有価証券報告書-第35期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「for a creative world」をビジョンとして掲げ「創造性に満ちた世界のために、私たちが提供できる技術」として「手書きだからこそ伝えられる気持ち」、「手書きでなくては磨き上げられないアイデア」を、デジタルの力でサポートしてまいりました。この理念の下で更に飛躍すべく、新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、「テクノロジー・リーダーシップ」、「アイランド&オーシャン」、「エクストリーム・フォーカス」という3つの全社戦略を柱とします。
①テクノロジー・リーダーシップ
当社グループではこれまで磨いてきた技術を改めて重視し、「技術を通じて市場での主導権を発揮する」ことを、「Wacom Chapter2」における最も大切な方針と位置付けています。具体的には、デジタルペンを中心としたコアの技術とコアを取り巻く新技術の取り込みに対する投資を増やし、製品開発に携わる技術者(エンジニア)だけでなく、お客様との窓口にエンジニアを再配置し、お客様との対話を充実させニーズを正確に汲み取り、最高の技術を提供することで最高の感動を届けます。
②アイランド&オーシャン
デジタルペンやデジタルインクの普及に伴い、「手書き」に対する市場の関心が高まる中、当社グループ全体の成長を導いていく戦略として「深耕と普及」を掲げます。「アイランド」は特定のお客様に最高の技術と品質で最高の感動を届ける「深耕」戦略を意味し、「オーシャン」はデジタルペン及びデジタルインクで当社グループの技術を市場全体へ拡大する「普及」戦略を意味します。二つの戦略を使い分けつつ、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業が、市場へのアプローチにおいて目指すべき方向性を明らかにし、各々の事業の垣根を超えて緊密な連携を図ります。これにより新たな知見を生み出しやすくすることで、イノベーションの加速を推進します。また、2022年3月期連結売上高の1割程度を目安に新たな事業領域を開拓し、持続的な成長を達成する基盤づくりを並行して進めていきます。
③エクストリーム・フォーカス
会社の限られた経営資源を効率的、効果的に活用するため「大胆な選択と集中」を行います。お客様との対話を促す活動や技術革新への投資を積極的に行う一方で、それ以外の投資を最適化することで、安定的に利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
(2)経営環境
2019年3月期において、世界経済は、各国の財政・金融政策により引き続き景気拡大が見込まれているものの、先行きとしては、米国における保護主義の台頭、英国のEU離脱交渉の不確実性、中東・アジアなどでの地政学上の緊張といった景気後退のリスクが世界経済に与える影響が懸念されます。為替の動向は、当面は対ドル、対ユーロともに不安定な展開が持続していくものと見込まれており、企業業績に与える影響に不透明感をもたらしています。一方で、IT市場は、IoT(モノのインターネット)によるデータソースの多様化、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークなどの技術革新に伴う情報処理の低価格化、利用の容易化がさらに進んでいくことが見込まれています。
(3)目標とする経営指標
このような状況下、前述の3つの戦略を柱に、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標とします。(想定為替レート:1ドル105円、1ユーロ130円)
(4)会社の対処すべき課題
①「テクノロジー・リーダーシップ」の推進
a. 最高技術責任者(CTO)による牽引
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)のリーダーシップと戦略推進チーム(CTOオフィス)との協働により、基幹技術の開発に加えて、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/MR(複合現実)などの先端技術との融合、新しい技術の創出といった技術の方向性(ロードマップ)を提示し、「テクノロジー・リーダーシップ」を牽引します。
b. エンジニアの増員と研究開発投資の引き上げ
エンジニアの採用を強化し増員を図るとともに、お客様の窓口となる組織へのエンジニアを再配置し、お客様の声を製品開発に反映させます。また、持続的な成長の観点から、コアとなる基礎技術の革新や先端技術との融合にも注力すべく、研究開発投資を積極的に行いイノベーションを加速させます。
c. 品質管理体制の見直しと強化
品質管理体制の強化と相互牽制体制強化のため、品質管理部門をCEOの直下に配置し、製品開発から製造工程に至る各段階において、相互に機能を高め合う体制を整備します。
また、出荷後の製品に対する品質モニタリング・システムと分析データの活用により、お客様の満足度向上と、製品設計の安定化促進や循環的な品質向上プロセスの強化を図ります。
d. デジタルインクのビッグデータへの活用
当社のデジタルペンから生み出されるデジタルインク(データ)は、「いつ、誰が、どこで、どんな状況で、どのような思いでこれを描(書)いたのか」という人間の軌跡を表すビッグデータであると認識し、インターネット技術やビッグデータとの組み合わせにより、VR/MRやAIといった最先端技術との連携を推進し、新しいデジタルペンの体験と価値を提供することを目指します。
②「アイランド&オーシャン」による緊密な連携
a. 「アイランド&オーシャン」戦略の背景
