有価証券報告書-第63期(2025/05/21-2026/05/20)
文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および中長期的な経営戦略等
当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。
これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。
その後、デジタル化の加速や生成AIをはじめとする技術革新の進展に加え、人手不足の深刻化や働き方の変化など、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。
そのような状況の中、2025年7月4日に「2026年5月期~2029年5月期中期経営計画(以下、中期経営計画)」を策定し、公表いたしました。
中期経営計画の初年度にあたる2026年5月期においては、2025年10月に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害により一時的に事業運営が停止したことから業績が悪化いたしましたが、その後、全社一丸となって復旧に取り組むとともに、多くのステークホルダーの皆様のご支援もいただきながら、セキュリティ対策の強化および物流システムの再構築をはじめとする事業基盤の再整備を進めてまいりました。その結果、事業活動は早期に正常化しております。
2027年5月期においては、正常化した事業基盤のもと、売上高の回復およびお客様基盤の強化に取り組んでまいります。売上高については被害発生前の水準まで回復を見込む一方で、収益力については過去水準と比較して回復途上にあるものの、下期に向けて改善が進展することを見込んでおります。こうした状況を踏まえ、2027年5月期は、足元の業績回復にとどまらず、今後の成長に向けた基盤整備の年度と位置づけており、中期経営計画で掲げた「Beyond Retail ~小売を超えて、働くを革新する~」の実現に向け、事業基盤の強化を着実に推進しております。「ASKUL関東DC」の稼働を通じた物流ネットワークの最適化に加え、「対人サービス業種」への提案強化や「仕事場の日用品」の拡大、AIを活用したマーケティングの高度化など、新たな需要創出にも取り組んでおります。これらの取り組みの成果を着実に売上成長と収益力向上へ結び付けることで、2028年5月期において収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度における過去最高益の達成に向けて取り組んでまいります。
また、当社はサクセッション・プランに基づき経営承継を進めており、2026年8月をもって新体制への移行を予定しております。ランサムウェア攻撃からの復旧過程においても次世代人材が中心的な役割を果たしてきたことを踏まえ、新体制のもと、迅速な意思決定と実行力の強化を図るとともに、AIの進化によるeコマース市場の変化を成長機会と捉え、次の成長ステージへの挑戦を加速してまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画で掲げた戦略の方向性につきましては、基本的な考え方に変更はありませんが、数値目標については、外部環境および足元の事業状況を踏まえ、2029年5月期のコミット目標である連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%の着実な達成を目指すとともに、連結株主資本利益率(ROE)20%の実現に取り組んでまいります。
当連結会計年度(2026年5月期)は、ランサムウェア攻撃の影響に加え、売上高回復に向けた過去最大規模の販売促進施策の実施や、一時的に物流効率が低下したことなどにより、売上高が減少するとともに、営業利益も大きく低下いたしました。また、特別損失としてシステム障害対応費用および株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失を計上した結果、売上高は4,001億円、営業利益率は△4.4%、ROEは△35.3%となりました。
2027年5月期は、売上成長への転換と収益構造改革を着実に進め、持続的成長に向けた基盤を構築してまいります。
成長戦略については、事業復旧のプロセスで得た知見を活かし、新体制のもとで戦略実行を加速してまいります。特に、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティング・営業活動の質と量の両面を高度化することで、お客様生涯価値(LTV)の最大化を推進してまいります。これらの取り組みを着実に推進することにより、成長軌道への回帰を実現し、売上高は4,900億円、営業利益率は1.4%、ROEは8.3%となる見通しです。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。
① 収益構造の改革
