有価証券報告書-第21期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 12:57
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有報資料


当社グループでは、組織の目的・目標の達成を阻害する可能性を有し、かつ事前に想定し得る要因をリスクとして特定し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行うとともに、リスクが顕在化した際の人・社会・企業への影響を最小限に留めるべく、リスクマネジメントを推進しております。具体的には、潜在するリスクへの適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、事業に影響を与えかねない災害等が万が一起こった場合においても事業の継続を可能とするためのBCPや、想定以上のリスクが顕在化した際の損失を最小とするクライシスマネジメント体制を整えております。
(1) リスクマネジメント
当社グループのリスクマネジメント体制においては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントが当社グループ全体のリスクマネジメントを統括し、定期的な経営報告など年次サイクルでのリスクマネジメント体制を運営しております。
リスクオーナーは、各ユニット長及び機能長が担い、自組織の目的・目標の達成に向け、リスクの特定・評価から対応策の策定・実行まで、自律的かつ主体的にリスクマネジメントを推進する役割を担います。また、組織内における関連情報の提供や教育・啓発活動を通じたリスク意識の向上についても、その役割の一つとして位置づけられております。さらに、ユニット長及び機能長のリスクマネジメント活動の実務を補佐する役割として、ユニット及び機能内でリスクコーディネーターを選任します。リスクコーディネーターは、自組織のリスクマネジメント活動を推進し、グローバル コンプライアンス・リスクマネジメント(事務局)や他のユニット及び機能のリスクコーディネーターと連携してリスクマネジメントを実施します。
リスクマネジメント事務局では、各ユニットから抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを確認・調整し、企業経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、経営会議及び取締役会において重大リスクとして特定いたします。なお、リスクに関する経営会議の広範な意思決定を補完するため、当社グループのリスクについて集中的な議論を行う会議体として「リスクマネジメントコミッティ(以下「RMC」)」を設立しております(下図「当社グループにおけるリスクレベル分類の概念図」「リスクマネジメント体制図」参照)。経営会議等にて選定された重大リスクにはリスクオーナーが任命されており、関係組織と連携の上、リスク対応策を実行しております。その進捗状況は、年2回のリスクモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善がなされます。重大リスク顕在化の予兆が確認された際は、速やかにCEO及びヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントに情報が報告され、適切な対応を図る体制としております。
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(2) 事業継続計画(BCP)
当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処すべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても社会からの要請に応えるために医薬品等の安定供給及び品質確保を可能とする体制、並びに研究開発の継続性を確保できる体制を構築しております。当社グループでは、クライシスの多様化とビジネスのグローバル化に対応すべく、脅威が顕在化した際に対応できるよう、訓練や対応結果等を踏まえ、BCPの見直しを継続的に実施しております。また、優先して供給する品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等について速やかな供給の実現を目指し、定期的に見直しを行っております。
当社グループでは、新型インフルエンザウイルスの世界的な大流行(パンデミック)に備え、従業員及びその家族の安全を確保し、医薬品の供給を継続することを目的とした「新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定しております。また、当社は、新型インフルエンザ等対策特別措置法において指定公共機関に指定されており、国や地方の行政機関が行う対策に協力する責務があります。医薬品の供給継続により、医療体制の維持に貢献することで、社会的責任を果たして参ります。
(3) クライシスマネジメント
当社グループのDaiichi Sankyo Group Crisis and Business Continuity Management Policyでは、人・社会・企業に実際又は潜在的な影響を及ぼし、日常的な事業管理能力を超え、緊急の対応を必要とする事象又は発生しつつある状況を「クライシス」と定義しており、その発生による損失の最小化を図ることを目的に、クライシスマネジメントに関わる基本的事項を定めております。基本方針として、「クライシス発生時は、『第一三共グループの社員及び関係者の生命や地域社会の安全を確保する』『生命関連企業の一員としての責任を全うする』ことを基本に、迅速かつ確実にクライシスマネジメントを展開し、人・社会・企業への影響を最小限に止め、事業の継続や早期復旧を図るべく努力する」ことを定めております。
当社グループでは、クライシスの種類(災害・事故、事件<テロを含む>・不祥事・法令違反、情報管理に関する問題、製品に関する問題)やクライシスの影響度合いに応じて、機動的な対応を可能とする体制を構築しております(下図「クライシス発生時の初期対応」参照)。報告基準や報告ルートを明確に定め、クライシスマネジメント責任者(CEO又はCEOが指名した者)、クライシス初期対応責任者(ヘッド オブ グローバル リスクマネジメント)を設置し、グローバルに影響が大きく、全社対応の必要性があるクライシスについては、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントとも当該情報を共有し、迅速かつ的確な初期対応により、事態の拡大防止と早期収束に努めて参ります。また、クライシス収束後は、事後分析により、再発の防止や対応の改善を図って参ります。
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(4) 重大リスクとして認識している事項
重大リスク(Material risk;全社レベルで管理するリスク)はRMCにおいて議論され、経営会議にて承認されます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであり、既知もしくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果とは乖離する可能性があります。
①-1 研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク
・リスク
新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて開発計画の変更により、設備投資が過剰となり投資額を回収できない、あるいは過剰在庫が発生し廃棄費用が生じる可能性があります。
当社は、重点領域であるがん領域において、アストラゼネカ社及び米国メルク社とそれぞれ戦略的提携を締結しております。研究活動の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。当該品目について、研究開発・承認申請・上市の遅延、期待した有効性・安全性が得られない、あるいは販売計画からの進捗遅延等が生じた場合、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社ではアストラゼネカ社及び米国メルク社との戦略的提携を統合的にガバナンスする仕組みとして各種の共同委員会を設置し、ビジョンと戦略の策定、提携事業の損益管理、設備投資面や開発面及び営業面での投資判断、業績と主要マイルストーン管理、グローバルな上市準備等を推進しております。また、当局との継続的なコミュニケーションを通じた薬事リスクの管理・低減にも努めております。

