月11日開催の当社取締役会において、当社の取締役9名全員で審議を行い、その全員一致で、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。なお、上記取締役会には、当社の監査役3名(当時。竹中雅史氏を除きます。)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
当社は、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、2020年11月10日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
当社は、2021年3月上旬、公開買付者らより、2021年5月上旬に日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了した場合には、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を受けたことから、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。その後、当社は、公開買付者らから、日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、その他の本公開買付けの開始の前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を2021年5月10日に受けました。これを受け、当社は、2021年5月11日、当社が設置した本特別委員会に対して、2020年11月10日付答申書の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。本特別委員会は、当社に対して、2020年11月11日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2020年11月11日以後、2021年5月13日までの事情を勘案しても2020年11月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2021年5月13日に、委員全員一致の決議により、当社取締役会に対して、上記意見に変更がない旨の2021年5月13日付の答申書(以下「2021年5月13日付答申書」といいます。)を提出いたしました。
その上で、当社は、本特別委員会から提出された2021年5月13日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況(当社が2021年2月9日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」(以下「当社業績予想修正プレスリリース」といいます。)に記載の内容も含みます。)や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2021年5月14日時点においても、2020年11月11日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。
以上より、当社は、2021年5月14日開催の当社取締役会において、当社の取締役9名全員で審議を行い、その全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。なお、上記取締役会には、当社の監査役3名(当時。竹中雅史氏を除きます。)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
2020年11月11日付及び2021年5月14日付の上記各取締役会の決議の詳細については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者らは、当社株式の全て(但し、公開買付者らが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかったことから、当社は、2021年5月14日付プレスリリース「三井化学株式会社及び三井物産株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「当社2021年5月14日付プレスリリース」といいます。)においてお知らせしていたとおり、公開買付者らからの要請を受け、本日開催の取締役会において本臨時株主総会の招集を決議し、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者らのみとし、当社株式を非公開化するために、本株式併合を実施することといたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者ら以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.本株式併合の割合
当社株式について、1,912,798株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者ら以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その売却により得られた代金を株主の皆様に対して、その端数に応じて交付いたします。当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者らのみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、及び当社株式が2021年9月14日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項が準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当該端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者らに売却することを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様が所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,830円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。
② 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者の氏名又は名称
公開買付者らである三井化学株式会社及び三井物産株式会社
なお、公開買付者らは、売却に係る株式を共同して取得し、共有することを予定しているとのことです。
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
公開買付者らは、端数相当株式の売却に係る代金の支払のための資金を現預金で確保しているとのことです。当社は、公開買付者らが、本株式併合により生じる端数の合計額に相当する当社株式の取得に係る資金を確保できることを、株式会社三井住友銀行による、2021年5月13日付の、三井化学名義の普通預金の残高が69,397,990,425円である旨の預金残高証明書及び三井物産名義の当座預金の残高が5,098,773,230円である旨の預金残高証明書により確認しております。
したがって、公開買付者らによる端数相当株式の売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、本株式併合の効力発生後、2021年9月下旬を目途に会社法第235条第2項が準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を売却することについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2021年10月中旬を目途に当社株式を売却し、その後、当該売却によって得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2021年12月中旬を目途に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。
