有価証券報告書-第76期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/29 10:05
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、社是「お互いに誠実でたゆまず前進し、軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」、社訓「信用・誠実・協調・創造・実行」を経営理念とし、品質・価格・納期の面において、お客様の要求に最大限お応えできる製品とサービスを提供することにより、企業の継続的発展を目指すとともに、法令を遵守し、安全・環境面においても地域をはじめとする社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、2022年度より2030年度を最終年度とする長期ビジョン「KTC vision 2030」を策定し、達成を目指してまいりましたが、2026年5月15日付「新5ヵ年計画 Restart KTC vision 2030の策定並びに資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ」にて公表のとおり、計画を見直すことといたしました。まずは強固な経営基盤を再構築し、その上に本質的な成長を重ねることで、着実に達成を目指してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益率、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)であります。
新5ヵ年計画「Restart KTC vision 2030」の最終年度となる2030年度の目標値は、売上高100億円、営業利益率10%、PBR1倍、ROE8%以上であります。
(4) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、雇用・所得環境の側面から引き続き底堅く推移するとの期待がある一方、2026年11月に中間選挙を控える米国の通商政策や中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まりなど、先行きが見通し難い状況が続くと予想されます。
また、関連業界においては、少子高齢化を背景とした技術者の高齢化や人手不足に伴う生産性や企業競争力などへの影響が問題視されている一方で、安全・安心に対する社会的要求の高まりにより、ESGに関する取り組みを含むコンプライアンスの強化が求められております。
当社グループの主力である工具事業では、「もの」を主体とする製品事業から「こと」を提案するサービス事業への領域拡大を加速化し、お客様の多様化するニーズに対応してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、従前の長期ビジョンで掲げた3つの戦略方針(「今までの概念を覆す」「リーディングカンパニーの伝統を活かす」「あらたなチャンスに挑戦」)及びESG推進方針(「E 地球環境に徹底的に貢献する」「S あらゆるステークホルダーと共生する」「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」)を踏襲し、以下の戦略課題に取り組んでまいります。
① 人ができることを増やしていくために進化するツールの提供
当社グループは、お客様にとって最適な「軽くて、強くて、使いよい」ツールを環境の変化に適応した形で提供し続けます。たとえば、主力の自動車業界では、「自動運転技術」「EV技術」による技術革新が進む一方で技術者の高齢化や人手不足に伴う生産性や企業競争力などへの影響が問題視されており、作業現場のニーズはより多様化することが予測されます。これに対し、新しい材料や構造・機構に関する技術を用いるなど、安全で使う人と環境にやさしいツールを進化させ続け、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指してまいります。
② つながる工具とソフトウエア、サービスによる新たな価値の提供
当社グループは、安全・安心に対する社会的要求の高まりにより、人作業や作業情報などの一元管理が進展することを見据え、「工具(ハードウエア)」「ソフトウエア」「サービス」の三要素で構成する「TRASAS」シリーズをはじめとするIoT技術を用いたツールを展開しております。とくに昨今、より効果的かつ効率的なコンプライアンス強化が求められるなか、厳格な工具管理を要する航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul)市場などに対し、使用履歴管理による紛失抑制や紛失した際の工具の探索に貢献するRFID搭載工具「nepros ID」シリーズを展開し、作業管理体制強化や効率化による新たな価値を提供してまいります。
