有価証券報告書-第79期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 15:30
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いているものの、世界的な保護主義への傾倒など、下振れリスクも抱え推移しました。
アニメーション業界を取り巻く事業環境は、テレビ用アニメーションの視聴率低下傾向やパッケージソフト市場の低迷等には依然として改善の兆しは見られないものの、スマートデバイスの普及による配信やアプリゲームの市場拡大に加え、アジア市場の伸張や劇場用アニメーションの活況等、成長機会が見込まれる分野も数多くあります。
こうしたなか、当社グループは「ワンピース」、「ドラゴンボール」シリーズ、「プリキュア」シリーズといった主力作品による収益の安定・拡大を図りました。国内においては、約3年半ぶりとなる映画「ONE PIECE FILM GOLD」の劇場公開を梃子に多面的な二次利用展開を行うとともに、海外においては、中国を中心に配信事業の収益安定化を図りました。また版権事業では、引き続き国内外でアプリゲーム等ゲーム化権の販売に注力しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、国内外で映像配信権やアプリゲーム化権の販売に加え、7月に公開した「ONE PIECE FILM GOLD」のヒットや公開に伴うタイアップ・販促キャンペーンが好調に推移したことから、407億47百万円(前連結会計年度比21.2%増)、利益については、劇場公開や新作のテレビ放映に係る宣伝費、人員強化等による人件費の増加があったものの、収益性の高い海外映像販売事業や版権事業が大幅増収となったこと等から、営業利益は101億33百万円(同32.7%増)、経常利益は103億62百万円(同29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は72億3百万円(同40.0%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります(セグメント間取引金額を含む)。
なお、セグメント損益は、営業利益ベースの数値であります。
[映像製作・販売事業]
劇場アニメ部門では、平成28年3月に「デジモンアドベンチャーtri. 第2章」、「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!」、7月に「ONE PIECE FILM GOLD」、9月に「デジモンアドベンチャーtri. 第3章」、10月に「映画魔法つかいプリキュア!」、12月に「ポッピンQ」、平成29年2月に「デジモンアドベンチャー tri. 第4章」、3月に「映画プリキュアドリームスターズ!」を公開しました。「ONE PIECE FILM GOLD」のヒットにより、前連結会計年度と比較して大幅な増収となりました。
テレビアニメ部門では、「ワンピース」、「魔法つかいプリキュア!」(平成29年2月より「キラキラ☆プリキュアアラモード」)、「ドラゴンボール超」、「デジモンユニバース アプリモンスターズ」、「美少女戦士セーラームーンCrystal」、「タイガーマスクW」の6作品を放映しました。前連結会計年度と比べ放映本数は減ったものの、ゲーム向け等音声製作が好調であったことから、増収となりました。
コンテンツ部門では、「ONE PIECE FILM GOLD」のブルーレイ・DVDの売上があったものの、ゲーム向け等音声製作を当連結会計年度からテレビアニメ部門に組み替えたことにより、大幅な減収となりました。
海外映像部門では、中国向け大口契約を含む映像配信権に加え、全世界で「ドラゴンボール」シリーズのテレビ放映権や中南米向け『ドラゴンボールZ 復活の「F」』及びアジア向け「ONE PIECE FILM GOLD」の劇場上映権の販売が好調に推移したことから、大幅な増収となりました。
その他部門では、ソーシャルゲーム『聖闘士星矢 ギャラクシーカードバトル』のサービス終了の影響があったものの、定額映像配信市場の拡大もあり、映像配信権の販売が好調に推移したことから、増収となりました。
この結果、売上高は159億39百万円(前連結会計年度比13.8%増)、セグメント利益は34億91百万円(同5.8%増)となりました。
[版権事業]
国内版権部門では、アプリゲーム『ドラゴンボールZドッカンバトル』や「ONE PIECE FILM GOLD」の劇場公開に向けたタイアップ・販促向け許諾が好調に推移したことから、前連結会計年度と比較して大幅な増収となりました。
海外版権部門では、全世界で『ドラゴンボールZドッカンバトル』、中国での「聖闘士星矢」のアプリゲームに加え、欧米で「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が好調に推移したことから、大幅な増収となりました。
この結果、売上高は181億92百万円(前連結会計年度比31.8%増)、セグメント利益は86億82百万円(同41.0%増)となりました。
[商品販売事業]
商品販売部門では、「ONE PIECE FILM GOLD」の劇場公開に向けたキャンペーン向けのノベルティグッズ等の販売が好調だったことに加え、海外のイベント物販も好調に稼動したことにより、前連結会計年度と比較して大幅な増収となりました。
この結果、売上高は55億31百万円(前連結会計年度比18.8%増)、セグメント利益は1億86百万円(同2,917.9%増)となりました。
[その他事業]
その他部門では、催事イベントやキャラクターショー等を展開しました。前連結会計年度にあった「Dr.スランプアラレちゃん」の催事関連に相当するものがなかったものの、「聖闘士星矢」シリーズや「ドラゴンボール」シリーズの催事関連が好調に稼動したことから、前連結会計年度と比べほぼ横ばいとなりました。
この結果、売上高は13億15百万円(前連結会計年度比0.4%減)、セグメント利益は41百万円(同21.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ60億66百万円増加し、当連結会計年度末には205億91百万円となりました。
その要因は次のとおりであります。
なお、連結貸借対照表に掲記されている現金及び預金勘定255億91百万円との差異は、預入期間3ヶ月超の定期預金50億円であります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果得られた資金は、85億31百万円(前連結会計年度は65億31百万円の獲得)となりました。資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益104億86百万円、仕入債務の増加16億75百万円、資金の減少の主な内訳は、法人税等の支払額31億95百万円、売上債権の増加16億85百万円であります。なお、減価償却費4億14百万円は、資金流出の発生しない費用であるため、キャッシュ・フロー計算書では資金増の要因となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は、8億9百万円(前連結会計年度は26億87百万円の使用)となりました。資金の増加の主な内訳は、定期預金の払戻による収入63億円、貸付金の回収による収入30億25百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13億52百万円、資金の減少の主な内訳は、定期預金の預入による支出60億円、貸付けによる支出30億27百万円、有形固定資産の取得による支出19億65百万円であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果使用した資金は、14億25百万円(前連結会計年度は7億4百万円の使用)となりました。これは、主に配当の支払によるものであります。