臨時報告書

【提出】
2020/10/08 14:14
【資料】
PDFをみる

提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する当社の特別支配株主である住友ベークライト株式会社(以下「住友ベークライト」といいます。)から、会社法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2020年10月8日開催の当社取締役会によって本株式売渡請求を承認する旨の決議をいたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本株式売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2020年10月8日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号住友ベークライト株式会社
本店の所在地東京都品川区東品川二丁目5番8号
代表者の氏名代表取締役社長 藤原 一彦

(3)当該通知の内容
当社は、住友ベークライトから、2020年10月8日付で、会社法第179条第1項に基づき、当社の株主(但し、住友ベークライト及び当社を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)の全員に対し、その所有する当社の普通株式(以下「当社株式」といい、本売渡株主が所有する当社株式を、以下「本売渡株式」といいます。)の全部を住友ベークライトに売り渡すことを請求する旨の通知を受領いたしました。当該通知の内容は、以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号及び第3号)
住友ベークライトは、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本株式売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき1,700円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2020年10月30日
⑤ 本株式売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
住友ベークライトは、本株式売渡対価の全てを、住友ベークライトが保有する現預金によりお支払いいたします。住友ベークライトは、本日現在において、本株式売渡対価の支払いのための資金に相当する額の銀行預金を有しております。また、住友ベークライトにおいて、本株式売渡対価の支払いに影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も現在認識しておりません。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本株式売渡対価は、取得日後合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、本株式売渡対価の交付について当社の本店所在地にて当社の指定した方法により(本株式売渡対価の交付について住友ベークライトが指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本株式売渡対価を支払うものとします。
2.本株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2020年10月8日
(2)当該決定がされた年月日
2020年10月8日
(3)当該決定の内容
住友ベークライトからの通知のとおり、同社による本株式売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
本株式売渡請求は、当社を住友ベークライトの完全子会社とすることを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本株式売渡対価は、住友ベークライトが2020年8月3日から実施した当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)における当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。
本公開買付けに関し、当社が2020年8月3日に提出いたしました意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社は、以下のとおり判断し、2020年7月31日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、上記取締役会決議の方法については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
当社は、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け成立後の経営方針」に記載のとおり、2019年10月25日に住友ベークライトから、完全子会社化に係る検討を開始したい旨の打診を受けたことを契機として、本公開買付価格を含む本取引における諸条件の公正性を担保すべく、2020年2月上旬、本取引に関して当社及び住友ベークライトから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)をそれぞれ選任するとともに、第三者算定機関である野村證券に対し、当社株式に係る株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の提出を依頼いたしました。なお、野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。
