有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社の事業等に関わるリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項に関し、以下のようなリスクが挙げられます。これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では想定していないリスクや重要性が乏しいと考えられるリスクも、今後、当社及び連結子会社からなる連結企業集団(以下、「当社グループ」という。)の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 景気・経済・金融市場の変動等の外的要因に起因するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、国内外の経済情勢及び市場環境に大きく依存しており、これらの変動は当社グループが収益として獲得する手数料や取引に係る損益等に直接的な影響を及ぼします。
例えば、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2016年の英国EU離脱決定や米大統領選挙などの政治経済的事象、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大、2022年以降のロシア・ウクライナ情勢及び2026年における中東地域の地政学的緊張の高まりといった事象に加え、各国の金融引締め政策の継続やインフレ動向、金利上昇局面への転換等により、グローバルな金融市場の不安定化が継続しております。
これらの要因は、株式・債券・為替・コモディティ市場等に多大な影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に、リテール事業においては、景気や市場動向が顧客の投資意欲に影響を及ぼし、顧客の取引金額・商品・頻度等に変動が生じます。また、ホールセール及び法人事業においては、自己勘定取引による損益や引受等投資銀行業務における収益機会が変化します。これらの外的要因は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年では、AI・アルゴリズム取引の普及等により市場構造が変化し、短時間での価格変動や流動性の急減が発生する可能性も高まっております。
(2) 気候変動、災害、感染症拡大等の外部要因から事業継続が影響を受けるリスク
当社の本社・カスタマーセンター・事務拠点・データセンターなどが、急激かつ著しい気候変動や地震等の災害により多大な影響を受けた場合には、事業継続が困難となる可能性があります。特にシステムに関連する拠点が甚大な影響を受けた場合には、インターネット取引やシステムを用いたホールセール取引の提供を停止せざるを得ない場合があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大のように、感染症等の被害が広範に及んだ場合には、当社の役職員が所定の執務先にて通常の業務を行えなくなる可能性があります。
いずれの場合にも、当社の定めるコンティンジェンシープランに則り、危機管理対策室を迅速に立ち上げ、業務への影響を極小化し、重要業務を中心に事業継続を図るべく、平時よりBCP/BCMの取組みを行っております。
子会社についても同様の事態が発生し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。金融規制業種を中心に、同様のBCP/BCMの取組みを実施させ、機動的に当社(親会社)と連携して事業を継続させ、情報を適時に集約する態勢を構築しております。
(3) 信用リスク(リテール顧客、法人取引先及びカウンターパーティー取引を含む)
当社グループは、リテール顧客に対する信用供与、法人取引先との各種金融取引、ならびにデリバティブ取引等におけるカウンターパーティーとの取引を行っており、これらに係る信用リスクに晒されています。
これらの信用リスクは、取引相手先の信用状況の変化に加え、景気動向や金融市場の変動等の外部環境要因の影響を受けて顕在化する可能性があります。
リテール事業における株式の信用取引等において、当社は顧客への信用供与を行っております。顧客が取引を通じて損失を被ったり、代用有価証券の担保価値が下落するなどした場合、顧客からの受入保証金・代用有価証券などの担保価値が十分でなくなる可能性があります。
また、同様に信用供与を行っている先物・オプション取引、店頭外国為替証拠金取引・CFD等のデリバティブ取引においても取引証拠金として所定の担保を顧客から受け入れておりますが、顧客の取引状況により損失が生じた場合などには担保が不足する可能性があります。
こうした取引について当社は取引開始審査・口座状況のモニタリング及び担保管理等からなる与信管理を行い、必要に応じてストレス的な市況変動を想定したリスク把握に努めておりますが、信用リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自己勘定による有価証券・外国為替・デリバティブ取引等に関するトレーディング業務や有価証券貸借取引、関連する与信取引等を行っております。法人取引先については、取引開始時の審査や事後のモニタリングを行い、リスクの顕在化を抑制しておりますが、当該取引において取引先が受渡決済を含む債務不履行に陥った場合や、当社グループが保有する有価証券の発行体が信用状況を著しく悪化させた場合、デリバティブ取引の評価額が著しく変動した場合(エクスポージャーが拡大する場合を含む)等には、当社グループは損失を被り、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、市場環境の急激な変化に伴い、担保価値の急減や証拠金不足が短期間で生じることにより、想定を超える信用リスクが顕在化する可能性があります。
(4) ホールセール・投資銀行業務に関するリスク
自己勘定によるトレーディング業務では、市場動向や顧客取引の需要の影響により当社グループにとって不利な事象が生じ、保有ポジションの時価変動により損失を被るリスクがあります。
当社グループでは、各商品のトレーディングに係るリスクを低減するため、業務所管部においてヘッジ取引やポジション管理を行うほか、リスク管理部門によるモニタリングを実施しておりますが、予想を超える市場の変動や突発的な個別事象の発生等により、ヘッジが有効に機能しなかったり、ポジションの速やかな処分が進まないことから損失を被る可能性があります。
