有価証券報告書-第73期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/15 16:17
【資料】
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【項目】
59項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
会社の経営の基本方針
企業理念、経営方針、行動指針から成り立つ企業理念体系を当社グループの全員が常に意識し、目標・価値観を共有して行動してまいります。創業から現在までに築き上げてきた良き企業文化を継承するとともに、時代や環境、価値観の変化に迅速に対応できるスピード感のある経営に努め、マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーとして、社会とステークホルダーの皆様の信頼に応える企業を目指してまいります。
中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題
(目標とする経営指標)
当社グループは、営業利益とROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を、目標とすべき重要な経営指標と位置づけております。
<中期経営計画「JSR20i9」における業績目標>
2020年3月期
当初目標
2018年3月期
実績
2019年3月期
通期予想
売上収益4,600億円4,219億円4,900億円
営業利益420億円436億円480億円
ROE8%以上8.8%8.3%

(注)上記はIFRSで要求される開示の一部であり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 31.金融商品 (1)資本管理方針」で上記を参照しております。
(当期の進捗状況)
<中期経営計画「JSR20i9」の進捗>中期経営計画「JSR20i9」では、対象期間である2018年3月期から2020年3月期までの3ヵ年を、2030年までの世界の潮流の分析に基づいて設定した2020年のありたい姿を達成するための第三段階「未来に向けた競争力強化」と位置づけて、継続的な変革を実施しております。「JSR20i9」の初年度となる当期は、顧客市場が好調に推移する中、期初に想定していた収益目標を達成することができました。また、今後の成長に向けて各事業の体制を着実に整えております。
対処すべき課題
<エラストマー事業>需要業界である自動車・タイヤの生産はグローバル市場で安定した成長が見込まれております。その中で低燃費タイヤ用SSBRの販売が拡大しており、今後もグローバルな需要増大を確実に取り込んでまいります。
SSBRの供給体制としては、四日市工場の設備およびタイの合弁会社JSR BST ElastomerCo.,Ltd.(JBE)の第1期・第2期設備が順調に稼働しております。ハンガリーに設立した合弁会社JSR MOL Synthetic Rubber Ltd.(JMSR)が2019年3月期に稼働を開始することで供給能力を拡大して、更なる需要拡大に対応してまいります。
グローバルな販売体制としては、JSR Elastomer Europe GmbH(ドイツ)、JSR Elastomer Korea Co.,Ltd.(韓国)、JSR(Shanghai)Co.,Ltd(中国)に加え、2018年4月からJSR Elastomer India Private Limited(インド)の営業を開始いたします。低燃費タイヤ需要の大きな成長が期待される中国においては、天津技術センターが現地顧客に密着した技術サポートを提供してまいります。
<合成樹脂事業>完全子会社であるテクノポリマー株式会社と、三菱ケミカル株式会社および宇部興産株式会社の折半出資会社であるユーエムジー・エービーエス株式会社とが事業統合したテクノUMG株式会社が、2018年4月に発足いたしました。ABS樹脂を中心としたスチレン系樹脂の国内トップメーカーである2社が事業統合することにより、合成樹脂事業の収益・生産能力・販売拠点などの規模が拡大いたしました。これまで両社が蓄積してきた製造力・開発力・販売力を活かし、製品の製造効率・コスト競争力をより高めて、国内に安定供給するとともに、差別化製品を増やして海外のハイエンド市場での販売を拡大することにより、事業統合による競争力強化と事業拡大を実現してまいります。
