有価証券報告書-第49期(2025/04/01-2026/03/31)
(2) 戦略
当社は、企業活動を行う上で最も大切にすべき普遍的な価値観である「企業理念」並びに、ステークホルダーからの期待、社会情勢や経営環境の変化等を踏まえ、当社が優先的に取り組むべき社会課題を整理し、「マテリアリティ(重点領域)」を特定しています。
これらを背景として、2026年3月期を初年度とする中期経営計画の策定にあたっては、当社の中長期的な成長は企業価値の向上に資する観点から、マテリアリティを見直し、更新をしました。
なお、重要な項目の特定にあたっては、「(1) ガバナンス」に記載のとおり、「重要事項については経営会議や取締役会において審議・決定する」というサステナビリティ推進体制の下、決定しております。また、サステナビリティに関する重要な項目については、社会情勢や経営環境の変化も注視しながら、今後も継続検討してまいります。
[マテリアリティ(重点領域)]

本項においては、これらのマテリアリティを踏まえ、事業への影響度の大きさに鑑み「人的資本」をサステナビリティに関する重要な項目としております。一方で、「環境」については、当社の事業特性を踏まえ、事業への影響度は限定的であると考えております。
(3) 人的資本
① 人材戦略
当社グループは、創業の精神である「信頼の輪」のもと、企業理念に掲げる「人間尊重の精神」「お客さま第一義」「創造と革新の経営」を基盤として、「楽しく豊かなパーソナルライフの実現と生活文化の向上に貢献する」ことを目指し、事業活動を推進しております。
また、ビジョンである「全てのステークホルダーの期待に応えつづける」ことを実現するため、2026年3月期を初年度とする中期経営計画では、「ビジョン実現に向け成長サイクルのスピードを上げる」ことを方針として掲げております。
事業推進においては、「企業理念を体現する人材」を基盤とした人的資本経営が不可欠であると認識しております。理念に共感する人材の確保に加え、中期経営計画における成長の加速に対応するため、社員自らが主体的に成長し続けることを重視し、事業・機能戦略と連動した人材戦略を推進しております。
当社では、人材戦略の推進にあたり、「採用・育成・定着」を軸とし、あるべき人材基盤の強化を図っております。
「採用」については、多様な価値観やアイディアを持つ人材を確保すべく、更なるブランディングの向上や幅広い情報発信に取り組んでおります。「育成」については、「自ら成長する風土」の醸成を目的として、社員の成長を後押しするための環境を整備の上、研修等の学びの機会を充実させております。そして、これら人材を「定着」させるために、風通しのよい社風に努める中、挑戦や成果に報いる評価制度や様々な福利厚生を通じ、社員のワークエンゲージメント向上に取り組んでおります。
これらの取り組みについては、「人材の採用・育成」「働き方改革」「ダイバーシティ&インクルージョン」「人事評価・報酬」「社員エンゲージメント」の5つの領域に整理し、推進しております。
国内外のグループ各社においても、ビジョン実現に向け、業態や地域の特性に応じた人材の採用・育成を行うとともに、当社の人材や知見を活用しながら価値観の共有を図っております。
以上の考えをもとに、当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
② 人材戦略の全体像

③ 人材戦略を支える基盤方針
○ 人材育成方針
当社グループの持続的な成長に向けて、多様な人材の能力・アイディア・価値観等を尊重し、企業理念を具現化できる人材を育成いたします。
○ 社内環境整備方針
企業理念である「人間尊重の精神」に基づくダイバーシティの推進とともに、社員が「働きがい」「働きやすさ」を実感できる社内環境を整備いたします。
○ 従業員給与等の決定方針
本方針は、企業理念及びビジョン、並びに中期経営計画に基づく人材戦略と連動し、当社の持続的な事業の成長と企業価値の向上を支える人材の採用・育成・定着を目的として制定しております。
従業員給与等は、主に月次給与と原則年2回支給する賞与より構成され、社員の「役割」と「成果や挑戦を適切に反映した評価」等により決定するものとします。評価は、社員の成果や挑戦を反映できるよう、公正でメリハリのある制度とし、従業員給与等の水準は、経営環境や社会情勢等を踏まえて定めます。社員のワークエンゲージメントを向上させるべく、福利厚生制度の充実を図ります。
④ 当社の主な取組事項
(人材の採用・育成)
○ 新卒及び中途採用活動強化
