有価証券報告書-第21期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/24 11:26
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186項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。そして、2024年10月に当社は東京証券取引所プライム市場に株式を上場し、変革と飛躍にドライブをかける新たなステージを迎えることとなりました。この株式上場を契機に従前の経営体系図を見直し、当社グループのミッションである「東京を走らせる力」を中心に、実現したい未来である「ビジョン」、約束する価値である「バリュー」、大切にする精神である「スピリット」からなる経営指針を新たに策定しました。

<東京メトログループ理念>
東京を走らせる力
私たち東京メトログループは、
鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、
都市としての魅力と活力を引き出すとともに、
優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、
東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社の基幹事業である鉄道事業における旅客運輸収入は、東京都心部の開発進展やインバウンドの増加をはじめとしたお出かけ需要により着実に回復し、コロナ禍で取り組んだコスト構造改革の取組も功を奏し、経営は堅調に推移しています。一方で、自然災害の激甚化、テレワーク・オンライン会議の定着等による移動需要の減少、労務費、原材料費等の物価上昇や人手不足の本格化、さらにはテロ・サイバー犯罪のリスクの増加等、当社を取り巻く外部環境は大きく変化しています。
このような状況を踏まえ、2025年度は新たに作成した3か年の中期経営計画の初年度として、各種事業戦略及びコーポレート戦略の着実な実施に努めていきます。具体的には鉄道の安全性・利便性向上を第一に、自然災害対策、バリアフリー設備整備、無線式列車制御システム(CBTCシステム)や状態基準保全(CBM)といった新技術の開発・導入、クレジットカードやQRコード(※)といった新乗車サービスの推進のほか、海外鉄道ビジネスの展開等による事業領域の拡大にも取り組んでいきます。また、鉄道駅バリアフリー料金を活用し、ホームドア整備を進めていきます。有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)は2024年11月に工事着手し、新たな未来へ向けた第一歩を踏み出しました。引き続き、十分な公的支援をもとに2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
都市・生活創造事業では、将来開発を見据えた不動産取得の推進による不動産事業の拡大や、新規ビジネス開発を含めたライフサービス事業・ビジネスサービス事業の推進を通じて成長を目指していきます。
また、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」の実現に向けた取組を引き続き推進するほか、人的資本経営、DE&Iの推進により社員一人ひとりの最大活躍を目指していきます。さらに、人権の尊重、コーポレート・ガバナンスの更なる充実、デジタル技術の活用・促進により経営基盤の強化を図っていきます。
(当社グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)
(1)運輸業
① 鉄道事業の安全性・利便性向上
激甚化する自然災害への対策や、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化及びお客様の利便性向上に向けた取組により、安全・安心な鉄道サービスを提供していきます。全てのお客様が鉄道を安心してご利用いただけるよう駅や車両の更なるバリアフリー化のため、ホームドア整備(大規模改良工事実施中の南砂町駅を除き2025年度に全駅設置完了予定)やエレベーター整備等を促進していきます。
② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進
2024年11月に着手した新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)は、当社の未来への成長戦略であり、十分な公的支援をもとに引き続き2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。また、2025年3月に基本合意を締結した有楽町線延伸部と東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線との相互直通運転(住吉・押上間は半蔵門線と線路共用)に向けた取組の推進による鉄道ネットワークの強化を通じて、臨海部・都心部へのアクセス利便性の向上や沿線まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力強化に貢献していきます。
③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化
無線技術を活用した列車制御により、列車間隔を詰めることが可能となり高い遅延回復効果を発揮できるCBTCシステムの仕様共通化や、稠密運行路線において必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等新技術の導入により、安全性の確保を前提に運行安定性を向上させ、輸送システムの変革を目指していきます。また、更なる安全・安定性向上、メンテナンスの共通化、コスト削減及び保全業務の生産性向上を目指すべく、設備状態データに最新のAI・ビッグデータ分析技術等を用いて、故障予知や劣化予測を行うCBMを推進していきます。加えて、これまで培ってきた鉄道運営ノウハウ(グループ会社も含めた鉄道技術、知見、システム、教育)を活用した他鉄道事業者向けサービスの提供を行い、事業領域を拡大するとともに、鉄道業界における鉄道インフラの維持・サービス向上に貢献していきます。
④ 鉄道需要創出の促進
お出かけ機会を創出するため、メトポの「ランク制度」や「休日メトロ放題」を引き続き提供するほか、「東京メトロmy!アプリ」の利便性向上や魅力向上に向けた取組を推進していきます。
また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2025年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済及びQRコードを活用した企画乗車券サービスに続き、クレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスの実施に向けた検討も進めていきます。
このほか、デジタル領域での取組を強化し、そこから得られるデータを統合的に活用することで、お客様一人ひとりのニーズを細やかに把握し、お客様への提案精度向上、沿線地域・他社との結びつき強化、グループ全体でのマーケティング推進につなげていきます。
⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大
今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。約100年に渡り培ってきた鉄道運営に関する技術やノウハウを活用し、世界のO&M市場に進出し、新たな収益源を獲得していきます。また、環境に優しい鉄道技術の海外展開を通じて世界各都市の持続可能な発展に貢献していきます。
(2)不動産事業
① 不動産開発、まちづくりとの連携強化
東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、駅周辺の都市開発と一体となった魅力的な空間の構築を図ることで、人々の快適な生活環境の形成に貢献していきます。
② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上
不動産事業の拡大を目的に、駅直結物件や保有資産の隣接地に加え、これまで獲得したノウハウを活かし相互直通先沿線も含めた駅徒歩圏まで不動産取得エリアを拡大し、資本コストを考慮しつつオフィスビル・商業ビル・住宅・ホテル・開発用地等の不動産を取得していきます。また、保有不動産の売却で得た資金を新たな開発・取得に活用し、不動産循環型事業モデルを推進していきます。
③ 新たな領域への挑戦
都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画を目指していきます。
(3)ライフサービス事業・ビジネスサービス事業
① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上
東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。
② 既存アセットの有効活用
改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。
③ 新たな分野への挑戦
事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスへの参画を目指すことで、ライフサービス事業・ビジネスサービス事業の拡大を加速させていきます。
(4)その他(新たな取組)
コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動「Tokyo Metro Ventures」
当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。
(5)サステナビリティ(ESG)の取組
① 環境への取組
鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、当社グループ全事業が排出するCO₂量について、これまで2030年度目標として定めていた△50%(2013年度比)の目標年次を2027年度に前倒すとともに、2030年度目標を△50%から△53%(2013年度比)に高め、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」の達成に向け、更なる推進を図っていきます。
② 社会とのつながり強化
各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。
③ ガバナンス体制の充実
社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、必要に応じ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。
(6)人財戦略
人的資本経営の更なる推進・人事施策
「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財獲得及び社員一人ひとりの最大活躍を実現していきます。また、エンゲージメント調査等を通じて人財戦略の実効性を検証し、推進していきます。
(7) デジタル戦略
データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成
新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組むとともに、全社員のデジタルリテラシーの底上げを図っていきます。
当社グループは、中長期的視点で期待される様々な施策を実現していくとともに、新たな価値の創造により、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。
経営指標2028年3月期末目標
連結ROE(注1)7.7%
連結営業利益930億円
連結EBITDA(注2)1,740億円
連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4)6.3倍
(新線除く 5.2倍)

