有価証券報告書-第19期(2025/07/01-2026/06/30)
有報資料
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、記載の順序はリスクの重要度又は発生可能性の順位を示すものではありません。
(1)法的規制等について
当社グループは事業の遂行にあたり、宅地建物取引業法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、保険業法、建設業法、特定商取引法、個人情報の保護に関する法律、労働関係法令、電気通信事業法等、多岐にわたる法規制の適用を受けております。これらの法令に基づく免許・登録の取消しまたは業務停止等の行政処分を受けた場合には、当該事業の継続が困難となる可能性があります。
また、これらの法令・規制の改正または新たな制定が行われた場合、当社グループにおける事業構造や資金調達方法を変更せざるを得ない、またはこれらの制定や変更に対応するための費用が発生する可能性があります。近時においては、2026年4月1日施行の建物の区分所有等に関する法律及びマンションの管理の適正化の推進に関する法律等の改正(集会決議の多数決要件の緩和、老朽化したマンションの再生手続の整備)、同日施行の不動産登記法の改正(住所等の変更登記の義務化)、2026年6月施行予定の改正保険業法(保険業者の管理態勢の強化)、および人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律の施行等が、当社グループの各事業において具体的な対応コストの発生要因となっております。このような法規制の変更等によって、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは、国内外の各種法令・規制の動向について、各種業界団体・専門家等からの情報を収集・分析し、影響の度合いや内容に応じて適切に対応してまいります。また、コンプライアンス委員会によるグループ横断的な法令遵守状況のモニタリングを継続してまいります。
(2)宅地建物取引業免許に係るリスク
当社グループの中核事業は国土交通大臣免許に基づく宅地建物取引業であり、宅地建物取引業法に違反する行為が発生した場合、業務停止命令または免許取消等の行政処分が科される可能性があります。当該処分を受けた場合には、当社グループの事業全体に重大な支障を来すおそれがあります。
また、生成AI技術の業務活用が急速に進展するなか、AIが生成した重要事項説明の内容に事実と異なる情報が含まれた場合、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明義務の違反に直結しうる点を、当社グループとして特に留意すべき新たなリスク経路として認識しております。当社グループは、AIが生成した内容に係る人的確認プロセスの整備および生成AIの活用に関する社内ルール・利用ガイドラインの整備を進めるとともに、宅地建物取引士資格の取得推進を通じてリスクの低減を図っております。
(3)事業環境の変化によるリスク(金利・市況・建設コスト)
景気変動、国内外の経済状況の変化、金利上昇、為替変動、物価変動、少子高齢化・人口減少、産業構造の変化等は、不動産需要の低下、市況の悪化による地価等の下落、個人消費の低迷等をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に伴い、当社グループの業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
特に、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%程度へ引き上げ、長期金利も上昇基調で推移しております。金融政策の正常化が継続した場合、①有利子負債に係る資金調達コストの増大、②住宅購入者の購買意欲の減退、③不動産投資家の要求利回りの上昇による保有資産価値の下落という経路を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。また、建設資材価格および労務費は高い水準で推移しており、公共工事設計労務単価が2026年3月の改定において前年比4.5%引き上げられるなど、開発採算を継続的に圧迫しております。さらに、価格の高騰による購買力の低下を背景として、不動産市況がピークアウトするリスクが高まっております。当社グループでは、市況変化の動向を継続的にモニタリングするとともに、事業計画の策定においてストレスシナリオを複数設定し、柔軟な対応を図ってまいります。
(4)有利子負債・財務流動性リスク
