意見表明報告書

【提出】
2023/05/15 16:31
【資料】
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脚注、表紙

(注1) 本書中の「当行」とは、株式会社SBI新生銀行をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、SBI地銀ホールディングス株式会社をいいます。
(注3) 本書中の「SBIHD」とは、SBIホールディングス株式会社をいいます。
(注4) 本書中の「SBIHDら」とは、公開買付者及びSBIHDを総称していいます。
(注5) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。
(注6) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注7) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注8) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注9) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注10) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。

公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地

名 称 SBI地銀ホールディングス株式会社
所在地 東京都港区六本木一丁目6番1号

公開買付者が買付け等を行う株券等の種類

普通株式

当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由

(1)本公開買付けに関する意見の内容
当行は、2023年5月12日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、当行の支配株主(親会社)であるSBI地銀ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といいます。)による当行の普通株式(以下「当行株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に賛同の意見を表明するとともに、当行の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、当行の上記の取締役会の決議は、本公開買付け及びその後の一連の手続を経て、当行の株主が公開買付者、預金保険機構及び株式会社整理回収機構(以下「整理回収機構」といいます。)のみとなることを企図していること、及び当行株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものであり、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当行における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されています。
(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、SBIHDグループ(下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」において定義しております。以下同じです。)に属する企業やSBIHDグループの投資先企業が有する商品・サービス・ノウハウ等を活用しつつ、地域金融機関に直接出資することで、地域金融機関の収益力強化とそれに伴う企業価値向上を図ることを主な目的として、2015年8月25日に設立された株式会社であり、本書提出日現在、その発行済株式の全てをSBIHDに所有されているとのことです。本書提出日現在、公開買付者は当行株式を102,159,999株(所有割合(注1):50.04%)所有しており、当行を連結子会社としております。なお、SBIHDは、本書提出日現在、当行株式を直接には所有しておりません。
下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」のとおり、この度、SBIHDらは、公開買付者が当行株式の全て(但し、公開買付者が所有する当行株式及び当行が所有する自己株式並びに預金保険機構(所有株式数26,912,888株、所有割合:13.18%)及び整理回収機構(所有株式数20,000,000株、所有割合:9.80%)が所有する当行株式(預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式を、以下、総称して「本不応募株式」といいます。)を除きます。)を取得することにより、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2023年5月12日開催のSBIHDの取締役会及び同日付の公開買付者の取締役会決議において、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当行が2023年5月12日公表した「2023年3月期 決算短信[日本基準](連結)」(以下「当行決算短信」といいます。)に記載された2023年3月31日現在の当行の発行済株式総数(205,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(889,718株)を控除した株式数(204,144,971株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、別途の記載がある場合を除き、比率の計算において同様に計算しております。)をいいます。以下同様とします。
また、SBIHDは、本公開買付けに際し、預金保険機構、整理回収機構及び当行との間で、2023年5月12日付で、当行に注入された公的資金(詳細については、下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」をご参照ください。)の取扱いに関する契約書(以下「本四者間契約」といいます。)を締結し、本取引後の公的資金の取扱いについて合意しているとのことです。また、SBIHDは、本公開買付けに際し、預金保険機構及び整理回収機構との間で、2023年5月12日付で、本四者間契約に関する覚書(以下「本株主間覚書」といいます。)を締結し、預金保険機構及び整理回収機構が、当行の取締役会が本公開買付けに対して賛同及び株主に対する応募推奨の意見を決議及び公表しており、これが撤回又は変更されていないことを条件として、本公開買付けに本不応募株式を応募しないこと、また、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施するために本臨時株主総会(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」にて定義しております。以下同じです。)において上程される本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」にて定義しております。以下同じです。)に関する議案に対して賛成の議決権を行使すること等を合意しているとのことです。本四者間契約及び本株主間覚書の詳細については、下記「(7)公開買付者と当行の株主・取締役との間における本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。
SBIHDらは、本公開買付けにより当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を企図しているため、本公開買付けにおいては買付予定数の上限を設定していないとのことです。また、下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、SBIHDらは、本公開買付けにより当行の非公開化を実現することは、当行グループ(下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」において定義しております。以下同じです。)を含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、公正な価格での売却機会を与えられる当行の少数株主の皆様にとっても利益があると考えているため、当該非公開化を確実に実施するために、本公開買付けにおいては買付予定数の下限を設定していないとのことです。これに関して、本公開買付けにおいては、当行の筆頭株主(2023年3月31日現在)である公開買付者の所有する当行株式(102,159,999株)の割合が大きい(所有割合にして50.04%)ことに加えて、当行の第2位株主(2023年3月31日現在)である預金保険機構(所有株式数26,912,888株、所有割合:13.18%)及び第3位株主(2023年3月31日現在)である整理回収機構(所有株式数20,000,000株、所有割合:9.80%)についても本公開買付けに応募しない旨を合意しているため、本公開買付けにおいて買付けが予定されている当行株式の数(55,072,084株)の割合が小さく(所有割合にして26.98%)、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定すると、第三者が当行株式を買い集めること等により、少ない数の株式取得によって本公開買付けの成立を容易に妨害することが可能となるため、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本取引を通じて株式を売却することを希望する当行の少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考えているとのことです。また、本スクイーズアウト手続の一環として本株式併合を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含み、以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされておりますが、公開買付者が所有する当行株式(102,159,999株、所有割合:50.04%)に係る議決権数(1,021,599個)及び本臨時株主総会において上程される本株式併合に関する議案に対して賛成の議決権を行使することをSBIHDとの間で合意している預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式(預金保険機構26,912,888株(所有割合:13.18%)、整理回収機構20,000,000株(所有割合:9.80%))に係る議決権数(預金保険機構269,128個、整理回収機構200,000個)の合計(1,490,727個)は、当行決算短信に記載された2023年3月31日現在の当行の発行済株式総数(205,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(889,718株)を控除した株式数(204,144,971株)に係る議決権の数(2,041,449個)の3分の2を超えていることから、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定しなくても、本スクイーズアウト手続を確実に実行できると考えているとのことです。
上記のとおり、本公開買付けにおいて買付予定数の上限及び下限を設定していないため、公開買付者は、本公開買付けに応じて売付け等の申込みがなされた株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
公開買付者は、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を目的としているため、本公開買付けにおいて当行株式の全て(但し、公開買付者が所有する当行株式、当行が所有する自己株式並びに預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、本スクイーズアウト手続を実施することにより、当行株式の全て(但し、公開買付者が所有する当行株式、当行が所有する自己株式並びに預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式を除きます。)を取得することを予定しているとのことです。なお、当行株式は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場されておりますが、下記「(4)上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当行株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。
② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
当行は、公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程につき、公開買付者より以下の説明を受けております。
公開買付者の完全親会社であるSBIHDは、ベンチャー・キャピタル事業を行うために、ソフトバンク・ファイナンス株式会社(現ソフトバンク株式会社)の子会社として1999年7月に設立されたとのことです。2000年12月には大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場に株式を上場し、その後、2002年2月に東京証券取引所市場第一部に株式を上場したとのことです。2003年6月にはイー・トレード株式会社との合併により、イー・トレード証券株式会社(現株式会社SBI証券(以下「SBI証券」といいます。))を子会社化したとのことです。2005年7月にはSBIホールディングス株式会社に商号変更し、ファンド運営事業等を分割してSBIベンチャーズ株式会社に承継し、同社の商号をソフトバンク・インベストメント株式会社(現SBIインベストメント株式会社)に変更したとのことです。2006年8月にソフトバンク株式会社との資本関係が解消され、現在に至っているとのことです。
SBIHD並びにSBIHDの子会社(2022年12月31日現在563社)及び持分法適用会社(同60社)から構成される企業グループ(当行グループを除き、以下「SBIHDグループ」といいます。)は、証券事業、銀行事業及び保険事業を中心とする「金融サービス事業」、投資信託の設定、募集、運用などの投資運用や投資助言を行う「資産運用事業」、ベンチャーキャピタルファンド等を運営するプライベートエクイティ事業を中心とする「投資事業」、暗号資産交換業等を運営する「暗号資産事業」、並びに、医薬品・健康食品及び化粧品の開発・販売や医療情報のデジタル化及び医療ビッグデータの利活用を進めるバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業、ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(Non-Fungible Token)の売買プラットフォームやトレーサビリティ・サービスを提供するWEB3関連の事業及びアフリカ諸国向けの中古車輸出とそれに付随するサービスを提供する事業といった「非金融事業」を中心に事業を行っているとのことです。
現在、SBIHDは多くの企業とのアライアンスを進めており、スマートフォン向け金融サービス等のデジタル分野の他、様々な事業分野の拡充を進めているとのことです。また、社会的使命の一つとして地方創生に寄与すべく地域金融機関との関係強化の他、地方創生を推進する統括会社(地方創生パートナーズ株式会社(以下「地方創生パートナーズ」といいます。))を数社のパートナー企業と共に設立し、地域金融機関との共通システムの提供や地方経済の活性化を推進する機能提供、ベンチャー企業等の投融資等を行う会社の設立を行っているとのことです。
他方で、公開買付者は、商号をER6株式会社とし、2015年8月25日にSBIHDグループ傘下の会社として設立されたとのことです。その後、公開買付者は、2019年7月にSBI Bank Holdings株式会社に、2020年4月にSBI地銀ホールディングス株式会社にそれぞれ商号変更を行い、現在に至っているとのことです。公開買付者は、2022年10月11日に金融庁より銀行法(昭和56年法律第59号。その後の改正を含み、以下「銀行法」といいます。)第52条の17に基づく銀行持株会社の認可を取得した上で、2022年10月12日から2022年10月19日にかけて当行株式を市場内取引により取得し、2022年10月19日には当行株式を102,159,999株(所有割合:50.04%:当該時点の所有割合(注):50.05%)所有するに至り、同日の当行株式取得の決済が完了した2022年10月21日付で公開買付者は銀行持株会社となり、①銀行及び銀行法により子会社とすることのできる会社の経営管理、②前①に掲げる業務に付帯関連する一切の業務、並びに③前①及び②に掲げる業務のほか、銀行法により銀行持株会社が営むことができる業務を事業の内容として、当行の収益力向上に向け、当行グループを含むSBIHDグループに属する企業や当行グループを含むSBIHDグループの提携先や投資先企業との連携を推進しているとのことです。
(注) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2022年11月21日に提出した「四半期報告書」に記載された当行の2022年9月30日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(54,915,601株)を控除した株式数(204,119,088株)に対する割合をいいます。
他方で、当行は、1952年12月1日に、長期信用銀行法(昭和27年法律第187号。その後の改正を含み、以下「長期信用銀行法」といいます。)に基づき「株式会社日本長期信用銀行」として設立されました。その後、高度成長と軌を一にして当行の業容も拡大し、当行株式は、1970年4月に東京証券取引所市場第一部及び大阪証券取引所市場第一部への上場を果たしました。その後、昭和60年以降のバブル経済の中で不動産・ノンバンク等の特定の業種に傾倒した貸出金が急増した結果、その後のバブル崩壊により多額の不良債権を抱えることとなったため、1998年10月23日に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法第132号。その後の改正を含み、以下「金融再生法」といいます。)第36条第1項に基づく特別公的管理の開始決定と、金融再生法第38条第1項に基づく株式取得の決定を受けるに至り、同年10月28日には、金融再生法第39条第1項に基づき、当行が当時発行していた当行株式及び第二回優先株式(注1)は全て、預金保険機構により取得されました(注2)。なお、1998年10月24日に、当行株式は上場廃止となりました。
その後、2000年3月1日に、ニュー・エルティーシービー・パートナーズ・シー・ヴィ(以下「パートナーズ社」といいます。)(注3)が、預金保険機構から、その保有する当行株式を取得し(注4)、同日、特別公的管理が終了しました。なお、パートナーズ社が当行株式の取得時に、当行及び預金保険機構との間で締結した2000年2月9日付の株式売買契約書においては、パートナーズ社による当行株式の取得後、当行が金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第143号。その後の改正を含みます。)第4条第2項に基づく株式の引き受けの申請(以下「本引受申請」といいます。)を行った場合、預金保険機構は、金融再生委員会からの承認を条件として、当行が新たに発行する無議決権優先株式を取得することを合意しておりました。そのため、当行は2000年3月3日に本引受申請を行い、同年3月31日に預金保険機構が発行済株式の全てを有する整理回収機構が、株式会社新生銀行第三回乙種優先株式(以下「第三回優先株式」といいます。)6億株を合計2,400億円(1株につき400円)で引き受けております(注5)。
その後、当行は、2000年6月には、当行の行名を「株式会社日本長期信用銀行」から「株式会社新生銀行」に変更し、2004年2月には東京証券取引所市場第一部に再上場を果たしました。そして、2004年4月に、当行は、金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和43年法律第86号。その後の改正を含みます。)に基づき、長期信用銀行法に基づく長期信用銀行から、銀行法上の普通銀行へ転換しております(注6)。
その後、当行は、2021年12月に、公開買付者による当行株式を対象とする公開買付けの結果、公開買付者が当行のその他の関係会社(主要株主かつ筆頭株主)となり、SBIHDが当行の支配株主(親会社)となっています。2022年2月1日にSBIHDが保有する当行株式が公開買付者へ譲渡されたため、公開買付者は当行の支配株主(親会社)となっております。その後、2022年4月4日に、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部からスタンダード市場に移行しております。また、2023年1月4日には、先般の親会社の異動に伴い、当行の行名を「株式会社新生銀行」から「株式会社SBI新生銀行」に変更しています。
(注1) 第二回優先株式とは、特別公的管理開始決定を言い渡される前である1998年3月31日に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第5号。その後の改正を含みます。)に基づき、当行が、整理回収機構に対して、合計1,300億円で発行をした優先株式(合計1億株)を指します。
(注2) 金融再生法においては、金融再生委員会(現在は内閣総理大臣)は、銀行がその財産をもって債務を完済することができない場合その他銀行がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合等において、当該銀行につき、特別公的管理の開始の決定(以下「特別公的管理開始決定」といいます。)をすることができるとされており(金融再生法第36条第1項)、また、金融再生委員会(現在は内閣総理大臣)は特別公的管理開始決定と同時に、当該銀行の発行する株式の取得を決定することとされていました(金融再生法第38条第1項)。
(注3) パートナーズ社は、米国のプライベート・エクイティ・マネジメント会社であるリップルウッド・ホールディングス・LLCの呼びかけにより、当行の株式の取得のために、複数の金融機関グループ、多数の投資家の出資を得て、オランダ王国において設立されたリミテッド・パートナーシップです。
(注4) 具体的には、当行は、2000年3月時点において、当行株式2,417,075,212株及び第二回優先株式1億株を発行しており、これらは全て預金保険機構が保有していたところ、預金保険機構は当行株式2,417,075,000株をパートナーズ社に10億円で売却をしています(単位未満株式である当行株式212株は当行が取得しています。)。なお、第二回優先株式1億株のうち25,472,000株は当行による減資により消却され、預金保険機構は残りの74,528,000株を引き続き保有しておりましたが、第二回優先株式は、2008年3月31日に、預金保険機構からの取得請求権の行使により、当行がその全てを、当行株式(合計269,128,888株)を対価として預金保険機構に交付の上で取得しています。
(注5) 整理回収機構により引き受けられた第三回優先株式(合計6億株)は、以下を経て、当行が全て取得しています。
(ア)2006年7月31日、整理回収機構による取得請求権の行使により、当行が、当行株式(200,033,338株)を対価として整理回収機構に交付の上で、第三回優先株式3億株を取得(なお、対価として交付された当行株式のうち、200,033,000株については、同年8月17日に整理回収機構によって市場にて売却が行われました。)
(イ)2007年8月1日、第三回優先株式の取得条項の内容に係る定款の定めにより、当行が、当行株式(合計200,000,000株)を対価として整理回収機構に交付の上で、第三回優先株式3億株を取得
(注6) 長期信用銀行法に基づく長期信用銀行は、普通銀行のように受け入れた預金を用いた貸付けを行わず、長期信用銀行債を発行することで、設備資金又は長期運転資金に関する貸付けをすることを主たる業務とする銀行です。
当行は、2023年3月31日時点で、連結子会社84社、持分法適用関連会社43社、及び非連結子会社51社を有しております(以下、当行並びにその連結子会社、持分法適用関連会社、及び非連結子会社を総称して「当行グループ」といいます。)。
当行グループの業務は、大きく、「法人業務」、「個人業務」及び「海外事業/トレジャリー/その他」の3つに分かれております。
このうち、主に事業法人、公共法人、金融法人向けの金融サービスとアドバイザリー業務を行う「法人業務」は合計6つのセグメントに分かれており、その中で、当行は、(ア)法人営業(事業法人、公共法人、金融法人向けの金融商品・サービス、アドバイザリー業務、シンジケーション業務及びウェルスマネージメント業務等)、(イ)ストラクチャードファイナンス(ノンリコースローン等の不動産金融業務、プロジェクトファイナンス・スペシャルティファイナンス(船舶航空機、M&A関連ファイナンス等)・ヘルスケアファイナンスに関する金融商品・サービス、信託業務)、(ウ)プリンシパルトランザクションズ(ベンチャービジネス関連業務、事業承継業務、プライベートエクイティ業務、アセットバック投資など)、(エ)昭和リース(リースを中心とする金融商品・サービス)、(オ)市場営業(外国為替、デリバティブ、株式関連、その他のキャピタルマーケッツ業務)、並びに、(カ)その他金融市場(新生証券株式会社の損益、アセットマネージメント業務等)に係る業務を行っております。
次に、リテール金融商品・サービスの提供を行う「個人業務」は合計4つのセグメントに分かれており、その中で、当行は、(ア)リテールバンキング(個人向けの金融商品販売・サービスの提供)、(イ)新生フィナンシャル(無担保カードローン及び信用保証業務)、(ウ)アプラス(ショッピングクレジット、カード、ローン、ペイメント業務)、並びに、(エ)その他個人(その他子会社等の損益)に係る業務を行っております。
最後に、上記の「法人業務」及び「個人業務」のいずれにも属さない「海外事業/トレジャリー/その他」は合計3つのセグメントに分かれており、その中で、当行は、(ア)海外事業(当行グループの海外連結子会社等の損益)、(イ)トレジャリー(ALM業務及び資本・債権関連取引による損益)、並びに(ウ)その他(報告セグメントに含まれていない損益、予算配賦した経費の予実差異の金額、セグメント取引消去額等)に係る業務を行っております。
当行は、2022年5月13日に、2023年3月期から2025年3月期の3か年を対象とする中期経営計画(以下「当行中期経営計画」といいます。)を公表いたしました。当行中期経営計画においては、中期ビジョン(2025年3月期に目指す姿)として、(ア)連結純利益700億円の達成と更なる成長への基盤の確立、(イ)先駆的・先進的金融を提供するリーディングバンキンググループ、及び(ウ)公的資金返済に向けた道筋を示すの3点を掲げ、これらの中期ビジョンの実現のための基本戦略として、①グループ内外の価値共創の追求、②強みの深化とフルラインナップ化、及び③事業を通じたサステナビリティの実現を掲げております。
なお、上記(ウ)における公的資金返済とは、当行が、特別公的管理下及びその手続終了後になされた預金保険機構及び整理回収機構からの金銭的な支援に対して、預金保険機構及び整理回収機構にとって回収せしめることを意味し、預金保険機構、整理回収機構、SBIHD及び当行が別途確認したとおり(下記「(7)公開買付者と当行の株主・取締役との間における本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。)、2023年5月12日現在の残高は合計349,374,894,942円であります。
当行中期経営計画の初年度である2023年3月期においては、中期ビジョン達成に向け、SBIHDグループとの連携を中心に、顧客・収益基盤の強化・再構築を実施しております。その結果、預金量と営業性資産残高が顕著に伸長し、当行中期経営計画における目標を上回りました(すなわち、預金量と営業性資産残高の2024年度計画がそれぞれ8.0兆円及び10.0兆円であるところ、2023年3月期における預金量と営業性資産残高の実績値はそれぞれ9兆9,822億円及び10兆3,742億円となりました。)。
当行は2019年より中期経営戦略「金融 リ・デザイン」を策定し、その中で「価値共創による成長追求」を基本戦略としているところ、SBIHDは、SBIHDグループと当行グループの事業が相互補完的であり、両グループ(当行グループとSBIHDグループを総称したグループを指します。以下同じです。)の経営資源を有機的に組み合わせることができれば顧客の利便性向上につながり、両グループの企業価値向上を図ることができると考えたことから、2019年4月2日から同年8月28日までの期間において断続的に市場内取引により当行株式を取得し、当行株式11,281,100株(所有割合:5.53%:当該時点の所有割合(注):4.66%)を所有するに至ったとのことです。
(注) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2019年8月1日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2019年7月31日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(16,782,472株)を控除した株式数(242,252,217株)に対する割合をいいます。
その後、SBIHDにおいて、2019年8月上旬に当行との資本業務提携の可能性について検討を開始し、SBIHDは、将来的な株価の上昇による値上がり益の実現及び配当収入により、当行株式に対する投資から得られる投資利益の向上を目的として、2020年1月7日には当行株式を13,004,000株(所有割合:6.37%:当該時点の所有割合(注1):5.51%)を所有するに至ったとのことです。また、2020年3月上旬以降同年12月下旬までの間において当行の株価が低調に推移していたことから、SBIHDは、当行株式をその平均取得簿価を下回る市場株価で買い進め、その平均取得簿価を引き下げたとのことです。その結果、同年12月21日にはSBIHDの所有する当行株式が29,260,500株(所有割合:14.33%:当該時点の所有割合(注2):13.32%)に至ったとのことです。
(注1) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2020年1月8日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2019年12月31日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(22,992,589株)を控除した株式数(236,042,100株)に対する割合をいいます。
(注2) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2020年12月3日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2020年11月30日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(39,355,070株)を控除した株式数(219,679,619株)に対する割合をいいます。
SBIHDは、2021年1月28日から同年3月下旬にかけて、当行株式を市場内においてさらに追加的に取得し、同年3月26日には、当行株式42,737,800株を所有するに至り、当該時点の所有割合(注1)は19.85%に至ったとのことです。その後、2021年8月31日までに実施された当行の自己株式取得により、当該時点の所有割合(注2)が20.32%に上昇したとのことです。
(注1) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2021年4月5日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2021年3月31日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(43,743,170株)を控除した株式数(215,291,519株)に対する割合をいいます。
(注2) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2021年9月3日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2021年8月31日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(48,724,159株)を控除した株式数(210,310,530株)に対する割合をいいます。