また、当社グループは、不動産関連投資、証券担保ローン、再生可能エネルギー関連投資等の投融資業務を行っており、これらの資産については、市場環境の変動や投資先の財務状況の悪化、流動性の低下等により、当初想定した収益が得られない、又は損失を被る可能性があります。
引受や仕組み証券組成、財務アドバイザリー等の投資銀行業務は、概して証券市況に影響を受け、新規上場やファイナンス等の規模・回数等が変動する特性があり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に引受業務においては、引受証券が円滑に投資家に販売できなかった場合に募残を抱え、市場価格の下落により損失を被るリスクがあります。
(5) 法務・規制及びコンプライアンスに関するリスク
当社グループは、証券・金融商品取引業務を中心として、金融商品取引法その他の法令、関連する政省令、監督官庁及び自主規制機関等の規則・指針並びに各事業を展開する国・地域の法令・規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法令・諸規則を遵守し、健全かつ適切に業務を運営する必要があります。
国内の金融商品取引業者は、金融商品取引法及び関連する政省令等により、登録規制、顧客勧誘規制、顧客取引規制、内部者取引規制その他の各種行為規制を受けており、財務健全性の観点からも自己資本規制比率の維持が求められております。万が一、当社グループがこれらの法令・諸規則等に抵触した場合、課徴金納付命令・業務改善命令、業務の制限又は停止、登録取消しその他の行政処分・命令、損害賠償請求等を受ける可能性があり、収益機会逸失に加え、社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。海外において同様の証券・金融関連ビジネスを営む当社の子会社についても、現地の法令・諸規則及び監督、当局の規制・監督を受けており、同様のリスクが想定されます。
また、金融商品取引法に関するものにとどまらず、顧客情報等の管理に関しては個人情報保護法等の法令・関連諸規則、銀行代理業、貸金業その他当社グループが営む各事業に関してはそれぞれの業法・規制等の遵守が求められております。当社グループは、法令等遵守態勢及び内部管理態勢の整備・強化に努めておりますが、法令・規制等の改正、監督上の要請の高度化、業務拡大や新商品・新サービスの導入等に対応した態勢整備が十分でない場合には、各監督官庁等による処分・命令、訴訟・紛争、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)、適合性原則、利益相反管理、広告・表示、苦情・紛争対応等に関する社会的要請及び監督・規制は引き続き高度化しております。これらへの対応が不十分である場合、行政処分や社会的信用の低下につながる可能性があります。
(6) オペレーショナルリスク
当社グループでは、リテール・ホールセールの双方について日々業務を行うことに伴い、顧客数や取引数に連動した多くの事務処理が発生しており、役職員による事務処理ミスや事故、不正等のリスクが想定されます。
また、事務リスク、人的リスク、有形資産リスク(災害、犯罪又は資産管理の瑕疵等の結果、有形資産(動産・不動産・設備・備品等)の毀損や執務環境等の質の低下により、当社グループに損失が発生するリスク)等からなるオペレーショナルリスクが存在します。
これらのリスクに対しては、内部統制やリスクアセスメントにより事前予防を図り、発生の極小化に努めておりますが、かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループが損失を被ること等により、当社グループの経営成績及び財政状態、並びに社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 反社会的勢力との取引及びマネー・ローンダリング等に関するリスク
当社グループは、反社会的勢力との関係を遮断し、これらとの取引を排除することを基本方針としております。新規取引に先立ち、反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認、反社会的勢力でないことの表明及び確約の取得等、所定の手続きを行っております。
また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融の防止、並びに経済制裁その他の制裁規制への対応についても、当社グループの商品及びサービスが不正な取引に利用されることを防止するため、顧客管理、取引モニタリング、疑わしい取引の届出、制裁対象者等との照合、役職員への研修等の態勢整備に努めております。
しかしながら、金融取引の高度化・複雑化、非対面取引やクロスボーダー取引の拡大、犯罪手口の巧妙化、各国における規制・制裁措置の変更等により、当社グループによる確認・管理にもかかわらず、反社会的勢力との取引、マネー・ローンダリング等又は制裁対象者・制裁対象国等に関連する取引を完全には排除できない可能性があります。
このような問題が認められた場合には、取引停止・口座解約等の対応、調査・態勢整備等に係る費用の増加、監督官庁等による処分・命令、罰金・課徴金、損害賠償請求、社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) システムリスク
当社グループは、証券・金融商品取引業務を中心に、顧客に対してインターネットを通じた各種サービスを提供しており、これらの業務はコンピュータシステムに高度に依存しています。このため、システムの安定的な稼動および継続的なサービス提供の確保は、経営における重要な課題であると認識しております。
リテール顧客に提供するオンライン取引システムやホールセール取引システムなどシステム全般で、一般的にハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウイルス、サイバー攻撃のほか、自然災害等によってもシステム障害が発生する可能性があります。
また、外部クラウドサービスや委託先等の第三者への依存の高まりに伴い、これらを起因とする障害やサービス停止が発生する可能性があります。
当社グループでは、システム障害の発生に備え、24時間365日の監視、基幹システムの冗長化、自家発電装置の設置、バックアップサイトの構築、カスタマーセンターによる非常時対応等の体制を整えております。
