有価証券報告書-第25期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)
43. 財務リスク管理
当社グループの資金運用については、信用リスク、市場リスク、流動性リスク等の各種リスクを十分考慮した上で元本の安全性確保及び資金の効率的活用を取組方針としています。また、資金調達については、その時々の経済環境等の要因を勘案し、直接金融や間接金融等の調達手段の中で最適と考えられる調達手段を選択していくことを取組方針としています。
証券事業においては、個人顧客を対象とした株式等金融商品の売買の媒介及び取次業務を主たる事業とし、顧客から受け入れた預り金や受入保証金について、金融商品取引法に基づき顧客分別金信託等で運用しています。また、資金運用については安全性を重視し、銀行預金及び流動性の高い金融資産で運用しています。一方、資金調達については、主に金融機関からの借入で対応しています。
カード事業(包括信用購入あっせん事業、個別信用購入あっせん事業、信用保証事業及び融資事業)においては、資金運用については短期的な預金等に限定しています。一方、資金調達については、銀行等金融機関からの借入のほか、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行、債権の流動化により対応しています。
銀行事業においては、預金業務、貸出業務及び為替業務を主たる業務としており、普通預金、定期預金、外貨預金等を提供しています。また、当該金融負債を主たる原資として、保証付無担保カードローン、住宅ローン、事業性ローン等を提供しているほか、有価証券、買入金銭債権、金銭の信託、コールローン等により資金を運用しています。そのほかに、顧客への金融商品販売に付随して発生するデリバティブ取引や為替関連取引等を実施しています。資金運用にあたっては、銀行の持つ社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、過度な利益追求等により経営体力を超える運用を行うことを厳に慎み、とりわけ顧客から預かった預金については、十分安全性に配慮しています。また、運用調達業務全般にわたり、資産・負債構成の最適化及び適切な水準の自己資本充実度の確保を目的とし、金利感応度、資金流動性、市場流動性等に留意したALM(資産負債総合管理)運営を行っています。
保険事業においては、資産運用にあたり、保険金・給付金を将来にわたって確実に支払うことができるよう、安全性及び収益性の確保が重要な使命と考えています。安全性を第一義とし、流動性と収益性を重視した健全な運用資産ポートフォリオの構築を図りつつ、中・長期的に安定的な収益の確保を目標として、リスク分散を図りながら公社債中心の運用を行うことを資産運用の基本方針としています。
デリバティブ取引に対しては慎重な態度で臨み、投機的な収益獲得手段として取り扱わない方針としています。
(1) 信用リスク
① 金融商品に係る信用リスクの概要
当社グループが保有する金融資産は、主として売上債権、証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金、保険事業の有価証券、有価証券等からなります。
売上債権には、主に、個人顧客、出店者、宿泊施設等の取引先に対して計上する売上収益に係る売掛金が計上され、取引先の信用リスクにさらされています。
証券事業の金融資産には、証券事業の預託金や信用取引資産等が含まれています。証券事業の預託金は、主に顧客分別金信託等であり、銀行預金等により運用されているため、預入先の信用リスクにさらされています。信用取引資産は、顧客等の信用リスクにさらされています。
カード事業の貸付金には、カード事業を営む子会社が保有するカード債権、融資債権、消費者ローン、有担保ローン等が含まれており、与信先の信用リスクにさらされています。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、発行体又は原資産の信用リスクにさらされています。
銀行事業の貸付金には、個人顧客向け無担保カードローン、住宅ローン、不動産担保ローン及び事業性ローンが含まれており、顧客の信用リスクにさらされています。
保険事業の有価証券には、国債、地方債及び社債が含まれており、発行体の財政状態による信用リスクにさらされています。
有価証券には、負債性金融商品が含まれており、発行体の信用リスクにさらされています。
これらの金融資産については、相手先の業種や地域が広範囲にわたっており、特段の信用リスクの集中はありません。
② 金融商品に係る信用リスクの管理体制
当社グループでは、各社にて制定したリスク管理に関する規程において、具体的な各種リスクの管理方法や管理体制等を定めています。また、当社グループでは、証券事業の金融資産、銀行事業の貸付金等について担保や債務保証により信用リスクを合理的に低減しています。
信用リスクは、グループ管理規定に基づき、定期的に個別案件ごとの与信限度額の設定、顧客の信用状況の把握、期日管理及び残高管理を行うとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や低減を図っています。これらの信用管理実務から入手される顧客の財務情報のほか、失業率、企業倒産数等のマクロ経済状況の動向も勘案し、予想信用損失の認識及び測定を行っています。
証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の貸付金等について、金融資産の返済又は決済が原則として期日以降30日超遅延した場合に、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したものと判定しています。
銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券のうち負債性金融商品である有価証券については、当初認識時において投資適格であった格付が、投資適格未満に格下げとなった場合に金融商品の信用リスクが著しく増大したものと判定しています。また、外部格付を参照し、報告日現在で信用リスクが低いと判断される場合は、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないものと推定しています。なお、信用リスクの判定には、大手格付機関の格付情報等を利用しています。
これらの金融資産について、原則として、返済若しくは決済が期日以降90日超遅延した場合、条件変更した場合、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行であると判断しています。
デリバティブ取引については、「ヘッジ取引管理細則」に基づき管理しています。取引相手先は主に高格付を有する金融機関としているため、信用リスクは軽微であると認識していますが、取引相手方の契約不履行により経済的損失を被るリスクがあります。
③ 貸倒引当金の増減分析
前連結会計年度(2020年12月31日)
上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
当連結会計年度(2021年12月31日)