その後、SBIHDらは、当行の業績を改善し企業価値を回復・向上すべく、①当行をSBIHDの連結子会社としSBIHDグループと当行グループの間の事業上の提携関係を構築・強化すること、及び、②当行の役員の全部又は一部を変更し、最適な役員体制を実現することを可能にする議決権を確保すること、並びに、③公開買付けにより、公開買付者が、上記①の当行を連結子会社化するために必要な当行株式又は上記②の当行の役員の全部又は一部を変更し、最適な役員体制を実現することを可能にする議決権を確保するために必要な当行株式を取得できない場合でも、将来的な上記①及び②の目的達成に向けて、公開買付けにより当行株式の所有割合を機動的に高めておくことを目的として、公開買付者による当行株式に対する公開買付け(買付予定数の下限:設定なし、買付予定数の上限:58,211,300株、買付け等の期間:2021年9月10日から2021年12月10日まで。以下「前回公開買付け」といいます。)を実施したとのことです。当該公開買付けは、当行株主から56,922,199株の応募を集めて成立し、その結果、SBIHDらは、2021年12月17日の決済開始日において、当行株式を99,659,999株(所有割合:48.82%:当該時点の所有割合(注1):47.77%)所有するに至り、同日付で当行はSBIHDの連結子会社となったとのことです。
また、SBIHDは、2022年2月1日に、その所有する当行株式の全て(42,737,700株(所有割合:20.93%:当該時点の所有割合(注2):20.67%))を公開買付者に対して株式譲渡により移管し、公開買付者は、当行株式を99,659,999株(所有割合:48.82%:当該時点の所有割合(注2):48.21%)を所有するに至ったとのことです。
さらに、公開買付者は、上記のとおり2022年10月11日に金融庁より銀行法第52条の17に基づく銀行持株会社の認可を取得した上で、2022年10月12日から2022年10月19日にかけて当行株式を市場内取引により取得し、2022年10月19日には当行株式を102,159,999株(所有割合:50.04%:当該時点の所有割合(注3):50.05%)所有するに至り、同日の当行株式取得の決済が完了した2022年10月21日付で公開買付者は銀行持株会社となったとのことです。
(注1) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2021年12月3日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2021年11月30日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(50,393,609株)を控除した株式数(208,641,080株)に対する割合をいいます。
(注2) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2022年2月3日に提出した「自己株券買付状況報告書(法第24条の6第1項に基づくもの)」に記載された当行の2023年1月31日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(52,315,109株)を控除した株式数(206,719,580株)に対する割合をいいます。
(注3) 「当該時点の所有割合」とは、当行が2022年11月21日に提出した「四半期報告書」に記載された当行の2022年9月30日現在の発行済株式総数(259,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(54,915,601株)を控除した株式数(204,119,088株)に対する割合をいいます。
その後、当行は当行グループのこれまでの文化や歴史を大切にしながら、SBIの名称を冠することで、SBIHDグループの一員であることを明確にし、SBIHDグループが持つスピード感や起業家精神、先進的技術を取り入れ、先駆的・先進的金融を提供するリーディングバンキンググループを目指すべく、2023年1月4日付で商号を「株式会社新生銀行」から「株式会社SBI新生銀行」に変更しております。また、SBIHDは、今後のゼロ金利政策からの転換により市中金利の上昇を見込んでいることから、当面の間は銀行分野及びノンバンク分野に経営資源を傾斜配分し、法人及び個人向け融資やそれに付随する事業の比重を拡大する方針を掲げており、その一環として、当行によるリテール事業の強化を図っているとのことです。
こうした中、SBIHDらは連結子会社となった当行を含めてグループの全体戦略を一層強化すべく、以下の施策に取り組んできたとのことです。
① SBIHDグループと当行グループとの一体化の推進
SBIHDグループは当行グループとの一体化を推進すべく、両グループ間での組織再編を進めてきたとのことです。具体的には、第一に、2022年10月3日付でSBIHDの子会社であるモーニングスター株式会社(現SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)が当行の子会社である新生インベストメント・マネジメント株式会社の全株式を取得し、子会社とした後、2023年4月1日付でSBIグローバルアセットマネジメント株式会社の子会社であるSBIアセットマネジメント株式会社を存続会社として新生インベストメント・マネジメント株式会社を吸収合併したとのことです。これまでSBIアセットマネジメント株式会社をはじめとしたSBIHDグループの運用会社が提供する運用商品は、公募の株式型インデックスファンドや、主に地域金融機関から運用を受託している私募の債券型ファンドが中心でしたが、新生インベストメント・マネジメント株式会社が主として運用するアクティブファンド・オブ・ファンズ等の運用商品が加わることで、SBIHDグループの提供可能な運用商品の資産クラスの幅が広がり、個人投資家及び機関投資家の最適な資産運用に一層貢献することができるようになったとのことです。またSBIアセットマネジメント株式会社と新生インベストメント・マネジメント株式会社の合併によりシステム、データ、人員等の経営資源を統合し、業務の効率化と収益力の強化を図り、リスク管理体制及びコンプライアンス体制の一層の強化を図ることが可能となったとのことです。
第二に、当行及び当行の完全子会社である新生証券株式会社(以下「新生証券」といいます。)は、2021年12月にSBIHDグループの一員となって以降、証券ビジネス分野における補完関係、業務の重複を洗い出し、新生証券とSBIHDの子会社であるSBI証券との連携を含め組織再編の可能性を検討したとのことです。その結果、2022年11月2日に3社間で新生証券の組織再編に関する基本合意書を締結し、その後、SBI証券と新生証券との間で2023年2月1日付で新生証券の一部の権利義務をSBI証券が承継する吸収分割に関する吸収分割契約書を締結したとのことです。当該吸収分割により2023年6月1日を効力発生日として、新生証券の権利義務のうち地方銀行との仲介口座及び新生証券プロパーでの口座等をSBI証券に承継する予定とのことです。また、新生証券が営む業務のうち、債券リパッケージローン事業、デリバティブ内包型ローン事業、デリバティブ事業、債権等の流動化のアレンジメント業務については、当行と新生証券の間で2022年12月27日付で締結された事業譲渡契約に基づき移管が実行されており、法定帳簿等保管業務については2023年7月末までに移管を実行する予定とのことです。これらの吸収分割及び事業譲渡により両グループの証券ビジネスの一体運営を進めているとのことです。
また、SBIHDグループと当行グループはバックオフィスの効率化に向けた諸施策を推進してきたとのことです。具体的には両グループが利用しているITシステムのライセンス共同購入によるコスト削減を実現したとのことです。さらに当行の完全子会社であった新生ビジネスサービス株式会社にSBIHDが出資しJV化しており、両者総務部門の一部機能を一体化し、備品の一括購入によるコスト削減や総務関連業務の省力化・生産性の向上等を目指しており、人事部門に関しても、採用・研修等の領域において業務効率化を図るべく、2023年3月に新たにJVとしてSBI新生ヒューマン・リソーシズ株式会社を設立したとのことです。
さらに、SBIHDグループと当行グループはグループとしての一体性を構築するべく、各業務分野における相互人材交流を実施しているとのことです。具体的には、2023年4月1日時点でSBIHDグループからは当行グループの5社に対して27名、当行グループからはSBIHDグループの8社に対して34名がそれぞれ出向しているとのことです(兼務出向者を含みません。)。また、SBIHDグループから301名が当行の研修プログラムに、当行グループから58名がSBIHDグループの研修プログラムにこれまで参加したとのことです。
② SBIHDグループと当行グループとの事業上のシナジーの徹底追求
当行、SBI証券、及びSBIマネープラザ株式会社(以下「SBIマネープラザ」といいます。)は2022年7月29日付で両グループのリテール分野における金融商品仲介業務、銀行代理業及び共同店舗運営の3つの業務での全面的な業務提携について発表し、2022年8月9日より当行がSBI証券の「金融商品仲介業務」を行うこと、及びSBI証券が当行の「銀行代理業務」を行うことを開始したとのことです。また、2022年9月9日より当行の子会社である株式会社アプラス(以下「アプラス」といいます。)が発行する所定のクレジットカードを使って投信積立ができる「クレカ積立」サービスを開始し、2022年10月20日からは当行の培ってきたコンサルティング力とSBIHDグループの最先端の運用ノウハウという「リアル」と「デジタル」を組み合わせ、対面チャンネル向けのAIを活用した投資一任サービスである「SBIラップ×SBI新生銀行」の提供を開始したとのことです。
また、当行の対面チャネルを活用しSBIマネープラザの事業基盤拡大と当行の収益力拡大を図るべく、2022年8月18日より池袋において、2022年11月1日より梅田において、2023年2月1日より銀座において当行とSBIマネープラザによる共同店舗の運営を開始したとのことです。さらに銀行代理業委託契約に基づきSBIマネープラザが当行の住宅ローンを取り扱う初めての店舗である「SBI住宅ローン銀座」も銀座の共同運営店舗に併設したとのことです。
③ SBIHDグループ・当行グループ・地域金融機関の三位一体で推進する「トライアングル戦略」の更なる強化に向けた取り組み
2021年12月に当行グループがSBIHDグループの一員となったことで、SBIHDグループがこれまで推進してきた地方創生への取り組みは次の成長ステージへと踏み出すことが可能になったとのことです。具体的には、SBIHDグループが有する地域金融機関とのネットワークを有効活用し、SBIHDグループ・当行グループ・地域金融機関が持つ機能を三位一体となって活用する「トライアングル戦略」を徹底的に推進することを目指しているとのことです。
「トライアングル戦略」においては、地域金融機関は自身が有する地域でのブランド力を発揮して事業ニーズを掘り起こすとのことです。そのような事業機会に対してSBIHDグループと当行グループは相互に連携し、SBIHDグループからは、SBIHDグループ及び投資先企業の有する先端技術・ノウハウやSBIHDグループの広大なビジネスネットワークを、また当行グループからは銀行・ノンバンク機能を、それぞれ地域金融機関等へ提供するとのことです。これまでの施策としては、法人業務では当行で組成したストラクチャードファイナンス案件の地域金融機関への紹介や当行の子会社である昭和リース株式会社(以下「昭和リース」といいます。)によるリース案件の地域金融機関リース子会社への紹介、リテール分野ではアプラスのネオバンキング・プラットフォーム「BANKIT®」とSBIHDらのバンキングアプリの地域金融機関への提供に取り組んできたとのことです。このように、それぞれが持つ強み・機能を活かすことで、地方創生に貢献しているとのことです。
④ M&A等様々な施策によるノンバンク領域の強化
SBIHDの完全子会社であるSBIノンバンクホールディングス株式会社は住宅ローン商品「フラット35」において日本最大のシェア(注1)を誇るアルヒ株式会社を連結子会社とすることを目的として、2022年9月15日から2022年11月11日までを買付け等の期間としてアルヒ株式会社の株式の公開買付けを実施した結果、当該公開買付けが成立し、2022年11月18日の決済完了をもってアルヒ株式会社の株式の51.00%を所有するに至り、同日付でアルヒ株式会社はSBIHDの連結子会社となったとのことです。なお、SBIノンバンクホールディングス株式会社はその後2022年11月21日には、アルヒ株式会社の株式を追加取得し、その所有割合を2023年5月12日現在で53.29%まで高めているとのことです。当行とアルヒ株式会社がSBIHDの連結子会社となったことで、当行グループを含むSBIHDグループの住宅ローン残高は2022年3月末時点で10.4兆円(注2)となり、メガバンクに匹敵する水準になっているとのことです。また、アルヒ株式会社がSBIHDの連結子会社となったことで、当行グループやSBIマネープラザにおいては、「フラット35」の提供やアルヒ株式会社と共同で開発する住宅ローン商品の提供が可能になり、また、アルヒ株式会社においては、当行が取り扱う変動金利型の住宅ローンや、外部保証会社付の住宅ローン商品の銀行代理による提供により変動金利ニーズを有する顧客に対する商品提供が可能になると考えているとのことです。
(注1) 2010年度-2021年度統計、取り扱い全金融機関のうち借り換えを含む「フラット35」実行件数(2022年3月末現在。出典:アルヒ株式会社が2022年5月10日付で公表した「「フラット35」実行件数シェア12年連続No.1を獲得」)
(注2) 2022年3月末時点の住信SBIネット銀行株式会社及び当行の住宅ローン残高に、アルヒ株式会社の住宅ローンサービシング債権残高を加えた合計値
以上のように、SBIHDらは2021年12月に当行を連結子会社として以降、様々な施策を通じて、当行グループを含むSBIHDグループ全体としてのシナジーを追求してきたとのことです。しかしながら、当行が上場会社であることは資本市場から独自に資金調達が可能であるというメリットを有しているものの、上記の各種取り組み・施策を実施するにあたり、それぞれの経営資源等の相互活用に際し、その有用性及び取引としての客観的な公正性について当行の少数株主の利益を考慮した慎重な検討を要し、また、短期的には当行にとって相応のコストが生じる等、当行での利益最大化に時間を要する先行投資や、一時的なコスト増となる取り組みも迅速に遂行していく必要が生じる可能性があるところ、これらは当行グループを含むSBIHDグループ全体の中長期的な成長の観点からは必要となり、当行の企業価値の向上に資するものの、短期的には当行の少数株主にとってその意義が容易に汲み取りにくい場合も想定されるとのことです。また、SBI証券などSBIHDグループの会社との連携に関する施策においては、SBIHDグループの顧客基盤を活用した新規顧客の獲得やSBIHDグループの会社と共同でのアドバイザリー及びファイナンス提供を通じた新たな案件開拓等、新たな収益機会を得ることで、当行グループの成長につながり、ひいては当行グループを含むSBIHDグループ全体の成長につながるものであっても、当行グループの利益の増加の一部については当行の少数株主が享受することになるため、当該施策による当行グループの利益の増加を通じてSBIHDグループが得られる利益と当該施策を採らなかった場合にSBIHDグループの会社が直接得られる利益とを比較し、前者が後者を上回ると言える場合でなければ、SBIHDの株主への説明が困難となるため、実行できない場合も考えられるとのことです。加えて、当行グループが、SBIHDグループとの間の取引を実施する場合には、少数株主の利益保護の観点から、当行の独立社外取締役から構成される「親法人取引諮問委員会」による事前の審査及び事後のモニタリングを行うとともに、SBIHDグループの社内取締役又は従業員、及びそれらの経歴を有する等、SBIHDグループと関係の深い役員は当該取引に係る決議に加わらないこととされており、SBIHDグループとの取引については、迅速な判断ができない状況となっている上、当行グループを含むSBIHDグループ全体の中長期的な成長に繋がると共に、当行の企業価値の向上に資するものであっても、当行の短期的な成長が確実とはいえず、当行の少数株主にとってその意義が容易に汲み取りにくい場合には実施が難しい状況になっており、SBIHDらは、当行が上場を維持したままでは、当行の中長期的な成長の観点から必要な施策を迅速かつ柔軟に実施することは難しいと考えているとのことです。
したがって、グループの全体戦略をより一層強化し、上記の取り組み・施策を迅速かつ柔軟に実行するためには、SBIHDらが当行を非公開化することにより、当行グループとSBIHDグループ各社との連携をさらに強化し、グループ全体の経営資源配分の最適化を図り、グループ横断で各社のリソース・アセットを戦略的に組み合わせて活用していくことが必要であり、またその際、当行グループを含むSBIHDグループ各社がグループ横断の取り組みに関して意思決定を迅速かつ柔軟に実施し、また、当行の機関銀行化の防止については引き続きこれを徹底しつつも、当行の少数株主の利益保護の観点からこれまで保守的な判断が行われがちだった、SBIHDらの投資先に対するファイナンスや、役務の提供及び協調融資、両グループによるM&A案件の共同フィナンシャル・アドバイザー就任等、当行グループを含むSBIHDグループ全体の中長期的な成長に繋がりうるSBIHDグループとの取引を積極的に実施することが、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上にとって最適な選択であると考えたとのことです。なお、本取引に伴う当行の非公開化後も預金保険機構及び整理回収機構は当行の少数株主として残存することとなりますが、それぞれが様々な利害を有する多数(当行の株主総数は2023年3月31日時点において17,878名)の随時変動しうる少数株主が存在する現状と比較すると、非公開化後は、当行において利害を考慮すべき少数株主は公的資金の返済に向け、当行の中長期的な成長を期待すべき預金保険機構及び整理回収機構のみとなるため、これまでは当行の多数の少数株主の様々な利害を勘案すると実施することが容易ではなかったSBIHDグループとの取引を含む、当行グループとSBIHDグループの各社の連携に関する施策を積極的に実施することが可能になると考えているとのことです。
SBIHDらによる当行の非公開化が行われた場合は、例えばこれまで両グループではリテール分野においては、金融商品仲介業務、銀行代理業及び共同店舗運営の3つの業務で全面的な業務提携を行ってきましたが、非公開化後は同業務提携を一層強化するとともに、SBIHDらの地域金融機関のネットワークを活用した当行グループの無担保ローンの拡販、地域金融機関との協業により銀行機能を含む金融サービスと各地域で利用できる非金融系サービスをワンストップで利用可能な「スーパーアプリ」の実現、SBI証券との連携による無担保ローンの新規顧客獲得、SBIHDグループの関係会社を通じた割賦販売事業における加盟店の紹介等、更なる施策の検討を進めていくとのことです。
また、リテール分野に加えて、法人業務においても様々な取引において業務提携を柔軟かつ迅速に実行できると考えられるとのことです。より具体的には、例えばSBIHDグループのベンチャー・キャピタルであるSBIインベストメント株式会社(以下「SBIインベストメント」といいます。)の投資先や地域金融機関から紹介された企業に対して、融資をはじめ当行グループが強みとするオーダーメード型のファイナンスを迅速かつ柔軟に提供することで、投資先の幅広い資金ニーズに適時応えることができ、また、ファイナンスのみならず、SBIHDグループのネットワーク等を活用して専門的な技術や人材をこれらの企業に紹介する等、投資先の更なる成長とSBIインベストメントの運用実績向上につながると思われるとのことです。また、SBIHDグループ及び当行グループ以外の会社に対する共同出資や資本提携は、両グループの少数株主保護の観点から積極的に推進することは困難だったとのことですが、当行の非公開化後は、共同出資や資本提携を推進することが可能となり、その上で両グループにとって強みのある商品・サービスを提供することで、出資先・資本提携先の成長につながり、両グループの収益拡大につながると考えているとのことです。さらに、両グループのM&Aアドバイザリーチームが協力することによる、売り手と買い手ニーズのマッチング機会の増加や、両グループのM&A案件における当行グループのM&Aファイナンス提供等、収益機会の拡大につながると考えられるとのことです。また、不動産に関する顧客の様々なニーズに応えるべくSBIHDグループと昭和リースの顧客に対して不動産リースや不動産小口信託受益権等、不動産に係る金融商品を包括的に提供するなど、SBIHDグループの有する多様な金融商品を組み合わせることで、昭和リースが成長領域と位置付ける不動産やヘルスケア、環境・エネルギー等の領域への注力を加速し、事業の更なる拡大を志向していくとのことです。他にもSBIHDグループからの信託受託案件の紹介、前述の地域金融機関のネットワークを活用した融資、リース、不動産に係る金融商品提供機会の更なる拡大、海外におけるSBIHDグループからの投資案件の紹介、当行グループ発掘案件に対するSBIHDグループの知見を活かした共同投資実行等、グループとしての総合力が求められる法人業務での連携をさらに推進することで、当行は、総合金融機関としてのSBIHDグループが深化するドライバーになり得るものと考えているとのことです。
経営管理の観点からも、例えば当行はグループガバナンスを強化し、当行グループ各社が持つ間接機能の統合・一体運営を図るべく、2017年4月から仮想本社である「グループ本社」の仕組みを採用していますが、公開買付者が銀行持株会社となって以降、グループ本社と銀行持株会社それぞれで同様の管理機能を有しているため、経営資源を重複して消費していたとのことですが、当行を非公開化することで、SBIHDグループと当行グループとで重複した機能や部門の整理、管理機能の統合等を迅速に行い、経営資源配分の最適化が可能となると考えているとのことです。また、当行グループの会社で比較的規模の小さな会社についてはSBIHDグループの会社とのグループ横断的な組織再編が行われてきたとのことですが、例えばSBIHDグループと直接資本関係を構築することで、経営の自由度が高まる会社や、当行と直接資本関係を構築した方が良い会社の組織再編について、両グループにとって長期的な観点からは成長につながる場合であっても、短期的には大きなコストが生じる場合、当行の少数株主の利益を配慮し、SBIHDグループの会社との組織再編は見送られてきたとのことです。当行の非公開化後は、比較的規模の大きな当行グループの会社も含め、SBIHDグループの会社とのグループ横断的な組織再編が可能となり、両グループの経営資源配分の最適化が一層進むものと考えているとのことです。
また、SBIHDらは、当行グループにおける公的資金の残額349,374,894,942円の返済を最重要課題の一つと認識しており、当行を非公開化した上で早期に公的資金返済の道筋をつけることが社会的な責務であると考えているとのことです。当行の非公開化後においては、引き続き自己資本の充実に留意しつつも、短期的な当行の利益最大化のみにとらわれることなく、中長期的な観点からの当行の成長投資を行うことがより容易になるため、上記に記載のシナジー施策の推進等を通じ、返済原資や企業価値の源泉である当行の収益力の向上に向け注力することで、公的資金の返済にも資するものと考えているとのことです。また、預金保険機構及び整理回収機構との間で公的資金の具体的な返済計画について合意し公的資金返済の道筋をつけることによって、当行グループにおける資本政策の柔軟化を含めた事業運営上の自由度をさらに増大させることが可能となり、これによって当行グループの更なる中長期的な企業価値向上が期待できると考えているとのことです。これに関して、SBIHDは、下記「(7)公開買付者と当行の株主・取締役との間における本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」のとおり、預金保険機構、整理回収機構及び当行との間で、本四者間契約を締結し、本株式併合の効力発生後2025年3月末までに、公的資金返済に関する具体的仕組み(返済に関して想定されるスケジュールを含みます。)を預金保険機構及び整理回収機構に対して提案し、誠実に協議した上で同年6月末までに当事者間で当該公的資金返済に関する具体的仕組みについて合意することとしているとのことです。
さらに、当行が上場会社でなくなることで、年間上場料や金融商品取引法監査に係る監査報酬等、上場に伴う各種コストを削減できることも非公開化のメリットの一つとのことです。また、当行が上場している東京証券取引所のスタンダード市場の上場維持基準として、流通株式比率25%以上の基準が設けられている中、SBIHDら並びに預金保険機構及び整理回収機構が併せて当行株式を所有割合にして73.02%所有している現状を踏まえると、当行による当該基準への抵触により、今後当行の上場維持が困難となるおそれがあることから、本公開買付けを含む一連の手続を通じて、当行を非公開化することによって、当行の少数株主の皆様に当行の上場廃止に伴い発生するリスクの負担が及ぶことを回避しつつ株式の売却の機会を提供することは、当行の少数株主の皆様にとっても利益があると考えているとのことです。
こうした状況を踏まえ、SBIHDらは、2022年10月下旬に、本取引を通じて当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を実施することが最善と判断したとのことです。そして、同年10月下旬から、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立したフィナンシャル・アドバイザーであるシティグループ証券株式会社(以下「シティグループ証券」といいます。)と、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立したリーガル・アドバイザーである西村あさひ法律事務所と共に、当行の非公開化の本格的な検討を開始したとのことです。具体的には、公開買付者が当行の支配株主(親会社)であり、公開買付者の親会社であるSBIHDも当行の親会社であることに鑑み、本取引の公正性を担保するための検討体制の整備方針、本取引を通じて当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を行うために想定される一連の取引スキーム、本公開買付けの日程案、及び当行に対するデュー・ディリジェンスに係る方針、についてそれぞれ検討を行ったとのことです。その後、SBIHDらは、2023年2月8日に、当行に連絡し、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を目的として、買付予定数の上限及び下限を設定しない形の現金対価による当行株式に対する本公開買付けを実施し、本公開買付けにより預金保険機構及び整理回収機構以外の株主が所有する当行株式の全てを取得できなかった場合には、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとすることを目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを提案する旨の本取引に関する初期的な提案書(以下「初期的提案書」といいます。)を提出し、同年3月上旬に、当行から、検討に必要な体制を構築した上で、提案内容を検討する旨の連絡を受領したとのことです。その後、SBIHDらは、同年3月下旬から当行に対するデュー・ディリジェンスを行うとともに、並行して、本特別委員会(以下に定義します。)から2023年4月4日に本取引に関する質問を受領したため、2023年4月10日に回答を行うなど、SBIHDら及び当行は、本取引の諸条件について、2023年3月中旬以降、複数回に亘り協議を重ねてきたとのことです。
具体的には、SBIHDらは、当行に対し、2023年4月14日に、当該時点におけるデュー・ディリジェンスの経過及び取引条件の検討結果を踏まえ、①初期的提案書に記載した本取引の想定スキームをそのまま維持すること、②SBIHDらは当行グループにおける公的資金の返済を最重要課題の一つと認識しており、当行を非公開化した上で早期に公的資金返済の道筋をつけることが社会的な責務であると考えていること、当行の非公開化後にシナジー施策の推進等を通じて、返済原資や企業価値の源泉である当行の収益力の向上に向け注力することで公的資金の返済に資するものと考えていること等の公的資金返済に関するSBIHDらの考え方、③本公開買付けにおける当行株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり2,600円(2023年4月14日の前営業日である2023年4月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,376円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,305円)(小数点以下四捨五入。以下、市場株価の終値単純平均値の計算において同じです。)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,368円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,300円)に対して、それぞれ9.43%、12.80%、9.80%、13.04%のプレミアム(小数点第三位以下を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)を加えた価格。なお、公開買付者による銀行持株会社認可申請に係る報道日(以下「持株会社認可報道日」といいます。)の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ34.02%、34.30%、32.25%、27.02%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ78.94%、83.62%、78.08%、63.42%のプレミアムを加えた価格。)とすること等を記載した提案書を提出したとのことです。これに対して、SBIHDらは、2023年4月17日に、当行並びに当行の社外取締役、社外監査役及び外部有識者から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)から、①本取引のストラクチャーについて大枠に異存はない旨及び②公的資金の返済は重要な問題のひとつであり、慎重な検討が必要であると認識している旨の回答、並びに③1株当たり2,600円という本公開買付価格は当行の本源的価値に照らし不十分な水準で、少数株主の利益に資さないものであるとして、本公開買付価格を再考することについての要請を受けたとのことです。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年4月21日に、1株当たり2,600円の本公開買付価格を再検討することは考えていないこと等を内容とする回答書を、当行及び本特別委員会に対し提出したとのことです。これに対して、SBIHDらは、2023年4月25日に、当行及び本特別委員会から、1株当たり2,600円の本公開買付価格が不十分であるとの結論は変わらず、当行及び本特別委員会としては、当該価格は、想定する当行株式の本源的価値に照らし少数株主への説明責任を果たすことができない過小評価された水準であると考えており、当行がSBIHDらに対して開示した事業計画も踏まえて中長期的・持続的な視点で想定する当行の本源的価値に基づけば、当行の株式価値は1株当たり3,400円を超える水準も十分に正当化することが可能であると考えているとして、本公開買付価格を再考することについての要請を受けたとのことです。当該要請に対し、SBIHDらは、2023年4月27日に、本公開買付価格を1株当たり2,700円(2023年4月27日の前営業日である2023年4月26日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,411円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,371円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,387円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,317円)に対して、それぞれ11.99%、13.88%、13.11%、16.53%のプレミアムを加えた価格。なお、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ39.18%、39.46%、37.33%、31.90%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ85.82%、90.68%、84.93%、69.70%のプレミアムを加えた価格。)とすること等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出したとのことです。これに対して、SBIHDらは、2023年4月29日に、当行及び本特別委員会から、①1株当たり2,700円の本公開買付価格は、当行及び本特別委員会として想定する本源的価値に照らした株式価値の水準から依然大きく乖離しており、少数株主の利益を十分に配慮し、少数株主にできる限り有利な取引条件を目指す合理的な努力が期待されている本特別委員会としては受け入れ困難な価格であること、②最終的な公開買付価格の水準によっては、買付予定数の下限設定は極めて重要な位置付けになると考えており、今後、SBIHDらからの提案価格の大幅な引き上げが見込めない場合には、当行及び本特別委員会としては、当行の少数株主による相応の応募があることを本公開買付けの成立の条件とするべく、下限設定(いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティの要素を含みます。)の要請が必須であると考えていること等を内容とする回答書を受領し、本公開買付価格を再考することについての要請を受けたとのことです。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月2日に当行の経営陣から当行の事業計画に関する説明を受けた上で、2023年5月8日に、①本公開買付価格を1株当たり2,800円(2023年5月8日の前営業日である2023年5月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,449円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,402円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,391円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,324円)に対して、それぞれ14.33%、16.57%、17.11%、20.48%のプレミアムを加えた価格。なお、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ44.33%、44.63%、42.42%、36.79%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ92.70%、97.74%、91.78%、75.99%のプレミアムを加えた価格。)とすること、②本取引を通じて当行の非公開化を実現することは、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、公正な価格での売却機会を与えられる当行の少数株主の皆様にとっても利益があることから、当該非公開化を確実に実施することが当行の少数株主の皆様の利益に適うものと引き続き考えていること等を理由に本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出したとのことです。