その後、2020年3月26日、住友ベークライトから、当社に対し、公開買付けを通した完全子会社化の具体的な意向表明書が提出されました。これを受けて、当社は、本取引が当社の主要株主かつ筆頭株主による持分法適用関連会社の買収に該当し、住友ベークライトと当社又は当社の一般株主との間に構造的な利益相反が存することに鑑み、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程全般に亘ってその公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所の法的助言を受け、速やかに、住友ベークライトから独立した立場で本取引について検討・交渉等を行うための特別委員会(当該特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置する旨を2020年4月23日開催の取締役会にて決議いたしました。また、当社は、2007年4月26日付取締役会決議により、「当社株券等の大量買付行為に関する対応策」を導入して以降、当社の株主の承認のもと更新し、新たな「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本買収防衛策」といいます。)の導入及びその継続を重ね、現在に至っておりますが、上記2020年4月23日開催の取締役会において、2019年3月20日、当社と住友ベークライトが締結した資本業務提携契約に基づく資本業務提携に係る交渉経緯やその後の住友ベークライトとの友好な関係に鑑み、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保し、住友ベークライトとの交渉の機会を確保すること等が期待できることから、本取引に係る提案は、少なくとも同日時点においては、本買収防衛策に従った手続を実施する必要性はないと判断したため、本取引に係る提案は本買収防衛策の発動に係る手続が必要となる「買付等」に該当しないものとして予め承認する旨を決議いたしました。
また、当社は、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から本公開買付けにおける意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を受け、また、フィナンシャル・アドバイザーとしての野村證券から財務的見地等に関する助言及び支援を受けてまいりました。当社は、2020年6月25日、住友ベークライトより、本公開買付価格を1,250円とする旨の本取引に係る提案を受領した後、住友ベークライトとの交渉を開始し、上記の助言等を踏まえ、住友ベークライトとの間で複数回に亘り協議・交渉を行いました。さらに、当社は、住友ベークライトとの間の本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき特別委員会に適時に報告し、また、特別委員会との間で随時方針等を協議しつつ、住友ベークライトとの協議・交渉を進めてまいりました。具体的には、当社は、住友ベークライトより、2020年6月25日に本公開買付価格に関する最初の提案(1株当たり1,250円)を受領したものの、2020年6月30日に、住友ベークライトに対して、妥当な価格に達していないとの理由で、提案内容の再検討を要請いたしました。その後、当社は、住友ベークライトより、2020年7月3日及び同月14日に本公開買付価格を1,500円前後としたい旨の提案を順次受領しましたが、いずれの提案に対しても、いまだ妥当な価格に達していないとして、提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、住友ベークライトより、同月21日に、本公開買付価格を1,700円とする旨の最終提案を受領し、同月22日、当社と住友ベークライトは、本公開買付価格を1,700円とすることで合意に至りました。
その後、当社は、2020年7月30日付で野村證券より当社株式価値算定書を取得し、また、特別委員会から同日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております。本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。
その上で、当社取締役会は、森・濱田松本法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言及び当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引における諸条件は妥当なものであるか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は、住友ベークライトの完全子会社となり、より一層連携を深め、当社が住友ベークライトの有する経営資源をより一層活用する等により、以下のとおり、シナジーの創出を見込むことができると認識しております。
(ⅰ)研究開発力の強化
当社は、血管内分野(注1)及び消化器分野(注2)の拡大が当社の企業価値向上のドライバーであると考えていることから、研究開発型企業として同分野での新製品開発に注力しております。当社が住友ベークライトの完全子会社となり、両社が保有する医療機器製品の情報を従来以上に共有できるようになることによって、医療現場からの新たなニーズを把握することや医療機器製品の開発のノウハウを新たに取得することがより実現しやすくなるため、当社では、次世代医療機器の開発の促進及び効率化並びに承認取得・販売開始までの期間短縮化が可能になるものと考えております。特に、両社で重複する研究開発テーマについては、単独で取り組む場合と比べて効率的に取り組むことができると考えております。また、住友ベークライトが保有するポリマー分析・評価技術の活用、及び住友ベークライトの研究開発人員・設備・管理体制等の機能の提供を受けることにより、既存製品への技術の展開、及び技術を応用した新規開発テーマ創出の可能性が拡がり、当社の医療機器開発は一層促進されると考えております。
(注1) 血管内分野とは、開胸・開腹をせず、カテーテル等を使用し、血管の中から疾患を治療するために使用される医療機器の分野を指します。
(注2) 消化器分野とは、癌腫瘍等による胆管や大腸等の消化器の狭窄を改善するための治療に使用される医療機器の分野を指します。
(ⅱ)営業体制の強化
当社が住友ベークライトの完全子会社となることで、当社及び住友ベークライトが有する国内の営業拠点の相互活用が可能となると考えていることや、両社が販売する医療機器製品の重複が少なく、胆管用メタリックステント(注3)のみであることから、両社の製品ラインナップの拡充及び当社と住友ベークライトの製品のクロスセル(注4)による売上拡大が実現されると考えております。また、当社は新製品の海外展開に向けた体制強化、ステントグラフト(注5)の欧州での販売拡大等のグローバル展開の加速を重点施策として掲げているところ、住友ベークライトが有する海外の営業・マーケティング拠点を活用することでグローバル展開を一層促進することができると考えております。
