有価証券報告書-第7期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
対処すべき課題
(1) 会社の経営方針
三井住友トラスト・グループ(以下、「当グループ」という。)は、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)を定めております。
① 経営理念(ミッション)
・高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
・信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。
・信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待に応えてまいります。
・個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場を提供してまいります。
② 目指す姿(ビジョン)-「The Trust Bank」の実現を目指して-
当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
(2) 金融経済環境
当連結会計年度の経済環境は、期前半と期後半で大きく変化しました。
海外景気は回復が続いていましたが、米中間の貿易摩擦問題の拡大、英国の欧州連合(EU)離脱の交渉遅延など、政治・地政学的リスクに対する懸念が高まり、期後半以降、欧州や中国経済が減速に転じました。
国内では企業収益が高水準を維持するもとで雇用情勢の改善が続き、景気は緩やかな回復が続きましたが、海外景気の変調から輸出と生産が鈍化し急速に減速感が強まりました。国内金融市場では、米国景気の拡大に伴って株価と金利が上昇し、円安が進行していましたが、10月以降は株価と金利は低下、為替レートは円高に転じました。2019年に入って株価は回復し、期末の日経平均株価は21,000円を上回った一方、金利低下の流れは続き、10年国債利回りはマイナスで期末を迎えました。
(3) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
当グループは、2017年4月より、新たなグループガバナンス体制の下、「ビジネスモデル変革」「コーポレートガバナンス変革」「フィデューシャリー・デューティーの高度化」の三位一体改革を柱とした、グループ中期経営計画「第2の創業」に取組んでまいりましたが、2019年度は、3ヶ年計画の最終年度となります。
中期経営計画は、これまでのところ概ね順調に進捗していると認識しておりますが、足許の業務環境が不透明さを増す中で、グループ一丸となって総仕上げに取組むとともに、その先を見据え、新たな成長領域への挑戦を進めていく所存です。
① 安定成長を支える基礎収益力の強化
現在、グローバルベースでの過剰流動性や低金利の継続、業態の垣根を超えた競争激化等の構造要因により、金融セクター全般で、収益下押し圧力が増しております。当グループでは、こうした環境下においても、持続的・安定的な成長を実現すべく、コンサルティング営業の品質を高め、お客さまからの評価と信頼を積み重ねながら、顧客基盤と預り資産残高を着実に拡大し、安定的な収益基盤の構築に取組んでまいります。
また、高採算かつ当グループが強みを持つ分野への貸出資産の入替等を進めるとともに、調達コストの削減に努め、バランスシート全体での採算性向上を図ってまいります。
加えて、それぞれが独自の特色を持つ三井住友トラスト・アセットマネジメントと日興アセットマネジメントを中心に、競争力ある運用商品の開発とラインアップの拡充、それらを支える人材ポートフォリオの充実を図り、当グループのお客さまに、多様な運用機会を提供してまいります。資産管理分野では、日本トラスティ・サービス信託銀行と資産管理サービス信託銀行との銀行統合の着実な推進により、当該業務のリーディンググループとしての地位を確固たるものとしてまいります。
更に、国内における持続的成長を実現する一方で、海外拠点網の一層の活用や外資系金融機関とのパートナー戦略等を進め、グローバルに拡大するお客さまの多様なニーズにお応えしていきます。
② 将来に向けた成長投資、成長領域の開拓
当グループは、経費効率の向上に注力しつつ、中長期的な視点に立ち、将来の成長に向けて先進的なシステムをはじめとする各分野への投資を積極的に進めてまいります。具体的には、社会のデジタル化が急速に進展する中、外部の技術やアイデアを取り入れ、お客さまの利便性向上や、当グループの生産性向上・業務効率化、及びマーケティング・コンサルティング等の品質向上に資する分野への投資を推進いたします。
また、昨今の社会・経済環境の変化により生じるお客さまのニーズを的確に捉え、新たなソリューションの創出を通じた成長領域の開拓にチャレンジしてまいります。具体的には、個人・法人を問わず、「人生100年時代」の到来等により生じる様々な悩みやニーズに対し、当社がグループ内に有する多様な機能を最大限に活用し、お客さまに安心と安全、更には、人生の豊かさを提供する商品・サービスを開発してまいります。
