有価証券報告書-第25期(平成28年10月1日-平成29年9月30日)

【提出】
2017/12/19 16:17
【資料】
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【項目】
101項目

業績等の概要

(1)経営成績に関する分析
(当連結会計年度の経営成績)
当連結会計年度(以下「当期」という。)における我が国の経済は、政府の経済政策と日銀の金融政策による企業収益や雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外におきましては、中東・北朝鮮の地政学的なリスクが高まり、米国では新政権の保護主義的な経済政策への懸念などにより、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの中心事業であるモバイルインターネットを取り巻く環境においては、スマートフォンの出荷台数の増加や格安SIM及び大手通信キャリアの通信サービスの多様化により、引き続きスマートフォン利用者の増加傾向が続いております。一方でスマートフォンの普及は一定水準に達しており、普及のスピードは緩やかになってきました。
一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムによりますと、モバイルコンテンツ市場について、平成27年から平成28年にかけて前年比119.9%となる1兆8,757億円の規模に拡大しており、特にスマートフォン等市場においては前年比123.4%である1兆8,047億円の規模へ拡大しております。
モバイルコンテンツの市場規模の拡大だけでなく、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの新しい技術が採用され多種多様なアプリが世の中に配信されております。ダウンロードランキングやセールスランキングでは一部を除いて日々大きな変動を見せ、競争の激化が窺われます。スマートフォンゲーム市場においては、スマートフォン端末の高性能化、通信速度の向上により、モバイル端末上で表現されるコンテンツに求められるクオリティの水準が年々上昇しております。モバイルゲーム事業のゲーム開発では、ゲーム性や表現力を高めることによって既に市場にリリースされているタイトルとの差別化を図る必要があり、当社においてもゲームの世界観やストーリー、ゲームシステム等をより詳細に設定、構築することでそれらを高める取り組みを行っております。
そのため、各開発プロセスにおける開発及び制作の工数が増えており、開発人員数、制作費等の外注費の増加、サービス提供までにかかる開発期間が長期化しているため、開発コストが増しており、これらに耐えうる資金力などが必要不可欠となっております。
また、インターネット広告市場においては平成27年から平成28年にかけて前年比112.8%となる10,378億円の規模にまで拡大しており、特に、スマートフォン広告は、前年比130.0%となる6,476億円の規模にまで拡大しており、順調な市場の成長が見込まれております。(株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)/株式会社D2C共同調べ)
インターネット広告の技術の発展による広告効果の向上や広告表現の多様化により、将来的にはテレビコマーシャルを超える規模が見込まれております。
このような市場環境の下、当社は「持続的成長構造の構築」を当期の事業戦略に掲げて取り組んでまいりました。その一環として、ゲームキャラクターなどの衣装や、ライブ、イベントの衣装の受注製作サービス「coscrea(コスクレア)」を開始しました。当期では、コミックマーケット92、東京ゲームショウ2017に出展する企業に対して、グッズの受注製作、イベントの衣装の受注製作をいたしました。また、株式会社DMM.comの有名人応援サービス「DMM.yell」を譲り受けることに関して、基本合意契約を締結いたしました。
以上の結果、当期の業績は、売上高3,308,250千円(前期同期比3.4%増)、営業損失254,020千円(前年同期は377,240千円の営業損失)、経常損失272,223千円(前年同期は385,160千円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は316,318千円(前年同期は458,980千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(モバイルゲーム事業)
モバイルゲーム事業につきましては、株式会社スクウェア・エニックスから運営業務を委託されている「ディアホライゾン」が平成29年8月24日にサービスを開始し売上に寄与し始めました。また、「キングダム-英雄の系譜-」に関しましては、平成29年3月に2周年を迎え、「ワールドクロスサーガ -時と少女と鏡の扉-」に関しましては、平成29年4月に1周年を迎え、引き続き堅調に推移しております。また、コミックマーケット92のブース出展を行った「終幕彼女(エンドロール)」や、KLab株式会社との協業で開発中の「幽☆遊☆白書100%本気(マジ)バトル」を含む開発を進めているゲームタイトルは、引き続き費用が先行して発生しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,753,527千円(前年同期比14.3%増)、セグメント損失は53,837千円(前年同期は199,659千円のセグメント損失)となりました。
(広告事業)
広告事業につきましては、スマートフォン向けアドネットワーク「ADroute」では、広告表現の一つであるインフィード広告の展開やリターゲティング広告の機能の改善や強化を図り、総合的な提案を行い、拡販に注力いたしました。また、「ADroute」での広告運用のノウハウを活かしたトレーディングデスクなどの新規サービスの展開を行っており、リソースの再配分など社内体制の整備を進めてまいりました。それらの結果、前年同期比で売上、利益ともに伸長いたしました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,546,614千円(前年同期比12.3%増)、セグメント利益は54,174千円(前年同期比391.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ378,652千円減少し、763,303千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは127,522千円の減少(前連結会計年度は335,086千円の減少)となりました。これは、主にのれん償却及び減価償却費等の計上、売上債権及びたな卸資産の減少による資金の増加があったものの、税金等調整前当期純損失の計上、未払金の減少により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは213,079千円の減少(前連結会計年度は101,851千円の減少)となりました。これは、主に有形及び無形固定資産の取得、敷金の差入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは36,863千円の減少(前連結会計年度は643,336千円の増加)となりました。これは、主に長期借入金の返済によるものであります。