これに対して、SBIHDらは、2023年5月9日に、当行及び本特別委員会から、①本公開買付価格について、1株当たり3,000円を下回る水準では、少数株主利益に配慮した結果であると結論付けることが依然難しいこと、②本公開買付価格がSBIHDらの提案価格の水準(1株当たり3,000円を下回る水準)に留まる場合、当行及び本特別委員会としては、少数株主から本取引の条件について支持されていることの証左となるような下限の設定が必要となると考えており、すなわち、3,000円以上の本公開買付価格を提案するか、又は本公開買付価格がSBIHDらの提案価格である2,800円若しくは3,000円未満の水準となる場合は、下限の設定がなされなければ、当行株主への応募推奨は困難と考えていること、具体的な下限設定の水準として、マジョリティ・オブ・マイノリティの考え方を前提としつつ、公開買付価格の多寡に関わらず一般的に公開買付けへ応募を行わない方針とされるパッシブ・インデックス運用ファンドの想定所有割合を考慮した下限の設定を希望すること等を内容とする回答書を受領し、本公開買付価格を再考することについての要請を受けたとのことです。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月10日に、①1株当たり2,800円の本公開買付価格は、SBIHDらとして、当行の少数株主の皆様の利益に最大限配慮した上でのSBIHDらとして提示しうる最善かつ最終的な提案であり、当行の少数株主の皆様の利益に十分資するものであると考えていることから、本公開買付価格に係る当該提案(本公開買付価格を1株当たり2,800円とすること)を維持すること、②買付予定数の下限の設定については、本取引を通じて当行の非公開化を実現することが、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、公正な価格での売却機会を与えられる当行の少数株主の皆様にとっても利益があることから、当該非公開化を確実に実施することが当行の少数株主の皆様の利益に適うものと引き続き考えており、そのため、本公開買付けにおいて買付予定数について下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出したとのことです。これに対して、SBIHDらは、2023年5月11日に、当行及び本特別委員会から、本公開買付けにおける買付予定数の下限の設定を再考することについての要請を受けたとのことです。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月11日に、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは当行の少数株主の利益の観点から望ましくないとの考えは変わらず、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出したとのことです。これに対して、SBIHDらは、2023年5月11日、当行及び本特別委員会から、本公開買付けについて、本公開買付価格を1株当たり2,800円とし、買付予定数の下限を設定しないとするSBIHDらの提案を受諾する旨の回答を受けたとのことです。
これにより、SBIHDら及び当行は、本公開買付けについて、本公開買付価格を1株当たり2,800円とし、買付予定数の下限を設定しないことで合意に至ったとのことです。
なお、公的資金の返済に関して、SBIHDらは、当行及び本特別委員会から、公的資金の想定返済期間についての質問を受けたとのことですが、本四者間契約において、SBIHD及び当行が2025年3月末までに公的資金返済に関する具体的仕組みを預金保険機構及び整理回収機構に対して提案し、2025年6月末までに当該具体的仕組みを合意することとされているため、公的資金の返済に要する想定期間を特定することはできない旨回答するとともに、現時点におけるSBIHDらの考えとして、公開買付者と預金保険機構及び整理回収機構に対して、その持株比率に応じた配当を行う方法等により公的資金の返済を行うものと考えていること、及び、一定の水準における仮定を置いた上で、毎期の当行による預金保険機構及び整理回収機構への配当額が公的資金の残額に達するためには相応の期間が必要となると考えていることを、当行及び本特別委員会に対して説明したとのことです。
以上の当行との協議・交渉を踏まえ、SBIHDらは、2023年5月12日開催のSBIHDの取締役会及び同日付の公開買付者の取締役会決議において、本公開買付価格を1株当たり2,800円とし、当行の株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとする非公開化を目的とした本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
これに対して、当行は、公開買付者から、2023年2月8日、初期的提案書を受領した後、当行取締役会において、当該提案の検討を開始するかどうかの審議を行うこととしました。
また、当行は当行取締役会において、当該提案の検討を開始することを正式に決議した場合、速やかにこれを実施できるよう、検討体制の構築のための準備を行うこととなりました。すなわち、公開買付者は当行の支配株主(親会社)であり、公開買付者の親会社であるSBIHDも当行の親会社であることに鑑み、本取引の公正性を担保するため、当行と従前から取引関係のあった三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)、及び同じく当行と従前から取引関係のあったアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)の助言を踏まえ、公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構から独立した立場で、当行の企業価値の向上及び当行の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築に向けた準備を開始いたしました。具体的には、当行は、2023年2月8日に初期的提案書を受領した後、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、1名を除き、SBIHDグループ各社の役職員を兼務しておらず、かつ過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していたことのない当行の役職員の合計6名から構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。プロジェクトチームのメンバーのうち1名(当行の執行役員)については、SBIHDが提唱する地方創生への取り組み趣旨に賛同し、地方創生の実現という共通の想いを有する各社との間で、地方創生パートナーズを共同設立したことに伴い、2020年8月31日から2023年4月3日まで、SBIHDグループに属する株式会社の非常勤取締役(いずれも無報酬)を兼務しておりましたが、当該執行役員は、当行の従業員として20年以上勤務をしていることや、当行の執行役員グループ戦略企画部長兼グループ経営企画担当として当行の経営企画の責任者であることから、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉への関与が不可欠であると判断し、プロジェクトチームに参画しております。かかる取扱いを含めて、当行の社内に構築した本取引の検討体制に独立性の観点から問題がないことについては本特別委員会の確認を得ており、かつ、上記執行役員の関与の態様についても本特別委員会に相談を行い、確認を経ております。
また、当行は、2023年2月8日以降、当行の社外取締役、社外監査役及び外部有識者から構成される本特別委員会の設置に向けた準備を進めることといたしました。
そして、当行は、2023年3月9日付の取締役会決議において、本特別委員会を設置の上、本取引に関する初期的な提案書について正式に検討を行うこととしました(本特別委員会の設置の経緯については、下記「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯」をご参照ください。)。
その後、当行は、SBIHDらからのデュー・ディリジェンスに応じてまいりました。加えて、公開買付者と当行は、2023年3月17日以降、本取引に向けた具体的な協議・交渉を開始いたしました。具体的には、本特別委員会はSBIHDらに対して2023年4月4日に本取引に関する質問を送付し、2023年4月10日に回答がなされるなど、SBIHDら及び当行は、本取引の諸条件について、2023年3月中旬以降、複数回に亘り協議を重ねてきました。その結果、2023年5月11日、当行は、SBIHDらと、本公開買付けについて、本公開買付価格を1株当たり2,800円とすることで合意に至りました。詳細は、下記「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」をご参照ください。
③ 本公開買付け後の経営方針
SBIHDらは、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」のとおり、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値の向上に向けた経営を行う方針であり、当行の事業特性、強みを十分に活かした経営を行い、事業強化を図っていくとのことです。
なお、2023年5月12日現在、当行の取締役9名のうち、取締役3名が過去にSBIHDらの役職員の地位にあった者であります。今後の当行の経営体制について現時点で具体的に決定しているものはないとのことですが、今後当行と協議の上、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の諸施策の実行や経営基盤の更なる強化に向けた最適な体制の構築を検討していく予定とのことです。
④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当行は、公開買付者から、2023年2月8日、初期的提案書を受領した後、当行取締役会において、当該提案の検討を開始するかどうかの審議を行うこととしました。
また、当行は当行取締役会において、当該提案の検討を開始することを正式に決議した場合、速やかにこれを実施できるよう、検討体制の構築のための準備を行うこととなりました。すなわち、当行は、公開買付者が当行の支配株主(親会社)であり、公開買付者の親会社であるSBIHDも当行の親会社であることに鑑み、本取引の公正性を担保するため、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構から独立した立場で、当行の企業価値の向上及び当行の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築に向けた準備を開始いたしました。具体的には、当行は、2023年2月8日以降、当行の社外取締役、社外監査役及び外部有識者から構成される本特別委員会の設置に向けた準備を進めることといたしました。
そして、当行は、2023年3月9日付の取締役会決議において、上記の公開買付者からの本取引に関する初期的な提案書について正式に検討を行うことを決定し、同日、その旨をSBIHDに伝えました。なお、当行は、当該取締役会において、当行のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を、当行のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を正式に選任することを決議しました。
加えて、当行は、上記の2023年3月9日付の取締役会決議において、当行における本取引にかかる意思決定の恣意性を排除し、当行の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することなどを目的として、SBIHDらから独立性を有し、かつ高度の識見を有すると認められる当行の社外取締役、社外監査役及び外部有識者で構成される本特別委員会を設置することとし、早﨑保浩氏(当行社外取締役)、寺田昌弘氏(当行社外取締役)、赤松育子氏(当行社外監査役)及び須田美矢子氏(外部有識者委員。一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所所属)の4名から構成される本特別委員会を設置しました(なお、本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
その際に、当行は、本特別委員会に対し、以下の事項(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。
(ア)本取引の目的及び当該目的実現のための手段としての本取引は正当性・合理性を有するか(本取引が当行の企業価値向上に資するかを含む。)
(イ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか
(ウ)本取引において、適切な開示と公正な手続を通じて当行の株主の利益への十分な配慮・説明がなされることとなるか
(エ)上記(ア)から(ウ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか
(オ)本取引に関連又は付随して当行が当事者となる契約等の締結が必要となる場合は、当行が同契約等を締結することが不適切ではないか(内容も勘案して判断を行う。)
(カ)上記(ア)から(オ)の検討を踏まえ、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うことは適切か、及び、それを適切と判断する場合にはさらに、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切か
また、当行取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を当行取締役会から独立した合議体として位置付け、(a)諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、当行の株式価値評価及び本取引に係る算定書、フェアネス・オピニオン、その他のアドバイスの提供、その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は当行が負担すること、(b)本取引に関する当行取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当行取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(c)本公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等又は本取引の目的・プロセス等に係る開示内容について、本特別委員会が必要と判断する場合において一定の行為をなす権限(すなわち、(ア)本特別委員会が、当行の役職員・部署(過去に、SBIHDグループにおいて役員を務めていた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役を除きます。以下同じです。)に対して、必要な調査を行うことを指示する権限、(イ)本特別委員会が、当行の役職員・部署に対して、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と交渉・調整を行うことを指示する権限、(ウ)本特別委員会が、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と自ら交渉・調整する権限)が付与されることを決議しております(当該取締役会における決議の方法については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
また、当行は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会から、当行のフィナンシャル・アドバイザーであり、第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券並びに当行のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
さらに、当行は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当行の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当行の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会から承認を受けております。
加えて、本特別委員会は、2023年3月15日に、本特別委員会のリーガル・アドバイザーとして、当行と従前から取引関係のあった桃尾・松尾・難波法律事務所を選任しました。また、本特別委員会は、本特別委員会の委員から紹介のあったフロンティア・マネジメント株式会社(以下「フロンティア・マネジメント」といいます。)を、2023年3月27日に、本特別委員会の第三者算定機関として選任しています。なお、本特別委員会は、桃尾・松尾・難波法律事務所及びフロンティア・マネジメントについて、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当しないこと、並びに本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しております。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
上記「(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯」に記載の検討体制を構築した後、当行は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から当行株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言を受けるとともに、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってまいりました。
具体的には、当行は、SBIHDらから、2023年4月14日に、当該時点におけるデュー・ディリジェンスの経過及び取引条件の検討結果を踏まえ、①初期的提案書に記載した本取引の想定スキームをそのまま維持すること、②SBIHDらは当行グループにおける公的資金の返済を最重要課題の一つと認識しており、当行を非公開化した上で早期に公的資金返済の道筋をつけることが社会的な責務であると考えていること、当行の非公開化後にシナジー施策の推進等を通じて、返済原資や企業価値の源泉である当行の収益力の向上に向け注力することで公的資金の返済に資するものと考えていること等の公的資金返済に関するSBIHDらの考え方、③本公開買付価格を1株当たり2,600円(2023年4月14日の前営業日である2023年4月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,376円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,305円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,368円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,300円)に対して、それぞれ9.43%、12.80%、9.80%、13.04%のプレミアムを加えた価格。なお、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ34.02%、34.30%、32.25%、27.02%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ78.94%、83.62%、78.08%、63.42%のプレミアムを加えた価格。)とすること等を記載した提案書を受領しました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年4月17日に、①本取引のストラクチャーについて大枠に異存はない旨及び②公的資金の返済は重要な問題のひとつであり、慎重な検討が必要であると認識している旨の回答、並びに③1株当たり2,600円という本公開買付価格は当行の本源的価値に照らし不十分な水準で、少数株主の利益に資さないものであるとして、本公開買付価格を再考することについての要請を行いました。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年4月21日に、1株当たり2,600円の本公開買付価格を再検討することは考えていないこと等を内容とする回答書を、当行及び本特別委員会に対し提出いたしました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年4月25日に、1株当たり2,600円の本公開買付価格が不十分であるとの結論は変わらず、当行及び本特別委員会としては、当該価格は、想定する当行株式の本源的価値に照らし少数株主への説明責任を果たすことができない過小評価された水準であると考えており、当行がSBIHDらに対して開示した事業計画も踏まえて中長期的・持続的な視点で想定する当行の本源的価値に基づけば、当行の株式価値は1株当たり3,400円を超える水準も十分に正当化をすることが可能であると考えているとして、本公開買付価格を再考することについての要請を行いました。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年4月27日に、本公開買付価格を1株当たり2,700円(2023年4月27日の前営業日である2023年4月26日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,411円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,371円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,387円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,317円)に対して、それぞれ11.99%、13.88%、13.11%、16.53%のプレミアムを加えた価格。なお、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ39.18%、39.46%、37.33%、31.90%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ85.82%、90.68%、84.93%、69.70%のプレミアムを加えた価格。)とすること等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出いたしました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年4月29日に、①1株当たり2,700円の本公開買付価格は、当行及び本特別委員会として想定する本源的価値に照らした株式価値の水準から依然大きく乖離しており、少数株主の利益を十分に配慮し、少数株主にできる限り有利な取引条件を目指す合理的な努力が期待されている本特別委員会としては受け入れ困難な価格であること、②最終的な公開買付価格の水準によっては、買付予定数の下限設定は極めて重要な位置付けになると考えており、今後、SBIHDらからの提案価格の大幅な引き上げが見込めない場合には、当行及び本特別委員会としては、当行の少数株主による相応の応募があることを本公開買付けの成立の条件とするべく、下限設定(いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティの要素を含みます。)の要請が必須であると考えていること等を内容とする回答書を提出し、本公開買付価格を再考することについての要請を行いました。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月2日に当行の経営陣から当行の事業計画に関する説明を受けた上で、2023年5月8日に、①公開買付価格を1株当たり2,800円(2023年5月8日の前営業日である2023年5月2日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(2,449円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(2,402円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(2,391円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,324円)に対して、それぞれ14.33%、16.57%、17.11%、20.48%のプレミアムを加えた価格。なお、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値(1,940円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,936円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,966円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(2,047円)に対して、それぞれ44.33%、44.63%、42.42%、36.79%のプレミアムを加えた価格。また、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日(2021年9月8日)の終値(1,453円)及び同日を基準とした過去1ヶ月間の終値単純平均値(1,416円)、過去3ヶ月間の終値単純平均値(1,460円)、過去6ヶ月間の終値単純平均値(1,591円)に対して、それぞれ92.70%、97.74%、91.78%、75.99%のプレミアムを加えた価格。)とすること、②本取引を通じて当行の非公開化を実現することは、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、公正な価格での売却機会を与えられる当行の少数株主の皆様にとっても利益があることから、当該非公開化を確実に実施することが当行の少数株主の皆様の利益に適うものと引き続き考えていること等を理由に本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出いたしました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年5月9日に、①本公開買付価格について、1株当たり3,000円を下回る水準では、少数株主利益に配慮した結果であると結論付けることが依然難しいこと、②本公開買付価格がSBIHDらの提案価格の水準(1株当たり3,000円を下回る水準)に留まる場合、当行及び本特別委員会としては、少数株主から本取引の条件について支持されていることの証左となるような下限の設定が必要となると考えており、すなわち、3,000円以上の本公開買付価格を提案するか、又は本公開買付価格がSBIHDらの提案価格である2,800円若しくは3,000円未満の水準となる場合は、下限の設定がなされなければ、当行株主への応募推奨は困難と考えていること、具体的な下限設定の水準として、マジョリティ・オブ・マイノリティの考え方を前提としつつ、公開買付価格の多寡に関わらず一般的に公開買付けへ応募を行わない方針とされるパッシブ・インデックス運用ファンドの想定所有割合を考慮した下限の設定を希望すること等を内容とする回答書を提出し、本公開買付価格を再考することについての要請を行いました。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月10日に、①1株当たり2,800円の本公開買付価格は、SBIHDらとして、当行の少数株主の皆様の利益に最大限配慮した上でのSBIHDらとして提示しうる最善かつ最終的な提案であり、当行の少数株主の皆様の利益に十分資するものであると考えていることから、本公開買付価格に係る当該提案(本公開買付価格を1株当たり2,800円とすること)を維持すること、②買付予定数の下限の設定については、本取引を通じて当行の非公開化を実現することが、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、公正な価格での売却機会を与えられる当行の少数株主の皆様にとっても利益があることから、当該非公開化を確実に実施することが当行の少数株主の皆様の利益に適うものと引き続き考えており、そのため、本公開買付けにおいて買付予定数について下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出いたしました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年5月11日に、本公開買付けにおける買付予定数の下限の設定を再考することについての要請を行いました。
当該要請に対し、SBIHDらは、2023年5月11日に、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは当行の少数株主の利益の観点から望ましくないとの考えは変わらず、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定することは考えていないこと等を記載した回答書を当行及び本特別委員会に対し提出いたしました。これに対して、当行及び本特別委員会は、SBIHDらに対して、2023年5月11日、本公開買付けについて、本公開買付価格を1株当たり2,800円とし、買付予定数の下限を設定しないとするSBIHDらの提案を受諾する旨の回答をいたしました。
これにより、SBIHDら及び当行は、本公開買付けについて、本公開買付価格を1株当たり2,800円とし、買付予定数の下限を設定しないことで合意に至りました。