当社は、スクイーズ・アウト手続として行われる株式併合の事例において株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に一般的に要すると考えられる期間及び当社のために当該売却に係る代金の交付を行う当社の株主名簿管理人との協議結果を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主の皆様への交付が行われるものと判断しております。
なお、当該売却代金は、本株式併合の効力発生日の前日である2021年9月15日時点の当社の最終の株主名簿における各株主の皆様に対し、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付する予定です。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおり、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,830円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
本公開買付価格(1,830円)については、本公開買付価格が、(ⅰ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定報告書の取得」に記載されているデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回るとともに、類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回るものであること、(ⅱ)公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日の前営業日である2020年11月10日の東京証券取引所市場第二部における当社株式の終値1,290円に対して41.86%、2020年11月10日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,274円に対して43.64%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,281円に対して42.86%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,213円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、近時の本取引と類似の事例におけるプレミアムと比較して遜色のないプレミアムが付されているということができること、(ⅲ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、当社と公開買付者らの間で協議・交渉が複数回行われ、より具体的にはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や本特別委員会との協議、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(ⅴ)本特別委員会の要請により、本公開買付けに関する価格提案の有意な引き上げが実現されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2020年11月11日開催の当社取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。
また、当社の取締役会は、2020年11月11日開催の取締役会から2021年5月14日時点までの状況(当社業績予想修正プレスリリースに記載の内容も含みます。)を考慮しても、本公開買付価格の算定に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えており、2021年5月14日開催の当社取締役会において、当社の業況(当社業績予想修正プレスリリースに記載の内容も含みます。)や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、本公開買付けに係る公開買付期間の初日の前営業日である2021年5月14日時点においても、2020年11月11日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断し、改めて本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしております。
以上より、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
本株式併合は、本取引の一環として、本公開買付け後のいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、当社2021年5月14日付プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者ら及び当社は、本公開買付けの段階から本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避する観点から、下記①乃至⑥の措置を実施いたしました。なお、以下の記載のうち、公開買付者らにおいて実施した措置については、公開買付者らから受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定報告書の取得
当社は、公開買付者らから提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、当社及び公開買付者らから独立した第三者算定機関として、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2020年11月10日に本株式価値算定報告書を取得いたしました。なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のほか、本取引の成立を条件とする成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、上記の報酬体系によりデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。また、本特別委員会は、第1回の本特別委員会において、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの独立性に問題がないことを確認した上で、当社の第三者算定機関として承認しております。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、複数の株式価値算定手法の中から、当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所市場第二部に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較的類似する事業を手がける上場会社が複数存在し、類似会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値の算定を行いました。なお、当社は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
当該各手法を用いて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価法 :1,213円~1,290円
類似会社比較法 :1,713円~2,322円
DCF法 :1,654円~2,043円