上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
④ 信用リスクに対するエクスポージャー
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、以下のとおりです。
最大信用リスク・エクスポージャーは、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない信用リスクに対する最大エクスポージャーを表しています。
下記の表中のオンバランス項目に記載されている金融資産に関しては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは帳簿価額と同額です。下記の表中のオフバランス項目に記載されている貸出コミットメントラインについては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、コミットメントの未利用分です。また、金融保証契約については、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、保証の実行を求められた場合に支払わなければならない最大の金額です。
営業債権等の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
営業債権等以外の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、前連結会計年度において貸倒引当金の額が2,099百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。前連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ25,041百万円及び6,607百万円になります。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、当連結会計年度において貸倒引当金の額が2,642百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。当連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ29,518百万円及び7,366百万円になります。
⑤ 金融資産の期日経過情報
期日が経過した金融資産の年齢分析は以下のとおりです。
当該年齢分析においては、契約条件に基づく支払期日より支払が遅れている、又は支払がなされていない金融資産について、連結会計年度末日における支払期日から起算した延滞期間ごとの金額を記載しています。
営業債権等の期日経過情報
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
営業債権等以外の期日経過情報
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
(2) 流動性リスク
① 金融商品に係る流動性リスクの概要
当社グループが保有する金融負債のうち流動性リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、銀行事業の預金です。社債及び借入金は取引金融機関に対する当社グループの信用力やマーケット環境の変化による資金調達条件悪化等のリスクにさらされています。
また、当社グループの一部の借入金について資本及び利益の維持といった財務制限条項を遵守することが求められています。
② 金融商品に係る流動性リスクの管理
資金調達等に係る流動性リスクは、各社にて制定する諸規程に従い適正な手元流動性を維持するために、資金繰計画の作成等により管理しています。
③ 金融負債の満期分析
金融負債(デリバティブを含む)の期日別残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、4,213,787百万円の要求払預金が含まれています。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、6,401,269百万円の要求払預金が含まれています。
(3) 市場リスク
① 金融商品に係る市場リスクの概要
当社グループの活動は、主に経済環境・金融市場環境が変動するリスクにさらされています。金融市場環境が変動するリスクとして、具体的には為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクがあります。
当社グループが保有する金融資産のうち市場リスクにさらされているのは、主として証券事業の金融資産、銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券です。
証券事業の金融資産には、証券事業における外国為替証拠金取引が含まれています。ただし、顧客との間で生じた外国為替証拠金取引に対し、カウンターパーティーとのカバー取引を行うことにより、顧客との取引により生じる市場リスクを回避しているため、原則として為替変動リスクの影響は軽微です。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、金利変動リスク及び為替変動リスクにさらされています。そのうち、外国債については、対応する為替予約及び持高管理を行うことにより、為替変動リスクをヘッジしています。なお、上場株式等が含まれていないため、価格変動リスクの影響は軽微です。
保険事業の有価証券には、国債、地方債、社債、株式、投資信託等が含まれており、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクにさらされています。
有価証券には、株式が含まれており、価格変動リスクにさらされています。
当社グループが保有する金融負債のうち市場リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、銀行事業関連負債であり、主に金利変動リスクや為替変動リスクにさらされています。社債及び借入金については、対応した金利スワップ取引や通貨スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。銀行事業関連負債には、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金が含まれています。新型定期預金については、金利変動リスクにさらされていますが、対応した金利スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。外貨普通預金及び外貨定期預金については、為替変動リスクにさらされていますが、対応した為替予約取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。
② 金融商品に係る市場リスクの管理体制
市場リスクの管理に関して、有価証券等については、取締役会において協議し投資決定を行っており、所定のルールに従って適正に評価されていることを確認しています。外貨建金融商品については、一定額以上の損失を発生させないようにポジション限度額や損失限度額を設定し、為替相場の継続的なモニタリング及び自己ポジションの状況の管理をしています。
