訂正意見表明報告書

【提出】
2021/03/02 16:04
【資料】
PDFをみる

脚注、表紙

(注1) 本書中の「当社」とは、日本アジアグループ株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、株式会社シティインデックスイレブンスをいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「本公開買付け」とは、本書提出に係る公開買付けをいいます。
(注6) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注8) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。

公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地

名 称 株式会社シティインデックスイレブンス
所在地 東京都渋谷区東三丁目22番14号

公開買付者が買付け等を行う株券等の種類

普通株式

当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由

(1) 本公開買付けに関する意見の内容
当社は、2021年2月19日開催の当社取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないよう強くお願い申し上げますとともに、既に本公開買付けに応募された株主の皆様におかれましては、速やかに本公開買付けに係る契約の解除を行っていただきますよう強くお願い申し上げます。
なお、当該取締役会決議は、下記「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」の方法により決議されております。
また、当社は、2021年3月1日開催の当社取締役会において、2021年4月下旬を目途に開催される予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、基準日(2021年3月18日)時点の当社の株主の皆様に対し当社株式1株当たり300円の剰余金の配当(以下「本特別配当」といいます。)を行うことを決定するとともに(以下「本決定」といいます。)、本特別配当に係る基準日設定及び本臨時株主総会招集のための基準日設定について決議いたしました。本決定の詳細については、当社が2021年3月1日付で公表いたしました「剰余金の配当(特別配当)、剰余金の配当(特別配当)及び臨時株主総会招集に係る基準日設定並びに株主還元方針に関するお知らせ」をご参照ください。
(2) 意見の根拠及び理由
① 意見の根拠
当社は、2020年11月5日付で公表いたしました「MBOの実施及び応募の推奨並びに子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」(その後に訂正及び変更された事項を含みます。以下「2020年11月5日付プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、当社グループ(当社、その子会社及び関連会社をいいます。以下同じです。)全体としての中長期的かつ持続的な発展のためには、グリーン社提案取引(2020年11月5日付プレスリリースにおいて、「本取引」として定義されたものを指します。以下同じです。)を通じて当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を非公開化しつつ国際航業株式会社(以下「国際航業」といいます。)及びJAG国際エナジー株式会社(以下「JAG国際エナジー」といい、国際航業及びJAG国際エナジーを併せて「対象子会社」といいます。)の独立性を高め、当社の代表取締役会長兼社長である山下哲生氏(以下「山下氏」といいます。)及びカーライル・グループ(以下「カーライル」といいます。)が相互の協力関係の下で、各々の専門性や経営資源を最大限に活用して対象子会社以外の当社グループの事業(株式会社ザクティホールディングス(以下「ザクティ」といいます。)を含み、以下「JAG継続事業」といいます。)及び対象子会社の事業に注力するというパートナーシップ関係の構築が最善であると考え、グリーン ホールディングス エルピー(以下「グリーン社」といいます。)による当社株式に対する公開買付け(以下「グリーン社公開買付け」といいます。)に賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、グリーン社公開買付けへの応募を推奨しておりました(なお、当社が2021年2月10日付で公表いたしました「グリーン ホールディングス エルピーによる当社株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動を伴う株式譲渡の中止に関するお知らせ」(以下「グリーン社公開買付け結果プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、グリーン社公開買付けは2021年2月9日に不成立となりました。)。
これに対し、公開買付者が、グリーン社公開買付けの公開買付期間中である2021年1月14日に、「日本アジアグループ株式会社(証券コード:3751)の株券等に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「本公開買付け予告プレスリリース」といいます。)を公開したことを受け(なお、当社は、グリーン社公開買付けの開始後、公開買付者より、2020年11月16日付で、当社がグリーン社公開買付けに賛同し、かつ、当社の株主の皆様に対してグリーン社公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を表明した理由等に関する質問を含む書簡を受領し、これに対する回答を含む書簡をシティ社に送付したことをはじめとして、その後、複数回にわたって書簡のやり取りを誠実に行ってまいりましたが、公開買付者による本公開買付け予告プレスリリースの公開は、当社に対して事前の協議又は提案もなく行われたものです。)、当社は、2021年1月15日付の当社取締役会において、当社が、グリーン社提案取引に係る当社の意思決定の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立することを目的として2020年8月17日付で設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会は、外部の有識者である西田章氏(西田法律事務所 弁護士)、当社社外取締役兼独立役員である田辺孝二氏、当社社外取締役兼独立役員である八杉哲氏、当社社外監査役兼独立役員である小林一男氏及び当社社外監査役兼独立役員である吉本清志氏の5名から構成されます。)に対して、(ⅰ)本公開買付け及びその後の当社の非公開化(以下「シティ社提案取引」といいます。)の目的が合理的と認められるか(シティ社提案取引が当社の企業価値の向上に資するかという点を含みます。)、(ⅱ)本公開買付けを含むシティ社提案取引に係る手続の公正性が確保されているか、(ⅲ)シティ社提案取引の条件の妥当性が確保されているか、(ⅳ)シティ社提案取引が当社の少数株主にとって不利益なものでないか、並びに、(ⅴ)当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非の検討の前提として、まずは、シティ社提案取引が具体的かつ実現可能な真摯な提案であるかどうかの検討(以下、「2021年1月15日付諮問事項」といいます。)を諮問いたしました(なお、当社は、本特別委員会から、本諮問事項(以下に定義されます。以下同じです。)に係る諮問に対し、2021年2月18日付で本答申書(反対)(以下に定義されます。)の提出を受けており、本諮問事項の検討の前提となる2021年1月15日付諮問事項の諮問の独自の意義が失われたと判断したことから、2021年2月19日付の当社取締役会において、本特別委員会に対する2021年1月15日付諮問事項に係る諮問を撤回しております。)。
また、当社は、その後、2021年1月28日付の当社取締役会において、本特別委員会に対し、(ⅰ)シティ社提案取引の目的が合理的と認められるか(シティ社提案取引が当社の企業価値の向上に資するかという点を含みます。)、(ⅱ)本公開買付けを含むシティ社提案取引に係る手続の公正性が確保されているか、(ⅲ)シティ社提案取引の条件の妥当性が確保されているか、(ⅳ)シティ社提案取引が当社の少数株主にとって不利益なものでないか、及び、(ⅴ)当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)を諮問し、これらの点についての答申を当社取締役会に提出することを嘱託いたしました。また、併せて、当社取締役会は、シティ社提案取引に関する当社取締役会の意思決定は、上記嘱託に基づく本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(a)本公開買付けに係る公開買付価格その他のシティ社提案取引に係る取引条件等について買付者と交渉を行うこと、(b)本諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らのファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等を選任すること(この場合の費用は当社が負担するものとされています。)、並びに、(c)当社の役職員からシティ社提案取引の検討及び判断に必要な情報を受領することについての権限を付与することを決議いたしました。なお、当社は、シティ社提案取引の内容について検討するにあたり、その公正性を担保すべく、当社、公開買付者ら(公開買付者、野村幸弘氏(以下「野村氏」といいます。)及び株式会社エスグラントコーポレーション(以下「エスグラントコーポレーション」といいます。)の総称を指します。)、グリーン社、カーライル、山下氏及びグリーン社公開買付けに対する応募合意株主(以下、総称して「グリーン社公開買付け関連当事者」といいます。)並びにシティ社提案取引及びグリーン社提案取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーである株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)及びGCAアドバイザーズ株式会社(以下「GCA」といいます。)、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業による助言を踏まえて、本公開買付けを含むシティ社提案取引に関して慎重に検討いたしました。また、本特別委員会は、2021年1月18日付の会合において、プルータス・コンサルティング及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業につき、また、2021年1月29日付の会合において、GCAにつき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ当社のファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。さらに、本特別委員会は、本特別委員会がシティ社提案取引に係る取引条件等に関して公開買付者と交渉を行うことを確認しております。