市場株価法では、算定基準日を2020年11月10日として、東京証券取引所市場第二部における当社株式の基準日終値1,290円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,274円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,281円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,213円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,213円~1,290円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社を選定した上で、事業価値に対するEBITDAの倍率を用いて当社株式の株式価値を算定しております。その際、類似上場会社として、株式会社ADEKA、住友ベークライト株式会社、大阪有機化学工業株式会社、田岡化学工業株式会社、北興化学工業株式会社及び広栄化学株式会社を選定しております。その結果、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,713円~2,322円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した2021年3月期から2024年3月期までの事業計画及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2021年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定しております。その際、9.20%~10.20%の割引率を採用しております。また、継続価値の算定については永久成長率法を採用し、0.70%~1.70%の永久成長率を採用しております。その結果、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,654円~2,043円と算定しております。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーがDCF法で算定の前提とした当社財務予測の具体的な数値は以下のとおりです。なお、当該財務予測においては、対前年度比較において大幅な増減益は見込んでおりません。また、本公開買付けを含む本取引の実行により実現することが期待できるシナジーについては、算定時点において見積もることが困難であったため、当該財務予測には加味しておりません。なお、当該財務予測については、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが当社との間で複数回質疑応答を行う等してその内容を分析及び検討しております。
(単位:百万円)

2021年3月期
(6ヶ月)
2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売上高10,67324,22727,69129,557
営業利益7303,0883,4684,274
EBITDA1,4774,8965,8396,927
フリー・キャッシュ・フロー△757△1,802△1,5623,998

(注1) EBITDAは営業利益に対して減価償却費を加算することで計算し、フリー・キャッシュ・フローは当該EBITDAを基に算出しています。
(注2) デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであること、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を及ぼす可能性のある事実でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による算定時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、2020年11月10日までの上記情報を反映したものであります。なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、当社取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
当社の取締役会は、2020年11月11日開催の取締役会から2021年5月14日時点までの状況(当社業績予想修正プレスリリースに記載の内容も含みます。)を考慮しても、本株式価値算定報告書に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えており、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所から受けた助言も踏まえ、本株式価値算定報告書は引き続き有効であると考えております。
② 公開買付者らにおける独立した第三者算定機関からの株式価値算定報告書の取得
三井化学は、2020年11月上旬の段階で、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関として、三井化学のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。
SMBC日興証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり、採用すべき算定手法を検討の上、当社株式が東京証券取引所市場第二部に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法、将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社の株式価値の算定を行い、三井化学はSMBC日興証券から2020年11月10日付で当社の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(SMBC日興証券)」といいます。)を取得したとのことです。なお、三井化学は、SMBC日興証券から、本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
本株式価値算定書(SMBC日興証券)によると、採用した上記各手法において算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。
市場株価法 :1,213円~1,281円
DCF法 :1,718円~2,082円
市場株価法では、算定基準日を2020年11月10日として、東京証券取引所市場第二部における当社株式の算定基準日までの直近1ヶ月間(2020年10月12日から2020年11月10日まで)の終値の単純平均値(1,274円)、同日までの直近3ヶ月間(2020年8月11日から2020年11月10日まで)の終値の単純平均値(1,281円)及び同日までの直近6ヶ月間(2020年5月11日から2020年11月10日まで)の終値の単純平均値(1,213円)を基に、1株当たりの株式価値の範囲を1,213円から1,281円と分析しているとのことです。
DCF法では、公開買付者らにより確認された当社の2021年3月期から2024年3月期までの事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2021年3月期第3四半期以降に当社が将来創出すると見込まれるキャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の株式価値を分析し、1株当たりの株式価値の範囲を1,718円から2,082円と分析しているとのことです。なお、DCF法の前提とした当社の将来の財務予測について、大幅な増益を見込んでいる事業年度は含まれていないとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、算定時点において具体的に見積もることが困難であったため、当社の事業計画の内容に、本取引による公開買付者らとのシナジー効果を加味していないとのことです。
三井物産は、2020年11月上旬の段階で、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関として、三井物産のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。
野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所市場第二部に上場していることから市場株価平均法、及び将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、三井物産は野村證券から2020年11月10日に当社の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(野村證券)」といいます。)を取得したとのことです。なお、三井物産は、野村證券から、本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