銀行事業を営む一部の子会社が保有する金融資産については、一定の金利・為替変動下において、これらの金融資産及び金融負債を時価評価し、その相殺後純額(以下「現在価値」)の影響額を、金利変動リスク及び為替変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
保険事業を営む一部の子会社が保有する金融資産については、ストレステストにより通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定した市場リスク量を計測・管理し、資産運用リスク管理委員会を通じて、定期的に取締役会に報告しています。
なお、当連結会計年度におけるリスク管理方針の見直しに伴い、市場リスク分析の手法をValue at Riskからストレステストに変更しています。
③ 金利変動リスク(銀行事業を営む子会社を除く)
当社グループにおいて、主要な金融負債は、金融機関からの借入であり、このうち、変動金利による借入は、金利変動リスクにさらされています。
当社グループの金融負債のエクスポージャーは、以下のとおりです。
(単位:百万円)
上記エクスポージャーのうち前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、損益及び資本の影響額は、2020年12月31日現在の金額から273百万円減少し、逆に(0.1%)下落した場合、273百万円増加すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、損益及び資本の影響額は、2021年12月31日現在の金額から289百万円減少し、逆に(0.1%)下落した場合、289百万円増加すると認識しています。
なお、変動金利の借入のうち前連結会計年度末日(2020年12月31日)及び当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、それぞれ133,175百万円及び132,040百万円については、金利変動リスクを低減するために金利スワップ取引を実施して支払利息の固定化を図っています。
④ 価格変動リスク
当社グループの保有する資本性金融商品のうち、市場性のある資本性金融商品は価格変動リスクにさらされています。また、資本性金融商品については、定期的に時価や発行体の財務状況を把握しています。
当社グループは、以下の感応度分析を、期末日の資本性金融商品の価格リスクを基礎として実施しました。
前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、損益及び資本の影響額(税効果考慮前)は、Lyft社株式を除いた公正価値の変動により、2020年12月31日現在の金額が18百万円増加し、逆に5%下落した場合、18百万円減少すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、損益及び資本の影響額(税効果考慮前)は、Lyft社株式を除いた公正価値の変動により、2021年12月31日現在の金額が33百万円増加し、逆に5%下落した場合、33百万円減少すると認識しています。
前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、累積その他の包括利益(税効果考慮前)は、公正価値の変動により、2020年12月31日現在の金額から200百万円増加し、逆に5%下落した場合、200百万円減少すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、累積その他の包括利益(税効果考慮前)は、公正価値の変動により、2021年12月31日現在の金額から200百万円増加し、逆に5%下落した場合、200百万円減少すると認識しています。
なお、当社はLyft社株式先渡売買契約に基づき、Lyft社株式にかかるデリバティブ契約を締結しています。当該デリバティブ取引の公正価値は、Lyft社株式の株価に影響を受け、他の全ての変数が一定であると仮定した上でLyft社株式の株価が10%上昇した場合の税引前利益の影響額は前連結会計年度末日(2020年12月31日)において14,653百万円の損失、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において13,454百万円の損失の計上となります。また、Lyft社株式の公正価値について、株価が10%上昇した場合の税引前利益の影響額は前連結会計年度末日(2020年12月31日)において15,909百万円の利益、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において15,460百万円の利益の計上となります。なお、本件取引の詳細は、注記22. その他の金融負債の「(注) Lyft社株式先渡売買契約」にて記載しています。
⑤ 銀行事業を営む子会社における市場リスク管理
(金利変動リスク管理)
当社グループの銀行事業を営む一部の子会社において、主要なリスク変数である金利変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金です。金利変動リスクを受ける金融負債は、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金、デリバティブ取引のうち金利スワップです。
同子会社では、一定の金利変動下において、これらの金融資産及び金融負債に係る現在価値の影響額を、金利変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
現在価値の影響額の算定にあたっては、対象の金融資産及び金融負債を固定金利群と変動金利群に分け、それぞれ金利期日に応じて適切な期間に残高を分解し、期間ごとの金利変動幅を用いています。例えば、前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、2020年12月31日の現在価値が1,171百万円減少し、逆に10ベーシス・ポイント(0.1%)下落した場合、1,171百万円増加すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、2021年12月31日の現在価値が274百万円減少し、逆に10ベーシス・ポイント(0.1%)下落した場合、274百万円増加すると認識しています。
なお、当該影響額は、金利とその他のリスク変数との相関を考慮しておらず、また外貨建資産・負債については、2020年12月31日及び2021年12月31日の為替レートをもとに日本円に換算して算出しています。加えて、10ベーシス・ポイント下落時に、期間によって金利が負値になる場合については排除していません。
⑥ 保険事業を営む子会社における市場リスク管理
(市場リスク管理)
当社グループの保険事業を営む一部の子会社において、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として保険事業の有価証券です。同子会社では、これらの市場リスク管理のために運用資産の残高・含み損益状況の把握に努めるとともに、ストレステストを実施し、リスク量を計測・管理しています。