(注3) 胆管用メタリックステントとは、胆管の閉塞を解除させることを目的として使用される金属でできた骨組み(ステント)を指します。
(注4) クロスセルとは、相互に、相手方の関連製品を自社の顧客に販売することを指します。
(注5) ステントグラフトとは、金属でできた骨組み(ステント)に人工血管(グラフと)を縫い付けた医療機器を指します。
(ⅲ)生産活動の効率化
当社は当社の製品に係る国内外生産の一元管理を開始する等、各工場における医療機器製品の製造、物流及び在庫管理を含む生産活動の効率化を進めているところ、当社が住友ベークライトの完全子会社となり、住友ベークライトが有する生産管理システム、管理体制のノウハウを参考に当社の生産活動を改善することによって、生産活動をより一層効率化することができると考えております。
(ⅳ)住友ベークライトの経営資源の活用
当社の持続的な企業価値向上のためには、研究開発力の強化を始めとした事業活動の強化により利益成長を図ることに加え、ガバナンス、人事制度及びシステムといった経営管理機能を維持向上させ、とりわけ、近年要請が高まっているESG(注6)やSDGs(注7)等の取り組みを強化することにより、企業の社会的責任を果たしていくことが必要だと考えておりますが、当社単独での取り組みでは、経営資源の制約を踏まえた対応を選択せざるを得ないものと考えております。当社が住友ベークライトの完全子会社となり、住友ベークライトの人材及び管理体制等の経営資源を有効に活用することにより、こうした社会的責任を果たしていくための経営管理機能の抜本的な強化が可能になるものと考えております。
(注6) ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った、企業の長期的な成長のために必要な三つの観点のことを指します。
(注7) SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な社会を実現するための国際社会における共通の目標を指します。
上記企業価値向上のための各種施策を実施するに際しては、相当規模の投資が必要となり、具体的には、血管内分野及び消化器分野における新製品の開発・承認取得・販売開始までのスピードを加速化させるために、当社は、2021年10月、交通アクセスの良い川崎市殿町国際戦略拠点に、開発に関連する業務及び本社機能を集約した研究開発施設を新設する予定ですが、これらの投資は、短期的には利益水準の悪化につながる可能性があり、また、中長期的に収益向上を実現できない場合には企業価値を下落させる可能性があると考えております。当社が住友ベークライトの完全子会社になることにより、こうした株主の皆様へのリスク負担を回避しつつ、各種施策の実行や住友ベークライトの資本力を活用した更なる追加投資が可能となると考えております。さらには、監査費用等の上場維持に必要なコストの軽減も見込まれます。
以上より、本取引により住友ベークライトの完全子会社となり、住友ベークライトとのさらなる連携強化を図ることは、当社の中長期的な企業価値向上に資するものであると考えております。
また、(ⅰ)本公開買付価格が、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」に記載のとおり、野村證券による当社の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果の範囲を上回っており、また、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法の算定結果の範囲内にあること、(ⅱ)本公開買付価格が、株式会社東京証券取引所市場第二部における、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2020年7月30日の当社株式の終値805円に対して111.18%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間(2020年7月1日から同年7月30日まで)の終値単純平均値840円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して102.38%、同日までの過去3ヶ月間(2020年5月1日から2020年7月30日まで)の終値単純平均値862円に対して97.22%、同日までの過去6ヶ月間(2020年1月31日から2020年7月30日まで)の終値単純平均値930円に対して82.80%のプレミアムがそれぞれ加算されており、連結子会社又は持分法適用関連会社の完全子会社化を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアム水準との比較においても相応のプレミアムが付されていると考えられること(なお、当社は、2020年4月23日付で公表した「2020年3月期連結業績予想の修正に関するお知らせ」において、2020年3月期の連結業績予想を下方修正しておりますが、当該公表による株価への影響は限定的であったことから、過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間に加えて、過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムを考慮することは合理的であると判断しております。)、(ⅲ)本公開買付価格の決定に際しては、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)本公開買付価格が、上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と住友ベークライトとの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われ、より具体的には野村證券による当社の株式価値に係る算定結果の内容及び特別委員会との協議等を踏まえながら、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案された価格であること、(ⅴ)本公開買付価格は、当社の2020年6月30日現在の簿価純資産から算出した1株当たり純資産額を下回っているものの、当社株式価値の算定にあたっては当社が継続企業であることを前提とすべきところ、1株当たり純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではなく、また、清算のための相当な追加コストの発生等を考慮すると、必ずしも簿価純資産額がそのまま換価されるわけでもないと考えられること等を踏まえ、2020年7月31日開催の取締役会において、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して、相当なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2020年7月31日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。