③ 「Restart KTC vision 2030」を支えるサプライチェーンマネジメントの強化
当社グループでは、「Restart KTC vision 2030」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。脱着作業などの単純な繰り返し作業をロボットが行うことで、人はより付加価値の高い作業へシフトいたします。さらに、生産各工程の新規設備を活かし、とくに「nepros」「nepros ID」製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るとともに、生産拠点の最適化や地政学リスクへの対応を含めものづくりを中心としたサプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいります。
④ サステナビリティの深化(ESG経営の推進 及び 新人事制度の定着と運用)
当社グループの事業活動を通じた社会課題への貢献に向け、ESGを軸としたサステナビリティへの取り組みを深化させてまいります。たとえば、気候変動の課題に対し、温室効果ガス排出量の削減に向けたエネルギーに関する取り組み(省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進など)とコストダウンを両立させるなど、グループ全体の最適化を図り、環境に配慮したお客様に選ばれる企業を目指してまいります。
また、事業を維持・向上、変革させる源泉は、人材であります。多様な価値観への社会的な変化を背景に、多様な人材の登用、一人ひとりの成長と能力発揮などを目的とした人材への投資を行い、「人を中心に置きながら人に依存しない体制を築き上げる」など、社員がより「KTCで働いてよかった」と思える会社を実現させ当社グループの成長につなげてまいります。
⑤ 不適切な会計処理に関する特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題
当社は、2025年7月31日付「再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ」及び9月16日付「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備及び内部統制報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、6月30日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にて公表いたしました特別調査委員会の調査報告書における提言を踏まえて再発防止策を策定し、9月9日付で社長を委員長とする「グループ経営改革委員会」を設置し、鋭意、以下の改善措置を講じてまいりました。
<グループ経営改革委員会の構成>
・委員長:社長
・委 員:管理本部担当取締役、管理本部長、生産本部長、総務・人事担当執行役員兼人事部長、
総務部長、財務経理部長、内部監査部長、戦略準備室長 他6名
・アドバイザー:外部の弁護士、外部の公認会計士、常勤監査等委員

<改善措置の進捗状況>1)北陸ケーティシーツール株式会社(以下「北陸KTC」と言います。)における内部統制の整備・運用
a.実地棚卸の結果を正確に会計帳簿に反映させる手続きを構築
実地棚卸後に作成する棚卸明細を正確に作成するために、実地棚卸手順、棚卸監査手順、棚卸明細作成手順を再構築し、2025年9月の第2四半期(中間期)決算の実地棚卸から運用を開始しております。特に棚卸明細の作成手順につきましては、不正や誤謬を防止すべく、担当者以外によるダブルチェック体制を導入いたしました。
また、親会社の内部監査部が、実地棚卸の監査及び棚卸監査時の棚卸リスト・棚卸原票と棚卸明細の突合を実施することに改め、監査体制を強化しており、当該監査体制のJ-SOX文書への落し込みを2025年12月に完了し、第3四半期決算の実地棚卸より運用を開始しております。
b.在庫管理システムを整備(仕掛品管理をシステム化、人為的ミス・不正機会を排除)
