有価証券報告書-第34期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 9:39
【資料】
PDFをみる
【項目】
119項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「a world alive with creativity」(創造性にあふれる活き活きとした世界)をビジョンとし、より豊かで創造的な暮らしを実現したいと願っております。そのために、自然で直感的な技術により人間のクリエイティビティを広げ、世界に貢献するグローバルリーダーを目指しております。
当社グループは、今後のユーザーインターフェイス技術の世界的な進化と拡大を見据えて、更なる技術力・開発力の強化、優秀な人材の確保とともに、今日までに築き上げたグローバルな事業組織、企業文化やブランド、そしてオープンパートナーシップポリシーの下、幅広い顧客との関係に基づいた競争力の高いグローバルな事業モデルの更なる強化により、長期的かつ安定的な事業成長と企業価値の向上を図れるものと考えております。
また、グローバルに事業を展開するに際して、企業の果たすべき社会的責任を真摯に受け止め、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの継続的な強化に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2015年4月に「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」(中期経営計画)を策定し、市場と経営環境の著しい変化に当社の事業モデルを柔軟に対応させた成長戦略を定めて新たな経営目標を設定しましたが、2016年3月期、2017年3月期の業績は中期経営計画で想定した売上、利益の成長ラインを大きく下回り、2019年3月期の経営目標達成が困難な状況となりました。このような状況下、利益重視の経営に転換するとともに経営判断の質の向上に向けた取り組みを推進すべく、2018年3月期の終了をもって経営トップの世代交代を予定しております。新たな経営目標を含む中期経営計画については、後任代表取締役候補が中心となって検討を進め、新経営チームの発足を目途に公表する予定です。
(3)経営環境
世界経済の緩やかな成長が期待される一方、米国の保護主義的な貿易政策、不透明な中東・アジア情勢の影響なども懸念されます。為替動向も、これらを反映して不安定な展開が続くと見込まれています。IT市場では、クラウド、ビッグデータ、AI(人工知能)、ソーシャルメディアがさらに社会へ浸透し、新たな産業基盤になることが見込まれます。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、以下の課題認識と対処方針に関して、経営資源の制約を踏まえて戦略事案の優先順位の見直しを進めるとともに、中期的な売上成長に見合った最適なコスト構造を確立し、利益重視の経営に転換することを可能とする新たな成長戦略を中期経営計画としてまとめ直す予定です。
(対処すべき課題)
① ビジネスモデルのモバイル、クラウドへの進化
② 新グローバル事業体制による統合強化と成長加速
③ 中期的な売上成長に見合った最適なコスト構造の確立
④ 経営判断の質の向上
⑤ モバイル製品ラインの強化、3D市場の拡大、新興市場への投資によるクリエイティブビジネスの加速
⑥ デジタル文具とクラウド統合による新たなコンシューマーユーザーの獲得
⑦ アクティブES技術と「WILL(Wacom Ink Layer Language)」によるテクノロジーソリューション事業の拡大
⑧ 「WILL」とデジタルサインソリューションによるワークフローとセキュリティビジネスの強化
⑨ グローバルビジネスシステムの活用による効率とスピードと収益性の向上
(具体的な対処方針等)
当社の成長戦略は、近年のビジネスプラットフォームの急速な変化に対応するとともに、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業の両事業の成長を加速させることを軸としています。そのために事業組織体制を従来の地域別から顧客カテゴリー別のグローバル組織に組み換え、さらにITインフラのグローバルベースでの活用の最適化を図ることにより両事業の成長を支えてまいります。
① ビジネスモデルのモバイル、クラウドへの進化
普及が進んでいるスマートフォン、タブレット等のモバイル情報機器とクラウドコンピューティングによる新しいITプラットフォームに対応するため、当社製品ラインを従来のPC向けからモバイル情報機器分野及びクラウドをベースとしたアプリケーションとサービスを統合したエコシステムへと拡大してまいります。
② 新グローバル事業体制による統合強化と成長加速
グローバルな事業統合による成長を実現するため、2015年4月に、従来の地域販社を中心とする販売体制から顧客カテゴリー別のグローバルビジネスユニット(事業部)への再編を行いました。各事業単位で地域に関わりなく顧客カテゴリーごとの戦略をグローバルに推進することで、IT関連ビジネスのグローバル化の動きに対応するとともに、グローバルビジネスシステムの導入によって生産から販売・顧客サポートに至る業務工程を透明化、強化し、法人向け、個人向けや地域別のお客様ニーズに対するサービスの向上や情報発信の強化といったきめ細かな業務品質の向上につなげて顧客満足の水準を引き上げ、事業成長を加速させてまいります。
③ 中期的な売上成長に見合った最適なコスト構造の確立
生産性の向上と将来の成長を支えるため、2014年3月期よりグローバル基幹業務システム等の導入に取り組んでまいりましたが、これらの投資は中期経営計画で策定した成長を前提として、その収益で投資リターンを回収する計画でありました。しかしながら、前提としていた中期的な売上成長を見込めなくなったことから、導入規模・範囲を見直し、一部投資資産の減損処理を行いました。さらにグローバル組織体制における人員の最適配置を含めた継続的な業務効率の改善を通じて、中期的な売上成長に見合った最適なコスト構造の確立を目指します。
④ 経営判断の質の向上
継続的な事業成長を確実なものとすることが経営の重要課題と認識しており、取締役会における議論がより建設的に行われるようにし、健全な世代交代が進められるようにするなど、経営判断の質を向上させる各種取組みを推進してまいります。
⑤ モバイル製品ラインの強化、3D市場の拡大、新興市場への投資によるクリエイティブビジネスの加速
従来のPC向けが中心であった当社の製品ラインに加えて、2014年3月期より発売を開始したモバイル製品ラインは、今後も高い成長が見込まれることから競合環境が激化する中、デジタルデザインの最先端で進化と拡大が進む3Dモデリングや3Dデザイン、3Dプリンティングに対応する機能をいち早く取り込み、当社が競争優位性を有するプロフェッショナルユーザー向けの新製品を2017年3月期に開発・投入し、更なる市場の拡大を見込んでいます。また、さらに、中国、インド、南米といった新興地域においてもデザイン産業の拡大が見込まれております。当社はユーザーのニーズに応える新製品を投入し、グローバルな市場における事業基盤を強化していくことで、クリエイティブビジネスの積極的な拡大を図ってまいります。