本特別委員会は、2021年1月15日付諮問事項の諮問を受け、シティ社提案取引の内容について審議及び検討を開始し、2021年1月19日に、公開買付者に対し、本公開買付けの予告に至った経緯、本公開買付けの準備状況・開始の確実性、本公開買付けの条件及び本公開買付け後の当社グループの経営方針等に係る質問事項(以下「2021年1月19日付質問事項」といいます。なお、2021年1月19日付質問事項の内容につきましては、別紙1をご参照ください。)を送付いたしました。その後、本特別委員会は、2021年1月27日に、公開買付者より、2021年1月19日付質問事項に対する回答(以下「2021年1月27日付回答」といいます。なお、2021年1月27日付回答の内容につきましては、別紙1をご参照ください。)とともに、公開買付者はグリーン社公開買付けにおける公開買付価格である1株当たり1,200円を上回る価格での公開買付けの実施も視野に入れていることから、当社は公開買付者に対してデュー・ディリジェンスの機会を与えるべきであるとの趣旨の書簡を受領いたしました。これに対し、本特別委員会は、2021年1月28日に、2021年1月27日付回答の内容につき、2021年1月19日付質問事項に対するものとしては十分でない点が多数含まれており、本特別委員会による当該デュー・ディリジェンスの実施の諾否の検討に必要な情報は得られていないと判断したことから、公開買付者に対し、追加の質問事項(以下「2021年1月28日付質問事項」といいます。なお、2021年1月28日付質問事項の内容につきましては、別紙2をご参照ください。)を送付いたしました。その後、同日、本特別委員会は、公開買付者から2021年1月28日付質問事項に対する回答(以下「2021年1月28日付回答」といいます。なお、2021年1月28日付回答の内容につきましては、別紙2をご参照ください。)を受領し、また、当社取締役会は、公開買付者から、公開買付者と、山下氏、当社取締役会及び本特別委員会との間の面談の実施についての希望が記載された書簡を受領いたしました。これに対し、本特別委員会は、2021年1月28日付回答の内容を踏まえても本特別委員会による当該デュー・ディリジェンスの実施の諾否の検討に必要な情報はなお得られていないと判断したことから、2021年1月29日、公開買付者に対し、①本公開買付け実行後のJAG継続事業(ザクティを除きます。)の経営方針、②本公開買付け実行後にグリーン社に対して国際航業及び/又はJAG国際エナジーの株式を譲渡できなかった場合の対応方針(国際航業及び/又はJAG国際エナジーの経営方針を含みます。)、③本公開買付け実行後に山下氏に対してザクティの株式を譲渡できなかった場合の対応方針(ザクティの経営方針を含みます。)、④本公開買付け実行後に当社の既存の取引金融機関から継続して支援を得られない状況に陥った場合の対応方針(資金調達の方法及び見込みを含みます。)、並びに、⑤本公開買付け実行後に株主還元を実施した場合の当社従業員その他の株主以外の利害関係人に与える影響の想定及び対応方針に係る質問事項(以下「2021年1月29日付質問事項」といい、2021年1月19日付質問事項及び2021年1月28日付質問事項と併せて「本質問事項」といいます。なお、2021年1月29日付質問事項の内容につきましては、別紙2をご参照ください。)とともに、本質問事項に係るヒアリングの場を設ける旨を記載した書簡を送付いたしました。その後、本特別委員会は、公開買付者から2021年1月30日付書簡(シティ社)(以下に定義されます。以下同じです。)を受領し、2021年1月31日、公開買付者の代表取締役である福島啓修氏(以下「福島氏」といいます。)並びに公開買付者の親会社の株主とされる村上世彰氏(以下「村上氏」といいます。)、当該親会社の代表取締役とされる村上絢氏及び当該親会社の職員とされる村上貴輝氏に対して約2時間にわたりヒアリング(以下「2021年1月31日付ヒアリング」といいます。)を実施いたしましたが、2021年1月30日付書簡(シティ社)及び2021年1月31日付ヒアリングにおいても、公開買付者からは、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は示されず、本特別委員会は、2021年2月2日時点において、シティ社提案取引が具体的かつ実現可能性のある真摯な提案であることの確認ができませんでした。そのため、本特別委員会は、2021年2月2日の時点においては、公開買付者による当社に対するデュー・ディリジェンスの実施を許諾することは適当ではないものと判断しました。
なお、本特別委員会は、2021年2月2日付で、公開買付者に対し、本公開買付けにおける強圧性の可能性を排除し、当社の少数株主を保護する観点から、グリーン社公開買付けと実質的に同水準の買付予定数の下限を設定すること、又は、少なくとも本公開買付けの成立後に公開買付者及びそのグループが所有することになる当社の議決権数が当社の総議決権数の過半数となる買付予定数の下限を設定することを強く要望いたしました。すなわち、本公開買付けに買付予定数の下限が付されない場合、当社株式の上場が維持された上で、公開買付者が当社の支配株主となることが想定されますが、上記のとおり、公開買付者からは、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は示されていなかったため、当社の企業価値への悪影響のおそれを懸念する株主が、本公開買付けに応募せざるを得ないと考える可能性があると想定されることから、当社の少数株主保護の観点から、本特別委員会は、公開買付者に対し、本公開買付けの買付予定数の下限を設定することを要望しておりましたが、当該要望は受け入れられておりません。
また、本特別委員会は、当社が公開買付者の要請に基づき公表した、2021年2月4日付「株式会社シティインデックスイレブンスによる日本アジアグループ株式会社株券(証券コード:3751)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」に添付した「日本アジアグループ株式会社株券(証券コード:3751)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(以下「シティ社プレスリリース」といいます。)及び本公開買付けに関して公開買付者が2021年2月5日に提出した公開買付届出書(以下「本公開買付届出書」といいます。)の内容その他の関連情報を直ちに精査し、慎重に評価・検討を進めてまいりましたが、シティ社プレスリリース及び本公開買付届出書においても、対象子会社の株式のグリーン社又は第三者への売却及びザクティの株式の山下氏又は第三者への売却を除き、本公開買付け後の当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針に係る記載はありませんでした。
これらを受け、本特別委員会は、2021年2月9日までに収集した情報のみでは、本公開買付けを含むシティ社提案取引が当社の企業価値向上に資するものであるかの確認が十分に行えたとはいえないと考え、2021年2月9日に、当社取締役会に対し、本公開買付けを含むシティ社提案取引が当社の企業価値の向上に資するものであるかの慎重な検討を行うべく、法に基づく意見表明報告書における公開買付者に対する質問の制度を用いて本公開買付け及び公開買付者に関する正確な情報収集を早期に実施すべきと判断し、当社が2021年2月10日付で公表した「株式会社シティインデックスイレブンスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ」の別紙に記載された質問(以下「本追加質問」といいます。)を公開買付者に提示すること及び本追加質問に対する公開買付者からの回答が得られるまでは、本公開買付けに対する意見の表明を留保することが妥当である旨の答申書(以下「本答申書(留保)」といいます。)を提出いたしました。
そこで、当社は、2021年2月10日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けが当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上に資するものであるかという点について更なる評価・検討を行うべく、公開買付者に対して、本追加質問を提示し、当該時点では当社の本公開買付けに対する意見の表明を留保する旨を決議いたしました。なお、当該取締役会には、当社の全ての監査役である監査役3名が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことに異議がない旨の意見を述べております。
その後、当社からの本追加質問を受けて、公開買付者は、2021年2月15日に、対質問回答報告書(以下「本対質問回答報告書」といいます。)を提出いたしました。本特別委員会は、本対質問回答報告書及びその別紙並びに当社が収集した本公開買付け及び公開買付者に関する情報をもとに、シティ社提案取引を詳細に評価及び検討いたしました。
そして、本特別委員会は、2021年2月18日付で、本公開買付けは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上に資するものではなく、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは適当である旨の答申書(以下「本答申書(反対)」といいます。)を提出いたしました(本答申書(反対)の概要については、下記「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。当社は、本答申書(反対)の内容を踏まえ、2021年2月19日開催の当社取締役会において、本公開買付けに対して反対の意見を表明する旨を決議いたしました。なお、当該取締役会決議は、下記「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」の方法により決議されております。
② 意見の理由
当社は、(ⅰ)公開買付者は、他社による公開買付けを阻止するために本公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの皆様の利益に対して関心がないこと、(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと、(ⅲ)公開買付者が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたす可能性があること、並びに、(ⅳ)当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること、及び、本公開買付届出書記載のスクイーズ・アウト手続に係る公開買付者の姿勢は、少数株主の利益に対する配慮を欠くものであることから、本公開買付けは当社の企業価値を向上させるものではなく、当社の株主、顧客、取引先及び従業員その他のステークホルダーの皆様に対しても悪影響を及ぼす可能性が高いものと考え、本公開買付けに対して反対いたします。その具体的な内容については以下のとおりです。
