有価証券報告書-第69期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:46
【資料】
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【項目】
154項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記事項のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 自然災害や事故、新型感染症等に係るリスク
当社グループは自然災害や事故等から受ける生産活動への影響を可能な限り限定化し早期復旧を図るための対策・手順として、危機管理マニュアルを作成、運用しております。しかし台風、豪雨、地震、津波または火山活動等の自然災害や、事故、火災、テロ、ストライキ、騒乱等により、生産活動の停止、設備の損壊や給水・電力供給の制限等の不測の事態が発生する可能性があります。また、取引先においても同様に生産活動に支障をきたす可能性があり、いずれも長期間におよんだ場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の大規模な拡大に伴い、当危機管理マニュアルの見直しを図って参りますが、今後新型感染症の拡大により、受注の先送りや取消しが多数発生した場合、当社グループの従業員に感染者が多数発生し、長期間の生産活動停止に陥った場合、仕入先や外注先の生産活動や物流等、サプライチェーンに発生した混乱や停滞が長期間におよんだ場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 半導体・FPD関連業界の需要変動に関わるリスク
当社グループの主力である溶射加工(単体)の中で、2001年3月期以降、半導体・FPD製造装置分野の売上高が大幅に増加し、2020年3月期には連結ベースの総売上高に占める割合は37.2%となっております。
当社におきましては、半導体・FPD製造装置への溶射皮膜の適用拡大について日々開発を進めており、現状では、半導体・FPD製造装置の新規設備投資の動向と、当社の半導体・FPD関連業界向けの売上動向とは、必ずしも連動しているとは言えないと考えられます。
また、既に納入された装置部品へのメンテナンス需要や非溶射部品の溶射化等の開拓を進め、半導体装置メーカー向けの受注変動による影響を最小限に止めるよう努力してまいる考えであります。
しかしながら、半導体・FPD関連業界の市況や、関連装置の需要動向が悪化した場合には、装置メーカー等からの受注減や値下げ要請によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、半導体・FPD製造装置が溶射を必要としない構造に変更された場合にも、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(3) 顧客による溶射加工の内製化リスク及び顧客工場の海外移転リスク
溶射加工は、当社のような専業者だけでなく、材料メーカーやメタリコン業者が手がけているほか、大手機械メーカー等が製造プロセスの一部として自社内で溶射加工を行っている場合もあります。これらの大手機械メーカー等は、生産能力的にオーバーフローした場合や、自社で技術対応できない場合、自社に当該溶射装置を保有しない場合などに当社をはじめとする溶射加工業者に委託しておりますが、これらの大手機械メーカー等が全面的に溶射加工を内製化したり、内製化の比率を高めたりした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは顧客から被加工品を受け入れて、当該被加工品に表面改質を行なっていることから、主要顧客の近隣に加工工場を設けるなど、顧客密着型の事業展開を行なっておりますが、主要顧客が生産拠点を海外等に移転させた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(注) メタリコン業者とは、構造物等の防食目的で、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射による加工を行なう企業をいいます。
(4) 特定の取引先(東京エレクトロン株式会社グループ)への依存リスク
当社グループの東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度(総売上高に占める同社グループへの売上高の割合)は高水準であるため(2020年3月期については30.7%)、同社グループの半導体・FPD製造装置等の生産動向や同社グループからの受注動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 製造物責任に係るリスク
当社グループは、多様な業界に顧客を有し、溶射加工を中心とした表面改質加工を提供しており、それぞれの製品に合わせた品質管理体制のもと、製品を出荷しております。製品の不具合を防止するため、品質保証に関わる組織の充実を図るとともに、新たな品質管理手法を取り入れるなど体制の強化に努めております。
また、当社の品質不具合を原因として製造物責任賠償を請求されるような万一の事態に備えるため保険にも加入し、こうした事態の発生にともなう費用負担に対応しております。
しかしながら、品質的なクレームの内容や不具合の規模によっては製造業としての当社グループの評価の低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 知的財産権に係るリスク
当社は、新皮膜開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの知的財産を特許出願し、権利保護と経営資源としての活用を図っておりますが、特定の地域では十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性があり、知的財産権が侵害されるリスクがあります。また、当社グループが認識しない第三者の特許が既に成立しており、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、損害賠償等の訴えを起こされた場合、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
(7) 情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、半導体・FPD関連をはじめとして、顧客から預かった部品図面など重要技術情報を多数保有しております。これらを適切に管理するため、情報セキュリティに係る規程・細則の整備のみならず、適切な技術的対策のための設備投資、社内管理体制の整備、従業員教育等に努めております。しかし不測の事態により情報漏洩が明らかとなった場合には、対応のための多額の費用負担や顧客からの信用の失墜等により、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
(8)国際的な事業活動に係るリスク
当社グループは、中国をはじめとするアジアや米国等にて海外事業を展開しております。そのため、事業展開している各国の文化、宗教、商慣習、社会資本の整備状況等の影響を受けるとともに、経済情勢、政治情勢および治安状態の悪化や急激な為替変動が、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
また、主要な顧客の中には国際的に広く事業展開している企業もあるため、国際政治情勢の変化により、懲罰的な関税措置を含む輸出入規制や、商品販売に係る許認可等の一方的な規則変更などにより、当該顧客が深刻な事業活動の制限を受ける可能性があります。この場合、間接的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。