なお、公的資金の返済に関して、SBIHDらは、当行及び本特別委員会から、公的資金の想定返済期間についての質問を受けましたが、当行及び本特別委員会は、SBIHDらから、本四者間契約において、SBIHD及び当行が2025年3月末までに公的資金返済に関する具体的仕組みを預金保険機構及び整理回収機構に対して提案し、2025年6月末までに当該具体的仕組みを合意することとされているため、公的資金の返済に要する想定期間を特定することはできない旨回答するとともに、現時点におけるSBIHDらの考えとして、公開買付者と預金保険機構及び整理回収機構に対して、その持株比率に応じた配当を行う方法等により公的資金の返済を行うものと考えていること、及び、一定の水準における仮定を置いた上で、毎期の当行による預金保険機構及び整理回収機構への配当額が公的資金の残額に達するためには相応の期間が必要となると考えている旨の説明を受けています。
以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、当行や当行のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行っております。
具体的には、当行は、当行が作成した2024年3月期から2025年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けております。また、当行は、本公開買付けに係る諸条件に関するSBIHDらとの交渉や、本四者間契約に関するSBIHDら、預金保険機構及び整理回収機構との交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っております。さらに、SBIHDらから本公開買付価格その他の条件についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、当行は、本特別委員会からの意見に従って対応を行っております。
そして、当行は、2023年5月12日、本特別委員会から、総合的な判断で、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うこと、及び、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると考える旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
(ⅲ)当行の意思決定の内容
以上の経緯のもとで、当行は、2023年5月12日開催の当行取締役会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から受けた助言に加えて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から取得した2023年5月11日付の株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)」といいます。)の内容及び本公開買付価格である1株当たり2,800円が当行の株主(SBIHDら及びその関係会社並びに預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)にとって財務的見地から妥当である旨の2023年5月11日付のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)」といいます。)の内容、並びに、フロンティア・マネジメントから本特別委員会へ提出された2023年5月11日付の株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり2,800円が当行の株主(公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)にとって財務的見地から妥当である旨の2023年5月11日付のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当行の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。
その結果、当行は、以下のとおり、本取引は当行の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
すなわち、2023年5月12日、当行は、当行を非公開化することで、これまでよりも、機動的かつ柔軟な意思決定やSBIHDグループとの更なる一体化、及びより中長期的な経営戦略の構築・遂行が可能となり、以下に掲げる(ア)から(ウ)のシナジーやメリットが実現可能となると考えることから、本取引は、当行の企業価値の向上にとって最善であると、判断いたしました。
当行が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーやメリットは、以下(ア)から(ウ)のとおりです。
(ア)機能や顧客基盤の相互補完によるビジネスの更なる強化
当行グループのリテール分野(セグメント名:「個人業務」)においては、これまで両グループにおいて、金融商品仲介業務、銀行代理業及び共同店舗運営の3つの業務で全面的な業務提携を行ってきました。しかしながら、例えば、(a)共同店舗運営に関するSBIHDグループからの人員の派遣等を通じた支援、(b)SBIHDグループが有する地域金融機関ネットワークを活用した新生フィナンシャル株式会社の無担保ローンや新規顧客の獲得に向けた販売努力に関する支援、(c)SBIHDグループの関係会社を通じた当行グループのアプラスの割賦販売事業における新規加盟店の獲得のための支援については、当行としては、SBIHDグループからのより一層の支援の余地があると考えております。
また、当行グループの法人分野(セグメント名:「法人業務」)においても、(a)SBIHDグループのベンチャー・キャピタルであるSBIインベストメントの投資先や地域金融機関の当行への紹介、(b)当行とSBIHDグループがそれぞれ有するM&Aアドバイザリーチームの協働による、M&Aの売り手と買い手のニーズのマッチングの強化に向けたSBIHDグループからの支援、(c)当行によるM&Aファイナンスの提供のためのSBIHDグループからの案件紹介、(d)当行グループに属する昭和リースが成長分野と位置付ける不動産やヘルスケア、環境・エネルギー等の領域に対して、SBIHDグループの有する多様な金融商品を組み合わせることを内容とするSBIHDグループからの提案といった各種領域においても、SBIHDグループからのより一層の支援の余地があると当行としては考えております。
しかしながら、SBIHDグループによれば、SBIHDグループから見た場合、当行は連結子会社の一つに過ぎないことから、当行グループの企業価値向上による利益の一部を当行の少数株主の皆様が享受してしまうとの理由から、支援に限界があるとされております。そのため、当行は、本取引により、公開買付者がより多くの当行株式を取得することで、SBIHDグループからの更なる支援を得られるのではないかと考えております。
なお、本取引の実施後においても、預金保険機構及び整理回収機構は引き続き当行の株主であり続けるものの、その理由は公的資金の返済の完了のためであることから、本取引の実施後は、両グループは公的資金の返済の完了という明確な目標のために、今以上に当行の企業価値向上に向けた取組みを実施するものと考えております。そのため、「当行グループの企業価値向上による利益の一部を預金保険機構及び整理回収機構が享受するため、SBIHDグループによる支援の強化がなされない」という事態は想定しておりません。
(イ)両グループ全体で最適な経営資源の配分を迅速に行うこと
当行は、これまで、独立した上場会社として、独自の経営管理機能を有しておりましたが、本取引を通じて当行が非上場会社化することで、当行グループとSBIHDグループとで重複して有する管理機能の統合等による経営資源の重複した消費の解消及び経営管理の高度化が達成できるものと考えております。
加えて、当行グループ会社は、SBIHDグループに所属する一員として、これまでも、例えば、SBIアセットマネジメント株式会社と新生インベストメント・マネジメントの合併といった、事業ポートフォリオの統合に向けた試みを行ってまいりましたが、当行の一般の株主の利益を配慮する観点から、SBIHDグループとの事業ポートフォリオの最適化については、非常に慎重に判断しており、迅速性という観点からは改善の余地があると考えております。当行は、本取引により、当行の一般の株主の利益の配慮という制限を取り除くことで、より迅速に、事業ポートフォリオの最適化を達成し、これをもって当行グループの企業価値向上につながるものと考えております。
なお、本取引の実施後においても、預金保険機構及び整理回収機構は引き続き当行の株主であり続けるものの、現在の当行の株主数(2023年3月31日時点で約17,878名)に比べた場合、株主数は大きく減少することとなるため、経営判断の迅速性という観点からは大きく向上するものと考えております。
(ウ)上場維持コストの削減
当行は、本取引により、当行株式が非公開化することで、監査費用、株主総会の運営に関する費用、株主名簿管理人への事務委託に関する費用等の上場維持に要する各種コストを削減することが可能となると考えております。なお、上場廃止に伴うデメリットとして、知名度の低下による人材確保が難しくなる可能性も想定されますが、SBIHDグループとの間の人材交流の活発化が期待できることから、上場会社かつ相応の規模の企業生態系を構築しているSBIHDのグループの一員であり続けることで、当該デメリットは限定的と考えております。
また、当行は、本取引によって実現可能と当行が考える上記のシナジーやメリットの実現を通じて、当行の企業価値向上を図り、当行の自己資本を充実させることで、当行の課題である公的資金の返済に向けた道筋をつけることも可能となるのではないかと考えております。
また、当行は、以下の点から、本公開買付価格である1株当たり2,800円は当行の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当行の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当行株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(ア)当該価格が、当行において、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ねた結果、合意された価格であること。
(イ)当該価格が、下記「(3)算定に関する事項」の「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載の本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における三菱UFJモルガン・スタンレー証券による当行株式の価値算定結果のうち、市場株価分析による算定結果の範囲を上回っており、類似企業比較分析及びDDM分析(「(3)算定に関する事項」の「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」の「(ⅱ)算定の概要」にて定義しております。)による算定結果の範囲内であること。また、下記「(3)算定に関する事項」の「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、本公開買付価格である1株当たり2,800円が当行の株主(SBIHDら及びその関係会社並びに預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)にとって財務的見地から妥当である旨の本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)が発行されていること。
(ウ)当該価格が、下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載の本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)におけるフロンティア・マネジメントによる当行株式の価値算定結果のうち、市場株価法による算定結果の範囲を上回っており、類似企業比較法及びDDM法による算定結果の範囲内であること。また、下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、フロンティア・マネジメントから、本公開買付価格である1株当たり2,800円が当行の少数株主(預金保険機構及び整理回収機構を除きます。以下、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の概要において同じです。)にとって財務的見地から妥当である旨の本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)が発行されていること。
(エ)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2023年5月11日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の基準日の終値2,486円に対して12.63%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値2,442円に対して14.66%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値2,397円に対して16.81%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値2,334円に対して19.97%のプレミアムが加算されたものであり、また持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の基準日の終値1,940円に対して44.33%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,936円に対して44.63%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,966円に対して42.42%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値2,047円に対して36.79%のプレミアムが加算されたものであり、経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」の公表日である2019年6月28日以降の親会社による上場子会社の非公開化を目的とした他の公開買付けの事例54件におけるプレミアムの水準(公表日の前営業日の終値に対して39.13%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.33%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.79%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して39.59%)に照らしても遜色なく、合理的な水準と認められること。なお、本公開買付価格は当行の2023年3月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり連結簿価純資産額を下回る場合も、簿価純資産額はあくまで理論的な清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映していないため、継続企業である当行の株式価値算定において重視することは合理的でないと考えております。また、銀行法に基づく自己資本比率規制に服する当行は、銀行事業の運営を継続する上で、配当等を通じて簿価純資産額に相当する金額を直ちに株主の皆様へ還元することは現実的ではなく、銀行業という高い公共性や預金者の保護を踏まえると、事業の清算を前提とした考え方は当行の実態には適していないと考えております。仮に当行が事業の清算を行う場合、当行の保有する流動性の低い資産を中心に資産の売却に困難が生じ得ること及び様々な費用(預金の払戻し等に係る顧客対応コスト、店舗閉鎖に係る費用、従業員に対する割増退職金、海外子会社を含めた事業清算のための弁護士等の専門家費用等)が発生することから、簿価純資産額そのままで換価されるわけではなく、相当程度に毀損することが現実的なものとして想定されるため(なお、当行においては、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される想定の清算価値を本公開買付価格が上回っていることの確認までは行っておりません。)、簿価純資産額は、当行の保有する資産の交換価値とは必ずしも関連性があるとはいえないと考えております。したがって、1株当たり連結簿価純資産額が当行株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難く、また事業の清算を前提とした評価手法を重視することは継続企業である当行の株式価値算定において合理的でないため、1株当たり連結簿価純資産額や清算価値と比較し本公開買付価格を検討することは実施しておりません。
(オ)当該価格は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、総合的な判断で、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うこと、及び、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると考えるとされていること。
なお、本公開買付価格のプレミアムについて、SBIHDらは本公開買付けの公表日の前営業日を基準とするプレミアムのほか、持株会社認可報道日の前営業日を基準とするプレミアムについても、本公開買付価格のプレミアムの水準を評価する要素に含めておりますが、当行としても、持株会社認可報道日以降、当行株式の株価には公開買付者による当行株式の非公開化を含めた追加取得に関する市場からの一定の期待が既に織り込まれている可能性があると考えております。したがって、公開買付価格の妥当性に関する当行としての判断の根拠については、持株会社認可報道日以前の当行株式の株価と比較したプレミアムについても、当行株主の皆様の判断材料として記載をすることが有用と考えております。
すなわち、公開買付者が追加的に当行株式を取得するためには、銀行法上の銀行持株会社の認可(銀行法第52条の17)が必要であり、当行としては、このことは対外的にも認識されていたと考えております。そして、持株会社認可報道日の時点で、公開買付者が保有する当行株式は、当該時点の所有割合として48.21%であったものの、SBIHDらは、前回公開買付けに係る決済の開始日である2021年12月17日をもって、当行を連結子会社としておりましたことから、このような状況で、公開買付者において、あえて銀行持株会社の認可を取得することは、議決権ベースでの過半数の当行株式の取得を超えて、非公開化を含む当行株式の追加取得の憶測を惹起させた可能性があり、そのような憶測が当行株式の株価へ影響を与えた可能性があると考えております。実際に、当行株式に係る株価は、持株会社認可報道日の前営業日(2022年9月29日)の終値(1,940円)比で、同報道日の翌営業日(2022年10月3日)には12.4%(2,180円)、5営業日後(2022年10月7日)には18.0%(2,290円)の上昇をしております。なお、持株会社認可報道日以降も、当行株式の株価に影響を与える事象は発生いたしましたが(例えば、日本銀行の金融政策決定会合(2022年12月19日から20日にかけて開催)における長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)政策の修正の公表(2022年12月20日公表)、米連邦預金保険公社によるSilicon Valley Bank(本店の所在地:米国カリフォルニア州)に対する経営破綻宣言(2023年3月10日公表)や、米連邦預金保険公社によるFirst Republic Bank(本店の所在地:米国カリフォルニア州)に対する経営破綻宣言(2023年5月1日公表))、持株会社認可報道日以降の当行株式に関する株価は、上昇傾向にあり、2023年5月12日に至るまで、持株会社認可報道日の前営業日の終値である1,940円を下回ることなく推移をしております。
以上より、当行は、本取引が当行の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2023年5月12日開催の当行取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当行の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
当該取締役会における決議の方法については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当行における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに上場会社及び公開買付者との関係
当行は、本公開買付価格に関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対し、当行の株式価値の算定を依頼し、2023年5月11日付で、本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)及び本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を取得いたしました。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
なお、本取引に係る三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当行は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当行に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により三菱UFJモルガン・スタンレー証券を当行のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
(ⅱ)算定の概要
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当行の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当行株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価分析を、当行と比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較分析を、また将来の事業活動の状況を算定に反映するため、当行所定のリスク管理方針に従い、事業を安定的に運営する上で必要となる資本水準を設定した上で、当該水準を上回る部分の資本を、株主に帰属すべき利益(以下「理論配当金」といいます。)として資本コストで現在価値に割り引くことによって株式価値を分析する手法である配当割引モデル(Dividend Discount Model)分析(以下「Dividend Discount Model」をDDMといい、配当割引モデル(Dividend Discount Model)分析を「DDM分析」といいます。)を採用して、当行株式の価値算定を行っております。本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)において、上記各手法に基づいて算定された当行株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価分析 :2,334円~2,486円
類似企業比較分析:1,764円~3,005円
DDM分析 :2,479円~3,393円
市場株価分析では、2023年5月11日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の基準日の終値2,486円、基準日から直近1ヶ月間の終値単純平均値2,442円、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,397円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,334円を基に、当行株式の1株当たりの価値の範囲を2,334円~2,486円と算定しております。
類似企業比較分析では、当行と類似性があると判断される類似上場会社として、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社ゆうちょ銀行、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、株式会社りそなホールディングス、及び株式会社あおぞら銀行を選定いたしました。その上で、時価総額に対する純利益の倍率(P/E倍率)及び時価総額に対する純資産の倍率(P/BV倍率)を用いて、当行の株式価値を計算し、当行株式の1株当たりの価値の範囲を1,764円から3,005円と算定しております。なお、P/BV倍率については、当行の資本効率の水準を適切に反映すべく、類似上場会社のP/BV倍率とROEの回帰分析を行って算出しております。
DDM分析では、当行が作成した本事業計画を基に、2024年3月期から2025年3月期までの2期分の事業計画における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提としております。また、当行所定のリスク管理方針に従い、当行が2024年3月期以降において事業を安定的に運営する上で必要となる資本水準を設定した上で、当該水準を上回る部分の資本を、株主に帰属すべき理論配当金としてCAPM(資本資産価値モデル)に基づいた割引率(資本コスト)を適用し現在価値に割り引くことで当行の株式価値を計算しております。資本コストは5.75%~6.25%を採用しており、また、継続価値の算定にあたっては、エグジット・マルチプル法を採用し、また当行の資本効率の水準を適切に反映すべく、類似上場会社のP/BV倍率とROEの回帰分析を行って、P/BV倍率を0.48倍~0.68倍としております。その結果、当行株式の1株当たりの価値の範囲を2,479円~3,393円と算定しております。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券がDDM分析において前提とした当行作成の本事業計画に基づく連結財務予測(以下「本財務予測」といいます。)は以下のとおりです。本事業計画については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当行における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会は、当行からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認しております。また、本事業計画において、2025年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益について、大幅な増益を見込んでおります。当行は、2022年5月13日に公表した「中期経営計画「新生銀行グループの中期ビジョン」(2022年度から2024年度)の策定について」にて、中期経営計画における中期ビジョンの一つとして、連結純利益700億円の達成と更なる成長への基盤の確立を掲げており、この中期ビジョンを達成するために、顧客中心主義を徹底し、グループ内外の価値共創機会の追求、当行グループが持つ強みの深化・フルラインナップ化などを通じた顧客基盤の拡大を図り、それを商品・サービスの質の向上に転化することで、成長の基盤を確立することを目標としております。具体的には、小口ファイナンス・機関投資家向けビジネス・海外ビジネスの強化、投融資のリスク管理強化、及び、公開買付者が当行の支配株主(親会社)となって以降の当行の資本関係を前提とするSBIHDグループと当行との間のシナジー効果約150億円等の影響により、2025年3月期において、親会社株主に帰属する当期純利益は対前年比55.6%増となることを見込んでおります。なお、本事業計画には、大幅な減益を見込んでいる事業年度は含まれておりません。また、本取引実行により当行が非公開化されることで追加的に実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味しておりません。
(単位:億円)

2024年3月期2025年3月期
業務粗利益2,5832,801
実質業務純益9321,138
親会社株主に帰属する当期純利益450700

(ⅲ)本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の概要
当行は、2023年5月11日付で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、本公開買付価格である1株当たり2,800円が、当行株式の株主(SBIHDら及びその関係会社並びに預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)にとって、財務的見地より妥当である旨の本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を取得しております(注)。なお、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)は、当行から提出した本財務予測を含む財務情報の分析及び検討並びに三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び特別委員会との質疑応答を経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券により実施された当行株式の価値算定結果の検討に加え、本公開買付けに賛同するに至る経緯・背景に係る当行及び本特別委員会との質疑応答、並びに三菱UFJモルガン・スタンレー証券内部の手続に従い、三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部その他のプロフェッショナルにより構成されるコミッティーによる承認を経て発行されております。