当社は、企業間の競争が激化し、環境変化が加速している中、「創造と革新の経営」を実現し、ステークホルダーの期待に応えつづけるためには、多様な人材の能力・アイディア・価値観等を受容して新たな価値を生み出していくことが重要であると考えております。この考えに基づき、事業戦略を遂行するために必要な人員の確保に向け、新卒及び中途採用活動を推進しております。
新卒採用においては、従来の採用要件に加えて、将来の事業展開を見据えた人材プール構築の観点から人材ポートフォリオを意識し、多様な人材の確保に注力しております。また、求職者からのブランドイメージの向上と認知強化を目的として、YouTube公式採用チャンネルやInstagramアカウントを開設し、職場紹介動画や社員インタビュー動画等積極的な情報発信を行いました。これらの取り組みの結果、「マイナビ・日経2027年卒大学生就職企業人気ランキング」の「クレジット・信販・リース・その他金融」部門で第2位を獲得いたしました。
中途採用においては、高度化する事業課題へ迅速に対応すべく、特定の専門スキルを有する即戦力人材の採用を強化しております。今後も多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得を通じ、組織の柔軟性と競争力のさらなる向上を図ってまいります。
<新卒採用/中途採用の推移>
(注)新卒採用は次年度入社人数を記載
○ 「ヒト」と「デジタル」の最適化に向けたデジタル人材の育成
当社は、消費者金融業界のリーディングカンパニーとして、長年の事業運営で培ったノウハウと、確かな与信力・回収力を強みにしております。一方で、デジタル化や技術革新の進展、市場環境の変化にスピーディに対応できる体制を整備することが喫緊の課題であると認識しており、デジタル推進の一翼を担う人材の育成を強化しております。2023年4月より「デジタル人材育成プログラム」を実施しており、当事業年度は、これまで実施したデジタル基礎研修の評価により選抜された社員について、より高度な専門スキル(データ分析、プログラミング、AI、UI/UX等)習得研修の実施や越境学習プログラムへの派遣を行いました。
加えてIT・統計関連の資格取得支援や、生成AI勉強会を定期的に実施し、全社的なデジタルリテラシー向上と変化への対応力を育成しております。
<デジタル関連の資格保持者延べ人数の推移(2022年度より集計)>
(注)集計しているデジタル関連資格は、情報処理技術者、統計検定、AI検定、Python関連等
○ 次世代のリーダーの育成
当社は、当事業年度より役員が一丸となって当社グループの次世代を担うリーダーの早期育成を推進する枠組みを構築いたしました。具体的には、以下の2軸で施策を推進しております。
・役員主導施策
従来のOJTを強化し、子会社経営やタフアサインメント(重要プロジェクト選任等)を通じた実践機会を提供するとともに、役員との対談セッションや1on1面談を新たに開始する等、役員による指導・対話を通じ、次世代を担う経営視点の直接的な承継を図っております。
・人事主導施策
既存の研修に加え、社内講話等の発信機会や社外人材との交流機会を提供する等、実践的な経験を通じた成長の促進を図っております。
(働き方改革)
○ 育児休業取得の促進等
当社は、男性社員の育児休業取得率100%を目標に掲げ、男性の育児休業取得の理解促進を目的とする管理職への情報発信やダイバーシティ&インクルージョン・ヘルスケアに関する情報発信ツールを導入する等、男性社員が育児休業を取得しやすい環境づくり及び育児休業の取得を促進しております。
なお、男性社員の育児休業取得率の算出にあたっては、配偶者の出産年度と実際の育児休業を取得した年度の差異が単年度の数値に影響する特性があります。当社としては、引き続き対象者全員が希望する時期に気兼ねなく育児休業を取得できるよう、実効性のある環境整備を継続してまいります。
また、円滑な復職とキャリア形成を支援する仕組みとして、早期復職者に対する支援制度を改定いたしました。従来の賞与による支給から、保育料等の経済的負担を速やかに軽減できるよう月次給与での支給へ変更し、社員の希望するキャリア形成の継続をサポートしております。あわせて、こども家庭庁の「ベビーシッター派遣事業割引券」を福利厚生として採用する等、多様なニーズに応える支援体制を強化しております。
<男性社員の育児休業取得率の推移>
(注)当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数÷当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数
(各期末時点で算出)
