有価証券報告書-第26期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/29 13:15
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
私たちは、日々をいかに生き、どのように社会参加するべきか、そして、社会貢献を通じて、どのような果実を社会にもたらし、その結果としていかにして私たち一人一人が望む幸福を実現することができるのか。この命題に対する回答を得るために、社員相互が助け励まし合い、それぞれが目指す個性的な「自己実現」への階段を大真面目に上って行けるフィールドを提供し続けることこそが、日本エスコングループが考える経営理念であります。この経営理念の実現のため、以下の経営方針を掲げ、その具現化に向け邁進しております。
①情報力、企画力、商品開発力により、不動産が持つ無限の可能性を引出し顧客に心から満足いただける新たな価値を創造する。
②ROA及びキャッシュ・フローとリスクの徹底管理を主軸とした守りに強い業務管理を行うことにより、常に先手を取った攻めのできる経営を目指す。
③急速に変化する社会において迅速な対応力と機動力を維持するため、少数精鋭のプロ集団を目指す。
④社内社外を問わず常に同僚(他社)を敬い、感謝し、優良な協力関係を維持、構築する。
⑤コンプライアンス及びガバナンスを意識して内部監査制度を充実させるとともに、ボトムアップの風通しの良い組織形成を行う。
(企業ブランディングコンセプト)
IDEAL to REAL ~理想を具現化し、新しい未来を創造する~
ハードの開発だけではなく、そこで暮らす人たちの幸せを思い描き、暮らしそのものを開発すること、それこそが、私たちが目指すべき「ライフ・デベロッパー」であります。これまでの前例や既成概念にとらわれることなく新しい姿勢で、「新しい豊かさ」を創造し、人と人、地方と未来をつないでいくことを目指しております。不動産の持つ無限の可能性を探り、理想を具現化してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
新型コロナウイルス感染症が与える当社事業への影響は、当初の想定よりも比較的軽微に留まったことから、更なる事業の拡大及び経営の安定性の強化を進める絶好の機会であると認識し、当社は第三者割当増資を通じてコーポレートクレジットの高い中部電力株式会社の連結子会社となることにより、資本増強による当社の財務基盤の強化を実現し、2021年12月期から2023年12月期までの3ヶ年を期間とする第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」を策定しました。
1.経営戦略基本方針
①想定外の経済環境の変化に耐えうる事業基盤を確立する。
いかなる経済環境下においても資金調達力を維持することができる、堅固な事業及び財務基盤を確立させること。
②収益構造の変換と事業領域の拡大を同時に実現する。
不動産賃貸事業の拡大により、フロー収益重視からストック収益重視への収益構造の転換を図ると同時に、事業の多様化及び事業展開地域の拡大を実現させること。
2.基本方針 「転換&飛躍」
「転換」
・長期収益不動産への積極投資、BS構造の改善
・フロー重視の経営からストック重視の経営へと転換
「飛躍」
・中部電力グループシナジーの発展
・売上高1,100億円、営業利益160億円の達成(中期経営計画最終年度)
3.経営戦略
①持続的かつ安定収益構造への転換
②事業の多様化、エリア戦略による既存コア事業の安定成長
③事業の多様化、エリア戦略による新規事業のコア化
④新領域の挑戦
⑤日本エスコングループシナジー強化
⑥5大都市を中心とした拠点拡大
⑦中部電力グループシナジー強化
⑧ESGの推進
4.業績計画
(単位:百万円)
2020年12月期2021年12月期2022年12月期2023年12月期
(実績)(計画)(計画)(計画)
売上高77,30880,00098,000110,000
営業利益12,20210,80014,00016,000

5.経営目標
2020年12月期
(実績)
2021年12月期
(計画)
2022年12月期
(計画)
2023年12月期
(計画)
賃貸利益割合(注)214.2%23.0%24.0%26.0%
ROE(自己資本利益率)21.2%12.0%13.0%13.0%
ROIC(投下資本利益率)(注)16.6%4.0%4.0%4.0%
自己資本比率25.8%29.0%26.0%23.0%
長期収益不動産割合(注)39.5%12.0%14.0%18.0%
純資産額386億円610億円660億円720億円

(注)1 ROIC(投下資本利益率):税引後営業利益/(株主資本+有利子負債)
2 賃貸利益割合:賃貸セグメント利益/セグメント利益合計(調整額除く)
3 長期収益不動産割合:固定資産計上の賃貸収益不動産/純資産
6.投資計画
(単位:百万円)
2021年12月期2022年12月期2023年12月期3ヶ年累計
(計画)(計画)(計画)(計画)
収益不動産への投資額30,00040,00060,000130,000
その他開発への投資額25,00030,00035,00090,000
グロス投資額55,00070,00095,000220,000