本株式価値算定書(野村證券)によると、各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。
市場株価平均法 :1,213円~1,290円
DCF法 :1,358円~1,979円
市場株価平均法では、2020年11月10日を基準日として、東京証券取引所市場第二部における当社株式の基準日終値1,290円、直近5営業日の終値単純平均値1,284円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,274円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,281円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,213円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,213円から1,290円までと算定しているとのことです。
DCF法では、公開買付者らにより確認された当社の2021年3月期から2024年3月期までの4期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2021年3月期第3四半期以降に当社が創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,358円から1,979円までと算定しているとのことです。なお、DCF法の前提とした当社の将来の財務予測について、大幅な増益を見込んでいる事業年度は含まれていないとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、算定時点において具体的に見積もることが困難であったため、当社の事業計画の内容に、本取引による公開買付者らとのシナジー効果を加味していないとのことです。
公開買付者らは、SMBC日興証券及び野村證券から2020年11月10日にそれぞれ取得した本株式価値算定書(SMBC日興証券)及び本株式価値算定書(野村證券)の算定結果に加え、2020年7月中旬から2020年9月中旬までの期間において、当社に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果、過去の本公開買付けと同種、すなわち発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(非公開化を前提とした持分法適用関連会社又は子会社への公開買付けの事例)において買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアムの実例、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日の前営業日である2020年11月10日までの当社株式の過去6ヶ月間における市場株価の動向、当社取締役会による本公開買付けへの賛同可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等を踏まえ、2020年11月11日付で、本公開買付価格を1株当たり1,830円とすることを決定したとのことです。その後、公開買付者らは、当社の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変更が見られず、当社に対して2021年3月上旬から5月中旬にかけ追加的に実施したデュー・ディリジェンスの結果等を通じ、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断し、2021年5月14日付で、本公開買付価格を変更しないこととしているとのことです。
なお、本公開買付価格である1,830円は、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日の前営業日である2020年11月10日の東京証券取引所市場第二部における当社株式の終値1,290円に対して41.86%のプレミアムを加えた価格、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,274円に対して43.64%のプレミアムを加えた価格、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,281円に対して42.86%のプレミアムを加えた価格、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,213円に対して50.87%のプレミアムを加えた価格とのことです。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、2020年6月2日に開催された取締役会における決議により、本特別委員会を設置いたしましたが、かかる本特別委員会の設置に先立ち、当社は、同年5月下旬に、公開買付者らから、本取引について初期的な提案を受けた直後に、公開買付者らから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築するため、当社の社外取締役かつ独立役員のうち弁護士として豊富な経験や知識等を有する黒河内明子氏に対して、公開買付者らから本取引についての初期的な提案を受けた旨、並びに本取引が構造的な利益相反の問題及び一般株主との間の情報の非対称性の問題が生じ得ることから、上記体制を構築する必要がある旨等を説明いたしました。また、当社は、黒河内明子氏の主導のもと、当時当社の社外取締役かつ独立役員であった望月正芳氏及び当社の社外監査役かつ独立役員である中野敬久氏に対して、当社が公開買付者らから本取引についての初期的な提案を受けた旨、並びに公開買付者らから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築する必要がある旨等を説明いたしました。そして、当社は、本特別委員会を設置すること等の対応について当社の独立役員の3名全員と協議し、また、長島・大野・常松法律事務所の助言を得て、黒河内明子氏(当社社外取締役・独立役員、柏木総合法律事務所代表弁護士)、望月正芳氏(当社社外取締役・独立役員(当時)、公認会計士・税理士望月正芳事務所所長)及び中野敬久氏(当社社外監査役・独立役員、中野公認会計士・税理士事務所所長)の3名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました。
その上で、当社取締役会は、本取引に係る当社の意思決定(当社取締役会による本公開買付けへの賛同及び当社の株主の皆様に対する応募推奨の決定並びに本公開買付け成立後の本株式併合の決定のいずれも含みます。)の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避することを目的として、2020年6月2日、当社及び公開買付者らから独立した当社社外役員である黒河内明子氏(当社社外取締役・独立役員、柏木総合法律事務所代表弁護士)、望月正芳氏(当社社外取締役・独立役員(当時)、公認会計士・税理士望月正芳事務所所長)及び中野敬久氏(当社社外監査役・独立役員、中野公認会計士・税理士事務所所長)の3名で構成される本特別委員会を設置し、本特別委員会に対し、以下の事項(以下「本諮問事項」といいます。)について諮問し、答申書の提出を委嘱いたしました。
(ⅰ)本取引の目的は合理的か(企業価値向上に資するかを含む。)
(ⅱ)当社の少数株主の利益の観点から、本取引の条件(公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されているか
(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされているか
(ⅳ)当社取締役会が最終条件による本取引に係る本公開買付けに賛同すべきか否か、また、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か
(ⅴ)本取引(本公開買付けに関する当社の意見表明を含む。)は当社の少数株主にとって不利益なものでないか