○ 健康経営の推進
当社は、社員が心身ともに健康であることが社員の幸福と持続的な企業の発展に不可欠であると考え、健康経営に対する方針(「健康経営宣言」)を定めております。この方針の下、人間ドックやがん検診の費用補助による疾病の早期発見・予防に努めるとともに、健康管理ポータルサイトを活用した運動・食生活の改善支援やウォーキングイベントによる運動習慣の定着、さらに取引先と共同で健康経営イベントを開催する等、多角的な施策を通じて社員が活き活きと能力を発揮できる職場環境の整備に取り組んでおります。
これらの継続的な取り組みの結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度において、大規模法人部門の認定法人の中でも特に優良な上位500法人に送られる「健康経営優良法人 2026(ホワイト500)」に認定されました。
「健康経営優良法人(大規模部門)」の認定は5年連続となり、今後もさらなる健康増進施策の拡充を通じ、企業価値の向上に努めてまいります。
(ダイバーシティ&インクルージョン)
○ 女性活躍の推進
当社は、女性社員が自律的にキャリアを形成し、能力を最大限に発揮できる環境づくりとして、2022年度よりキャリア形成支援研修「Woman Career Program」を継続実施しており、当事業年度までに累計62名が受講いたしました。本プログラム受講者のうち、選抜研修の応募資格を持つ35名の約半数にあたる17名が、経営幹部候補育成プログラムへ自ら応募する等、次世代リーダーを目指すマインドセットの醸成と具体的なアクションへ繋がっております。
こうした継続的な育成支援の結果、女性登用は着実に進展しており、「管理職に占める女性社員の割合」は10.0%(2021年度比4.5ポイント上昇)、「係長以上の役職に占める女性社員の割合」は25.0%(同6.5ポイント上昇)といずれも改善しております。今後も次世代を担うリーダー候補の層をさらに厚くすることで、意思決定層における多様性の確保を加速させてまいります。
<管理職に占める女性社員の割合及び係長以上の役職に占める女性社員の割合の推移>
○ シニア活躍の推進
当社は、経験豊富なシニア社員が活躍できる社内環境を整備するため、従来の「スペシャリスト職」(システム・会計等)に加え、お客さま応対等の実務経験を活かす「エキスパート職」を新たに設置し、シニア社員の豊富な経験やスキルに応じて処遇する制度を導入しております。
さらに、雇用上限年齢を一定の基準を満たした社員を対象に70歳まで引き上げる等、シニア社員が長期に亘って活躍できる機会の拡充を推進しております。
○ 障がいのある社員も働きやすい職場づくり
当社は、障がいのある社員も「働きがい」と「働きやすさ」を両立し、個々の能力を最大限に発揮できる環境整備のため、職場環境や業務内容に関する年1回のアンケートを実施するとともに、所属長・人事部との面談を行っております。これらの取り組みを通じて、お互いを仕事のパートナーとして尊重し合い、心身の健康と安全が意識された健全かつ闊達なコミュニケーションが実現される職場環境の構築に努めております。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透・定着を目的とし、「ユニバーサルマナーに関する職場内学習(eラーニング)」の実施や、MUFGが主導するプログラムの積極的な社内発信を行う等、多様性を尊重する組織文化の醸成に向けた施策を継続的に展開しております。
(人事評価・報酬)
○ 賃金の引上げ
当社は、持続的な成長を牽引する優秀な人材の確保・定着及び社員のエンゲージメント向上を最重要課題のひとつと位置づけております。この考えに基づき、市場競争力のある報酬体系への刷新を目的とした賃金水準の引き上げ及び基本給の補正を実施いたしました。
・新卒初任給の引き上げによる採用競争力の強化
労働市場における採用競争力を高めるため、初任給の引き上げを行いました。(例:大卒総合職:270,000円⇒300,000円)
・既存社員の基本給補正(ベースアップ及び格差是正)
初任給の引き上げに伴い、各資格・役割に応じた適正な処遇を維持するため、特に若手・中堅層を中心に、18,000円〜30,000円の引き上げを実施いたしました。
・報酬体系の最適化
賞与における個人業績給の引き上げ幅を拡大するとともに、管理職層(課長職以上)においては、評価に応じた支給倍率のメリハリを拡大いたしました。これにより、上位役職の責務に応じた魅力ある処遇を実現するとともに、より個人の成果や貢献度に報いる報酬体系へと移行しております。