⑥ デジタル文具とクラウド統合による新たなコンシューマーユーザーの獲得
近年のモバイル情報機器とソーシャルネットワークの急速な普及と発展によって、コンシューマーのオリジナリティと発信力が大きく拡大しつつあります。また、スマートフォンやタブレットに加えて、アイデアを従来の紙とペンと同様に直感的に書きとめて共有できる新たなデジタル文具へのニーズも高まってきています。当社は、2016年9月にデジタル文具の事業展開をグローバルに推進するためのコンソーシアムを設立し、引き続き多くのパートナー企業とともに、クラウドとの統合による機能強化も含めて、新たなコンシューマー市場の創出に関わってまいります。また、グローバルなWebコミュニケーションの活用により、コンシューマーとモバイルユーザーに対するブランド認知を高め、ユーザーコミュニティーの形成を行ってまいります。
⑦ アクティブES技術と「WILL(Wacom Ink Layer Language)」によるテクノロジーソリューション事業の拡大
テクノロジーソリューション事業においては、2015年4月に量産を開始したアクティブES方式のデジタルペンに顧客の注目が集まっており、採用機種が大幅に増加しています。従来からのEMR方式のデジタルペンに加えて技術の複線化を図ることで、顧客にデジタルペン採用の選択肢を増やし、市場の創出・拡大を図ってまいります。また、当社が開発した「WILL」は、デジタルインクデータを標準化し、OSの違いを越えた交換や共有を可能とするもので、これによりデジタルインクの利用拡大とデジタルペンの更なる普及を促進し、テクノロジーソリューション事業の拡大に寄与することを目指しています。
⑧ 「WILL」とデジタルサインソリューションによるワークフローとセキュリティビジネスの強化
ビジネスソリューション分野では、デジタルサインの利用によるワークフローの効率向上と高いセキュリティーが注目され、今後の拡大が見込まれる一方で、デジタルサイン以外の多様な認証技術の発達やモバイル化を背景に競合も激化しつつあります。これらの市場に対して、当社は、液晶サインタブレット製品だけでなく、当社の強みである「WILL」やサイン認証等のセキュリティ技術を活かしたサインソリューションの魅力を高めて、より迅速で効率的かつ安全な業務フローソリューションを提供してまいります。また、金融・流通分野において、ハードウエア、ソフトウエアが統合したソリューションへの関心が高まっており、事業拡大につなげてまいります。
⑨ グローバルビジネスシステムの活用による効率とスピードと収益性の向上
2016年4月より欧米でグローバルビジネスシステムの中心となる新基幹業務システムを稼働させましたが、当初想定したレベルで「効率とスピードと収益性を向上させるシステム運用」という目標を実現させるまでには至っていません。しかし、グローバル組織のもとで当初の目標を実現できるグローバルビジネスシステムを運用することの有効性は不変と考えており、引き続き、最適なシステムのあり方を検討し、実現の可能性を追求してまいります。
上記戦略の実行に注力する一方で、テクノロジーソリューション事業においては、市場環境と顧客動向の変化が激しいため不確実性が高く、業績が不安定に推移すると予想されます。そのため、ユーザー層の更なる拡大を図り、今後の事業の安定性向上に取り組んでまいります。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は、以下のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、2015年4月に「ワコム戦略経営計画 SBP-2019」(中期経営計画)を策定し、2019年3月期に連結売上高1,200億円、連結売上高営業利益率12%、連結株主資本利益率20%以上を達成することを財務目標としてまいりましたが、当社グループの2016年3月期、2017年3月期の業績は、中期経営計画を大きく下回るものとなりました。
この状況を踏まえ、当社グループは、グローバル基幹業務システムの導入計画見直し等コスト構造の改善に向けた取組みに加え、当社グループの役員候補者の選定基準を定め取締役会に提言することを目的とした指名委員会の設置等経営判断の質の向上に向けた取組みを実施してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社取締役会は独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会を設置し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。
④ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社取締役会は、前記「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。
また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。
(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることを目的として導入されました。
(ハ) 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。
また、当社取締役会は、一定の場合に本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において、株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
(ニ)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
(ホ)当社取締役の任期は1年であること
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期を1年としております。従って、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。
(ヘ)合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
(ト)第三者専門家の意見の取得
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。
(チ)デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買付けた者が指名し、株主総会で選任された取締役により、廃止することができるものとして設計されており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。