ストレステストの実施にあたっては、通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定したリスク量を推計しています。
当社グループの資金運用については、信用リスク、市場リスク、流動性リスク等の各種リスクを十分考慮した上で元本の安全性確保及び資金の効率的活用を取組方針としています。また、資金調達については、その時々の経済環境等の要因を勘案し、直接金融や間接金融等の調達手段の中で最適と考えられる調達手段を選択していくことを取組方針としています。
証券事業においては、個人顧客を対象とした株式等金融商品の売買の媒介及び取次業務を主たる事業とし、顧客から受け入れた預り金や受入保証金について、金融商品取引法に基づき顧客分別金信託等で運用しています。また、資金運用については安全性を重視し、銀行預金及び流動性の高い金融資産で運用しています。一方、資金調達については、主に金融機関からの借入で対応しています。
カード事業(包括信用購入あっせん事業、個別信用購入あっせん事業、信用保証事業及び融資事業)においては、資金運用については短期的な預金等に限定しています。一方、資金調達については、銀行等金融機関からの借入のほか、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行、債権の流動化により対応しています。
銀行事業においては、預金業務、貸出業務及び為替業務を主たる業務としており、普通預金、定期預金、外貨預金等を提供しています。また、当該金融負債を主たる原資として、保証付無担保カードローン、住宅ローン、事業性ローン等を提供しているほか、有価証券、買入金銭債権、金銭の信託、コールローン等により資金を運用しています。そのほかに、顧客への金融商品販売に付随して発生するデリバティブ取引や為替関連取引等を実施しています。資金運用にあたっては、銀行の持つ社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、過度な利益追求等により経営体力を超える運用を行うことを厳に慎み、とりわけ顧客から預かった預金については、十分安全性に配慮しています。また、運用調達業務全般にわたり、資産・負債構成の最適化及び適切な水準の自己資本充実度の確保を目的とし、金利感応度、資金流動性、市場流動性等に留意したALM(資産負債総合管理)運営を行っています。
保険事業においては、資産運用にあたり、保険金・給付金を将来にわたって確実に支払うことができるよう、安全性及び収益性の確保が重要な使命と考えています。安全性を第一義とし、流動性と収益性を重視した健全な運用資産ポートフォリオの構築を図りつつ、中・長期的に安定的な収益の確保を目標として、リスク分散を図りながら公社債中心の運用を行うことを資産運用の基本方針としています。
デリバティブ取引に対しては慎重な態度で臨み、投機的な収益獲得手段として取り扱わない方針としています。
(1) 信用リスク
① 金融商品に係る信用リスクの概要
当社グループが保有する金融資産は、主として売上債権、証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金、保険事業の有価証券、有価証券等からなります。
売上債権には、主に、個人顧客、出店者、宿泊施設等の取引先に対して計上する売上収益に係る売掛金が計上され、取引先の信用リスクにさらされています。
証券事業の金融資産には、証券事業の預託金や信用取引資産等が含まれています。証券事業の預託金は、主に顧客分別金信託等であり、銀行預金等により運用されているため、預入先の信用リスクにさらされています。信用取引資産は、顧客等の信用リスクにさらされています。
カード事業の貸付金には、カード事業を営む子会社が保有するカード債権、融資債権、消費者ローン、有担保ローン等が含まれており、与信先の信用リスクにさらされています。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、発行体又は原資産の信用リスクにさらされています。
銀行事業の貸付金には、個人顧客向け無担保カードローン、住宅ローン、不動産担保ローン及び事業性ローンが含まれており、顧客の信用リスクにさらされています。
保険事業の有価証券には、国債、地方債及び社債が含まれており、発行体の財政状態による信用リスクにさらされています。
有価証券には、負債性金融商品が含まれており、発行体の信用リスクにさらされています。
これらの金融資産については、相手先の業種や地域が広範囲にわたっており、特段の信用リスクの集中はありません。
② 金融商品に係る信用リスクの管理体制
当社グループでは、各社にて制定したリスク管理に関する規程において、具体的な各種リスクの管理方法や管理体制等を定めています。また、当社グループでは、証券事業の金融資産、銀行事業の貸付金等について担保や債務保証により信用リスクを合理的に低減しています。
信用リスクは、グループ管理規定に基づき、定期的に個別案件ごとの与信限度額の設定、顧客の信用状況の把握、期日管理及び残高管理を行うとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や低減を図っています。これらの信用管理実務から入手される顧客の財務情報のほか、失業率、企業倒産数等のマクロ経済状況の動向も勘案し、予想信用損失の認識及び測定を行っています。
証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の貸付金等について、金融資産の返済又は決済が原則として期日以降30日超遅延した場合に、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したものと判定しています。
銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券のうち負債性金融商品である有価証券については、当初認識時において投資適格であった格付が、投資適格未満に格下げとなった場合に金融商品の信用リスクが著しく増大したものと判定しています。また、外部格付を参照し、報告日現在で信用リスクが低いと判断される場合は、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないものと推定しています。なお、信用リスクの判定には、大手格付機関の格付情報等を利用しています。
これらの金融資産について、原則として、返済若しくは決済が期日以降90日超遅延した場合、条件変更した場合、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行であると判断しています。
デリバティブ取引については、「ヘッジ取引管理細則」に基づき管理しています。取引相手先は主に高格付を有する金融機関としているため、信用リスクは軽微であると認識していますが、取引相手方の契約不履行により経済的損失を被るリスクがあります。
③ 貸倒引当金の増減分析
