有価証券報告書-第35期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 9:31
【資料】
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【項目】
115項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 収益構造について
当社は、半導体ウエハ及びマスク上の半導体の回路寸法を、電子ビームによって測定する微小寸法測定装置の開発・製造・販売を主たる業務としております。
このため、当社の業績は今後も半導体デバイスの微細化の進展状況等の影響を受けます。
(2) 知的財産権について
当社の技術の中には、特許として知的財産権を獲得するよりも、ノウハウとして保有するほうが事業戦略上優位であると考えられるものもあり、必ずしも全ての技術について特許を出願する必要はないと考えております。しかしながら、一部の技術については、競争状況の変化への対応や他製品への応用を展望した場合、特許権として保護するほうが当社にとって有利と考えられるものもあり、それらについては特許として出願するものもあります。
当社は、特許の出願については、有用性及び費用対効果を考慮して行っており、当社独自の技術あるいは研究成果について、必要に応じて、また、可能な範囲において特許権等の知的財産権の登録を行い、権利保護に努めることとしておりますが、他社により当社の権利が侵害される可能性があります。
また、他社知的財産権の侵害については、細心の注意を払っており、現時点において第三者より知的財産権に関する侵害訴訟を提起されていませんが、将来他社よりその保有特許等に対する侵害の通告を受ける、あるいは当社の認識していない特許等が成立し第三者が侵害を主張する等の可能性があり、裁判等の紛争に至った場合においてはその処理に多額の費用を要し、当社業績に影響を与える可能性があります。
また、近時においては職務発明に関する対価の額について、従業員である発明者が会社を相手に訴訟を起こす事例も報告されています。当社におきましては、発明者に支給される対価の額の算定について職務発明規程を制定しておりますが、それにもかかわらず成立した特許権について発明者が対価の額を不服として会社を訴えた場合には、その結果が当社の業績に影響を与える可能性があります。
(3) 検収時期の変動による業績変動の可能性について
当社の主力事業である製品事業では、半導体ウエハ及びマスクの微小寸法測定装置の開発・製造・販売を行っており、当該装置の1台あたりの販売価格は非常に高額となっております。
当社製品は納品までの製造工程を管理し、計画通り計上できるよう努めておりますが、得意先の検収のタイミングにより当社の業績が大きく変動する可能性があります。顧客都合によって仕様や納期が変更されることがあり、かつ1台の検査装置が高額であるため、売上を予定していた案件について検収が遅れた場合には、当社の業績は、当初の見通しを下回る可能性があります。
特に、第4四半期に売上を予定している案件が翌期の計上となった場合、売上高が計画を大きく下回る可能性があります。
(4) 海外への売上比率が高いことについて
当社の輸出高は、売上高の相当部分を占める場合があります。
海外への販売には、通常予期しない法律や規制の変更、経済的に不利な要因の存在または発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的又は経済的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社の海外への販売に支障が生じ、当社の業績および将来計画に影響を与える可能性があります。
また、海外売上については為替変動の影響を受ける可能性もあります。
(5) 特定の仕入先に対する仕入依存度が高い構造について
当社は製品の部品について、基本として単一の仕入先から仕入れており、特定の重要部品についても、単一の仕入先から購入しています。単一の仕入先から購入する理由は、仕入先を2箇所に分けることにより、手間、値段、安定性等に問題が生じるためです。
当社は、単一の仕入先から仕入を行うことをリスクと認識しており、問題が発生したときに対応できるよう、設計部において監視、調査をする等、対応体制を構築しております。
ただし仕入部品によっては、仕入先の事情等により当社への供給に支障を来たした場合には、当社製品の生産に大きな影響を与える可能性があります。
(6) フォトマスク市場の動向及び顧客の設備投資について
① フォトマスク市場の動向について
フォトマスク検査装置の需要に連動する市場としてフォトマスク市場があります。半導体を使用する最終製品であるスマートフォン(スマホ)に代表されるように、これまでより更に複雑・微細・過密な半導体が必要になっており、ひいてはマスク検査の測定点も増大するものと考えられます。従いまして、フォトマスク市場は今後も増大していくものと推定しておりますが、これらの市場動向の変動によって当社の財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