7.配当政策
当社は、2020年7月30日公表「第3次中期経営計画「IDEAL to REAL 2022」」及び累進的配当政策の見直しに関するお知らせ」において、2016年11月より配当政策の方針として導入していた累進的配当政策(1株当たり配当額(DPS)を前年度の1株当たり配当額(DPS)を下限とし、原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」とする配当政策)の見直しを発表しておりましたが、2020年度以降も引き続き累進的配当政策を継続いたします。
本中期経営計画期間中、1株当たり配当額は38円以上を維持いたします。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く経営環境は、急速な高齢化、所得の格差、人口の減少、外国人の流入、IoTやAIなどのデジタルテクノロジーが進展し、産業の境界を超えた競争、顧客行動の変化が起こるなど、かつてない社会構造の急速な変化の中にあり、お客様の選別や評価はなお一層厳しく、競争は激化するとともに企業の存在価値を常に問われる事業環境にあります。現在においては新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、事業環境が激変している状況にあります。当社グループが、このように加速度的に多様化、変革している時代に、継続的に成長し社会貢献していくためには、これまでの前例や既成概念にとらわれることのない新しい姿勢で、優良な商品の安定供給、強固な財務基盤、安定した成長、お客様の満足を糧に確実に成長していくことを方針とし、なによりもそこに暮らす人たちの幸せを思い描き、理想を具現化し未来を創造する、暮らしそのものを開発する「ライフ・デベロッパー」を目指す必要があります。
住宅開発、商業開発、物流開発、オフィス開発、ホテル開発、海外事業、企画コンサルティング、施設運営管理、資産運用、納骨堂永代使用権販売事業といった不動産ビジネスの多面的な展開により、常に事業の最適バランスを見据えた事業運営を図り、いかなる経済環境にも耐えうる強固な経営基盤を確立するとともに、企業価値の最大化、株主の皆様へのさらなる還元を行うことにより、他にはないオンリーワンの企業を目指してまいります。
具体的な課題としては次のとおりであります。
①経営管理体制
一定の利益を確保できる土地の価格には当然上限があり、適正な価格での仕入れがもっとも重要な課題の一つであります。良質な用地の仕入れを行うためには、人材の確保と育成、情報ルートの常なる拡大、迅速な判断、慎重かつ大胆な決断が必要となります。
業種特性として、借入残高が大きくなる傾向にあることから、金利上昇環境においては予定した利益計画に差異が出ることも予想され、調達コストの低減、調達方法の多様化、キャッシュ・フローの改善等を強化しつつ、さらなる強固な財務基盤の構築継続が必要となります。いかなる経済環境においても安定した経営を可能とする財務体質の強化に引き続き注力してまいります。
②自社独自体制の強化
当社グループは暮らしをデベロップする「ライフ・デベロッパー」を目指しております。分譲マンションについては、ファミリーを中心とした実需で購入いただくお客様目線で、将来に亘り、住み心地を追求し、それぞれのプロジェクトの立地や周辺環境等により企画デザイン間取り等を考慮し、お客様のニーズを創造するものづくりを特徴としております。
不動産はひとつとして同じ形状、立地のものはございません。その形状、立地はもとより、その地域、エリアに住む方々や当社が開発する住宅等に住まわれる方々にとって、理想の住宅、理想のまち、理想の生活環境を提案、提供していくことが当社のミッションであると考え、単なる住宅という空間を創るだけではなく、より豊かな暮らしを提案する「ライフ・デベロッパー」の具現化に取組んでおります。
比較的容易に特徴を出すことのできる仕様やデザインだけではなく、土地取得段階やさらに基本設計(企画) の段階で、商品に競争力を持たせるため、お客様のニーズに合った付加価値の創造、及び収益の向上を目指し、プロジェクトの規模や供給戸数を追求するのではなく、常に最適な企画は何なのかを追求いたします。
このため、プロジェクト推進に当たっては、仕入、企画、販売の担当それぞれが一連のプロジェクトとして最初から最後まで関わり主担当として完結させる事業体制をとっており、当社の強みであるこの体制を常に維持し、強化することによりいかなる事業環境においても優位性を保つことができるよう、常に危機意識を持ち事業を推進してまいります。
③新規事業
経済環境のいかなる変化によっても自己保有が可能なNOI基準を設定・遵守し、案件の取得開発を実行しております。
不動産開発事業については、分譲事業、商業開発事業だけにとどまらず近年においてはeコマース市場の拡大を捉えた物流開発事業、オフィス開発、街を再生させる土地区画整理事業の他、ホテル開発事業、賃貸マンション事業、海外投資事業、納骨堂永代使用権販売事業にも取り組んでおり、次代を見据えた事業領域の拡大を推進してまいります。
不動産流動化事業については、連結子会社である株式会社エスコンアセットマネジメントにおいてREITの上場が実現し、商業テナント底地開発を重点的に推進するために、人員の補強等を着実に行うとともに、開発案件の情報収集並びに物件取得についても、引き続き注力してまいります。
また、今後は不動産私募投資法人(私募リート)の組成及び運用開始も企図し、注力してまいります。
さらに、中部電力株式会社との資本業務提携によるシナジー効果として、中部地域での事業展開の拡大、中部電力グループとの共同事業取組等、着実に実績を積上げており、さらに事業領域の拡大に資するものと考えております。
加えて、2020年10月に株式を取得した株式会社了聞では、納骨堂永代使用権販売及び納骨堂の管理運営事業を新規事業として2021年3月より開始しております。
また、不動産を開発するだけでなく、連結子会社である株式会社エスコンプロパティにおいて、不動産の付加価値を一層高めていく、プロパティマネジメント事業にも注力するとともに、不動産の利用形態に適合するオペレーション機能を有する唯一無二の総合デベロッパーとしての地位を確立するため、連結子会社である株式会社エスコンリビングサービスにおいて、不動産オペレート事業の充実による不動産開発力の幅と奥行きの拡大を図ってまいります。