臨時報告書

【提出】
2016/01/22 16:23
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主である株式会社アスパラントグループSPC2号(以下「アスパラントSPC2号」といいます。)から、同法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本売渡請求」といいます。)の通知を受け、平成28年1月22日付の当社取締役会決議において、本売渡請求を承認することを決定いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本売渡請求の通知に関する事項
(1) 当該通知がされた年月日
平成28年1月22日
(2) 当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商 号株式会社アスパラントグループSPC2号
本店の所在地東京都港区赤坂二丁目23番1号
代表者の氏名代表取締役 中村 彰利

(3) 当該通知の内容
平成28年1月22日、当社は、アスパラントSPC2号より、当社の特別支配株主として、当社の株主の全員(但し、当社及びアスパラントSPC2号を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その有する当社の普通株式(以下「当社普通株式」といいます。)の全部(以下「本売渡株式」といいます。)をアスパラントSPC2号に売り渡すことの請求をする旨の通知を受けました。当該通知の内容は以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して本売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事 項(会社法第179条の2第1項第2号及び第3号)
アスパラントSPC2号は、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき330円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(会社法第179条の2第1項第5号)
平成28年2月25日
⑤ 本売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
アスパラントSPC2号は、本売渡対価の支払のため、株式会社三井住友銀行から、本売渡対価の支払のための資金に相当する額の借入れを行うことを予定しております。
⑥ 上記のほか、本売渡請求に係る取引条件を定めるときは、その取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本売渡対価は、平成28年5月31日までに、アスパラントSPC2号が本売渡株式を取得する日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(本売渡対価の交付についてアスパラントSPC2号が指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、当該本売渡株主に対する本売渡対価を支払うものとします。
2.本売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1) 当該通知がされた年月日
平成28年1月22日
(2) 当該決定がされた年月日
平成28年1月22日
(3) 当該決定の内容
アスパラントSPC2号からの通知のとおり、同社による本売渡請求を承認いたします。
(4) 当該決定の理由及び当該決定に至った経緯
アスパラントSPC2号が平成27年11月26日から平成28年1月14日までを買付け等の期間として実施した当社普通株式並びに平成21年6月23日開催の当社第12回定時株主総会の決議及び同日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して提出した平成27年11月26日付意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本売渡請求は、本公開買付けの結果、アスパラントSPC2号が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至ったことから、当社普通株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社普通株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものです。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載のとおり、以下のとおり判断しております。
当社及び連結子会社4社(以下「当社グループ」といいます。)は、当社及び連結子会社4社で構成されており、日本国内及び中国において、主に大都市圏の大型施設に設置される駐車場の運営サービスを提供する駐車場管理運営事業と、民間駐車場や市街地再開発駐車場の運営に関する総合提案を実施するコンサルティング事業を展開しております。
具体的には、駐車場管理運営事業においては、駐車場オーナーより駐車場を借り上げ、駐車場の運営自体を代行する運営受託と、駐車場オーナーから駐車場施設を賃借せずに、当該駐車場の管理を代行する管理受託のサービスを提供しております。また、コンサルティング事業では、民間駐車場や市街地再開発駐車場の運営効率の向上を目指した運営計画案や現状調査分析、改善計画案等を提供しております。
