有価証券報告書-第75期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 15:01
【資料】
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【項目】
155項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な経営課題の一つとしており、企業価値の持続的な向上を図るため、経営の迅速かつ的確な意思決定と業務執行に対する監査機能のもと、公正で透明性の高い経営体制と、適時かつ適切な情報開示体制の構築に取り組んでおります。
また、当社は従来より「信用第一主義」を経営の基本方針としており、今後とも株主、取引先、地域社会、従業員などの様々な利害関係者からの信用をより多く得られるよう努めてまいります。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社はコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方をより明確にするため、2008年9月に「企業行動規範」を制定しました。当社の役職員は当行動規範に則り、社会的な良識に従って、健全かつ透明性の高い企業活動を行うことが要求されております。
当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の概要は、下記のとおりであります。

イ 内部統制システムの整備状況
a 取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
ⅰ 企業行動規範、社是及び社内諸規程を当社グループ企業活動の規範とし、取締役及び使用人に対して定期的・恒常的な研修活動を実施するとともに、職位を通じて適正な業務執行と監督を行い、法令、社内諸規程及び社会倫理に則った企業活動をする。
ⅱ 取締役会は、法令、定款、株主総会決議及び取締役会規程等に則り、当社グループの経営上の重要な事項について決定及び承認を行うとともに、各取締役はそれぞれが担当する当社グループの業務執行状況に関して取締役会に報告を行うことにより、取締役の職務執行を相互に監督し、当社グループの取締役及び使用人の職務執行を監督する体制を構築する。
ⅲ 当社グループのコンプライアンス活動の基準となるコンプライアンス規程を制定し、当社グループの取締役及び使用人に対するコンプライアンスの徹底を図る。当社グループのコンプライアンス体制として、社長は常勤取締役の中から法令遵守統括責任者を任命する。法令遵守統括責任者はサステナビリティ委員会において、各委員とともにコンプライアンス上の重要な事項を審議するとともに審議の結果を取締役会に報告する。また、サステナビリティ委員会の各委員は、当社グループのコンプライアンス推進に係る課題及び対応策を協議・承認する体制を構築する。
ⅳ 当社グループの取締役及び使用人の職務執行が法令、定款及び社内諸規程を遵守して行われているかを監査するため、社長の直轄組織として内部監査室を設置し、遵守状況を定期的に監査して社長及び監査役に報告する体制を構築する。
ⅴ 取締役及び使用人から連絡・相談を受けつける外部の弁護士を含む複数の相談窓口を設置し当社グループの取締役及び使用人は、「企業行動規範」に逸脱する行為、法令及び社内諸規程に違反する行為を知り、またはそのリスクを感じた場合、通報する体制をとることで問題の早期発見・解決を図る体制をとるとともに、公益通報者保護規程に則り当該通報者に不利が生じない措置を講じる体制を構築する。
b 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
ⅰ 取締役の職務の執行に係る文書(電磁的記録を含む)については、文書管理規程及び文書取扱マニュアルに基づき、保存媒体に応じて適正に保存、管理するものとし、取締役及び監査役は、これらの文書等を常時閲覧できる体制を構築する。
ⅱ 電磁的方法で記録・保存された文書等については、情報管理規程に基づき管理責任者を明確にして管理を徹底するとともに、社外からの不正アクセス防止措置を講じる体制を構築する。
ⅲ 取締役の職務執行に係る情報の保存・管理の状況に関しては監査役の監査を受ける体制を構築する。
c 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
ⅰ 当社グループのリスク管理体制の基礎となるリスク管理規程を設ける。リスク管理規程に基づきサステナビリティ委員会において、想定される当社グループのリスクを可能な限り把握、認識及び分析して、それらに対する未然防止または発生したリスクの損害を最小限に食い止める体制を講じる。また、職務権限規程、情報管理規程、営業債権管理規程、安全保障輸出管理規程及び事業継続計画書(BCP)等において、平常時に想定されるリスクに対応する規程を網羅し、取締役及び使用人に徹底する体制を構築する。
ⅱ リスクを未然に防止するために、社長の直轄組織である内部監査室が、常に当社グループの各部署の監査を行い、リスクの早期発見、早期解決を行う体制を構築する。
ⅲ 当社グループに不測の事態または重大な経営リスクが発生した場合は、社長を筆頭とする対策本部を設置して、迅速かつ適正な対応を行い、損失を最小限に防ぐための体制を構築する。
d 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
ⅰ 取締役会を原則毎月開催するほか、必要に応じて適宜臨時に開催し、当社グループの経営に関する重要な事項の審議・決定を行う体制を構築する。
ⅱ 業務執行する取締役は、当社グループの経営計画を達成するための、担当職務の具体的な方針、目標及び実行計画を策定し、計画に基づく業務執行状況を定期的かつ適宜に取締役会に報告するとともに、計画に対する進捗の状況及び対策を取り纏め取締役会に報告する体制を構築する。