大手グローバルIT企業を中心に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの様々なデバイスにデジタルペンを付属させる動きが強まる中、中長期的にデジタルペンとデジタルインクを取り巻く市場への爆発的な普及期の到来に備え、プロフェッショナルユーザーを中心とするクリエイティビティ発揮のための最高品質体験を追求する深耕戦略(アイランド)と、デジタルペンとデジタルインクの技術のデファクトスタンダード化(事実上の標準化)を推し進める普及戦略(オーシャン)を使い分け、グループ全体の持続的な成長を目指します。
b. 創造性を追求するお客様へ最高のソリューションを提供(アイランド)
プロフェッショナルユーザーを対象としたクリエイティブビジネスの市場でも、3D技術の利用を含めた映画、コミックやゲームアプリケーションなどのデジタルコンテンツ製作が増加し、新興国を中心に新規参入企業が増加しています。このような潮流に対し、3Dプログラム/アプリケーション操作に対応した製品をリリースするなど、ユーザーのニーズに即した製品をいち早く市場に投入するとともに、圧倒的な品質と最高のサービスを提供することで、競争優位を維持していきます。VR向け3Dモデリングツールを開発する英国のソフトウェア会社Gravity Sketch Limited(グラビティ・スケッチ)に投資し、VR/MRなど先端技術との融合を目指していますが、今後、外部の技術を取り込むオープンイノベーションを通じた製品の共同開発も進めていきます。個々のお客様との密接な相互コミュニケーション実現のため、Wacom IDを導入し、きめ細かなカスタマーサポートを提供し、当社グループが提供するクラウドサービス(Inkspace)や電子商取引サービス(Marketplace)と共に、お客様のクリエイティブ活動を強力にサポートするワークフローを提案します。
c. デジタルペンとデジタルインクの技術の業界標準化(オーシャン)
当社グループの強みであるデジタルペンとデジタルインクの技術を活用し、パートナーとして関連市場に参入している大手グローバルIT企業と共に、当該技術の業界標準確立を目指しています。この一環として、2014年から当社のデジタルペンが他社の機器上でも作動する「ユニバーサル・ペン・フレームワーク(UPF)」を推進し、OEM各社や主要IT企業とともに互換性の確保に努めてきた結果、デジタルペン「Bamboo Ink」をコンシューマ向けの市場に導入し、Windowsデバイスにおいて初めて互換性を実現しました。今後さらに、オペレーティングシステム(OS)に左右されないデジタルペン向けカートリッジの量産体制を確立し、文具メーカーのデジタル化の動きなど他業界の新規市場の創出を支援、促進するビジネスを活性化させていきます。また、デジタル文具の普及や市場の発展推進のために設立した非営利団体「デジタルステーショナリーコソーシアム(DSC)」を通じて、OS間の垣根を超えた互換性を実現するデジタルインク技術「WILL™(Wacom Ink Layer Language)」の普及を推進しており、ビッグデータとしてのビジネス用途拡大の可能性を軸に、新しい価値の創造と普及を加速させていきます。
③「エクストリーム・フォーカス」に基づく行動の徹底
a. 利益重視の経営
お客様との対話を起点に、最高の体験を届けるために必要か否かを判断基準とし、経営資源の「大胆な選択と集中」を進めます。エンジニアの増員や研究開発に関する投資を積極的に行うと同時に、費用の最適化を通じて全体のコスト構造の改善につなげ、適切な売上成長との組み合わせにより安定的な利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
b. パートナー企業との関係強化
研究開発、資材調達、生産、流通、販売・マーケティング、アフターサービス等の各オペレーションにおいて、パートナー企業との関係強化を図ります。各パートナー企業との関係構築を通じて、より広範で深い知見を共有しオペレーション品質の向上を図ります。
c. グローバルビジネスシステムプロジェクトに関する今後の方針
2016年4月に欧米の子会社での運用を開始した新基幹システムの稼働について一部の投資資産の減損処理を2017年3月期に行いました。現在、日本及びアジア地域の子会社を中心に稼働している基幹システムと欧米で稼働を始めた新基幹システムが併存した運用体制となっています。グローバル組織に対応したグローバルビジネスシステムを運用することの有効性は変わりませんが、中期経営計画においては基幹システムの変更に伴う大規模なシステム投資は想定しておらず、最適なシステムのあり方を検討し、実現可能性を追求してまいります。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は、以下のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、2018年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標としております。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社取締役会は独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会を設置し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。
④当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社取締役会は、前記「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。
また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。
(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることを目的として導入されました。
(ハ) 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。