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円) | |||||
12ヶ月の予想信用損失 | 全期間にわたる予想信用損失 | 合計 | |||
信用リスクが当初認識以降に著しく増大した金融資産 | 減損している金融資産 | 常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定している金融資産 | |||
2020年1月1日 | 20,235 | 4,905 | 73,734 | 7,835 | 106,709 |
期中増加額(繰入額) | 524 | 4,570 | 41,098 | 2,955 | 49,147 |
期中減少額(目的使用) | △20 | △299 | △41,777 | △1,750 | △43,846 |
期中減少額(戻入) | △119 | △52 | - | - | △171 |
期中振替額 | △206 | △3,895 | 4,101 | - | - |
期中その他の変動 | △20 | 1 | 492 | △291 | 182 |
2020年12月31日 | 20,394 | 5,230 | 77,648 | 8,749 | 112,021 |
上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円) | |||||
12ヶ月の予想信用損失 | 全期間にわたる予想信用損失 | 合計 | |||
信用リスクが当初認識以降に著しく増大した金融資産 | 減損している金融資産 | 常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定している金融資産 | |||
2021年1月1日 | 20,394 | 5,230 | 77,648 | 8,749 | 112,021 |
期中増加額(繰入額) | 805 | 4,649 | 35,565 | 1,604 | 42,623 |
期中減少額(目的使用) | △49 | △272 | △38,192 | △1,484 | △39,997 |
期中減少額(戻入) | △1,569 | △60 | △445 | △589 | △2,663 |
期中振替額 | △629 | △3,760 | 4,389 | - | - |
期中その他の変動 | 15 | 2 | 409 | 220 | 646 |
2021年12月31日 | 18,967 | 5,789 | 79,374 | 8,500 | 112,630 |
上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
④ 信用リスクに対するエクスポージャー
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、以下のとおりです。
最大信用リスク・エクスポージャーは、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない信用リスクに対する最大エクスポージャーを表しています。
下記の表中のオンバランス項目に記載されている金融資産に関しては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは帳簿価額と同額です。下記の表中のオフバランス項目に記載されている貸出コミットメントラインについては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、コミットメントの未利用分です。また、金融保証契約については、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、保証の実行を求められた場合に支払わなければならない最大の金額です。
営業債権等の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
信用度による区分 | 合計 | 貸倒 引当金 | 最大信用 リスク・エクスポージャー | ||
減損していない 金融資産 | 減損している 金融資産 | ||||
オンバランス項目: | |||||
売上債権(注) | 236,129 | 16,705 | 252,834 | △8,950 | 243,884 |
その他の金融資産(注) | 215,329 | 1,158 | 216,487 | △4,514 | 211,973 |
オンバランス項目合計 | 451,458 | 17,863 | 469,321 | △13,464 | 455,857 |
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
信用度による区分 | 合計 | 貸倒 引当金 | 最大信用 リスク・エクスポージャー | ||
減損していない 金融資産 | 減損している 金融資産 | ||||
オンバランス項目: | |||||
売上債権(注) | 290,047 | 26,638 | 316,685 | △8,865 | 307,820 |
その他の金融資産(注) | 155,792 | 18,186 | 173,978 | △4,524 | 169,454 |
オンバランス項目合計 | 445,839 | 44,824 | 490,663 | △13,389 | 477,274 |
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
営業債権等以外の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
信用度による区分 | 合計 | 貸倒 引当金 (注) | 最大信用 リスク・エクスポージャー | |||
12ヶ月の予想信用損失 | 信用リスクが当初認識以降に著しく増大した金融資産 | 減損している金融資産 | ||||
オンバランス項目: | ||||||
現金及び現金同等物 | 3,021,306 | - | - | 3,021,306 | - | 3,021,306 |
証券事業の金融資産 | 2,672,199 | 2 | 2,063 | 2,674,264 | △1,884 | 2,672,380 |
カード事業の貸付金 | 1,994,971 | 12,456 | 109,931 | 2,117,358 | △84,345 | 2,033,013 |
銀行事業の有価証券 | 264,965 | 9 | 12 | 264,986 | △12 | 264,974 |
銀行事業の貸付金 | 1,446,501 | 82 | 2,114 | 1,448,697 | △12,184 | 1,436,513 |
保険事業の有価証券 | 129,554 | - | - | 129,554 | - | 129,554 |
有価証券 | 8,009 | - | - | 8,009 | - | 8,009 |
その他の金融資産 | 207,596 | 2,165 | 3,324 | 213,085 | △52 | 213,033 |
オンバランス項目合計 | 9,745,101 | 14,714 | 117,444 | 9,877,259 | △98,477 | 9,778,782 |
