有価証券報告書-第46期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 11:26
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157項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」ことをMissionとして、主に国内の総合病院等の顧客向けに心臓血管領域を中心とする高度管理医療機器の製造および販売を中心とする事業を展開しています。
メーカー機能と商社機能の両方からなるハイブリッド型のビジネスモデルと全国規模の自社販売網を有していることが当社グループの特長であり、業界内でユニークなポジションを確立しています。メーカー機能は、自社製品を通じて、医師が日々の手術で用いる機器へのニーズをラインナップの豊富さや使いやすさという点において高い水準で満たしています。商社機能は、海外の優れたテクノロジーを素早く国内に導入することで、国内における最先端の医療へのアクセスを提供しています。当社グループは、自社製品と仕入商品を戦略的かつ選択的に組み合わせることで、柔軟で強靭なプロダクト・ポートフォリオを構築し、医療機器業界の中で差別化を図っています。
このハイブリッド型のビジネスモデルをさらに高度に洗練させる手段として、自社製品の研究開発の加速およびグローバル販路の拡大、ならびに新たな仕入商品のパイプライン獲得を目的として国内外の有望な企業等とのアライアンスに取組むことを基本的な経営方針としています。これにより、事業リスクを抑えつつ競争力のある医療機器をタイムリーに医療現場に提供し続けることが可能となり、Missionである「健康社会の実現」に貢献できると考えています。
(2)経営環境
日本の医療機器業界を取り巻く事業環境は、①高齢者人口の増加による構造的な需要の拡大、②医療提供体制のひっ迫、③マクロ経済の変化(円安やインフレ)が主なダイナミクスとなっており、昨今、個社業績への影響度をますます高めています。このような環境のもと、市場では医療トレンドが継続的に変化しており、その時々に合った医療現場の課題を解決する効率的なソリューションへのニーズがかつてないほど高まっています。
第一に、需要面においては、高齢者人口の増加を背景として、市場が継続的に拡大しています。とくに循環器領域における心房細動の症例数は、2010年代半ば以降、力強い増加トレンドが継続しています。また、2025年以降、75歳以上の後期高齢者が大きく増加することで、外科的な治療から身体への負担が少ない血管内治療(低侵襲治療)へのシフトが進むことも予想されています。低侵襲治療は対象患者の若年化を段階的に促すため、医療機器市場の拡大につながり、業界にとってプラス要因となります。このような構造的な需要の拡大は、今後も市場の成長を支える基盤となると予測されます。
第二に、医療の供給側である医療機関においては、慢性的なリソースのひっ迫が深刻な課題となっています。医師の働き方改革に伴う労働時間の短縮やスタッフ不足により、現場では手技の簡便化や処置時間の短縮といった「医療の効率化」を支える医療機器へのニーズが強まっています。これは単なる治療効果の追求にとどまらず、医療提供体制の維持に寄与する製品が選ばれる時代へと変化していることを示しています。
第三に、マクロ経済面では、円安の進行や世界的なインフレが当社グループの収益構造にも影響を及ぼしうる状況になっています。原材料費、物流費、人件費などの製造費用および販管費が上昇傾向にある一方、日本の国民皆保険制度のもとでは国が定める公定価格があるため、これらのコスト増を即座に販売価格へ転嫁することが困難です。このため、インフレは当社の利益を圧迫するリスクとして継続的に注視する必要があります。
以上の環境認識に基づき、当社グループは「事業のグローバル化を図ることによる国内リスクの分散」および「医療トレンドの変化に対応する適切な成長戦略の実行」を重要な経営課題と考えております。グローバル化については、国内製品の海外市場向け最適化とグローバル品質基準の確立が喫緊の取組事項です。医療トレンドの変化への対応については、不整脈治療におけるパルス・フィールド・アブレーション(PFA)に関連する研究開発や、血管内治療であるステントグラフトや経カテーテル生体弁(TAVI)のパイプライン獲得等が取組みの一例です。当社グループは自社の特徴であるメーカー機能と商社機能の「ハイブリッド型ビジネスモデル」を最大限に活用し、市場のニーズをいち早く製品ラインナップに組み込むことで、変化の激しい事業環境においても持続的な成長と収益性の確保を目指してまいります。