(ⅰ) 公開買付者は、他社による公開買付けを阻止するために本公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの皆様の利益に対して関心がないこと
(a) 公開買付者は当社グループの事業に対して一切関心を有しておらず、公開買付者による当社の経営権の獲得は当社の全てのステークホルダーの皆様及び社会全体にとって望ましくないこと
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の上限を設定しておらず、当社株式の全て(公開買付者らが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。以下同じです。)を取得する可能性があります(また、本公開買付届出書によれば、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全てを取得できなかった場合であっても、本株式併合(下記「(3) 上場廃止となる見込み及びその事由」において定義されます。)により、当社株式の全てを取得する可能性があるとのことです。)。
一般的に、買付予定数の上限が設定されない公開買付けは、対象者の経営権を取得することを目的として実施されるものであるところ、本公開買付け予告プレスリリース及び本公開買付届出書によれば、公開買付者が本公開買付けを予告及び開始した目的は「MBO公開買付け(注:グリーン社公開買付けを指します。以下同じです。)の成立を阻止する」ためとのことです。すなわち、公開買付者は、買付予定数の上限が付されない公開買付けにおける本来の実施目的(経営権取得目的)を有しておらず、先行するグリーン社公開買付けの成立の阻止という特異な目的の下、本公開買付けの予告及び開始を決定しており、当社グループの事業に対して一切関心を有していないと考えられます(その証左として、公開買付者は、当社に対して、本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針を一切示していません。詳細は、下記「(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと」の「(a)公開買付者から本公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針が一切示されず、公開買付者による当社グループの経営の意思ひいては当社の企業価値の向上の意思が見受けられないこと」をご参照ください。)。
また、当社は、「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」とのミッション及び「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビジョンの実現を通じ、技術革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速することによって、地球と地域の持続性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持続可能なまちづくり「グリーン・コミュニティの創造」を基本方針として事業を遂行しており、当社の顧客、取引先及び従業員をはじめとする全てのステークホルダーの皆様にも、上記の当社のミッション及びビジョンの実現に向けて日々ご協力、ご尽力いただいております。
他方、公開買付者が「MBO公開買付けの成立を阻止する」という特異な目的の下に公開買付けを予告及び開始したこと、並びに、公開買付者から本公開買付成立後における当社グループの具体的な経営方針が全く示されていないこと(下記「(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと」の「(a)公開買付者から本公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針が一切示されず、公開買付者による当社グループの経営の意思ひいては当社の企業価値の向上の意思が見受けられないこと」をご参照ください。)からすると、公開買付者が、上記の当社グループの事業内容ひいては当社のミッション及びビジョンに一切関心を有しておらず、理解もしていないことは明らかです。
当社グループの事業内容ひいては当社のミッション及びビジョンに関心・理解を全く有していない者が当社の経営権を取得した場合、当該ミッション及びビジョンがないがしろにされることが容易に想定されます。そのような事態は、当社グループの顧客、取引先及び従業員をはじめとする全てのステークホルダーの皆様、さらには当社の実現してきた社会的利益に対する重大な悪影響を与える可能性があります(また、公開買付者を含む村上氏と関係を有する者による過去の投資事例を踏まえ、本公開買付けが当社グループの全てのステークホルダーの皆様の利益の向上は期待しがたいと考えられることについては、下記「(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと」の「(b)村上氏と関係を有する者による過去の投資事例を踏まえると、本公開買付けによって、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上は期待しがたいこと」をご参照ください。)。
(b) グリーン社提案取引は不当なものではなく、その成立を阻止するとの本公開買付けの目的は正当ではないこと
公開買付者は、本対質問回答報告書別紙において、グリーン社公開買付けの条件につき、「本件MBO(注:グリーン社提案取引を指します。)は、当初の条件下においては、本来は株主が受け取るべきはずの約160億円…を株主から奪い、これを山下氏に無償で与えようとするものであったことを対象者(注:当社を指します。以下同じです。)取締役会及び対象者特別委員会の皆様がお認めになったものである」旨主張しております。しかし、公開買付者の当該主張は、明らかな事実の誤認・歪曲に基づく主張であって、当社の株主その他のステークホルダーの皆様に対して誤解を生じさせるものです。
公開買付者は、グリーン社提案取引後における当社の純資産額の数値をもって、山下氏が当社への再出資によって手に入れる株主価値であるかのような主張をしておりますが、純資産額は企業の将来の収益性を反映するものではないため、今後も引き続き事業を継続していくことを想定している企業である当社の企業価値の把握のための指標としては適切ではありません。また、純資産額の数値はあくまで当社の貸借対照表上の資産及び負債の額の差額に過ぎず、実際に当社が清算される場合に株主の皆様の手元に残る資産の金額と必ずしも一致するものでもありません。
企業財務理論及び企業評価実務においては、企業が継続する前提における株主価値は、将来の予想キャッシュフローを基礎として計算される企業価値から、純有利子負債額を控除することで求めることが一般的です。かかる一般的な考え方に基づき、①足元の業績が赤字(2020年3月期当期純損失:▲1,645百万円)であるザクティにつき業績回復の見通しが定かでないこと、②JAG継続事業全体でも足元で営業損失が約2,500百万円(ただし、内部取引等について、一定の条件を設定した上での概算数値)を計上していること、また、③グリーン社提案取引の実行に伴い、対象子会社が現時点において当社に対して負担している経営管理料(当社グループ運営のための支出)が解消されること等を考慮すれば、グリーン社提案取引後の当社の企業価値は、大幅なマイナスの評価額となることが見込まれます。さらに、当社が2021年1月26日に公表した「(変更)「MBOの実施及び応募の推奨並びに子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」の一部変更について」(以下「グリーン社公開買付け買付条件等変更プレスリリース」といいます。)記載の買付け等の条件変更前の1株当たり公開買付価格を600円としたグリーン社公開買付けを含むグリーン社提案取引により、当社がグリーン社から対象子会社株式(2020年11月5日付プレスリリースにおいて定義された意味を有します。以下同じです。)の一部の譲渡対価として受領する予定であった金銭約20,527百万円(売却益課税考慮後の金額は17,612百万円)をもってしても、JAG継続事業に係る純有利子負債額23,006百万円(2020年9月30日時点の金融機関からの借入金の金額は33,216百万円、2020年9月30日時点のJAG継続事業各社の現金及び預金の合計金額は10,210百万円です。ただし、当該金額は監査法人による監査を経て算出した数値ではありません。)を相殺することはできず(当社がグリーン社より対象子会社株式の一部の譲渡対価として受領する予定であった金銭の額(売却益課税考慮後の金額である17,612百万円)とJAG継続事業に係る純有利子負債額の差額は▲5,394百万円です。)、当社が継続保有する予定であった対象子会社の株式の価値(評価額は約13,000百万円)を考慮しても、グリーン社提案取引後の当社の株主価値の観点において、純資産額に相当するような評価額を見積もることは困難と言えます。
すなわち、グリーン社公開買付け買付条件等変更プレスリリース記載の買付け等の条件変更前の1株当たり公開買付価格を600円としたグリーン社公開買付けは、JAG継続事業に取り組む各社の従業員の雇用を守り、ザクティの収益化に向けた抜本的改革のための投資を含む運転資金(約2,000百万円を見込んでおります。)を確保する必要性があったことを考慮すれば、当社の株主価値を株主の皆様に全て還元するに等しいものであったと評価できるものでした。公開買付者は、上記の事実関係を認識し、企業が継続する前提における株主価値の算定手法についても当然に理解していると考えられるにもかかわらず、グリーン社提案取引後における当社の純資産額のみをことさら強調し、「山下氏が無償で約210億円~約220億円の純資産を有する当社を取得する」などと主張しており、これは、事実の曲解及び意図的な歪曲に基づく、極めて不適切かつ不当な行為と言わざるを得ません。なお、公開買付者が約210億円~約220億円と主張する純資産額は、当社が公表したものではなく、その主張の根拠も明らかではありません。
また、公開買付者は、グリーン社公開買付け買付条件等変更プレスリリース記載のとおり、グリーン社公開買付けにおける1株当たり公開買付価格が1,200円に引き上げられたことを根拠として、「当初の条件下においては、本来は株主が受け取るべきはずの約160億円…を株主から奪い、これを山下氏に無償で与えようとするものであった」と主張しているように見受けられますが、当該公開買付価格の変更は、当社が対象子会社株式の譲渡の対価としてグリーン社から受け取る資金をもって、山下氏がJAG継続事業の抜本的改革に注力する環境を整備するとの方策の下、当社が抜本的改革のための運転資金として想定していた現預金を減額し、継続保有することを想定していた対象子会社の株式についても、当社及びグリーン社の間での対象子会社に係るパートナーシップ関係の構築という趣旨・目的を損なわない限度において、最大限、当該株式の価値を実現させてグリーン社公開買付けにおける公開買付価格に振り向けることで、提供することができる最大限かつ最終の価格まで公開買付価格を引き上げ、もってできうる限りの株主還元を行うこととした結果によるものです。なお、かかるグリーン社公開買付けにおける公開買付価格の変更及び株主還元は、山下氏及びグリーン社が、当社の取引金融機関とも綿密に協議を重ねた上で、当初継続保有を想定していた現預金や対象子会社株式を活用して、最大限、株主還元に振り向けたとしても、JAG継続事業において直ちに運転資金が不足してしまう状況を回避する枠組みを確保できたことにより、はじめて可能となったものであると認識しております。