当社グループは、販売用不動産の取得資金のほか、M&A及びDX投資に係る資金の一部を、主として金融機関からの借入金によって調達しております。物件の仕入れ、M&A及びDX投資を継続的に推進していることから、有利子負債の残高は増加傾向にあり、自己資本比率は相対的に低い水準で推移しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額はマイナスで推移しており、借入による資金調達を前提とした事業構造となっております。なお、有利子負債の残高、自己資本比率及びキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社グループの借入金には変動金利によるものが含まれており、今後さらに金利水準が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、市況の悪化や業績の下振れが重なった場合には、借入の継続またはリファイナンスが困難となる可能性があるほか、一部の借入金に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性も排除できません。当社グループは、借入ポートフォリオにおける固定金利比率の引上げを進めるとともに、取締役会および財務担当役員による財務モニタリング体制の強化に取り組んでまいります。
(5)販売用不動産(在庫)リスク
当社グループの売買DXインベスト事業においては、仕入れた不動産を販売用不動産(棚卸資産)として保有しております。仕入れの拡大に伴い販売用不動産の残高は増加しており、総資産に占める割合も高い水準にあります。なお、棚卸資産の残高につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
当社グループが主として取り扱う東京23区を中心とした投資用不動産の市況が急激に悪化した場合、在庫の値下がりによって損失が発生するリスクがあります。具体的には、個別の物件ごとに正味売却価額が帳簿価額を下回った場合、収益性の低下による簿価の切下げ(評価損)を計上することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の国または地域の投資家の購買意欲が地政学リスクや為替の変動等により低下した場合、成約率が低下し、在庫の長期滞留につながるリスクがあります。当社グループでは、在庫物件の賃貸転換の可能性の検討、在庫回転期間のモニタリング、販売先の特定の国または地域への依存度の管理、新規案件の仕入れにおける市況感応度分析の実施により、在庫リスクの管理に取り組んでおります。
(6)サブリース・プロパティマネジメント事業のリスク
当社グループの賃貸DXプロパティマネジメント事業は、不動産オーナーから物件を借り上げて入居者に転貸するサブリース方式を中心としており、管理戸数は継続的に増加しております。当該方式においては、対象不動産の空室の状況にかかわらず契約した賃料をオーナーに支払うため、保証賃料の査定が結果的に不適切なものとなった場合や、国内景気の悪化・不動産市況の悪化により入居率が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの入居率は高い水準を維持しておりますが、この水準が将来にわたって持続するかどうかには不確実性が伴います。また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく法令遵守の徹底と継続的な対応コストが必要であり、規模の拡大に伴い管理負荷が増大しております。当社グループは、グループのリーシング力を活かした高い入居率の維持と、AMBITION Cloudによる業務効率化を通じて、競争力の高いプロパティマネジメントサービスを提供してまいります。
(7)売買DXインベスト事業のリスク
当社グループの売買DXインベスト事業は、東京23区を中心とした新築デザイナーズマンションの開発・分譲および中古の住居用不動産の買取再販を行っており、不動産市況の変動、金利上昇による購買意欲の低下、建築費の高騰等が業績に直接影響するリスクがあります。また、物件の引渡時期が特定の時期に集中しやすい事業構造であることから、四半期ごとの業績変動が大きく、収益の予見性が相対的に低い点にも留意が必要であります。
さらに、2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱において、相続または贈与の前5年以内に取得または新築された一定の貸付用不動産について、通常の取引価額に相当する金額により評価する見直しが示されており、2027年1月1日以後の相続または贈与から適用される予定であります。これにより、相続税の負担軽減を目的とした投資用不動産の需要が制度変更の前後で急変するリスクがあります。当社グループは、市況感応度分析を投資判断に組み込むとともに、税負担の軽減のみを目的としない実需・エンドユーザー向け商品の展開を進めてまいります。
(8)少額短期保険事業のリスク
当社グループの子会社であるホープ少額短期保険株式会社は、保険業法の規制の下において、主として賃貸住宅の入居者向けの家財保険商品を提供しております。2026年6月施行予定の改正保険業法による管理態勢・ガバナンス要件の強化への対応コストが発生する見込みであるほか、保険業法その他の関連法規に違反する行為が発生した場合には、行政処分等が科される可能性があります。
