有価証券報告書-第12期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/27 15:05
【資料】
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【項目】
142項目
(2)戦略
当社グループの経営の基本方針、目標とする経営指標、中長期的な経営戦略は、前述「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」のとおりです。
その中で、当社グループのサステナビリティへの取り組みに関して、2023年7月18日の取締役会において決議し、同日に公表した基本方針は次のとおりです。
サステナビリティ基本方針
当社グループは、企業理念「未来をつくろう Discover Something New.」、およびビジョン「やればいいじゃん! Just go for it!」を掲げ、当社グループの事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に向けた課題の解決に貢献してまいります。
また、私たちは国際連合が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の趣旨に賛同しております。私たちの取り組みが17のゴール達成の一助となるよう、グループ全体でサステナビリティ活動を推進してまいります。

この基本方針のもと、ステークホルダー及び当社グループの持続的な成長のために対応すべき重要度の高い課題(マテリアリティ)を分析・評価し、環境、社会、ガバナンスおよび当社のビジネスの4つのカテゴリーごとに特定するとともに、カテゴリーごとの取り組みに関する基本的な考え方を設定いたしました。
カテゴリーマテリアリティ
(重要課題)
取組に関する基本的考え方
環境
Environment
・気候変動への対応をはじめとした広範な地球環境の保全当社グループは、事業活動を通じて生活者やお客さま企業の地球環境保全に向けたイノベーションを後押しするとともに、私たち自身が消費するエネルギーを抑制し、気候変動などの広範な環境問題の解決に貢献してまいります。
社会
Social
・人的資本の充実
・多様性、公平性、包摂性(DE&I)の向上
・産学官/幅広いパートナーとの連携による社会貢献活動の推進
当社グループの事業活動において、人材こそが付加価値創出のための最も重要な資本であると認識しております。このため、世界中から多様で高度な専門性を持つ人材を結集し、育成し、活躍の場を提供することが重要と考えております。
また、持続可能な社会の実現に貢献するため、パートナーとの連携による取り組みを推進してまいります。
ガバナンス
Governance
・コーポレートガバナンス機能、内部管理体制の拡充化
・リスクマネジメント、情報セキュリティ、プライバシー保護の更なる強化
・ステークホルダーへの適切な情報開示と対話の促進
当社グループの持続的成長には、海外の拠点、子会社を含むグループ全体におけるコーポレートガバナンス機能、内部管理体制の強化が不可欠であると認識しております。
また、当社グループの成長は、関連法令・規制を遵守した上での健全で公正な取引に立脚したものでなければならないと考えております。
ビジネス
Business
・経済的成長とサステナビリティ活動の両立当社グループの祖業である生活者調査とそこから創出される様々な新しいビジネスは、持続可能な社会の実現に向けた課題解決のための取り組みと両立することができると考えております。
このため、持続可能な社会の実現に向けた課題解決に関わるサービス収益について、その内容の発展と成長を推進してまいります。

また、気候変動につきましては、「気候変動への対応をはじめとした広範な地球環境の保全」をマテリアリティにしております。当社グループにおける気候変動のリスクと機会は、以下のとおりであります。
区分発生時期(※)主な影響影響度
移行
リスク
政策・法規制リスク短~中期・炭素税等、温室効果ガス排出を抑制する政策導入・規制強化への対応に伴うコストの増加
・再生可能エネルギーへの転換および調達によるエネルギーコストの増加
市場リスク短~中期・生活者の消費行動の変化などに起因する当社既存サービスの需要低下
評判リスク短~中期・気候変動への対策が不十分なことによる顧客、投資家、従業員などのステークホルダーからの信頼失墜と企業価値低下
物理的
リスク
急性リスク長期・自然災害の発生によるオフィスや従業員、パネルなどの被災、および売上機会の損失
慢性リスク中~長期・温暖化等による空調費用の増加
機会資源の効率性中~長期・省エネや再生可能エネルギーにかかわる技術の普及に伴う価格低下により、当社オフィスやデータセンターにおけるコスト削減
製品/サービス中~長期・気候変動に起因する災害や感染症等により対面での接触が抑制されることによる、オンラインサービスの需要増加
・脱炭素社会の実現に向けた、政府や地方自治体、民間団体とのビジネス機会の増加
市場中~長期・気候変動に伴う生活者の意識や行動の変化により、新たな調査・分析ニーズの発生
・環境意識の高まりや脱炭素社会への移行により、新製品や新サービスにかかわるマーケティング需要が増加
評判中~長期・社会的な信頼性・イメージの向上により、人材の確保や企業価値の向上が期待できる

