有価証券報告書-第67期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 10:23
【資料】
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【項目】
114項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、金融緩和政策による円安株高の進行に加え、個人消費の回復による景気上昇への期待が高まっております。しかし、出版業界におきましては、消費税増税後に落ち込んだ売上が回復せず、平成26年の販売金額は対前年4.5%減の1兆6,065億円と大きく減少しました。
このような状況の中、当社は中期経営計画「Change」の最終年度を迎え、「日販グループは『出版流通の改革』と『新たな需要の創出』に取り組み業界の成長を牽引する」という方針の下、業界全体の収益力向上と店頭活性化につながる施策に注力してまいりましたが、当連結会計年度における売上高は6,610億円(前年同期比3.1%減)、営業利益は25億円(前年同期比45.5%減)、経常利益は36億円(前年同期比31.1%減)となりました。
なお、特別損失に投資有価証券評価損等4億円を計上した結果、当期純利益は10億円(前年同期比53.8%減)となりました。
また、当社グループは当連結会計年度よりセグメント別報告を実施しております。当該区分による前連結会計年度のセグメント情報の作成は実務上困難であるため、前年同期比についての記載を省略しております。セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
①出版物等販売事業
当セグメントにおきましては、売場に高マージン商品を増やし、書籍返品率を25%とすることで、書店様の利益率30%を達成することを目標としております。その実現のための施策名称を「Attack25」とし、出版流通改革を推し進めております。Attack25を宣言している書店様は当社契約及び㈱MPDとの契約を合わせて71法人あります。当連結会計年度で返品率25%を達成したのは19法人、30%を下回った20法人を合わせると半数以上の39法人において成果が上がっております。
書店マージンアップに向けた取り組みにおいては、インセンティブ(達成報奨)付き商品企画である「High-Profit企画」の実施銘柄が約10,000点となりました。中でも、「講談社文庫 傑作宣言プロモーション」は、対象銘柄48点の売上実績が企画開始前と比較して2.6倍となり、店頭売上とマージンアップに大きく貢献しました。
一方、出版社様との年間契約において獲得したインセンティブを書店様に還元する仕組みである「PPI」契約出版社様は91社に増え、契約書店様の売上の50%を超えるシェアを占めるに至りました。
また、平成27年1月には出版社様向けの販売情報開示システム、「オープンネットワークWIN」の大幅リニューアルを実施しました。データ保持期間を従来の半年から5年間に延長し、王子流通センターの在庫と受注状況を開示することで、重版決定や販売状況分析などの活用範囲が大きく拡がりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は6,581億円、営業利益は15億円となりました。
②不動産事業
当セグメントにおきましては、本社ビルは大型修繕の一環として、ビルとテナント自体の価値を高めるためのバリュー・アップ計画を平成25年から平成28年にかけて実施中であり、当連結会計年度は168百万円の積極投資を実施いたしました。
来期は堂島ビルで価値向上のため、LED照明とセキュリティシステムの更新を行います。名古屋ビルにつきましてもリーシングの強化による更なるテナント誘致によって今後も不動産収益の向上を図ってまいります。
これらの結果、当セグメントの売上高は24億円、営業利益は6億円となりました。
③その他事業
その他事業では情報システム事業部門等により売上高は60億円、営業利益は2億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は321億円となり、前連結会計年度末に比べて2億円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は68億円(前年同期は65億円の使用)となりました。
これは主に仕入債務の減少に比べ売上債権の減少が上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は75億円(前年同期は77億円の使用)となりました。
これは主に子会社株式の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は2億円(前年同期は6億円の使用)となりました。
これは主に長期借入による収入によるものです。