有価証券報告書-第94期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 15:41
【資料】
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【項目】
167項目
② 戦略
■ 分析のプロセス
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼす影響について検討を行いました。1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを用い、政策や市場動向の変化(移行リスク・機会)および災害等による物理的変化(物理的リスク・機会)に関する分析を実施しています。これらの分析を通じて、リスク・機会の特定および定性的な評価を行い、それらに対応するための対応策の検討も進めています。
■ 気候変動シナリオ
・1.5℃シナリオ(脱炭素移行)
気候変動の影響を抑制するため、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが世界的に活発化しており、これにより世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目標としたシナリオが「1.5℃シナリオ」です。このシナリオでは、温室効果ガスの排出削減を加速させるために、より厳格な規制や炭素税の導入、排出量取引制度の強化等が世界各国で求められることが想定されています。そのため、移行リスクの中でも特に政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオと比較して大きくなる可能性があります。また、企業に対しては、脱炭素技術や再生可能エネルギーへの迅速な移行が強く求められると同時に、これらへの対応が企業競争力や市場評価に大きな影響を与えることが予測されています。
・4℃シナリオ(高排出シナリオ)
気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオです。このシナリオでは、物理的リスクとして異常気象の激甚化が顕著となり、台風や豪雨、猛暑の頻度や強度の増加が予想されます。また、海面上昇に伴い、沿岸部での浸水リスクが高まり、人々の生活基盤やインフラに甚大な影響を及ぼす可能性があります。このように、4℃シナリオは、社会・経済・自然環境にわたる広範かつ深刻な影響をもたらすと想定されています。​
■ 評価基準(時間軸と影響度)
当社は、気候関連リスク・機会が当社に与える影響を評価するため、時間軸を短期(~2026年)、中期(~2030年)、長期(~2050年)に設定し、以下の基準に基づき影響度を判断しています。
大: 事業の継続が困難となりうる事象
中: 事業運営に支障をきたす事象
小: 通常の事業管理内で対応可能な事象
・気候変動リスク・機会の特定と評価
リスク​ドライバー​事業への影響​発生時期​影響度​対応策​
移行 リスク​法規制・政策​GHG 排出価格の上昇​炭素税の導入により事業活動で排出されるCO2への課税が進み、操業コストが増加する​中期~長期​大​・省エネ設備の導入促進​・再生可能エネルギーへの切り替え​
既存の製品およびサービスへの受託事項および規制​燃費・排出ガス規制(CAFE規制・ZEV規制等)の強化により、自動車業界で当社製品の需要が減少する​中期~長期​大​・減少分を新製品、他分野で補う​
技術​新技術への投資の失敗​脱炭素関連の新技術投資の遅れや失敗により、競合他社との技術格差が広がり、自社製品の競争力・市場シェアが低下する​中期~長期​大​・市場・技術動向を早期に取り込むための情報収集プロセスの見直し​・投資評価プロセスの強化によるリスクとリターンの最適化​
市場​電源構成の変更​再生可能エネルギーの比率上昇に伴う電力単価の上昇により、製造・操業コストが増加する​短期~中期​中​・PPAの活用による再生可能エネルギー調達​
評判​ステークホルダーの懸念の増大または否定的なフィードバック​消費者や取引先企業から環境対応に消極的と評価されることで、ブランド価値や競争力が低下し、売上減少につながる​短期~中期​大​・製品CFPの算定・データ提供体制の構築​
物理的リスク​急性​自然災害の激甚化​台風や水害などの自然災害により自社施設が被災した場合、操業停止や生産能力の低下により、供給遅延や売上減少が発生する​短期~長期​大​・重要設備の早期復旧体制構築​・生産拠点の多角化による事業継続計画(BCP)の強化​
慢性​海面上昇​海面上昇や高潮の影響により沿岸部の拠点が浸水リスクに晒され、防災対策・補強工事などのコストが増加する​中期~長期​中​・重要設備の早期復旧体制構築​

機会​ドライバー​事業への影響​発生時期​影響度​対応策​
機会​資源の効率性​より効率的な生産および流通プロセスの使用​生産プロセスの省エネ化によりCO2排出量を削減するとともに、エネルギーコストを低減する​短期~中期​中​・EMS(エネルギー管理システム)導入による熱・電力の最適制御​・主要生産設備への高効率機器の計画的更新​
エネルギー源​低炭素エネルギー源の利用​自社拠点に太陽光発電設備を導入することで再エネの自家消費を促進し、電力の外部依存度とコストリスクを低減する​短期~中期​中​・PPA方式による太陽光発電の導入推進​
製品及びサービス​低排出商品およびサービスの開発および/または拡張​サプライチェーン排出量を削減する製品・サービスの販売拡大することで、環境配慮型市場での競争力を向上する​中期~長期​大​・CFP算定・データ提供体制の構築​
市場​新しい市場へのアクセス​脱炭素化やレジリエンス強化に向けた公共・民間投資の拡大により、再エネ設備や防災インフラ向けなど製品の採用領域が広がる​中期~長期​大​・防災・減災インフラ整備に資する高強度・長寿命ワイヤロープ、PC鋼材の販売強化​
低炭素エネルギー源の利用​事業運営において再生可能エネルギーを活用することで、ステークホルダーからの評価が向上し、ブランド価値や市場優位性が向上する​短期~中期​中​・PPA方式による太陽光発電の導入推進​
レジリ エンス​
情報開示対応の強化​気候変動に関するリスク・機会の情報開示を促進することで、企業の透明性や信頼性が評価され、株価向上につながる​短期~中期​小​・サステナビリティ経営に関する方針、マテリアリティ、KPIなどを有価証券報告書やホームページ等で対外的に公表​
・サステナビリティ関連の取り組み内容を、決算説明会および金融機関向け説明会で説明​
情報開示対応の強化​気候関連情報の開示を進めることで、金融機関からの信頼性が高まり、融資時の金利優遇など資本コストが低減する​短期~中期​小​・サステナビリティ関連の取り組み内容を、決算説明会および金融機関向け説明会で説明​
サプライチェーンにおけるレジリエンスの向上​原材料調達や製品供給の安定性を確保し、事業の継続性を高めることで、レジリエンスの強化と競争優位性の確立につながる​短期~中期​中​・主要原材料の調達先マッピングと代替調達先の評価​
・重要原材料の適正在庫水準の見直し​
  • 有価証券報告書-第94期(2025/04/01-2026/03/31)

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