また、当社取締役会は、一定の場合に本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において、株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
(ニ)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
(ホ)当社取締役の任期は1年であること
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期を1年としております。従って、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。
(ヘ)合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
(ト)第三者専門家の意見の取得
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。
(チ)デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買付けた者が指名し、株主総会で選任された取締役により、廃止することができるものとして設計されており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「for a creative world」をビジョンとして掲げ「創造性に満ちた世界のために、私たちが提供できる技術」として「手書きだからこそ伝えられる気持ち」、「手書きでなくては磨き上げられないアイデア」を、デジタルの力でサポートしてまいりました。この理念の下で更に飛躍すべく、新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、「テクノロジー・リーダーシップ」、「アイランド&オーシャン」、「エクストリーム・フォーカス」という3つの全社戦略を柱とします。
①テクノロジー・リーダーシップ
当社グループではこれまで磨いてきた技術を改めて重視し、「技術を通じて市場での主導権を発揮する」ことを、「Wacom Chapter2」における最も大切な方針と位置付けています。具体的には、デジタルペンを中心としたコアの技術とコアを取り巻く新技術の取り込みに対する投資を増やし、製品開発に携わる技術者(エンジニア)だけでなく、お客様との窓口にエンジニアを再配置し、お客様との対話を充実させニーズを正確に汲み取り、最高の技術を提供することで最高の感動を届けます。
②アイランド&オーシャン
デジタルペンやデジタルインクの普及に伴い、「手書き」に対する市場の関心が高まる中、当社グループ全体の成長を導いていく戦略として「深耕と普及」を掲げます。「アイランド」は特定のお客様に最高の技術と品質で最高の感動を届ける「深耕」戦略を意味し、「オーシャン」はデジタルペン及びデジタルインクで当社グループの技術を市場全体へ拡大する「普及」戦略を意味します。二つの戦略を使い分けつつ、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業が、市場へのアプローチにおいて目指すべき方向性を明らかにし、各々の事業の垣根を超えて緊密な連携を図ります。これにより新たな知見を生み出しやすくすることで、イノベーションの加速を推進します。また、2022年3月期連結売上高の1割程度を目安に新たな事業領域を開拓し、持続的な成長を達成する基盤づくりを並行して進めていきます。
③エクストリーム・フォーカス
会社の限られた経営資源を効率的、効果的に活用するため「大胆な選択と集中」を行います。お客様との対話を促す活動や技術革新への投資を積極的に行う一方で、それ以外の投資を最適化することで、安定的に利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
(2)経営環境
2019年3月期において、世界経済は、各国の財政・金融政策により引き続き景気拡大が見込まれているものの、先行きとしては、米国における保護主義の台頭、英国のEU離脱交渉の不確実性、中東・アジアなどでの地政学上の緊張といった景気後退のリスクが世界経済に与える影響が懸念されます。為替の動向は、当面は対ドル、対ユーロともに不安定な展開が持続していくものと見込まれており、企業業績に与える影響に不透明感をもたらしています。一方で、IT市場は、IoT(モノのインターネット)によるデータソースの多様化、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークなどの技術革新に伴う情報処理の低価格化、利用の容易化がさらに進んでいくことが見込まれています。
(3)目標とする経営指標
このような状況下、前述の3つの戦略を柱に、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標とします。(想定為替レート:1ドル105円、1ユーロ130円)
(4)会社の対処すべき課題
①「テクノロジー・リーダーシップ」の推進
a. 最高技術責任者(CTO)による牽引
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)のリーダーシップと戦略推進チーム(CTOオフィス)との協働により、基幹技術の開発に加えて、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/MR(複合現実)などの先端技術との融合、新しい技術の創出といった技術の方向性(ロードマップ)を提示し、「テクノロジー・リーダーシップ」を牽引します。
b. エンジニアの増員と研究開発投資の引き上げ
エンジニアの採用を強化し増員を図るとともに、お客様の窓口となる組織へのエンジニアを再配置し、お客様の声を製品開発に反映させます。また、持続的な成長の観点から、コアとなる基礎技術の革新や先端技術との融合にも注力すべく、研究開発投資を積極的に行いイノベーションを加速させます。
c. 品質管理体制の見直しと強化
品質管理体制の強化と相互牽制体制強化のため、品質管理部門をCEOの直下に配置し、製品開発から製造工程に至る各段階において、相互に機能を高め合う体制を整備します。
