有価証券報告書-第15期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)

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2019/12/23 15:44
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152項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「人と地球を健康にする」という経営理念のもと、「バイオテクノロジーで、昨日の不可能を今日可能にする」という企業ビジョンを掲げ、ユーグレナ等の微細藻類の大量培養技術を出発点として、食品、化粧品、飼料、燃料等の様々な分野における事業展開と研究開発を行っているバイオテクノロジー企業です。
ユーグレナは、植物と動物の両方の性質を備えたユニークな生物であり、その豊富な栄養素や独自成分であるパラミロンの機能性等を活かして、機能性食品、化粧品、飼料として活用することが可能です。また、ユーグレナは光合成により二酸化炭素を吸収して成長する特徴を有していることから、ユーグレナを低コストで大量に培養する技術を確立することで、ユーグレナに含まれる脂質成分をバイオ燃料原料として利用することも可能となります。当社グループは、これらのユーグレナの特徴を活かして、ヘルスケア分野やエネルギー・環境分野における事業を推進しております。
また当社グループは、ユーグレナの事業展開を通じて培った事業基盤と、バイオテクノロジー分野における知見を活かして、「人と地球を健康にする」という経営理念に向けて、ユーグレナ以外の素材や藻類培養以外のテクノロジーを用いた事業展開、並びに既存事業の周辺領域や新規領域への事業進出も進めてまいります。
当社は、ユーグレナを「バイオマスの5F」の「用途」分野に沿って事業化することを基本戦略としつつ、その事業化に伴い「ビジネスモデル」や「素材・技術」の多様化を進めております。「バイオマスの5F」とは、重量単価(例:1kgあたりの値段)が高い順からFood(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の各分野へ展開することを指しております。ユーグレナに関しては、現在はバイオマスの5Fのうち、最も価格が高いFood(食料)を主として食品及び化粧品の「用途」で事業化しており、「ビジネスモデル」は、原料販売から、OEM供給、流通チャネルでの卸売、直販、そして海外展開へと順次拡大しております。また今後は培養技術の更なる向上・開発により原料の低コスト化を図り、Feed(飼料)及びFuel(燃料)等の「用途」での事業化を目指してまいります。
図 バイオマスの5F
0102010_001.jpg一方、当社はユーグレナ以外の「素材・技術」についても研究開発や新規開拓を進めており、クロレラ等の微細藻類のほか、カラハリスイカや緑豆等の植物、クルマエビ等の農水産物、そして遺伝子解析サービスといった「素材・技術」を当社グループの事業ポートフォリオに順次導入しております。
以上のとおり、当社グループは、ユーグレナを「バイオマスの5F」の「用途」分野に沿って事業化するという基本戦略を軸に、「素材・技術」、「ビジネスモデル」の点で事業領域の多様化を進めることで、中長期的な企業成長と事業拡大を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2016年11月に、2020年9月期までに「グループ連結売上高300億円の達成」と「国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化(国産バイオ燃料計画)」の達成を目指す中期経営目標を公表し、この実現に向けて各種施策に取り組んでまいりました。
「グループ連結売上高300億円の達成」に向けては、M&Aや直販への経営資源の投下によりヘルスケア事業の成長を図ってまいりました。しかしながら、直販化粧品のパフォーマンスが当初想定を達成するに至らず、その他領域の売上高も減少傾向となったことから、2019年9月期は創業来初となる前期比減収という結果に終わりました。
この結果を受け、2016年11月に発表した2020年9月期までの「グループ連結売上高300億円の達成」という中期経営目標を撤回した上で、2021年9月期以降の売上再成長に向けた投資を優先させることといたしました。そのため、ヘルスケア事業の目標とする経営指標としてはヘルスケア事業の黒字維持と設定し、下記、「1.(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載する経営戦略に則り、ヘルスケア事業の再成長に向けて、現在直面している課題の解決を成長機会に転じることで、新たな中長期成長の実現を目指してまいります。