(注) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)及びその基礎となる当行株式の株式価値の分析は、当行取締役会の参考に資するためのみに同取締役会に宛てたものであり、当行の取締役会の依頼に基づき、本公開買付価格が、当行株式の株主(SBIHDら及びその関係会社並びに預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)にとって財務的見地から妥当であるか否かの意見を表明するものです。なお、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)は当行株式に対して意見を表明するものであり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は当行新株予約権の価値の分析を行っておらず、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)は当行の新株予約権に関して何ら意見を表明するものではありません。本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)及び分析は、本取引完了後の当行株式の株価について何ら言及するものではありません。なお、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)は、本取引について開催される当行の株主総会における当行株主の議決権行使に関して意見を述べたり、また、本取引への賛同を推奨したりするものでもありません。本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)は、預金保険機構及び整理回収機構が公的資金の回収を通じて受け取る価値(以下、「公的資金返済価値」といいます。)と比較した場合における、本公開買付価格の相対的な妥当性について意見を表明するものではありません。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、公的資金返済価値について見解を述べるものではなく、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における三菱UFJモルガン・スタンレー証券の意見においてこれに言及するものではありません。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における意見表明及びその分析にあたり、既に公開されている情報又は当行から提供を受けた情報が正確かつ完全であることを前提としてこれに依拠しており、当該情報の正確性及び完全性につき独自の検証は行っておりません。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の作成にあたり、財務予測については、当行の将来の財務状況に関する現時点で入手可能な最善の予測及び判断を反映するものとして、当行の経営陣によって合理的に用意・作成されたものであることを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本取引のために必要な政府機関、監督官庁等による許認可、同意等はすべて取得可能であり、かつ、かかる許認可、同意等には、本取引により期待されるメリットに重大な悪影響を及ぼすような遅延、制限又は条件が付されないことを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、法務、会計、税務、業規制、企業年金に関するアドバイザーではありません。三菱UFJモルガン・スタンレー証券はファイナンシャル・アドバイザーであり、法務、会計、税務、業規制、企業年金に関する問題については、独自の検証を行うことなく、当行の法律顧問、会計アドバイザー、税務アドバイザー、業規制アドバイザー、企業年金アドバイザーによる判断に依拠しています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本取引において当行株式の保有者に対して支払われる対価に関連して、当行の取締役、役員又は従業員(その役職、階級は問いません。)に対して支払われる対価の金額又は性質が妥当であるか否かについて意見を述べるものではありません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当行の資産及び負債について、独自の評価・査定は行っておらず、また当行のリスクアセット及び自己資本の将来推移について独自の検証なしに依拠することを除き、評価・査定の提供を一切受けていません。また、余剰資本の額については、当行が目標とするCET1比率10%を超える資本の額としており、当行が独自に設定するものに依拠し、その水準が適正であることを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、貸倒引当金の評価に関する専門家ではなく、貸倒引当金の適正性について独自の評価、当行の個別の債権に関する信用情報の検証を行っておらず、また、そのレビューの依頼もされておりません。よって三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当行による貸倒引当金の総額は適正であることを前提としました。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の意見は、2023年5月11日現在における経済、金融、市場その他の状況及び2023年5月11日現在において三菱UFJモルガン・スタンレー証券が入手している情報に基づくものです。2023年5月11日以降に生じる事象が、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における意見又は本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の作成に用いられた前提に影響を及ぼす可能性はありますが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における意見を更新し、改訂し、又は再確認する義務を負うものではありません。本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)における意見を表明するに当たり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当行の関与する買収、事業統合その他の特別な取引に関して、いかなる取引主体に対する勧誘行為を行うことも認められておらず、また現に勧誘行為を行っておりません。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、SBIHDらを除き、当行自体又は当行を構成する事業の一部の買収可能性についての興味を三菱UFJモルガン・スタンレー証券に示したいかなる取引主体との交渉を行っておりません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本取引に関し当行のファイナンシャル・アドバイザーとして役務を提供し、当該役務の対価として手数料を受領する予定です。なお、手数料の相当な部分の受領は、本取引のクロージングを条件としています。2023年5月11日より遡って2年以内に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券又は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の関係会社は、当行に対して、2021年9月9日にSBIHDが公表した当行に対する公開買付けに係るものを含み、ファイナンシャル・アドバイザーとしての役務を提供しており、三菱UFJモルガン・スタンレー証券又は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の関係会社はこれらの役務の対価として手数料を受領しております。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の関係会社は、将来においてSBIHDら、当行及び両社の関係会社に対してこれらの役務を提供し、将来これらの役務の対価として手数料を受領する可能性があります。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(その関係会社と総称して以下、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券グループ」といいます)は、銀行業務、証券業務、信託業務、インベストメント・マネジメント業務、その他の金融業務等を含むグローバルな金融サービス(かかるサービスを総称して以下、「金融サービス」といいます。)の提供を行っています。証券業務には、投資銀行業務、ファイナンス及びファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの提供のみならず、証券の引受け、売買、ブローカレッジ業務、外国為替、商品及びデリバティブ取引等が含まれます。通常の証券の引受け、売買、ブローカレッジ業務及びファイナンス業務の過程において、三菱UFJモルガン・スタンレー証券グループはSBIHDら、当行若しくは本取引に関連する企業の社債、株式若しくはローン、本取引に関連する通貨若しくは商品、又は関連するデリバティブ商品につき買い又は売りのポジションの保持、その他、SBIHDら、当行若しくは本取引に関連する企業に対して三菱UFJモルガン・スタンレー証券グループの金融サービスを提供することがあり、また、自身の勘定又はその顧客の勘定において売買その他の取引を行うことがあります。三菱UFJモルガン・スタンレー証券グループ並びにその取締役及び役員は、SBIHDら、当行若しくは本取引に関連する企業の社債、株式若しくはローン、本取引に関連する通貨若しくは商品、又は関連するデリバティブ商品に対して自己資金による投資を行う場合又はこれらに対する自己資金による投資を行うファンドを運営する場合があります。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、SBIHDら、当行若しくは本取引に関連する企業に対して通常のブローカレッジ業務を行う場合があります。
② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに上場会社及び公開買付者との関係
本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントに対し、当行の株式価値の算定を依頼し、2023年5月11日付で、本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)及び本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)を取得いたしました。
フロンティア・マネジメントは、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
本取引に係るフロンティア・マネジメントに対する報酬体系は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立如何によって成功報酬が発生するような体系とはなっておりません。
なお、当行取締役会は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2023年5月12日、本特別委員会から本答申書の提出を受けた際、併せて本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)及び本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の提出を受けており、これらの内容も踏まえて、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当行における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の決議を実施しております。
(ⅱ)算定の概要
フロンティア・マネジメントは、複数の株式価値算定手法の中から当行株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討したうえ、当行が継続企業であるとの前提の下、当行株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当行株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、それに加えて将来の事業活動の状況を評価に反映するため、理論配当金を資本コストで現在価値に割り引くことで株式価値を分析する手法で、金融機関の評価に広く利用される配当割引モデル(DDM)(以下「DDM法」といいます。)を、それぞれ採用して算定を行いました。
各手法において算定された当行株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法 :2,334円~2,486円
類似会社比較法:1,865円~3,359円
DDM法 :2,439円~3,331円
市場株価法では、本公開買付けの公表日の前営業日である2023年5月11日を算定基準日として、当行株式の東京証券取引所スタンダード市場における算定基準日の終値2,486円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,442円、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値2,397円、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値2,334円を基に、当行株式1株当たりの株式価値の範囲を2,334円から2,486円と算定しております。
類似会社比較法では、当行と類似性があると判断される上場会社として三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、あおぞら銀行及び三井住友トラスト・ホールディングスを選定した上で、PER及びPBRを用いて当行株式の株式価値を算定しております。その結果、当行株式の1株当たり株式価値の範囲は、1,865円から3,359円と算定しております。
DDM法では、本事業計画等、合理的と考えられる前提を考慮した上で、将来の理論配当金を一定の割引率で現在価値に割り引くことによって株式価値を算定しております。割引率は6.21%~7.21%を採用しており、継続価値の算定に当たってはマルチプル法を採用し、PERは8.28倍~10.12倍、PBRは0.56倍~0.68倍として算定しております。その結果、当行株式の1株当たり株式価値の範囲は、2,439円から3,331円と算定しております。
フロンティア・マネジメントがDDM法の算定の前提とした当行の本事業計画に基づく財務予測は、上記「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」の「(ⅱ)算定の概要」に記載のとおりです。なお、当該財務予測については、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。
当該財務予測には対前年度比較において大幅な増減が見込まれる事業年度が含まれておりますが、大幅な増減の要因については、上記「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」の「(ⅱ)算定の概要」に記載のとおりです。
フロンティア・マネジメントは、当行株式の株式価値の算定に際して、当行から受領した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、当行株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でフロンティア・マネジメントに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当行の本事業計画に関する情報については、当行の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当行の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。フロンティア・マネジメントによる当行株式の算定は、2023年5月11日までの上記情報を反映したものです。
(ⅲ)本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の概要
本特別委員会は、2023年5月11日付で、フロンティア・マネジメントより、本公開買付価格が当行の少数株主(預金保険機構及び整理回収機構を除きます。以下、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の概要において同じです。)にとって、財務的見地から公正である旨の意見(フェアネス・オピニオン)を取得しております。本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、フロンティア・マネジメントが、当行より提出した事業計画及び財務情報等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けたうえで実施した当行株式価値の算定結果に加え、本公開買付けの目的・背景に関するヒアリング、フロンティア・マネジメントが必要と判断した当行の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにフロンティア・マネジメント内部の手続に従い、フロンティア・マネジメントにおけるエンゲージメントチームとは独立したメンバーによる審査会における審査・レビューを経て提出されております。
(注) フロンティア・マネジメントは、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の作成に当たり、当行に関する公開情報や当行からフロンティア・マネジメントに提供された情報を利用しており、それらがいずれも正確かつ完全であること、当行株式の株式価値の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でフロンティア・マネジメントに対して未開示の事実はないことを前提としています。フロンティア・マネジメントは、独自にその正確性及び完全性についての検証は行っておらず、かかる義務を負うものではありません。したがって、フロンティア・マネジメントは、これらの資料の不備や重要事実の不開示に起因する一切の責任を負いません。また、フロンティア・マネジメントは、当行の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の分析及び評価を含め、独自に評価や鑑定は行っておらず、また、第三者機関へ評価や鑑定の依頼も行っておりません。さらに、フロンティア・マネジメントは、倒産、支払停止又はそれらの類似する事項に関する適用法令の適用可能性を含め、当行及び当行の関係会社の信用力についての評価又は調査も行っておりません。また、本公開買付け後に預金保険機構及び整理回収機構が当行より将来受け取る可能性のある公的資金の返済額に関連する事項については本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の対象外です。
フロンティア・マネジメントは、当行の事業計画その他将来に関する情報及び資料については、当行の経営陣により現在可能な最善な予測と判断に基づき合理的に作成又は検討されたものであり、その事業計画に従い当行の財務状況が推移することを前提としております。また、フロンティア・マネジメントは事業計画の実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析もしくは予測又はそれらの根拠となった前提条件について何ら見解を表明するものではありません。
フロンティア・マネジメントは、法律、会計又は税務の専門機関ではなく、本公開買付けに関する法律、会計又は税務の問題点の有無等を独立して分析又は検討を行うものではなく、その義務を負うものでもありません。
フロンティア・マネジメントは、本公開買付けに関して、本特別委員会の財務アドバイザーを務めており、本公開買付けに関する交渉の一部に関与しており、そのサービスの対価として、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の提出に伴い報酬を受領する予定です。本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の提出にあたっては、当行とフロンティア・マネジメントとの業務委託契約書に規定する免責条項及び補償条項が適用されます。
本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、本特別委員会が、本公開買付けにおける公開買付価格の妥当性を検討するために参考となる情報を提供することのみを目的としており、他のいかなる者に対して本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の情報を提供することを想定しておりません。本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、本公開買付け公表後の当行の株価について意見を述べるものではありません。また、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、本公開買付けの当行における事業戦略上の位置付け、又は本公開買付けの実施によりもたらされる便益について言及しておらず、当行による本公開買付けの実行の是非という経営上の判断について意見を述べるものではありません。また、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、少数株主、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見を述べるものではなく、少数株主に対して、本公開買付けへの応募や、本公開買付けに関する議決権等の株主権の行使について何らの勧誘・推奨を行うものでもなく、その権限も有しておりません。したがって、フロンティア・マネジメントは、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)に依拠した少数株主の皆様及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。
本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の内容は、当行とフロンティア・マネジメントとの業務委託契約書において認められている場合を除き、書面によるフロンティア・マネジメントの事前の同意なしに、要約、参照若しくは引用等の態様を問わず第三者に開示されず、又は目的外に使用されないことを前提としております。
本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の日付現在における事業環境、経済、市場、金融情勢その他の状況を前提とし、また、当該日付現在でフロンティア・マネジメントが入手している情報に依拠しております。フロンティア・マネジメントは、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の提出に際し、本公開買付価格が実現可能な最良価格であるか否かについては分析及び検討をしておらず、また、分析及び検討を行う義務を負うものではありません。
本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、今後の経済環境の変化等により、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の内容又はその前提となる事項が影響を受けることがありますが、フロンティア・マネジメントはその意見を修正、変更又は補足する義務を負いません。
本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)は、本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)に明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。
③ 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに上場会社及び公開買付者との関係
SBIHDらは、本公開買付価格を決定するに際して、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した第三者算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるシティグループ証券に対し、当行の株式価値の算定を依頼したとのことです。シティグループ証券は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。
(ⅱ)算定の概要
シティグループ証券は、複数の株式価値算定手法の中から当行の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当行の市場株価の動向を勘案した市場株価法、当行と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較法による当行株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、当行が事業を安定的に行う上で必要となる自己資本比率を仮定し、その自己資本比率から算出される自己資本を維持するために必要な内部留保等を考慮した後の株主に帰属する利益を株主資本コストで現在価値に割り引くことで株式価値を分析する手法であり、金融機関の評価に広く利用される配当割引モデルDDM法を用いて当行株式の価値算定を行い、SBIHDらは、2023年5月12日付でシティグループ証券から株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、SBIHDらは、以下に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当行との協議及び交渉を経て本公開買付価格を判断・決定する予定であるため、シティグループ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
本株式価値算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当行株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりとのことです。
市場株価法 :2,334円から2,486円
類似会社比較法:1,896円から3,524円
DDM法 :2,078円から3,358円
市場株価法では、本公開買付けに係るSBIHDらの取締役会決議日の前営業日である2023年5月11日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の基準日の終値2,486円、同日までの直近1ヶ月間(2023年4月12日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,442円、同日までの直近3ヶ月間(2023年2月13日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,397円及び同日までの直近6ヶ月間(2022年11月14日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,334円を基に、当行株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,334円から2,486円までと算定しているとのことです。
類似会社比較法では、当行が営む銀行事業、消費者金融・クレジットカード事業、リース事業に類似する事業に従事すると判断される類似上場会社を比較対象として参照し、市場株価に対する一株当たり株主資本、一株当たり有形株主資本及び一株当たり当期純利益の倍率を用いて、当行の株式価値を算定し、当行株式の1株当たりの株式価値の範囲は、1,896円から3,524円までと分析しているとのことです。
DDM法では、当行から提供を受けた本事業計画、当行の直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当行が2024年3月期から2025年3月期において事業を安定的に行う上で必要となる自己資本比率を仮定し、その自己資本比率から算出される自己資本を維持するために必要な内部留保等を考慮した後の株主に帰属する利益を株主資本コストで現在価値に割り引いて当行株式の株式価値を算定し、当行株式の1株当たりの株式価値の範囲を、2,078円から3,358円までと分析しているとのことです。なお、シティグループ証券がDDM法に用いた本事業計画に基づく財務予測には、大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年3月期において、これまで当行グループを含むSBIHDグループ全体として取り組んできた施策のシナジー効果の実現や資産の整理・入れ替え等、資本の効率的な運営や再配分に伴う収益増加が見込まれることから、当期純利益は対前年比大幅な増益となることを見込んでいるとのことです。また、本公開買付けにより実現することが期待されるシナジー効果については、本公開買付けの開始時点においては、当行とのシナジー実現の蓋然性や時間軸が見通しづらいため、反映していないとのことです。
SBIHDらは、シティグループ証券から取得した公開買付者株式価値算定書に記載された市場株価法、類似会社比較法、DDM法の株式価値の範囲を踏まえ、本公開買付価格を検討したところ、SBIHDらにおいて2023年3月下旬から2023年5月上旬までに実施した当行に対するデュー・ディリジェンスの結果、当行株式の市場株価の動向、当行による本公開買付けへの賛同の可否、当行株式の市場株価の動向、本公開買付けに対する応募の見通しを総合的に勘案し、当行との協議・交渉の結果等も踏まえ、2023年5月12日に、本公開買付価格を1株当たり2,800円とすることを決定したとのことです。なお、本公開買付けと同種の親会社による上場子会社の完全子会社化事例において付与されたプレミアム分析につきましては、参考として初期的な分析を行ったものの、プレミアムは各事例の当時の市場株価や公開買付者が妥当と考える各事例の対象となった会社の本源的価値の水準によって異なりうることから、直接的に比較することは不可能と判断し、本公開買付価格の検討上は考慮していないとのことです。
本公開買付価格である2,800円は、本公開買付けを実施することについての公表日の前営業日である2023年5月11日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値2,486円に対して12.63%のプレミアムを加えた価格、過去1ヶ月間(2023年4月12日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,442円に対して14.66%のプレミアムを加えた価格、過去3ヶ月間(2023年2月13日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,397円に対して16.81%のプレミアムを加えた価格、過去6ヶ月間(2022年11月14日から2023年5月11日)の終値単純平均値2,334円に対して19.97%のプレミアムを加えた価格であり、持株会社認可報道日の前営業日である2022年9月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値1,940円に対して44.33%のプレミアムを加えた価格、同日を基準とした過去1ヶ月間(2022年8月30日から2022年9月29日)の終値単純平均値1,936円に対して44.63%のプレミアムを加えた価格、過去3ヶ月間(2022年6月30日から2022年9月29日)の終値単純平均値1,966円に対して42.42%のプレミアムを加えた価格、過去6ヶ月間(2022年3月30日から2022年9月29日)の終値単純平均値2,047円に対して36.79%のプレミアムを加えた価格であり、公開買付者による当行株式に対する前回公開買付けの公表日の前営業日である2021年9月8日の東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の終値1,453円に対して92.70%のプレミアムを加えた価格、同日を基準とした過去1ヶ月間(2021年8月9日から2021年9月8日)の終値単純平均値1,416円に対して97.74%のプレミアムを加えた価格、過去3ヶ月間(2021年6月9日から2021年9月8日)の終値単純平均値1,460円に対して91.78%のプレミアムを加えた価格、過去6ヶ月間(2021年3月9日から2021年9月8日)の終値単純平均値1,591円に対して75.99%のプレミアムを加えた価格とのことです。
SBIHDは2021年1月28日から同年3月下旬にかけて、市場取引の方法により、当時の市場価格(2021年1月28日から同年3月下旬における当行株式取得の取得単価の平均は1,656.44円)にて当行株式を取得したとのことですが、当該市場取引はそれぞれ東京証券取引所市場第一部における競争売買により行われており、本公開買付けと異なり、プレミアムは付与されていないとのことです。
また、公開買付者は、2021年9月9日を取得日として、SBIHDから相対取引により、当行株式100株を1株当たり1,418円(同月7日の東京証券取引所市場第一部における当行株式の終値)で取得したとのことです。本公開買付価格(2,800円)と当該取得価格(1,418円)の間には、1,382円の差異が生じておりますが、これは、当該株式取得の時点以降の当行株式の株価の動向に加えて、当該株式取得は、100%親子会社間の株式譲渡によるものであって、本公開買付けと異なり、プレミアムが付与されていないためとのことです。
また、公開買付者は、2021年9月10日に開始した前回公開買付けにより当行株式を1株当たり2,000円で取得しております。本公開買付価格(2,800円)と前回公開買付けに係る公開買付価格(2,000円)の間には、800円の差異が生じておりますが、これは、当行株式の株価水準が変動したこと(前回公開買付けの公表日の前営業日である2021年9月8日の当行株式の終値が1,453円であったのに対して、本公開買付けの公表日の前営業日である2023年5月11日の当行株式の終値は2,486円)、公開買付価格に対するプレミアム水準が異なること(前回公開買付けに係る公開買付価格(2,000円)が前回公開買付けの公表日の前営業日である2021年9月8日の当行株式の終値1,453円に対して37.65%のプレミアムを加えたものであるのに対して、本公開買付価格は本公開買付けの公表日の前営業日である2023年5月11日の当行株式の終値2,486円に対して12.63%のプレミアムを加えたもの)、並びに、前回公開買付け及び本公開買付けのそれぞれにおいて、当該各時点において公開買付者が当行株式の株式価値算定において用いた当行の財務予測及びそれを踏まえた当行株式に関する株式価値算定結果が変動したことによるものとのことです。
さらに、公開買付者は、2022年10月12日から同月19日にかけて、市場取引の方法により、当時の市場価格(2022年10月12日から同月19日における当行株式取得の取得単価の平均は2,144.62円)にて当行株式を取得したとのことですが、当該市場取引は東京証券取引所スタンダード市場における競争売買により行われており、本公開買付けと異なり、プレミアムは付与されていないとのことです。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