なお、平成27年3月期における連結売上高6,691,194千円の97.0%に相当する6,489,359千円は専ら国内の駐車場管理運営事業にかかる売上であり、国内コンサルティング事業及び平成22年4月より進出した中国事業が当社連結売上高に占める割合は僅少であります。
主要事業である駐車場管理運営事業は、関東地区及び関西地区の大都市圏における大型複合施設駐車場を主たるターゲットとしております。当社は、高度な有人オペレーションを提供するホスピタリティ重視の駐車場有人管理ビジネスに重点を置いた独自の事業展開を行うことにより、同業者との差別化を図ってまいりました。かかる高度な有人オペレーションを実現する人材の確保は当社事業にとって極めて重要であり、当社グループは、平成27年3月期において、駐車場管理運営事業に就業する人員として、従業員91名に加えて年間平均771名の臨時従業員(アルバイト)を雇用しております。
当社の主要事業である駐車場管理運営事業のうち、(i)その大半を占める運営受託は、一般駐車場利用者から駐車場利用料を収受する一方で、売上原価の大半を駐車場オーナーに対する支払賃借料や有人管理のための人件費が占め、(ii)管理受託は、駐車場オーナーから運営管理料を収受する一方で、売上原価の大半を有人管理のための人件費が占めるビジネスモデルになっております。
当該ビジネスモデルにおいて当社が安定した収益を確保するためには、主として、駐車場の受託件数及び稼働率の維持・増加、売上単価の維持・増額並びに駐車場賃借料・人件費の抑制が必要不可欠であり、逆にこれらが実現できない場合は、当社収益に深刻な悪影響を及ぼすおそれがあります。このように、当社においては、高度な有人オペレーションに対応する人材の流出回避及び増員、駐車場の受託件数及び稼働率の維持・増加、売上単価の維持・増額並びに駐車場賃借料・人件費の抑制等が重要な経営課題となっております。
しかし、当社の主要事業である駐車場管理運営事業には、特段の法的規制がなく、また大規模な設備投資も不要なため、特に当社が得意とする大都市圏においては参入障壁が低く、大企業から個人の小規模経営まで、全国に多数の同業者が存在しております。特に主力のターゲットである大型複合施設駐車場の管理運営においては、ビルの総合管理会社、警備会社及び駐車場管理会社等との間で厳しい競合状態にあります。このため、当社の主要事業である駐車場管理運営事業において前述した経営課題を実現することは、必ずしも容易ではない状況にあります。
このような事業環境に対応するため当社は、平成27年3月期より経営方針を「売上重視」から「利益重視」に変更いたしました。具体的施策として、既存の駐車場管理運営事業について、営業部門を本社に集約した上で、不採算駐車場からの撤退、月極契約の増強や、リピーター確保のための定期券、パスカード利用率の向上へのシフト、徹底的なシフトコントロールによる人件費抑制等に着手いたしました。
主として当該施策が奏功し、平成27年3月期の業績は、連結売上高6,691,194千円(前連結会計年度比17.7%増)、営業利益241,180千円(前連結会計年度比48.3%増)、経常利益236,999千円(前連結会計年度比49.4%増)、当期純利益151,874千円(前連結会計年度比64.7%増)となりました。
しかしながら、上記施策は既に実行済みであり、今後は同様の施策による業績向上が見込めないことに加え、当社グループを取り巻く将来の経営環境を踏まえると、将来的にはさらに以下のような新たなリスク等が見込まれるため、現状のままで今後も当社事業を維持・成長させることは必ずしも容易ではなく、予断を許さない状況にあると認識しております。
まず国内事業については、短期的には、平成32年の東京オリンピックの開催に向けた再開発案件の増加により市場規模が拡大することが見込まれております。しかしながら、既存競合他社又は他業界からの新規参入他社との競争激化に起因した稼働率の低下や売上単価の下落、当社の人材不足に起因する新規案件の取り込み漏れといった要因により、市場規模拡大に見合う売上増加には不確実性があります。また、高度な有人オペレーションを維持するためには人材の確保が不可欠ですが、既に顕著となっている人件費高騰の傾向に起因して、他業種及び競合他社との人材獲得競争が激化し、既存人員の流出を回避しつつ新規人員を確保するためには、既存・新規従業員の継続的な給与水準の引き上げによる人件費の増加が不可避と予測されます。加えて、駐車場オーナーからの賃借料増額要請が増加し、既存・新規を問わず原価の上昇が避けがたい状況にあります。これらの要因により、短期的な市場規模の拡大も、当社の収益に貢献しない可能性があります。加えて中長期的にみれば、東京オリンピック開催後は新規開発案件が収束し、消費税率及び軽自動車税引き上げの影響や国民全体の高齢化とそれに伴う自動車需要の減少等の環境変化に伴い、市場規模自体の縮小リスクが懸念されます。
次に中国事業については、短期的には自動車市場の拡大が見込まれます。もっとも、当社の中国進出は緒に就いたばかりであり、国内事業と異なって巨額の初期投資を要する案件特性や人材不足への対応が十分でなく、現時点ではコンサルティング案件のみで駐車場管理運営案件の受注実績がほとんどないなど、国内事業と同様の収益性を確保する体制は確立されておりません。また、中国経済の落ち込みや政治の変化に起因して開発案件の中止・見送り等の不測の事態が生じるリスクがある上、新車販売台数の急増やインフラの整備に起因する自動車利用状況の急変に伴う事業環境の激変に迅速かつ適切に対応しなければ、当社の収益に貢献しない可能性があります。
当社は、以上のような事業環境の変化やそれらに伴うリスクに迅速かつ適切に対応し、国内及び中国での駐車場事業を今後も成長させるためには、中長期的な視点から機動的かつ柔軟な意思決定により、少なくとも以下のようなビジネスモデルの変革を大胆に断行することが必須であると考えております。