また、当社は、上記取締役会において、当社取締役会における本公開買付けに関する意思決定については、本公開買付けへの賛否及び応募推奨への見解を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重すること、とりわけ本特別委員会が本取引の目的又は取引条件について妥当でないと判断した場合は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(a)本取引の取引条件等の交渉権限、(b)当社が選任したアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)の承認権限、(c)必要に応じ、当社の費用負担において、本特別委員会独自のアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザーその他のアドバイザー)を選任する権限並びに当社のアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)に専門的助言を求める権限、並びに(d)情報取得権限(当社の役職員及び公開買付者らに必要な情報の提供を求める権限)を付与することを決議しております。
なお、本特別委員会の委員のうち、望月正芳氏は、2020年6月24日開催の当社第91期定時株主総会の終結の時をもって当社社外取締役を任期満了により退任したことに伴い、同日、本特別委員会の委員を退任し、代わって、同定時株主総会において新たに当社の社外取締役に選任された壁谷惠嗣氏(当社社外取締役・独立役員、壁谷惠嗣公認会計士事務所所長)が、本特別委員会の委員に就任することを、同日開催の当社取締役会において決議しております。
また、本特別委員会においては、委員の互選により、黒河内明子氏を本特別委員会の委員長に選定しております。本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、社外取締役及び社外監査役としての報酬とは別に、委員会の業務に係る稼働時間に一定の時間単価を乗じた金額の報酬を支払うものとされており、本特別委員会の委員の報酬には、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、2020年6月9日から2020年11月10日までの間に合計18回開催されたほか、必要に応じて委員間で随時協議を行うなどして、本諮問事項についての協議・検討を行いました。
具体的には、まず、第1回の本特別委員会において、当社が選任したリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所及びファイナンシャル・アドバイザーであるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーにつき、いずれもその専門性及び独立性に問題がないことから、それぞれを当社のリーガル・アドバイザー及びファイナンシャル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としてもこれらのアドバイザーから専門的助言を受けることに異議がない旨、並びに本特別委員会が必要と判断した場合には、本特別委員会において、当社の費用負担のもと、弁護士、公認会計士その他のアドバイザーを独自に選任し、その助言を求めることができることを確認しております。また、本特別委員会においては、公開買付者らとの交渉過程への関与方針として、直接の交渉は当社及び当社のファイナンシャル・アドバイザーであるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを窓口として行うものとし、本特別委員会の提案その他意見は、原則として当社又は当社のファイナンシャル・アドバイザーであるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを通じて公開買付者らに伝達することとしつつ、本特別委員会が要望すれば公開買付者らに対し直接質問、協議等することができること、本特別委員会は、公開買付者らとの間の協議の状況等について当社又は当社のファイナンシャル・アドバイザーであるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから適時に報告を受け、本特別委員会は必要に応じて条件交渉についての方針を定め、また、意見を述べることができることとし、本特別委員会は、これらにより、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することができることを確認しております。
その上で、第2回の本特別委員会以降、本特別委員会は、当社から提出された各資料に基づき、当社から、公開買付者らの提案内容、本取引を実施する目的・理由、本取引が当社の企業価値に与える影響、本取引の実行に際し当社より公開買付者らに要望する事項、当社の事業計画(その合理性及び作成経緯を含みます。)、本取引の条件及びその決定プロセス等について説明を受けるとともに、これらに関する質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから、当社の株式価値算定についての説明を受け、これらに関する質疑応答を行うとともに、長島・大野・常松法律事務所から、本取引における公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容その他本取引に関連する事項全般に関する法的助言を受け、これらに関しても質疑応答を行っております。さらに、本特別委員会は、公開買付者らから、本取引を実施する目的・理由、本取引実行後の当社の経営方針、本公開買付価格を含む本取引の諸条件に対する考え方等について説明を受けるとともに、これらに関する質疑応答を行いました。このほか、本特別委員会は、当社及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから、公開買付者らと当社との間の本取引に係る協議・交渉の体制、経緯及び内容等について随時報告を受け、その内容について審議しております。
さらに、本特別委員会は、公開買付者らがいわゆる間接的なマーケット・チェック(注)を想定していることを受け、公開買付期間を法令に定められた最短期間である20営業日としているものの、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日から実際の公開買付け開始までの期間が長期に亘り、公表後比較的長期間が確保されると言えること、及び当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行わないことを踏まえ、本取引における間接的なマーケット・チェックは相応に機能しており、本取引の公正性が阻害されることはない旨を判断いたしました。
(注) 「間接的なマーケット・チェック」とは、経済産業省が公表した2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」において用いられている用語であり、M&Aに関する事実を公表し、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施する対応を指します。
また、2020年10月9日に当社が公開買付者らから本公開買付価格を1株当たり1,550円とする旨の提案を受領して以降、本特別委員会は、当社と公開買付者らとの間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等についての報告を随時受け、その対応方針等を協議してまいりました。そして、2020年10月19日に公開買付者らから本公開買付価格を1株当たり1,760円とする旨の提案を、2020年10月26日に、本公開買付価格を1株当たり1,800円とする旨の提案を受領し、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから受けた近時の本取引と類似の事例におけるプレミアムに関する分析を含む財務的見地からの助言も踏まえて、その内容を審議・検討した上で、公開買付者らに対して、本公開買付価格の引き上げを要請するなど、本特別委員会は、公開買付者らとの交渉過程に関与し、その結果、当社は、2020年11月5日、公開買付者らより、本公開買付価格を1株当たり1,830円とする旨の提案を受けるに至っております。