上記のとおり、グリーン社公開買付けを含むグリーン社提案取引は、その条件においても山下氏が株主の皆様の犠牲の下に利益を得るといった内容のものではなく、およそ不当な取引とは言えません。そのため、グリーン社公開買付けの成立を阻止するとの本公開買付けの目的自体が、正当性を欠くものであることは明らかです。
(c) 先行するグリーン社公開買付けは既に不成立となっており、本公開買付けはその実施目的を失っていること
上記「(a)公開買付者は当社グループの事業に対して一切関心を有しておらず、公開買付者による当社の経営権の獲得は当社の全てのステークホルダーの皆様及び社会全体にとって望ましくないこと」のとおり、公開買付者による本公開買付けの予告及び開始の目的は「MBO公開買付けの成立を阻止する」ことであるところ、グリーン社公開買付け結果プレスリリースに記載のとおり、グリーン社公開買付けは2021年2月9日に不成立となりました。そのため、公開買付者が本公開買付けを実施する目的は既に達成されているはずであり、当該目的が達成された現時点において、公開買付者が本公開買付けを実施する意義は明らかではありません。
本公開買付けが開始された以上、グリーン社公開買付けの成立の阻止という目的の達成のみを理由として本公開買付けを撤回することはできませんが、目的を達成したにもかかわらず、本公開買付けを継続しなければならないこと自体が、これを目的として本公開買付けを実行したことの不当性を示しています。
なお、この点に関して、2021年1月31日付ヒアリングにおいて、公開買付者の代表取締役である福島氏及び公開買付者の親会社の株主として参加した村上氏は、公開買付者らがグリーン社公開買付けに応募しない以上、先行するグリーン社公開買付けが成立する可能性はない旨を何度も指摘していました。両氏が言及するとおりであるならば、公開買付者がグリーン社公開買付けの成立の阻止を目的として本公開買付けを予告ないしは開始する必要はないはずであり、特に、本公開買付け予告プレスリリースの公開については、公開買付者が、スキームを変更して公開買付価格を引き上げるという方法も考えられると伝えたとされるカーライルとの協議の打ち切り直後に行われたとの経緯からも、グリーン社公開買付けの成立を阻止するというより、グリーン社公開買付けの公開買付価格の吊り上げ目的ではないかとの疑いを禁じ得ません。
(ⅱ) 公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと
(a) 公開買付者から本公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針が一切示されず、公開買付者による当社グループの経営の意思ひいては当社の企業価値の向上の意思が見受けられないこと
ア 公開買付者から当社の企業価値の向上に向けた具体的な経営方針が一切示されていないこと
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の上限を設定しておらず、かつ、買付予定数の下限も設定していないことから、(公開買付者による本公開買付けの実施の目的は「MBO公開買付けの成立を阻止する」ことのみであるものの)本公開買付けは、公開買付者が当社の支配株主となり当社の経営権を取得することを目指すものであり、また、本公開買付け後、公開買付者は当社の経営権を取得しつつも、当社は上場会社であり続ける可能性があります。当社の経営権を取得しようとする公開買付者がいかなる経営方針を有するかは、当社の企業価値の向上に大きな影響を有し、当社グループの顧客、取引先及び従業員等のステークホルダーの皆様にとっても重大な影響を与える事項です。よって、公開買付者が本公開買付けを開始するにあたっては、公開買付者が考える当社グループの具体的な経営方針が示されてしかるべきです(特に、公開買付者は、本公開買付届出書及び本対質問回答報告書別紙において、「上場会社は社会の公器として、従業員、取引先、ビジネスパートナー、そして株主といった全てのステークホルダーに対する責任がある」旨を自ら述べていますが、そうであるならば、当然ながら、社会の公器である上場会社(当社)の経営権の取得を目指す者も全てのステークホルダーの皆様に対して同様の責任を負担するべきです。本公開買付け後の当社グループの経営方針については当社経営陣と協議を行った上で決定したいとの空虚な回答を繰り返すことに終始し、当社グループのステークホルダーの皆様に対して当社グループの具体的な経営方針の提示を一切行っていないことは、矛盾と言わざるを得ません。)。
なお、公開買付者は、本対質問回答報告書別紙において、「対象者の経営方針及び経営体制について、対象者の企業価値をさらに向上させる観点から、対象者に対するデュー・ディリジェンスを行い、対象者経営陣と真摯に協議を行った上で決定したい」旨述べる等、繰り返し当社に対するデュー・ディリジェンスの実施を求めており、「公開買付者による対象者をとりまく全てのステークホルダーの更なる価値向上の観点に基づく経営方針を具体的に検討しお伝えすることが、困難となって」いる旨述べ、当該デュー・ディリジェンスが実施できなかったことを当社グループの具体的な経営方針の提示を行わない理由としております。
そもそも、支配権の取得を伴う取引の提案をする場合には、一般に開示された情報や調査会社によって取得可能な情報を精査し、対象企業の情報の把握・分析を行い、ビジネスコンサルタント等の専門家の意見も考慮の上、取引条件や、企業価値の向上のための施策を含む取引実行後の経営方針などに関する初期的な提案を行うことが一般的であるところ、以下のとおり、公開買付者からは、当該初期的な提案として求められる程度の当社グループの具体的な経営方針の提示さえなされておりません。公開買付者は、本対質問回答報告書別紙において、「対象者がデュー・ディリジェンスを拒否する中であってもできる限りの調査・検討を行っております」と主張しておりますが、本対質問回答報告書別紙の記載内容は当社グループの各社の事業内容を表面的になぞったものに過ぎず、当社グループの経営方針に関する具体的な提案は一切述べられていません。本対質問回答報告書別紙の内容からも、公開買付者が当社グループの経営方針に関する具体的な提案を行うために当社グループの事業内容につき真摯に調査・検討を行った形跡はおよそ見受けられません。さらに、以下に述べるとおり、公開買付者がわずか1日という極めて短期間の検討のみで本公開買付けの実施を決定した経緯に鑑みれば、このように初期的な提案としても具体性及び真摯性を全く欠く買収提案を行う公開買付者に対してデュー・ディリジェンス実施の機会を与えることは、真摯な買収提案につながることがおよそ期待できないばかりか、非公開の営業秘密を含む当社グループの情報を開示することによって将来の当社の事業遂行に悪影響を与えることも強く懸念されるため、当社が公開買付者に対してデュー・ディリジェンス実施の機会を与えなかったことは当社の企業価値の維持にとって必要かつ相当な対応でした。
上記のような経緯に鑑みれば、公開買付者が当社に対するデュー・ディリジェンスを実施できなかったことは、当社グループの具体的な経営方針の提示を行わないことを正当化する理由とはおよそ認められません。そもそも、公開買付者は、本公開買付けの実施の目的を「MBO公開買付けの成立を阻止する」ことであるとしており、当社グループの事業に対して一切関心を有しておらず、当社グループの経営方針については何ら持ち合わせていないことがうかがわれるため、公開買付者が当社グループの具体的な経営方針の提示を行わないことと当社が公開買付者に対してデュー・ディリジェンス実施の機会を与えなかったこととの間には何らの関係もないと考えております。
本特別委員会は、公開買付者に対して送付した本質問事項において、本公開買付け実行後の当社グループ(対象子会社及びザクティを除きます。)の経営方針について、再三にわたって確認してまいりました。しかし、公開買付者からは、2021年1月27日付回答、2021年1月28日付回答及び公開買付者から本特別委員会に対する2021年1月30日付書簡(以下「2021年1月30日付書簡(シティ社)」といいます。2021年1月30日付書簡(シティ社)における記載の内容については、別紙2をご参照ください。)において、「貴社経営陣には、貴社の企業価値向上と貴社の全ての株主の株主価値向上のために、最善の経営判断を行って頂きたいと考えております。弊社も株主として貴社経営陣と真摯に協議を行うなど協力を惜しまない所存です。」、「対象子会社及びザクティ以外の当社(注:原文ママ)事業の経営方針に関しては、デュー・ディリジェンス実施後に、貴社経営陣の皆様のご意見を伺いながら、決定したいと考えております」、「現在貴社に帰属する従業員数、資産等の多数を占める対象子会社2社及びザクティについては基本的には売却する方針です。売却後の貴社の継続事業は極めて小さくなると考えておりますので、貴社経営陣と協議の上、最善の対応を採りたいと考えております」といった極めて抽象的かつ一切の具体的な提案を含まない回答がなされるのみであり、2021年1月31日付ヒアリングにおける回答を含め、公開買付者からは、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は一切示されませんでした(上記の本特別委員会による質問事項及び公開買付者による回答の詳細については、別紙1及び別紙2をご参照ください。)。また、公開買付者は、本公開買付届出書においても、対象子会社の株式をカーライル又は第三者に対して売却すること、並びに、ザクティの全株式の取得を山下氏及び同氏の資産管理会社であるグリーンプロジェクト株式会社(以下、総称して「山下氏ら」といいます。)に申し入れること並びに山下氏らに売却できないときは第三者への売却を検討すること以外には、「本公開買付け終了後の経営方針及び経営体制の具体的な内容について、今後、対象者と協議を行った上で決定したいと考えて」いる旨を述べるにとどまっており、やはり、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は一切示されておりません。
このように、本特別委員会からの再三の要求にもかかわらず、本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針を一切示そうとしない公開買付者の姿勢からは、当社の企業価値の向上の意思はおよそうかがえません。
上記に加え、公開買付者は、2021年1月28日付回答において、本公開買付け後におけるJAG継続事業(ザクティを除きます。)、対象子会社及びザクティの経営方針等に係る本特別委員会からの質問を「枝葉末節」なものと言及しております(公開買付者による当該回答の詳細については、別紙1及び別紙2をご参照ください。)。企業経営において経営方針が枝葉末節なものであるということはおよそ考えられず、このような公開買付者の態度からも、公開買付者が、JAG継続事業(ザクティを除きます。)、対象子会社及びザクティの企業価値を向上させる意思をおよそ有していないことは明らかです。