(i) 大都市圏における駐車場管理運営事業の収益強化
前述のとおり、現時点における当社の主要事業は、高度な有人オペレーションを提供するホスピタリティ重視の駐車場有人管理運営事業でありますが、同事業には有人管理ゆえに人件費増加のリスクを伴います。そこで、今後も激化する競争に対抗するためには、人件費の増加を抑制しつつ、当社の強みである高度な有人オペレーションを深化させる必要があると考えられます。これに対応するため当社は、新たなシステム・設備の導入による半無人化オペレーションへの移行、当社利用者の囲い込みのための利用者の会員化及び予約システムの更なる強化やSNS等の積極的活用による情報発信の検討に着手しております。
また、現在当社は、単なる遊休不動産の有効利用や施設管理・警備ではなく、駐車場そのものから新たな価値を生み出すことで差別化を図っております。具体的には、駐車場の設計段階からのコンサルティングや駐車場の運用における「お手玉理論」(駐車スペースを特定しないフリーアドレスによる定期契約車両の利用時間傾向を分析した上で、当該定期契約車両の駐車スペースが空いている時間帯に一般車両の時間貸しを受入れることにより、駐車スペース全体の稼働率の向上を図るオペレーション)及びその実践ノウハウなどを通じて、顧客に付加価値を提供して参りました。今後も激化する競争に対抗するべく更なる付加価値の創造が必須と考えられることから、パーキングアナライザーシステムや3D動画シミュレーションシステム(図面のみでは理解が困難な都市交通と駐車場の効率循環の状況を3D動画により視覚化するシステム)の改修・改良を含むコンサルティングツールの強化に注力いたします。
(ii) 地方都市への進出及び中国事業の確立による駐車場管理運営事業の収益拡大
前述のとおり、当社の収益源である有人駐車場管理運営事業は、関東地区及び関西地区の大都市圏に偏在しております。しかしながら、地方都市圏においても、公共部門におけるコンセッション、PFIの導入等が活発となっており、今後開発案件が増加することが見込まれます。また、地方創生に向けたコンパクトシティ化(郊外型から駅前・駅ナカ等の中心市街地への衣食住の集約により都市の規模を小さくし、地域社会の再生や住みやすいまちづくりを目指す考え方。)が進められることによって、地方都市圏においても、一定規模以上の施設の開発が進むことが期待され、交通網の整備や渋滞対策において当社が培ってきた専門性の高い駐車場設計・運営ノウハウを発揮する余地があると考えられます。そこで、当社の強みを活かした当社独自の有人駐車場の管理運営事業を行うと共に、各都市のニーズに即した半無人化を含めた新たなオペレーションを開発し、一般的なコインパーキングと差別化した地方都市に適した駐車場を導入すること等により、地方都市圏への進出の検討に着手しております。
また、前述のとおり、当社の中国事業においては、国内事業と同様の収益性を確保する体制が未確立であることから、その確立を急ぎ、コンサルティング案件のみならず駐車場管理運営案件の受注にも注力いたします。
(iii) 駐車場業界を超える新規事業への進出による収益源の拡張
前述のとおり、当社の収益は駐車場管理運営事業に大きく依存しており、収益源の拡張が重要な課題となっております。
この点、近時は東京オリンピックに向けて関東首都圏における駐輪場整備や全国の放置自転車問題への対策の必要性が高まっており、駐車場管理運営事業において培ったノウハウ等を活用した駐車場と駐輪場の一体運営提案などの新規事業の検討に着手しております。また、パーキングアナライザーシステムを用いた商圏分析サービス等の新規事業の検討にも着手しております。
更に長期的には、近い将来想定される自動車の自動運転技術の進化に対応した新たなビジネスモデルなど、IT技術の進歩に伴う駐車場業界を超えたクルマ・人・街をつなぐサービスに貢献できる会社を目指すための事業プランも策定中であります。これらの新規事業を可及的速やかに確立することにより、新たな収益源の拡張に挑戦いたします。
以上のようなビジネスモデルの変革が実現すれば、関東地区及び関西地区の大都市圏における大型複合施設駐車場を主たるターゲットとした有人の駐車場管理運営事業に依存する当社の収益構造を一新し、国内外の当社を取り巻く事業環境の変化やそれらに伴うリスクに対応しつつ、長期的には当社事業を成長させることが可能になると考えております。
しかしながら、これら施策を断行するに当たっては、短期的には先行投資による費用負担が生じることが確実であり、現実の収益貢献までには相当の期間を要する上、最終的に実現しない可能性も孕んでおります。
例えば、先行投資として、既存事業及び地方都市進出における半無人化を含めた新たなオペレーション開発に必要なシステムの新規開発・導入費用、自動車の自動運転技術の進化に対応した新たなシステムの新規開発・導入費用、これらに従事するため増加人員の人件費といった費用負担が不可避となります。また、前述のような施策実施には研究開発、試験導入、本格実施のプロセスが必要となるため、具体的な収益への貢献には少なくとも数年を要すると見込まれます。特に、当社には、研究開発やITシステムに特化した人材が不足している状況にあり、優秀な人材を採用するプロセスから始めることが必要になります。さらに、地方都市では、地場の競合他社が強く駐車場オーナー等と結びついており、新規で参入することは容易でなく、必要な営業ネットワークを新たに構築する必要があります。加えて、当社は日本国内の大都市圏における有人の駐車場管理運営ノウハウを有しておりますが、運営形態・運営地域又は国によって相応の修正や新規の技術開発を要することが見込まれる上、自動車台数・利用状況や法制度等の異なる地域・国における事業運営において想定外のリスクに直面する可能性も否定できません。
