有価証券報告書-第6期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 15:29
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103項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済は、個人消費が全体として低調に推移するなど、一部に改善の遅れがみられるものの、企業収益や雇用環境等は改善傾向にあり、全体としては緩やかな回復基調が続きました。また、当社グループ海外事業の主要市場であるアジアの経済は、ASEAN諸国で成長が加速した国や地域があるものの、中国の減速等の影響もあり、全体としては前年並みの成長率となりました。
医薬品業界におきましては、OTC医薬品市場は、解熱鎮痛剤、鼻炎治療剤など一部に好調なカテゴリーがあったものの、インバウンド消費の影響が一巡し、総体的にはほぼ前年並みに推移しました。
医薬事業につきましては、新薬の創出が困難になりつつあるなかで、医療費適正化諸施策の浸透に加え、平成28年4月に実施された薬価改定の影響もあり、依然として厳しい事業環境が続いております。
こうした事業環境の中で、当社グループのセルフメディケーション事業部門は、「健康で美しく老いたい」という生活者のニーズに対応すべく、製品開発面では生活者の健康意識の高まりや変化に対応した新しい領域・新しいコンセプトの商品開発にも積極的に取り組んでいます。また、販売面ではマーケティングと営業活動の連動性を高め、生活者に支持されるブランドづくりや需要を創造する活動を強化するとともに、通信販売等の新しいチャネルの拡充による生活者との直接のコミュニケーションにも注力しています。海外市場におきましては、アジアを中心にOTC医薬品の事業開発を積極的に行っております。
医薬事業部門でも、きめ細かい情報提供活動による新薬の売上最大化を図るとともに、自社オリジナル開発物質の継続的な創出と開発段階の化合物の早期承認取得を目指しております。また、国内外の企業からの有望候補物質の導入を積極的に進め、開発パイプラインの強化にも努めております。
当連結会計年度のグループ全体売上高は、2,797億7千3百万円(前連結会計年度比△103億6千2百万円、3.6%減-以下括弧内文言「前連結会計年度比」省略)となりました。
セグメント別の売上高は次のとおりであります。
セルフメディケーション事業1,800億円(△ 7億円 0.4%減)
内訳
国内1,497億円(+ 16億円 1.1%増)
海外275(△ 24 〃 7.9%減)
その他28(+ 0 〃 1.1%増)

医薬事業998億円(△ 96億円 8.8%減)
内訳
医療用医薬品961億円(△111億円 10.3%減)
その他37(+ 15 〃 66.3%増)

主要製品の売り上げ状況は次のとおりであります。
<セルフメディケーション事業>当連結会計年度の売上高は、1,800億円(△7億円、0.4%減)となりました。
主力ブランドでは、ドリンク剤の「リポビタンシリーズ」は、主力の「リポビタンD」が前年を下回り(3.5%減)、シリーズ全体では585億円(3.3%減)となりました。「パブロンシリーズ」は、主力の総合かぜ薬や鼻炎治療剤がともに前年比プラスとなり、シリーズ全体では263億円(6.1%増)となりました。発毛剤「リアップシリーズ」は、シリーズ全体で161億円(2.9%減)となりました。
一方、アジアを中心に展開中の海外OTC医薬品事業は、現地通貨ベースで計画通りに推移しましたが、為替の影響を受けて172億円(6.7%減)となりました。
<医薬事業>当連結会計年度の売上高は、998億円(△96億円、8.8%減)となりました。
主な増収品目は、骨粗鬆症治療剤「エディロール」226億円(13.9%増)、骨粗鬆症治療剤「ボンビバ」59億円(19.9%増)でした。一方、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗菌薬「ゾシン」は155億円(43.2%減)、マクロライド系抗菌薬「クラリス」は93億円(22.3%減)、末梢循環改善薬「パルクス」は54億円(13.7%減)と、薬価改定及び後発医薬品の影響等もあり前年比マイナスとなりました。なお、2型糖尿病治療剤「ルセフィ」は29億円(225.2%増)、平成28年1月発売の経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」は18億円となりました。
利益面につきましては、販売促進費等の減少で販売費及び一般管理費が減少したことなどにより、営業利益は319億6千6百万円(10.7%増)、経常利益は380億3千6百万円(3.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は287億8千1百万円(28.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ300億円増加し、1,842億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、401億円(前連結会計年度比30億円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が420億円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、14億円(前連結会計年度比103億円の減少)となりました。これは有価証券の売却及び償還による収入が342億円あった一方、投資有価証券の取得による支出が208億円、関係会社株式の取得による支出が123億円、無形固定資産の取得による支出が15億円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、84億円(前連結会計年度比111億円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額が80億円あったことなどによるものです。
キャッシュ・フロー指標のトレンド
平成28年3月期平成29年3月期
自己資本比率(%)82.984.2
時価ベースの自己資本比率(%)93.993.7
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)0.90.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)19,256.732,156.4

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
*キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。