<賃金の引上げ率(基本給の上昇率)(注1)>
(注1)引上げ率には定期昇給も含む
(注2)定期昇給を除くベースアップ分は、2022年10月支給分から前倒し実施
(注3)基本給の改定に加え、2025年度夏季賞与よりほぼ全ての職位において「個人業績給の基準額(賞
与の算定基礎額)」を引き上げ、年収ベースでの処遇改善を実施
○ 成果に報いる制度構築
当社は、社員の挑戦や成果を適切に評価し、報いる報酬体系を構築することで、就業意欲と働きがいの向上を図り、個々の能力が最大限に発揮される組織を目指しております。当事業年度においては、賃上げ対応以外にも社員の成長角度を高め、成長サイクルのスピードを上げることを目的として、社員のチャレンジを適切に評価する制度を新たに導入いたしました。
これらの施策を通じて、社員の自律的な挑戦を促すとともに、高いパフォーマンスが発揮できる環境を整備することで、組織全体の生産性向上と持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
○ IT・システムスキル認定制度の導入
当社は、デジタルシフトへの対応とIT人材の確保・定着を目的に、「IT・システムスキル認定制度」を導入いたしました。
本制度では、高度な専門性を有する社員をスキルレベルに応じて認定し、市場水準に基づいた手当を支給することで、競争力のある報酬体系を実現しております。毎年のスキルチェックによる厳格な更新・解除を行うことで、社員の自律的な研鑽を促し、挑戦と成果に報いるメリハリのある処遇を徹底してまいります。
(社員エンゲージメント)
○ 行動指針の浸透と定着
当社は、当事業年度より刷新した新たな行動指針の浸透を図るため、経営層から現場まで一体となった定着施策を推進しております。
まず、次長職以上の管理職を対象に、社長との座談会を実施いたしました。参加者が自ら率先垂範する指針を宣言し、部署内の好事例を共有し合うことで、リーダー層の意識改革を図っております。
さらに、全部署において「行動指針定着プログラム」を実施し、社長によるメッセージ動画で刷新の背景及び社員への期待を再認識した後、対話を中心としたワークショップを実施しております。一連のプロセスを通じて、社員が自らの気づきを「未来を創るノート」へ記録し、具体的な行動宣言を行うことで、指針を日常の業務行動へと落とし込み、組織全体のエンゲージメント向上に努めております。
○ 社員意識調査
当社は、2019年から社員の期待度・満足度を計測し、組織のエンゲージメント状態を定点観測する社員エンゲージメント調査(株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」を活用)を実施しております。また、リンクアンドモチベーション主催の「ベストモチベーションカンパニーアワード」では、7年連続で大手企業部門 (従業員数5,000名未満)において表彰されております。調査の結果を踏まえ、役員、部室長、人事部でコミュニケーションをとりながら社員と組織のエンゲージメント向上に取り組んでおります。
<エンゲージメントスコア/レーティングの推移>
(注)エンゲージメントスコア(偏差値)は50.0が基準
エンゲージメントのレーティングはAAA(スコア67.0以上)からDD(スコア33.0未満)まで11段階
当社及び当社から当社グループ会社への出向者を含む全体の数値を記載
○ 成長と挑戦の支援
当社は、社員の挑戦を支援し「創造と革新の経営」を実践する組織風土が、企業価値向上に直結すると考えております。2023年度より開始したグループ横断のビジネスコンテスト「DRIVE」は、第2回となる当事業年度において71件の応募がありました。役職を問わず誰もが提案可能なボトムアップ型の仕組みを推進し、挑戦を称える文化の形成を図っております。
加えて、当事業年度より、役付執行役員7名及び役員指名を受けた社員56名が参画するイノベーション創出会議「PRO会議」を開催いたしました。豊富な知見を有する役員が主導することで、提案の実現性を高める体制としております。本会議を通じて採用された7案件のうち、既に2案件の導入を決定し、その他案件も継続的に検討を進めております。
今後もこれらの重層的な支援を通じ、社員一人ひとりが挑戦し続ける組織文化の醸成に取り組んでまいります。
当社は、企業活動を行う上で最も大切にすべき普遍的な価値観である「企業理念」並びに、ステークホルダーからの期待、社会情勢や経営環境の変化等を踏まえ、当社が優先的に取り組むべき社会課題を整理し、「マテリアリティ(重点領域)」を特定しています。