また、公開買付者は、2021年1月31日付ヒアリングにおいて、JAG国際エナジーにつき、「太陽光発電事業は一種の金融商品である」との趣旨の発言をしており、また、本対質問回答報告書別紙においても、対象子会社及びザクティの株式売却後の当社グループとの間のシナジー効果の喪失につき、「対象者経営陣と協議の上、最善の方策を取りたい」と述べるのみであり、具体的な検討・分析を全く行っていないことを自認しております。JAG国際エナジーを単なる金融商品として捉え、その事業の当社グループにおける位置付けや社会的意義を鑑みず、また、ザクティを除くJAG継続事業と対象子会社及びザクティとの間の事業上のシナジーについてもおよそ検討することなく、対象子会社及びザクティを売却することのみを執拗に主張する公開買付者の姿勢からは、当社の企業価値を向上させる意思が皆無であることは明白であり、下記「(b)村上氏と関係を有する者による過去の投資事例を踏まえると、本公開買付けによって、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上は期待しがたいことのとおり、公開買付者は、会社の企業価値を高めるよりも、株主還元による自らの投資回収を実現することを目的としている懸念があることから、その売却で得られた資金を利用した株主還元による、投資の回収のみを目指していること、いわば、公開買付者による本公開買付けが会社資産の切り売りによる株主還元を目的とした解体的買収であることも強く推認されます。
さらに、本公開買付届出書にも記載のとおり、公開買付者は、当社に対して、2020年11月16日付の書簡をはじめとして、複数回にわたり、グリーン社公開買付け実施後に当社が保有すると想定される純資産額に係る質問を記載した書簡を送付しております。しかし、純資産額は、会社の将来の収益性を反映するものではないため、今後も引き続き事業を継続していくことを想定している企業である当社の企業価値の把握のための指標としては適切ではありません。公開買付者が当社の純資産額に執拗に拘っていることは、当社を継続企業ではなく、切り売り可能な資産と見ていることの現れであり、この点からも、公開買付者が、当社の企業価値の向上についての関心を有していないことは明らかであり、やはり解体的買収目的であることが強く推認されます。
なお、公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が示されないことに加え、公開買付者が、2021年1月27日付回答において、「弊社グループ(注:公開買付者のグループを指します。以下同じです。)は、「空間情報事業」「グリーン・エネルギー事業」「森林活性化事業」といった事業分野の企業経営の実績はありません」と自認していることをあわせ考慮すれば(公開買付者による当該回答の詳細については、別紙1及び別紙2をご参照ください。)、公開買付者が当社グループを適切に経営する能力を有するかにつき重大な疑念があり、公開買付者による当社の経営権取得後の当社の企業価値向上はおよそ達成できないことは明らかです。とりわけ、(山下氏ら又は第三者に売却できなかった場合には当社グループとして存続することとなる)ザクティについては、業績回復の見通しが定かでなく、その収益化のためには抜本的改革が必要であり、事業再生及び企業価値向上は容易ではありません。ザクティの事業領域において企業経営実績を有しない公開買付者が、その事業再生及び企業価値向上を達成することは、当社グループのその他の事業領域における事業経営と比べても一層困難であると考えられます。
以上のように、公開買付者は、本公開買付け後において、当社の経営権を取得することを目指している(少なくとも当社の経営権を取得する可能性がある)にもかかわらず、本公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針を一切示しておらず、当社の企業価値の向上に向けた意思を有していないことは明らかです。そのため、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値の向上に向けた適切な施策がなされることは到底期待できず、かえって、当社グループの事業及び日常業務にも著しい支障が生じることも容易に想定されます。これにより、当社の取引先、顧客及び従業員並びに(本公開買付け後も当社株式が引き続き株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部に上場される場合には)株主その他のステークホルダーの皆様に対して損害を与えることが容易に想定され、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益をも毀損する可能性は否定できないと考えられます。
なお、経済産業省が2019年6月28日に策定した「公正なM&Aの在り方に関する指針」14頁においては、M&Aにおいて尊重されるべき原則として「企業価値の向上」が挙げられ、「望ましいM&Aか否かは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべきである」とされています。本公開買付けが当社の「企業価値の向上」につながらないことは、上記のとおりであり、当該指針に定める原則に照らしても、本公開買付けが望ましいM&Aでないことは明らかです。
イ 公開買付者はわずか1日という極めて短期間の検討のみで本公開買付けの実施を決定しており、真摯に当社グループの経営を行う意思がないと考えられること
本公開買付け予告プレスリリース及び2021年1月27日付回答によれば、公開買付者は、2021年1月13日にカーライルとの協議を打ち切った後、本公開買付けの実施の検討を開始し、その翌日である2021年1月14日に本公開買付けの実施を決定したとのことです。
上記の経緯に照らせば、公開買付者は、わずか1日という極めて短期間の検討のみで、本公開買付けの実施を決定しており、公開買付者が本公開買付け後に当社の経営権を取得した場合の当社グループの具体的な経営方針ひいては当社の企業価値の向上に向けた施策について、真摯な検討がなされたとは到底考えられません。わずか1日という極めて短期間の検討のみで、本公開買付けの実施を決定したという事実は、本公開買付けが当社の経営権の取得を目指すものであることに鑑みると驚愕すべきこと、信じがたいことであると同時に、当社の企業価値の向上を行う目的、当社グループの各ステークホルダーの皆様の利益への顧慮はおよそ有していないことの明確かつ端的な証左として看過しえないものと考えております。
このように、当社の企業価値の向上を行う目的をおよそ有しない公開買付者による当社グループの経営への関与は、当社の企業価値ひいては株主の皆様共同の利益をも毀損する可能性が否定できないと考えられます。
ウ 当社の経営陣との間でも信頼関係の醸成がなされておらず、当社の経営陣との協力の下、当社グループの経営を継続していくことも困難であること
上記「ア 公開買付者から当社の企業価値の向上に向けた具体的な経営方針が一切示されていないこと」のとおり、公開買付者は、当社グループの経営方針について一切の具体的な提案を行っておらず、当社の経営陣と協議の上、今後の対応を決定したい旨述べております。
当社は、「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」とのミッション及び「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」とのビジョンの実現を通じ、技術革新が開く新たな社会、市場を先見し、その革新を支援、加速することによって、地球と地域の持続性を高めることを当社グループの責務と位置づけ、安心・安全で持続可能なまちづくり「グリーン・コミュニティの創造」を基本方針として、当社の株主の皆様、顧客、取引先及び従業員の全てのステークホルダーの皆様の利益の実現に向けて事業を遂行しています。当社は、当社グループの経営方針について株主の皆様のご意見を伺い、誠実に対話を重ねた上で経営を行うことは、当社の中長期的な企業価値の向上及び持続的な発展のために不可欠と考えておりますが、当社の企業価値の向上及び全てのステークホルダーの皆様の利益の実現に向けて取り組む意思を有しない株主や買収者との対話・協力は、当社の企業価値及びその他のステークホルダーの皆様の利益を害する可能性があり、困難であると考えております。
また、当社は、公開買付者が、当社グループ会社に対して、一斉に、2021年2月12日付で、当社に対して事前に通知等をすることなく、当社グループ会社の従業員に対する本公開買付けに係る説明の機会の提供を求める書簡を直接送付している事実を把握しております。当社グループ会社各社は、公開買付者からの当該書簡を突然受領し、大変に困惑し、その役職員の間にも動揺が広がっており、日常の事業遂行にも支障が生じています。当社としても、当社が本公開買付けに関して慎重なる評価及び検討を行っている最中に、当社に対する事前の通知及び相談なく、突如かかる書簡を当社グループ会社に一斉に直接送付するという非常識な行動を確認し、かかる非常識な行動を平然と実行する公開買付者が、当社の経営権を取得する可能性が存することに強い不安を覚えています。
そのため、当社の経営陣が、上記「ア 公開買付者から当社の企業価値の向上に向けた具体的な経営方針が一切示されていないこと」のとおり、当社の企業価値の向上を行う目的をおよそ有さず、また、非常識な行動をとる公開買付者との間で信頼関係を醸成し、建設的に経営方針について協議・実行することは困難であり、公開買付者の主張する形での経営方針の決定は不可能であると考えております。
(b) 村上氏と関係を有する者による過去の投資事例を踏まえると、本公開買付けによって、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上は期待しがたいこと
本公開買付届出書によれば、公開買付者は、「株主価値向上に貢献してきた投資実績」を有するとのことですが、下表の村上氏関係会社及び村上氏関係者(注)による投資事例の実態は、「多額の借入によって調達した資金を原資としてなされる自己株式取得を通じて、自身の保有する株式を売り抜ける方針」を採用してきたものと言わざるを得ません。
(注) 「村上氏関係会社」とは、公開買付者、オフィスサポート、レノ、エスグラントコーポレーション、株式会社C&I Holdings、株式会社シティインデックスホスピタリティ、株式会社南青山不動産、株式会社リビルト及びその他の村上氏が関係する会社(それらの会社の役員を含みます。)のいずれかを指し、「村上氏関係者」とは、野村絢氏、野村氏及びその代理人弁護士のいずれかを指します。
<村上氏関係会社及び村上氏関係者による投資事例(投資回収事例)>下表の投資事例は、参考例として列挙したものであり、それらにおける村上氏関係会社及び村上氏関係者以外の関係当事者による意思決定、投資手法及びそれらの実行行為につき否定するものではなく、また、何ら意見を述べるものでもございません。
投資事例(投資回収事例)概要