オフバランス項目: | ||||||
貸出コミットメントライン | - | - | - | - | - | 4,390,034 |
金融保証契約 | - | - | - | - | - | 5,024 |
オフバランス項目合計 | - | - | - | - | - | 4,395,058 |
合計 | 9,745,101 | 14,714 | 117,444 | 9,877,259 | △98,477 | 14,173,840 |
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、前連結会計年度において貸倒引当金の額が2,099百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。前連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ25,041百万円及び6,607百万円になります。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
信用度による区分 | 合計 | 貸倒 引当金 (注) | 最大信用 リスク・エクスポージャー | |||
12ヶ月の予想信用損失 | 信用リスクが当初認識以降に著しく増大した金融資産 | 減損している金融資産 | ||||
オンバランス項目: | ||||||
現金及び現金同等物 | 4,410,301 | - | - | 4,410,301 | - | 4,410,301 |
証券事業の金融資産 | 3,087,559 | 1 | 2,002 | 3,089,562 | △1,807 | 3,087,755 |
カード事業の貸付金 | 2,343,119 | 14,588 | 117,787 | 2,475,494 | △87,046 | 2,388,448 |
銀行事業の有価証券 | 458,086 | - | - | 458,086 | - | 458,086 |
銀行事業の貸付金 | 2,535,515 | 529 | 3,011 | 2,539,055 | △10,260 | 2,528,795 |
保険事業の有価証券 | 107,522 | - | - | 107,522 | - | 107,522 |
有価証券 | 6,508 | - | - | 6,508 | - | 6,508 |
その他の金融資産 | 410,003 | - | 3,648 | 413,651 | △58 | 413,593 |
オンバランス項目合計 | 13,358,613 | 15,118 | 126,448 | 13,500,179 | △99,171 | 13,401,008 |
オフバランス項目: | ||||||
貸出コミットメントライン | - | - | - | - | - | 4,837,896 |
金融保証契約 | - | - | - | - | - | 14,720 |
オフバランス項目合計 | - | - | - | - | - | 4,852,616 |
合計 | 13,358,613 | 15,118 | 126,448 | 13,500,179 | △99,171 | 18,253,624 |
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、当連結会計年度において貸倒引当金の額が2,642百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。当連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ29,518百万円及び7,366百万円になります。
⑤ 金融資産の期日経過情報
期日が経過した金融資産の年齢分析は以下のとおりです。
当該年齢分析においては、契約条件に基づく支払期日より支払が遅れている、又は支払がなされていない金融資産について、連結会計年度末日における支払期日から起算した延滞期間ごとの金額を記載しています。
営業債権等の期日経過情報
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
3ヶ月以内 | 3ヶ月超1年以内 | 1年超 | |
売上債権 | 17,986 | 6,805 | 9,900 |
その他の金融資産 | 1,381 | 771 | 388 |
合計 | 19,367 | 7,576 | 10,288 |
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
3ヶ月以内 | 3ヶ月超1年以内 | 1年超 | |
売上債権 | 22,146 | 15,161 | 11,477 |
その他の金融資産 | 9,962 | 18,061 | 124 |
合計 | 32,108 | 33,222 | 11,601 |
営業債権等以外の期日経過情報
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
30日以内 | 30日超90日以内 | 90日超 | |
証券事業の金融資産 | 22 | 2 | 2,063 |
カード事業の貸付金 | 125,397 | 17,513 | 38,197 |
銀行事業の有価証券 | 20 | 9 | 13 |
銀行事業の貸付金 | 3,385 | 82 | 2,114 |
その他の金融資産 | 9 | 2,853 | 59 |
合計 | 128,833 | 20,459 | 42,446 |
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
30日以内 | 30日超90日以内 | 90日超 | |
証券事業の金融資産 | 19 | 1 | 2,002 |
カード事業の貸付金 | 147,247 | 19,501 | 38,620 |
銀行事業の有価証券 | - | - | - |
銀行事業の貸付金 | 2,107 | 529 | 3,011 |
その他の金融資産 | - | - | 2,689 |
合計 | 149,373 | 20,031 | 46,322 |
(2) 流動性リスク
① 金融商品に係る流動性リスクの概要
当社グループが保有する金融負債のうち流動性リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、銀行事業の預金です。社債及び借入金は取引金融機関に対する当社グループの信用力やマーケット環境の変化による資金調達条件悪化等のリスクにさらされています。
また、当社グループの一部の借入金について資本及び利益の維持といった財務制限条項を遵守することが求められています。
② 金融商品に係る流動性リスクの管理
資金調達等に係る流動性リスクは、各社にて制定する諸規程に従い適正な手元流動性を維持するために、資金繰計画の作成等により管理しています。
③ 金融負債の満期分析
金融負債(デリバティブを含む)の期日別残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2020年12月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 2年以内 | 2年超 3年以内 | 3年超 4年以内 | 4年超 5年以内 | 5年超 | |
