有価証券報告書-第22期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念(ミッション)である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。
<東京メトログループ理念>
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社の基幹事業である鉄道事業においては、通勤・通学需要、東京都心部の開発進展やインバウンド旅行者の増加を背景に、旅客運輸収入は好調に推移しています。一方で、労務費・資材価格の高騰により、修繕費・外注費を中心としたコストは中期経営計画策定時の想定を大きく上回っており、加えて労働人口減少、鉄道における安全・安定性の維持に対する社会的関心の高まり等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。さらに、足許では中東情勢の悪化等を背景としたエネルギー価格の上昇や資材調達環境の不安定化、金融資本市場の変動に伴う物価上昇圧力が強まっており、今後の事業運営への影響が懸念されます。
このような状況を踏まえ、当社の信頼の根幹である安全・安定輸送の確保を前提に、鉄道設備の修繕・更新を適正なタイミングで実施すべく、必要な修繕費を計画的に確保するとともに、インフレを見据えたコスト構造の見直しに取り組んでいきます。また、人的資本経営の更なる推進による人財確保及びエンゲージメント向上に努めるとともに、労働人口減少への対応として、新技術の開発・導入を推進していきます。これらの取組により、鉄道事業の持続性を強化していきます。
さらに、お客様の利便性向上に資する設備投資を通じて中長期的な成長を実現する基盤を構築するため、経営努力を前提とした、加算運賃等各運賃改定制度の適用可能性や、制度を適用する場合に対象とする事業等について検討を進めていきます。
不動産事業においては、リノベーション等により物件の価値向上を図るとともに、東京メトロプライベートリート投資法人等へ物件売却することで、資産効率性の高いフロー型ビジネスも強化していきます。ライフ・ビジネスサービス事業においては、様々な事業パートナーとの連携を強化することで、新規ビジネス開発の推進等により、中長期的な成長の実現を目指していきます。
加えて、新たな成長ドライバーの創出に向け、出資・M&Aを実施すべく、2026年度より専任組織を新設するとともに、新たに投資枠を設定することにより、成長投資を強化していきます。
そのほか、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づく具体的な施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
(当社グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)
(1)運輸業
① 鉄道事業の安全性・利便性向上
トンネル中柱の補強工事や脱線検知装置の搭載、駅出入口の浸水対策等の推進により、激甚化する自然災害への備えを進めるとともに、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化を進めていきます。また、構内のバリアフリー化の一環として、エレベーターによる1ルート・複数ルート・乗換ルートの整備を進めていきます。
② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進
鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献及び新規鉄道需要の開拓を目的として、十分な公的支援を前提に、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事等を推進していきます。
③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化
日比谷線及び半蔵門線において、高い遅延回復効果を得ることができるCBTCシステムの導入に向けた取組を推進していきます(日比谷線は2026年度導入予定)。また、労働人口の減少を踏まえ、安全性の確保を前提に、必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等により、輸送システムの変革を目指していきます。また、故障予知や劣化予測を行う状態基準保全(CBM)の推進と鉄道運営ノウハウの外販により、事業運営能力の向上・事業領域拡大を図っていきます。
④ 鉄道需要創出の促進
メトポを中心に当社グループの保有する各種データを効果的に活用することでマーケティング機能を強化し、お客様一人ひとりのニーズを的確に捉えた情報・サービスを提供していきます。
また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2026年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスと当社を含む関東の鉄道事業者11社局での同サービスの相互利用の浸透を図っていきます。
⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大
今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。鉄道の運行管理、メンテナンス又はその両方を受託するO&M事業について、2025年5月から開始した英国のElizabeth line(エリザベス・ライン) の運営事業を着実に実施し、同路線のオペレーションとサービスの質の一層の向上に取り組んでいきます。
また、更なる事業拡大に向けて、案件の選定や協業パートナーとの連携を深度化し、更なる事業拡大を目指していきます。
(2)不動産事業
① 不動産開発、まちづくりとの連携強化
東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、有楽町線延伸部をはじめとした当社沿線において、子育て世代やシニア世代に選ばれるまちづくりに貢献することで、人々の快適な生活環境の形成に寄与するとともに、沿線価値の向上を目指していきます。
② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上
これまでの不動産事業は、不動産賃貸業を主軸とするストック型事業モデルでありましたが、今後は東京メトロプライベートリート投資法人等への物件売却を通じ、資産効率性の高いフロー型事業モデルも強化していきます。また、事業パートナーとの連携強化を図るとともに、ホテル経営・運営事業への参画の具体化を進めていきます。
③ 新たな領域への挑戦
都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画に向けて準備を進めていきます。
(3)ライフ・ビジネスサービス事業
① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上
