有価証券報告書-第49期(2023/03/01-2024/02/29)
≪戦略≫
気候変動は洪水等の大規模災害による店舗の被害や原材料の調達への影響、法規制の強化による財務への影響など、事業戦略に多大な影響を与える可能性があります。そこで、当社では、事業戦略への影響を把握して事業戦略の見直しや気候変動の緩和や適応につながるさまざまな対策を検討しております。
気候変動リスクのうち、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出に関する規制等の脱炭素経済への「移行」に関するリスクと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化への「適応」に関するリスクが考えられ、それらは、グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では、これらのリスクや機会による影響の発現時期並びに簡易的なシナリオ分析に基づく財務への影響度を評価しております。
<気候変動シナリオ分析>(発現・実現時期) (財務への影響度)
短期:3年未満 大:100億円以上
中期:3年以上10年未満 中:100億円未満20億円以上
長期:10年以上 小:20億円未満
<気候変動に関する主なリスク・機会>
<気候変動に関するリスク・機会の分析対象範囲>当社の主要事業である国内コンビニエンスストア事業としてリスク・機会の事業への影響について、分析の対象を以下のように設定してシナリオ分析を進めております。
<分析結果>①炭素価格の導入による店舗運営コストの増加
上記で分析対象とした自社及び加盟店においては、現状の当社のGHG排出量の大半は電力に由来すると認識しております。今後、気候変動の緩和に向けた規制強化が行われ、排出量に対して炭素価格が導入された場合、当社の電力調達に際しての追加のコストとなりえます。このため、当社の将来に向けた削減努力も含めた電気使用量と調達する電力のCO2排出係数や電力価格の状況によって財務影響度は大きく左右される可能性があります。
そこで、当社が重点課題として実施している電気使用量削減の取り組みを行った場合において、将来の気温上昇シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)に基づいた今後の炭素価格が当社の操業コストに与える影響についてのシナリオ分析を行いました。
その結果、当社が省エネに取り組んだ場合、省エネに取り組まない場合に比べて炭素価格の負担を小さくできるだけでなく、電気料金も大幅に削減することができるため、2030年の財務的影響は相当程度抑えられることが見込まれます。当社は今後も冷蔵・冷凍ショーケースへのガラス・アクリル扉の設置や太陽光パネルの設置などにより電気使用量の削減を図る店舗を新店の標準とすることを目指すなど、省エネ・創エネの取り組みを進めてまいります。
■2030年における炭素価格による財務影響
②気象災害の激甚化による店舗への影響
グループとして、大規模な災害に備えることはもちろん、災害が発生したときには「マチのライフライン」としての役割を果たすために、加盟店・本部従業員の安否や被害状況を確認し、取引先の商品供給状況の把握など、迅速に各種の災害対策を講じて被害店舗の早期復旧、営業再開(継続)を目指しております。
現在は、災害発生時にも営業継続と早期復旧ができる強い店舗網を構築していくことを目標に、気象災害の激甚化による店舗への影響評価を進めており、国内店舗の浸水リスクのスクリーニングを洪水及び高潮について実施し、それぞれA(高リスク)~E(低リスク)の5段階のグレードを付与しました。なお、スクリーニングの実施においては、浸水想定区域に含まれない店舗についても地形条件等に基づく潜在的な浸水リスクを評価し、グレードを付与しました。また、気候変動による洪水浸水被害の増加に伴う財務影響額として、店舗復旧費用増加額、及び復旧期間中の売上減少額のそれぞれの期待値を2030年、2050年について試算しました。