また、出荷後の製品に対する品質モニタリング・システムと分析データの活用により、お客様の満足度向上と、製品設計の安定化促進や循環的な品質向上プロセスの強化を図ります。
d. デジタルインクのビッグデータへの活用
当社のデジタルペンから生み出されるデジタルインク(データ)は、「いつ、誰が、どこで、どんな状況で、どのような思いでこれを描(書)いたのか」という人間の軌跡を表すビッグデータであると認識し、インターネット技術やビッグデータとの組み合わせにより、VR/MRやAIといった最先端技術との連携を推進し、新しいデジタルペンの体験と価値を提供することを目指します。
②「アイランド&オーシャン」による緊密な連携
a. 「アイランド&オーシャン」戦略の背景
大手グローバルIT企業を中心に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの様々なデバイスにデジタルペンを付属させる動きが強まる中、中長期的にデジタルペンとデジタルインクを取り巻く市場への爆発的な普及期の到来に備え、プロフェッショナルユーザーを中心とするクリエイティビティ発揮のための最高品質体験を追求する深耕戦略(アイランド)と、デジタルペンとデジタルインクの技術のデファクトスタンダード化(事実上の標準化)を推し進める普及戦略(オーシャン)を使い分け、グループ全体の持続的な成長を目指します。
b. 創造性を追求するお客様へ最高のソリューションを提供(アイランド)
プロフェッショナルユーザーを対象としたクリエイティブビジネスの市場でも、3D技術の利用を含めた映画、コミックやゲームアプリケーションなどのデジタルコンテンツ製作が増加し、新興国を中心に新規参入企業が増加しています。このような潮流に対し、3Dプログラム/アプリケーション操作に対応した製品をリリースするなど、ユーザーのニーズに即した製品をいち早く市場に投入するとともに、圧倒的な品質と最高のサービスを提供することで、競争優位を維持していきます。VR向け3Dモデリングツールを開発する英国のソフトウェア会社Gravity Sketch Limited(グラビティ・スケッチ)に投資し、VR/MRなど先端技術との融合を目指していますが、今後、外部の技術を取り込むオープンイノベーションを通じた製品の共同開発も進めていきます。個々のお客様との密接な相互コミュニケーション実現のため、Wacom IDを導入し、きめ細かなカスタマーサポートを提供し、当社グループが提供するクラウドサービス(Inkspace)や電子商取引サービス(Marketplace)と共に、お客様のクリエイティブ活動を強力にサポートするワークフローを提案します。
c. デジタルペンとデジタルインクの技術の業界標準化(オーシャン)
当社グループの強みであるデジタルペンとデジタルインクの技術を活用し、パートナーとして関連市場に参入している大手グローバルIT企業と共に、当該技術の業界標準確立を目指しています。この一環として、2014年から当社のデジタルペンが他社の機器上でも作動する「ユニバーサル・ペン・フレームワーク(UPF)」を推進し、OEM各社や主要IT企業とともに互換性の確保に努めてきた結果、デジタルペン「Bamboo Ink」をコンシューマ向けの市場に導入し、Windowsデバイスにおいて初めて互換性を実現しました。今後さらに、オペレーティングシステム(OS)に左右されないデジタルペン向けカートリッジの量産体制を確立し、文具メーカーのデジタル化の動きなど他業界の新規市場の創出を支援、促進するビジネスを活性化させていきます。また、デジタル文具の普及や市場の発展推進のために設立した非営利団体「デジタルステーショナリーコソーシアム(DSC)」を通じて、OS間の垣根を超えた互換性を実現するデジタルインク技術「WILL™(Wacom Ink Layer Language)」の普及を推進しており、ビッグデータとしてのビジネス用途拡大の可能性を軸に、新しい価値の創造と普及を加速させていきます。
③「エクストリーム・フォーカス」に基づく行動の徹底
a. 利益重視の経営
お客様との対話を起点に、最高の体験を届けるために必要か否かを判断基準とし、経営資源の「大胆な選択と集中」を進めます。エンジニアの増員や研究開発に関する投資を積極的に行うと同時に、費用の最適化を通じて全体のコスト構造の改善につなげ、適切な売上成長との組み合わせにより安定的な利益を生み出す「利益重視の経営」を目指します。
b. パートナー企業との関係強化
研究開発、資材調達、生産、流通、販売・マーケティング、アフターサービス等の各オペレーションにおいて、パートナー企業との関係強化を図ります。各パートナー企業との関係構築を通じて、より広範で深い知見を共有しオペレーション品質の向上を図ります。
c. グローバルビジネスシステムプロジェクトに関する今後の方針
2016年4月に欧米の子会社での運用を開始した新基幹システムの稼働について一部の投資資産の減損処理を2017年3月期に行いました。現在、日本及びアジア地域の子会社を中心に稼働している基幹システムと欧米で稼働を始めた新基幹システムが併存した運用体制となっています。グローバル組織に対応したグローバルビジネスシステムを運用することの有効性は変わりませんが、中期経営計画においては基幹システムの変更に伴う大規模なシステム投資は想定しておらず、最適なシステムのあり方を検討し、実現可能性を追求してまいります。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は、以下のとおりであります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社グループの目的である創造性にあふれる活き活きとした世界を実現し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的に向上させるためには、知的財産の拡大、付加価値の高い技術と製品の実現とともに、グローバルな企業文化の育成、競争力の高いグローバルな事業モデルの強化など長期的な事業成長と価値の向上への取組みが必要と考えています。また、その前提として、株主の皆様、お客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの安定的な関係の構築が必要と考えています。