当行株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当行株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当行株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止となった後は、当行株式を東京証券取引所において取引することはできません。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当行株式の全て(但し、公開買付者が所有する当行株式、当行が所有する自己株式並びに預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、以下の方法により、当行株主を公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみとすることを目的とした本スクイーズアウト手続を行うことを企図しております。
具体的には、本公開買付けの成立後に、SBIHDらは、会社法第180条に基づき、当行株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の開催を、当行に要請する予定とのことです。なお、公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当行の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当行株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当行の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当行株式を当行又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当行株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当行の各株主(但し、公開買付者、当行、預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当行株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うよう当行に要請する予定とのことです。また、当行株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当行に対して、公開買付者、預金保険機構及び整理回収機構のみが当行株式の全て(但し、当行が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当行の各株主(但し、公開買付者、当行、預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)の所有する当行株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当行は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
上記の手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当行の株主は、当行に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当行株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当行の各株主(但し、公開買付者、当行、預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)の所有する当行株式の数が1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当行の株主の皆様は、価格決定の申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の当行株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。上記の手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当行の各株主(但し、公開買付者、当行、預金保険機構及び整理回収機構を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当行株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。
上記の本臨時株主総会を開催する場合、SBIHDらは、2023年8月頃を目処に開催するよう当行に要請する予定とのことですが、具体的な手続及びその実施時期等については、当行と協議の上、決定次第、当行が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当行の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、当行の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
なお、SBIHDらによれば、本株式併合をすることにより生じた1株に満たない端数の合計数に相当する当行株式が当行に対して売却される場合、当該売却後も当行が適正な自己資本を維持できるよう、公開買付者が、本公開買付価格と実質的に同等な額となるような引受価格によって第三者割当ての方法により当行の株式を引き受けることを通じて、当行の株式を追加取得する可能性があります。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
本書提出日現在において、公開買付者は当行の支配株主(親会社)に該当し、また、公開買付者の親会社であるSBIHDも当行の親会社に該当することから、本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、本公開買付けを含む本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正さを担保するため、以下の措置を講じております。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性が高いものと考えていること、及び、上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載のとおり、本公開買付けにより当行の非公開化を実現することは、当行グループを含むSBIHDグループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、当行の少数株主の皆様にとっても利益があると考えているため、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定していないとのことですが、SBIHDら及び当行において以下の措置を講じていることから、当行の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。
加えて、本スクイーズアウト手続の一環として本株式併合を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされておりますが、公開買付者が所有する当行株式(102,159,999株、所有割合:50.04%)に係る議決権数(1,021,599個)及び本臨時株主総会において上程される本スクイーズアウト手続に関する議案に対して賛成の議決権を行使することを公開買付者との間で合意している預金保険機構及び整理回収機構が所有する当行株式(預金保険機構26,912,888株(所有割合:13.18%)、整理回収機構20,000,000株(所有割合:9.80%))に係る議決権数(預金保険機構269,128個、整理回収機構200,000個)の合計(1,490,727個)は、当行決算短信に記載された2023年3月31日現在の当行の発行済株式総数(205,034,689株)から、当行が所有する同日現在の自己株式数(889,718株)を控除した株式数(204,144,971株)に係る議決権の数(2,041,449個)の3分の2を超えており、本スクイーズアウト手続を確実に実行できることから、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定していないとのことです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
SBIHDらは、本公開買付価格を決定するに際して、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した第三者算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるシティグループ証券に対し、当行の株式価値の算定を依頼したとのことです。シティグループ証券は、SBIHDらの関連当事者には該当しないとのことです。
シティグループ証券は、複数の株式価値算定手法の中から当行の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当行の市場株価の動向を勘案した市場株価法、当行と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較法による当行株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、当行が事業を安定的に行う上で必要となる自己資本比率を仮定し、その自己資本比率から算出される自己資本を維持するために必要な内部留保等を考慮した後の株主に帰属する利益を株主資本コストで現在価値に割り引くことで株式価値を分析する手法であり、金融機関の評価に広く利用されるDDM法を用いて当行株式の価値算定を行い、SBIHDらは、2023年5月12日付でシティグループ証券から公開買付者株式価値算定書を取得したとのことです。なお、SBIHDらは、上記「(3)算定に関する事項」の「③ 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当行との協議及び交渉を経て本公開買付価格を判断・決定する予定であるため、シティグループ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
② 当行における独立した特別委員会の設置
(ⅰ)設置等の経緯
上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当行は、2023年3月9日付の取締役会決議により本特別委員会を設置いたしました。
当行は、当該決議に先立ち、本特別委員会の委員の候補者が、SBIHDら、預金保険機構及び整理回収機構からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して少数株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、当行の独立社外取締役及び独立社外監査役と協議し、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ十分な検討・協議の機会確保の観点も踏まえた適正な規模をもって本特別委員会を構成するべく、早﨑保浩氏(当行社外取締役)、寺田昌弘氏(当行社外取締役)、赤松育子氏(当行社外監査役)及び須田美矢子氏(外部有識者委員。一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所所属)の4名を、本特別委員会の委員の候補として選定いたしました。
なお、須田美矢子氏については、当行の役員ではありませんが、内定済みであった特別委員会の委員からの紹介をきっかけとして、当行は同氏と面談を行いました。その結果、須田美矢子氏は当行の独立社外役員以上に高い独立性を有し、かつ、日銀政策委員会審議委員や大学教授等を歴任され、経済や金融に対する深い知見を有していることから、当行は、同氏を本特別委員会の委員として適切であると考え選定しております。なお、これらの本特別委員会の委員は、本特別委員会の設置の当初から変更しておりません。
その上で、当行取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を当行取締役会から独立した合議体として位置付け、(a)諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、当行の株式価値評価及び本取引に係る算定書、フェアネス・オピニオン、その他のアドバイスの提供、その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は当行が負担すること、(b)本取引に関する当行取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当行取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(c)本公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等又は本取引の目的・プロセス等に係る開示内容について、本特別委員会が必要と判断する場合において一定の行為をなす権限(すなわち、(ア)本特別委員会が、当行の役職員・部署(過去に、SBIHDグループにおいて役員を務めていた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役を除きます。以下同じです。)に対して、必要な調査を行うことを指示する権限、(イ)本特別委員会が、当行の役職員・部署に対して、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と交渉・調整を行うことを指示する権限、(ウ)本特別委員会が、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と自ら交渉・調整する権限)が付与されることを決議しております。
なお、本特別委員会の全委員について、答申内容にかかわらず、開催回数に応じて算出される報酬を支払うものとしております。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2023年3月15日から2023年5月11日までの間に合計24回、約44時間にわたって開催され、報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行いたしました。
その上で、本特別委員会は桃尾・松尾・難波法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。また、本特別委員会は、当行が作成した本事業計画について、当行からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認しております。
さらに、本特別委員会は、当行から、本取引の目的や意義、当行の事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、公開買付者に対しても、質問事項を提示し、公開買付者から、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施しております。
加えて、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」及び「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、当行のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び本特別委員会の第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントは、本事業計画を前提とした当行株式の価値算定をそれぞれ実施しておりますが、本特別委員会は、当行の依頼により三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、当行株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、フロンティア・マネジメントから、当行株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。
上記に加えて、本特別委員会は、当行の公開買付者との交渉について、随時、当行並びに当行のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券から報告を受け、当行の交渉方針につき、フロンティア・マネジメントから受けた助言を踏まえつつ審議及び検討を行った後、適宜、必要な意見を述べました。
具体的には、本特別委員会は、公開買付者からの本公開買付価格に関する提案を受領次第、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から当行が聴取した対応方針及び公開買付者との交渉方針等についての分析・意見、並びにフロンティア・マネジメントから受けた財務的見地からの助言を踏まえて、検討を行いました。その上で、本特別委員会は、当行に対して、公開買付者に本公開買付価格の再検討を要請することとしたいとの当行の意向について異議がない旨の意見を述べるとともに、当行としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、当行と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の条件に関する協議・交渉過程の全般において関与いたしました。その結果、当行は、2023年5月11日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり2,800円とすることを含む提案を受け、結果として、合計5回の提案を受け、最初の価格提案から7.69%(小数点以下第三位を四捨五入しております。)の価格の引き上げを受けるに至っております。
さらに、本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から、複数回、当行が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、少数株主に対して十分な情報開示がなされる予定であることを確認しました。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯の下で、本諮問事項について慎重に検討・協議を重ねた結果、2023年5月12日付で、委員の過半数(委員4名中3名)の承認により、総合的な判断で、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うこと、及び、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると考える旨の答申を行い、当行取締役会に対し、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
なお、本答申書については、寺田昌弘氏による補足意見と須田美矢子氏による反対意見が付されています。詳細は下記「(ⅵ)補足意見及び反対意見」をご参照ください。
(ⅳ)答申内容
1.諮問事項(ア)(本取引の目的及び当該目的実現のための手段としての本取引は正当性・合理性を有するか(本取引が当行の企業価値向上に資するかを含む。))について
本取引の目的及び当該目的実現のための手段としての本取引は、正当であり、また、合理的であると認めることができる。また、本取引は、当行の企業価値向上に資すると考える。
2.諮問事項(イ)(本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか)について
本公開買付けにおける買付け等の価格が株主平等の観点から公正であるか否かの判断は困難であるものの、全体として本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)は、公正・妥当なものであると考える。
3.諮問事項(ウ)(本取引において、適切な開示と公正な手続を通じて当行の株主の利益への十分な配慮・説明がなされることとなるか)について
本取引においては、現時点で可能と思われる範囲で適切な開示がなされ、また、公正な手続がとられており、当行の株主の利益への配慮・説明が相応になされていると考える。
4.諮問事項(エ)(上記(ア)から(ウ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか)について
上記(ア)から(ウ)のほか、本取引が少数株主にとって不利益となる事項は認識されないと考える。
5.諮問事項(オ)(本取引に関連又は付随して当行が当事者となる契約等の締結が必要となる場合は、当行が同契約等を締結することが不適切ではないか(内容も勘案して判断を行う。))について
本取引に関連又は付随して当行が当事者となる公的資金の取扱いに関する契約書については、当該契約の内容も勘案した結果、当行が同契約を締結することは不適切ではないと考える。
6.諮問事項(カ)(上記(ア)から(オ)の検討を踏まえ、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うことは適切か、及び、それを適切と判断する場合にはさらに、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切か)について
上記諮問事項(ア)から(オ)についての検討を踏まえ、総合的な判断で、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うこと、及び、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると考える。
(ⅴ)答申理由
1.諮問事項(ア)について
(1)本取引の目的の正当性・合理性
以下の点より、本取引の目的には正当性及び合理性があると認めることができる。また、本取引は、当行の企業価値向上に資すると考える。
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当行の企業価値の具体的内容等について、SBIHDら及び当行から説明(なお、本特別委員会がSBIHDらに対して質疑を行い、その回答として説明された内容を含む。)を受けた。
ア.SBIHDらの説明
SBIHDらから受けた説明によれば、本取引の目的は以下のとおりとのことである。
・現在の資本関係を前提とすると、当行の企業価値の向上や、両グループ全体の中長期的な成長に資するような施策のうち、短期的には当行の少数株主にとってその意義が容易に汲み取りにくい施策(例えば、当行での利益最大化に時間を要する先行投資や、当行の成長の実現に時間を要するSBIHDグループとの連携に関する施策等)を積極的に実施することが難しい。また、当行グループが、SBIHDグループとの間の取引を実施する場合には、少数株主の利益保護の観点から当行の独立社外取締役から構成される「親法人取引諮問委員会」による事前の審査及び事後のモニタリングを行う必要があり、当行グループとSBIHDグループ間の取引については、迅速な判断ができない状況となっている。そこで、当行を非公開化することにより、当行とSBIHDグループ各社との連携を更に強化し、意思決定を迅速かつ柔軟に実施するとともに、両グループ全体の中長期的な成長に繋がり得る各種施策を積極的に実施することが可能となる。
・本取引の実施後は、リテール分野では、金融商品仲介業務、銀行代理業及び共同店舗運営の3つの業務において、当行とSBIHDグループ各社との提携の強化(具体的には、当行の無担保ローンの拡販、地域金融機関との各地域における「スーパーアプリ」の実現、SBI証券との連携による無担保ローンの新規顧客獲得、SBIHDグループの関係会社を通じた割賦販売事業における加盟店の紹介等の施策の検討)を進めていく。また、法人業務においても、様々な取引において業務提携(例えば、SBIHDグループのベンチャー・キャピタルであるSBIインベストメントの投資先や地域金融機関から紹介された企業に対して、融資をはじめ当行が強みとするオーダーメード型のファイナンスを迅速かつ柔軟に提供する等)を柔軟かつ迅速に実行することを検討している。
・SBIHDらは、公的資金返済を、当行最重要課題の一つと認識しており、当行を非公開化した上で早期に公的資金返済の道筋をつけることが社会的な責務であると考えている。公的資金返済の道筋をつけることで、当行における資本政策の柔軟化を含めた事業運営上の自由度を更に増大させることが可能となり、これによって当行の更なる中長期的な企業価値向上が期待できる。
・当行が上場会社でなくなることで、年間上場料や金融商品取引法監査に係る監査報酬等、上場に伴う各種コストを削減できる。
・当行が上場している東京証券取引所のスタンダード市場の上場維持基準として、流通株式比率25%以上の基準が設けられている中、公開買付者並びに預金保険機構及び整理回収機構が併せて当行株式の73.02%を所有しているために当行の流通株式比率は十分に高いとはいえず、今後当行の上場維持が困難となるおそれがある。そのため、本公開買付けを含む一連の手続を通じて、当行を非公開化することによって、当行の少数株主に株式の売却の機会を提供することは、当行の少数株主にとっても利益がある。
イ.当行の考え
当行の説明によると、本取引の目的について、当行は以下のとおり考えている。
・本取引を通じて、以下のようなシナジーを実現することが可能である。
(ⅰ)当行としては、当行グループのリテール分野及び法人分野において、SBIHDグループからのより一層の支援の余地があると考えている。しかしながら、SBIHDグループによれば、SBIHDグループから見た場合、当行はSBIHDグループの連結子会社の一つにすぎず、公開買付者以外の当行の株主も、当行グループの企業価値向上による利益の一部を享受してしまうとの理由から、SBIHDグループによる当行グループの支援には限界があるとのことである。そのため、本取引により、公開買付者がより多くの当行株式を取得することで、当行グループはSBIHDグループからさらなる支援を得ることができ、機能や顧客基盤の相互補完によるビジネスの更なる強化が期待できる。
(ⅱ)当行はこれまで、独立した上場会社として、独自の経営管理機能を有していたが、本取引を通じて当行が非上場化することで、当行グループとSBIHDグループとで重複して有する管理機能の統合等による経営資源の重複した消費の解消及び経営管理の高度化が達成できる。
(ⅲ)加えて、現在の資本関係下では、少数株主の利益を配慮する観点から、SBIHDグループと当行グループの事業ポートフォリオの最適化については、非常に慎重な判断を要し、迅速性が損なわれていた。本取引により、少数株主の利益の配慮という制限を取り除き、より迅速に事業ポートフォリオの最適化を行い、両グループ全体で最適な経営資源の配分を迅速に行うことができるようになると考えられる。
(ⅳ)本取引により、当行株式が非公開化されることで、監査費用、株主総会の運営に関する費用、株主名簿管理人への事務委託に関する費用等の上場維持に要する各種コストを削減することができる。
・したがって、当行株式を非公開化することで、これまでよりも、機動的かつ柔軟な意思決定やSBIHDグループとの更なる一体化、及びより中長期的な経営戦略の構築・遂行が可能となり、上記(ⅰ)から(ⅲ)のシナジーやメリットが実現可能となると考えることから、本取引は、当行の企業価値の向上に資するものである。
ウ.本特別委員会における検討
SBIHDら及び当行から説明を受けた上記ア及びイに記載の内容に特段不合理な点は認められず、本取引の目的には正当性及び合理性があると認めることができる。
特に、SBIHDの説明のとおり、当行株式の非公開化により、短期的には当行の少数株主にとってその意義が容易に汲み取りにくいものの、両グループにとって持続的な企業価値向上及び中長期的な成長に資するような施策を、従来の発想にとらわれることなく柔軟かつ迅速に実施すること、また、当行の少数株主の利益という観点を特に配慮することなく、当行グループとSBIHDグループとの間の取引を迅速に実施して両グループ間の連携を更に強化することにより、SBIHDグループ及び当行の持続的な企業価値向上に資するものと認められる。
以上より、本取引は、中長期的に見れば、SBIHDグループの企業価値向上のみならず、当行の持続的な企業価値向上にも資すると考えられる。
(2)目的を実現するための手段としての本取引の正当性・合理性
以下の点より、上記(1)に記載の目的を実現する手段として、本取引を実施することは正当かつ合理的であると認めることができる。
本取引においては、当行株式の非公開化を目的として公開買付けを実施し、公開買付者が本公開買付けに当行株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、株式併合によるスクイーズアウトを実施し、当行株式の全てを取得することが想定されている。
一段階目として公開買付けを行い、二段階目として株式併合によるスクイーズアウトを行う方法は、本取引のような非公開化のための取引において、一般的に採用されている方法であり、このような本取引の実施の手法そのものには、特段不合理な点は見受けられない。
また、SBIHDらから説明を受けた本取引後の各施策については、当行は既に公開買付者の子会社であり、現在の資本構成の下でも実施可能なのではないかとの点が問題となり得る。しかし、SBIHDらの説明のとおり、現在の資本構成における当行の施策決定との関係では、当行の企業価値の向上や、両グループ全体の中長期的な成長に資するような施策のうち、短期的には当行の少数株主にとってその意義を容易に汲み取りにくい施策を迅速に実施することが難しく、また、当行グループとSBIHDグループとの間の取引を実施する際に親法人取引諮問委員会による審査・モニタリングを経る必要があるという制約が生じており、当行株式を非公開化することにより、これらの施策をより迅速かつ積極的に実施することが期待できる。そのため、SBIHDらから説明を受けた本取引後の各施策の全てについて、現在の資本構成の下で実施することが可能であるとはいえず、これらの施策の実施を加速するという意味において、上記の目的を達する手段として本取引を選択することには合理性が認められる。また、当行の説明のとおり、当行株式を非公開化することにより、当行はさらなるシナジーやメリットが期待でき、この点からも、目的を達する手段として本取引を選択することには合理性が認められる。
さらに、今後当行の上場維持が困難となるおそれがあることに鑑みると、本取引の実施は、予期せぬ上場廃止に伴うリスクを回避することを可能とするものであるところ、公正性担保措置を講じた上で本取引を行うことにより、少数株主にその所有する株式の公正な価格での売却機会を提供するものであり、合理性及び妥当性があると考えられる。
以上より、上記の目的を実現する手段として、本取引を実施することに正当性及び合理性があると認めることができる。
2.諮問事項(イ)について
(1)公開買付価格の公正性について
ア.独立した財務アドバイザーによる価格の算定
当行は、当行を含むSBIHDグループから独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券から当行株式についての株式価値算定書を受領している。本特別委員会は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、当該株式価値評価に用いられた算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件等について詳細な説明を受けるとともに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び当行に対して、算定の基礎となる数値又は前提条件の詳細、算定手法の妥当性等、当行に関する質疑応答を行った。併せて、以下において述べるとおり本特別委員会がSBIHD及び当行から独立した独自の財務アドバイザー及び第三者算定機関として選任したフロンティア・マネジメンから、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の算定方法の選択、算定の基礎等について、特に不合理な点はなく妥当であると考えられる旨の説明を受けた。
かかる説明を受けた上で本特別委員会において検討した結果、一般的な評価実務に照らして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の株式価値算定書に不合理な点は認められなかった。
当行が、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から取得した株式価値算定書によれば、当行株式の1株当たり株式価値は、市場株価分析によると2,334円から2,486円、類似企業比較分析によると1,764円から3,005円、DDM法によると2,479円から3,393円とされているところ、本公開買付価格は、市場株価基準分析による1株当たり株式価値レンジの上限値を上回るとともに、類似企業比較分析及びDDM法による1株当たり株式価値のレンジの範囲内の金額である。