分析の結果、気象災害の激甚化により浸水リスクは増加するものの、2050年までは、2℃シナリオ、4℃シナリオのいずれにおいても洪水及び高潮による浸水被害の増加による財務影響は限定的であることがわかりました。
当社では、この分析結果に基づいて、BCP(事業継続計画)の見直しや災害対策マニュアルの整備、従業員を対象に研修や訓練を実施して店舗の営業継続を図るとともに、事業戦略や財務への影響を把握し、事業戦略の見直しや気候変動への適応につながるさまざまな対策を実施しております。また、台風や豪雨、豪雪による災害発生が見込まれる場合には、事前に災害対策本部を立ち上げ、計画休業を取り入れるなどして、お客さまや従業員の安全確保に努めております。
なお、分析の結果の詳細につきましては当社ウェブサイトに掲載しておりますので、ご参照ください。
https://www.lawson.co.jp/company/activity/environment/tcfd/
③環境配慮型商品による売上高の増加
当社は、脱炭素化や食品ロス・プラスチック使用量の削減などの環境負荷を低減する取組みを進めるなかで、マチの変化、お客さまのニーズの変化に対応するとともに、社会課題の解決に取り組んでおります。昨今のお客さまの環境志向の高まりという変化に対応し、環境に配慮した商品販売の機会を最大限に拡大すべく、今後いっそう新たな商品・サービスの開発とともに環境保全に資する施策を策定してまいりたいと考えております。
その一例として、持続可能な認証商品の開発・販売の取り組みの一環で、レインフォレスト・アライアンス認証農園産のコーヒー豆のみ(一部商品は対象外)を使用した店内淹れたてコーヒーサービス「MACHI café」や、森林認証材を使用したペーパーカップや紙パックの飲料を販売しております。
これらの環境配慮型商品が脱炭素経済への移行に際し、一定の販売拡大機会を得ることができるか、シナリオ分析を行いました。分析にあたっては、将来のお客さまにおける環境志向の変化を捉え、当社販売商品に対する需要への影響を推計するために、「環境配慮型商品に対する年代別の購買層割合」の変化という要素をもとに、環境配慮型商品の売上高の変動を検討しました。
(環境配慮型商品の売上高の状況)
本シナリオ分析の結果、脱炭素化に向かう社会の中で、当社は環境に配慮した商品の開発・提供などの取組みを通じてサステナブルな社会に貢献しつつ、お客さまの環境志向の高まりに適切に対応していくことで、環境配慮型商品の売上を増加させていきたいと考えております。
気候変動は洪水等の大規模災害による店舗の被害や原材料の調達への影響、法規制の強化による財務への影響など、事業戦略に多大な影響を与える可能性があります。そこで、当社では、事業戦略への影響を把握して事業戦略の見直しや気候変動の緩和や適応につながるさまざまな対策を検討しております。
気候変動リスクのうち、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出に関する規制等の脱炭素経済への「移行」に関するリスクと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化への「適応」に関するリスクが考えられ、それらは、グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では、これらのリスクや機会による影響の発現時期並びに簡易的なシナリオ分析に基づく財務への影響度を評価しております。
<気候変動シナリオ分析>(発現・実現時期) (財務への影響度)
短期:3年未満 大:100億円以上
中期:3年以上10年未満 中:100億円未満20億円以上
長期:10年以上 小:20億円未満
<気候変動に関する主なリスク・機会>
| 主なリスク・機会 | 発現・実現時期 | 財務への影響度 | ||
| 移行 リスク | 炭素価格の導入・ 引き上げ | 炭素価格の導入による店舗運営コストの増加 | 中期 | 大 |
| GHG排出規制強化 | 炭素価格の導入による原材料調達コストや製造コストの増加 | 中期 | 大 | |
| フロン規制強化 | 店舗におけるノンフロン設備等への投資コストの増加 | 中期 | 中 | |