(※)短期:0~3年、中期:3~10年、長期:10~30年
(人的資本の充実に関する戦略・社内環境整備・取り組みについて)
当社グループの事業活動において、もっとも重要な経営資源は人材であると認識しております。顧客企業からの多様化する要求に応えていくためには、世界中から多様で高度な専門性を持つ人材を結集し、育成できる環境を整備し、活躍の場を提供することが重要と考えております(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 人材の確保、育成」を併せてご参照ください)。
① 人材採用
当社グループには、多様な地域・ビジネス領域で事業を展開する会社が集合していることから、当社グループ全体としてのカルチャー「CMG Culture」を共有することに大きな意義があると考えております。そのため、ミッション(存在意義)である「未来をつくろう」をもとに、ビジョン(価値観)、「Road of Growth」(行動指針) に対しての共感度が、重要な採用基準となっております。また、カルチャーへの共感度とあわせて、全社で適性・性格診断の実施を行ってデータを蓄積し、採用のミスマッチが起きないようにデータを活用した採用を行うことにより、中長期的に活躍できる人材の確保に努めてまいります。
新卒採用に当たっては、消費者ニーズの多様化や顧客企業の調査手法の変化に柔軟に対応し続けられる人材、また未来に向けて自立・自走できるポテンシャルを持つ人材の採用に取り組んでまいります。新卒入社の早期離職を防ぐためにもインターンシップ等、選考の中で仕事体験ができるプログラムを実施しております。中途採用に当たっては、グループ全体の事業拡大に並走できる専門性の高い人材確保を強化してまいります。
② 人材育成
当社グループでは、全社員に冊子「CMG Culture Book」、「CMG Technical Book」を配布しております。「CMG Culture Book」は、グループとして大事にしたい価値観や考え方を、「CMG Technical Book」は、会議や企画、組織間コミュニケーション等、より具体的な業務シーンにおいて高水準のパフォーマンスを発揮するための心得をまとめたものです。
これらの冊子の内容を、当社グループの企業文化(Culture)として定着させて組織と人の成長にドライブをかけ、企業としての成果を最大化させることが組織・人材開発における最大のテーマです。時間はかかりますが、規則や仕組みに拠るだけでなく、価値観や考え方を基に自立自走し成果を挙げる組織と人材の実現を目指してまいります。
その取り組みとして、2023年にBASIC (Business Ability School In Cross Marketing Group)を立ち上げ、継続的に「CMG Culture Book」、「CMG Technical Book」の浸透・定着を図りながら、グループ全体で「人が育つ風土」の醸成や「人を育てる仕組み」づくりを推進しております。
BASIC導入初年度にあたる2023年6月期は、全管理職を対象とした研修を幅広く実施しております。続く2024年6月期におきましては、階層別研修をよりきめ細かく再整備し、順次展開しております。具体的には、新たにマネージャーに昇進した社員を対象とした「新任マネージャー研修」に、「CMG Culture Book」を理解するコンテンツを取り入れ、マネジメントおよびリーダーシップを強化する内容に変更しております。また、次世代経営人材の育成を目的とした「CMG Gateway Session」「CMG TOP GUN」研修を新たに導入し、現在19名の選抜メンバーが、経営陣と向き合い課題に取り組みながら知識や視座を高めております。
また、中途社員向け「Culture Bookセッション」や、全社員に向けたイントラでの「CMG Technical Book」説明動画配信なども、随時行っております。
③ 労務・安全衛生
当社グループでは、従業員が健康で生き生きと働くために、健康状態の確認とフォローアップを行うほか、様々な視点から新しい取り組みや組織設置、制度導入を行っております。
例えば、グループ全体でいつでも利用できる健康相談窓口を設置しており、本人や上司から相談があった場合や、勤務状況、健康診断結果に応じて、産業医に健康相談が出来る機会を月4回設けております。また、本人の希望等に応じて、女性医師による面談が実施できるような、女性への配慮を実現する取り組みを行っております。
また、障害者雇用で入社した従業員の定着支援としては、定期的に産業医による面談を実施し、必要に応じて、受け入れ部署のほかご家族、地域の就労支援センター、ジョブコーチなどと連携しながら、就労継続支援を行っております。
産育休取得の促進への取り組みとしては、グループ内のQ&Aポータルサイト上で、産育休に関する制度や手続きに関する情報や相談窓口へのアクセス方法を公開しております。また休職前と復職前、復職3ヶ月後に面談を行い、休復職における不安を解消し、安心して休職に入り、職場復帰ができるように支援を行っております。
とりわけ、男性が育児休業を取りやすい仕組み作りとして、対象となる従業員とその上司に対して、取得に際しての疑問や不安を解消するために、個別に情報提供とアンケートを実施するほか、育児休業の取得経験がある従業員による座談会、社内報での事例紹介などを実施しております。このような取り組みの結果、男性従業員の約7割が育児休業を取得しております。
なお、2024年10月には、不妊治療を受ける従業員や、癌、心疾患、脳血管疾患、指定難病など、重篤な身体疾患を罹患した従業員に向けた休業を制度化し、従業員が安心して治療と仕事の両立、あるいは治療に専念できる仕組みを導入いたします。