また、本特別委員会は、2020年11月11日付プレスリリース「三井化学株式会社及び三井物産株式会社による当社株券に対する公開買付けの開始予定に関する意見表明のお知らせ」(以下「当社2020年11月11日付プレスリリース」といいます。)のドラフトについて説明を受け、長島・大野・常松法律事務所の助言を受けつつ、本取引に関する充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
以上の経緯で、本特別委員会は、本諮問事項について慎重に協議・検討を重ねた結果、委員全員一致の決議により、2020年11月10日、当社取締役会に対し、本諮問事項につき大要以下を内容とする2020年11月10日付答申書を提出しております。
(ⅰ)本取引の目的は合理的か(企業価値向上に資するかを含む。)
(a)公開買付者らが説明する本取引の目的、本取引のシナジー及び本取引後の経営方針は、大要、当社2020年11月11日付プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」及び「③ 本公開買付け後の経営方針」に記載のとおりである。他方で、当社が認識する本取引の目的及び本取引のシナジーは、大要、当社2020年11月11日付プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社における意思決定の過程及び理由」に記載のとおりである。
(b)(本取引の目的について)当社及び公開買付者らが有している当社を取り巻く事業環境や当社の経営課題についての現状認識については、当社の現在の事業内容や市場の環境として一般的に説明されている内容や当社から聴取した説明内容・資料の内容に符合し、本特別委員会としても異存はない。本取引の目的は、かかる経営課題に対応するにあたり、持分法適用関連会社という限定的な資本関係においては、少数株主との間の利益相反の問題及び経営資源の効率的かつ積極的な投入や相互活用の制約があったところ、本取引を通じて当社の株主を公開買付者らのみとし、より強固な資本関係を通じた三位一体の経営体制に移行することにより上記問題及び制約を解消し、当社2020年11月11日付プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社における意思決定の過程及び理由」に記載のシナジーを創出することによって、当社の企業価値の向上を図ることにあると認められる。したがって、本取引の目的は合理的である。
(c)(シナジーについて)本取引のシナジーに係る当社及び公開買付者らの説明は、いずれも不合理なものではなく、当社の事業内容及び経営状況を前提とした具体的な内容を述べており、その他本特別委員会において提供された資料並びに当社及び公開買付者らの説明内容に照らして疑問を抱かせる事実は認められないことから、本取引については、当社の既存事業・製品の強化、新事業・新製品の創出、人材の育成及び持続的発展の基盤整備のいずれについても相応のシナジーが見込まれるものと思料する。
(d)(本取引後の経営体制等について)当社の沿革・企業風土に鑑みると、本取引後においても、当社がニッチ分野を含めた顧客に価値ある製品を世に送り出して引き続き社会に貢献するためには、一定の独立性(主体性)を確保するとともに、企業価値の源泉でもある従業員の士気を維持することが重要である。また、本取引後に三井化学及び三井物産による共同事業運営体制となるところ、両社による当社の事業運営が円滑かつ迅速に、かつ一貫性・継続性をもって実施される体制が確保されることが肝要である。このため、本特別委員会は、独立性・従業員の士気の維持、円滑・迅速かつ一貫性・継続性をもった事業運営の観点に加えて、非公開化による役職員への士気への影響、取引先の秘密保持の確保及び三井系列に組み込まれることによる取引先等の反応並びにシステム関係についての懸念事項を検証したが、事業運営の観点からは合理的な方策が講じられており、当社による事業運営の一定程度の自由度が確保されたと判断したほか、その他のいずれの点についても、顕著又は致命的なデメリットにはならないと判断した。
以上からすると、本取引は企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は合理的である。
(ⅱ)当社の少数株主の利益の観点から、本取引の条件(公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されているか
(a)(価値算定の前提について)第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式の1株当たりの株式価値の算定手法は、一般的な算定手法であり、また、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法をそれぞれ採用した理由についても、不合理な点は見当たらない。また、当該各算定手法に基づく算定結果は、経験豊富な第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーにより算定されたものであることを考慮すれば、当社株式の1株当たりの株式価値の算定結果に不合理な点は見受けられない。さらに、上記算定手法及びその結果の前提となる財務予測や前提条件等についても、いずれも不合理な点は認められない。
(b)(本公開買付価格の妥当性)本公開買付価格(当社株式1株につき、1,830円)は、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回るとともに、類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回るものである。また、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日の前営業日である2020年11月10日の東京証券取引所市場第二部における当社株式の終値1,290円に対して41.86%、2020年11月10日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,274円に対して43.64%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,281円に対して42.86%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,213円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、近時の本取引と類似の事例におけるプレミアムと比較して遜色のないプレミアムが付されているということができる。さらに、本公開買付価格は、当社と公開買付者らとの間の再三に亘る協議・交渉の結果として提案された価格であり、公開買付者らの当初提案額(当社株式1株につき、1,550円)から大幅に増額されたものであり、真摯な交渉によって決定された価格であると評価できる。また、本公開買付価格は、2020年9月期の1株当たり簿価純資産である1,782円を超えている金額でもある。以上から、本公開買付価格は妥当であると認められる。
(c)(本公開買付価格以外の条件の妥当性)公開買付者らは、いわゆる間接的なマーケット・チェックを想定しており、公開買付期間は、法令に定められた最短期間である20営業日とされる予定であるが、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日から本公開買付けの開始までの期間が長期に亘るため、一般株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者ら以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されている。また、公開買付者らと当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っていない。したがって、本取引における間接的なマーケット・チェックは相応に機能しており、本取引の公正性が阻害されることはない。また、公開買付者らは、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」の下限を設定しない予定であるが、公開買付者ら及び当社において下記(ⅲ)に記載のとおりの措置を講じていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされている。さらに、本取引において、第二段階目のスクイーズ・アウト手続は本公開買付けの決済完了後速やかに行われる予定であり、また、同手続として行われる本株式併合において本公開買付けに応募しなかった当社の各株主に対して交付される対価は、本公開買付価格と同一価格となる予定であり、その旨が公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースにおいて明らかにされる予定である。したがって、当社の少数株主に強圧性が生じないよう配慮がなされている。