また、自然災害の発生等により保険金の支払が増大した場合には、同社の収支に影響を及ぼす可能性があります。同社が当社グループの連結売上高に占める割合は限定的であり、現時点においてグループ全体の事業継続性および財務の安定性に対する影響は限定的であると認識しておりますが、事業規模の拡大に伴い当該影響が増大する可能性があります。当社グループは、再保険の活用による最大損害額の適切な管理と、保険料収支の定期的なモニタリングにより、当該事業の健全性の維持に努めてまいります。
(9)DX・AI・テクノロジーリスク
当社グループの競争優位の源泉のひとつは、自社で開発した次世代管理システム「AMBITION Cloud」をはじめとするDXプロダクトにあります。これらのシステムの開発が遅延もしくは中断した場合、または技術的な問題が発生した場合には、グループ全体の効率化戦略に支障をきたす可能性があります。また、生成AI技術の急速な進展に伴い不動産テック分野への投資が拡大するなか、既存のDXプロダクトが競合他社の新技術によって急速に陳腐化するリスクがあります。
2025年7月に子会社化した株式会社LiVrAは生成AI技術を活用した事業を展開しておりますが、AI市場は競争が極めて激しく技術の変化が急速であることから、ビジネスモデルが陳腐化するリスクが高い点に留意が必要であります。当社グループは、AMBITION CloudへのAI機能の継続的な統合・強化を進めるとともに、AI市場および技術動向のモニタリングを行ってまいります。
(10)サイバーセキュリティ・情報漏洩リスク
当社グループは、不動産業および保険業を営むにあたり、入居者・オーナー・購入者・被保険者に係る大量の個人情報を保有しており、サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合には、社会的信用の失墜、事業の停止および法的な賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。近年、企業を標的としたランサムウェアによる被害が増加しており、当社グループにおいても重要なリスクとして認識しております。
当社グループにおいては、2026年8月6日、当社ネットワーク内のファイルサーバーにおいて第三者による不正アクセスを確認いたしました。同日以降、外部ネットワークの遮断および対象サーバーの隔離を実施するとともに、緊急対策本部を設置し、外部専門機関の協力を得て調査を進めております。その後の調査により、一部の情報資産について情報の漏洩を確認しており、漏洩した情報には、お客様、賃貸管理物件のオーナー様、入居者様、お取引先様および当社グループ役職員の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報が含まれる可能性があります。本書提出日現在、対象となる方および件数の特定には至っておらず、調査を継続しております。なお、本事案については警察に相談するとともに、個人情報の保護に関する法律第26条第1項に基づき個人情報保護委員会に報告しております。また、安全性を確認した新たなネットワーク環境への切替えを行い、業務で使用する各システムの復旧を完了しております。
本事案に関しては、調査費用およびシステムの再構築に係る費用等が発生する見込みであります。加えて、対象となる方への対応、損害賠償請求、行政上の措置、社会的信用の低下による営業機会の減少等が生じた場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現時点において、これらの影響額を合理的に見積もることは困難であります。
特に、基幹システムであるAMBITION Cloudがランサムウェア攻撃を受けた場合には、複数の事業が同時に停止するリスクがあります。また、生成AIを活用した高度なフィッシング攻撃や攻撃コードの自動生成により攻撃の精巧化が進んでおり、取引先・投資先企業を経由したサプライチェーン攻撃も増加しております。当社グループは、EDR(エンドポイントにおける検知・対応)の導入推進、多要素認証の全社的な適用強化、インシデント対応手順の整備と定期的な訓練の実施、取引先および子会社のセキュリティ基準の向上、システムの冗長化・バックアップ体制の強化等の対策を継続的に進めてまいります。なお、本事案を踏まえ、ログの保全および監視体制の強化を含む再発防止策を検討し、順次実施してまいります。
(11)個人情報保護・データガバナンスリスク
個人情報保護委員会は、2026年1月にいわゆる三年ごと見直しに係る制度改正の方針を公表しております。主な改正項目は、①課徴金制度の新設、②同意規律の見直し、③Cookie ID等の特定の情報に対する規制の強化、④委託先の管理の厳格化等であり、施行は2027年から2028年頃が想定されております。課徴金制度が導入された場合には、法令違反が生じた際の財務的な影響が従来よりも大きくなる可能性があります。また、Cookie ID・連絡先情報に対する規制の強化は、賃貸仲介事業におけるWeb集客施策にも実務的な制約をもたらす可能性があります。