加えて、昨年度、初めて開催した未来志向のビジネスコンテストから生まれた案件の事業化を着実に進めるとともに、今年度も継続して開催し、当グループ内に将来の成長につながる能動的なチャレンジ精神をしっかりと定着させてまいります。
③ 適切なリスクコントロールの実践
当グループは、経済・金融環境の不透明感が増す中、お客さまの投資マインドや市場の変化を想定した対応策を整備し、リスク顕在時においても業績への影響の最小化に努めるとともに、信用リスクをはじめとする各種のリスクの適切なマネージに取組んでまいります。また、保有株式の計画的な削減を進め、財務基盤の強化に引き続き努めてまいります。
④ 競争力の源泉となる経営インフラの高度化
経営インフラの高度化としては、ビジネスモデル変革の加速を支えるガバナンス体制や人材の更なる強化に向け、以下の取組みを進めてまいります。
中長期的な企業価値向上の観点から、三井住友信託銀行及び日興アセットマネジメントを監査等委員会設置会社に移行することにより、経営の機動性向上や監査・監督機能の高度化を図るとともに、日興アセットマネジメントについては、三井住友トラスト・ホールディングスの直接出資子会社化を進め、透明性の高い資産運用ビジネスの体制を構築してまいります。
フィデューシャリー・デューティーの徹底については、お客さまからの声を商品やサービスの改善につなげる運営を高度化し、お客さまの信頼と支持の維持・向上に努めてまいります。更に、グループ横断の経営管理機能の充実を通じて、グループ各社間での人材交流の活発化や、システム投資のコントロールの強化等、グループ全体最適の観点からの資源配分を行い、投資する領域と経費の削減・効率化を行う領域をより明確化した取組みを進めてまいります。
また、当グループの競争力の源泉である人材については、引き続き、中堅・若手層に成長や活躍の場を積極的に提供するとともに、女性社員の積極登用や定年延長等の具体化を進め、多様な人材の育成と活躍領域の拡大の双方に注力してまいります。加えて、専業信託銀行グループとして、企業経営の重要なコアと位置付けるESGの取組みについては、気候変動をはじめとするサステナビリティに関わる環境や社会の課題解決に向け、多面的な活動を推進し、持続可能な社会の構築と当グループの企業価値向上を目指してまいります。
コンプライアンス面では、国際的に厳格なマネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止体制の構築が求められている中、適切な顧客管理態勢の構築に取組んでまいります。
三井住友トラスト・グループ(以下、「当グループ」という。)は、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)を定めております。
① 経営理念(ミッション)
・高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
・信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。
・信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待に応えてまいります。
・個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場を提供してまいります。
② 目指す姿(ビジョン)-「The Trust Bank」の実現を目指して-
当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
(2) 金融経済環境
当連結会計年度の経済環境は、期前半と期後半で大きく変化しました。
海外景気は回復が続いていましたが、米中間の貿易摩擦問題の拡大、英国の欧州連合(EU)離脱の交渉遅延など、政治・地政学的リスクに対する懸念が高まり、期後半以降、欧州や中国経済が減速に転じました。
国内では企業収益が高水準を維持するもとで雇用情勢の改善が続き、景気は緩やかな回復が続きましたが、海外景気の変調から輸出と生産が鈍化し急速に減速感が強まりました。国内金融市場では、米国景気の拡大に伴って株価と金利が上昇し、円安が進行していましたが、10月以降は株価と金利は低下、為替レートは円高に転じました。2019年に入って株価は回復し、期末の日経平均株価は21,000円を上回った一方、金利低下の流れは続き、10年国債利回りはマイナスで期末を迎えました。
(3) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
当グループは、2017年4月より、新たなグループガバナンス体制の下、「ビジネスモデル変革」「コーポレートガバナンス変革」「フィデューシャリー・デューティーの高度化」の三位一体改革を柱とした、グループ中期経営計画「第2の創業」に取組んでまいりましたが、2019年度は、3ヶ年計画の最終年度となります。
