有価証券報告書-第85期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/23 15:00
【資料】
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【項目】
151項目

対処すべき課題

文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1) 当社グループの現状認識
市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動等、かつてないスピードで起こる変革の時代において、社会や顧客の要望はますます複雑化・多様化しており、その変化への対応が強く要求されております。さらに、事業がグローバルに拡大し、さまざまな分野で変革が進む中、事業環境を取り巻くリスクにも対応していく必要があります。このような中、当社グループは、以下のような課題に対し適切に対処してまいります。
① 自動車部品事業
新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動制限は緩和されつつありますが、長期化する自動車向け半導体の供給不足やウクライナ情勢の長期化に連動した原材料・エネルギー費の高止まり等により、自動車業界、並びに当社グループ事業に多大な影響が及んでおります。加えて、世界的なインフレ、各国での金利上昇などに伴う景気後退の懸念や急激な為替変動など、事業を取り巻く不透明な環境は継続し、正常な状態に戻るには相応の時間を要するものと予測されます。
② セキュリティ機器事業
セキュリティ機器事業の主力市場である住宅市場においては、従来からの人口減少や低い経済成長率、更に住宅資材高騰により長期的な住宅着工戸数のダウントレンドは変わらないものの、リフォーム市場では住宅ストックの省エネ化の推進を図るために国や地方自治体からの支援事業が制度化されております。また、新たな住宅のニーズとしてスマートハウス化が顕在化し、住宅設備のIoT化により居住者へのサービス向上と新たな価値提供が求められてきております。一方、電子部品や原材料の供給不足と価格高騰、ウクライナ危機などの影響による原油・エネルギーコスト・輸送コスト、為替の影響によるコストの上昇が、当社及びサプライチェーンに引き続き影響が及んでおります。
(2) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「個々の質を高め、お客様に喜ばれる価値を創造・提供します」の経営理念のもと、「Innovation for Access」を企業メッセージとして掲げております。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、更なる企業価値の向上を測る尺度として、2023~2026年度の中期経営計画において、成長・安定・持続をキーワードに「新事業・新商品開発」、「収益基盤の強化」、そして「サステナビリティ経営の推進」を3つの基本方針に掲げ、計画目標を達成させるべく推進してまいります。
・2026年度中期経営計画 目標値
(業績目標)
・売上高 850億円
・営業利益額(率) 55億円(6.5%)
(目標とする経営指標)
・新商品売上高比率 30%以上
・自己資本比率 50%
・ROIC 8%以上
(4) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、本年、2023~26年中期経営計画の初年度となります。ALPHA WAYに掲げる経営理念「個々の質を高め、お客様に喜ばれる価値を創造・提供します」をグループ全員で共有し実践してまいります。
また、当社グループに携わるすべての関係者のコンプライアンス意識を向上させることに努め、企業としての社会的責任を果たしてまいります。さらに人の暮らしに関わるアクセスをもっと安心で便利にという意味を込めた企業メッセージ「Innovation for Access」を実現すべく、また中長期経営構想『アルファビジョン2030』に向けグループ一丸となって更なる努力と精進を重ね、お客様から信頼される『アルファブランド』の確立を目指します。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 自動車部品事業
当社グループの自動車部品事業では、あらゆるロス削減や徹底した合理化活動等を通じて事業への影響を極小化していくとともに、中長期経営構想『アルファビジョン2030』に向け、戦略的な投資の実行と成長戦略の具現化に全力を挙げてまいります。
② セキュリティ機器事業
当社の住設機器部門では、上記の状況・サプライチェーンの問題による影響を極小化していくとともに、居住者へのサービス、付加価値を向上させた電気錠の新商品開発を継続し、電気錠市場において国内シェアを拡大させてまいります。また、タイの製造拠点においては、昨年までの工場拡大に加えて、自動化を推進し、生産能力の増強に取り組んでまいります。
ロッカーシステム部門では、コロナ禍における多様な生活スタイルを受けて、ターミナルロッカーの更なるキャッシュレス対応機器の導入、及び利用時間に応じた課金運用の拡大等によるお客様の利便性向上を一層進めてまいります。同時に、生活スタイルが日常に戻り外出する機会が増え、インバウンドの回復に伴う荷物預かり需要の急拡大に対応すべく、新たな製品やサービスの開発を行ってまいります。また、持続可能な社会に向けた取組みとして、特に再配達削減を通じたCO2削減や、フードロス削減に適応した製品やサービスの開発も積極的に行ってまいります。
③ 財務上の課題
当社グループの主な資金需要には、営業活動上の運転資金に加え、投資及び有形固定資産の取得等があります。当社グループの資金に対する基本的な考え方は、新規投資の資金を、営業取引収入、資産の売却・回収、及び財務健全性を維持しながら借入金や社債等により調達することで賄うというものです。
当連結会計年度は低下した財務健全性を向上させる施策を推進いたしました。翌連結会計年度以降は引き続き財務健全性を担保しつつ、必要な投資案件には機動的に対応できる「攻めの財務」への転換を進めてまいります。