(3)経営戦略および対処すべき課題
① 中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)
現行の中期経営計画の最終年度である2028年3月期の数値目標と達成見通しについては、次のとおりです。見通しが数値目標を下回っていますが、後述する重点施策を完遂することで、目標達成に向けた軌道修正を図ってまいります。
(数値目標)
売上高
(2028年3月期)
新領域*1売上高
(2028年3月期)
営業利益率
(毎期)
EPS
(2028年3月期)
ROIC
(2028年3月期)
数値目標700億円110億円20%水準145円13%
見通し680億円70億円18%125円11~12%

*1 脳血管関連、消化器および構造的心疾患
当社は上記の数値目標を達成するために、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。
(i) 新領域(脳血管領域・消化器領域・構造的心疾患領域)の拡大
当社グループは、中長期的な持続成長に向け、心臓領域で培った知見や技術を応用できる「脳血管」「消化器」「構造的心疾患」の3領域を戦略的柱として、事業領域の拡大を加速させています。
(A) 脳血管領域
2022年に締結したWallaby Medical社との長期独占販売契約に基づき、これまでに塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、ステントリトリーバー等の主要製品を順次投入してまいりました。これにより、国内市場でのブランド認知は着実に向上しております。
(今後の課題) 市場競争力が高いと期待される「フローダイバーター」の早期上市に注力し、脳血管関連全体の収益性を一段と高めてまいります。
(B) 消化器領域
自社開発を主軸とし、市場規模が大きい胆膵分野を中心にシェア拡大を図っています。心臓領域の独自技術(カテーテルシャフト技術等)を転用することで、新しい付加価値を創出しています。とくに胆管チューブステントは医療現場で高い評価を受け、シェアを拡大しています。
(今後の課題) 中長期での製品パイプライン構築が重要であると認識しています。既存品とのシナジーが見込める高単価の仕入商品の導入を加速させること等により、次の収益の柱の確立を図ってまいります。
(C) 構造的心疾患領域
2023年にMeril Life Sciences社と国内での長期独占販売契約を締結した経カテーテル生体弁(TAVI)は、国内市場規模が600~700億円と大きく、当社の最大の成長ドライバーと位置付けております。
(今後の課題) 当初想定していた薬事ストラテジーを見直す必要が生じており、2027年3月期に予定していた上市は遅延する見込みです。現在は、国内治験実施を含むバックアッププランの検討を進めております。
(ⅱ) 競争力のある製品の継続的導入(EP/アブレーション、心血管関連)
当社グループの既存領域の中でも、EP/アブレーションおよび心血管関連を自社製品が中心の中核事業と位置付けています。これらの事業において、市場のニーズに即した競争力ある製品を継続的に投入することを重要戦略としております。
(A) EP/アブレーション
EP/アブレーションにおいては、当連結会計年度に国内で急速に普及した新技術であるPFAへの対応が最優先事項となっています。PFAは、合併症リスクの低減や手技時間の短縮により、心房細動における症例数のさらなる増加を後押しする一方、その急速な普及は、従来の治療法に特化した一部製品の需要を急減させるなど、当社の事業環境に大きな変化をもたらしました。このような環境変化に対し、当社はPFA時代の手技トレンドに合致した製品ポートフォリオの再構築を急務として進めております。具体的な実績として、心腔内除細動カテーテルでは、新しく追加した他社にはない鼠径部挿入モデルがPFAを用いる手技においても高い親和性を示し、依然として95%の圧倒的な市場シェアを維持することができました。また、周辺デバイスとして展開する大腿静脈用止血デバイスが上市後2年で全症例の40%以上に浸透したほか、2026年に上市した自社製品の心房中隔穿刺用高周波ワイヤも順調な立ち上がりを見せています。これらの製品はPFAを用いる手技においても収益の柱となることを見込んでいます。
(今後の課題) PFAの治療用カテーテルの自社開発、グローバル向け製品の開発、有望な製品や技術を持つ会社のM&Aなどを加速させてまいります。