| プラスチック規制強化 | プラスチック規制に対応した代替原材料の調達コストの増加 | 中期 | 中 | |
| 電力価格の上昇 | 電力価格の上昇によるエネルギーコストの増加 | 中期 | 中 | |
| 電力価格の上昇による原材料調達コストや製造コストの増加 | 中期 | 中 | ||
| 消費者のライフスタイル、好みの変化 | 環境配慮への遅れによるブランドイメージの低下 | 中期 | 中 | |
| ガソリン車規制強化 | 営業用車両や配送車両のEV化 | 長期 | 小 | |
| 投資家の選好の変化 | 環境配慮への遅れによるレピュテーション低下から株価が低下 | 中期 | 大 | |
| 物理的 リスク | 気象災害の激甚化 | 店舗の浸水等による被害、休業による売上の減少 | 短期 | 大 |
| 平均気温上昇 | 店舗、配送センターなどにおける電気使用量の増加 | 長期 | 中 | |
| 主なリスク・機会 | 発現・実現時期 | 財務への影響度 | ||
| 機会 | 炭素価格の導入・ 引き上げ | サプライヤーにおける業務プロセス・設備の効率化による原材料調達コストの減少 | 中期 | 中 |
| 物流の効率化による輸送コストの減少 | 中期 | 中 | ||
| 再生可能エネルギーの技術開発 | 低コスト化した太陽光発電の導入によるエネルギーコストの減少 | 長期 | 中 | |
| 消費者のライフスタイル、好みの変化 | 環境配慮型商品・サービスの開発による売上の増加 | 中期 | 中 | |
| 省エネ技術の普及 | 店舗の省エネルギー化によるエネルギーコストの減少 | 中期 | 大 | |
| 社会の食品ロスへの 意識の高まり | 食品ロス削減による原材料調達コストの減少 | 中期 | 中 | |
| 食品ロス削減による廃棄物処理コストの減少 | 中期 | 中 | ||
| プラスチック規制強化 | プラスチック規制に対応したカトラリー等の配布減少 | 中期 | 小 | |
| 平均気温上昇 | 気温上昇による顧客の嗜好の変化に合わせた商品・サービスの開発による売上の増加 | 短期 | 小 | |
<気候変動に関するリスク・機会の分析対象範囲>当社の主要事業である国内コンビニエンスストア事業としてリスク・機会の事業への影響について、分析の対象を以下のように設定してシナリオ分析を進めております。
| 対象事業 | 国内コンビニエンスストア事業(ローソン、ナチュラルローソンブランド店舗) |
| 対象範囲 | 自社及び加盟店約14,000店舗 |
| 対象期間 | 2030年、2050年 |
| 分析テーマ | ①炭素価格の導入による店舗運営コストの増加②気象災害の激甚化による店舗への影響③環境配慮型商品の売上高の増加 |
| 参照した主な外部シナリオ | ・IEA WEO 2019 SDS・STEPS(2℃)、CPS(4℃)・IEA WEO 2022 NZE(1.5℃)、APS(2℃)、STEPS(4℃)・IPCC第5次評価報告書 RCP2.6(2℃)、RCP8.5(4℃)・IPCC第6次評価報告書 SSP1-2.6(2℃)、SSP5-8.5(4℃) |
<分析結果>①炭素価格の導入による店舗運営コストの増加
上記で分析対象とした自社及び加盟店においては、現状の当社のGHG排出量の大半は電力に由来すると認識しております。今後、気候変動の緩和に向けた規制強化が行われ、排出量に対して炭素価格が導入された場合、当社の電力調達に際しての追加のコストとなりえます。このため、当社の将来に向けた削減努力も含めた電気使用量と調達する電力のCO2排出係数や電力価格の状況によって財務影響度は大きく左右される可能性があります。
そこで、当社が重点課題として実施している電気使用量削減の取り組みを行った場合において、将来の気温上昇シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)に基づいた今後の炭素価格が当社の操業コストに与える影響についてのシナリオ分析を行いました。