② 顧客の設備投資について
当社の製品である微小寸法測定装置の販売は、顧客の設備投資動向の変動に影響を強く受けることが予測されます。当社は企業体質の強化や競争力維持に努め、顧客の設備投資動向に対処する所存ですが、顧客の設備投資の動向によって当社の財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
(7) 競合の状況について
当社の主要製品は、類似製品の販売や低価格製品の販売が行われることにより、当社の業績に影響を受ける場合があります。
マスクCD-SEMは、市場に競合会社が参入しております。
当社のマスク用電子ビームCD-SEMは、当市場に先発したデファクトスタンダードの製品であると認識していますが、競合技術が当社製品技術を上回った場合、当社の業績が影響を受ける可能性があります。
(8) 電子ビーム微小寸法測定装置への依存について
当社製品は、対象がマスクとウエハであるという相違点はありますが、いずれも電子ビームを利用した微小寸法測定、検査、製造装置です。
微小寸法測定装置には、当社の採用している電子ビーム式の他に光学式があり、最近は技術革新が激しい業界であることから、当社の保有する技術は陳腐化する可能性があります。
当社はこのような技術革新に対応する為に常に新しい技術を習得し、学会や研究会へ積極的に参加し、従業員の能力を高め、顧客からのニーズに対して的確に対応していく方針ですが、技術革新や顧客からのニーズに対応できない場合ないしは劇的な技術革新が生じて当社が対応できない場合には、当社の業績に影響を受ける場合があります。
(9) 研究開発投資等について
当社の事業は、顧客からの要求に応じて最先端かつ高度な技術力を提供していくことが重要な要素です。このような要求に対処し顧客満足を高め、製品の付加価値を高めていく為には自ら他社に先駆けた最先端技術の情報収集、製品の評価、品質管理に注力しているほか関連する研究開発投資を続けていく方針です。
これらの技術力を維持するために研究開発費の比率が高くなっておりますが、研究開発型企業であるため優秀な人材の確保が困難になった場合や人材の流出が生じた場合及び技術革新への対応に支障が生じた場合には、当社の競争力が低下し業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(10) 新製品開発力について
当社の製品は革新的な技術力に裏打ちされたもので、今後も継続して魅力ある製品開発を行っていく予定ですが、開発と販売のプロセスは不確実なものであり、長期的な投資と大量の資源導入が新製品・新技術の創造へとつながる保証はなく、新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を今後十分充当できるという保証もありません。
また、当社が顧客から支持を獲得できる新製品、新技術を正確に予想することができるとは限らず、販売が必ずしも成功する保証もありません。
このため、当社が業界と顧客の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(11) 製品に必要とされる規格について
電子ビーム微小寸法測定装置に関して、ヨーロッパ向けにはCEマーキング、アメリカ向けにはUL/FDA等の安全規格に合致している必要があり、また、特定の取引先への納入には、ワールドワイドで共通な半導体製造、検査装置の標準仕様であるSEMIの規格に合致していることが求められています。
当社では、これらの製品安全に関する国内外事例・規格(JIS、CEマーキング、UL/FDA、SEMI)を基に製品化しており、第三者認証機関(TUV product service)の認証を取得していますが、今後、求められる製品規格に変更があり、当社がこれに対応できない場合には、当社の業績に影響が出る可能性があります。
(12)新工場の建設関連設備投資について
当社は、進行する半導体デバイスの微細化に伴う当社製品への需要の増加に対応すべく、新工場の建設関連の設備投資を計画しております。近年のAI、5G通信など半導体をけん引するマーケットは益々拡大すると見込まれておりますが、老朽化した現工場の手狭な製造スペースでは増加した受注や次世代装置、新規装置の開発などの対応が難しくなっていることから、製造環境の確保を目的とした設備投資を行うものであります。
当社としましては、顧客の需要動向をヒアリング等しながら、需要に見合う投資を行っていく方針でありますが、当社製品の受注が期待どおりに拡大しなかった場合は、稼働率低下による固定費の負担が増加し、さらには固定資産の減損を計上するリスクがあります。