東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。
② 既存アセットの有効活用
改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。
③ 新たな分野への挑戦
事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスの更なる展開等により、事業の拡大を加速させていきます。
(4)その他(新たな取組)
①コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動の強化
2025年3月から開始したCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を通じ、当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。
②事業領域拡大に向けた投資戦略の推進
持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、専任組織として「出資・事業投資担当」を新設し、新たに投資枠を設定することにより、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。
(5)サステナビリティ(ESG)の取組
① 環境への取組
鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業が排出するCO₂量について、「2030年度目標△53%(2013年度比)」、「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、国の削減目標に基づき「2035年度△60%」、「2040年度△73%」の目標値を新たに設定することで、更なる推進を図っていきます。
② 社会とのつながり強化
各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。
③ ガバナンス体制の充実
社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。なお、当社社員に対する不適切な言動による取締役の辞任を踏まえた再発防止策として、役員登用時の資質チェックを導入するとともに、役員向けコンプライアンス研修を拡充し継続的に実施していきます。
(6)人財戦略
人的資本経営の更なる推進・人事施策
人的資本経営を推進するにあたり、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財確保及び社員一人ひとりの最大活躍を実現することにより、経営戦略の実現を図っていきます。奨学金の返済支援や社外副業制度の導入により、多様な働き方・キャリア支援制度等、各種人事施策を拡充していきます。また、老朽化に伴う職場環境の改善を図るため、2026年夏に本社オフィスを一時移転し、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)を実現し、社員エンゲージメント向上を図っていきます。
(7) デジタル戦略
データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成
新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組んでいきます。また、デジタルリテラシーの底上げを図るため、全社員を対象とした「デジタル利活用人財」の育成強化に取り組んでいきます。
当社グループは、ビジョン(実現したい未来)として掲げた「次の『あたりまえ』と『ワクワク』を」の実現に向け、今後とも様々な施策を通じて持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。
(注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。
2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。
3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。
4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。
「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。
(注) 1 第22期の期首より、一部業務移管及び組織変更を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。なお、第21期のセグメント毎の営業収益、営業利益及びEBITDAは、変更後のセグメント区分により作成したものを記載しています。
2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。
3 営業利益+減価償却費により算出したものです。
4 セグメント毎の営業利益+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益の調整額は含めていません。
5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。
7 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。
8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念(ミッション)である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。
<東京メトログループ理念>
| 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 |
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社の基幹事業である鉄道事業においては、通勤・通学需要、東京都心部の開発進展やインバウンド旅行者の増加を背景に、旅客運輸収入は好調に推移しています。一方で、労務費・資材価格の高騰により、修繕費・外注費を中心としたコストは中期経営計画策定時の想定を大きく上回っており、加えて労働人口減少、鉄道における安全・安定性の維持に対する社会的関心の高まり等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。さらに、足許では中東情勢の悪化等を背景としたエネルギー価格の上昇や資材調達環境の不安定化、金融資本市場の変動に伴う物価上昇圧力が強まっており、今後の事業運営への影響が懸念されます。