<ファイン事業>半導体材料事業は、スマートフォン需要やデータセンター向け用途の増加などにより半導体需要の増加が見込まれる中、最先端10nm世代プロセスを含む先端リソグラフィ材料市場でのグローバルな競争力を維持し続けてまいります。
更に微細な7nm世代以降の主要な技術の一つとして期待されるEUV(極端紫外線)リソグラフィ材料に関しては、EUV Resist Manufacturing & Qualification Center N.V.(EUV RMQC;先端的ナノエレクトロニクス技術研究の研究機関であるimecとベルギーに設立した合弁会社)が本格的な製造・品質管理サービスの提供を開始いたしました。EUVリソグラフィの早期実用化に向けて、主要顧客での評価を受け、EUVリソグラフィ材料の量産化を進めてまいります。周辺材料につきましては、実装材料の他、お客様の先端製造ラインに向けたCMP材料、洗浄剤を中心に、販売を更に拡大しております。
ディスプレイ材料事業は、液晶パネルの汎用品化(コモディティ化)に伴う材料の競争激化が依然として懸念されますが、事業改革による収益確保を引き続き進めてまいります。液晶パネルの需要は堅調に伸びる見通しです。特に液晶パネル生産の高い成長が見込まれている中国では、ディスプレイ材料製造の合弁会社JSR Micro(Changshu)Co.,Ltd.(JMCH)が2017年度より生産を開始いたしました。着実に立上げて中国市場で収益の確保・拡大をしてまいります。
従来の光学材料事業を今年度より「エッジコンピューティング事業」とするとともに、2018年度は半導体材料事業・ディスプレイ材料事業・エッジコンピューティング事業を新たに「デジタルソリューション事業」というセグメントとして統合いたします。これにより、単に材料を製造・販売するビジネスではなく、設計・サービスを含めたトータルソリューションを提供するビジネスモデルを構築してまいります。
<ライフサイエンス事業>JSRグループの事業の第3の柱として規模を拡大してきたライフサイエンス事業は、抗体医薬品の創薬から製造まで一貫してプロセスを支援できる体制を構築いたしました。
既にグループの一員となっているKBI Biopharma,Inc.(KBI)、株式会社医学生物学研究所(MBL)に加え、抗体医薬品の元となる抗体を安定的・効率的に産生できる細胞株を短期間で構築する技術を有するSelexis S.A.(スイス)を2017年6月に買収いたしました。更に2017年12月には、臨床試験前段階において創薬支援サービスを提供しているCrown Bioscience Internationalを2018年内に完全子会社化することに合意いたしました。これらのライフサイエンス系グループ企業が一体となってバイオ医薬品の創薬支援事業を拡大展開し、お客様のバイオ医薬品創薬プロセスにおける成功確率の向上や開発期間短縮につながるサービスを提供してまいります。
抗体医薬品の製造プロセスに貢献する精製用担体である「Amsphere®(アムスフェア)A3」は採用が拡大し、今後も需要の伸びが期待できるため、ベルギーのJSR Micro N.V.に製造設備を新設して生産能力を増強し、販売拡大に注力してまいります。
また、慶應義塾大学医学部および大学病院との共同研究施設として「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」(JKiC)を2017年10月に開所しました。JKiCにおける産学協同で新たな医療分野の展開を支える革新的な材料や製品の開発に取り組み、将来にわたってライフサイエンス事業の拡大に邁進してまいります。
(その他の対処すべき課題)
ESG(環境・社会・ガバナンス)
当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業市民になることを目指しております。そのために企業理念を実践する経営と企業の社会的責任(CSR)を一体のものと捉えて、社会的重要課題の解決に取り組んでまいりました。当社グループにとっての重要課題を、「事業活動で貢献する社会的課題」、「事業活動によって生じる社会的課題」、「事業活動の基盤となる課題」の3つの切り口で整理して取り組んでおります。また、CSR会議(CSR担当執行役員が議長を務め、議長が指名する取締役・執行役員がメンバーとなる全社横断的組織)が、企業倫理、レスポンシブル・ケア(RC)、リスク管理、社会貢献の4つの活動を統括してCSRを推進しております。