①-2 外部環境変化(競争環境変化含む)及び計画の変動に関するリスク
・リスク
近年当社グループが注力しているバイオ医薬品市場、特にADC製品(抗体薬物複合体)等の領域においては、競合他社による新薬の上市、既存治療薬の適応拡大、あるいは次世代技術の台頭など、他社との激しい競争環境にあります。また、各国の医療財政の逼迫に伴う薬価抑制策の導入や、治療ガイドラインの更新といった市場環境の変化が、製品需要に大きな影響を与える可能性があります。
当社は、ADC製品の製造に関し製品の安定供給を確保する目的で、複数の製造委託先(CMO)との間で長期にわたる製造委託契約を締結しており、これらの契約には年別の最低購入義務が含まれております。当社の製品需要は、開発・販売戦略、競合製品の販売動向、臨床試験の結果、規制当局の判断、市場環境の変化等の影響を受ける可能性があり、これらの要因により需要予測及び供給計画が当初の想定から変動する場合があります。これに伴い、CMOとの契約に基づく最低購入義務を充足できない場合には、当社はCMOに対して補償金の支払いの必要が生じる可能性があります。また、当該契約は長期にわたることから、将来において同様の差異が生じる可能性があり、その結果、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、外部環境の変化及び開発計画の変動が事業に与える影響を適切に把握・管理するため、競合の開発・上市等の動向、治療ガイドラインの更新、規制当局の審査状況等を含む市場環境変化について継続的なモニタリングを行うとともに、自社パイプラインの開発進捗状況を定期的に評価し需要予測の精度向上及びフレキシブルな生産体制の整備に努めて参ります。CMOとの製造委託契約に係る最低購入義務に伴うリスクについては、上記を踏まえた需要見通しと契約条件との乖離の状況を継続的に把握し、将来の影響に関する見積りの更新を行います。さらに、当該リスクの低減に向けて、CMOとの契約条件の見直しに関する協議や、生産体制の最適化を行うことにより、経済的影響の抑制に努めております。これらの情報を適宜経営層へ報告するとともに、事業計画及び供給計画への影響を適時に評価し、必要に応じて計画の見直しを行います。