当社グループは、個人情報の保護に関する法律の改正の動向を継続的にモニタリングするとともに、個人情報に係る社内規程の整備・更新、同意取得フローおよびCookieの管理の見直しに向けた対応計画の策定、外部専門家との連携によるコンプライアンス体制の強化、個人情報管理規程のグループ統一的な整備に取り組んでまいります。
(12)特定人物への依存について
当社グループの経営方針・事業戦略の決定において、創業者である代表取締役社長清水剛の役割は極めて大きく、同氏の経営手腕、判断力および対外的な信用力に大きく依存しております。また、同氏は当社の主要株主でもあります。不測の事態により同氏の業務執行が困難となった場合、当社グループの業績および事業展開に重大な影響が生じる可能性があります。当社グループは、任意の指名・報酬委員会を設置し後継者の育成に向けた取り組みを進めるとともに、経営管理の標準化と権限委譲を段階的に推進し、経営の継続性とガバナンスの強化に取り組んでまいります。
(13)人材の確保・育成・定着について
不動産、IT、DXおよびAI等の各分野における有能な人材の確保・育成・定着は、当社グループの競争優位の維持に不可欠であります。当社グループの従業員数は事業の拡大に伴い増加しております。最低賃金の継続的な上昇および不動産・IT人材市場における競争の激化により、採用・処遇に係るコストが増大するリスクがあります。また、M&Aによる子会社の増加に伴い、グループ内の人材管理および企業文化の統合の難易度も上昇しており、買収後の統合作業の遅延が各子会社の収益貢献時期のずれ込みにつながる可能性があります。当社グループは、競争力のある処遇水準の維持と、業務の自動化・DXツールの活用による生産性の向上に継続的に取り組んでまいります。
(14)M&A及び買収後の統合に関するリスク
当社グループは、株式会社DRAFT(2023年4月子会社化)、株式会社フレンドワークス(2024年2月子会社化)、株式会社LiVrA(2025年7月子会社化)など、継続的なM&Aを実施しております。M&Aに伴うのれんおよび無形資産の評価、子会社間のシナジー創出の遅延または失敗、企業文化の統合の困難さ、買収後の統合に要するコストの増大等が、潜在的なリスクとなります。
これらのM&Aに伴い当社グループはのれんを計上しており、取得した会社の事業計画が当初の見込みを下回った場合には、のれんまたは無形資産の減損損失を計上する可能性があります。特にLiVrAは、生成AI市場という急速に変化する競争環境に属しており、取得時に見込んだシナジーが当初の計画どおりに実現しない可能性があります。当社グループは、M&A後の統合プロセスを取締役会において継続的にモニタリングするとともに、のれんの償却および減損の兆候の把握を適時適切に実施してまいります。
(15)自然災害・首都圏への集中・事業継続に関するリスク
当社グループの事業拠点および取扱物件は東京23区を中心とする首都圏に高度に集中しており、当該地域における大規模地震(内閣府の推計によれば、首都直下地震の30年以内の発生確率は70%程度とされております)、その他の自然災害またはテロ等の発生は、当社グループの業績に深刻な影響をもたらすリスクがあります。
大規模な自然災害が発生した場合には、販売用不動産の損壊・価値の毀損、基幹システムAMBITION Cloudの停止、管理物件の大規模な被害によるプロパティマネジメント収益の急減が重なり、有利子負債の返済に支障が生じる可能性があります。当社グループは、事業継続計画(BCP)の継続的な見直し、クラウドシステムの冗長化・バックアップ体制の強化、事業拠点の分散を段階的に進めてまいります。
(16)地政学リスク
国際的な武力紛争、中東情勢の緊迫化、主要国間の通商政策の変更等の地政学的な事象は、当社グループの事業に対して間接的な影響を与える可能性があります。為替相場が円高に転換した場合には、海外投資家による日本の不動産取得の妙味が低下し、売買DXインベスト事業の成約率が低下するリスクがあります。また、原油および原材料価格の高止まりが建設コストに波及する経路も、継続的なリスクとして認識しております。当社グループは、地政学的な事象の動向を継続的にモニタリングするとともに、販売先の特定の国または地域への依存度の管理に取り組んでまいります。
(17)競合他社の動向・市場構造の変化に関するリスク
大手の仲介・管理会社による多店舗展開と賃貸物件の自社への取り込みが進んでおり、当社グループが取り扱う賃貸物件の確保が困難になる可能性があります。また、生成AIを活用した仲介プラットフォームの普及により、従来の仲介手数料に依存した収益モデルが構造的な代替圧力にさらされるリスクがあります。当社グループは、DX戦略の継続的な深化と自社管理物件の優先的な提供による差別化、AIツールを活用した業務効率化と顧客体験価値の向上を通じて、競争優位性の維持・強化に取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、記載の順序はリスクの重要度又は発生可能性の順位を示すものではありません。