また、当社は、2020年7月31日開催の取締役会において、上記決議と併せて、本取引に係る提案について、本取引の交渉過程においては、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保し、住友ベークライトとの交渉の機会を確保すること等ができたと考えることから、本買収防衛策に従った手続を実施する必要性はなく、2020年4月23日開催の取締役会において決定した、本取引に係る提案は本買収防衛策の発動に係る手続が必要となる「買付等」に該当しないものとして承認する旨の決議に変更はない旨を改めて決議いたしました。
当該取締役会の意思決定過程の詳細については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
その後、当社は、2020年10月1日、住友ベークライトより、本公開買付けの結果について、当社株式15,142,598株の応募があり、その全てを取得することとなった旨の報告を受けました。この結果、2020年10月7日(本公開買付けの決済の開始日)付で、住友ベークライトが所有する当社の議決権所有割合(注8)は96.31%となり、住友ベークライトは、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注8) 議決権所有割合とは、当社が2020年7月31日に提出した「2021年3月期 第1四半期決算短信[日本基準](連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2020年6月30日現在の発行済株式総数(22,948,003株)から、当社決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(2,279,844株)を控除した株式数(20,668,159株)に係る議決権の数(206,681個)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。)をいいます。
このような経緯を経て、当社は、住友ベークライトより、2020年10月8日付で、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受領いたしました。
そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議、検討いたしました。
その結果、当社は、本日開催の当社取締役会において、(ⅰ)本株式売渡請求は本取引の一環として行われるものであり、上記のとおり、当社は本取引により住友ベークライトの完全子会社になることが、当社の企業価値の向上に資すると判断しており、当該判断を変更すべき事情は特段生じていないこと、(ⅱ)本株式売渡対価は本公開買付価格と同一の価格に設定されていること及び本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保するための措置が講じられていること等に鑑みれば、本株式売渡対価は、本売渡株主にとって合理的な価格であり、本売渡株主の利益を害することのないよう十分留意の上決定されたものと考えられること、(ⅲ)住友ベークライトは、本株式売渡対価の全てを、住友ベークライトの保有する現預金により支払うことを予定しているところ、住友ベークライトの本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された2020年7月30日時点の住友ベークライトの残高証明に係る同月31日付残高証明書を確認した結果、同社が本株式売渡対価の支払いのための資金に相当する額の銀行預金を有していること、加えて、住友ベークライトによれば、同日以降、本株式売渡対価の支払いに支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また今後発生する可能性は現在認識されていないとのこと等から、住友ベークライトによる本株式売渡対価の支払いのための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本株式売渡対価の交付の見込みがあると考えられること、(ⅳ)本株式売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められないことから、本株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(ⅴ)本公開買付けの開始以降本日に至るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと、(ⅵ)特別委員会が、本株式売渡対価による本株式売渡請求についても検討をした上で、本取引は少数株主に不利益ではない旨の本答申書を提出していること等を踏まえ、本株式売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮したものであり、本株式売渡請求の条件等は適正であると判断し、審議及び決議に参加した当社の取締役全員の一致で、住友ベークライトからの通知のとおり、本株式売渡請求を承認することを決議いたしました。
なお、当社の取締役である小林孝氏は、住友ベークライトの取締役常務執行役員を兼務しているため、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記の本日開催の取締役会を含む本取引に係る取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の協議及び交渉に参加しておりません。
以 上