このようなリスクを伴う長期的な視点に立った諸施策を進めていくことは、短期的には当社グループの利益水準の低下やキャッシュフローの悪化をもたらすリスクがあります。仮に上場を維持したままこれらの施策を実施すれば、短期的には資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株価に悪影響を及ぼすなどの不利益を当社の株主の皆様に与えるおそれがあると認識しております。
以上のことから、当社の企業価値を維持・向上させるためには、短期的な業績変動等に惑わされず、中長期的な視点から機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築した上で、当社グループの経営陣及び従業員が一丸となって将来の変化に対応した事業構造の改革及び経営基盤の強化を推進することが不可欠であると判断いたしました。
他面で、当社の株主の皆様が短期的な当社グループの利益水準の低下やキャッシュフローの悪化による経済的な不利益を被るリスクを回避する必要があると考えております。そこで、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により、当社普通株式を非公開化することが、当社の一般株主の皆様のみならず様々なステークホルダーにとって最良の方策であると考えるに至りました。
なお、当社の取締役会は、本取引のメリットと共に、株式の非公開化に伴うデメリットについても検討いたしました。確かに、株式の非公開化によって、当社が上場申請理由としていた資金調達能力の拡大による自己資本の充実、社会的信用度、知名度の向上、従業員の志気向上と優秀な人材確保といった事項に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。しかしながら、前述したように、今後のビジネスモデルの転換に際しては、資金調達が必要な場合であっても、当社の株主の皆様が経済的な不利益を被るリスクに鑑みて、資本市場からの大規模な資金調達を行うことは見込んでおらず、他方で、今後必要となる事業上の資金は自己資金や銀行借入れ等でまかなうことが可能であると考えております。また、当社が業容拡大していく中で、社会的信用度や知名度向上、これに伴う優秀な人材確保といった目的は一定程度果たすことができたと考えております。一方で、上場企業としての社内体制を今後も維持していくための人材の確保や上場維持のために必要となるコストを鑑みると、費用対効果の観点から上場メリットは限定されていると判断いたしました。
また、アスパラントグループ株式会社(以下「アスパラントグループ」といいます。)の参画により、前述の諸施策を実現する際の、既存事業の業務改善、新規事業への積極的かつ計画的な取り組み、リスクや経営プロセスの的確な評価とスピード感のある意思決定等において、有益な協力を得られると考えております。更に、地方都市・海外への進出による事業展開においても、同グループの地方・海外における事業支援経験などを踏まえたネットワークを活用することも可能となると考えられます。
以上のことから、中長期的なビジネスモデルの変革を断行するに当たり、アスパラントグループは当社の企業価値を維持・向上させる上で有益なパートナーであると判断いたしました。
以上の点を踏まえ、当社取締役会は、アスパラントグループと共に本公開買付けを含む本取引により当社普通株式を非公開化することが、今後の当社の更なる成長・発展と持続的な企業価値向上等に資するものであると判断しました。
また、当社取締役会は、本公開買付けにおける当社普通株式1株につき金330円という買付価格(以下「本公開買付価格」といいます。)については、①プライスウォーターハウスクーパース株式会社(以下「PwC」といいます。)による算定結果のうち、市場株価基準方式による算定結果の上限を上回るものであり、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式(以下「DCF方式」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内であること、②本公開買付け実施についての公表日の前営業日である平成27年11月24日の東京証券取引所マザーズ市場における当社普通株式の終値257円に対して28.40%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値264円(小数点以下四捨五入。以下、単純平均値の計算において同じとします。)に対して25.00%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値235円に対して40.43%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値251円に対して31.47%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、過去の本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの実例において買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアムの実例と比較しても低廉とは言えず、相当なプレミアムが付された価格であると評価できること、③本新株予約権についても、買付け等の価格は、本公開買付価格330円と当該新株予約権の当社普通株式1株当たりの行使価額(90円)との差額(240円)に、当該各新株予約権の1個の目的となる当社普通株式の数(100株)を乗じた金額に決定されていること、④本意見表明報告書「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反を解消するための措置が十分に取られた上で決定された価格であること等を踏まえ、本公開買付けは、直近の一定期間の平均株価に対してプレミアムが付与された価格により当社の株主及び新株予約権者の皆様に対して合理的な売却の機会を提供するものであると判断しました。