(注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。
2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。
3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。
4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。
「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。
回次第16期第17期第18期第19期第20期第21期
決算年月2020年3月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月
営業収益(注)2(百万円)433,147295,729306,904345,370389,267407,832
運輸業(百万円)383,889255,784276,255312,260356,467372,917
不動産事業(百万円)13,91313,47413,63013,74013,65414,663
流通・広告事業(百万円)41,75031,08621,74623,65623,92025,017
その他(百万円)3,4023,1603,3083,7073,7264,066
調整額(百万円)△9,808△7,776△8,035△7,994△8,500△8,832
営業利益又は
営業損失(△)(注)2
(百万円)83,917△40,299△12,11727,77776,35986,942
運輸業(百万円)70,999△50,791△23,65614,60463,78574,161
(営業利益率)(%)(18)(△20)(△9)(5)(18)(20)
不動産事業(百万円)4,6674,4994,6095,3474,5634,200
(営業利益率)(%)(34)(33)(34)(39)(33)(29)
流通・広告事業(百万円)8,3275,3446,7937,6877,9698,406
(営業利益率)(%)(20)(17)(31)(32)(33)(34)
その他(百万円)52434035△6462
(営業利益率)(%)(2)(1)(1)(1)(△2)(2)
調整額(百万円)△12960496103106112
EBITDA(注)3(百万円)166,58046,47576,10198,155150,106159,042
運輸業(注)4(百万円)149,96431,83560,58881,567133,968142,572
不動産事業(注)4(百万円)6,9036,8546,9477,5366,8816,692
流通・広告事業(注)4(百万円)9,9027,1678,4618,9439,2489,632
その他(注)4(百万円)75636147△5078
有利子負債残高(百万円)756,051903,872971,2951,139,9881,118,8981,086,812
現金及び現金同等物(注)5(百万円)65,54270,820111,66488,98290,66573,762
純有利子負債(注)6(百万円)690,508833,052859,6301,051,0061,028,2331,013,049
連結ROE(注)7(%)7.4△7.8△2.14.47.17.8
純有利子負債/EBITDA倍率(注)8(倍)4.117.911.310.76.96.4

(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用していますが、上表の第17期以前の連結経営指標等については、当該会計基準の変更を反映していません。
2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。
3 営業利益又は営業損失(△)+減価償却費により算出したものです。
4 セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益又は損失(△)の調整額は含めていません。
5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。
7 親会社株主に帰属する当期純利益又は損失(△)/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。
8 小数点以下第2位を四捨五入しています。

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