当社グループにとっての重要課題のうち、「事業活動で貢献する社会的課題」については、環境問題解決に大きな可能性をもたらす環境配慮型製品を通じて貢献してまいります。例えば、自動車の低燃費タイヤの原料となるSSBRは、タイヤの転がり抵抗を抑える一方で、雨の日でも高いブレーキ性能を発揮するという相反する2つの性能を両立させて、燃費向上を達成しています。「事業活動によって生じる社会的課題」では、環境安全マネジメント方針を掲げて、レスポンシブル・ケア(RC)活動に取り組み、サプライチェーンでの温室効果ガス排出量削減や、リサイクル処理の活用も含めた外部最終埋立処分量削減などの環境負荷低減などを継続してまいります。
当社グループにとっての重要課題のうち、「事業活動で貢献する社会的課題」については、ライフサイエンス事業が健康長寿社会に求められる製品・サービスなどを通じて貢献してまいります。「事業活動によって生じる社会的課題」では、「安全は製造業で働く全ての人にとって最も大切なものであり、事業活動の大前提である。」という考えのもとに、安全基盤の強化と安全文化の深化に向けた安全衛生の取り組みを推進してまいります。「事業活動の基盤となる課題」については、リスク管理などの強化を推進してまいります。
また、人材育成は企業の持続的発展のための最重要課題であり、引き続き、社員の自立的成長を重視する育成方針に基づいて、当社グループのあるべき姿と価値観を共有した個々人・組織の自発的な行動を促進いたします。企業理念体系の浸透と風土改革を進めるとともに、組織能力強化のためのグローバルな人材育成策に継続的に取り組んでまいります。また、当社では2015年度にダイバーシティ推進室を設置するなど、ダイバーシティ(多様性)の推進に積極的に取り組んでまいりました。更に、多様な人材の活躍、労働生産性の向上もめざして、かねてよりワークライフマネジメントとして取り組んできた活動を「ワークスタイルイノベーション活動」として、中期経営計画「JSR20i9」の中で働き方の見直しを進めてまいります。その中で、労働生産性向上の前提は社員が健康的に働けることであるとして、健康づくりの活動にも取り組んでおります。なお、当社は女性活躍推進に優れた上場企業として経済産業省と東京証券取引所から2015年度、2016年度に「なでしこ銘柄」に認定されました。また、優良な健康経営を実践している上場企業として、経済産業省と日本健康会議から2016年度、2017年度に「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されております。
当社グループにとっての重要課題のうち「事業活動の基盤となる課題」については、監査役設置会社として、取締役会と監査役による業務執行の監視・監督を行う制度を基礎としつつ、コーポレート・ガバナンス体制の強化・拡充を図っております。
執行役員制度の導入、豊富な事業経営の経験を有する独立社外取締役(3名)の選任、ならびに、公認会計士および弁護士として広範な専門知識と豊富な経験を有する独立社外監査役(2名)の選任により、経営監督機能を強化するとともに、意思決定や業務執行について、合理性を確保し、迅速化・効率化を図ってまいりました。
当社グループの代表者と役員の選任・昇任・後継者育成計画、ならびに役員報酬体系および支給額の決定に際しては、メンバーの過半数を社外取締役で構成する指名諮問委員会および報酬諮問委員会(どちらも社外取締役が委員長を務めております)の答申に基づき取締役会で決定することで、健全性および透明性を確保しております。また、株主の皆様と取締役の価値の共有を促進するために、社外取締役を除く取締役に対して、短期・中長期の業績連動報酬の導入に加えて、昨年度から譲渡制限付株式報酬制度を導入しており、中長期的な企業価値向上の達成に努めております。
取締役会では、昨年に引き続き、取締役会実効性評価を実施いたしました。取締役会の規模・構成・具体的な運営方針・運営状況の評価に加え、課題と認識して対策した事項への対応状況を評価し、取締役会の運営が適切になされていることを再確認するとともに、取締役会で更に議論を深めたい事項を確認いたしました。今後も取締役会実効性評価を毎年実施して取締役会の実効性の更なる向上を図り、企業価値の継続的向上に努めてまいります。
以上のような課題に対して、確実に取り組み、遂行してまいります。
なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

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