有価証券報告書-第75期(令和2年4月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 14:12
【資料】
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【項目】
139項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「大幸薬品は『自立』『共生』『創造』を基本理念とし、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供します。」という企業理念を実現するに当たり、「健康社会の『ないと困る』を追求する。」をスローガンとして掲げすべての企業活動の指針としております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは事業の持続的成長を図る観点より、売上高及び営業利益の成長性を重視しております。また、資本の効率化による株主利益の最大化を目指し、自己資本利益率(ROE)も重視しております。
(3) 経営環境、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 医薬品事業
国内市場においては、人口の高齢化等に伴う医療費の高騰が社会問題化する中で、セルフケアとしてのセルフメディケーションの推進により、一般用医薬品の市場はさらに拡大するものと予測されます。一方で、当社の主力製品「正露丸」が属する止瀉薬市場は、多数のメーカーによる厳しい競争環境下にあり、国内人口の減少による市場規模の縮小等と相まって、当社製品のシェアは49.4%と5割を切っております<出所:株式会社インテージ>。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、インバウンド関連の需要消失のみならず、消費者の外出自粛やリモートワークの拡大等で、医薬品の利用機会の減少が続き、国内需要の縮小は当連結会計年度末時点においても復調の兆しが見られておりません。また、中国本土や香港を中心とした海外市場でも、国内同様の状況にあり、消費の冷え込みが改善しておりません。
このような厳しい環境ではありますが、当社グループでは研究開発活動を継続し、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」の主成分「木クレオソート」の新たな知見と成果の探求に努めてまいります。近年では、「木クレオソート」がヒトの腸内細菌に対して作用しないことを臨床的に実証し、日本薬局方ではかつて「化学薬品等」の分類でありましたが、「生薬等」に改正されました。これを受けて一般薬承認基準(胃腸薬)でも同様に、「殺菌剤」から「生薬」に分類が改められました。さらには、アニサキス症に対する効果検証や、安全性として他のお薬との飲み合わせに対する影響の調査等、複数の研究も進めており、引き続き胃腸内環境改善による“健全な体内環境”を実現するための実績と信頼を培ってまいります。
国内の顧客基盤強化策については、明確なポジショニングとわかりやすいストーリー展開で、若年層を中心とした新規ユーザーの製品理解の深耕に努め、市場シェア拡大を図ってまいります。
海外市場においては、特に当社グループの主要市場である中国本土、香港、台湾を含むアジア地域で、所得水準の向上等に伴う潜在的な消費需要の拡大が見込まれています。また、日本製品は安全性、信頼性、高品質の点で高く評価されていることもあり、当社製品への需要拡大の期待が持たれます。引き続き、現地の販売代理店と連携を強化し、営業・マーケティング体制を整備し、国内で蓄積した経験・ノウハウ等を活かしながら、主力製品「正露丸」、「セイロガン糖衣A」の販売を強化してまいります。
② 感染管理事業
感染管理事業においては、世界的な感染症による脅威により、医療・生活等に関わるあらゆる場面で、感染予防と衛生対策への重要性が高まっております。特に2019年末頃に確認された新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は未だ沈静化には至っておらず、衛生対策関連製品への需要は依然、高い状態が続いております。このような背景下、市場では様々な除菌製品が見られるようになり、競合する類似製品も顕著に増加しています。そのため、当社グループでは国内顧客基盤の強化策として、衛生意識の高い層に対し、自社の製品ブランド力を高める効果的なコミュニケーションを展開することが重要であると考えております。これまで、製品ラインナップの充実、パッケージデザインのリニューアル等に加え、伝わるメッセージにより製品への関心を高め、顧客接点を増やすことに注力してまいりました。引き続き、顧客ニーズを探しながら、新たな製品開発や用途提案を通じて、浮遊ウイルス関連特許を有する「クレベリン」ブランドの更なる認知向上に努めてまいります。
また、当社グループは、これまで培ってきた二酸化塩素の基礎研究及び製品の安全性と有効性の研究データを蓄積することにより、世界に先駆けて物体・空間除菌市場を創造し、拡大してまいりました。
現在、積極的に産学共同研究も進めており、2017年からは、大阪大学大学院医学研究科とは「空間環境感染制御学共同研究講座」を設け、低濃度二酸化塩素ガスによる空間除菌システムを中心に、再生医療分野での臨床試験に向けての研究を進めております。また、順天堂大学大学院医学研究科とは「集団感染予防学講座」を開設し、医療空間等での環境感染対策での二酸化塩素の有用性と応用について臨床的な検証も進めております。なお、新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の有効性の検証を既に進めており、当連結会計年度においては、二酸化塩素分子がヒトの体内への感染を阻止するメカニズムを解明し、英文科学雑誌に発表しました。これからも、消費者の皆様の安心感の醸成が重要であると考え、研究開発活動に注力してまいります。
海外市場につきましては、当社製品は主に現地の販売代理店を通じ、小売店やECサイト等で消費者に販売されております。世界的な感染予防意識の高まりを背景に、さらなる潜在需要が見込まれることから、中国、香港、台湾の子会社を拠点に現地での拡販を目指すとともに、シンガポール、マレーシアでも代理店を通じた販売を開始しました。また、欧米や中東、南米等の新規の国・地域に対するアプローチを強化するための子会社も設立しており、さらに顧客エリアを拡大してまいります。新型コロナウイルス感染症の世界的流行下においては、これまで国内で培ってきた感染管理のノウハウを活かし、海外の消費者にも当社製品の需要喚起、認知度向上を図ってまいります。
③ 生産体制、経営システムに係る課題
生産体制につきましては、成長を支えるための体制強化を図るべく、京都工場・研究開発センターにおいて2021年度に医薬品事業を本格稼働させることにより生産活動の拡大と生産性の向上を図ってまいります。また、感染管理事業においては、昨年、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い衛生管理市場の需要が急拡大した際に、当社製品の供給が対応できず、必要な時期に必要とされる方々へお届けできなかった時期がありました。この反省を踏まえ、直ちに新たな工場を稼働させることにより、短期間で「クレベリン」の供給能力の大幅増強を実現しました。今後は、更なる需要の急拡大時に備え、サプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいります。
また当社グループでは、事業活動を通じて、環境・エネルギー問題や社会課題に対応していくことを経営課題のひとつに掲げております。世界では感染症やパンデミックの脅威、薬剤耐性(AMR)菌による院内感染等への対応が急務になっており、これら人類の脅威に対処していくためにも、当社グループが日本で培った「クレベリン」による「空間除菌」の概念を世界の人々の暮らしに浸透させ、衛生観念を文化として根付かせてまいります。また特に、感染症の流行下では室内空間の換気が推奨されますが、一方で空調等に係るエネルギーの消費が伴います。当社が提唱する低濃度二酸化塩素による「空間除菌」を普及させることで、脱炭素社会の実現にも寄与できればと考えております。

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