「国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化(国産バイオ燃料計画)」に向けては、2018年10月31日に実証プラントが竣工に至り、同年11月2日には「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN』宣言を発表し、実証プラントにおいて生産するバイオ燃料の供給パートナーとの関係構築を着実に進めております。一方、2019年秋に見込んでいたASTM認証(※1)取得と次世代バイオディーゼル燃料の供給開始については、2019年9月期中において実現できておりません。ASTM認証取得のスケジュール遅延に関しては、当社がライセンス提供を受けているBICプロセス(※2)の技術開発元であるARA社による申請が、認証取得フェーズの最終段階にあるものの、当初想定より審査通過に時間を要していることが原因となります。また、実証プラントの稼働遅延に関しては、試運転期間中に運転フェーズごとに課題発生と対応が続いたことが原因となります。いずれも着実に対応を進めており、2020年9月期中に「国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化(国産バイオ燃料計画)」を実現するという従来のスケジュールに変更はありません。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的な経営戦略として、ヘルスケア事業においてはユーグレナ食品売上高の再成長を、エネルギー・環境事業においてはバイオ燃料製造・供給の商業化を図ってまいります。
ヘルスケア事業については、2019年9月期までは直販化粧品を成長ポテンシャル領域と位置づけて広告宣伝投資を実施してまいりましたが、直販化粧品のパフォーマンスが当初想定を達成するに至りませんでした。2020年9月期以降は、減少基調が継続しているユーグレナ食品領域を重点強化領域と位置づけ、短期的な売上成長・利益確保は追及せず、ユーグレナ食品の素材プロモーション、企業/素材/商品ブランド間の連携強化、事業基盤整備等に投資比重をシフトすることで、持続的な成長を目指してまいります。具体的な実施施策については下記、「1.(4)対処すべき課題」に記載しております。
エネルギー・環境事業については、2018年11月2日に実証プラントの竣工に併せて、2025年までに商業プラントの稼働開始を目指す方針を発表いたしました。当社が製造を予定しているバイオ燃料のうち、特にバイオジェット燃料に関連する社会の動きとしては、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)が気候変動問題への対応として、2020年以降、航空業界において温室効果ガスの排出を増加させないことを掲げており、その対策としてバイオジェット燃料の普及・拡大が期待されています。このようなバイオ燃料へのニーズの高まりに対して、当社グループも採算性を重視しながら、気候変動問題の解決に貢献するバイオ燃料製造・供給の商業化を2025年に向けて着実に進めていく方針です。また、ユーグレナの大規模培養技術に関する研究開発を着実に進展させることで、燃料用だけでなく飼料用原料としてのユーグレナの利活用も目指してまいります。具体的な実施施策については下記、「1.(4)対処すべき課題」に記載しております。
(4)対処すべき課題
当社グループでは「人と地球を健康にする」という経営理念のもと、「バイオテクノロジーで、昨日の不可能を今日可能にする」という企業ビジョンを掲げ、多様なニーズに対する新たな価値の提供を通じて、中長期的な成長を図っております。現状の市場環境及び事業進捗において、当社グループとして認識している対処すべき課題については以下のように考えております。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業においては、直販化粧品を成長ポテンシャル領域と位置づけて広告宣伝投資効率と定期購入顧客継続率の改善を図りながら投資評価を進めるとともに、「ユーグレナの緑汁」のドラッグストア向け販売の開始、流通向け商品のリニューアル、新規OEM取引の再開等の施策を展開してまいりました。しかしながら、直販化粧品のパフォーマンスは当初想定を達成するに至らず、その他領域の売上高も減少傾向となったことから、2019年9月期は創業来初となる前期比減収という結果に終わりました。ヘルスケア事業の再成長に向けて当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題の解決を成長機会に転じることで、新たな中長期成長の実現を目指してまいります。
①ユーグレナ食品需要の低迷
ユーグレナ食品売上高は減少基調が継続しており、ユーグレナ食品に対する需要の創出がヘルスケア事業の再成長に向けた課題と認識しております。ユーグレナ食品の認知・購買経験率は他の健康素材と比較して著しく低い水準にとどまっていることから、ユーグレナ食品市場の成長がピークアウトしたと判断するのは時期尚早と評価しており、むしろ素材認知促進や顧客接点拡大による成長余地が大きく残されていると捉えております。今後は素材開発や機能性研究を強化するとともに、食品素材としての便益等に関する素材プロモーション等の認知向上施策の実施や、全販路展開による顧客接点の拡大に努めることで、独自素材を有する健康食品メーカーとしての強みを最大限に活用していく方針です。
②企業/素材/商品ブランドの連携不足
当社グループのブランディングは、企業/素材/商品の各ブランドが十分に相互連携できておらず、企業活動に関するメディア露出等が商品売上の拡大につながらない、また商品ブランドにおいて企業活動や素材便益が想起されにくい等の課題を有しています。当社グループは、社名でもあるユーグレナという独自素材を有するとともに、バイオ燃料の研究開発やバングラデシュでの活動等の社会性の高い事業を展開しており、他のヘルスケア企業が容易に模倣できない独自のブランドを構築し、マーケティングに活用できるポテンシャルを備えていると捉えております。今後は広告宣伝投資に占めるブランディング投資の比重を高め、企業/素材/商品の各ブランド間の相互連携を強化することで、独自性の高いブランドを構築し、ブランドを軸とした商品展開とマーケティングを強化していく方針です。
③顧客獲得チャネル及び顧客層の偏り