しかし、何らかの理由によりシステム障害が発生し、対応が遅れたり不十分であった場合には、取引を停止するなどにより顧客に機会損失を与えたり、当社グループ自身が取引損失を被る可能性があります。そのほか、システム障害等により生じた損害の賠償を求められたり、社会的信用が低下するなど、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(9) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループは、多数の顧客の個人情報、取引先法人等の重要な営業情報、当社グループや親会社を含むSBIグループの重要情報を保有しております。
情報管理については、役職員の意識の徹底や社内ルールの制定・周知、情報を保護する技術的施策を講じるなど、万全の体制を敷いていると認識しておりますが、過失や不正行為、サイバー攻撃等により、当社グループの保有する顧客情報等各種の情報が外部に流出する可能性があります。
また、近年では、ランサムウェア攻撃、標的型攻撃、サプライチェーン攻撃等の高度化・巧妙化により、従来の対策では防ぎきれないリスクが増大しております。さらに、外部クラウドサービスや委託先等を通じた情報漏えいやシステム障害の発生、並びに不正アクセスやシステム障害等により、当社グループの業務の停止や重要なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。
このような事象が発生した場合、当社グループの信用の失墜、クレームや損害賠償請求、監督官庁からの処分等に加え、業務継続の困難化を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
近時、生成AIの進化に伴い、サイバー攻撃の高度化やディープフェイク等を用いたなりすましによる不正取引のリスクが高まっております。
(10) 流動性・資金調達に関するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、その業務の性質上、適切な流動性を確保し、財務の安定性を維持することが必要です。この点、当社では日々保有ポジション等のモニタリングと資金繰り調整等を行っております。
しかしながら、市場環境の激変や当社グループの財務内容の悪化などにより資金繰りに支障をきたすこと、あるいは通常よりも著しく高いコストでの資金調達を余儀なくされることにより損失を被る可能性があります。
特に市場ストレス時には、担保資産の流動性低下や評価額の急落と資金流出等が同時に発生し、資金調達環境が急速に悪化する可能性があります。
(11) 競合に関するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、近年の規制緩和、IT技術の進展、デジタルチャネルの普及に伴い、国内外の証券会社や銀行に加え、他業種とも一部のビジネスにおいて競争が激化しています。このような環境下、顧客利便性や取扱商品の多様性、価格競争力、情報発信力など、あらゆる面で競争力を高め続けることが求められています。当社グループ自身も事業規模の拡大・成長により、今まで以上に厳しい競争環境にさらされています。このような状況の中で競争力を維持できない場合には、競合先に取引シェア・収益などが劣後し、収益性が低下する可能性があります。これらの要因により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 新規事業への進出に関するリスク
当社グループは、持続的な成長と経営理念の実現を目的として、親会社であるSBIホールディングスが策定・公表するグループ戦略に連動し、金融事業セグメントの中核を担う企業として、自社戦略の策定・遂行に取り組んでおります。
近年では、金融を核に金融を超える企業生態系の構築による相互依存関係の強化により、テクノロジーや新たな事業領域を含む複数の分野において複数の新規事業への参入・投資を進めております。
これらの展開に際して、当社グループは商品・サービスの開発、顧客基盤の拡大、それを支える内部管理態勢・ガバナンス・システムインフラの整備を行っております。しかしながら、新規事業を計画通り展開できない場合には、必要な投資回収が実現せず、想定する収益・顧客基盤を確保できない可能性があります。また、開発遅延や法規制・業界動向の変化、人材確保の遅れ、リスク管理態勢の不備が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 人的リスク
当社グループの業務は、金融商品取引業を中心に、フロント部門としての商品開発力・取引技術、証券業務の商慣行・業務知識を前提とする事務処理スキル、業種固有のコンプライアンスや金融機関固有のリスク管理スキルなど、各々高度な経験や専門性を必要とするものから構成されています。
また、金融商品取引業者としての社会的責務の遂行に適した倫理的素養を有する人材の教育・確保が必要です。
こうした状況下で、直近では業容拡大の方針をとっていることもあり、質・量の双方の観点から当社グループに適した人材の確保に努めております。
しかしながら、人材獲得競争が激しく必要な人材が確保できない場合や、確保した人材の質に起因して人事不祥事や業務上の過誤が発生した場合などには、業務遂行に悪影響を及ぼし、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(14) レピュテーショナルリスク
当社グループの業態は、個人顧客や取引先事業会社・金融機関からの信用に依存しており、当該信用の低下により取引の拡大や継続に影響を受ける可能性があります。
そのため、必ずしも正確な情報に基づかない風説・風評の流布にさらされた場合にも、当社グループの社会的信頼が失墜する可能性があります。
また、当社グループに起因するシステム障害や情報セキュリティ事故、監督官庁による行政処分、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす水準の取引損失の発生等の場合には、これらの事象の顕在化による直接的影響にとどまらず、間接的に当社グループの社会的信頼が失墜し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社の商号や役職員等を騙った詐欺的行為や、不利な報道又は風評が生じた場合、顧客の信頼低下や取引の減少につながる可能性があります。
(15) 訴訟リスク
当社グループでは、個人顧客及び取引先の事業法人・金融機関との間で、金融商品取引法・個人情報保護法等の法令上の要請を遵守し、さらに個別に約款や契約を締結し、これらに基づき取引を行っております。