このような状況を踏まえ、当社の信頼の根幹である安全・安定輸送の確保を前提に、鉄道設備の修繕・更新を適正なタイミングで実施すべく、必要な修繕費を計画的に確保するとともに、インフレを見据えたコスト構造の見直しに取り組んでいきます。また、人的資本経営の更なる推進による人財確保及びエンゲージメント向上に努めるとともに、労働人口減少への対応として、新技術の開発・導入を推進していきます。これらの取組により、鉄道事業の持続性を強化していきます。
さらに、お客様の利便性向上に資する設備投資を通じて中長期的な成長を実現する基盤を構築するため、経営努力を前提とした、加算運賃等各運賃改定制度の適用可能性や、制度を適用する場合に対象とする事業等について検討を進めていきます。
不動産事業においては、リノベーション等により物件の価値向上を図るとともに、東京メトロプライベートリート投資法人等へ物件売却することで、資産効率性の高いフロー型ビジネスも強化していきます。ライフ・ビジネスサービス事業においては、様々な事業パートナーとの連携を強化することで、新規ビジネス開発の推進等により、中長期的な成長の実現を目指していきます。
加えて、新たな成長ドライバーの創出に向け、出資・M&Aを実施すべく、2026年度より専任組織を新設するとともに、新たに投資枠を設定することにより、成長投資を強化していきます。
そのほか、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づく具体的な施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
(当社グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)
(1)運輸業
① 鉄道事業の安全性・利便性向上
トンネル中柱の補強工事や脱線検知装置の搭載、駅出入口の浸水対策等の推進により、激甚化する自然災害への備えを進めるとともに、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化を進めていきます。また、構内のバリアフリー化の一環として、エレベーターによる1ルート・複数ルート・乗換ルートの整備を進めていきます。
② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進
鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献及び新規鉄道需要の開拓を目的として、十分な公的支援を前提に、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事等を推進していきます。
③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化
日比谷線及び半蔵門線において、高い遅延回復効果を得ることができるCBTCシステムの導入に向けた取組を推進していきます(日比谷線は2026年度導入予定)。また、労働人口の減少を踏まえ、安全性の確保を前提に、必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等により、輸送システムの変革を目指していきます。また、故障予知や劣化予測を行う状態基準保全(CBM)の推進と鉄道運営ノウハウの外販により、事業運営能力の向上・事業領域拡大を図っていきます。
④ 鉄道需要創出の促進
メトポを中心に当社グループの保有する各種データを効果的に活用することでマーケティング機能を強化し、お客様一人ひとりのニーズを的確に捉えた情報・サービスを提供していきます。
また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2026年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスと当社を含む関東の鉄道事業者11社局での同サービスの相互利用の浸透を図っていきます。
⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大
今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。鉄道の運行管理、メンテナンス又はその両方を受託するO&M事業について、2025年5月から開始した英国のElizabeth line(エリザベス・ライン) の運営事業を着実に実施し、同路線のオペレーションとサービスの質の一層の向上に取り組んでいきます。
また、更なる事業拡大に向けて、案件の選定や協業パートナーとの連携を深度化し、更なる事業拡大を目指していきます。
(2)不動産事業
① 不動産開発、まちづくりとの連携強化
東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、有楽町線延伸部をはじめとした当社沿線において、子育て世代やシニア世代に選ばれるまちづくりに貢献することで、人々の快適な生活環境の形成に寄与するとともに、沿線価値の向上を目指していきます。
② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上
これまでの不動産事業は、不動産賃貸業を主軸とするストック型事業モデルでありましたが、今後は東京メトロプライベートリート投資法人等への物件売却を通じ、資産効率性の高いフロー型事業モデルも強化していきます。また、事業パートナーとの連携強化を図るとともに、ホテル経営・運営事業への参画の具体化を進めていきます。
③ 新たな領域への挑戦
都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画に向けて準備を進めていきます。
(3)ライフ・ビジネスサービス事業
① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上
東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。
② 既存アセットの有効活用
改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。
③ 新たな分野への挑戦
事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスの更なる展開等により、事業の拡大を加速させていきます。
(4)その他(新たな取組)
①コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動の強化
2025年3月から開始したCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を通じ、当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。
②事業領域拡大に向けた投資戦略の推進
持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、専任組織として「出資・事業投資担当」を新設し、新たに投資枠を設定することにより、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。