当社グループの売上の主力である直販チャネルの定期顧客はシニア層が中心を占めており、当該顧客層に親和性の高い新聞広告・テレビショッピング等のオフライン広告に対して集中的に広告宣伝投資を展開してきた結果、顧客層と顧客獲得チャネルに偏りが生じていることを課題と認識しております。ヘルスケア事業の中長期的な成長には顧客層の多様性と持続性の確保が重要であるにも関わらず、当社グループのデジタルマーケティングやミドル層へのアプローチ、ロイヤルカスタマー育成施策等への取組は十分とは言えず、改善の余地は大きいと捉えております。今後はマーケティング、CRM、事業管理等におけるデジタル化の推進や、ロイヤルカスタマー育成施策の拡充等、中長期的成長に必要な事業基盤の整備を進めていく方針です。
(エネルギー・環境事業)
当社グループは、エネルギー・環境事業において、将来的な商業化を見据えたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造・供給体制の構築と微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性に関する研究開発を推進しております。エネルギー・環境事業に関して当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題を早急に解決することで、中長期的に新たな事業の柱として確立することを目指してまいります。
①バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの製造・供給体制の構築
当社グループは、2020年9月期までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を実現するという目標のもと、神奈川県横浜市鶴見区において実証プラントの建設を2017年6月より開始し、2018年10月末に竣工に至りました。2019年9月期を通じて、実証プラントで使用する廃食油等の原料確保、及び実証プラントで製造するバイオジェット・ディーゼル燃料の供給先の開拓は順調に進捗いたしましたが、実証プラントの試運転に関しては様々な課題への対処からスケジュールに遅れが生じており、有価証券報告書提出日現在において本格稼働・供給開始には至っておりません。今後は、実証プラントにおいて発生する課題に速やかに対処した上で実証プラントの試運転を完了し、本格稼働を開始することで、次世代バイオディーゼル燃料の継続的な供給とバイオジェット燃料による有償フライトを2020年9月期中に実現することを目指してまいります。
②バイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラントの製造・供給体制の構築
当社グループは、実証プラントの竣工を機に「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を公表し、2025年までに商業プラントの建設を目指す方針を発表いたしました。商業プラントの建設の実現には、実証プラントの稼働データを取得・分析するとともに、プラントの立地選定・用地確保、バイオジェット・ディーゼル燃料原料の確保、プラントの設計・建設、プラント運転に要する人員・用役の確保、供給先や販売パートナーの確保等、様々な課題に取り組む必要があります。2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備に着手しており、今後さらにフィージビリティ・スタディを進めることで、商業プラント建設に向けた計画を立案していく方針です。
③微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性
当社グループは、微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性に関する研究開発を進めており、将来的な商業生産の実現を目指しております。商業生産の実現には、生産コストの更なる削減、大規模生産技術の確立、大規模生産の候補地調査と現地データ収集、ユーグレナの品種改良や用途に関する研究等、様々な課題に取り組む必要があります。2017年より三重県多気郡多気町の藻類エネルギー研究所においてバイオ燃料向け微細藻類の研究を進めているほか、2019年2月には株式会社デンソーとの間で微細藻類を活用した事業開発で包括的に提携する基本合意書を締結、2019年6月には伊藤忠商事株式会社との間でバイオ燃料用・飼料用ユーグレナの海外培養実証事業開始に向けた覚書を締結するなど、微細藻類の大規模・低コスト生産技術の確立を目指す研究開発活動とパートナーシップ構築を推進しております。今後も各方面の有力な研究機関との共同研究や事業会社とのパートナーシップを活かしながら、商業生産実現に向けたフィージビリティ・スタディ及び技術開発・実証を推進してまいります。
【用語解説】
※1:米国の材料試験協会(American Society for Testing and Materials)が定める国際的な工業材の技術規格・認証制度。バイオジェット燃料の国際的な技術規格としては、ASTMのD7566という技術規格が整備されており、当該規格にのっとって、各種の方法で製造されたバイオジェット燃料の試験・評価され、審査を通過した技術規格のみが国際的な認証を取得可能です。
※2:バイオフューエルズアイソコンバージョン(Biofuels IsoConversion)プロセス技術の略称。Chevron Lummus Global社及びARA社より当社にライセンスが付与されているバイオ燃料製造技術の一つです。

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