法令、取引慣行、約款及び契約に基づく相互の認識の相違が生じた場合など、顧客及び取引先との間に損害賠償請求等の訴訟が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 海外事業に関するリスク
当社グループは、香港・シンガポール・英国等に子会社を設置し、引受業務・株式委託売買・株券貸借取引等のホールセール業務の拡大を通じた海外展開を推進しております。
現地展開に際しては、各国の法令・規制・取引慣行の調査や専任の役職員の配置を通じ、適切な業務運営に努めております。
しかしながら、各国における規制変更、政治的・地政学的リスク、AML/CFT態勢の不備、情報セキュリティ態勢の未整備等が生じた場合には、事業の中止・縮小・遅延を余儀なくされ、当社グループの計画に支障をきたす可能性があります。
また、コンプライアンス違反やレピュテーションの毀損が発生した場合には、当社グループの信用や収益機会が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17) 当社が発行する電子記録移転有価証券表示権利等に関するリスク
当社は、法人顧客等を発行体とする電子記録移転有価証券表示権利等(以下「ST」という。)を引受け、主としてリテールの顧客に販売しております。発行STは、募集が芳しくない際に募残が生じ、当社の在庫として長期間保有することがあります。その場合には、時価変動による損益が当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。STの価格変動は、内包される資産の性質や、運営コスト、上場商品の場合には市場の需給により変動します。
また、セカンダリー取引として、非上場の場合にはOTCで、私設取引所上場商品の場合には市場において、流動性の供給を主たる目的とする取引を行うことがあり、それによる損益の発生が当社の財政状態及び経営成績に影響を与えることがあります。
さらに、STはブロックチェーンネットワークを基盤とする商品であり、システム障害やサイバー攻撃等により取引や記録に影響が生じた場合には、当社の業務運営や信用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、顧客への販売に際し、ST固有のブロックチェーンに起因するリスクやSTの商品性について、顧客への説明を行っておりますが、十分に顧客に理解いただけなかった場合や関連する損失が顧客に発生した場合には、顧客の苦情などに起因して顧客離反やレピュテーションの悪化を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(18) AIに係るリスク
AI技術の進展は、当社の業務運営、顧客サービス、リスク管理等の各領域に広く影響を及ぼす可能性があります。
このような状況のもと、当社は、業務の高度化及び効率化並びに顧客サービス向上を目的としてAI技術の活用を進めておりますが、競合他社と比較して十分な技術力・活用体制を確保できない場合には、商品・サービスの高度化や業務効率化が遅れ、当社の競争力が低下する可能性があります。
また、AIの利用に伴い、個人情報や機密情報の管理が不十分となった場合には情報漏洩等のリスクが顕在化する可能性があります。さらに、近時における生成AIの進展に伴い、ディープフェイク等を用いたなりすましや不正取引、詐欺行為等の高度化が懸念されており、これらにより顧客被害やレピュテーションの毀損が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) ESGへの取り組みに関するリスク
近年、気候変動や資源問題、人権・多様性、経済的不平等といった環境・社会的課題の顕在化を背景に、ESG (環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)を重視した経営への社会的要請が高まっております。加えて、気候関連財務情報開示(TCFD)や人的資本開示、サステナブルファイナンスに関する規制やガイドラインの整備も進んでおり、証券会社における対応の重要性が増しています。
当社グループでは、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立をすべく、SBIホールディングス㈱のサステナビリティ推進室等と連携のうえ、各種ESG施策に取り組んでおりますが、取り組みが不十分またはステークホルダーに十分に伝わらない場合、社会的評価の低下を招き、資金調達・人材採用・顧客獲得などに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの投融資先や取引先におけるESG配慮が不十分である場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。特に気候変動に関しては、自然災害の激甚化等の物理的リスクに加え、脱炭素社会への移行に伴う規制・市場構造の変化による移行リスクが顕在化する可能性があります。
(20) グループ戦略との関連性に起因するリスク
当社グループはSBIグループに属し、インターネットによる金融サービス・金融取引を社会に浸透させるなどの、金融サービス事業を中心とした「企業生態系」の中核を担う証券会社として、グループ全体の事業戦略と連動した取組みを行っております。
SBIグループは、FinTech、IoT、AI、ビッグデータ、ブロックチェーン、バイオテクノロジーなど先進的な技術・事業への投資を通じて、業界横断的な成長と差別化戦略を推進しており、当社グループも、これに即した戦略を策定・実行しております。
一方で、こうした先進的・多領域的な戦略は、変動要因が多く、戦略の見直しや変更が行われる可能性があります。その場合には、当社グループの事業戦略が影響を受け、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(21) リスク管理方針・手続の有効性に関するリスク
当社グループは、リスクカテゴリーごとにリスク所管部を定め、当社リスク管理部にてこれを統括することにより、統合的にリスク管理を行っております。リスク管理に当たっては、リスクの特性に鑑み、定性的・定量的な管理手法を策定し、モニタリングすることにより、事前及び事後のリスクの低減に努めております。