(1)法的規制等について
当社グループは事業の遂行にあたり、宅地建物取引業法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、保険業法、建設業法、特定商取引法、個人情報の保護に関する法律、労働関係法令、電気通信事業法等、多岐にわたる法規制の適用を受けております。これらの法令に基づく免許・登録の取消しまたは業務停止等の行政処分を受けた場合には、当該事業の継続が困難となる可能性があります。
また、これらの法令・規制の改正または新たな制定が行われた場合、当社グループにおける事業構造や資金調達方法を変更せざるを得ない、またはこれらの制定や変更に対応するための費用が発生する可能性があります。近時においては、2026年4月1日施行の建物の区分所有等に関する法律及びマンションの管理の適正化の推進に関する法律等の改正(集会決議の多数決要件の緩和、老朽化したマンションの再生手続の整備)、同日施行の不動産登記法の改正(住所等の変更登記の義務化)、2026年6月施行予定の改正保険業法(保険業者の管理態勢の強化)、および人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律の施行等が、当社グループの各事業において具体的な対応コストの発生要因となっております。このような法規制の変更等によって、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは、国内外の各種法令・規制の動向について、各種業界団体・専門家等からの情報を収集・分析し、影響の度合いや内容に応じて適切に対応してまいります。また、コンプライアンス委員会によるグループ横断的な法令遵守状況のモニタリングを継続してまいります。
(2)宅地建物取引業免許に係るリスク
当社グループの中核事業は国土交通大臣免許に基づく宅地建物取引業であり、宅地建物取引業法に違反する行為が発生した場合、業務停止命令または免許取消等の行政処分が科される可能性があります。当該処分を受けた場合には、当社グループの事業全体に重大な支障を来すおそれがあります。
また、生成AI技術の業務活用が急速に進展するなか、AIが生成した重要事項説明の内容に事実と異なる情報が含まれた場合、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明義務の違反に直結しうる点を、当社グループとして特に留意すべき新たなリスク経路として認識しております。当社グループは、AIが生成した内容に係る人的確認プロセスの整備および生成AIの活用に関する社内ルール・利用ガイドラインの整備を進めるとともに、宅地建物取引士資格の取得推進を通じてリスクの低減を図っております。
(3)事業環境の変化によるリスク(金利・市況・建設コスト)
景気変動、国内外の経済状況の変化、金利上昇、為替変動、物価変動、少子高齢化・人口減少、産業構造の変化等は、不動産需要の低下、市況の悪化による地価等の下落、個人消費の低迷等をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に伴い、当社グループの業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
特に、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%程度へ引き上げ、長期金利も上昇基調で推移しております。金融政策の正常化が継続した場合、①有利子負債に係る資金調達コストの増大、②住宅購入者の購買意欲の減退、③不動産投資家の要求利回りの上昇による保有資産価値の下落という経路を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。また、建設資材価格および労務費は高い水準で推移しており、公共工事設計労務単価が2026年3月の改定において前年比4.5%引き上げられるなど、開発採算を継続的に圧迫しております。さらに、価格の高騰による購買力の低下を背景として、不動産市況がピークアウトするリスクが高まっております。当社グループでは、市況変化の動向を継続的にモニタリングするとともに、事業計画の策定においてストレスシナリオを複数設定し、柔軟な対応を図ってまいります。
(4)有利子負債・財務流動性リスク