これらを背景として、2026年3月期を初年度とする中期経営計画の策定にあたっては、当社の中長期的な成長は企業価値の向上に資する観点から、マテリアリティを見直し、更新をしました。
なお、重要な項目の特定にあたっては、「(1) ガバナンス」に記載のとおり、「重要事項については経営会議や取締役会において審議・決定する」というサステナビリティ推進体制の下、決定しております。また、サステナビリティに関する重要な項目については、社会情勢や経営環境の変化も注視しながら、今後も継続検討してまいります。
[マテリアリティ(重点領域)]

本項においては、これらのマテリアリティを踏まえ、事業への影響度の大きさに鑑み「人的資本」をサステナビリティに関する重要な項目としております。一方で、「環境」については、当社の事業特性を踏まえ、事業への影響度は限定的であると考えております。
(3) 人的資本
① 人材戦略
当社グループは、創業の精神である「信頼の輪」のもと、企業理念に掲げる「人間尊重の精神」「お客さま第一義」「創造と革新の経営」を基盤として、「楽しく豊かなパーソナルライフの実現と生活文化の向上に貢献する」ことを目指し、事業活動を推進しております。
また、ビジョンである「全てのステークホルダーの期待に応えつづける」ことを実現するため、2026年3月期を初年度とする中期経営計画では、「ビジョン実現に向け成長サイクルのスピードを上げる」ことを方針として掲げております。
事業推進においては、「企業理念を体現する人材」を基盤とした人的資本経営が不可欠であると認識しております。理念に共感する人材の確保に加え、中期経営計画における成長の加速に対応するため、社員自らが主体的に成長し続けることを重視し、事業・機能戦略と連動した人材戦略を推進しております。
当社では、人材戦略の推進にあたり、「採用・育成・定着」を軸とし、あるべき人材基盤の強化を図っております。
「採用」については、多様な価値観やアイディアを持つ人材を確保すべく、更なるブランディングの向上や幅広い情報発信に取り組んでおります。「育成」については、「自ら成長する風土」の醸成を目的として、社員の成長を後押しするための環境を整備の上、研修等の学びの機会を充実させております。そして、これら人材を「定着」させるために、風通しのよい社風に努める中、挑戦や成果に報いる評価制度や様々な福利厚生を通じ、社員のワークエンゲージメント向上に取り組んでおります。
これらの取り組みについては、「人材の採用・育成」「働き方改革」「ダイバーシティ&インクルージョン」「人事評価・報酬」「社員エンゲージメント」の5つの領域に整理し、推進しております。
国内外のグループ各社においても、ビジョン実現に向け、業態や地域の特性に応じた人材の採用・育成を行うとともに、当社の人材や知見を活用しながら価値観の共有を図っております。
以上の考えをもとに、当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
② 人材戦略の全体像

③ 人材戦略を支える基盤方針
○ 人材育成方針
当社グループの持続的な成長に向けて、多様な人材の能力・アイディア・価値観等を尊重し、企業理念を具現化できる人材を育成いたします。
○ 社内環境整備方針
企業理念である「人間尊重の精神」に基づくダイバーシティの推進とともに、社員が「働きがい」「働きやすさ」を実感できる社内環境を整備いたします。
○ 従業員給与等の決定方針
本方針は、企業理念及びビジョン、並びに中期経営計画に基づく人材戦略と連動し、当社の持続的な事業の成長と企業価値の向上を支える人材の採用・育成・定着を目的として制定しております。
従業員給与等は、主に月次給与と原則年2回支給する賞与より構成され、社員の「役割」と「成果や挑戦を適切に反映した評価」等により決定するものとします。評価は、社員の成果や挑戦を反映できるよう、公正でメリハリのある制度とし、従業員給与等の水準は、経営環境や社会情勢等を踏まえて定めます。社員のワークエンゲージメントを向上させるべく、福利厚生制度の充実を図ります。
④ 当社の主な取組事項
(人材の採用・育成)
○ 新卒及び中途採用活動強化
当社は、企業間の競争が激化し、環境変化が加速している中、「創造と革新の経営」を実現し、ステークホルダーの期待に応えつづけるためには、多様な人材の能力・アイディア・価値観等を受容して新たな価値を生み出していくことが重要であると考えております。この考えに基づき、事業戦略を遂行するために必要な人員の確保に向け、新卒及び中途採用活動を推進しております。