デリバティブ以外の金融負債 | ||||||
仕入債務 | 337,427 | - | - | - | - | - |
銀行事業の預金 | 4,696,311 | 8,048 | 4,805 | 2,639 | 2,961 | 1,031 |
証券事業の金融負債 | 2,587,227 | - | - | - | - | - |
社債及び借入金 | 1,142,884 | 208,006 | 342,297 | 389,861 | 170,214 | 252,824 |
リース負債 | 38,969 | 39,484 | 37,248 | 34,316 | 29,144 | 102,066 |
リース負債以外のその他の 金融負債 | 640,131 | 124,832 | 6,779 | 6,453 | 48,175 | 24,375 |
デリバティブ負債 | 10,890 | 675 | 202 | 741 | 43,705 | 21,838 |
オフバランス項目 | ||||||
貸出コミットメントライン | 4,390,034 | - | - | - | - | - |
金融保証契約 | 5,024 | - | - | - | - | - |
(注) 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、4,213,787百万円の要求払預金が含まれています。
当連結会計年度(2021年12月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 2年以内 | 2年超 3年以内 | 3年超 4年以内 | 4年超 5年以内 | 5年超 | |
デリバティブ以外の金融負債 | ||||||
仕入債務 | 392,455 | - | - | - | - | - |
銀行事業の預金 | 6,825,375 | 10,840 | 5,208 | 2,549 | 2,049 | 1,309 |
証券事業の金融負債 | 3,032,996 | - | - | - | - | - |
社債及び借入金 | 1,354,299 | 354,125 | 596,386 | 593,828 | 149,904 | 382,077 |
リース負債 | 45,701 | 47,753 | 45,028 | 40,062 | 36,233 | 131,299 |
リース負債以外のその他の 金融負債 | 755,106 | 158,453 | 13,674 | 92,538 | 49,613 | 6,950 |
デリバティブ負債 | 8,729 | 339 | 167 | 7,604 | 4,218 | 3,934 |
オフバランス項目 | ||||||
貸出コミットメントライン | 4,837,896 | - | - | - | - | - |
金融保証契約 | 14,720 | - | - | - | - | - |
(注) 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、6,401,269百万円の要求払預金が含まれています。
(3) 市場リスク
① 金融商品に係る市場リスクの概要
当社グループの活動は、主に経済環境・金融市場環境が変動するリスクにさらされています。金融市場環境が変動するリスクとして、具体的には為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクがあります。
当社グループが保有する金融資産のうち市場リスクにさらされているのは、主として証券事業の金融資産、銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券です。
証券事業の金融資産には、証券事業における外国為替証拠金取引が含まれています。ただし、顧客との間で生じた外国為替証拠金取引に対し、カウンターパーティーとのカバー取引を行うことにより、顧客との取引により生じる市場リスクを回避しているため、原則として為替変動リスクの影響は軽微です。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、金利変動リスク及び為替変動リスクにさらされています。そのうち、外国債については、対応する為替予約及び持高管理を行うことにより、為替変動リスクをヘッジしています。なお、上場株式等が含まれていないため、価格変動リスクの影響は軽微です。
保険事業の有価証券には、国債、地方債、社債、株式、投資信託等が含まれており、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクにさらされています。
有価証券には、株式が含まれており、価格変動リスクにさらされています。
当社グループが保有する金融負債のうち市場リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、銀行事業関連負債であり、主に金利変動リスクや為替変動リスクにさらされています。社債及び借入金については、対応した金利スワップ取引や通貨スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。銀行事業関連負債には、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金が含まれています。新型定期預金については、金利変動リスクにさらされていますが、対応した金利スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。外貨普通預金及び外貨定期預金については、為替変動リスクにさらされていますが、対応した為替予約取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。
② 金融商品に係る市場リスクの管理体制
市場リスクの管理に関して、有価証券等については、取締役会において協議し投資決定を行っており、所定のルールに従って適正に評価されていることを確認しています。外貨建金融商品については、一定額以上の損失を発生させないようにポジション限度額や損失限度額を設定し、為替相場の継続的なモニタリング及び自己ポジションの状況の管理をしています。
銀行事業を営む一部の子会社が保有する金融資産については、一定の金利・為替変動下において、これらの金融資産及び金融負債を時価評価し、その相殺後純額(以下「現在価値」)の影響額を、金利変動リスク及び為替変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
保険事業を営む一部の子会社が保有する金融資産については、ストレステストにより通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定した市場リスク量を計測・管理し、資産運用リスク管理委員会を通じて、定期的に取締役会に報告しています。
なお、当連結会計年度におけるリスク管理方針の見直しに伴い、市場リスク分析の手法をValue at Riskからストレステストに変更しています。