1.黒田電気株式会社による自己株公開買付け(2017年12月22日公表)■ 同社の2017年12月22日付のプレスリリースによれば、自己株式の取得に要する資金は約301億円であったところ、その一部(約230億円)を、MBKパートナーズが運営する特別目的会社から借り入れることで実現
■ 同社の2017年12月22日付のプレスリリースによれば、村上氏関係会社及び村上氏関係者は、所有割合約24.6%に相当する株式を応募する旨の合意を締結
2.三信電気株式会社による自己株公開買付け(2018年5月14日公表)■ 同社の2018年5月14日付のプレスリリースによれば、自己株式の取得に要する資金は約198億円であったところ、自己株公開買付けの公表の前に約100億円の借入を実施しており、自己株式の取得の後においても手元流動性は十分確保できる旨を公表
■ 同社の2018年5月14日付のプレスリリースによれば、自己株公開買付けに係る買付予定数は、同社の発行済株式の約31%に相当する株式数
■ 株式会社C&I Holdingsが提出した2018年7月10日付の大量保有報告書の変更報告書によれば、村上氏関係会社及び村上氏関係者は当該自己株公開買付けへの応募を行い、株券等保有割合にして約25.6%に相当する株式を売却
3.新明和工業株式会社による自己株公開買付け(2019年1月21日公表)■ 同社の2019年1月21日付及び2019年3月7日付のプレスリリースによれば、自己株式の取得に要する資金は約400億円であったところ、これを負債(変動金利)により調達
■ 同社の2019年1月21日付のプレスリリースによれば、自己株公開買付けに係る買付予定数は、同社の発行済株式の約28%に相当する株式数
■ 同社の2019年1月21日付のプレスリリースによれば、村上氏関係会社からの自己株公開買付けに応じる意向を踏まえて、同社は自己株公開買付けの具体的な検討を開始(レノが提出した2019年1月4日付の大量保有報告書の変更報告書によれば、村上氏関係会社は、株券等保有割合約22.88%に相当する株式を保有)
■ レノが提出した2019年3月20日付の大量保有報告書の変更報告書によれば、村上氏関係会社は、自己株公開買付けにより株券等保有割合約19%に相当する株式を売却


一般的に、自己株式の取得は、手元の余剰資金を用いて行うことにより、ROE(Return on Equity)を向上させることを目的とするものであるところ、上表のとおり、村上氏関係会社及び村上氏関係者が投資先の会社に対して自己株式取得の形で自らの保有する株式を売却する場合においては、手元の余剰資金の活用ではなく、金利負担の発生する多額の負債による調達資金を原資の一部とするという特異な事象が連続して発生しています。このような手法は、会社の財務状況を危うくする可能性のあるものであって、会社の株主、顧客、取引先及び従業員等のステークホルダーの皆様に対して悪影響を与える可能性のあるものです。
以上を踏まえますと、公開買付者は、投資先企業である当社の企業価値を高めることで株主価値を高めるという手法ではなく、当社に多額の借入を行わせた上で、当該資金による自己株式の取得によって、自らの投資の回収を実現しようと考えていることの懸念を否定できないものと指摘せざるを得ません。なお、公開買付者は本対質問回答報告書別紙において、「数百億円という多額の投資をしておいて、投資先企業の事業経営に関心がないなどということがあり得るでしょうか。」との主張をしておりますが、以上のとおり、村上氏関係会社及び村上氏関係者は、投資先企業に高額の投資をしながら、その投資先企業においては金利負担の発生する多額の負債による資金調達を行った上で、自らの保有する株式をその投資先企業に売却する手法によって、自らの投資回収を実現した投資事例があり、公開買付者の投資額が多額であることが、公開買付者に企業価値を高める意思があることを基礎づける理由とはならないと考えられます。
(ⅲ) 公開買付者が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたす可能性があること
当社は、公開買付者による本公開買付け予告プレスリリースの公開後、当社グループの既存の取引先(取引金融機関を含みます。)に対して、本公開買付けに係る状況の説明等を行っております。その際、複数の取引先から、本公開買付け後に公開買付者が当社の経営権を取得した場合における経営方針への不安を伝えられており、また、一部の取引先からは、本公開買付け後に公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、既存の取引関係を継続することは難しい可能性がある旨告げられております。当該取引先に限らず、本公開買付け後に公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社グループの重要な取引先との間でも同様に取引の継続が困難になる可能性があることは容易に想像されます。
また、当社には、公開買付者による本公開買付け予告プレスリリースの公開後、当社グループの従業員から、公開買付者が当社の経営権を取得する可能性があることに対する不安・動揺を示す多くの声が寄せられています。当社グループの従業員には、当社のミッション及びビジョンの実現に向けて日々尽力しておりますが、当社グループの事業内容並びに当社のミッション及びビジョンに関心を全く有していない公開買付者が当社の経営権を取得した場合、当該ミッション及びビジョンがないがしろにされることが容易に想定されるところであり、その場合、当社グループの従業員の離職や労働意欲の低下が強く懸念されます。
以上のとおり、公開買付者が当社の経営権を取得する場合、当社グループの事業遂行が阻害され、当社の基本方針である「グリーン・コミュニティの創造」の実現も困難になり、当社の企業価値ひいては当社の基本方針に共感し、ご協力、ご尽力いただいている株主、顧客、取引先及び従業員その他のステークホルダーの皆様に対して多大な悪影響を与える可能性があります。
(ⅳ) 当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること、及び、本公開買付届出書記載のスクイーズ・アウト手続に係る公開買付者の姿勢は、少数株主の利益に対する配慮を欠くものであること
(a) 当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること
本公開買付けには買付予定数の下限が設定されていないことから、当社株式の上場が維持された上で、公開買付者が当社の支配株主となることが想定されます。その一方で、上記「(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと」の「(a)公開買付者から本公開買付け後における当社グループの具体的な経営方針が一切示されず、公開買付者による当社グループの経営の意思ひいては当社の企業価値の向上の意思が見受けられないこと」のとおり、公開買付者からは、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は示されていないため、当社の企業価値への悪影響のおそれを懸念する株主は、本公開買付けに応募せざるを得ないと考える可能性があると想定されます。さらに、上記「(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと」の「(b)村上氏と関係を有する者による過去の投資事例を踏まえると、本公開買付けによって、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上は期待しがたいこと」のとおり、村上氏と関係を有する者による過去の投資手法に照らせば、本公開買付けの成立後、当社は、多額の借入を強いられる懸念を否定できず、当該事態をおそれた当社の少数株主は、本公開買付けに応募することをより強く強制される懸念もあります。
本特別委員会は、2021年2月2日付で、公開買付者に対し、本公開買付けにおける強圧性の可能性を排除し、当社の少数株主を保護する観点から、グリーン社公開買付けと実質的に同水準の買付予定数の下限を設定すること、又は、少なくとも本公開買付けの成立後に公開買付者及びそのグループが所有することになる当社の議決権数が当社の総議決権数の過半数となる買付予定数の下限を設定することを強く要望いたしましたが、当該要望は受け入れられないまま、買付予定数の下限のない本公開買付けが開始されました。
以上より、当社は、本公開買付けは強圧性の懸念が存在する、不当な条件設定がなされたものと考えております。
(b) 本公開買付届出書記載のスクイーズ・アウト手続に係る公開買付者の姿勢は、少数株主の利益に対する配慮を欠くものであること
本公開買付届出書によれば、公開買付者は、公開買付者らの所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の40%以上となった場合には、株式併合等議案(下記「(3)上場廃止となる見込み及びその事由」において定義されます。以下同じです。)を付議議案に含む本臨時株主総会(下記「(3)上場廃止となる見込み及びその事由」において定義されます。)の開催を当社に要請し、当社株式の全ての取得を目的とした手続を実施することを予定しているとのことです。しかし、少数株主の保有する株式を一方的に取得し、投資機会を奪うことになるスクイーズ・アウト手続については、少数株主の利益に配慮し、実務上、発行会社の総議決権の3分の2以上の議決権を取得した場合にはじめて行うことが一般的な取扱いであり、議決権行使比率を考慮し、株主総会において事実上可決される可能性があることを理由に、過半数にも満たない議決権の取得にとどまる状況にもかかわらず、スクイーズ・アウト手続を行おうとする公開買付者の姿勢は、少数株主の利益に対する配慮を欠くものであって、本公開買付け及びその後に予定されている手続は、かかる観点からも適切ではありません(なお、上記「(a)当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること」のとおり、当社は、本公開買付けは、強圧性の懸念が存在する不当な条件設定がなされたものと考えており、仮に株式併合等議案が、株主総会において、本公開買付けによって取得した当社株式を含めて出席株主の総議決権の3分の2以上の賛同を得たとしても、そもそも本公開買付けは強圧性の懸念が存在する不当な条件の下で行われていることから、当社の株主の皆様がシティ社提案取引に真に賛同したと言うことはおよそできないと考えております。)。
(ⅴ) 結論
以上のとおり、当社は、(i)公開買付者は、他社による公開買付けを阻止するために本公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの皆様の利益に対して関心がないこと、(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益を毀損する可能性が否定できないこと、(ⅲ)公開買付者が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたす可能性があること、並びに、(iv)当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があること、及び、本公開買付届出書記載のスクイーズ・アウト手続に係る公開買付者の姿勢は、少数株主の利益に対する配慮を欠くものであることから、本公開買付けは当社の企業価値を向上させるものではなく、当社の株主、顧客、取引先及び従業員その他のステークホルダーの皆様に対しても悪影響を及ぼす可能性が高いものと考え、本公開買付けに対して反対いたします。