当社グループは、販売用不動産の取得資金のほか、M&A及びDX投資に係る資金の一部を、主として金融機関からの借入金によって調達しております。物件の仕入れ、M&A及びDX投資を継続的に推進していることから、有利子負債の残高は増加傾向にあり、自己資本比率は相対的に低い水準で推移しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額はマイナスで推移しており、借入による資金調達を前提とした事業構造となっております。なお、有利子負債の残高、自己資本比率及びキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社グループの借入金には変動金利によるものが含まれており、今後さらに金利水準が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、市況の悪化や業績の下振れが重なった場合には、借入の継続またはリファイナンスが困難となる可能性があるほか、一部の借入金に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性も排除できません。当社グループは、借入ポートフォリオにおける固定金利比率の引上げを進めるとともに、取締役会および財務担当役員による財務モニタリング体制の強化に取り組んでまいります。
(5)販売用不動産(在庫)リスク
当社グループの売買DXインベスト事業においては、仕入れた不動産を販売用不動産(棚卸資産)として保有しております。仕入れの拡大に伴い販売用不動産の残高は増加しており、総資産に占める割合も高い水準にあります。なお、棚卸資産の残高につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
当社グループが主として取り扱う東京23区を中心とした投資用不動産の市況が急激に悪化した場合、在庫の値下がりによって損失が発生するリスクがあります。具体的には、個別の物件ごとに正味売却価額が帳簿価額を下回った場合、収益性の低下による簿価の切下げ(評価損)を計上することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の国または地域の投資家の購買意欲が地政学リスクや為替の変動等により低下した場合、成約率が低下し、在庫の長期滞留につながるリスクがあります。当社グループでは、在庫物件の賃貸転換の可能性の検討、在庫回転期間のモニタリング、販売先の特定の国または地域への依存度の管理、新規案件の仕入れにおける市況感応度分析の実施により、在庫リスクの管理に取り組んでおります。
(6)サブリース・プロパティマネジメント事業のリスク
当社グループの賃貸DXプロパティマネジメント事業は、不動産オーナーから物件を借り上げて入居者に転貸するサブリース方式を中心としており、管理戸数は継続的に増加しております。当該方式においては、対象不動産の空室の状況にかかわらず契約した賃料をオーナーに支払うため、保証賃料の査定が結果的に不適切なものとなった場合や、国内景気の悪化・不動産市況の悪化により入居率が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの入居率は高い水準を維持しておりますが、この水準が将来にわたって持続するかどうかには不確実性が伴います。また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく法令遵守の徹底と継続的な対応コストが必要であり、規模の拡大に伴い管理負荷が増大しております。当社グループは、グループのリーシング力を活かした高い入居率の維持と、AMBITION Cloudによる業務効率化を通じて、競争力の高いプロパティマネジメントサービスを提供してまいります。
(7)売買DXインベスト事業のリスク
当社グループの売買DXインベスト事業は、東京23区を中心とした新築デザイナーズマンションの開発・分譲および中古の住居用不動産の買取再販を行っており、不動産市況の変動、金利上昇による購買意欲の低下、建築費の高騰等が業績に直接影響するリスクがあります。また、物件の引渡時期が特定の時期に集中しやすい事業構造であることから、四半期ごとの業績変動が大きく、収益の予見性が相対的に低い点にも留意が必要であります。
さらに、2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱において、相続または贈与の前5年以内に取得または新築された一定の貸付用不動産について、通常の取引価額に相当する金額により評価する見直しが示されており、2027年1月1日以後の相続または贈与から適用される予定であります。これにより、相続税の負担軽減を目的とした投資用不動産の需要が制度変更の前後で急変するリスクがあります。当社グループは、市況感応度分析を投資判断に組み込むとともに、税負担の軽減のみを目的としない実需・エンドユーザー向け商品の展開を進めてまいります。
(8)少額短期保険事業のリスク
当社グループの子会社であるホープ少額短期保険株式会社は、保険業法の規制の下において、主として賃貸住宅の入居者向けの家財保険商品を提供しております。2026年6月施行予定の改正保険業法による管理態勢・ガバナンス要件の強化への対応コストが発生する見込みであるほか、保険業法その他の関連法規に違反する行為が発生した場合には、行政処分等が科される可能性があります。
