有価証券報告書-第70期(2025/04/01-2026/03/31)
②戦略
a.気候変動による事業への影響の分析
気候変動による事業への影響を明らかにするために、2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオを採用いたしました。
各シナリオにて、分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオになります。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために参考にし、IEAのシナリオは脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために参考にいたしました(表1)。また、分析における時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定いたしました。
表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ
※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用
b.分析結果と対応
〈1.5℃シナリオ〉
1.5℃シナリオでは、炭素税など気候変動に対する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されております。当社事業へのリスクとしては、炭素税の導入やレアメタル価格の上昇による調達コストの増加が挙げられました。そのため、再生可能エネルギー導入や設備の省エネルギー化などGHG排出量削減のための取り組み、及び省タングステン合金など新規材料の開発による資源価格高騰への対応を進めております。一方で、機会としては、xEV製品の売上増加が挙げられました。現在、中期経営計画における重要施策の1つとして、脱炭素・循環型社会への貢献を掲げており、xEV製品の販売計画や、国内循環型の超硬粉末のリサイクルの取り組みを策定しております。
〈4℃シナリオ〉
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されております。当社のリスクとしても、異常気象がもたらす災害発生時における製造所の被災による製品販売の停止や、サプライヤーと顧客の被災による影響が挙げられました。現状、当社としては、海岸付近の製造所における防潮堤の設置や、BCP対応の強化を進めており、異常気象による事業へのリスク低減を進めております。
表2:シナリオ分析結果
※重要度評価に関しては、現時点における財務的影響額を基にした評価となっています。当社では1.5℃シナリオ、4℃シナリオの両方に対応できるよう包括的な施策を検討しており、持続可能な企業を目指していきます。
a.気候変動による事業への影響の分析
気候変動による事業への影響を明らかにするために、2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオを採用いたしました。
各シナリオにて、分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオになります。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために参考にし、IEAのシナリオは脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために参考にいたしました(表1)。また、分析における時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定いたしました。
表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ
| 政策により気温上昇が抑えられる世界 | 気温上昇・気候変動が進む世界 | ||
| 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | ||
| 概要 | 2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃に抑えられるシナリオ。炭素税など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。 | 2100年の気温上昇が19世紀後半から4℃上昇するシナリオ。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。 | |
| 参考シナリオ | 移行 | IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)IEA Sustainable Development Scenario(SDS) | IEA Stated Polices Scenario(STEPS) |
| 物理 | IPCC RCP 2.6 | IPCC RCP 8.5 | |
※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用
b.分析結果と対応
〈1.5℃シナリオ〉
1.5℃シナリオでは、炭素税など気候変動に対する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されております。当社事業へのリスクとしては、炭素税の導入やレアメタル価格の上昇による調達コストの増加が挙げられました。そのため、再生可能エネルギー導入や設備の省エネルギー化などGHG排出量削減のための取り組み、及び省タングステン合金など新規材料の開発による資源価格高騰への対応を進めております。一方で、機会としては、xEV製品の売上増加が挙げられました。現在、中期経営計画における重要施策の1つとして、脱炭素・循環型社会への貢献を掲げており、xEV製品の販売計画や、国内循環型の超硬粉末のリサイクルの取り組みを策定しております。
〈4℃シナリオ〉
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されております。当社のリスクとしても、異常気象がもたらす災害発生時における製造所の被災による製品販売の停止や、サプライヤーと顧客の被災による影響が挙げられました。現状、当社としては、海岸付近の製造所における防潮堤の設置や、BCP対応の強化を進めており、異常気象による事業へのリスク低減を進めております。
表2:シナリオ分析結果
| 気候関連問題による影響(リスク・機会) | 想定される事象 | 重要度評価 | 自社の対応 | |||
| 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | |||||
| 脱炭素 社会への移行に伴う影響 | リスク | 炭素価格の導入 | ・炭素税や排出量取引など、炭素価格の導入に より、GHG排出量に応じて、課税や排出枠 購入などのコストが発生する。 | 大 | 小 | 各種環境対応施策 ・LED照明の導入 ・室外機への遮熱塗料の塗布 ・再生可能エネルギーの導入 など |
| 再生可能エネルギー・省エネルギー政策の導入 | ・再生可能エネルギー調達に係る費用が増加す る。・省エネルギー政策の強化に伴い、設備の高効 率化が必要となった場合、設備の更新などに よって支出が増加する。 | 大 | 小 | |||
| 情報開示義務 | ・新しい環境政策の制定により、CFP(製品1 個あたりのGHG排出量)が要請され、対応費 用が発生する。・CFP算定要請未対応の場合に商品選好から 除外され売上が減少する。 | 中 | 小 | ・効率的なデータ取集体制の確立 | ||
| 省エネルギー・ 低炭素技術の拡大 | ・内燃機関自動車の需要低下により売上が減少 する。 | 大 | 小 | ・xEV関連製品の拡販 | ||
| 原材料コストの 変化 | ・脱炭素製品の需要増加に伴う資源価格の高騰 により、超硬合金の原材料コストが高騰する。 | 大 | 小 | ・省タングステン合金など新規材 料の開発、市場展開・顧客からのスクラップ回収 | ||
| 調達先の取引環境変化 | ・気候変動に伴う環境規制の強化により、原材 料や資材などの調達が難航する。 | 大 | 小 | ・複数の調達先の構築 | ||
| 機会 | 低炭素技術の進展 | ・xEVの普及により、xEV関連製品の売上 が増加する。 | 大 | 小 | ・xEV関連製品の拡販 | |
| 環境負荷低減に資する高付加価値製品の市場開拓 | ・長寿命・高精度金型が市場に展開された場合、 製造過程における材料ロスやエネルギー使用 量の削減、生産効率向上などを通じて環境負 荷低減へ貢献することができる。 | 中 | 小 | ・環境負荷低減に資する高付加価 値製品の市場開拓 | ||
| 原材料コストの 変化 | ・省タングステン合金など新規材料の開発を実 現した場合、資源価格高騰に対するレジリエ ンス性を発揮することができる。 | 中 | 小 | ・省タングステン合金など、新規 材料の開発、市場展開 | ||
| 顧客・投資家の 評判変化 | ・環境への取組が積極的な場合、新規顧客の増 加や投融資機会の増加につながる。 | 中 | 小 | ・CDPなどのESG評価結果の 開示による自社取り組みの公開 | ||
| 気候変動による物理的な影響 | リスク | 異常気象の激甚化海面上昇 | ・台風や洪水など自然災害の増加により、自社 設備が被災する可能性が増加する。・調達先の被災により、納期の遅延や代替品確 保などの対応が発生する。・顧客の被災による購買力の低下により、売上 が減少する。 | 大 | 大 | ・自社のBCP対応・防潮堤の設置・複数の調達先の構築 |
| 平均気温の上昇 | ・気温上昇により、夏季における空調費が増加 する。 | 大 | 大 | ・工場外壁への断熱材の利用 ・室外機への遮熱塗料の塗布 | ||
※重要度評価に関しては、現時点における財務的影響額を基にした評価となっています。当社では1.5℃シナリオ、4℃シナリオの両方に対応できるよう包括的な施策を検討しており、持続可能な企業を目指していきます。