現行の生産管理システム(以下「KNPS」と言います。 ※ 親会社と同じシステム)において、何時でも在庫データを抽出可能な仕様に改良し、第3四半期決算の実地棚卸より運用を開始しております。具体的には、仕掛品、原材料、貯蔵品をKNPSにおいてリスト化し(従前はExcelで人が作成)、人手を介さない管理体制を確立することで、不正の機会を排除いたしました。また、原価管理につきましても、システム上で管理できる仕組みを構築いたしました。
KNPSの改良につきましては、短期フェーズ(2025年12月末完了)と長期フェーズ(2027年3月末完了予定)に分けて実施する計画です。親会社と北陸KTCにおいて実務レベルの改善要望調査を実施し、2025年10月に対応すべき項目の洗い出しを終えました。現在は、長期フェーズに移行しており、要件定義が完了し、システム開発のフェーズに移行しております。具体的には、監査で使用する棚卸リストをPDF形式で出力できる機能の追加(書換え不可とすることで不正の機会を排除)、親会社と子会社のKNPS機能の統合等を行います。
c.モニタリング手続きを親会社手続きと共通化
親会社の業務フローを参考に、北陸KTCの業務フローを見直し、親会社の内部監査部が、北陸KTCの業務プロセス(販売、購買、在庫管理プロセス)を定期的に監査することで、グループ全体を統一的な視点で効果的かつ効率的に監査する体制を構築いたしました。
2025年11月の内部統制委員会において、北陸KTCを改めて内部統制上の重要な事業拠点と位置づけ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲に含め、親会社の内部監査部がJ-SOX文書に基づき、リスク評価、整備・運用テストを実施しております。
d.親会社の内部監査部を3線とする3ラインモデルを確立
親会社であるKTCにおきましては、従来、内部監査部は管理本部担当役員が所管しておりましたが、2025年11月に社長直轄の組織へ変更するとともに、業務分掌の見直し(※)を行いました。なお、社長による不正が疑われる事案が発生することへの備えにつきましては、監査等委員会(2025年11月の臨時株主総会で人員を刷新)の独立性(管理・監督機能)を改めて確認し、毎取締役会にて課題を共有し協議する時間を確保することにより、取締役会との連携を強化しております。
また、北陸KTCの3ラインモデルの確立につきましては、統合を見据え、2026年4月1日付で親会社に戦略準備室を新設し、統合までの間は同室主導の下、2線、3線を親会社が担う体制としております。
※内部監査部の3線としての機能を明確化すべく、内部統制委員会(月次開催)の事務局を2線部門(総務
部、財務経理部)に変更いたしました。
e.親会社の管理部門(財務経理部、内部監査部)の人員を増強(上記を実現)
内部監査人材につきましては、2026年1月にキャリア採用により管理職クラス1名が入社し、2名体制から3名体制へ増員いたしました。
経理人材(財務経理部)につきましては、2025年10月にキャリア採用者1名が入社し、3名体制から4名体制へ増員し、12月に中堅社員の異動を行い5名体制といたしました。更に、2026年6月に次期管理職候補となる中堅クラスの人材が、キャリア採用により1名入社いたしました。上記d.の3線のみならず、経理担当部門をはじめとする2線においても2026年10月1日付で予定しております親会社への統合(吸収合併)を見据え、親会社主導で全社統制を実現すべく、引き続き人員を増強してまいります。
2)グループ一体感の醸成を主眼とした北陸KTCの位置づけの見直し
a.不採算事業を見直し(親子間取引価格の改定)
北陸KTCにおいて売上の約7割を占める親子間取引の価格改定を物価・人件費の上昇を反映し、2度(2025年7月、2026年2月)実施いたしました。
もっとも、上記価格改定を行ったものの、抜本的な採算の改善を見込むには至らず、上記のとおり親会社への統合(吸収合併)を予定しております。現在、全社的な戦略を俯瞰したうえで、不採算品にとどまらず、不採算事業そのものについて、抜本的な見直しの検討を進めております。
b.グループ戦略拠点としての位置づけを明確化(親会社への統合)
サプライチェーンの観点から、北陸KTCのグループ生産拠点としての位置づけを明確にすると共に、管理の一体化など業務の有効性と効率性を高めることを目的として、2026年10月1日付での親会社への統合(吸収合併)を予定しております。現在、上記a.と合わせて、全社的な生産戦略の検討を進めております。
c.人的交流を活発化(製造部門、2線部門)