(5)サステナビリティ(ESG)の取組
① 環境への取組
鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業が排出するCO₂量について、「2030年度目標△53%(2013年度比)」、「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、国の削減目標に基づき「2035年度△60%」、「2040年度△73%」の目標値を新たに設定することで、更なる推進を図っていきます。
② 社会とのつながり強化
各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。
③ ガバナンス体制の充実
社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。なお、当社社員に対する不適切な言動による取締役の辞任を踏まえた再発防止策として、役員登用時の資質チェックを導入するとともに、役員向けコンプライアンス研修を拡充し継続的に実施していきます。
(6)人財戦略
人的資本経営の更なる推進・人事施策
人的資本経営を推進するにあたり、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財確保及び社員一人ひとりの最大活躍を実現することにより、経営戦略の実現を図っていきます。奨学金の返済支援や社外副業制度の導入により、多様な働き方・キャリア支援制度等、各種人事施策を拡充していきます。また、老朽化に伴う職場環境の改善を図るため、2026年夏に本社オフィスを一時移転し、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)を実現し、社員エンゲージメント向上を図っていきます。
(7) デジタル戦略
データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成
新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組んでいきます。また、デジタルリテラシーの底上げを図るため、全社員を対象とした「デジタル利活用人財」の育成強化に取り組んでいきます。
当社グループは、ビジョン(実現したい未来)として掲げた「次の『あたりまえ』と『ワクワク』を」の実現に向け、今後とも様々な施策を通じて持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。
| 経営指標 | 2028年3月期末目標 |
| 連結ROE(注1) | 7.7% |
| 連結営業利益 | 930億円 |
| 連結EBITDA(注2) | 1,740億円 |
| 連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4) | 6.3倍 (新線除く 5.2倍) |
(注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。
2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。
3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。
4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。
「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。
| 回次 | 第21期 | 第22期 | ||
| 決算年月 | 2025年3月 | 2026年3月 | ||
| 営業収益(注)2 | (百万円) | 407,832 | 422,414 | |
| 運輸業 | (百万円) | 372,500 | 386,618 | |
| 不動産事業 | (百万円) | 14,663 | 14,694 | |
| ライフ・ビジネスサービス事業 | (百万円) | 25,757 | 26,388 | |
| その他 | (百万円) | 3,743 | 3,994 | |
| 調整額 | (百万円) | △8,832 | △9,281 | |
| 営業利益(注)2 | (百万円) | 86,942 | 89,588 | |
| 運輸業 | (百万円) | 74,217 | 76,189 | |
| (営業利益率) | (%) | (20) | (20) | |
| 不動産事業 | (百万円) | 4,200 | 4,399 | |
| (営業利益率) | (%) | (29) | (30) | |
| ライフ・ビジネスサービス事業 | (百万円) | 8,259 | 8,527 | |
| (営業利益率) | (%) | (32) | (32) | |
| その他 | (百万円) | 152 | 349 | |
| (営業利益率) | (%) | (4) | (9) | |
| 調整額 | (百万円) | 112 | 120 | |
| EBITDA(注)3 | (百万円) | 159,042 | 163,509 | |
| 運輸業(注)4 | (百万円) | 142,627 | 146,265 | |
| 不動産事業(注)4 | (百万円) | 6,692 | 6,901 | |
| ライフ・ビジネスサービス事業(注)4 | (百万円) | 9,485 | 9,892 | |
| その他(注)4 | (百万円) | 168 | 358 | |
| 有利子負債残高 | (百万円) | 1,086,812 | 1,071,499 | |
| 現金及び現金同等物(注)5 | (百万円) | 73,762 | 68,280 | |
| 純有利子負債(注)6 | (百万円) | 1,013,049 | 1,003,219 | |
| 連結ROE(注)7 | (%) | 7.8 | 8.1 | |
| 純有利子負債/EBITDA倍率(注)8 | (倍) | 6.4 | 6.1 | |
(注) 1 第22期の期首より、一部業務移管及び組織変更を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。なお、第21期のセグメント毎の営業収益、営業利益及びEBITDAは、変更後のセグメント区分により作成したものを記載しています。
2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。
3 営業利益+減価償却費により算出したものです。
4 セグメント毎の営業利益+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益の調整額は含めていません。
5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。
7 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。
8 小数点以下第2位を四捨五入しています。