当社独自のビッグデータとAIを最大限に活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進することで、お客様ニーズに即した最適な商品提案を実現し、継続的な取引の拡大と購買点数の増加を図ってまいります。また、お客様一人当たりの購買価値の向上を重視し、お客様生涯価値(LTV)の最大化を軸とした営業戦略を推進することで、継続的な価値提供とお客様との関係深化に努めてまいります。
さらに、「対人サービス業種」を中心とした新規顧客の開拓を進めるとともに、オリジナル商品の拡充や物流サービス品質の向上により提供価値を高めてまいります。加えて、物流の効率化や固定費の最適化を継続的に推進し、収益性の向上と強固な収益基盤の構築を目指してまいります。
② 新たな価値提供領域の確立(新規事業の推進)
中長期的な成長基盤の強化に向け、既存事業の競争力向上に加え、当社が保有するお客様基盤、購買データ、商品開発力、物流基盤および営業力などの経営資源を活用し、新たな価値提供領域の確立を積極的に推進してまいります。
企業の従業員およびその先のお客様に対するソリューションビジネスの展開を通じて、新たな付加価値の創出を図るとともに、新たな事業・サービスについてはPoC(注)により市場性や収益性を検証し、有望な案件については事業化を推進してまいります。また、成長投資枠を活用したM&Aや他社との協業を組み合わせることで、新規事業の創出を加速し、収益基盤の多様化を図ってまいります。これにより、2035年における既存事業と新規事業の利益割合(EBITDAベース)50:50の実現を目指してまいります。
③ セキュリティ対策の強化
ランサムウェア攻撃の経験を踏まえ、再発防止と事業継続性のさらなる向上を目的として、情報セキュリティ対策の高度化を最重要課題の一つと位置付けております。短期・中期・長期の各視点から継続的なリスク対応力の強化に取り組み、不正アクセス対策、侵入検知体制の高度化、バックアップおよび復旧体制の強化など、サイバー攻撃を前提とした多層的な防御体制を構築してまいります。
また、CEO直轄のもと独立した経営機能としてCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を中心とする体制を整備するとともに、専門組織による実行体制を強化し、全社的な情報セキュリティガバナンスおよびリスクマネジメントの高度化を推進してまいります。
(注)Proof of Conceptの頭文字をとった略称で、新しい技術やアイデア等の実現可能性を検証することを指します。
(1)経営方針および中長期的な経営戦略等
当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。
これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。
その後、デジタル化の加速や生成AIをはじめとする技術革新の進展に加え、人手不足の深刻化や働き方の変化など、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。
そのような状況の中、2025年7月4日に「2026年5月期~2029年5月期中期経営計画(以下、中期経営計画)」を策定し、公表いたしました。
中期経営計画の初年度にあたる2026年5月期においては、2025年10月に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害により一時的に事業運営が停止したことから業績が悪化いたしましたが、その後、全社一丸となって復旧に取り組むとともに、多くのステークホルダーの皆様のご支援もいただきながら、セキュリティ対策の強化および物流システムの再構築をはじめとする事業基盤の再整備を進めてまいりました。その結果、事業活動は早期に正常化しております。
2027年5月期においては、正常化した事業基盤のもと、売上高の回復およびお客様基盤の強化に取り組んでまいります。売上高については被害発生前の水準まで回復を見込む一方で、収益力については過去水準と比較して回復途上にあるものの、下期に向けて改善が進展することを見込んでおります。こうした状況を踏まえ、2027年5月期は、足元の業績回復にとどまらず、今後の成長に向けた基盤整備の年度と位置づけており、中期経営計画で掲げた「Beyond Retail ~小売を超えて、働くを革新する~」の実現に向け、事業基盤の強化を着実に推進しております。「ASKUL関東DC」の稼働を通じた物流ネットワークの最適化に加え、「対人サービス業種」への提案強化や「仕事場の日用品」の拡大、AIを活用したマーケティングの高度化など、新たな需要創出にも取り組んでおります。これらの取り組みの成果を着実に売上成長と収益力向上へ結び付けることで、2028年5月期において収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度における過去最高益の達成に向けて取り組んでまいります。