新卒採用においては、従来の採用要件に加えて、将来の事業展開を見据えた人材プール構築の観点から人材ポートフォリオを意識し、多様な人材の確保に注力しております。また、求職者からのブランドイメージの向上と認知強化を目的として、YouTube公式採用チャンネルやInstagramアカウントを開設し、職場紹介動画や社員インタビュー動画等積極的な情報発信を行いました。これらの取り組みの結果、「マイナビ・日経2027年卒大学生就職企業人気ランキング」の「クレジット・信販・リース・その他金融」部門で第2位を獲得いたしました。
中途採用においては、高度化する事業課題へ迅速に対応すべく、特定の専門スキルを有する即戦力人材の採用を強化しております。今後も多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得を通じ、組織の柔軟性と競争力のさらなる向上を図ってまいります。
<新卒採用/中途採用の推移>
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
| 新卒採用 | 64名 | 63名 | 78名 | 87名 | 104名 |
| 中途採用 | 34名 | 36名 | 55名 | 96名 | 91名 |
(注)新卒採用は次年度入社人数を記載
○ 「ヒト」と「デジタル」の最適化に向けたデジタル人材の育成
当社は、消費者金融業界のリーディングカンパニーとして、長年の事業運営で培ったノウハウと、確かな与信力・回収力を強みにしております。一方で、デジタル化や技術革新の進展、市場環境の変化にスピーディに対応できる体制を整備することが喫緊の課題であると認識しており、デジタル推進の一翼を担う人材の育成を強化しております。2023年4月より「デジタル人材育成プログラム」を実施しており、当事業年度は、これまで実施したデジタル基礎研修の評価により選抜された社員について、より高度な専門スキル(データ分析、プログラミング、AI、UI/UX等)習得研修の実施や越境学習プログラムへの派遣を行いました。
加えてIT・統計関連の資格取得支援や、生成AI勉強会を定期的に実施し、全社的なデジタルリテラシー向上と変化への対応力を育成しております。
<デジタル関連の資格保持者延べ人数の推移(2022年度より集計)>
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
| 資格保持者 延べ人数 | 205名 | 315名 | 382名 | 452名 |
(注)集計しているデジタル関連資格は、情報処理技術者、統計検定、AI検定、Python関連等
○ 次世代のリーダーの育成
当社は、当事業年度より役員が一丸となって当社グループの次世代を担うリーダーの早期育成を推進する枠組みを構築いたしました。具体的には、以下の2軸で施策を推進しております。
・役員主導施策
従来のOJTを強化し、子会社経営やタフアサインメント(重要プロジェクト選任等)を通じた実践機会を提供するとともに、役員との対談セッションや1on1面談を新たに開始する等、役員による指導・対話を通じ、次世代を担う経営視点の直接的な承継を図っております。
・人事主導施策
既存の研修に加え、社内講話等の発信機会や社外人材との交流機会を提供する等、実践的な経験を通じた成長の促進を図っております。
(働き方改革)
○ 育児休業取得の促進等
当社は、男性社員の育児休業取得率100%を目標に掲げ、男性の育児休業取得の理解促進を目的とする管理職への情報発信やダイバーシティ&インクルージョン・ヘルスケアに関する情報発信ツールを導入する等、男性社員が育児休業を取得しやすい環境づくり及び育児休業の取得を促進しております。
なお、男性社員の育児休業取得率の算出にあたっては、配偶者の出産年度と実際の育児休業を取得した年度の差異が単年度の数値に影響する特性があります。当社としては、引き続き対象者全員が希望する時期に気兼ねなく育児休業を取得できるよう、実効性のある環境整備を継続してまいります。
また、円滑な復職とキャリア形成を支援する仕組みとして、早期復職者に対する支援制度を改定いたしました。従来の賞与による支給から、保育料等の経済的負担を速やかに軽減できるよう月次給与での支給へ変更し、社員の希望するキャリア形成の継続をサポートしております。あわせて、こども家庭庁の「ベビーシッター派遣事業割引券」を福利厚生として採用する等、多様なニーズに応える支援体制を強化しております。
<男性社員の育児休業取得率の推移>

(注)当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数÷当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数