また、本特別委員会は、本諮問事項(イ)について検討するに当たり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するために、SBIHDグループ及び当行から独立した独自の財務アドバイザー及び第三者算定機関として、フロンティア・マネジメントを選任し、2023年5月11日付で、当行の株式についての株式価値算定書を取得した。
本特別委員会は、フロンティア・マネジメントから、株式価値評価に用いられた算定手法及びその選択方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件等について詳細な説明を受け、また、フロンティア・マネジメントに対して、複数の算定手法の位置づけ、割引率の計算方法を含む算定の基礎となる数値又は前提条件の詳細当行等の取扱いに関する質疑応答を行い、その株式価値評価の内容が合理的なものであることを確認した。
本特別委員会がフロンティア・マネジメントから取得した株式価値算定書によれば、当行株式の1株当たり株式価値は、市場株価平均法によると2,334円から2,486円、類似会社比較法によると1,865円から3,359円、DDM法によると2,439円から3,331円とされているところ、本公開買付価格は、市場株価平均法による1株当たり株式価値レンジの上限値を上回るとともに、類似会社比較法の中央値以上の金額であり、DDM法による1株当たり株式価値のレンジの中央値付近の金額である。
当行の本源的価値を評価に反映する観点からは、上記算定手法のうち、DDM法を重視すべきであると考えられるところ、本公開買付価格は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントの株式価値算定書におけるDDM法による当行株式価値の算定結果において、レンジの中央値付近に位置している。
イ.市場株価に対するプレミアム
本公開買付価格(2,800円)は、本公開買付の公表日の前営業日である2023年5月11日の東証スタンダード市場における当行株式の終値2,486円に対して12.63%、直近1か月間の終値の単純平均値2,442円に対して14.66%、直近3か月間の終値の単純平均値2,397円に対して16.81%、直近6か月間の終値の単純平均値2,334円に対して19.97%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっている。かかる本公開買付価格のプレミアムは、本取引が親会社による上場子会社の完全子会社を目的とした取引であることから、公正なM&Aの在り方に関する指針が公表された2019年6月28日以降に公表された、支配株主による上場会社に対する非公開化を目的とした公開買付けのうち、公開買付価格が公表日の前営業日の終値からディスカウントとなった事例を除く、成立した事例53件における、公表日前営業日の終値、並びに過去1か月間、3か月間及び6か月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアム水準(対公表日前営業日終値:41.76%、対過去1か月間:43.47%、対3か月間:43.13%、対6か月間:41.37%。なお、事前に報道が行われた案件については、当該報道が行われた日の前営業日の市場株価を基準としてプレミアムを算出)に照らした場合、公表日前営業日の終値、並びに過去1か月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準との比較においては上記公開買付けの事例よりも低い水準にとどまる。
他方、一部報道機関によって公開買付者が銀行持株会社の認可を金融庁に対して申請したことが分かった旨の報道がなされた2022年9月30日の前営業日である2022年9月29日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当行株式の基準日の終値1,940円に対して44.33%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,936円に対して44.63%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,966円に対して42.42%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値2,047円に対して36.79%のプレミアムが加算されたものである。2022年9月30日の上記報道の後は、本取引と同様な当行の非公開化に対する市場の期待が株価に織り込まれていると評価できる余地もあり、この時点からのプレミアムを考慮することも一概に不適切とはいえないと考える。この場合のプレミアムは、親会社による上場子会社の非公開化を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアムの水準に照らしても遜色なく、合理的な水準と認められる。
ウ.交渉過程の手続の公正性
当初SBIHDより1株当たり2,600円の価格が提示されたところ、5回にわたって綿密な交渉が継続的に行われ、最終的に、合理的な金額の上積み(7.69%)がなされた1株当たり2,800円の公開買付価格とされた。
具体的な交渉経緯としては、以下のとおりである。
・本特別委員会は、公開買付者より提示された価格(1株当たり2,600円)に対し、当行の本源的価値に照らし不十分な水準と言わざるを得ない旨述べて、価格の再提示を求めた。
・公開買付者から、再度1株当たり2,600円の提示がなされた。
・本特別委員会は、DDM法の上限に近い1株当たり3,400円以上の価格も十分に正当化できる旨述べて、価格の引上げを求めた。
・公開買付者から、1株当たり2,700円の提示がなされた。
・本特別委員会は、当行を通じて、当行の事業計画の内容、当該事業計画における計画期間以降の当行の定常的な収益力及び2023年3月期の業績上方修正等に関する公開買付者に対するマネジメント・プレゼンテーションを実施し、公開買付者に対し、価格の再検討を求めた。
・公開買付者から、1株当たり2,800円の提示がなされた。
・本特別委員会は、SBIHDらとの協議等の内容を踏まえ、1株当たり3,000円以上の価格への引き上げを求めた。同時に、3,000円未満の価格の場合、買付予定数について適切な下限設定を行うよう求めた。
・SBIHDらから、再度1株当たり2,800円の提示がなされた。買付予定数の下限設定については、本取引を通じて当行の非公開化を確実に実施することが、公正な価格での売却機会が与えられる少数株主の利益にも適うものであるため、本公開買付けの成立を不安定にする下限の設定には応じられないとの回答であった。
・本特別委員会は、再度、買付予定数の下限を設定することを求めた。
・SBIHDらから、再度、上記理由により、下限の設定には応じられない旨の回答がなされた。
このように、当行の側からは繰り返し公開買付価格の引き上げを求め、また買付予定数の下限設定を求める交渉を行い、当行の少数株主に対してできる限り有利な取引条件で本公開買付けが行われることを目指して真摯に交渉した。
エ.独立した財務アドバイザーからのフェアネス・オピニオンの取得
当行は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券からフェアネス・オピニオンを取得しており、本特別委員会は、2023年5月11日付で、当該フェアネス・オピニオンの交付を受けた。
また、本特別委員会は、フロンティア・マネジメントから、2023年5月11日付でフェアネス・オピニオンを取得している。
本特別委員会が上記両フェアネス・オピニオンを検討した結果、いずれも発行手続及び内容に不合理な点は認められず、信用できるものと判断されるところ、いずれのフェアネス・オピニオンにおいても、本公開買付価格は、当行の少数株主にとって財務的見地から公正であるとされている。
オ.株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンにおける意見を踏まえた価格の分析
本特別委員会が三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントより取得した株式価値算定書は、算定方法及び評価プロセス、算定に係る進捗状況等のいずれについても不合理な点は見当たらず、本公開買付価格は、市場株価法に基づく算定結果のレンジを上回る価格であり、類似会社比較法及びDDM法に基づく算定結果のレンジの範囲内である。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントからは、本公開買付価格が、少数株主にとって財務的見地から妥当/公正であることを意見表明するフェアネス・オピニオンも提出されている。さらに、本公開買付価格は、過去7年間にわたる当行の株価の最高価格を上回っている。
本公開買付価格はDDM法に基づく算定結果のレンジの中央値付近に位置している。本公開買付価格のプレミアム水準は、本公開買付けの公表日の前営業日の市場株価を基準とした場合、他社事例と比較して十分とはいえないものの、一部報道機関によって公開買付者が銀行持株会社の認可を金融庁に対して申請したことが分かった旨の報道がなされた2022年9月30日の前営業日である2022年9月29日を基準日とした場合には、同種事例におけるプレミアムの水準に照らしても遜色ないことをも勘案すれば、不合理に低い水準であるとまでは認められず、また、その他の客観的状況に照らしても公正な価格を下回らないと評価できる。
カ.他の買付者からの買付機会を確保するための措置
本公開買付けにおいては、SBIHDら以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会が確保されているが、当該措置が採られている点も本公開買付価格の適正性が担保されていることを基礎付ける一要素と認められる。
以上のような点を踏まえ、本特別委員会においては、慎重に協議及び検討した結果、本公開買付価格は公正であると判断するに至った。
(2)預金保険機構及び整理回収機構との株主平等原則の観点からの分析・検討
ア.本四者間契約の内容
本四者間契約における公的資金の取扱いに関する重要な条項の概要は、以下のとおりである。
・預金保険機構、整理回収機構、SBIHD及び当行は、預金保険機構及び整理回収機構が回収する必要がある公的資金の金額が、349,374,894,942円であることを確認する。
・SBIHD及び当行は、会社法その他の法令を遵守し、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性を害することのない範囲で、可能な限り早期に資本剰余金からの配当等の方法により要回収額を返済するよう努める。
・本公開買付け成立後のスクイーズアウトの効力発生後、2025年3月末までに、当行及びSBIHDは、要回収額の返済に関する具体的仕組み(返済に関して想定されるスケジュールを含む。)を預金保険機構及び整理回収機構に提案し、その後、預金保険機構、整理回収機構、SBIHD及び当行は、同年6月末までに、要回収額の具体的な返済スキーム(要回収額の回収までに要する期間(以下「返済期間」という。)を含む。)を合意する。
・要回収額の返済スキーム及びこれに基づく要回収額の返済は、要回収額の早期返済、株主平等原則を含む法令の遵守、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性、並びに当行の各株主の権利を勘案したものでなければならない。
・当行は、本四者間契約の有効期間中、要回収額から預金保険機構及び整理回収機構に対する返済額の合計額を控除した金額を対価の総額として、その時々において預金保険機構及び整理回収機構が保有する全ての当行株式を、当行が取得すること又は当行が指定する第三者へ譲渡することを請求することができる。
イ.株主平等原則の観点からの分析・検討
(ⅰ)検討の概要
前記1(1)のとおり、本取引は、公的資金の返済への道筋をつけることをその目的の一つとしているところ、そのために締結される本四者間契約によると、当行の株主のうち預金保険機構及び整理回収機構に対しては、一定の期間をかけて、要回収額である合計349,374,894,942円がその他資本剰余金からの配当等として交付されることが想定されている。このように、当行の普通株主である預金保険機構及び整理回収機構に対しては、本公開買付け開始時において、本四者間契約に基づき要回収額に満つるまでその他資本剰余金からの配当等をすることが合意されているため、本特別委員会は、かかる取扱いを前提として、株主をその地位に応じて平等に取り扱うべきことを求める株主平等原則(会社法第109条第1項)の観点からも、本公開買付価格が公正であるかどうかについて、検討を行った。
(ⅱ)SBIHDらの説明
預金保険機構及び整理回収機構が要回収額を受領するまでの期間及びその返済の具体的な方法等(以下「確定返済スキーム」という。)については、前記のとおり、本四者間契約において、2025年3月末日までにSBIHD及び当行から提案し、同年6月末日までに合意することとされており、現時点では未定である。このことから、SBIHDらからは、確定返済スキームに基づく要回収額の返済期間等の見込みを現時点で示すことはできないとの説明があった。
他方、本特別委員会は、要回収額の返済期間は、預金保険機構及び整理回収機構と、少数株主との株主平等の観点からの検討を行うために重要な情報であることから、要回収額の返済期間及び株主平等原則に関する考え方について、SBIHDらと協議を行った。SBIHDらによると、確定返済スキームに基づく要回収額の返済期間等については、2025年3月末日までに提案し、その後、同年6月末日までに預金保険機構及び整理回収機構と合意することが想定されており、現時点においては具体的に示すことはできないとのことであったが、現時点におけるSBIHDらの要回収額の返済についての考え方として、①その時々の当行の利益水準に応じて、②過年度の配当額及び自己株式取得の実績、一般的な金融機関の配当性向の水準、グローバルにおける金融環境や景気動向を含めた事業環境の不確実化を踏まえ、当行の財務健全性を確保しつつ長期的に維持可能な配当性向の範囲内で、かつ、③公開買付者と預金保険機構及び整理回収機構に対して、その持株比率に応じた配当等を行う方法により、預金保険機構及び整理回収機構に対して返済を行うという考え方が説明された。
(ⅲ)本特別委員会における検討
上記の現時点における要回収額の返済に関する考え方についてのSBIHDらの説明は、抽象的であり要回収額の現在価値の算出はできないが、特段不合理な点は見受けられない。また、本四者間契約においても、要回収額の返済スキーム及びこれに基づく要回収額の返済は、要回収額の早期返済、株主平等原則を含む法令の遵守、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性、並びに当行の各株主の権利を勘案したものでなければならないことが明記されていることに鑑みても、SBIHDらの上記説明は不合理なものとは認められず、かつ、預金保険機構及び整理回収機構もこのような返済方法に関する考え方を否定はしていないものと解される。
そこで、本特別委員会としては、上記の考え方を踏まえて、当行並びに当行の財務アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び本特別委員会の財務アドバイザーであるフロンティア・マネジメントと協議を行った結果、上記①、②及び③を前提とした場合、要回収額の返済のためには相応の期間を要することを確認した。しかしながら、前述のとおり、確定返済スキームが未定であるため、確定返済スキームに基づく要回収額の返済期間等の見込みも現時点で不明であることから、現時点では定量的な価値の比較を行うことができず、株主平等原則の観点から本公開買付価格が公正であるといえるかについての判断は困難であるといわざるを得ないが、このことのみをもって、直ちに本公開買付価格が不公正と判断されるわけでもないと考える。
(3)買付予定数の下限が設定されていないことについて
前述のとおり、本特別委員会は、株主平等の観点から本公開買付価格が公正であるか否かの判断が困難であるという事情に鑑み、一定数の少数株主の支持が得られることを条件として本公開買付けが成立する仕組みが望ましいと考え、公開買付者に対し、買付予定数の下限の設定を求めた。
これに対し、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の下限の設定は、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性が高いものと考えていること、及び、本取引により当行の非公開化を実現することは、両グループの持続的な企業価値向上に資するのみならず、少数株主にとっても利益があると考えているため、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定していないとのことである。
買付予定数の下限の設定は、一定数の少数株主の支持があることを本公開買付けの成立条件とするものであり、株主平等原則の観点から本公開買付価格が公正であるといえるかの判断が困難である本公開買付けにおいては、これが設定されることが望ましいと考えられるものの、買付予定数の下限が設定されないことのみをもって、本取引の条件が不公正であるとまではいえないと考えられる。
3.諮問事項(ウ)について
本取引においては、(1)当行において独立した特別委員会が設置され、当該特別委員会は有効に機能したものと認められること、(2)当行及び本特別委員会は、独立した法律事務所から助言を取得しているものと認められること、(3)当行及び本特別委員会は、本取引についての判断の基礎として、専門性を有する独立した財務アドバイザー/第三者評価機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得をしているものと認められること、(4)当行においては、SBIHDグループから独立した立場で本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制が構築されていたものと認められること、(5)当行の株主による適切な判断の機会を確保するための措置が採られているものと認められることから、公正な手続がとられているといえ、また、かかる公正な手続の過程で、当行が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリースのドラフトの内容についても、独立したリーガル・アドバイザーからその内容が十分であるとの説明がなされていることを踏まえると、当行の株主の利益への十分な配慮・説明がなされていると考える。
上記(1)から(5)の詳細については、以下のとおりである。
(1)当行における独立した特別委員会の設置について
ア.特別委員会の設置等の経緯
当行は、2023年3月9日付の取締役会の決議により本特別委員会を設置した。
当行は、当該決議に先立ち、本特別委員会の委員の候補者が、SBIHDら、預金保険機構及び整理回収機構からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して少数株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、当行の独立社外取締役及び独立社外監査役と協議し、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって本特別委員会を構成するべく、早﨑保浩(当行社外取締役)、寺田昌弘(当行社外取締役)、赤松育子(当行社外監査役)及び須田美矢子(外部有識者委員。一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所所属)の4名を、本特別委員会の委員の候補として選定した。
なお、須田美矢子については、当行の役員ではないものの、日銀政策委員会審議委員や大学教授等を歴任し、経済や金融に対する深い知見を有していることから、当行は、同氏と面談を実施した上で、同氏を本特別委員会の委員として適切であると考え選定している。なお、これらの本特別委員会の委員は、本特別委員会の設置の当初から変更していない。
その上で、当行取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を当行取締役会から独立した合議体として位置付け、(a)諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、当行の株式価値評価及び本取引に係る算定書、フェアネス・オピニオン、その他のアドバイスの提供、その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は当行が負担すること、(b)本取引に関する当行取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当行取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(c)本公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等又は本取引の目的・プロセス等に係る開示内容について、本特別委員会が必要と判断する場合において一定の行為をなす権限(すなわち、(ア)本特別委員会が、当行役職員・部署(過去に、SBIHDグループにおいて役員を務めていた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役を除く。以下同様。)に対して、必要な調査を行うことを指示する権限、(イ)本特別委員会が、当行役職員・部署に対して、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と交渉・調整を行うことを指示する権限、(ウ)本特別委員会が、SBIHDら、金融庁、預金保険機構及び整理回収機構と自ら交渉・調整する権限)が付与されることを決議している。
なお、本特別委員会の全委員について、答申内容にかかわらず、特別委員会の開催回数に応じて算出される報酬を支払うものとしている。
イ.特別委員会による検討の経緯
本特別委員会は、2023年3月15日から2023年5月11日までの間に合計24回、約44時間にわたって開催され、報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行した。
その上で、本特別委員会は、下記(2)イのとおり、独立した本特別委員会のリーガル・アドバイザーである桃尾・松尾・難波法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行った。また、本特別委員会は、当行が作成した本事業計画について、当行からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認した。
さらに、本特別委員会は、当行から、本取引の目的や意義、当行の事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、公開買付者に対しても、質問事項を提示し、公開買付者から、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により回答を得た。
加えて、当行の財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券及び本特別委員会の財務アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントは、本事業計画を前提とした当行株式の価値算定をそれぞれ実施し、本特別委員会は、当行の依頼により三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、当行株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けた。また、本特別委員会は、フロンティア・マネジメントからも、当行株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けた。本特別委員会は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントに対する質疑応答並びに審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認している。
上記に加えて、本特別委員会は、当行の公開買付者との交渉について、随時、当行並びに当行の財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券から報告を受け、当行の交渉方針につき、フロンティア・マネジメントから受けた助言を踏まえつつ審議及び検討を行った後、適宜、必要な意見を述べた。
具体的には、本特別委員会は、公開買付者からの本公開買付価格に関する提案を受領次第、当行が聴取した三菱UFJモルガン・スタンレー証券から対応方針及び公開買付者との交渉方針等についての分析・意見、並びにフロンティア・マネジメントから受けた財務的見地からの助言を踏まえて、検討を行った。その上で、本特別委員会は、当行に対して、公開買付者に本公開買付価格の再検討を要請することとしたいとの当行の意向について異議がない旨の意見を述べるとともに、当行としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、当行と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の条件に関する協議・交渉過程の全般において関与した。その結果、当行は、2023年5月11日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり2,800円とすることを含む提案を受け、結果として、合計5回の提案を受け、最初の価格提案から7.69%(小数点以下第三位を四捨五入)の価格の引き上げを受けるに至っている。
上記ア及びイに記載の内容を踏まえると、当行において独立した特別委員会が設置され、当該特別委員会は有効に機能したものと認められる。
(2)当行及び特別委員会における独立した法律事務所からの助言の取得について
ア.当行における独立した法律事務所からの助言の取得について
当行は、SBIHDら、当行、預金保険機構及び整理回収機構から独立した当行のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当行の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けている。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。
したがって、当行は、独立した法律事務所から助言を取得しているものと認められる。
イ.特別委員会における独立した法律事務所からの助言の取得について
当行は、SBIHDら、当行、預金保険機構及び整理回収機構から独立した本特別委員会のリーガル・アドバイザーとして桃尾・松尾・難波法律事務所を選任し、桃尾・松尾・難波法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当行の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けている。
なお、桃尾・松尾・難波法律事務所は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。
したがって、本特別委員会は、独立した法律事務所から助言を取得しているものと認められる。
(3)当行及び本特別委員会における独立した財務アドバイザー/第三者評価機関からの株式価値算定書等の取得について
ア.当行における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得について
当行は、SBIHDら、当行、預金保険機構及び整理回収機構から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選任し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から当行株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2023年5月11日付で株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得している。
なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。
したがって、当行は、本取引についての判断の基礎として、専門性を有する独立した財務アドバイザー及び第三者評価機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得しているものと認められる。
イ.特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得について
本特別委員会は、SBIHDら、当行、預金保険機構及び整理回収機構から独立した第三者算定機関としてフロンティア・マネジメントを選任し、フロンティア・マネジメントから当行株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2023年5月11日付で株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得している。
なお、フロンティア・マネジメントは、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。
したがって、本特別委員会は、本取引についての判断の基礎として、専門性を有する独立した第三者評価機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンを取得しているものと認められる。
(4)当行における独立した検討・交渉等を行うための体制の構築について
当行は、2023年2月8日に本取引に関する初期的な提案書を受領した後、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置した。プロジェクトチームは、SBIHDグループ各社の役職員を兼務しておらず、かつ過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していたことのない当行の役職員の合計6名から構成されるものとし、かかる取扱いを継続している。なお、プロジェクトチームのメンバーのうち1名(当行の執行役員)については、SBIHDが提唱する地方創生への取り組み趣旨に賛同し、地方創生の実現という共通の想いを有する各社との間で、地方創生パートナーズを共同設立したことに伴い、2020年8月31日から2023年4月3日まで、SBIHDグループに属する株式会社の非常勤取締役(いずれも無報酬)を兼務していたが、当該執行役員は、当行の従業員として20年以上勤務をしていることや、当行の執行役員グループ戦略企画部長兼グループ経営企画担当として当行の経営企画の責任者であることから、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉への関与が不可欠である一方、プロジェクトチームは独断で決定権限を有さず、特別委員会の承認を経た上で交渉等を進める体制が整備されていることから、本特別委員会としては、当該執行役員がプロジェクトチームのメンバーであることが、当行における独立した検討・交渉等を行うための体制の構築との関係で問題となるとは考えていない。また、本四者間契約については、公的資金の返済など、本取引の実施後における当行の経営に関する重大な事項を含んでいることから、過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役も関与しているが、本特別委員会としては、この点についても、当行における独立した検討・交渉等を行うための体制の構築との関係で問題となるとは考えていない。
上記の事実を踏まえれば、当行においては、SBIHDグループから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制が構築されていたものと認められる。
(5)当行の株主による適切な判断の機会を確保するための措置について
本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から、複数回、当行が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、その内容が適用のある法令・規則等に従ったものであり、また、金融庁関東財務局及び株式会社東京証券取引所からの助言等を踏まえたものであって、少数株主に対して十分な情報開示がなされる予定であることを確認した。
その上で、本公開買付けにおける買付け等の期間について、法令に定められた最短期間は20営業日であるところ、SBIHDらは法令に定められた最短期間に照らして比較的長期間である30営業日としていることから、当行の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保していると考えられる。