ⅲ 取締役会の決定に基づく業務の執行については、組織規程、業務分掌規程及び職務権限規程において、それぞれの業務の役割、責任及び責任者等について詳細に定めてあり、当該規程に基づく効率的運営及び責任体制を確立する。取締役の職務の執行については、組織規程、業務分掌規程及び職務権限規程において定められた、それぞれの責任者及びその責任、執行手続きを遵守し、効率的に職務の執行を行う。
ⅳ 内部監査室は、各業務が社内諸規程に照らし正しく処理され、効率的に実行されているかの監査を定期的に実行し、その結果を社長に報告する体制を構築する。社長は、当該報告で重要な事項については取締役会に報告する。
e 財務報告の信頼性を確保するための体制
当社グループの財務報告の信頼性・適正性を確保するため、財務報告に係る内部統制が有効に行われる体制の構築・維持・向上を図る。監査役及び内部監査室は、財務報告とその内部統制の整備・運用状況を監視・検証し、必要に応じて、その改善策を取締役会に報告する体制を構築する。
f 当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
ⅰ 関係会社管理規程を定め、当該規程に基づき当社グループの業務の適正を確保する体制を構築する。
ⅱ サステナビリティ委員会が当社グループ全体のコンプライアンスリスクを管理・統括する体制を構築
する。
ⅲ 監査役及び内部監査室は、当社グループの監査を実施し、当社グループの業務の適正を確保する体制を構築する。
ⅳ 金融商品取引法に基づき、当社グループは財務報告に係る信頼性を確保するため、その規模等を踏まえ必要かつ適切な内部統制を整備・運用する体制を構築する。
g 子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
当社が定める関係会社管理規程において、子会社の営業成績、財務状況その他の重要な情報について、当社への定期的な報告を義務づける体制を構築する。
h 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項並びに当該使用人の取締役からの独立性及び当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
ⅰ 監査役会が、その職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合、当社グループの使用人から補助者を任命することとし、当該使用人配置の具体的な内容(組織、人数、その他)については、監査役会と協議し、同意を得たうえで社長が決定する。
ⅱ 当該使用人の人事(人事異動、考課等)に関しては、監査役会の意見に基づいて行い、当該使用人は取締役からの独立性を確保する体制とする。
ⅲ 当該使用人は、他部署の使用人を兼務せず、専ら監査役の指揮命令に従わなければならない。
ⅳ 当該使用人が監査役の指揮命令に従わない場合には、監査役会の意見に基づき懲戒処分の対象とする。
i 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制、その他の監査役への報告に関する体制並びに子会社の取締役・監査役等及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告するための体制
ⅰ 当社グループの取締役及び使用人は、監査役監査に対する理解を深め、監査役からの業務執行の状況の報告、情報提供、資料提出の要請等に対して速やかに応じる環境を恒常的に整備する体制を構築する。
ⅱ 当社グループの取締役及び使用人は、監査役に対し法定事項はもとより、当社グループに関し重大な影響を及ぼす恐れのある事項、内部監査の実施状況、サステナビリティ委員会の活動状況、内部統制システムの構築に関する部門活動状況及び内部通報の状況等のリスク管理に関する重要な事項を報告する。これらの監査役に報告すべき事項の報告を受けた者も同様とする体制を構築する。
ⅲ 常勤監査役は、取締役会のほか、社内の業務の執行報告及び意思決定等の重要な会議に出席する体制を構築する。
j 監査役へ報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
iⅰまたはⅱの報告を行った当社グループの取締役及び使用人に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止し、その旨を当社グループの取締役及び使用人に周知徹底する体制を構築する。
k 監査役の職務の執行について生ずる費用の前払いまたは償還の手続きその他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
当社は、監査役がその職務の執行について、当社に対し、会社法第388条に基づく費用の前払い等の請求をしたときは、当該請求に係る費用または債務が当該監査役の職務の執行に必要でないと証明された場合を除き、速やかに当該費用または債務を処理する体制を構築する。
l その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
ⅰ 監査役は、会計監査人及び内部監査室と密接な情報交換及び連携を図るとともに、自らも適宜監査を実施する体制を構築する。
ⅱ 監査役は、社長との定期的な会議を設け、相互認識を深める体制を構築する。
ⅲ 監査役は、その必要性を認めた場合は、監査の実施にあたり顧問弁護士等の専門家との連携を行う体制を構築する。
m 反社会的勢力の排除に向けた基本的な考え方
市民社会の秩序や企業の健全な活動に影響を与える反社会的勢力に対しては、一切関係を持たず、反社会的勢力からの不当要求及び妨害行為に対しては、警察、弁護士等の関連機関と緊密に連携し、毅然とした態度で組織的に対応する。
ロ リスク管理体制の整備状況