以上からすると、当社の少数株主の利益の観点から、本取引の条件(公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されている。
(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされているか
(a)(独立した特別委員会の設置)本特別委員会は、2020年5月22日に公開買付者らから本取引について提案を受けた後、速やかに(2020年6月2日に)設置された。本特別委員会の構成、権限、報酬、アドバイザーの体制、公開買付者らとの取引条件の交渉過程への関与、当社取締役会における本特別委員会の判断の取扱いは、本「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおりである。
(b)(社内検討体制)当社は、当社の取締役7名(本特別委員会の委員である黒河内明子及び壁谷惠嗣を除く。)、監査役2名(本特別委員会の委員である中野敬久及び三井化学の業務執行者を兼任している竹中雅史氏を除く。)及び担当者8名で構成されるプロジェクトチームが、本特別委員会及び各アドバイザーから助言・意見等を得ながら、本取引の検討・交渉を行っており、下記「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおり、2020年11月10日時点において、当社と利益が相反し、又は利益が相反するおそれがある事情はない。なお、当社の監査役のうち、竹中雅史氏は、三井化学の業務執行者を兼任していることから、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、本取引に係る当社取締役会の審議には参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の検討、本取引に係る公開買付者らとの協議・交渉に参加していない。また、上記担当者8名の中には、公開買付者らからの出向者が含まれているが、当社における本取引の検討のためには必要不可欠であり、また、あくまで当社側の人員として本取引に関連する業務に従事しており、公開買付者らに対しその業務に関する情報が伝達されることもない旨当社から説明を受けており、その説明に不合理な点は認められない。
(c)(リーガル・アドバイザーからの助言の取得)当社は、下記「④ 当社における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、当社及び公開買付者らからの独立性及び専門性を有するリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同法律事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けている。
(d)(第三者評価機関からの株式価値算定報告書の取得)当社は、上記「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定報告書の取得」に記載のとおり、当社及び公開買付者らからの独立性及び専門性を有するファイナンシャル・アドバイザーとしてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを選任し、第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2020年11月10日に本株式価値算定報告書を取得している。
(e)(他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定)上記「(ⅱ)当社の少数株主の利益の観点から、本取引の条件(公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されているか」(c)に記載のとおり、一般株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者ら以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されており、また、公開買付者らと当社は、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っていない。したがって、本取引における間接的なマーケット・チェックは相応に機能しており、本取引の公正性が阻害されることはない。また、公開買付者らは、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」の下限を設定しない予定であるが、公開買付者ら及び当社において本項の措置を講じていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされている。
(f)(一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上)本特別委員会は、当社2020年11月11日付プレスリリース及び公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースについて説明を受け、長島・大野・常松法律事務所の助言を受けつつ、本取引に関する充実した情報開示がなされる予定であることを確認している。
(g)(強圧性の排除)当社2020年11月11日付プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けの成立後、公開買付者らは、本株式併合を行うことを予定しているが、これは本公開買付けの決済完了後速やかに行われる予定であり、本株式併合に反対する当社の株主は、当社に対し、自己の所有する当社株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求し、裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができることになる予定である。また、本株式併合において本公開買付けに応募しなかった当社の各株主に対して交付される対価は、本公開買付価格と同一価格となる予定であり、その旨が公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースにおいて明らかにされる予定である。
以上からすると、本取引において、公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされている。
(ⅳ)当社取締役会が最終条件による本取引に係る本公開買付けに賛同すべきか否か、また、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か
上記(ⅰ)乃至(ⅲ)の判断を踏まえると、当社取締役会が最終条件による本取引に係る本公開買付けに賛同意見を表明すること、また、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議することは妥当であると考える。
(ⅴ)本取引(本公開買付けに関する当社の意見表明を含む。)は当社の少数株主にとって不利益なものでないか
上記(ⅰ)乃至(ⅲ)の判断を踏まえると、本取引(上記(ⅳ)の当社取締役会が最終条件による本取引に係る本公開買付けに賛同意見を表明すること、また、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議することを含む。)は当社の少数株主にとって不利益ではない。
