内部統制報告書-第156期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 13:32
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

代表取締役社長渡辺昭彦は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しています。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である平成30年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価に当たっては、当社グループの「財務報告に係る内部統制の基本方針」に則り、はじめに連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制である全社的な内部統制を評価したうえで、決算・財務報告に係る業務プロセスの内部統制のうち、全社的な観点で評価することが適切と考えられるものを評価しました。次に、全社的な内部統制の評価結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しました。業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別しました。当該統制上の要点について、財務報告の虚偽記載の発生するリスクを十分に低減しているかどうかを評価することによって、内部統制の有効性を評価しました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社並びに連結子会社及び持分法適用会社を対象として、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。
当該評価範囲を決定した手順、方法としましては、まず全社的な内部統制の評価範囲を、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しました。続いて、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、評価対象となる重要な事業拠点を選定し、選定した重要な事業拠点において、当社グループの事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスを識別して、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。さらに、財務報告への影響を勘案し、重要性の大きい業務プロセスとして、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に関わる業務プロセスを評価対象に追加しました。
なお、重要な事業拠点の選定においては、各事業拠点の前連結会計年度の売上高の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達するまでの事業拠点を重要な事業拠点としました。
また、当社グループの事業目的に大きく関わる勘定科目は、「受取手形及び売掛金」、「支払手形及び買掛金」及び「たな卸資産」です。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、平成30年3月31日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。

当社の子会社であるJPシステムソリューション株式会社(以下「SS社」という。)において、売上原価が不正に先送りされているのではないかとの疑念が生じたことを受け、当社はSS社における不適切な会計処理の内容の詳細、当社及びSS社の財務諸表への影響額を含め、事実関係解明のために、平成30年2月28日に調査委員会を設置し調査を実施しました。
調査委員会から平成30年5月18日に受領した調査報告書により、SS社において、取引先との通謀による不正な取引、SS社内部における前受金と売上原価の不正な利益操作、及び仕入取引を仮装した不正な資金流出がなされていたことが判明しました。
これに伴い、当社は本件不適切行為によるSS社及び当社の過年度決算への影響を調査したうえ、過年度の決算を訂正するとともに、平成25年3月期から平成29年3月期までの有価証券報告書及び平成28年3月期第1四半期から平成30年3月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
これらの事実は、本件不適切行為を起こしたSS社元役職員及びSS社におけるコンプライアンス遵守の意識が欠如していたこと、当該元役職員に従前から業務上の権限が集中しており、SS社における牽制機能が有効に働いていなかったことが主な要因です。また、当社からSS社に対するビジネス上の公正観や倫理観の植え付けの徹底が不十分であったことに加え、SS社に対する統制が不十分であったことによるものです。当社は、当該状態を長期にわたり識別・改善できなかったことから、結果としてSS社に対する当社の管理・監督のあり方にも検討すべき問題があったと認識しております。
このような当社及びSS社の全社的な内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
上記の内容は当連結会計年度末日後に事実確定したため、当該不備を当連結会計年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて財務諸表及び連結財務諸表等に反映しています。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、また再発防止に向けて、調査委員会の指摘・提言をふまえ、以下の改善策を講じていきます。
 
1. 当社の再発防止策
(1)当社グループ全体におけるコンプライアンス遵守体制の見直し
(2)グループ会社に対する統制の強化
 
2. SS社の再発防止策
(1)役職員のコンプライアンスの徹底
(2)社内規程、管理資料の整備・改訂
(3)組織体制及び業務フローの見直しによる適切な権限配分と牽制機能の強化