③ 金利変動リスク(銀行事業を営む子会社を除く)
当社グループにおいて、主要な金融負債は、金融機関からの借入であり、このうち、変動金利による借入は、金利変動リスクにさらされています。
当社グループの金融負債のエクスポージャーは、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2020年12月31日) | 当連結会計年度 (2021年12月31日) | |
社債及び借入金 | 2,487,457 | 3,402,912 |
変動金利のもの | 406,662 | 421,246 |
固定金利のもの | 2,080,795 | 2,981,666 |
上記エクスポージャーのうち前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、損益及び資本の影響額は、2020年12月31日現在の金額から273百万円減少し、逆に(0.1%)下落した場合、273百万円増加すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、損益及び資本の影響額は、2021年12月31日現在の金額から289百万円減少し、逆に(0.1%)下落した場合、289百万円増加すると認識しています。
なお、変動金利の借入のうち前連結会計年度末日(2020年12月31日)及び当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、それぞれ133,175百万円及び132,040百万円については、金利変動リスクを低減するために金利スワップ取引を実施して支払利息の固定化を図っています。
④ 価格変動リスク
当社グループの保有する資本性金融商品のうち、市場性のある資本性金融商品は価格変動リスクにさらされています。また、資本性金融商品については、定期的に時価や発行体の財務状況を把握しています。
当社グループは、以下の感応度分析を、期末日の資本性金融商品の価格リスクを基礎として実施しました。
前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、損益及び資本の影響額(税効果考慮前)は、Lyft社株式を除いた公正価値の変動により、2020年12月31日現在の金額が18百万円増加し、逆に5%下落した場合、18百万円減少すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、損益及び資本の影響額(税効果考慮前)は、Lyft社株式を除いた公正価値の変動により、2021年12月31日現在の金額が33百万円増加し、逆に5%下落した場合、33百万円減少すると認識しています。
前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、累積その他の包括利益(税効果考慮前)は、公正価値の変動により、2020年12月31日現在の金額から200百万円増加し、逆に5%下落した場合、200百万円減少すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、株価が5%上昇した場合、累積その他の包括利益(税効果考慮前)は、公正価値の変動により、2021年12月31日現在の金額から200百万円増加し、逆に5%下落した場合、200百万円減少すると認識しています。
なお、当社はLyft社株式先渡売買契約に基づき、Lyft社株式にかかるデリバティブ契約を締結しています。当該デリバティブ取引の公正価値は、Lyft社株式の株価に影響を受け、他の全ての変数が一定であると仮定した上でLyft社株式の株価が10%上昇した場合の税引前利益の影響額は前連結会計年度末日(2020年12月31日)において14,653百万円の損失、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において13,454百万円の損失の計上となります。また、Lyft社株式の公正価値について、株価が10%上昇した場合の税引前利益の影響額は前連結会計年度末日(2020年12月31日)において15,909百万円の利益、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において15,460百万円の利益の計上となります。なお、本件取引の詳細は、注記22. その他の金融負債の「(注) Lyft社株式先渡売買契約」にて記載しています。
⑤ 銀行事業を営む子会社における市場リスク管理
(金利変動リスク管理)
当社グループの銀行事業を営む一部の子会社において、主要なリスク変数である金利変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金です。金利変動リスクを受ける金融負債は、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金、デリバティブ取引のうち金利スワップです。
同子会社では、一定の金利変動下において、これらの金融資産及び金融負債に係る現在価値の影響額を、金利変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
現在価値の影響額の算定にあたっては、対象の金融資産及び金融負債を固定金利群と変動金利群に分け、それぞれ金利期日に応じて適切な期間に残高を分解し、期間ごとの金利変動幅を用いています。例えば、前連結会計年度末日(2020年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、2020年12月31日の現在価値が1,171百万円減少し、逆に10ベーシス・ポイント(0.1%)下落した場合、1,171百万円増加すると認識しています。同様に、当連結会計年度末日(2021年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇した場合、2021年12月31日の現在価値が274百万円減少し、逆に10ベーシス・ポイント(0.1%)下落した場合、274百万円増加すると認識しています。
なお、当該影響額は、金利とその他のリスク変数との相関を考慮しておらず、また外貨建資産・負債については、2020年12月31日及び2021年12月31日の為替レートをもとに日本円に換算して算出しています。加えて、10ベーシス・ポイント下落時に、期間によって金利が負値になる場合については排除していません。
⑥ 保険事業を営む子会社における市場リスク管理
(市場リスク管理)
当社グループの保険事業を営む一部の子会社において、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として保険事業の有価証券です。同子会社では、これらの市場リスク管理のために運用資産の残高・含み損益状況の把握に努めるとともに、ストレステストを実施し、リスク量を計測・管理しています。
ストレステストの実施にあたっては、通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定したリスク量を推計しています。