有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 14:12
【資料】
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【項目】
192項目
(4) 戦略
① 戦略の概要と意義
当社グループは、企業価値向上と持続可能な社会の構築をともに追求するサステナビリティ経営の基本として、ネイチャーポジティブ、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの3つを挙げています。
これに基づき、当社グループは、再生可能な森林資源を事業基盤とし、「持続可能な森林資源の循環」「製品とエネルギーの循環」「積極的なリサイクル」の3つの循環を基本とする循環型事業を拡大しています。
紙・板紙の製造・販売に加え、森林、木材事業の拡大・強化、家庭紙、ケミカル製品など生活関連事業の高収益化、新たなバイオマス素材事業の拡大、リサイクル技術の高度化を進めることで、森林資源の力を引き出し、企業価値向上と持続可能な社会の構築をともに追求していきます。
当社グループは、戦略に影響が生じると合理的に見込み得る時間軸を、短期、中期、長期に区分しています。これらの時間軸は、当社グループの中期経営計画並びに2030ビジョンでの意思決定に用いる計画期間と整合しています。
企業価値向上と持続可能な社会の構築を追求する循環型事業モデル「3つの循環」

② 目指す姿とマテリアリティ
2004年に「国連グローバル・コンパクト」に署名・参加以来、当社グループは「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野に関わる10原則に基づき、企業グループ理念「日本製紙グループは世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」の実現に向けてサステナビリティ経営を推進しています。
当社グループは、この理念を経営戦略へと具現化するため、2021年には、10年後の目指す姿を定義した「2030ビジョン」を策定し、その実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を特定しています。特定したマテリアリティに2030ビジョンの基本方針及び具体的なKPI・目標を紐づけることで、マテリアリティへの取り組みを日常の事業運営と一致させています。
目指す企業像・マテリアリティ・2030ビジョンの関係
企業グループ理念
目指す企業像
マテリアリティ
(重要課題)
2030ビジョン(目指す姿)目指す方向性
基本方針取組テーマ
事業活動を通じて持続可能な社会の構築に寄与する気候変動問題への対応GHG削減、環境課題等の社会情勢変化への対応GHG削減Scope1・2削減、非化石エネルギー比率向上、エネルギー原単位改善
持続可能な森林資源の活用・生物多様性の保全グリーン戦略(森林価値の最大化)植林・育種・材積増、CO₂固定量増大、森林認証維持、公益的機能発揮、生物多様性保全
環境負荷の低減環境負荷の低減大気・水質汚濁物質削減、産業廃棄物最終処分量削減
資源循環の推進リサイクル推進古紙安定調達、未利用紙の活用拡大、水平リサイクルスキーム構築
人権の尊重人権の尊重人権デューディリジェンスの実施
お客様のニーズに的確に応える社会環境の変化への対応グリーン戦略(バイオマス製品の拡大)脱プラ・減プラ需要への対応、紙化製品の拡大
製品の安定供給・安全性向上製品の安定供給、製品安全と品質管理BCP強化、安定輸送、サプライチェーン連携、製品安全マネジメント強化
社員が誇りを持って明るく仕事に取り組む多様な働き方の実現・多様な人材の活躍成長事業への経営資源のシフト働きやすさ・働き甲斐向上・人材リソース最大活用エンゲージメント向上、総労働時間削減、若手定着率向上、女性比率向上
労働安全衛生の推進重篤災害0件/年
安定して利益を生み出し社会に還元する事業構造転換の推進成長事業の拡大/新規事業・新素材の早期戦力化/基礎事業の構造改革/海外市場の取り込み生活関連事業の売上拡大、成長事業への投資拡大、新素材・新規事業の事業化、基礎事業の集約・効率化、海外売上比率30%以上
ガバナンスの充実取締役会の機能強化取締役会の実効性向上
地域・社会との共生/ステークホルダーとの対話企業経営の透明性の確保企業情報を積極的かつ公正に開示

③ サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別
(イ) 全社横断的なリスク調査による識別
サステナビリティ関連のリスクの識別については、当社グループ全体のリスク管理プロセスに統合されています。「3 事業等のリスク」をご参照ください。一方、機会の識別については、事業戦略、投資判断、商品・技術開発、研究開発、調達、生産、物流、販売及び情報開示の各プロセスと連携しています。これにより、サステナビリティ関連のリスク及び機会は、個別の環境・社会施策としてではなく、当社グループの中長期的な企業価値向上に関わる経営の管理事項として扱われています。
(ロ) 事業部門ごとの識別
各事業部門では、全社横断的に識別したリスク及び機会を、各事業の市場構造、競争環境、顧客ニーズ、原材料調達、物流、技術・商品開発の状況に照らして具体化しています。事業部門ごとの検討では、リスクを回避するだけでなく、需要構造の変化や環境配慮ニーズを収益機会として取り込む観点から、設備投資、研究開発、調達戦略、販売戦略への反映を進めています。
事業部門別のリスク及び機会(2025年3月末時点の評価)
事業リスク機会
紙事業・燃料構成における石炭比率の高さ
・設備の多さに起因する固定費の高さ
・リモートワーク等生活様式の変化やデジタル化によるグラフィック用紙需要の減少
・需要減少局面中での労務費、物流費の上昇
・製造現場での人手不足
・多様な製品を生産する技術力・ノウハウ、全国をカバーする安定供給体制並びに販売流通網による市場シェアの拡大
・脱炭素、脱プラスチック等環境負荷低減の高まり(紙化への流れ)
板紙事業・操業の安定性
・販売価格の維持
・国内外の経済悪化による需要減少
・物流コストの増加
・原材料価格の高騰
・自製クラフトパルプを活用した高付加価値製品の開発による新規市場への参入
・飲料・食品向け、e-コマース関連の安定した需要
・国内外の環境規制導入による他素材からの切替需要
液体用紙容器事業・海外現地人材の育成・確保
・世界各地での紛争や自然災害等による紙パック原紙の供給不安
・国内紙パック市場での競争激化
・事業成長に必要な要員の不足
・多様な飲料・容量に対応可能な充填システムへのニーズの高まり
・国内外における環境配慮製品へのニーズの高まり
家庭紙・ヘルスケア事業・非効率な部分を有する購買・物流
・パルプのグループ内調達量の増加余地
・物流コストの増加
・人手不足
・為替の変動
・他社の設備増強による競争激化
・環境・衛生に対する意識の高まり
・環境にやさしい商品の需要増加
・木質資源を原料とするサステナブル製品の開発による市場シェアの拡大
ケミカル事業・生産設備更新の投資コストが高い
・生産規模が小さく高コスト
・市場環境変化に伴う品質要求の高まりと既存製品価値の低下
・海外メーカーの攻勢
・世界的なバッテリーEV化への流れ
・環境負荷の高まりによる環境配慮製品の需要増加
エネルギー事業・エネルギー供給における化石燃料比率の高さ
・石炭の使用による社会的評価とコスト
・石炭使用に対する批判負担の高まり
・カーボンプライシング導入の動き
・2050年カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー需要の高まり
木材・建材事業・担い手減少および価格競争力不足に伴う製造用原料調達網の脆弱化
・製建材部門の取り扱い規模が小さく価格競争力で劣る
・林業従事者の不足と生産性の低さ
・人口減少による新設住宅着工戸数の低迷
・新規バイオマス発電向け燃料の需給環境変化
・国産木材の自給率拡大の動き
・バイオマス発電設備の増加によるバイオマス燃料の需要拡大

④ サステナビリティ関連のリスク及び機会が集中している部分
当社グループでは、識別したリスク及び機会をバリューチェーン上の段階ごとに次のとおり整理しています。
バリューチェーンにおけるサステナビリティ関連リスク及び機会
工程リスク機会
調達(上流)・為替・地政学・物流制約による調達コスト変動及び調達不安定化国産材流通網強化による安定調達・輸送時のCO₂排出抑制
生産(直接操業)・化石燃料への過度な依存による気候変動の移行リスク
・労働人口の減少による人材確保のリスク
・省エネ・燃料転換・設備更新による生産効率の向上並びに収益性の改善
・多様な人材の採用がもたらす変化に柔軟な人的資本基盤の活用
物流・販売(下流)・物流2024年問題等による安定供給の制約
・物流時のCO₂排出削減の加速
・物流DX等によるコスト削減
・モーダルシフト化、共同輸送等による低CO₂製品の販売拡大
回収・再資源化
(循環)
古紙確保、紙容器リサイクル等の循環型事業モデルの維持・拡大に関するリスクサーキュラーエコノミーの主流化によるリサイクル製品市場の拡大

⑤ サステナビリティ関連のリスク及び機会が現在与えている影響
「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ サステナビリティ関連のリスク及び機会が将来与えると予想される影響
「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑦ レジリエンス
当社グループの戦略は、現時点で一定のレジリエンスを有していると評価しています。各事業リスクに対するレジリエンスは、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

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