リスク管理体制の強化・推進のため、取締役会の下に設置されているサステナビリティ委員会でリスク管理に関わる課題・対応策を協議・承認しております。本委員会は、原則として年4回以上定例会議を実施する方針であります。また、自然災害やパンデミックなどの際にも、事業を継続していくために必要な体制作りのため事業継続計画(BCP)を策定し運用しております。
ハ 社外取締役、社外監査役または会計監査人との間の責任限定契約
当社の社外取締役及び社外監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、社外取締役及び社外監査役ともに金5百万円または法令の定める最低責任限度額のいずれか高い額としております。
なお、当該責任限定が認められるのは、当該社外取締役及び社外監査役がその責任の原因となった職務の遂行について善意でかつ重大な過失がないときに限られます。
会計監査人である有限責任 あずさ監査法人との間では、同契約は締結しておりません。
ニ 役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社の全ての取締役及び監査役のほか、管理職従業員等を被保険者とする会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約では、被保険者が会社の役員としての業務につき行った行為等(不作為を含む)に起因して、保険期間中に株主、会社、従業員、その他第三者から損害賠償請求がなされた場合に係る損害賠償金や訴訟費用等について填補することとされております。ただし、役員等の職務の執行の適正性が損なわれぬよう、故意による法令違反や法的な権利なく得た私的利益・便宜供与に起因して生じた損害は填補されない等の免責事由があります。なお、保険料については取締役会決議により全額会社が負担しており、各被保険者は保険料を負担しておりません。
ホ 取締役の定数
当社の取締役は9名以内とする旨を定款に定めております。
ヘ 取締役の選任の決議要件
当社は、株主総会における取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨及び累積投票によらない旨を定款に定めております。
ト 中間配当の決定機関
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
チ 自己の株式の取得の決定機関
当社は、自己の株式の取得について、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため、会社法第165条第2項の規定に基づき、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨を定款に定めております。
リ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会における特別決議の定足数の確保を確実にするため、会社法第309条第2項に定める特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
③ 取締役会、ガバナンス諮問委員会の活動状況
イ 取締役会の活動状況
2024年3月期における活動状況は次のとおりです。
地位氏名出席状況
代表取締役会長鳥 羽 重 良100%(13回/13回)
代表取締役社長遠 藤 稔100%(13回/13回)
取締役千 國 哲 王100%(13回/13回)
取締役島 津 政 則100%(13回/13回)
取締役池 田 智 則100%(13回/13回)
取締役村 木 義 和100%(10回/10回)
社外取締役谷 逸 夫100%(13回/13回)
社外取締役小 川 隆 之100%(13回/13回)
社外取締役成 瀬 圭珠子100%(13回/13回)
常勤監査役酒 井 孝 弘100%(13回/13回)
社外監査役廣 瀬 勝 一100%(13回/13回)
社外監査役早 﨑 信100%(13回/13回)
社外監査役川 口 伸100%(13回/13回)

(注) 2024年3月期開催の取締役会は13回であり、村木義和氏の就任以降開催された取締役会は10回となっております。
2024年3月期は、取締役会において、以下の点について、重点的に審議を行いました。
a サステナビリティに関する事項
・サステナビリティ委員会の設置
・マテリアリティ(重要課題)の内容検討及び承認
・サステナビリティ委員会の活動内容の確認
b 中期経営計画の策定
・中期経営計画の数値目標の進捗確認
・次期中期経営計画の策定
c 取締役会の実効性評価
・第三者機関による実効性アンケート回答結果の確認
・アンケート回答内容の分析
・前期課題事項の改善状況についての確認
・分析と評価の総括と課題の抽出
ロ ガバナンス諮問委員会の活動状況
ガバナンス諮問委員会は、取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、取締役会の諮問機関として設置しております。本委員会は、取締役会が選定する2名以上の社外取締役及び社外監査役に取締役社長を加えた3名以上の委員で構成し、委員の過半数は独立役員としております。本委員会は、取締役会の諮問に応じて、次の事項について審議し、取締役会に対して答申を行っております。
2024年3月期における活動状況は次のとおりです。
地位氏名出席状況
委員長社外監査役廣 瀬 勝 一100%(5回/5回)
委員社外取締役谷 逸 夫100%(5回/5回)
委員社外取締役小 川 隆 之100%(5回/5回)
委員社外取締役成 瀬 圭珠子100%(5回/5回)
委員社外監査役早 﨑 信100%(5回/5回)
委員社外監査役川 口 伸100%(5回/5回)
委員代表取締役社長遠 藤 稔100%(5回/5回)

主な審議内容
取締役の選任・解任(株主総会決議事項)に関する事項、代表取締役及び役付取締役の選定・解職に関する事項、取締役の報酬等に関する事項、後継者計画(育成を含む)に関する事項、取締役会全体の実効性に関する分析・評価、その他当社のガバナンスに関する事項