(B) 心血管関連
主力製品であるFrozen Elephant Trunkにおいて他社との競争が激化しておりますが、市場から要望が大きかった太径サイズをラインナップに加えることでシェアの下落に歯止めをかけ、90%の高いシェアを維持しております。
(今後の課題) Frozen Elephant Trunkの自社ブランドである「FROZENIX」シリーズの後継モデルを開発してまいります。現時点で唯一の未参入領域となっている胸部ステントグラフトのパイプライン導入に向けた準備を推進いたします。
(ⅲ) グローバル売上の拡大とOEM製造の推進
当社グループは、持続的な成長を実現するための最優先課題として、国内市場に依存しない収益基盤の構築に向けた「グローバル売上の拡大」と、自社のリソースを多角的に活用する「OEM製造の推進」を掲げています。既存の国内ビジネスで培った独自の技術力と製造機能をグローバル市場およびパートナー企業へ提供することで、事業ポートフォリオの拡充と収益性の向上を同時に追求してまいります。
グローバル売上の拡大については、段階的な市場開拓と、世界標準の品質管理体制の構築に注力しています。戦略の第1フェーズとして進めている中東・アジア地域への進出は、現地販売代理店との提携が順調に進捗しております。また、次なる成長の柱として米国市場での製造販売承認(FDA承認)取得に向けた準備を加速させており、FDA監査にも適応しうるグローバルな品質マネジメントシステム(QMS)の構築を推進しています。
OEM事業においては、当社の研究開発能力と高度な製造機能を外部に提供することで、新たな収益機会の創出を図っています。具体的な取り組みとして、再生医療分野におけるHeartseed社との協働・提携や、マレーシア工場におけるOEM製造計画等が着実に進んでいます。
(ⅳ) 資本効率を意識した経営の強化
当社グループは売上高や営業利益率のKPIに加えて、株主価値において重要な指標である1株当たり利益(EPS)や投下資本利益率(ROIC)を重視しており、これらを持続的に改善すべく適切な資本政策の実践に取り組んでいます。
原則的な考え方として、当社グループは営業キャッシュ・フローを主な原資とした成長投資と株主還元の最適化を図るキャッシュ・アロケーション・ポリシーを推進しています。2026年3月期から2028年3月期の3年間において、約270億円の営業キャッシュ・フローを見込んでおり、これを成長投資、設備更新、および株主還元へ戦略的に配分します。また、案件の規模や時期に応じ、手元資金に加えて外部借入を柔軟に活用することで、資本構成の最適化と投資機会の確保を両立させます。
成長投資は、今後加速させる方針としており、50〜100億円規模のM&A投資枠を設定するほか、将来のプロダクトパイプライン獲得を目的とする海外スタートアップへの投資やグローバル製造キャパシティの拡充に向けた投資を継続的に実行してまいります。あわせて、自社の研究開発投資は自社製品売上高の8~10%程度を目安として運用し、投資効率の最大化を図ります。
株主還元については、中期経営計画の残り2期(2027年3月期および2028年3月期)において、計画期間5年間の総還元額目標である270〜300億円の達成を最優先とした還元を実施する方針です。これにより、現行の基本方針(配当性向40%または株主資本配当率(DOE)5.0%のいずれか高い方)を上回る水準の配当を予定しており、2027年3月期は1株当たり56円(前期比2円増配、配当性向49.1%)、2028年3月期は57円程度(同1円程度の増配)を想定しています。(詳細については、第4 提出会社の状況(3)配当政策 もご参照ください)
適切な資本効率を維持するため、手元現預金の水準は厳格に管理し、余剰資金は機動的に還元に回すことを検討します。具体的には、期末現預金を70〜100億円程度を目途にコントロールし、将来の成長投資に向けたバッファ(30億円程度)を超える部分については、配当の追加や自己株式の取得といった積極的な還元策を検討することとしております。こうした規律あるキャッシュマネジメントを通じて、資本コスト(推定8~9%)を上回る投下資本利益率(ROIC)を意識した経営を徹底してまいります。
② サステナビリティの取組み
当社ではサステナビリティの取組みを対処すべき課題と認識しています。
詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。

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