② 医薬品の品質問題や副作用に関するリスク
・リスク
医薬品等は医薬品医療機器等法を含む国内外の法規制等の下で製造・販売されております。当社グループはそれら法規制に基づき適切な品質管理体制の推進に努めておりますが、生産、供給過程等に起因する品質問題や、販売後に予期せぬ副作用の発現が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合、患者さんへの影響に加え、製品回収、販売中止、業務停止等の措置、並びに訴訟・損害賠償等、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
品質については、安全で高品質の製品を患者さんにお届けし、安心して使用いただくため、GMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及びGDP(Good Distribution Practice: 輸送・保管における医薬品の品質を確保することを目的とした基準)に適合する管理体制の強化並びに原材料の調達・保管から医薬品等の製造・流通に至るまで、一貫した品質保証に取り組んでおります。また、グループ会社の事業所及びビジネスパートナーに対して定期的に監査を実施し、適切な品質マネジメント体制の維持・向上及びリスク低減に努めております。
安全性については、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を医療現場へ情報提供することで、医薬品等の適正使用の推進に取り組んでおります。さらに、全従業員を対象とした安全管理情報についての研修を毎年実施し、安全管理を徹底することで、患者さんの安全性リスクの最小化に努めております。

③ 海外における事業展開に関するリスク
・リスク
当社グループは、医薬品の開発、製造、販売等の分野で、グローバルで事業を展開しており、各地域においては、当該地域における政治不安や経済情勢の悪化等の地政学的な要因、当該地域の法規制に抵触するリスク、行政指導を受けるリスク、現地の労使関係等に関するリスクが存在します。また、米国における関税政策をはじめとした世界の通商政策の動向が、当社グループのサプライチェーンや製造・調達コストに影響を及ぼし、当社グループの収益性や競争力に悪影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、海外子会社に対してリスク管理に関連する窓口担当者を任命しており、定期的に情報収集・情報交換を実施しております。また、各地で問題が発生した場合には、この窓口担当者をハブとする現地子会社との連携により、迅速な課題解決を行っております。米国の関税政策をはじめとした世界の通商政策に係るリスクに対しては、適時の情報収集により事業への影響可能性の把握に努めるとともに、日米欧等の業界団体等を通じた政府への要望や、サプライチェーン体制の柔軟な見直しについても検討して参ります。

④ 製造・仕入れに関するリスク
・リスク
地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の一部は当社独自の技術により製造しており、それら製品及び原材料の一部は特定の取引先に供給を依存しております。このため、当社グループの工場又は製造委託先における品質問題の発生により、医薬品等/治験薬供給の遅延又は停止のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループのBCPは、事業継続へ影響を及ぼす様々な脅威に対処すべくオールハザード型BCPとして整備し、有事においても医療体制維持のための医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。
当社グループは、行政の防災計画改定や社会的要請の変化に対応して、優先供給品目に関わる業務・組織体制を見直す等、脅威が顕在化した際により適切に対応できるよう継続的なBCPの改善を図っております。また、優先供給品目については、製薬企業としての社会的責任の大きな製品や、事業継続のために重要な製品等の速やかな供給を実現すべく、定期的に見直しを行っております。
特に医薬品の安定供給においては、生産・物流拠点の分散や主要原材料の複数購買の実施といったバックアップ体制を構築するとともに、自家発電装置の設置等、電力供給が停止した際の影響を最小限に抑える施策等にも取り組んでおります。また、主要システムの二重化等、IT基盤の強化も行っております。

⑤ 環境、安全に関するリスク
・リスク
医薬品の研究、製造の過程等で使用される化学物質の中には、人の健康や生態系に悪影響を与える物質も含まれております。当社グループでは化学物質を用いた実験、製造、保管等に万全を期するとともに、安全衛生の確保に努めておりますが、万一、社内外の人への曝露、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等の深刻な問題や、安全衛生上の重大な事故・災害等が発生した場合には、事業活動の継続、経営成績及び財政状態、レピュテーション等に悪影響を与える可能性があります。また、気候変動に伴う異常気象の激甚化や水ストレスの深刻化等により、医薬品のサプライチェーン寸断や主要生産拠点における水不足に伴う一時操業停止等のリスクが顕在化した場合には、医薬品の安定供給、経営成績及び財政状態等に悪影響を与える可能性があります。
・対応
当社グループでは、人体への有害な影響、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等を防止するとともに、安全衛生上のリスク低減を図るため、化学物質の適切な管理及び安全な事業運営に努めております。また、国内外の工場で労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の取得を進め(国内の全工場では取得済)、安全衛生管理体制の強化を図っております。また、環境、安全衛生を含むサステナビリティ関連リスクを全社的なリスク管理の枠組みに統合し、環境・安全衛生に関する戦略や方針を議論するサステナビリティコミッティを経て、経営会議及び取締役会に報告する体制を整備しております。気候変動に伴うリスクについては、シナリオ分析に基づき、重要製品の安全在庫基準の見直し、主要原材料の複数購買の実施、生産拠点の分散、代替生産・代替物流への切替体制の整備等を進めております。加えて、水不足に伴う操業停止リスクに対しては、全製造拠点のリスクアセスメントを実施し、優先対策拠点の特定のうえ、節水設備、水管理システム及び排水再利用システムの導入等を進めております。さらに、水災リスクに対しては、防水壁・排水ポンプの整備、水災マニュアルの策定及び訓練の実施等によりBCPの強化を図るとともに、第6期中期EHS経営方針に基づき、省エネルギー・省資源、温室効果ガス及び廃棄物の削減等を通じて、サプライチェーン全体の環境負荷低減を推進しております。