また、自然災害の発生等により保険金の支払が増大した場合には、同社の収支に影響を及ぼす可能性があります。同社が当社グループの連結売上高に占める割合は限定的であり、現時点においてグループ全体の事業継続性および財務の安定性に対する影響は限定的であると認識しておりますが、事業規模の拡大に伴い当該影響が増大する可能性があります。当社グループは、再保険の活用による最大損害額の適切な管理と、保険料収支の定期的なモニタリングにより、当該事業の健全性の維持に努めてまいります。
(9)DX・AI・テクノロジーリスク
当社グループの競争優位の源泉のひとつは、自社で開発した次世代管理システム「AMBITION Cloud」をはじめとするDXプロダクトにあります。これらのシステムの開発が遅延もしくは中断した場合、または技術的な問題が発生した場合には、グループ全体の効率化戦略に支障をきたす可能性があります。また、生成AI技術の急速な進展に伴い不動産テック分野への投資が拡大するなか、既存のDXプロダクトが競合他社の新技術によって急速に陳腐化するリスクがあります。
2025年7月に子会社化した株式会社LiVrAは生成AI技術を活用した事業を展開しておりますが、AI市場は競争が極めて激しく技術の変化が急速であることから、ビジネスモデルが陳腐化するリスクが高い点に留意が必要であります。当社グループは、AMBITION CloudへのAI機能の継続的な統合・強化を進めるとともに、AI市場および技術動向のモニタリングを行ってまいります。
(10)サイバーセキュリティ・情報漏洩リスク
当社グループは、不動産業および保険業を営むにあたり、入居者・オーナー・購入者・被保険者に係る大量の個人情報を保有しており、サイバー攻撃や情報漏洩が発生した場合には、社会的信用の失墜、事業の停止および法的な賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。近年、企業を標的としたランサムウェアによる被害が増加しており、当社グループにおいても重要なリスクとして認識しております。
当社グループにおいては、2026年8月6日、当社ネットワーク内のファイルサーバーにおいて第三者による不正アクセスを確認いたしました。同日以降、外部ネットワークの遮断および対象サーバーの隔離を実施するとともに、緊急対策本部を設置し、外部専門機関の協力を得て調査を進めております。その後の調査により、一部の情報資産について情報の漏洩を確認しており、漏洩した情報には、お客様、賃貸管理物件のオーナー様、入居者様、お取引先様および当社グループ役職員の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報が含まれる可能性があります。本書提出日現在、対象となる方および件数の特定には至っておらず、調査を継続しております。なお、本事案については警察に相談するとともに、個人情報の保護に関する法律第26条第1項に基づき個人情報保護委員会に報告しております。また、安全性を確認した新たなネットワーク環境への切替えを行い、業務で使用する各システムの復旧を完了しております。
本事案に関しては、調査費用およびシステムの再構築に係る費用等が発生する見込みであります。加えて、対象となる方への対応、損害賠償請求、行政上の措置、社会的信用の低下による営業機会の減少等が生じた場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現時点において、これらの影響額を合理的に見積もることは困難であります。
特に、基幹システムであるAMBITION Cloudがランサムウェア攻撃を受けた場合には、複数の事業が同時に停止するリスクがあります。また、生成AIを活用した高度なフィッシング攻撃や攻撃コードの自動生成により攻撃の精巧化が進んでおり、取引先・投資先企業を経由したサプライチェーン攻撃も増加しております。当社グループは、EDR(エンドポイントにおける検知・対応)の導入推進、多要素認証の全社的な適用強化、インシデント対応手順の整備と定期的な訓練の実施、取引先および子会社のセキュリティ基準の向上、システムの冗長化・バックアップ体制の強化等の対策を継続的に進めてまいります。なお、本事案を踏まえ、ログの保全および監視体制の強化を含む再発防止策を検討し、順次実施してまいります。
(11)個人情報保護・データガバナンスリスク
個人情報保護委員会は、2026年1月にいわゆる三年ごと見直しに係る制度改正の方針を公表しております。主な改正項目は、①課徴金制度の新設、②同意規律の見直し、③Cookie ID等の特定の情報に対する規制の強化、④委託先の管理の厳格化等であり、施行は2027年から2028年頃が想定されております。課徴金制度が導入された場合には、法令違反が生じた際の財務的な影響が従来よりも大きくなる可能性があります。また、Cookie ID・連絡先情報に対する規制の強化は、賃貸仲介事業におけるWeb集客施策にも実務的な制約をもたらす可能性があります。