また、当社はサクセッション・プランに基づき経営承継を進めており、2026年8月をもって新体制への移行を予定しております。ランサムウェア攻撃からの復旧過程においても次世代人材が中心的な役割を果たしてきたことを踏まえ、新体制のもと、迅速な意思決定と実行力の強化を図るとともに、AIの進化によるeコマース市場の変化を成長機会と捉え、次の成長ステージへの挑戦を加速してまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画で掲げた戦略の方向性につきましては、基本的な考え方に変更はありませんが、数値目標については、外部環境および足元の事業状況を踏まえ、2029年5月期のコミット目標である連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%の着実な達成を目指すとともに、連結株主資本利益率(ROE)20%の実現に取り組んでまいります。
当連結会計年度(2026年5月期)は、ランサムウェア攻撃の影響に加え、売上高回復に向けた過去最大規模の販売促進施策の実施や、一時的に物流効率が低下したことなどにより、売上高が減少するとともに、営業利益も大きく低下いたしました。また、特別損失としてシステム障害対応費用および株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失を計上した結果、売上高は4,001億円、営業利益率は△4.4%、ROEは△35.3%となりました。
2027年5月期は、売上成長への転換と収益構造改革を着実に進め、持続的成長に向けた基盤を構築してまいります。
成長戦略については、事業復旧のプロセスで得た知見を活かし、新体制のもとで戦略実行を加速してまいります。特に、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティング・営業活動の質と量の両面を高度化することで、お客様生涯価値(LTV)の最大化を推進してまいります。これらの取り組みを着実に推進することにより、成長軌道への回帰を実現し、売上高は4,900億円、営業利益率は1.4%、ROEは8.3%となる見通しです。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。
① 収益構造の改革
当社独自のビッグデータとAIを最大限に活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進することで、お客様ニーズに即した最適な商品提案を実現し、継続的な取引の拡大と購買点数の増加を図ってまいります。また、お客様一人当たりの購買価値の向上を重視し、お客様生涯価値(LTV)の最大化を軸とした営業戦略を推進することで、継続的な価値提供とお客様との関係深化に努めてまいります。
さらに、「対人サービス業種」を中心とした新規顧客の開拓を進めるとともに、オリジナル商品の拡充や物流サービス品質の向上により提供価値を高めてまいります。加えて、物流の効率化や固定費の最適化を継続的に推進し、収益性の向上と強固な収益基盤の構築を目指してまいります。
② 新たな価値提供領域の確立(新規事業の推進)
中長期的な成長基盤の強化に向け、既存事業の競争力向上に加え、当社が保有するお客様基盤、購買データ、商品開発力、物流基盤および営業力などの経営資源を活用し、新たな価値提供領域の確立を積極的に推進してまいります。
企業の従業員およびその先のお客様に対するソリューションビジネスの展開を通じて、新たな付加価値の創出を図るとともに、新たな事業・サービスについてはPoC(注)により市場性や収益性を検証し、有望な案件については事業化を推進してまいります。また、成長投資枠を活用したM&Aや他社との協業を組み合わせることで、新規事業の創出を加速し、収益基盤の多様化を図ってまいります。これにより、2035年における既存事業と新規事業の利益割合(EBITDAベース)50:50の実現を目指してまいります。
③ セキュリティ対策の強化
ランサムウェア攻撃の経験を踏まえ、再発防止と事業継続性のさらなる向上を目的として、情報セキュリティ対策の高度化を最重要課題の一つと位置付けております。短期・中期・長期の各視点から継続的なリスク対応力の強化に取り組み、不正アクセス対策、侵入検知体制の高度化、バックアップおよび復旧体制の強化など、サイバー攻撃を前提とした多層的な防御体制を構築してまいります。
また、CEO直轄のもと独立した経営機能としてCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を中心とする体制を整備するとともに、専門組織による実行体制を強化し、全社的な情報セキュリティガバナンスおよびリスクマネジメントの高度化を推進してまいります。
(注)Proof of Conceptの頭文字をとった略称で、新しい技術やアイデア等の実現可能性を検証することを指します。