しかしながら、想定を超える市場変動、リスク管理データの過誤や誤認識、事業内容の変化による管理手法の陳腐化などにより当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない可能性があります。それにより、損失が生じる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、AIや高度なデータ分析の活用の進展に伴い、モデルリスクや前提条件の不確実性が増加する可能性があります。
なお、本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 景気・経済・金融市場の変動等の外的要因に起因するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、国内外の経済情勢及び市場環境に大きく依存しており、これらの変動は当社グループが収益として獲得する手数料や取引に係る損益等に直接的な影響を及ぼします。
例えば、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2016年の英国EU離脱決定や米大統領選挙などの政治経済的事象、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大、2022年以降のロシア・ウクライナ情勢及び2026年における中東地域の地政学的緊張の高まりといった事象に加え、各国の金融引締め政策の継続やインフレ動向、金利上昇局面への転換等により、グローバルな金融市場の不安定化が継続しております。
これらの要因は、株式・債券・為替・コモディティ市場等に多大な影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に、リテール事業においては、景気や市場動向が顧客の投資意欲に影響を及ぼし、顧客の取引金額・商品・頻度等に変動が生じます。また、ホールセール及び法人事業においては、自己勘定取引による損益や引受等投資銀行業務における収益機会が変化します。これらの外的要因は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
近年では、AI・アルゴリズム取引の普及等により市場構造が変化し、短時間での価格変動や流動性の急減が発生する可能性も高まっております。
(2) 気候変動、災害、感染症拡大等の外部要因から事業継続が影響を受けるリスク
当社の本社・カスタマーセンター・事務拠点・データセンターなどが、急激かつ著しい気候変動や地震等の災害により多大な影響を受けた場合には、事業継続が困難となる可能性があります。特にシステムに関連する拠点が甚大な影響を受けた場合には、インターネット取引やシステムを用いたホールセール取引の提供を停止せざるを得ない場合があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大のように、感染症等の被害が広範に及んだ場合には、当社の役職員が所定の執務先にて通常の業務を行えなくなる可能性があります。
いずれの場合にも、当社の定めるコンティンジェンシープランに則り、危機管理対策室を迅速に立ち上げ、業務への影響を極小化し、重要業務を中心に事業継続を図るべく、平時よりBCP/BCMの取組みを行っております。
子会社についても同様の事態が発生し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。金融規制業種を中心に、同様のBCP/BCMの取組みを実施させ、機動的に当社(親会社)と連携して事業を継続させ、情報を適時に集約する態勢を構築しております。
(3) 信用リスク(リテール顧客、法人取引先及びカウンターパーティー取引を含む)
当社グループは、リテール顧客に対する信用供与、法人取引先との各種金融取引、ならびにデリバティブ取引等におけるカウンターパーティーとの取引を行っており、これらに係る信用リスクに晒されています。
これらの信用リスクは、取引相手先の信用状況の変化に加え、景気動向や金融市場の変動等の外部環境要因の影響を受けて顕在化する可能性があります。
リテール事業における株式の信用取引等において、当社は顧客への信用供与を行っております。顧客が取引を通じて損失を被ったり、代用有価証券の担保価値が下落するなどした場合、顧客からの受入保証金・代用有価証券などの担保価値が十分でなくなる可能性があります。
また、同様に信用供与を行っている先物・オプション取引、店頭外国為替証拠金取引・CFD等のデリバティブ取引においても取引証拠金として所定の担保を顧客から受け入れておりますが、顧客の取引状況により損失が生じた場合などには担保が不足する可能性があります。
こうした取引について当社は取引開始審査・口座状況のモニタリング及び担保管理等からなる与信管理を行い、必要に応じてストレス的な市況変動を想定したリスク把握に努めておりますが、信用リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自己勘定による有価証券・外国為替・デリバティブ取引等に関するトレーディング業務や有価証券貸借取引、関連する与信取引等を行っております。法人取引先については、取引開始時の審査や事後のモニタリングを行い、リスクの顕在化を抑制しておりますが、当該取引において取引先が受渡決済を含む債務不履行に陥った場合や、当社グループが保有する有価証券の発行体が信用状況を著しく悪化させた場合、デリバティブ取引の評価額が著しく変動した場合(エクスポージャーが拡大する場合を含む)等には、当社グループは損失を被り、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、市場環境の急激な変化に伴い、担保価値の急減や証拠金不足が短期間で生じることにより、想定を超える信用リスクが顕在化する可能性があります。
(4) ホールセール・投資銀行業務に関するリスク
自己勘定によるトレーディング業務では、市場動向や顧客取引の需要の影響により当社グループにとって不利な事象が生じ、保有ポジションの時価変動により損失を被るリスクがあります。
当社グループでは、各商品のトレーディングに係るリスクを低減するため、業務所管部においてヘッジ取引やポジション管理を行うほか、リスク管理部門によるモニタリングを実施しておりますが、予想を超える市場の変動や突発的な個別事象の発生等により、ヘッジが有効に機能しなかったり、ポジションの速やかな処分が進まないことから損失を被る可能性があります。
また、当社グループは、不動産関連投資、証券担保ローン、再生可能エネルギー関連投資等の投融資業務を行っており、これらの資産については、市場環境の変動や投資先の財務状況の悪化、流動性の低下等により、当初想定した収益が得られない、又は損失を被る可能性があります。