北陸KTCにおける内部統制の運用定着と統合のサポートを目的に、先ずは2026年4月に親会社に新設した戦略準備室を中心に北陸KTCへの常駐も含め、人的交流を進めております。今後、親会社の製造部門や管理部門において、北陸KTCから将来の幹部候補人材を受け入れる計画です。統合後も継続的に人的交流を図り、人材育成を軸に相互理解による一体感の醸成に取り組んでまいります。
d.中長期的な事業計画・投資計画・人員計画を策定
「サプライチェーン・マネジメント強化」の一環として、北陸KTCの親会社への統合を見据え、戦略的な生産品目の見直しとそれに見合った投資計画を再構築すると共に、工具事業、メタル事業、精密鋳造事業のそれぞれにおいて、親会社との生産バランスを見直し、各事業部門における人員最適化の検討を進めております。
3)ガバナンスの再構築
a.取締役会、監査等委員会におけるモニタリング機能を強化(執行と監督の分離を徹底)
2025年11月の臨時株主総会において、取締役監査等委員3名を刷新いたしました。その後、新たな役員体制において、執行と監督の分離徹底の観点から、取締役会のあるべき姿について議論を重ね、2026年1月に現行の「取締役会規則」とは別に「取締役会がなすべきガイドライン」を新たに制定いたしました。
同ガイドラインでは、取締役会の第一義的な役割を「会社の重要な意思決定と業務執行の監督・監視」と定義し、「業務執行に関する個別の判断・指示を行わず、執行と監督の分離を徹底する」ことを明文化しております。
b.指名委員会によるサクセッションプランニングを強化
2025年12月の指名委員会において、役員ポストの選任基準を定めた「役員サクセッションプラン運用規程」を新たに制定いたしました。その後、同規程に則り2026年2月の同委員会において一次案を承認しております。
また、既述の「取締役会がなすべきガイドライン」の中で、「直前まで業務執行を担っていた者を監督・監視の役割に任命する場合には、その合理的理由および独立性確保の考え方を明確にする」ことを明文化しております。今般の不祥事案の原因の一つである自己監査の状況をつくることのないよう、厳格に運用してまいります。
c.新たな経営体制を構築(上記の実現を見据え人選)
新たな経営体制では、2025年11月の臨時株主総会において、先ず社内取締役5名(うち常勤監査等委員1名)を3名(うち同1名)に減員し、社外取締役2名(うち監査等委員2名)を刷新いたしました。なお、取締役常勤監査等委員も社内から新たに選任しております。
また、2026年6月26日開催の第76回定時株主総会において、社外取締役1名を追加選任し、外部の知見を積極的に取り入れることでガバナンスを再構築し、経営の健全性を高めてまいります。
4)上場会社としての信頼性確保に向けた全社的な意識改革
a.グループ全役職員を対象に、定期的にコンプライアンス研修を実施
2025年11月の臨時株主総会終了後、グループ会社を含めた全社員に対し、本事案の動機や背景等、詳細を説明の上、コンプライアンスの重要性と再発防止を周知徹底いたしました。
同時にコンプライアンスレベルの実態と課題を把握するため、「コンプライアンスに対する意識調査」を実施し、その結果を踏まえてeラーニングや対面でのコンプライアンス、ハラスメントに関する研修プログラムを策定し、運用を開始しております。
また、今般の事案において機能しなかった内部通報制度につきましても、グループ全社員に対しイントラネットや社内掲示板等により、目的や仕組み、匿名性について、改めて周知いたしました。
更に、定期的且つ継続的に取り組むべく、研修ポータルサイトを立ち上げ、運用を開始しております。
b.役員に対し、定期的に外部の有識者によるガバナンスに関する勉強会を実施
先ずは、直ちに襟を正すために「ガバナンス・コンプライアンス」に関する研修を本事案の危機対応アドバイザーである弁護士事務所に依頼し、2025年9月に役員研修を実施いたしました。今後も当社の顧問弁護士と連携し、定期的且つ継続的な役員研修(年2回を予定)を実施してまいります。
c.新任役員に対し、上場企業の役員として必要な知識に関する外部研修の受講を義務化
上場会社としての信頼維持・向上のため、顧問弁護士のほか、社外取締役である弁護士、公認会計士、証券代行業務を依頼する信託銀行、日本取引所グループのコンテンツ等、専門家の意見と情報を参考に、新任役員に対し、定期的且つ継続的な外部研修プログラムを受講させるべく具体的に選定しております。今後、ガバナンスやコンプライアンス、財務会計等の知識を習得できるコンテンツを研修内容に組み込み、研修を適時継続することで、不正事案に対するリスク感応度を高めてまいります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。