当社は、2021年3月上旬、公開買付者らより、2021年5月上旬に日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了した場合には、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を受けたことから、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始し、本特別委員会に対してもその旨を連絡いたしました。これを受け、本特別委員会は、2021年3月中旬から、2020年11月10日付答申書の内容に変更がないか否かの検討に関し、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所の助言を受けつつ、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かなどについて、当社に確認するなどして情報収集し、検討の準備を進めました。
その後、当社は、公開買付者らから、日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、その他の本公開買付けの開始の前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を2021年5月10日に受けました。これを受け、当社は、2021年5月11日、当社が設置した本特別委員会に対して、2020年11月10日付答申書の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。
本特別委員会は、2021年5月11日に上記諮問がされたことを受け、改めて、当社に対して、2020年11月11日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2020年11月11日以後、2021年5月13日までの事情(当社業績予想修正プレスリリースに記載の内容も含みます。)を勘案しても2020年11月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2021年5月13日に、委員全員一致の決議により、当社取締役会に対して、上記意見に変更がない旨の2021年5月13日付答申書を提出いたしました。
④ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程における公正性及び適正性を確保するために、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同法律事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
なお、長島・大野・常松法律事務所は、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。長島・大野・常松法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の本特別委員会において、長島・大野・常松法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、長島・大野・常松法律事務所から得た法的助言、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーより取得した本株式価値算定報告書を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)から提出を受けた2020年11月10日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に検討を行いました。
その結果、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2020年11月11日開催の当社取締役会において、当社の取締役9名全員で審議を行い、その全員一致で、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。なお、上記取締役会には、当社の監査役3名(当時。竹中雅史氏を除きます。)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
また、当社は、2021年3月上旬、公開買付者らより、2021年5月上旬に日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了した場合には、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を受けたことから、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。その後、当社は、公開買付者らから、日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、その他の本公開買付けの開始の前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2021年5月17日より開始することを予定している旨の連絡を2021年5月10日に受けました。これに対して、当社は、2021年5月14日開催の当社取締役会において、当社の取締役9名全員で審議を行い、本特別委員会から提出された2021年5月13日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況(当社業績予想修正プレスリリースに記載の内容も含みます。)や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2021年5月14日時点においても、2020年11月11日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断し、当社の取締役9名の全員一致で、改めて本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。上記取締役会には当社の監査役3名(当時。竹中雅史氏を除きます。)が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことにつき異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役9名のうち、公開買付者らの従業員の地位を過去10年以内に有していた者が6名(福山裕二氏、大堀良治氏、春日秀文氏、岡野克也氏、池田宣良氏、稲垣卓也氏)、及び当社の監査役3名(当時。竹中雅史氏を除きます。)のうち、三井化学の従業員の地位を過去10年以内に有していた者が1名(芦田芳徳氏)おりますが、いずれの者に関しても公開買付者らの役職員を兼務している状況ではなく、当社に転籍してから相当期間が経過しており当社の役員として公開買付者らから指示等を受けるような立場及び関係性にもないことから、2020年11月11日時点及び2021年5月14日時点において、当社又は当社の少数株主と利益が相反し、又は利益が相反するおそれがある事情はございません。また、この点については、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の(ⅲ)(b)に記載のとおり、本特別委員会の確認を得ており、さらに、この点に関し、2020年11月10日付答申書の意見に変更がない旨の2021年5月13日付答申書の提出を受けております。
また、当社の社外監査役である竹中雅史氏は、三井化学の業務執行者を現在兼務していることから、上記各取締役会の審議には一切参加しておらず、上記各取締役会の決議に対して意見を述べることを差し控えております。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者らは、公開買付者ら2020年11月11日付プレスリリースの公表日から本公開買付けの開始までの期間が長期に亘るため、当社の一般株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者ら以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されているものと考えているとのことです。
また、公開買付者らと当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っておりません。
このように、上記公開買付けの開始までの期間と併せ、対抗的な買付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2021年9月16日(木)(予定)
以上