(各期末時点で算出)
○ 健康経営の推進
当社は、社員が心身ともに健康であることが社員の幸福と持続的な企業の発展に不可欠であると考え、健康経営に対する方針(「健康経営宣言」)を定めております。この方針の下、人間ドックやがん検診の費用補助による疾病の早期発見・予防に努めるとともに、健康管理ポータルサイトを活用した運動・食生活の改善支援やウォーキングイベントによる運動習慣の定着、さらに取引先と共同で健康経営イベントを開催する等、多角的な施策を通じて社員が活き活きと能力を発揮できる職場環境の整備に取り組んでおります。
これらの継続的な取り組みの結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度において、大規模法人部門の認定法人の中でも特に優良な上位500法人に送られる「健康経営優良法人 2026(ホワイト500)」に認定されました。
「健康経営優良法人(大規模部門)」の認定は5年連続となり、今後もさらなる健康増進施策の拡充を通じ、企業価値の向上に努めてまいります。
(ダイバーシティ&インクルージョン)
○ 女性活躍の推進
当社は、女性社員が自律的にキャリアを形成し、能力を最大限に発揮できる環境づくりとして、2022年度よりキャリア形成支援研修「Woman Career Program」を継続実施しており、当事業年度までに累計62名が受講いたしました。本プログラム受講者のうち、選抜研修の応募資格を持つ35名の約半数にあたる17名が、経営幹部候補育成プログラムへ自ら応募する等、次世代リーダーを目指すマインドセットの醸成と具体的なアクションへ繋がっております。
こうした継続的な育成支援の結果、女性登用は着実に進展しており、「管理職に占める女性社員の割合」は10.0%(2021年度比4.5ポイント上昇)、「係長以上の役職に占める女性社員の割合」は25.0%(同6.5ポイント上昇)といずれも改善しております。今後も次世代を担うリーダー候補の層をさらに厚くすることで、意思決定層における多様性の確保を加速させてまいります。
<管理職に占める女性社員の割合及び係長以上の役職に占める女性社員の割合の推移>

○ シニア活躍の推進
当社は、経験豊富なシニア社員が活躍できる社内環境を整備するため、従来の「スペシャリスト職」(システム・会計等)に加え、お客さま応対等の実務経験を活かす「エキスパート職」を新たに設置し、シニア社員の豊富な経験やスキルに応じて処遇する制度を導入しております。
さらに、雇用上限年齢を一定の基準を満たした社員を対象に70歳まで引き上げる等、シニア社員が長期に亘って活躍できる機会の拡充を推進しております。
○ 障がいのある社員も働きやすい職場づくり
当社は、障がいのある社員も「働きがい」と「働きやすさ」を両立し、個々の能力を最大限に発揮できる環境整備のため、職場環境や業務内容に関する年1回のアンケートを実施するとともに、所属長・人事部との面談を行っております。これらの取り組みを通じて、お互いを仕事のパートナーとして尊重し合い、心身の健康と安全が意識された健全かつ闊達なコミュニケーションが実現される職場環境の構築に努めております。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透・定着を目的とし、「ユニバーサルマナーに関する職場内学習(eラーニング)」の実施や、MUFGが主導するプログラムの積極的な社内発信を行う等、多様性を尊重する組織文化の醸成に向けた施策を継続的に展開しております。
(人事評価・報酬)
○ 賃金の引上げ
当社は、持続的な成長を牽引する優秀な人材の確保・定着及び社員のエンゲージメント向上を最重要課題のひとつと位置づけております。この考えに基づき、市場競争力のある報酬体系への刷新を目的とした賃金水準の引き上げ及び基本給の補正を実施いたしました。
・新卒初任給の引き上げによる採用競争力の強化
労働市場における採用競争力を高めるため、初任給の引き上げを行いました。(例:大卒総合職:270,000円⇒300,000円)
・既存社員の基本給補正(ベースアップ及び格差是正)
初任給の引き上げに伴い、各資格・役割に応じた適正な処遇を維持するため、特に若手・中堅層を中心に、18,000円〜30,000円の引き上げを実施いたしました。
・報酬体系の最適化
賞与における個人業績給の引き上げ幅を拡大するとともに、管理職層(課長職以上)においては、評価に応じた支給倍率のメリハリを拡大いたしました。これにより、上位役職の責務に応じた魅力ある処遇を実現するとともに、より個人の成果や貢献度に報いる報酬体系へと移行しております。