⑥ 知的財産権に関するリスク
・リスク
当社グループの事業活動が他者の特許権その他の知的財産権に抵触するとして第三者から指摘を受けた場合には、事業の断念や係争の可能性があります。一方、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する場合には、その保護のため訴訟提起等をすることがあります。それらの動向は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼすことがあります。ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大、及びジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります。
・対応
当社グループでは、知的財産の創造と保護によってその価値の最大化とリスクの最小化を図っております。また、知的財産係争が発生したときには、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。
2025年12月、Seagen Inc.がテキサス州東部地区連邦地方裁判所(以下「テキサス地裁」)で当社に対して提起した米国特許に基づく特許権侵害訴訟の控訴審において、米国連邦巡回区控訴裁判所は、当該米国特許は無効であるとしてテキサス地裁の一審判決(注1)を取り消す判決を下しました。
上記控訴審判決で当該米国特許は無効であると判断されたことに伴い、当社が米国特許商標庁に請求した当該特許に対する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」)の控訴審において、米国連邦巡回区控訴裁判所は、PGR決定(注2)に対するSeagen Inc.の控訴を棄却する判決を下しました。
上記の両控訴審判決に対して、Seagen Inc.が期限の2026年3月2日までに不服申立て手続きを行わなかったため、Seagen Inc.との特許係争は終結しました。

(注)1.当社に特許侵害に基づく損害賠償及びENHERTU®の米国売上に対するロイヤルティの支払いを命じた判決
2.当該米国特許は無効であるとする決定
⑦ 訴訟に関するリスク
・リスク
当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、法令、契約、紛争防止・紛争解決等の観点からリーガルリスクの最小化とビジネス機会の最大化に努めております。

⑧ 法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク
・リスク
国内医療用医薬品は、薬事行政の下、種々の規制を受けております。薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、医薬品として各種の規制を受けており、行政施策の動向による悪影響を受ける可能性があります。例えば、米国における最恵国待遇薬価政策の導入、これと関連する薬価抑制を目的とした政策動向(インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、以下「IRA」)の運用見直しを含む。)、ADC製品を含む米国における販売や収益性に重大な影響を与える可能性があります。
・対応
当社グループでは、薬価制度改革並びに流通改善ガイドラインを踏まえた仕切価格・割戻改定を実施しております。また、適切な販売条件を設定・実行し、新薬創出加算品、重点品を中心に売上を拡大するよう努めております。なお、薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、対応策を検討する体制としております。米国における最恵国待遇薬価政策の導入をはじめとした政策動向に対しては、適時の情報収集により事業への影響可能性の把握に努めるとともに、日米欧等の業界団体等を通じた政府への要望も検討して参ります。

⑨ 法令違反等に関するリスク
・リスク
当社グループは、グループ企業行動憲章及びグループ個人行動規範のもとに、コンプライアンス行動基準等を制定しているほか、グローバル エシックス&コンプライアンス コミッティやホットラインの設置等、コンプライアンス体制を構築し、販売情報提供活動ガイドライン等、事業活動に関連する法規制が遵守されるよう徹底しておりますが、役員及び従業員の個人的な不正行為等を含め重大な法令違反が発生した場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、毎年、CEOのコンプライアンスメッセージを全社に発信し、コンプライアンス風土醸成を図るとともに、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクマネジメントがチーフ・コンプライアンス・オフィサーとして、事業活動のモニタリングを実施しております。また、役員や従業員だけでなく取引先等も利用可能なグループ共通のグローバル・ホットラインの適切な運営を通じて、コンプライアンス違反の未然防止や、早期発見に努めております。違反行為が発見された場合には、迅速かつ厳正に是正措置を行うとともに必要に応じて教育・啓発等の再発防止の対応を講じる体制のもと、健全な企業文化の醸成を推進しております。

