訂正有価証券報告書-第62期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/07/19 10:00
【資料】
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【項目】
148項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績、財務状況等に関する事項のうち経営者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)長期的なセメント需要の減少
セメント事業におきましては、防災・減災対策等による需要が短期的・局所的に見込まれておりますが、長期的には成熟期を迎えた日本でのセメントの国内需要は減少傾向にあります。このような中、将来の需要減少に備えて物流の最適化、コスト削減及び販売価格の改善に取り組んでおります。
(2)資材調達価格の変動
セメント事業では、その製造工程において石灰石、石炭、重油等を使用しております。これらの調達価格の大幅な変動が、業績に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対応する為、調達方法の多様化と、製造過程においてリサイクル資源の使用比率を高めることで製造コストへ与える影響の軽減を図っております。また資材調達価格上昇分の製品価格への転嫁及び物流の効率化による輸送コストの適正化に努めております。
(3)救急医療の現場の疲弊
本格的な多死社会を迎え、許容量を超える(オーバーキャパシティ)救急搬送患者が、飯塚病院の救命救急センターに集中していましたが、飯塚病院の救急医の数の減少により、救急患者の受け入れに対し、自己抑制をかけています。一方で、周辺医療機関の救急受入能力の低下が若干持ち直しつつあり、軽症の救急患者が周辺医療機関に搬送されるようになっています。それでも、救急医数の減少で救急医療の現場の疲弊は慢性化しております。救急医のドロップアウトを生まないように看護師、救急救命士等の救命救急センターのスタッフのチーム力を上げるなどの対策、地域包括ケアの構築を通じて、健康寿命の延伸、在宅や高齢者施設での看取りを進めるべく、行政、医師会や介護サービス事業者との連携を進めています。
(4)医療事故等による風評被害
飯塚病院は筑豊地域において高度急性期を担う唯一の医療機関として地域の重症者を積極的に受け入れています。患者の高齢化が進展し、病態が複雑化してきていることで、受入れ患者の診療上のリスクはこれまで以上に高まっています。診療上のリスクを回避すべく細心の注意を持って診療に取り組んでいますが、積極的な治療を提供する中で、医療事故の発生をなくすことは不可能です。財政面のリスク回避策としては各種賠償保険に加入していますが、事故発生時の風評被害のリスクは回避しきれない可能性があります。
(5)消費税率の引上げ
本来、最終消費者が負担することが原則である消費税が、医療費については非課税であり、病院が控除対象外消費税として、薬剤、診療材料、給食材料、医療消耗品などに係る消費税を負担しています。令和元年10月の消費税率の8%から10%への引上げにより、過去の税率引き上げ時と同様に飯塚病院において多額のコスト負担増が発生しております。今後長期的にはさらなる税率引上げも予定されている中、現行税制が維持されるならば、更なるコスト増加につながり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)労働力不足と賃金の上昇圧力
全国的に地方での医師需給が逼迫する中、飯塚病院における医師の確保も難しくなっています。さらに平成30年度からスタートした専攻医制度のもとでは、救急医療の中心となる若手医師の採用人数に上限が設定されました。今後、医療提供に必要な医師数の安定確保策の強化と専攻医制度に対応した新たな方策を講じなければなりません。
さらに、医師を含めた働き方改革により、医師の労働時間に様々な制限がかかってきます。必要な医師数を確保できない場合、事業規模の縮小を強いられる可能性があり、その場合には経営成績に影響を及ぼします。
また、医師や看護師など国家資格保有者が中心の病院といえども彼らだけで成り立つわけではありません。国家資格を問わない一般労働者、短時間労働者、派遣労働者により担われている役割も少なくありません。労働力不足が顕著な中、従来の賃金水準で従来どおりの優秀な人材を確保することが難しくなってきています。
(7)財務内容について
当社グループは、装置産業であるセメント事業をはじめ、資産を活用した事業が多く、設備投資のための資金調達は主に借入金によっております。このため連結総資産に占める借入金の割合が高くなっており、金利の変動によって当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおきましては、資産の有効活用などによる借入金の適正化を行うと共に、資金調達手段の多様化により、金利変動リスクの軽減に努めております。
(8)災害や感染症等による影響
当社グループは、災害や感染症蔓延時に備えて「危機管理マニュアル」を策定し、また、生産設備や医療設備については定期的な点検を行っておりますが、災害や新興感染症等による影響を完全に防止できる保証はありません。特に令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症の蔓延より、診療制限や患者の受診控えが発生、さらに自粛生活による外傷や既存感染症などによる受診者数が激減しており、飯塚病院の収益が大幅に減少しています。令和5年5月以降、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられることとなりますが、新型コロナウイルス感染症が無くなるわけではありません。院内感染の防止には万全を期しておりますが、今後も院内クラスター発生等による大幅な診療制限を強いられるような事態が発生した場合、更なる医業収益の落ち込みが見込まれます。
(9)個人情報について
当社グループにおいては、事業を行う中で多数の個人情報を保有しております。個人情報については、各社でプロジェクトチームを結成し、情報管理体制の強化に取り組むと共に、当社内のコンプライアンス委員会においてグループ全体に対し、個人情報保護の啓蒙を行っております。しかしながら、万一個人情報が外部に漏洩するような事態が発生すると、顧客からの信用失墜、損害賠償等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)公共事業への依存
当社グループにおいては、建築土木事業を行っておりますが、当該事業に属する当社グループの会社には、受注高に占める公共事業が極めて高い会社も存在しているため、予想を超える公共事業の削減が行われた場合には、当社グループの売上高・利益の減少等、業績に影響を与える可能性があります。公共工事への依存を軽減するため、民間工事及び海外工事の受注にも取り組んでおります。
(11)瑕疵の発生について
当社グループにおいては、建築土木事業を行っておりますが、完成マンション戸数の増大、住宅の品質確保の促進等に関する法律による瑕疵担保期間の長期化等により、補修費用が増加する可能性があります。
(12)取引先の与信について
当社グループにおいては、建築土木事業を行っておりますが、工事の受注から代金回収まで、相当な期間を要する場合があるため、取引先の業況悪化等により工事代金の回収遅延、貸倒れ損失等が発生し、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは与信管理の徹底に努めるとともに、債権保証ファクタリングを利用し、貸倒れが発生した場合でも損失を回避、または低減しております。