引受や仕組み証券組成、財務アドバイザリー等の投資銀行業務は、概して証券市況に影響を受け、新規上場やファイナンス等の規模・回数等が変動する特性があり、これらが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に引受業務においては、引受証券が円滑に投資家に販売できなかった場合に募残を抱え、市場価格の下落により損失を被るリスクがあります。
(5) 法務・規制及びコンプライアンスに関するリスク
当社グループは、証券・金融商品取引業務を中心として、金融商品取引法その他の法令、関連する政省令、監督官庁及び自主規制機関等の規則・指針並びに各事業を展開する国・地域の法令・規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法令・諸規則を遵守し、健全かつ適切に業務を運営する必要があります。
国内の金融商品取引業者は、金融商品取引法及び関連する政省令等により、登録規制、顧客勧誘規制、顧客取引規制、内部者取引規制その他の各種行為規制を受けており、財務健全性の観点からも自己資本規制比率の維持が求められております。万が一、当社グループがこれらの法令・諸規則等に抵触した場合、課徴金納付命令・業務改善命令、業務の制限又は停止、登録取消しその他の行政処分・命令、損害賠償請求等を受ける可能性があり、収益機会逸失に加え、社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。海外において同様の証券・金融関連ビジネスを営む当社の子会社についても、現地の法令・諸規則及び監督、当局の規制・監督を受けており、同様のリスクが想定されます。
また、金融商品取引法に関するものにとどまらず、顧客情報等の管理に関しては個人情報保護法等の法令・関連諸規則、銀行代理業、貸金業その他当社グループが営む各事業に関してはそれぞれの業法・規制等の遵守が求められております。当社グループは、法令等遵守態勢及び内部管理態勢の整備・強化に努めておりますが、法令・規制等の改正、監督上の要請の高度化、業務拡大や新商品・新サービスの導入等に対応した態勢整備が十分でない場合には、各監督官庁等による処分・命令、訴訟・紛争、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)、適合性原則、利益相反管理、広告・表示、苦情・紛争対応等に関する社会的要請及び監督・規制は引き続き高度化しております。これらへの対応が不十分である場合、行政処分や社会的信用の低下につながる可能性があります。
(6) オペレーショナルリスク
当社グループでは、リテール・ホールセールの双方について日々業務を行うことに伴い、顧客数や取引数に連動した多くの事務処理が発生しており、役職員による事務処理ミスや事故、不正等のリスクが想定されます。
また、事務リスク、人的リスク、有形資産リスク(災害、犯罪又は資産管理の瑕疵等の結果、有形資産(動産・不動産・設備・備品等)の毀損や執務環境等の質の低下により、当社グループに損失が発生するリスク)等からなるオペレーショナルリスクが存在します。
これらのリスクに対しては、内部統制やリスクアセスメントにより事前予防を図り、発生の極小化に努めておりますが、かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループが損失を被ること等により、当社グループの経営成績及び財政状態、並びに社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 反社会的勢力との取引及びマネー・ローンダリング等に関するリスク
当社グループは、反社会的勢力との関係を遮断し、これらとの取引を排除することを基本方針としております。新規取引に先立ち、反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認、反社会的勢力でないことの表明及び確約の取得等、所定の手続きを行っております。
また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融の防止、並びに経済制裁その他の制裁規制への対応についても、当社グループの商品及びサービスが不正な取引に利用されることを防止するため、顧客管理、取引モニタリング、疑わしい取引の届出、制裁対象者等との照合、役職員への研修等の態勢整備に努めております。
しかしながら、金融取引の高度化・複雑化、非対面取引やクロスボーダー取引の拡大、犯罪手口の巧妙化、各国における規制・制裁措置の変更等により、当社グループによる確認・管理にもかかわらず、反社会的勢力との取引、マネー・ローンダリング等又は制裁対象者・制裁対象国等に関連する取引を完全には排除できない可能性があります。
このような問題が認められた場合には、取引停止・口座解約等の対応、調査・態勢整備等に係る費用の増加、監督官庁等による処分・命令、罰金・課徴金、損害賠償請求、社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) システムリスク
当社グループは、証券・金融商品取引業務を中心に、顧客に対してインターネットを通じた各種サービスを提供しており、これらの業務はコンピュータシステムに高度に依存しています。このため、システムの安定的な稼動および継続的なサービス提供の確保は、経営における重要な課題であると認識しております。
リテール顧客に提供するオンライン取引システムやホールセール取引システムなどシステム全般で、一般的にハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウイルス、サイバー攻撃のほか、自然災害等によってもシステム障害が発生する可能性があります。
また、外部クラウドサービスや委託先等の第三者への依存の高まりに伴い、これらを起因とする障害やサービス停止が発生する可能性があります。
当社グループでは、システム障害の発生に備え、24時間365日の監視、基幹システムの冗長化、自家発電装置の設置、バックアップサイトの構築、カスタマーセンターによる非常時対応等の体制を整えております。
しかし、何らかの理由によりシステム障害が発生し、対応が遅れたり不十分であった場合には、取引を停止するなどにより顧客に機会損失を与えたり、当社グループ自身が取引損失を被る可能性があります。そのほか、システム障害等により生じた損害の賠償を求められたり、社会的信用が低下するなど、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(9) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループは、多数の顧客の個人情報、取引先法人等の重要な営業情報、当社グループや親会社を含むSBIグループの重要情報を保有しております。
