有価証券報告書-第87期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/24 9:02
【資料】
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【項目】
166項目
<戦略>a.マテリアリティとの関係
当社グループは2021年10月にマテリアリティ(重要課題)を策定・公表しました。ビジネス領域のひとつとして“社会づくり”(気候変動への対応を含むサステナブルな社会の実現)を掲げており、サステナブルファイナンスやESGファンドの取扱い、サステナブル投資に関する情報発信等を通じて社会課題の解決と地域貢献を推進しています。
b.シナリオ分析
以上のような課題認識のもと、気候変動関連のリスクと機会を把握するためシナリオ分析を実施しています。気候変動に係る幅広い将来像に備えるため、「1.5/2℃シナリオ」(脱炭素に向けた変革が進展する)と「4℃シナリオ」(気候変動の対策が進まない)の2つのパターンを想定し、それぞれのパターンにおいて考慮すべきリスクや機会を設定し、事業インパクトを算出しています。
選択したシナリオにおける気候変動のインパクトの考え方は以下のとおりです。
・1.5/2℃シナリオ:気候変動の抑制に向けた市場の変化、規制強化の中で移行リスクの影響が比較的大きい
・4℃シナリオ:洪水等自然災害による物理的リスクの影響が比較的大きい
シナリオ分析においては、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)のシナリオを活用しています。
(i)リスク・機会に係る定性分析
上記のシナリオにおける定性分析として、それぞれのパターンにおいて発生が想定される気候変動による移行リスク及び物理的リスクを設定し、当社グループの戦略・ビジネスにとっての重要度が比較的高いと考えられるリスクを特定し、それぞれ想定される影響やその発生時期、ビジネスへの影響度を分析いたしました。
表1 想定される当社グループへの影響
リスク想定される影響時間軸
影響度
1.5℃/2℃4℃
移行
リスク
政策・法規制法律・規制変化に伴う既存ビジネスの減少又は資本負荷の増大などによるコスト増加中期~長期
市場気候変動に伴う顧客ニーズの変化による既存ファンド等商品の陳腐化、新規商品開発における競争優位性の低下中期~長期
低炭素社会への移行過程で、産業構造の変化などにより重大な影響を受ける企業などとのビジネスの減少中期~長期
保有する資産の価値低下や売却機会の減少中期~長期
評判環境負荷の高い事業への投資に伴う評判低下リスク・気候変動リスクへの配慮のない企業や商品に対するブランドイメージの毀損短期~長期
物理的
リスク
急性台風・津波・洪水等による当社グループ施設・事業インフラの業務停止、復旧コスト、運転コスト等の増加、従業員の支援コスト等の発生短期~長期
台風・津波・洪水等による顧客の機能停止に伴う運転コストの増加によるホールセールビジネスの減少短期~長期
気候変動による異常気象や災害の激甚化と経済状況の悪化による個人資産の減少を通したリテールビジネスの減速短期~長期

※発生時期は短期:現在~3年、中期:3~10年、長期:10~30年を想定
当社グループにおける影響の大きな事象として、移行リスクでは、低炭素社会への移行に伴い重大な影響を受けるお客さまとのビジネス機会減少、気候変動リスクへの対応が不十分とみなされた場合の評判悪化による調達コスト増加・ビジネス機会減少などを想定しています。物理的リスクでは、自然災害による当社グループ施設や事業インフラの損壊による各種コストの発生、お客さまが自然災害により重大な影響を受けることによる当社グループのビジネス減少などを想定しています。
なお、物理的リスクへの対応として、自然災害の発生等に備えて、「業務継続計画(BCP)の策定」及び「危機対策本部の設置」によるリスク管理体制を構築しています。
一方、当社グループにとっての事業機会として、表2を想定しています。
表2 当社グループにとっての事業機会
機会
グリーンファイナンス、トランジション・ファイナンスやソリューションビジネスなど適応に関するビジネス機会の増加
ESG関連商品の信頼度向上と個人投資家の意識の高まりによる市場の拡大
持続可能性や環境に特化したサステナブルボンドやグリーンボンドなどの取扱い機会の増加

今後、当社グループでは、これらの機会を捉えるための対応として多様な金融サービスの提供を強化していきます。
(ⅱ)リスク・機会に係る定量分析
定性分析に加え、上記のシナリオに基づく定量分析を実施し、2030年における財務インパクトを試算しました。
移行リスクについては、炭素税導入に係るコスト増や評判低下による調達コストへの影響のほか、当社グループの証券ビジネスの委託手数料への影響等を分析しています。物理的リスクについては、急性リスクである営業拠点の洪水被害による営業停止や当社施設の損傷や市場イベント等の影響を分析しています。なお、洪水被害は主要な拠点である国内拠点を想定したものとしています。
移行リスクでは、脱炭素・サステナブルファイナンスへの取り組みを継続することで、関連ビジネスを拡大し気候変動対策に対する当社グループのレピュテーションを保つことが重要であること、物理的リスクでは、異常気象による洪水等の直接的な影響に加え、市場を介した間接的な影響もあるため、気候災害の市場イベント時にも耐えうるリスク管理の必要性が認識されました。
試算の結果、いずれのシナリオでも気候変動関連のリスクと機会に対して適切な対策ができない場合は収益が圧迫される一方で、適切な対応をとることや機会を享受することができれば、当社グループの財務に与える影響は限定的となることが分かりました。
c.脱炭素社会実現に向けたロードマップ
当社グループでは、気候変動はグローバルで重要な社会課題との認識のもと、「a.マテリアリティとの関係」のとおり経営の重要課題(マテリアリティ)と位置づけ、事業を通じた取り組みを進めております。パリ協定や日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言に賛同し、脱炭素社会への移行と実現に向け、「2030年までに自社の温室効果ガス排出量(Scope1・2)ネットゼロの達成」及び「事業活動を通じた脱炭素社会への移行の支援」を含む「温室効果ガス排出量ネットゼロ宣言」を策定し取り組みを進めております。今後の具体的な取り組みは以下のとおりです。
(i)2030年までに自社の温室効果ガス排出量(Scope1・2)ネットゼロの達成
自社の温室効果ガス排出量(Scope1・2)の削減については、省エネ活動の継続及び再エネ電力の導入等を進めていきます。前者については、各施設におけるエネルギー利用の効率化などを行っていきます。また、後者については、EVや電動バイク等の導入に加え使用電力の再エネ化等を推進していきます。
(ⅱ)事業活動を通じた脱炭素社会への移行の支援
気候変動問題を含む社会課題解決に向けて、グリーンボンドを始めとしたSDGs債の引受・販売や、投資家や発行体向けのセミナー開催・レポート発行の情報発信等に取り組んでおり、今後もサステナブルファイナンスの普及・拡大に貢献していきます。

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