有価証券報告書-第37期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 10:26
【資料】
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【項目】
143項目

研究開発活動

当社グループは、中期経営計画「Wacom Chapter2」の達成に向け、「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」としてペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握りつつ、また、持続的な成長を目指し、IoT、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)といった成長分野においても研究開発を推進しております。
当社グループの研究開発体制は、下図のとおりとなっており、活動の内容は、①基礎技術・要素技術の研究、②新製品の企画、商品化開発、③既存製品の改良・改善に大別されます。研究開発部門は、要素技術や製品のシステム構成を反映したグループによって構成されており、それぞれが地域を越えたグローバル組織として構成されています。ハードウェア関連の技術開発、製品開発は国内を中心に行い、クラウドサービスでのデジタルインク関連技術はブルガリア、ドライバーソフトウェアの開発は米国、デジタルサインとセキュリティ関連は英国を中心に開発しています。また、デジタルペンのOEM顧客向けカスタムデザインは台湾でも行うなど、各技術の特徴・要求を考慮した組織を各地域に置き、開発活動を行っております。
新製品の企画・開発においては、製品企画、開発担当に加えて、品質、SCM、マーケティングを交えたプロジェクトチーム制を採用し、地域や組織を越えて柔軟に運用しております。これらにより、グローバルスタンダードとなりうる製品を、企画・開発から市場投入まで一貫して管理し、製品仕様の向上や品質の確保、開発期間の短縮を可能にしております。
0102010_001.png当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない基礎研究費用(52,607千円)が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は4,214,298千円となっております。
①ブランド製品事業
世界の先進ユーザーのニーズを先取りして、グローバルスタンダードとなりうる製品を継続的に市場に提供するため、新規技術・新規製品の開発に積極的に取り組むとともに、ユーザーインターフェイスの分野において知的財産権の拡大を図っております。また、急速に普及しつつあるVRコンテンツのデザインに対応する当社独自のVR空間内での描画ソリューションの開発や、ペンの性能と書き心地のさらなる追求のための次世代ペン技術の開発にも取り組んでおります。
クリエイティブビジネスにおいては、ディスプレイ製品では、2019年7月に「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)22」、2020年1月に「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」を発表するなど、エントリーモデルのラインアップ拡大と強化に取り組みました。ペンタブレット製品では、2019年5月にコンパクトサイズのプロ向けペンタブレット「Wacom Intuos Pro Small(ワコム インテュオス プロ スモール)」を、モバイル製品では、2019年10月に「Wacom MobileStudio Pro 16」、12月に「Wacom MobileStudio Pro 13」を発表し、製品ラインアップを更新しました。
コンシューマビジネスにおいては、2019年6月に、Windows10デバイスでのデジタルインク活用に最適な第2世代のスマートスタイラスペン「Bamboo Ink(バンブー インク)」と「Bamboo Ink Plus(バンブー インク プラス)」を発表しました。
ビジネスソリューションにおいては、フルサイズのドキュメントを縦長又は横長で表示したりサインを行ったりできる、高性能液晶ペンタブレット「DTK-1660E」を発表しました。当社独自のサイン認証技術「GSV(General Signature Verification)」の開発を推進しております。
さらに、デジタルインク技術である「WILL(Wacom Ink Layer Language)」の開発を継続しております。
ブランド製品事業に係る研究開発費は2,034,442千円であります。
②テクノロジーソリューション事業
EMR(Electro Magnetic Resonance)方式ペン・センサー技術に関しては、スマートフォン市場に加えて文教ソリューション及びデジタル文具市場の開拓を図るべく技術開発とソリューション提供を実施しました。アクティブES(Active Electrostatic)方式デジタルペン技術とタッチ技術については、タブレットや 2 in 1 システムでの搭載を拡大し、加えてフォルダブルディスプレイへの搭載に向けての開発にも取り組んでおります。また、OEM顧客のシステムへ当社技術を搭載していくことに加え、ITエコシステムの中で当社ペン技術が「事実上の標準」として位置付けられるように、OS等のプラットフォームパートナーと共にペンのレベルを進化させていく共同取り組みを実施しており、より付加価値の高いソリューションを顧客へご提供できるように取り組んでおります。
テクノロジーソリューション事業に係る研究開発費は2,127,249千円であります。