<賃金の引上げ率(基本給の上昇率)(注1)>
| 2023年4月 | 2024年4月 | 2025年4月 | 2026年4月 |
| 5.2%(注2) | 4.9% | 4.1%(注3) | 5.4% |
(注1)引上げ率には定期昇給も含む
(注2)定期昇給を除くベースアップ分は、2022年10月支給分から前倒し実施
(注3)基本給の改定に加え、2025年度夏季賞与よりほぼ全ての職位において「個人業績給の基準額(賞
与の算定基礎額)」を引き上げ、年収ベースでの処遇改善を実施
○ 成果に報いる制度構築
当社は、社員の挑戦や成果を適切に評価し、報いる報酬体系を構築することで、就業意欲と働きがいの向上を図り、個々の能力が最大限に発揮される組織を目指しております。当事業年度においては、賃上げ対応以外にも社員の成長角度を高め、成長サイクルのスピードを上げることを目的として、社員のチャレンジを適切に評価する制度を新たに導入いたしました。
これらの施策を通じて、社員の自律的な挑戦を促すとともに、高いパフォーマンスが発揮できる環境を整備することで、組織全体の生産性向上と持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
○ IT・システムスキル認定制度の導入
当社は、デジタルシフトへの対応とIT人材の確保・定着を目的に、「IT・システムスキル認定制度」を導入いたしました。
本制度では、高度な専門性を有する社員をスキルレベルに応じて認定し、市場水準に基づいた手当を支給することで、競争力のある報酬体系を実現しております。毎年のスキルチェックによる厳格な更新・解除を行うことで、社員の自律的な研鑽を促し、挑戦と成果に報いるメリハリのある処遇を徹底してまいります。
(社員エンゲージメント)
○ 行動指針の浸透と定着
当社は、当事業年度より刷新した新たな行動指針の浸透を図るため、経営層から現場まで一体となった定着施策を推進しております。
まず、次長職以上の管理職を対象に、社長との座談会を実施いたしました。参加者が自ら率先垂範する指針を宣言し、部署内の好事例を共有し合うことで、リーダー層の意識改革を図っております。
さらに、全部署において「行動指針定着プログラム」を実施し、社長によるメッセージ動画で刷新の背景及び社員への期待を再認識した後、対話を中心としたワークショップを実施しております。一連のプロセスを通じて、社員が自らの気づきを「未来を創るノート」へ記録し、具体的な行動宣言を行うことで、指針を日常の業務行動へと落とし込み、組織全体のエンゲージメント向上に努めております。
○ 社員意識調査
当社は、2019年から社員の期待度・満足度を計測し、組織のエンゲージメント状態を定点観測する社員エンゲージメント調査(株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」を活用)を実施しております。また、リンクアンドモチベーション主催の「ベストモチベーションカンパニーアワード」では、7年連続で大手企業部門 (従業員数5,000名未満)において表彰されております。調査の結果を踏まえ、役員、部室長、人事部でコミュニケーションをとりながら社員と組織のエンゲージメント向上に取り組んでおります。
<エンゲージメントスコア/レーティングの推移>

(注)エンゲージメントスコア(偏差値)は50.0が基準
エンゲージメントのレーティングはAAA(スコア67.0以上)からDD(スコア33.0未満)まで11段階
当社及び当社から当社グループ会社への出向者を含む全体の数値を記載
○ 成長と挑戦の支援
当社は、社員の挑戦を支援し「創造と革新の経営」を実践する組織風土が、企業価値向上に直結すると考えております。2023年度より開始したグループ横断のビジネスコンテスト「DRIVE」は、第2回となる当事業年度において71件の応募がありました。役職を問わず誰もが提案可能なボトムアップ型の仕組みを推進し、挑戦を称える文化の形成を図っております。
加えて、当事業年度より、役付執行役員7名及び役員指名を受けた社員56名が参画するイノベーション創出会議「PRO会議」を開催いたしました。豊富な知見を有する役員が主導することで、提案の実現性を高める体制としております。本会議を通じて採用された7案件のうち、既に2案件の導入を決定し、その他案件も継続的に検討を進めております。
今後もこれらの重層的な支援を通じ、社員一人ひとりが挑戦し続ける組織文化の醸成に取り組んでまいります。