情報管理については、役職員の意識の徹底や社内ルールの制定・周知、情報を保護する技術的施策を講じるなど、万全の体制を敷いていると認識しておりますが、過失や不正行為、サイバー攻撃等により、当社グループの保有する顧客情報等各種の情報が外部に流出する可能性があります。
また、近年では、ランサムウェア攻撃、標的型攻撃、サプライチェーン攻撃等の高度化・巧妙化により、従来の対策では防ぎきれないリスクが増大しております。さらに、外部クラウドサービスや委託先等を通じた情報漏えいやシステム障害の発生、並びに不正アクセスやシステム障害等により、当社グループの業務の停止や重要なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。
このような事象が発生した場合、当社グループの信用の失墜、クレームや損害賠償請求、監督官庁からの処分等に加え、業務継続の困難化を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
近時、生成AIの進化に伴い、サイバー攻撃の高度化やディープフェイク等を用いたなりすましによる不正取引のリスクが高まっております。
(10) 流動性・資金調達に関するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、その業務の性質上、適切な流動性を確保し、財務の安定性を維持することが必要です。この点、当社では日々保有ポジション等のモニタリングと資金繰り調整等を行っております。
しかしながら、市場環境の激変や当社グループの財務内容の悪化などにより資金繰りに支障をきたすこと、あるいは通常よりも著しく高いコストでの資金調達を余儀なくされることにより損失を被る可能性があります。
特に市場ストレス時には、担保資産の流動性低下や評価額の急落と資金流出等が同時に発生し、資金調達環境が急速に悪化する可能性があります。
(11) 競合に関するリスク
当社グループが営む証券・金融商品取引業は、近年の規制緩和、IT技術の進展、デジタルチャネルの普及に伴い、国内外の証券会社や銀行に加え、他業種とも一部のビジネスにおいて競争が激化しています。このような環境下、顧客利便性や取扱商品の多様性、価格競争力、情報発信力など、あらゆる面で競争力を高め続けることが求められています。当社グループ自身も事業規模の拡大・成長により、今まで以上に厳しい競争環境にさらされています。このような状況の中で競争力を維持できない場合には、競合先に取引シェア・収益などが劣後し、収益性が低下する可能性があります。これらの要因により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 新規事業への進出に関するリスク
当社グループは、持続的な成長と経営理念の実現を目的として、親会社であるSBIホールディングスが策定・公表するグループ戦略に連動し、金融事業セグメントの中核を担う企業として、自社戦略の策定・遂行に取り組んでおります。
近年では、金融を核に金融を超える企業生態系の構築による相互依存関係の強化により、テクノロジーや新たな事業領域を含む複数の分野において複数の新規事業への参入・投資を進めております。
これらの展開に際して、当社グループは商品・サービスの開発、顧客基盤の拡大、それを支える内部管理態勢・ガバナンス・システムインフラの整備を行っております。しかしながら、新規事業を計画通り展開できない場合には、必要な投資回収が実現せず、想定する収益・顧客基盤を確保できない可能性があります。また、開発遅延や法規制・業界動向の変化、人材確保の遅れ、リスク管理態勢の不備が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 人的リスク
当社グループの業務は、金融商品取引業を中心に、フロント部門としての商品開発力・取引技術、証券業務の商慣行・業務知識を前提とする事務処理スキル、業種固有のコンプライアンスや金融機関固有のリスク管理スキルなど、各々高度な経験や専門性を必要とするものから構成されています。
また、金融商品取引業者としての社会的責務の遂行に適した倫理的素養を有する人材の教育・確保が必要です。
こうした状況下で、直近では業容拡大の方針をとっていることもあり、質・量の双方の観点から当社グループに適した人材の確保に努めております。
しかしながら、人材獲得競争が激しく必要な人材が確保できない場合や、確保した人材の質に起因して人事不祥事や業務上の過誤が発生した場合などには、業務遂行に悪影響を及ぼし、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(14) レピュテーショナルリスク
当社グループの業態は、個人顧客や取引先事業会社・金融機関からの信用に依存しており、当該信用の低下により取引の拡大や継続に影響を受ける可能性があります。
そのため、必ずしも正確な情報に基づかない風説・風評の流布にさらされた場合にも、当社グループの社会的信頼が失墜する可能性があります。
また、当社グループに起因するシステム障害や情報セキュリティ事故、監督官庁による行政処分、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす水準の取引損失の発生等の場合には、これらの事象の顕在化による直接的影響にとどまらず、間接的に当社グループの社会的信頼が失墜し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、当社の商号や役職員等を騙った詐欺的行為や、不利な報道又は風評が生じた場合、顧客の信頼低下や取引の減少につながる可能性があります。
(15) 訴訟リスク
当社グループでは、個人顧客及び取引先の事業法人・金融機関との間で、金融商品取引法・個人情報保護法等の法令上の要請を遵守し、さらに個別に約款や契約を締結し、これらに基づき取引を行っております。
法令、取引慣行、約款及び契約に基づく相互の認識の相違が生じた場合など、顧客及び取引先との間に損害賠償請求等の訴訟が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 海外事業に関するリスク