⑩ 金融市況及び為替変動に関するリスク
・リスク
株式市況の低迷等により保有する株式等の売却損や評価損が生じ、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。また、為替相場の変動により、不利な影響を受ける可能性があります。当社グループはグローバルに事業を展開し、生産・販売・輸出入を行っておりますので、為替相場の変動は経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは政策保有株式の削減、年金基金資産配分の期中見直しの実行及び為替ヘッジ取引により、損失額を減少させるよう努めております。
また、退職給付に関するリスクの整理と運用状況のモニタリング及び雇用関連法制動向の把握や、不動産市場のモニタリングを実施する等により、リスク低減に向けた方針を早期から準備対応しております。


⑪ 情報セキュリティ・システムに関するリスク
・リスク
当社グループは、業務上、各種ITシステムを利用しており、また、個人情報を含む多くの機密情報を保有しております。これらのITシステムに関して、予期せぬシステム障害の発生や、マルウェアの感染、サイバー攻撃によるコンピュータシステムの休止、及び機密情報の漏洩事象が発生した場合、経営成績、財政状態及び社会的信用等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、CDXO(Chief Digital Transformation Officer)がグループ全体の情報・サイバーセキュリティ対策の推進を担い、新たなデジタル技術、法規制やガイドラインを取り込んだ情報管理・セキュリティに関するポリシー・ルールを整備しております。
情報・サイバーセキュリティに関する規程等を整備して従業員へ情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ITシステムへのサイバー攻撃等への対策強化として、防御機能、侵害の検知機能と対処機能等のセキュリティシステムの整備を実施していることに加え、クラウドサービス利用への対応やセキュリティ基盤の強化、運用の改善を図っております。また、工場・製造設備・システム(OTシステム)へのセキュリティ対策も重要な課題ととらえ、OTシステムの標準セキュリティ対策と管理体制を設計し、各設備への導入を順次実施しております。
個人情報に関しては、定期的な管理台帳更新状況の把握・委託先の安全管理措置評価等により、保有個人データ、特定個人情報等の適正な管理状況をモニタリングするとともに、内部監査結果に基づく適切な指導及び従業員研修による周知・徹底を図っております。

⑫ 人材に関するリスク
・リスク
当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人材を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などによりこれらの人材を十分に確保できない場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
当社グループでは、事業目標を達成する上で必要となる人材の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムをはじめとする多様なアプローチを活用して人材の育成・確保を図っております。また、グローバルでの人材活用を最大化するため、グローバル共通の人事制度並びに人事情報システムの構築・導入を進めております。さらに、「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進しながら、グローバル共通のエンゲージメントサーベイによる分析・改善施策を実施しております。

(5) エマージング・リスク
エマージング・リスク(新しいリスクで、当社グループに対して今後複数年にわたる影響が生じうる可能性があり、初期的な検討は開始しているが全容は把握できていないもの)のモニタリングも行っております。RMCや経営会議での議論を反映して特定のエマージング・リスクから重大リスクやユニットレベルのリスクに評価が変更になる場合もあります。エマージング・リスクとして、以下のリスクのモニタリングを行っております。
AIの利活用に関するリスク
・リスク
世界的にAI技術の研究開発及びデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)が急速に進展する中、特に創薬研究や開発プロセスにおいてAI、とりわけ生成AIの利活用が不可欠になりつつあります。これらAIの技術革新への対応が遅れた場合、研究開発における優位性の喪失や競争力の低下を招き、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、AI技術の利用に関する法規制は国際的に強化される傾向にあります。特にEUにおける「EU AI規制法」等の新たな規制への対応が不十分な場合、制裁金や事業活動の制限等が課される可能性があります。また、AIガバナンス体制の不備により患者さんの健康や生命に悪影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。さらに、その結果として当社グループの社会的信用の低下や損害賠償支払等により、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・対応
これらの様々なリスクシナリオに対して、当社グループはAIによる技術革新を通じた研究開発の加速と全社的なAI利活用に基づくDXの推進を目指した体制の構築を継続しております。また、AI関連規制等の準拠に加えてAIガバナンス体制の構築(グローバルAIガバナンスポリシーの策定、リスク分類に応じたAI開発・運用に関するグローバルガイドラインの整備等)を進めております。

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