当社グループは、個人情報の保護に関する法律の改正の動向を継続的にモニタリングするとともに、個人情報に係る社内規程の整備・更新、同意取得フローおよびCookieの管理の見直しに向けた対応計画の策定、外部専門家との連携によるコンプライアンス体制の強化、個人情報管理規程のグループ統一的な整備に取り組んでまいります。
(12)特定人物への依存について
当社グループの経営方針・事業戦略の決定において、創業者である代表取締役社長清水剛の役割は極めて大きく、同氏の経営手腕、判断力および対外的な信用力に大きく依存しております。また、同氏は当社の主要株主でもあります。不測の事態により同氏の業務執行が困難となった場合、当社グループの業績および事業展開に重大な影響が生じる可能性があります。当社グループは、任意の指名・報酬委員会を設置し後継者の育成に向けた取り組みを進めるとともに、経営管理の標準化と権限委譲を段階的に推進し、経営の継続性とガバナンスの強化に取り組んでまいります。
(13)人材の確保・育成・定着について
不動産、IT、DXおよびAI等の各分野における有能な人材の確保・育成・定着は、当社グループの競争優位の維持に不可欠であります。当社グループの従業員数は事業の拡大に伴い増加しております。最低賃金の継続的な上昇および不動産・IT人材市場における競争の激化により、採用・処遇に係るコストが増大するリスクがあります。また、M&Aによる子会社の増加に伴い、グループ内の人材管理および企業文化の統合の難易度も上昇しており、買収後の統合作業の遅延が各子会社の収益貢献時期のずれ込みにつながる可能性があります。当社グループは、競争力のある処遇水準の維持と、業務の自動化・DXツールの活用による生産性の向上に継続的に取り組んでまいります。
(14)M&A及び買収後の統合に関するリスク
当社グループは、株式会社DRAFT(2023年4月子会社化)、株式会社フレンドワークス(2024年2月子会社化)、株式会社LiVrA(2025年7月子会社化)など、継続的なM&Aを実施しております。M&Aに伴うのれんおよび無形資産の評価、子会社間のシナジー創出の遅延または失敗、企業文化の統合の困難さ、買収後の統合に要するコストの増大等が、潜在的なリスクとなります。
これらのM&Aに伴い当社グループはのれんを計上しており、取得した会社の事業計画が当初の見込みを下回った場合には、のれんまたは無形資産の減損損失を計上する可能性があります。特にLiVrAは、生成AI市場という急速に変化する競争環境に属しており、取得時に見込んだシナジーが当初の計画どおりに実現しない可能性があります。当社グループは、M&A後の統合プロセスを取締役会において継続的にモニタリングするとともに、のれんの償却および減損の兆候の把握を適時適切に実施してまいります。
(15)自然災害・首都圏への集中・事業継続に関するリスク
当社グループの事業拠点および取扱物件は東京23区を中心とする首都圏に高度に集中しており、当該地域における大規模地震(内閣府の推計によれば、首都直下地震の30年以内の発生確率は70%程度とされております)、その他の自然災害またはテロ等の発生は、当社グループの業績に深刻な影響をもたらすリスクがあります。
大規模な自然災害が発生した場合には、販売用不動産の損壊・価値の毀損、基幹システムAMBITION Cloudの停止、管理物件の大規模な被害によるプロパティマネジメント収益の急減が重なり、有利子負債の返済に支障が生じる可能性があります。当社グループは、事業継続計画(BCP)の継続的な見直し、クラウドシステムの冗長化・バックアップ体制の強化、事業拠点の分散を段階的に進めてまいります。
(16)地政学リスク
国際的な武力紛争、中東情勢の緊迫化、主要国間の通商政策の変更等の地政学的な事象は、当社グループの事業に対して間接的な影響を与える可能性があります。為替相場が円高に転換した場合には、海外投資家による日本の不動産取得の妙味が低下し、売買DXインベスト事業の成約率が低下するリスクがあります。また、原油および原材料価格の高止まりが建設コストに波及する経路も、継続的なリスクとして認識しております。当社グループは、地政学的な事象の動向を継続的にモニタリングするとともに、販売先の特定の国または地域への依存度の管理に取り組んでまいります。
(17)競合他社の動向・市場構造の変化に関するリスク
大手の仲介・管理会社による多店舗展開と賃貸物件の自社への取り込みが進んでおり、当社グループが取り扱う賃貸物件の確保が困難になる可能性があります。また、生成AIを活用した仲介プラットフォームの普及により、従来の仲介手数料に依存した収益モデルが構造的な代替圧力にさらされるリスクがあります。当社グループは、DX戦略の継続的な深化と自社管理物件の優先的な提供による差別化、AIツールを活用した業務効率化と顧客体験価値の向上を通じて、競争優位性の維持・強化に取り組んでまいります。