その結果、当社が省エネに取り組んだ場合、省エネに取り組まない場合に比べて炭素価格の負担を小さくできるだけでなく、電気料金も大幅に削減することができるため、2030年の財務的影響は相当程度抑えられることが見込まれます。当社は今後も冷蔵・冷凍ショーケースへのガラス・アクリル扉の設置や太陽光パネルの設置などにより電気使用量の削減を図る店舗を新店の標準とすることを目指すなど、省エネ・創エネの取り組みを進めてまいります。
■2030年における炭素価格による財務影響
![]() |
②気象災害の激甚化による店舗への影響
グループとして、大規模な災害に備えることはもちろん、災害が発生したときには「マチのライフライン」としての役割を果たすために、加盟店・本部従業員の安否や被害状況を確認し、取引先の商品供給状況の把握など、迅速に各種の災害対策を講じて被害店舗の早期復旧、営業再開(継続)を目指しております。
現在は、災害発生時にも営業継続と早期復旧ができる強い店舗網を構築していくことを目標に、気象災害の激甚化による店舗への影響評価を進めており、国内店舗の浸水リスクのスクリーニングを洪水及び高潮について実施し、それぞれA(高リスク)~E(低リスク)の5段階のグレードを付与しました。なお、スクリーニングの実施においては、浸水想定区域に含まれない店舗についても地形条件等に基づく潜在的な浸水リスクを評価し、グレードを付与しました。また、気候変動による洪水浸水被害の増加に伴う財務影響額として、店舗復旧費用増加額、及び復旧期間中の売上減少額のそれぞれの期待値を2030年、2050年について試算しました。
分析の結果、気象災害の激甚化により浸水リスクは増加するものの、2050年までは、2℃シナリオ、4℃シナリオのいずれにおいても洪水及び高潮による浸水被害の増加による財務影響は限定的であることがわかりました。
当社では、この分析結果に基づいて、BCP(事業継続計画)の見直しや災害対策マニュアルの整備、従業員を対象に研修や訓練を実施して店舗の営業継続を図るとともに、事業戦略や財務への影響を把握し、事業戦略の見直しや気候変動への適応につながるさまざまな対策を実施しております。また、台風や豪雨、豪雪による災害発生が見込まれる場合には、事前に災害対策本部を立ち上げ、計画休業を取り入れるなどして、お客さまや従業員の安全確保に努めております。
なお、分析の結果の詳細につきましては当社ウェブサイトに掲載しておりますので、ご参照ください。
https://www.lawson.co.jp/company/activity/environment/tcfd/
③環境配慮型商品による売上高の増加
当社は、脱炭素化や食品ロス・プラスチック使用量の削減などの環境負荷を低減する取組みを進めるなかで、マチの変化、お客さまのニーズの変化に対応するとともに、社会課題の解決に取り組んでおります。昨今のお客さまの環境志向の高まりという変化に対応し、環境に配慮した商品販売の機会を最大限に拡大すべく、今後いっそう新たな商品・サービスの開発とともに環境保全に資する施策を策定してまいりたいと考えております。
その一例として、持続可能な認証商品の開発・販売の取り組みの一環で、レインフォレスト・アライアンス認証農園産のコーヒー豆のみ(一部商品は対象外)を使用した店内淹れたてコーヒーサービス「MACHI café」や、森林認証材を使用したペーパーカップや紙パックの飲料を販売しております。
これらの環境配慮型商品が脱炭素経済への移行に際し、一定の販売拡大機会を得ることができるか、シナリオ分析を行いました。分析にあたっては、将来のお客さまにおける環境志向の変化を捉え、当社販売商品に対する需要への影響を推計するために、「環境配慮型商品に対する年代別の購買層割合」の変化という要素をもとに、環境配慮型商品の売上高の変動を検討しました。
(環境配慮型商品の売上高の状況)
| 脱炭素社会 | |
| 2030年 | 2050年 |
| +65億円程度 | +194億円程度 |
本シナリオ分析の結果、脱炭素化に向かう社会の中で、当社は環境に配慮した商品の開発・提供などの取組みを通じてサステナブルな社会に貢献しつつ、お客さまの環境志向の高まりに適切に対応していくことで、環境配慮型商品の売上を増加させていきたいと考えております。