また、SBIHDらは、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに株式併合を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当行に要請することを予定しており、当行の株主に対して価格決定請求権又は株式買取請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式併合をする際に当行の株主に対価として交付される金銭は、本公開買付価格に当該各株主の所有する当行株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかにしているため、当行の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、強圧性が生じないように配慮していると考えられる。
そして、預金保険機構及び整理回収機構は、本公開買付け成立後に株主総会に上程されるスクイーズアウトに関する議案に賛成の議決権を行使する意思を表明しており、公開買付者並びに預金保険機構及び整理回収機構が併せて当行株式の73.02%の株式を保有していることに鑑みると、スクイーズアウトに関する議案が株主総会において否決されることは想定し難い。加えて、SBIHDは、当行と協議の上で端数株式の買受人を決定し、仮に当行が買受人になる場合においても、早急な資金水準の回復が必要な場合には、当局の了解を得たうえで、当行からの資金提供依頼にも応じる意向があることを明らかにしている。以上より、本公開買付けの実施後、当行においてスクイーズアウトの実行が困難となるような事情も見受けられず、このような観点からも、当行の株主の判断に対して強圧性が生じているとはいえない。
したがって、当行の株主による適切な判断の機会を確保するための措置が採られているものと認められる。
4.諮問事項(エ)について
本特別委員会において、上記(ア)から(ウ)のほか、本取引が少数株主にとって不利益でないと考えられるか検討したものの、上記(ア)から(ウ)で記載した点を除き、本取引が少数株主に不利益を生じさせるような事実は見当たらなかった。
5.諮問事項(オ)について
本取引に関連又は付随して当行が当事者として締結が必要となる契約としては、本四者間契約が挙げられるが、以下に記載の理由により、本四者間契約は当行及び少数株主の法的立場に実質的な不利益を及ぼすものではないと考えられることから、当行が本四者間契約を締結することは不適切ではないと考える。
(1)公的資金の債務性の問題について
本四者間契約第1項は、預金保険機構及び整理回収機構が当行から回収する必要のある公的資金の本四者間契約締結日時点の残額(要回収額)が、合計で349,374,894,942円であることを預金保険機構、整理回収機構、当行及びSBIHD間で確認するものである。また、本四者間契約第2項は、当行及びSBIHDが、会社法その他の法令を遵守し、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性を害することのない範囲で、可能な限り早期に要回収額を返済するよう努めるものとする旨を定めるものである。
これらの条項において、要回収額を確認し、かつ、その返済を合意したとしても、①本四者間契約においては、公的資金の「返済」との用語が使用されているものの、その「返済」の方法については、本四者間契約第5項によると、本四者間契約締結日以前において実行された公的資金の返済の事案において、預金保険機構及び整理回収機構により公的資金の返済として扱われた方法、並びに預金保険機構及び整理回収機構が同意するその他の方法によることも認められてはいるものの、原則としてその他資本剰余金からの配当によることが想定されていると解され、法的・会計的な金銭債務への返済方法とは異なっており、②その他、要回収額について、債務性を根拠づける規定は特段見受けられないことに基づけば、当行が、預金保険機構及び整理回収機構に対し法的・会計的な金銭債務を負担していることにはならないと解される。
なお、要回収額の概ねの金額は公にも明らかになっていること、上記のとおり法的・会計的な金銭債務を負担するものとは解されないこと、当行が認識している要回収額は本四者間契約第1項に記載の金額と相違ないことから、本四者間契約第1項において要回収額の具体額を確認することによって、当行が不利益を受けることもないと考える。
(2)預金保険機構及び整理回収機構と少数株主との平等性の観点からの検討
前述のとおり、本四者間契約第2項において、要回収額について、可能な限り早期に預金保険機構及び整理回収機構に返済すべき努力義務が定められている。しかしながら、当該返済の前提として、会社法その他の法令を遵守し、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性を害することのない範囲で、という制限が付されている。また、本四者間契約第3項においては、確定返済スキーム及びこれに基づく要回収額の返済は、株主平等原則を含む法令の遵守、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性、並びに当行の各株主の権利を勘案したものでなければならないとされている。
こうした点に鑑みると、本四者間契約を締結することにより、少数株主に比して預金保険機構及び整理回収機構が著しく有利に取り扱われることになるとは想定し難いと解される。
(3)その他
その他、本四者間契約に関して特段、当行又は少数株主の不利益となる条項は見当たらない。
6.諮問事項(カ)について
本取引の目的及び当該目的実現のための手段としての本取引は、正当であり、また、合理的であると考えられること、本取引が当行の企業価値向上に資すると考えられること、本公開買付価格を除く本取引の条件は、公正・妥当なものであると考えられること、本取引においては、現時点で可能と思われる範囲で適切な開示がなされ、また、公正な手続がとられており、当行の株主の利益への配慮・説明が相応になされていると考えられること、そのほかに本取引が少数株主にとって不利益となる事項は認識されないと考えられること、本取引に関連又は付随して当行が当事者となる本四者間契約については、当該契約の内容も勘案の上、当行が同契約を締結することは不適切ではないことに加え、本公開買付価格についても、株主平等の観点からは公正性の判断は困難であるものの、財務的見地からは公正であるといえるところ、本取引は、当行株式の上場廃止に伴い発生するリスクが少数株主に及ぶことを回避しつつ少数株主に財務的に公正な価格で当行株式を売却する機会を提供できることに鑑みると、当行取締役会が本公開買付けに賛同する旨の意見表明を行うこと、及び、当行取締役会が当行の株主に本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると考えられる。
(ⅵ)補足意見及び反対意見
(ア)寺田昌弘氏による補足意見
本件の判断においてもっとも難しいのは、本取引の完了により可能となる公的資金の返済において、預金保険機構及び整理回収機構が「相応の期間」をかけて回収する要回収額の現在価値と本公開買付価格との間に実質的平等性を確保できるか否かである。公開買付者の説明によっても、また三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントの助言によっても、要回収額の現在価値を具体的に算定することは事実上不可能であるといわざるを得ず、本公開買付価格2,800円を正当化できるか否かの判断は困難である。加えて、少数株主に十分な根拠・情報を示して説明することが叶わないことも考えると、株主平等原則の観点から本公開買付価格が公正であるかどうかについて判断することは事実上不可能であると、個人的には結論づけた。そして、このように、本公開買付価格が株主平等原則の観点からも公正な価格であると自信をもって判断できない以上、買付予定数の下限を設定し、当行の少数株主の応募判断の結果を一定程度尊重する仕組みを導入して本公開買付けを実施することが、少数株主保護の観点からより望ましいと考えたものの、SBIHDらからの最終回答は、下限の設定には応じられないというものであった。そうである以上、本公開買付価格は推奨できないとの結論が機械的には導かれ得るところであるが、少数株主の利益に鑑み、次の2点について熟慮した。
・公的資金返済は国民共通の利益に資する当行の社会的責務である。また、当行の更なる企業価値向上を図る上で不可欠の前提といえ、当行及び当行役職員にとっての長年の悲願でもある。今回、預金保険機構及び整理回収機構の理解・協力もあり、あと一歩でそれが実現し得るところまで漕ぎつけたにもかかわらず、現時点で定量的に判定することが不可能といえる株主平等性を強調し、その実現を止めてしまうことが国民共通の利益(当行少数株主の利益でもある。)に適うのか。
・本公開買付価格2,800円は、上記のとおり、株主平等原則の観点からも公正であるとまでは自信をもって判断できないものの、当行の足元の株価に照らしても、当行の本源的価値に照らしても、少数株主に対し本公開買付への応募を推奨できる水準には達していないとまではいえず(三菱UFJモルガン・スタンレー証券及びフロンティア・マネジメントからフェアネス・オピニオンが交付されている。)、仮に株主平等性を論証する情報提供が十分にできないとしても、本公開買付価格で売却する選択肢を少数株主に提供することの方が、むしろ少数株主の保護に資するのではないか。
これら2点も含め総合的に判断した結果、最終的に、当行株主に対し本公開買付への応募を推奨することが不適切とまではいえない、との結論に至ったものである。
(イ)須田美矢子氏による反対意見
本件の特有事情である、預金保険機構及び整理回収機構と少数株主との間の株主平等原則を踏まえると、2,800円という本公開買付価格と両機構が将来において受領する要回収額の価値が同等になるには、両機構への返済期間はかなり長期となる一方、本四者間契約においては可能な限り早期に返済すると規定されている。したがって、本四者間契約においては、2025年6月末日までに合意される具体的な返済スキームは株主平等原則等を勘案したものでなければならないとされているが、このような平等原則へのコミットが実際に確実に実現するという裏付けまでは確保できず、少数株主に不利益であるか否かについて、資料等に照らして判断できない。それを補うため公開買付者に対して買付予定数の下限の設定を要請したが謝絶されたため、応募については非推奨とせざるを得ない。なお、当行株式が上場廃止となるリスクについては、その程度について不確実であり、上場廃止リスクを考慮に入れても、本公開買付価格では判断を変えるには至らなかった。
③ 当行における独立した法律事務所からの助言の取得
当行は、上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した当行のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当行の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
④ 特別委員会における独立した法律事務所からの助言の取得
当行は、上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した本特別委員会のリーガル・アドバイザーとして桃尾・松尾・難波法律事務所を選任し、桃尾・松尾・難波法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当行の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、桃尾・松尾・難波法律事務所は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
⑤ 当行における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
当行は、上記「② 当行における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選任し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から当行株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2023年5月11日付で本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)及び本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を取得しております。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
⑥ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
本特別委員会は、上記「② 当行における独立した本特別委員会の設置」に記載のとおり、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行から独立した第三者算定機関としてフロンティア・マネジメントを選任し、フロンティア・マネジメントから当行株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2023年5月11日付で本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)及び本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)を取得しております。
フロンティア・マネジメントは、SBIHDら、預金保険機構、整理回収機構及び当行の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
⑦ 当行における独立した検討体制の構築
上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、当行は、SBIHDグループから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当行の社内に構築いたしました。
具体的には、当行は、2023年2月8日に初期的提案書を受領した後、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、SBIHDグループ各社の役職員を兼務しておらず、かつ過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していたことのない当行の役職員の合計6名から構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。プロジェクトチームのメンバーのうち1名(当行の執行役員)については、SBIHDが提唱する地方創生への取り組み趣旨に賛同し、地方創生の実現という共通の想いを有する各社との間で、地方創生パートナーズを共同設立したことに伴い、2020年8月31日から2023年4月3日まで、SBIHDグループに属する株式会社の非常勤取締役(いずれも無報酬)を兼務しておりましたが、当該執行役員は、当行の従業員として20年以上勤務をしていることや、当行の執行役員グループ戦略企画部長兼グループ経営企画担当として当行の経営企画の責任者であることから、本取引に関する検討(当行の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉への関与が不可欠であると判断し、プロジェクトチームに参画しております。かかる取扱いを含めて、当行の社内に構築した本取引の検討体制に独立性の観点から問題がないことについては本特別委員会の確認を得ており、かつ、上記執行役員の関与の態様についても本特別委員会に相談を行い、確認を経ております。
但し、本四者間契約については、公的資金の返済など、本取引の実施後における当行の経営に関する重大な事項を含んでいることから、過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役も関与しております。
なお、かかる取扱いを含めて、当行の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当行の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ており、かつ、過去にSBIHDグループ各社の役職員としての地位を有していた五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役の実際の関与の態様についても本特別委員会に報告を行い、確認を経ています。
⑧ 当行における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当行取締役会は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から受けた助言、並びに本株式価値算定書(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、本フェアネス・オピニオン(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、並びに本特別委員会へ提出された本株式価値算定書(フロンティア・マネジメント)及び本フェアネス・オピニオン(フロンティア・マネジメント)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当行の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議いたしました。
その結果、当行は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当行を非公開化することで、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当行が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)当行の意思決定の内容」に掲げる(ア)から(ウ)のシナジーやメリットが実現可能となると考えることから、当行の非公開化が最善であると判断し、2023年5月12日開催の当行取締役会において、当行取締役合計9名のうち、審議及び決議に参加した当行取締役6名(うち5名が独立社外取締役)の過半数(賛成5名、反対1名(社外取締役))の承認により、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当行の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
決議に反対をした道あゆみ取締役の反対の理由は以下のとおりです。
・本特別委員会がSBIHDらに最後に提案した本公開買付価格(1株当たり3,000円)、及び、同価格に応じられない場合の最終的な条件として本特別委員会が提案した買付予定数の下限の設定の、いずれも受け入れられなかった経緯、並びに、当該申入れが、公的資金「返済」の道筋をつけることを目的の一つとすることから、株主は、非公開化後の公的資金「返済」の額とそれに要する期間の目処を踏まえて本取引の公正性、本公開買付けへの応募の当否を判断する可能性があるところ、本答申書が上記期間を「相応の期間」と説明すること等を勘案するに、又、本答申書の反対意見、補足意見に照らすなら、今回、本公開買付けへの応募を推奨するに十分な「適切な開示」がなされたと評価することも、「本取引の条件」を前提に、本取引に賛同しかつ本公開買付けに応募を推奨するとまで判断することも、困難と考える。
また、上記の取締役会においては、当行監査役合計3名のうち、審議に参加した当行監査役3名(うち2名が独立社外監査役)全員が上記のいずれの決議についても異議がない旨の意見を述べております。
当行取締役9名のうち、五味廣文取締役、川島克哉取締役及び畑尾勝巳取締役については、過去にSBIHDグループにおいて役員を務めていたことがあることから、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、本特別委員会の設置に係る2023年3月9日付の取締役会決議以降の本取引に係る当行取締役会(上記の2023年5月12日開催の当行取締役会を含みます。)の審議及び決議に参加しておりません。
⑨ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
SBIHDらは、当行との間で、当行が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当行との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。
また、SBIHDらは、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、法令に定められた最短期間に照らして比較的長期間である30営業日としております。SBIHDらは、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当行の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、SBIHDら以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格の適正性も担保することを企図しております。
⑩ 当行の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
SBIHDらは、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに株式併合を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当行に要請することを予定しており、当行の株主の皆様に対して価格決定申立て又は株式買取請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式併合をする際に、当行の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主の所有する当行株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当行の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しております。
(7)公開買付者と当行の株主・取締役との間における本公開買付けに関する重要な合意に関する事項
① 本四者間契約
SBIHDは、預金保険機構、整理回収機構及び当行との間で、2023年5月12日付で、以下の内容を含む本四者間契約を締結しております。
(ⅰ)SBIHD、預金保険機構、整理回収機構及び当行は、本四者間契約締結日現在の公的資金の残額(以下「要回収額」といいます。)が合計で349,374,894,942円であることにつき確認すること
(ⅱ)SBIHD及び当行は、公的資金について、会社法その他の法令を遵守し、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性を害することのない範囲で、可能な限り早期に要回収額を返済するよう努めること
(ⅲ)SBIHD及び当行は、かかる早期の公的資金の返済に向けて当行の収益及び企業価値の更なる向上に取り組むとともに、本株式併合の効力発生後、2025年3月末日までに、その返済に関する具体的仕組み(返済に関して想定されるスケジュールを含みます。以下同じです。)につき預金保険機構及び整理回収機構に提案し、かかる提案の後、SBIHD、預金保険機構、整理回収機構及び当行は、公的資金の返済に向けた具体的仕組みについて誠実に協議の上、2025年6月末日までに、具体的仕組みについて合意すること(以下、合意した具体的仕組みをそこで想定される要回収額の返済スケジュールを含め「確定返済スキーム」といいます。)(但し、確定返済スキーム及びこれに基づく要回収額の返済は、要回収額の早期返済、株主平等原則を含む法令の遵守、当行の財務の健全性並びに事業上の必要性及び成長性、並びに当行の各株主の権利を勘案したものでなければならないものとします。なお、SBIHD、預金保険機構、整理回収機構及び当行は、資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る一般的な対応方針として預金保険機構がその時々において公表している方針(本四者間契約締結日現在においては、2005年10月28日付「資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る当面の対応について」に記載の方針をいいます。)が、預金保険機構及び整理回収機構がその時々に保有する当行発行の株式(その内容が変更された場合には、変更後の当行発行の株式を含みます。本①において、以下「本株式」といいます。)の取扱いにも適用されることを確認します。)
(ⅳ)当行及びSBIHDは、確定返済スキームにおいて想定されている要回収額の返済スケジュールに沿って公的資金の返済がなされるよう誠実に努めなければならず、確定返済スキームの合意の翌年以降、毎年6月末日までに、預金保険機構及び整理回収機構に対し、確定返済スキームに従った公的資金の返済の状況を報告し、公的資金の返済が、確定返済スキームにおいて想定されている要回収額の返済スケジュールに対して遅延する見通しが生じた場合には、預金保険機構及び整理回収機構との間で誠実に協議すること
(ⅴ)当行による預金保険機構及び整理回収機構に対するその他資本剰余金からの配当の他、本四者間契約締結日以前において実行された公的資金の返済の事案において、預金保険機構及び整理回収機構により公的資金の返済として扱われた方法は、同様の方法が当行との関係で実施された場合は要回収額の返済に該当するものであることを確認すること(但し、預金保険機構及び整理回収機構が要回収額の返済に該当することを同意する範囲で、公的資金の返済がその他の方法により行われることを妨げず、本株式併合に伴い、預金保険機構又は整理回収機構が保有する本株式に生じる1株に満たない端数を当行又は第三者が買い取った場合、預金保険機構又は整理回収機構に支払った買取りの対価は要回収額の返済に含まれるものとします。)
(ⅵ)当行は、本四者間契約の有効期間(注1)中、要回収額から預金保険機構及び整理回収機構に対する上記(ⅴ)に従った公的資金の返済額の合計額を控除した金額を対価の総額として、その時々において預金保険機構及び整理回収機構が保有する全ての本株式(一部は不可)を取得すること又は当行が指定する第三者へ預金保険機構及び整理回収機構が本株式を譲渡することを請求することができるものとし、かかる請求があった場合、預金保険機構及び整理回収機構は、法令及び上記(ⅲ)の対応方針に反しない範囲でこれに応じること(なお、この場合における預金保険機構及び整理回収機構に対する支払額の内訳については、当事者間で協議の上定めるものとします。)
(ⅶ)当行及びSBIHDは、当行とSBIHD又はその子会社(銀行法第2条第8項の規定する子会社をいう。)若しくは関連会社との間の取引については、アームズ・レングス・ルール(銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等を防止するための規定をいいます。)に従い行うものとすること
(ⅷ)SBIHDは、預金保険機構及び整理回収機構の事前の書面による同意がない限り、その保有する公開買付者の株式を第三者への譲渡その他の方法で処分をしてはならず、また、公開買付者をして、その保有する当行株式を第三者への譲渡その他の方法で処分をさせてはならないこと(但し、(a)SBIHDのグループ会社(注2)に公開買付者の株式を譲渡し若しくは当行の株式を譲渡させる場合(当該譲渡を受けたSBIHDのグループ会社を「SBIHDグループ譲受人」といいます。)、又は(b)当該譲渡後もSBIHDのグループ会社が保有する当行の議決権の合計が3分の2以上である場合を除きます。かかる譲渡が行われた場合も、SBIHDは引き続き本四者間契約の当事者として義務を負うものとし、SBIHDグループ譲受人がSBIHDのグループ会社に該当しなくなる場合、SBIHDは当該SBIHDグループ譲受人が有する公開買付者の株式又は当行の株式を自ら譲り受け、又はSBIHDのグループ会社に譲り受けさせるものとします。)、また、SBIHDは、SBIHD以外のSBIHDのグループ会社が当行の株式を保有する場合には、当該グループ会社をして、本四者間契約上のSBIHDの義務と同等の義務を遵守させるものとすること
(ⅸ)当行は、本四者間契約の有効期間中、預金保険機構及び整理回収機構の事前の書面による承諾なく、一定の事項(注3)について決定又は承認してはならないこと
(注1) 本四者間契約は、本株式併合の効力が生じた日をもって発効するものとし、同日から、預金保険機構及び整理回収機構による要回収額全額の回収が完了するまでの間、有効とされております。但し、上記(ⅰ)については、本四者間契約の締結と同時に発効するものとされております。
(注2) 上記(ⅷ)にいう「SBIHDのグループ会社」とは、SBIHD及びその子会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号。その後の改正を含みます。)第93条に定める指定国際会計基準(IFRS)のIFRS第10号に定める子会社をいいます。)を意味するものとします。
(注3) (a)株式の種類の追加、株式の内容の変更又は発行可能株式総数若しくは発行可能種類株式総数の増加についての定款の変更(但し、単元株式数についてのものを除きます。)及びその他公的資金の返済(確定返済スキームに関する合意が成立した後においては、確定返済スキームに従った公的資金の返済を意味します。)の妨げになるおそれのある定款の変更、(b)自己株式の取得(確定返済スキームに関する合意が成立した後は、当該合意に従って行われる自己株式の取得を除きます。)、(c)預金保険機構又は整理回収機構以外の株主に対する剰余金の配当(確定返済スキームに関する合意が成立した後は、当該合意に従って行われる剰余金の配当を除き、また、全株主に対して利益剰余金を原資として同順位かつ保有株式数に応じて支払われる剰余金の配当で、1事業年度における支払総額が、当行が2023年3月期中に効力発生日が到来して支払った剰余金の配当の合計額の範囲内に留まるものは妨げられないものとします。)、(d)特別支配株主による株式等売渡請求の承認、(e)株式の併合(端数が生じるものに限ります。)、並びに(f)合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付その他の組織再編行為又は事業の全部若しくは重要な一部の譲渡若しくは譲受け(当行の株主総会決議を要しない場合を除きます。)をいいます。但し、預金保険機構及び整理回収機構は、(ア)本株式併合により生じた当行株式の端数の合計数を、会社法第235条に定める手続に従い当行が買い取ること、及び(イ)上記(ア)に定める端数合計数の買取り後も当行が適正な自己資本を維持できるよう、公開買付者が、本公開買付価格と実質的に同等な額となるような引受価格により、第三者割当ての方法により当行株式を引き受けることを了解し、かかる取引を行うために当行が必要な手続を履践することについては、預金保険機構及び整理回収機構の承諾を要しないものとします。
② 本株主間覚書
SBIHDは、預金保険機構及び整理回収機構との間で、2023年5月12日付で、本株主間覚書を締結しているとのことです。本株主間覚書において、SBIHD、預金保険機構及び整理回収機構は、本四者間契約が締結されることを条件として本株主間覚書を締結するものであることを確認し、本四者間契約の規定を遵守することを互いに約するとともに、預金保険機構及び整理回収機構が、本公開買付けについて、当行の取締役会が賛同及び株主に対する応募の推奨の意見を決議及び公表しており、これが撤回又は変更されていないことを条件として、①本不応募株式を本公開買付けに応募しないこと、及び②本スクイーズアウト手続を実施するために当行の株主総会において上程される本株式併合に関する議案に対して賛成の議決権を行使することについて合意しているとのことです。
なお、本株主間覚書は、2025年8月31日までに本公開買付けが成立しない場合には失効することとされているとのことです。

役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数

氏名役職名所有株式数(株)議決権の数(個)
五味 廣文取締役会長2,54125
川島 克哉代表取締役社長
最高経営責任者
5,08350
畑尾 勝巳取締役
専務執行役員社長補佐
グループトレジャリー担当兼グループ海外事業担当
2,54125
寺澤 英輔取締役
常務執行役員
グループ経営企画担当兼金融円滑化担当兼グループ経営企画部長兼金融円滑化推進管理室長
3,31733
早﨑 保浩取締役1,01610
道 あゆみ取締役1,01610
寺田 昌弘取締役1,01610
藤崎 圭取締役1,01610
瀧口 友里奈取締役1,01610
永田 信哉常勤監査役3,50035
赤松 育子監査役--
中川 深雪監査役--
22,062218

(注1) 役職名は本書提出日現在、所有株式数及び議決権の数は2023年3月31日現在のものです。
(注2) 上記所有株式数には、当行の役員持株会を通じて間接的に所有する当行株式100株を含みます。
(注3) 取締役 早﨑保浩氏、取締役 道あゆみ氏、取締役 寺田昌弘氏、取締役 藤崎圭氏、及び取締役 瀧口友里奈氏は社外取締役であり、監査役 赤松育子氏、及び監査役 中川深雪氏は社外監査役です。