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株券等の大量買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。
②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社グループは、2018年5月に新たな中期経営計画「Wacom Chapter2」を策定し、2022年3月期において、連結営業利益率10%、連結売上高1,000億円、連結株主資本利益率15%から20%を達成することを目標とする経営指標としております。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要(買収防衛策)
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しました。
本プランは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付又は公開買付けを実施しようとする買付者には、必要な情報を事前に当社取締役会に提出していただきます。一方、当社取締役会は独立性の高い(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)社外の有識者のいずれかに該当する委員3名以上で構成される独立委員会を設置し、独立委員会は外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の検討、株主の皆様への情報開示と当社取締役会による代替案の提示、買付者との交渉等を行います。買付者が本プランの手続を遵守しない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると独立委員会が判断した場合は、対抗措置の発動(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当ての実施)を取締役会に勧告します。
④当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み及び本プランがいずれも基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社取締役会は、前記「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要」についての各施策はいずれも当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させることを目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。
また、当社取締役会は、本プランは基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。その理由は以下の(イ)ないし(チ)に記載のとおりです。
(イ) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
(ロ) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることを目的として導入されました。
(ハ) 株主意思を重視するものであること
本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任に関する議案が承認されることにより導入されました。
また、当社取締役会は、一定の場合に本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において、株主の皆様の意思を確認することとしています。さらに、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
(ニ)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本プランの発動に際しては、独立性の高い社外取締役から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとしています。さらに、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家等の助言を受けることができるものとされており、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
(ホ)当社取締役の任期は1年であること
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期を1年としております。従って、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能となります。
(ヘ)合理的な客観的要件の設定
本プランは、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
(ト)第三者専門家の意見の取得
買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとしています。
(チ)デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株券等を大量に買付けた者が指名し、株主総会で選任された取締役により、廃止することができるものとして設計されており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、いわゆるスローハンド型買収防衛策でもありません。