当社グループは、香港・シンガポール・英国等に子会社を設置し、引受業務・株式委託売買・株券貸借取引等のホールセール業務の拡大を通じた海外展開を推進しております。
現地展開に際しては、各国の法令・規制・取引慣行の調査や専任の役職員の配置を通じ、適切な業務運営に努めております。
しかしながら、各国における規制変更、政治的・地政学的リスク、AML/CFT態勢の不備、情報セキュリティ態勢の未整備等が生じた場合には、事業の中止・縮小・遅延を余儀なくされ、当社グループの計画に支障をきたす可能性があります。
また、コンプライアンス違反やレピュテーションの毀損が発生した場合には、当社グループの信用や収益機会が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17) 当社が発行する電子記録移転有価証券表示権利等に関するリスク
当社は、法人顧客等を発行体とする電子記録移転有価証券表示権利等(以下「ST」という。)を引受け、主としてリテールの顧客に販売しております。発行STは、募集が芳しくない際に募残が生じ、当社の在庫として長期間保有することがあります。その場合には、時価変動による損益が当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。STの価格変動は、内包される資産の性質や、運営コスト、上場商品の場合には市場の需給により変動します。
また、セカンダリー取引として、非上場の場合にはOTCで、私設取引所上場商品の場合には市場において、流動性の供給を主たる目的とする取引を行うことがあり、それによる損益の発生が当社の財政状態及び経営成績に影響を与えることがあります。
さらに、STはブロックチェーンネットワークを基盤とする商品であり、システム障害やサイバー攻撃等により取引や記録に影響が生じた場合には、当社の業務運営や信用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、顧客への販売に際し、ST固有のブロックチェーンに起因するリスクやSTの商品性について、顧客への説明を行っておりますが、十分に顧客に理解いただけなかった場合や関連する損失が顧客に発生した場合には、顧客の苦情などに起因して顧客離反やレピュテーションの悪化を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(18) AIに係るリスク
AI技術の進展は、当社の業務運営、顧客サービス、リスク管理等の各領域に広く影響を及ぼす可能性があります。
このような状況のもと、当社は、業務の高度化及び効率化並びに顧客サービス向上を目的としてAI技術の活用を進めておりますが、競合他社と比較して十分な技術力・活用体制を確保できない場合には、商品・サービスの高度化や業務効率化が遅れ、当社の競争力が低下する可能性があります。
また、AIの利用に伴い、個人情報や機密情報の管理が不十分となった場合には情報漏洩等のリスクが顕在化する可能性があります。さらに、近時における生成AIの進展に伴い、ディープフェイク等を用いたなりすましや不正取引、詐欺行為等の高度化が懸念されており、これらにより顧客被害やレピュテーションの毀損が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) ESGへの取り組みに関するリスク
近年、気候変動や資源問題、人権・多様性、経済的不平等といった環境・社会的課題の顕在化を背景に、ESG (環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)を重視した経営への社会的要請が高まっております。加えて、気候関連財務情報開示(TCFD)や人的資本開示、サステナブルファイナンスに関する規制やガイドラインの整備も進んでおり、証券会社における対応の重要性が増しています。
当社グループでは、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立をすべく、SBIホールディングス㈱のサステナビリティ推進室等と連携のうえ、各種ESG施策に取り組んでおりますが、取り組みが不十分またはステークホルダーに十分に伝わらない場合、社会的評価の低下を招き、資金調達・人材採用・顧客獲得などに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの投融資先や取引先におけるESG配慮が不十分である場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。特に気候変動に関しては、自然災害の激甚化等の物理的リスクに加え、脱炭素社会への移行に伴う規制・市場構造の変化による移行リスクが顕在化する可能性があります。
(20) グループ戦略との関連性に起因するリスク
当社グループはSBIグループに属し、インターネットによる金融サービス・金融取引を社会に浸透させるなどの、金融サービス事業を中心とした「企業生態系」の中核を担う証券会社として、グループ全体の事業戦略と連動した取組みを行っております。
SBIグループは、FinTech、IoT、AI、ビッグデータ、ブロックチェーン、バイオテクノロジーなど先進的な技術・事業への投資を通じて、業界横断的な成長と差別化戦略を推進しており、当社グループも、これに即した戦略を策定・実行しております。
一方で、こうした先進的・多領域的な戦略は、変動要因が多く、戦略の見直しや変更が行われる可能性があります。その場合には、当社グループの事業戦略が影響を受け、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(21) リスク管理方針・手続の有効性に関するリスク
当社グループは、リスクカテゴリーごとにリスク所管部を定め、当社リスク管理部にてこれを統括することにより、統合的にリスク管理を行っております。リスク管理に当たっては、リスクの特性に鑑み、定性的・定量的な管理手法を策定し、モニタリングすることにより、事前及び事後のリスクの低減に努めております。
しかしながら、想定を超える市場変動、リスク管理データの過誤や誤認識、事業内容の変化による管理手法の陳腐化などにより当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない可能性があります。それにより、損失が生じる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、AIや高度なデータ分析の活用の進展に伴い、モデルリスクや前提条件の不確実性が増加する可能性があります。