なお、公開買付者は、公開買付者が2021年2月22日に当社取締役会に対し送付した書簡(以下「2021年2月22日付書簡」といいます。)や公開買付者が2021年2月25日付で提出した本公開買付届出書の訂正届出書(以下「2021年2月25日付訂正届出書」といいます。)において、当社が本公開買付けに反対する上記(ⅰ)乃至(ⅳ)の各理由を、不当であり、根拠になっていないものである旨記載しております。しかしながら、公開買付者が2021年2月22日付書簡及び2021年2月25日付訂正届出書に記載している各主張は、合理的な根拠を欠き、いずれも上記(ⅰ)乃至(ⅳ)の各理由に対する正当な反論となっておらず、当該各理由が相当であることは明らかです。
(3) 上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本日現在東京証券取引所市場第一部に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、①本公開買付けの成立後に公開買付者らが所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上となり、かつ公開買付者が当社株式の全てを取得できなかった場合、又は、②本公開買付け成立後に、公開買付者らの所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の3分の2未満であっても、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。)第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案(以下「株式併合等議案」といいます。)に含む当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)において、当該議案が可決できる見通しとなった場合(具体的には、公開買付者らの所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の40%以上となった場合)には、公開買付者は、当社株式の全ての取得を目的とした手続を実施することを予定しているとのことです。したがって、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。
(4) 本公開買付け成立後の公開買付者による当社株式の追加取得の予定
公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式の全ての取得を目的としており、本公開買付けの成立後、公開買付者らの所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の40%未満となり本臨時株主総会が開催されない場合や、当該議決権が40%以上となり本臨時株主総会が開催された上で株式併合等議案が否決された場合であっても、公開買付者は、当該議案が否決されるに至った賛成割合の不足分を補うに足りるだけの当社の議決権を、当社株式を追加取得することや当社に自己株式取得を働きかけ、公開買付者らの議決権を増加させる等によって、当該議案が当社の株主総会において可決されるまで、当社株式の追加取得等をする予定とのことです。
(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
① 外部アドバイザーからの助言の取得
当社は、シティ社提案取引に係る当社取締役会の意思決定過程の公正性及び適正性を担保するために、当社、公開買付者ら及びグリーン社公開買付け関連当事者並びにシティ社提案取引及びグリーン社提案取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザーであるプルータス・コンサルティング及びGCA、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業による助言を踏まえ、シティ社提案取引について慎重に評価及び検討しております。
なお、プルータス・コンサルティング、GCA及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、当社、公開買付者ら及びグリーン社公開買付け関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含むシティ社提案取引及びグリーン社提案取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、プルータス・コンサルティング及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業の報酬は、シティ社提案取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単位を乗じて算出するものとされており、成功報酬は含まれておりません。また、GCAの報酬には、成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、当該報酬体系によりGCAを当社のファイナンシャル・アドバイザーとして選任いたしました。
本特別委員会は、プルータス・コンサルティング、GCA及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社の外部アドバイザーとして承認しております。
② 当社における独立した特別委員会の設置
当社は、シティ社提案取引に係る当社の意思決定過程の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立することを目的として、当社取締役会において、公開買付者ら及びグリーン社公開買付け関連当事者から独立した、外部の有識者である西田章氏(西田法律事務所 弁護士)、当社社外取締役兼独立役員である田辺孝二氏、当社社外取締役兼独立役員である八杉哲氏、当社社外監査役兼独立役員である小林一男氏及び当社社外監査役兼独立役員である吉本清志氏の5名(なお、本特別委員会の委員の報酬は固定金額であり、成功報酬は採用しておりません。)から構成される本特別委員会に対し本諮問事項を諮問し、これらの点についての答申を当社取締役会に提出することを嘱託しています。
また、併せて、当社取締役会は、シティ社提案取引に関する当社取締役会の意思決定は、上記嘱託に基づく本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(a)本公開買付けに係る公開買付価格その他のシティ社提案取引に係る取引条件等について買付者と交渉を行うこと、(b)本諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らのファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等を選任すること(この場合の費用は当社が負担するものとされています。)、並びに、(c)当社の役職員からシティ社提案取引の検討及び判断に必要な情報を受領することについての権限を付与することを決議いたしました。
本特別委員会は、プルータス・コンサルティング、GCA及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ当社のファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。さらに、本特別委員会は、本特別委員会がシティ社提案取引に係る取引条件等に関して公開買付者と交渉を行うことを確認しております。
本特別委員会は、2021年1月18日から2021年1月15日付諮問事項の審議を開始し、その後、本諮問事項の審議も含め、2021年2月18日までの間に合計18回、合計28時間にわたって開催され、本諮問事項についての協議及び検討を行いました。
そして、本特別委員会は、2021年2月9日までに収集した情報のみでは、本公開買付けを含むシティ社提案取引が当社の企業価値向上に資するものであるかの確認が十分に行えたとは言えないと考え、同日に、当社取締役会に対し、本公開買付けを含むシティ社提案取引が当社の企業価値の向上に資するものであるかの慎重な検討を行うべく、本追加質問を公開買付者に提示すること及び当該質問に対する公開買付者からの回答が得られるまでは、本公開買付けに対する意見の表明を留保することが妥当である旨の本答申書(留保)を提出いたしました。また、その後、本特別委員会は、公開買付者から提出された本対質問回答報告書及びその別紙並びに当社が収集した本公開買付け及び公開買付者に関する情報をもとに、本諮問事項の協議及び検討を実施いたしました。
そして、本特別委員会は、2021年2月18日付で、本公開買付けは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上に資するものではなく、当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは適当である旨の本答申書(反対)を提出いたしました。本答申書(反対)の概要は以下のとおりです。
(a) 本公開買付けを含むシティ社提案取引の目的が合理的と認められないこと(シティ社提案取引が当社の企業価値(ひいては株主共同の利益)の向上に資するとは認められないこと)
・本特別委員会は、シティ社提案取引に関して、(ⅰ)公開買付者は、他社による公開買付けを阻止するために本公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの利益に対して関心がないのではないか、(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社グループの企業価値ないし株主の共同の利益を毀損するおそれがあるのではないか、(ⅲ)公開買付者が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたすおそれがあるのではないかとの懸念を抱いていたため、当社取締役会に対し、本追加質問を公開買付者に提示すること及び当該質問に対する公開買付者からの回答が得られるまでは、本公開買付けに対する意見の表明を留保することが妥当である旨の本答申書(留保)を提出した。
・公開買付者は、本対質問回答報告書別紙においても、「公開買付者が公開買付けを開始する旨の予告を行った上で、本公開買付けを準備することによって、上記のように極めて不当なMBO公開買付けの成立を阻止することができました。」「公開買付者グループは、日本にコーポレートガバナンスを浸透させるために継続して活動しており、このように不当なMBO公開買付けを見逃すことはできませんでした。」との主張を繰り返していること(その主張が当社の「純資産額」のみに着目したものであり、当社の事業継続を前提とするものではないことを含む。)からすれば、(ⅰ)公開買付者は、他社による公開買付けを阻止するために本公開買付けを開始しており、当社グループの事業内容及び当社のステークホルダーの利益に対して関心がないと評価せざるを得ないものと考える。