中期経営計画は、これまでのところ概ね順調に進捗していると認識しておりますが、足許の業務環境が不透明さを増す中で、グループ一丸となって総仕上げに取組むとともに、その先を見据え、新たな成長領域への挑戦を進めていく所存です。
① 安定成長を支える基礎収益力の強化
現在、グローバルベースでの過剰流動性や低金利の継続、業態の垣根を超えた競争激化等の構造要因により、金融セクター全般で、収益下押し圧力が増しております。当グループでは、こうした環境下においても、持続的・安定的な成長を実現すべく、コンサルティング営業の品質を高め、お客さまからの評価と信頼を積み重ねながら、顧客基盤と預り資産残高を着実に拡大し、安定的な収益基盤の構築に取組んでまいります。
また、高採算かつ当グループが強みを持つ分野への貸出資産の入替等を進めるとともに、調達コストの削減に努め、バランスシート全体での採算性向上を図ってまいります。
加えて、それぞれが独自の特色を持つ三井住友トラスト・アセットマネジメントと日興アセットマネジメントを中心に、競争力ある運用商品の開発とラインアップの拡充、それらを支える人材ポートフォリオの充実を図り、当グループのお客さまに、多様な運用機会を提供してまいります。資産管理分野では、日本トラスティ・サービス信託銀行と資産管理サービス信託銀行との銀行統合の着実な推進により、当該業務のリーディンググループとしての地位を確固たるものとしてまいります。
更に、国内における持続的成長を実現する一方で、海外拠点網の一層の活用や外資系金融機関とのパートナー戦略等を進め、グローバルに拡大するお客さまの多様なニーズにお応えしていきます。
② 将来に向けた成長投資、成長領域の開拓
当グループは、経費効率の向上に注力しつつ、中長期的な視点に立ち、将来の成長に向けて先進的なシステムをはじめとする各分野への投資を積極的に進めてまいります。具体的には、社会のデジタル化が急速に進展する中、外部の技術やアイデアを取り入れ、お客さまの利便性向上や、当グループの生産性向上・業務効率化、及びマーケティング・コンサルティング等の品質向上に資する分野への投資を推進いたします。
また、昨今の社会・経済環境の変化により生じるお客さまのニーズを的確に捉え、新たなソリューションの創出を通じた成長領域の開拓にチャレンジしてまいります。具体的には、個人・法人を問わず、「人生100年時代」の到来等により生じる様々な悩みやニーズに対し、当社がグループ内に有する多様な機能を最大限に活用し、お客さまに安心と安全、更には、人生の豊かさを提供する商品・サービスを開発してまいります。
加えて、昨年度、初めて開催した未来志向のビジネスコンテストから生まれた案件の事業化を着実に進めるとともに、今年度も継続して開催し、当グループ内に将来の成長につながる能動的なチャレンジ精神をしっかりと定着させてまいります。
③ 適切なリスクコントロールの実践
当グループは、経済・金融環境の不透明感が増す中、お客さまの投資マインドや市場の変化を想定した対応策を整備し、リスク顕在時においても業績への影響の最小化に努めるとともに、信用リスクをはじめとする各種のリスクの適切なマネージに取組んでまいります。また、保有株式の計画的な削減を進め、財務基盤の強化に引き続き努めてまいります。
④ 競争力の源泉となる経営インフラの高度化
経営インフラの高度化としては、ビジネスモデル変革の加速を支えるガバナンス体制や人材の更なる強化に向け、以下の取組みを進めてまいります。
中長期的な企業価値向上の観点から、三井住友信託銀行及び日興アセットマネジメントを監査等委員会設置会社に移行することにより、経営の機動性向上や監査・監督機能の高度化を図るとともに、日興アセットマネジメントについては、三井住友トラスト・ホールディングスの直接出資子会社化を進め、透明性の高い資産運用ビジネスの体制を構築してまいります。
フィデューシャリー・デューティーの徹底については、お客さまからの声を商品やサービスの改善につなげる運営を高度化し、お客さまの信頼と支持の維持・向上に努めてまいります。更に、グループ横断の経営管理機能の充実を通じて、グループ各社間での人材交流の活発化や、システム投資のコントロールの強化等、グループ全体最適の観点からの資源配分を行い、投資する領域と経費の削減・効率化を行う領域をより明確化した取組みを進めてまいります。
また、当グループの競争力の源泉である人材については、引き続き、中堅・若手層に成長や活躍の場を積極的に提供するとともに、女性社員の積極登用や定年延長等の具体化を進め、多様な人材の育成と活躍領域の拡大の双方に注力してまいります。加えて、専業信託銀行グループとして、企業経営の重要なコアと位置付けるESGの取組みについては、気候変動をはじめとするサステナビリティに関わる環境や社会の課題解決に向け、多面的な活動を推進し、持続可能な社会の構築と当グループの企業価値向上を目指してまいります。
コンプライアンス面では、国際的に厳格なマネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止体制の構築が求められている中、適切な顧客管理態勢の構築に取組んでまいります。