以上のような検討の結果、平成27年11月25日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した全ての取締役(当社の代表取締役会長執行役員である大嶋翼氏を除く取締役3名)の全員一致により、本公開買付けへの賛同の意見を表明し、かつ、当社の株主及び新株予約権者の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。また、当該取締役会には、当社の全ての監査役が審議に参加し、その全ての監査役が、当社の取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明し、かつ、当社の株主及び新株予約権者の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することに異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の代表取締役会長執行役員である大嶋翼氏は、本公開買付け後にアスパラントSPC2号に出資することを予定していることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあることを踏まえ、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場においてアスパラントSPC2号との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
その後、当社は、平成28年1月15日、アスパラントSPC2号より、本公開買付けに対して当社普通株式7,431,030株及び本新株予約権365個の応募があり、その全てを取得することとなった旨の報告を受けました。この結果、平成28年1月21日付で、アスパラントSPC2号の保有する当社の議決権の合計数に係る議決権割合(注)は96.68%となり、アスパラントSPC2号は、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注)議決権割合は、当社が平成27年11月13日に提出した第19期第2四半期報告書に記載された平成27年9月30日現在の当社の発行済株式総数(8,412,400株)から、同報告書に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(749,140株)を控除した株式数(7,663,260株)に、同日以降本書提出日までに本新株予約権1,036個が行使されたことにより発行された株式の数(103,600株)を加算した株式数(7,766,860株)に対する割合(少数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下、議決権割合の計算において同じです。
このような経緯を経て、当社は、アスパラントSPC2号より、平成28年1月22日付で、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本売渡請求をする旨の通知を受けました。
そして、当社は、かかる通知を受け、本売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議、検討いたしました。
その結果、平成28年1月22日開催の当社取締役会において、(i)上記のとおり、本取引により当社普通株式を非公開化することが、今後の当社の更なる成長・発展と持続的な企業価値向上等に資するものであると判断され、(ii)本売渡対価である330円は本公開買付価格と同一の価格であること、本意見表明報告書の「3 本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり本取引の公正性を担保するための措置が講じられていること、アスパラントSPC2号による本公開買付価格の提示後から現在に至るまで、本公開買付価格の基礎とされた諸条件に重大な変更が生じていないこと等に鑑みれば、本売渡対価である330円は本売渡株主の皆様にとって合理的な価格であり、(iii)アスパラントSPC2号は株式会社三井住友銀行からの本売渡請求の売渡対価に係る支払資金等の借入れを行うことを予定しているところ、当社は同行からの当該借入れに関する融資証明書及び金銭消費貸借契約書を確認し、アスパラントSPC2号による本売渡対価の交付の見込みはあると考えていること等を踏まえ、本売渡請求は、本売渡株主の利益にも配慮がなされた合理的なものであると判断し、アスパラントSPC2号からの通知のとおり、本売渡請求を承認する旨の決議をいたしました。
なお、本売渡請求の承認に係る当社の意思決定に至る過程において、当社の取締役4名のうち、当社の代表取締役会長執行役員である大嶋翼氏は、アスパラントSPC2号に出資を予定しており、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあることを踏まえ、平成28年1月22日開催の取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場においてアスパラントSPC2号との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
また、当該取締役会には、当社の全ての監査役が審議に参加し、その全ての監査役が、本売渡請求を承認することについて異議がない旨の意見を述べております。
以上