・公開買付者の説明によれば、公開買付者は、2021年1月13日にカーライルとの協議を打ち切った後、わずか1日という極めて短期間の検討のみで本公開買付けの実施を決定したとのことであるが、その後、本特別委員会からの本公開買付け後の当社グループの経営方針についての再三に亘る質問に対しても、当社グループの企業価値を向上させる具体的な経営方針を一切示していない。この点について、公開買付者は、本対質問回答報告書別紙において、デュー・ディリジェンス又は当社取締役との協議を実施できていないことを理由として挙げるが、公開買付者が、当社の「純資産が何億円程度になるのか」という点に固執した主張を繰り返し、かつ、JAG国際エナジーについて「太陽光事業は一種の金融商品である」との趣旨の発言(2021年1月31日付ヒアリング)を述べていることからしても、公開買付者には、当社の事業継続を前提とする企業価値の向上策の検討を目的としたデュー・ディリジェンスや当社取締役との建設的な協議を実施する真摯な態度を期待することもできない。かかる状況に鑑みれば、(ⅱ)公開買付者から本公開買付け後の当社グループの具体的な経営方針が一切示されておらず、むしろ、本公開買付け後、公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、当社グループの企業価値ないし株主の共同の利益を毀損するおそれがあると評価せざるを得ないものと考える。
・公開買付者は、本対質問回答報告書別紙において、過去の投資事例に関する説明を行うことを拒絶している。本特別委員会が、2021年2月2日に、公開買付者によるデュー・ディリジェンスの実施を許諾することが適当ではないと判断した背景には、公開買付者が、当社のミッション(「安心で安全、そして持続可能なまちづくりで社会に貢献」)及びビジョン(「技術革新を先取りし金融との融合を通じて成長する社会企業グループ」)に対して何らの関心も示さないことに対する大きな懸念が存在していたところ、現実に、当社が、複数の取引先から、本公開買付け後に公開買付者が当社の経営権を取得した場合には、既存の取引関係を継続することは難しい可能性がある旨を告げられており、かつ、当社グループの従業員からも公開買付者が当社の経営権を取得する可能性があることに対する不安・動揺を示す多くの声が寄せられているところからすれば、(ⅲ)公開買付者が当社の経営権を取得することで既存の取引先との関係が悪化し、また、当社従業員の離職や労働意欲の低下により、当社の経営に重大な支障をきたすおそれがあると評価せざるを得ないものと考える。
(b) シティ社提案取引が当社の少数株主にとって不利益なものではないと認めることができないこと
・本特別委員会は、シティ社提案取引に関して、(ⅳ)当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制されるのではないかとの懸念を抱いていたため、当社は、本答申書(留保)記載の意見に従って、公開買付者に対して、本追加質問において、本公開買付けに買付予定数の下限が付されない場合、(公開買付者からは、当社の企業価値を向上させる具体的な経営方針は示されないままに)当社株式の上場が維持された上で、公開買付者が当社の支配株主となることがあるため、その場合に、当社の企業価値への悪影響が生じることを懸念する株主が本公開買付けに応募せざるを得ない可能性があることへの懸念を示した上で、当社の少数株主の保護のための分析・検討を行ったかどうかの質問を行うように、当社取締役会に対し、本答申書(留保)を提出した。
・公開買付者は、上記質問に対して、本対質問回答報告書別紙において、グリーン社公開買付けを含むグリーン社提案取引の不当性を繰り返し主張するのみであり、本公開買付けにおける少数株主に対する強圧性の排除の必要性について何らの問題意識を有していない態度を明らかにしていることからすれば、(ⅳ)当社の少数株主は本公開買付けに応募することが事実上強制される懸念があると評価せざるを得ないものと考える。
以上を踏まえれば、本諮問事項の他の事項について判断するまでもなく、当社取締役会が本公開買付けに対して反対の意見を表明することは適当である。
③ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、プルータス・コンサルティング、GCA及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業から得た助言、本特別委員会から受領した本答申書(留保)その他の関連資料を踏まえ、本公開買付けを含むシティ社提案取引に関する諸条件の内容について慎重に協議及び検討を行った結果、2021年2月10日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けが当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の向上に資するものであるかという点について更なる評価・検討を行うべく、公開買付者に対して、本追加質問を提示し、現時点では当社の本公開買付けに対する意見の表明を留保する旨を決議いたしました。なお、当該取締役会には、当社の全ての監査役である監査役3名が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことに異議がない旨の意見を述べております。
また、当社は、当社の各アドバイザーからの助言、公開買付者から提出された本対質問回答報告書の内容、本特別委員会から受領した本答申書(反対)その他の関連資料を踏まえ、本公開買付けを含むシティ社提案取引に関する諸条件の内容について慎重に協議及び検討を行った結果、2021年2月19日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
2021年2月10日開催の当社取締役会及び2021年2月19日開催の当社取締役会においては、利益相反のおそれを回避する観点から、当社取締役5名のうち、まず、(ア)山下氏、呉文繍氏(以下「呉氏」といいます。)及び西田信一氏(以下「西田氏」といいます。)を除く2名の取締役において審議の上、全員一致により上記の決議を行い、さらに、当社取締役会の定足数を確保する観点から、(イ)西田氏を加えた3名の取締役において改めて審議の上、全員一致により上記の決議を行うという二段階の手続を経ております。
なお、山下氏は、グリーン社公開買付けは不成立となり終了したものの、グリーン社公開買付けが成立した場合には、グリーン社提案取引を通じて最終的に当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することを予定していたとともに、グリーン社提案取引後も継続して当社の経営にあたることを予定していたことを踏まえ、グリーン社提案取引と両立しなかった本公開買付けについて客観的かつ公正な判断ができないおそれが否定できないことに鑑み、当社取締役会の意思決定における公正性、透明性及び客観性を高め、利益相反を可及的に回避する観点から、当社取締役会におけるこれまでの本公開買付けに関する全ての議案において、その審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、呉氏は、グリーン社公開買付けは不成立となり終了したものの、グリーン社と応募契約を締結していたJA PARTNERS LTDのDirectorであるとともに、グリーン社提案取引に係る正式提案の前からカーライル及び山下氏とともに、グリーン社提案取引を実施する可能性についての協議を行っていたことから、グリーン社提案取引と両立しなかった本公開買付けにおける利益相反の問題による影響を受けるおそれを可及的に排除する観点から、当社取締役会におけるこれまでのシティ社提案取引に関する全ての議案において、その審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
他方で、西田氏は、グリーン社公開買付けは不成立となり終了したものの、グリーン社提案取引に係る正式提案の前からカーライル及び山下氏とともに、グリーン社提案取引を実施する可能性についての協議を行っていたところ、その他にカーライル及び山下氏との関係で利益相反のおそれを生じさせる事情は存在しないことから、同氏がグリーン社提案取引と両立しなかった本シティ社提案取引に関する当社取締役会の審議及び決議に参加した場合であっても、シティ社提案取引における利益相反の問題を生じさせるおそれは相対的に小さいものと判断しております。そのため、西田氏は、上記のとおり、2021年2月10日開催の当社取締役会及び2021年2月19日開催の当社取締役会において、定足数を確保する観点から二段階目の審議及び決議に参加しております。他方で、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可及的に排除する観点から、同氏は、当該二段階目の審議及び決議以外のシティ社提案取引に関する全ての議案における当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
(6) 本公開買付けに関する重要な合意
公開買付者は、2021年1月14日、野村氏及びエスグラントコーポレーション(以下「不応募株主」と総称します。)との間で、不応募株主が所有する当社株式(所有株式数の合計:2,970,400株、所有割合(注)の合計:10.82%)について、前提条件が付されることなく本公開買付けに応募しない旨を口頭で合意しているとのことです。
(注) 「所有割合」とは、当社が2020年11月11日に提出した第34期第2四半期報告書(以下「当社第2四半期報告書といいます。)に記載された2020年9月30日現在の当社の発行済株式総数(27,763,880株)から、当社第2四半期報告書に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(890,200株)から同日現在の当社の株式給付信託(BBT)が所有する株式数(580,800株)を除いた株式数(309,400株)を控除した株式数(27,454,480株)に対する、当該株主が所有する当社株式の数の割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。

役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数

氏名役職名所有株式数(株)議決権の数(個)
山下 哲生代表取締役会長兼社長493,2304,932
呉 文繍取締役38,020380
西田 信一取締役財務部長2,80028
田辺 孝二取締役9,24092
八杉 哲取締役
有働 達夫監査役8,09080
小林 一男監査役13,170131
吉本 清志監査役
564,5505,643

(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役の田辺孝二氏及び八杉哲氏は、社外取締役であります。
(注3) 監査役の小林一男氏及び吉本清志氏は、社外監査役であります。
(注4) 所有株式数には、株式累積投資における持分に相当する株式の数(小数点以下切捨て。)を含めております。